歯車の基礎
平歯車のことを理解する前に歯車の基礎について記述する。
まずは歯車の各部名称を知ろう
歯車の図面上で説明できるのはこの二つである。そのほかに、
- モジュール
- 減速比(ギア比)
などがある。
また、歯車を理解するのに必要なパラメータは以下のようにある。
- 歯数:z[枚](歯車の歯の数)
- ピッチ円直径:d[mm]
ピッチ円
ピッチ円というのは、歯車の歯が触れ合う点(ピッチ点)の集合である。図面を引く時はこの二つを最も重要視する。つまり、下のように、ピッチ円は一点鎖線、歯先円を実線で表す。
この二つの歯車のピッチ円が接するようにおくことで歯車がかみ合うようにする。
ピッチ円は歯車のかみ合いを保持するために重要な概念である。
歯先円はこの歯車の歯が他の機構に干渉するのを防ぐのに書く必要がある。
モジュール
実はピッチ円を合わせるだけでは歯車はかみ合わない。それは以下の写真を見れば分かるだろう。
この三つはどれも標準的な平歯車であるが、実はかみ合わない。これは歯車の歯の大きさに依存する。この歯の大きさを示す値としてモジュールがある。モジュールをmとするとmは次式で定義される。
部室にあるのは基本的にm=1の歯車である。これはピッチ円直径と歯数が一致するため、図面が引きやすくとても便利である。モジュールが小さいもの(例えば、m=0.5など)は小さな歯車で多くの歯数のものを作ることができるため、小スペースで大きな減速比が得られるのがメリットである。その代わり、大きな伝達トルクに耐えることができない。モジュール1の歯車ばかり使っていると、上記の数式の分母分子がどちらか覚えにくいが、モジュールが小さくなると、歯車(直径)が小さくなると覚えておけばよい。とりあえず、覚えておくべきはモジュールについては、モジュールが同じものを使わないと、歯車がかみ合わないという点である。
減速比(ギア比)
歯車は歯数が同じものを利用すれば、同じ回転速度を伝達することができる。これに加え、大きさが違う歯車を使うことで、軸の回転速度を変えて伝達することができる。この時に軸の回転の速さの比にあたるのが減速比である。下のように二つの歯車がかみ合っている状態を考える。