メイン 第一話 現地人

Last-modified: 2024-04-08 (月) 22:15:54

伊吹

一番
ibuki.jpg伊吹(いぶき)
資料室説明
浄化遍歴、甲州街道の任務で出会った少年。伊吹は山賊の一味だったが、江戸に行くため、地魂男児たちについていくことに。
―追記―

江戸に到着した伊吹はその後、ある大名の元で住み込みで働くことになった。

火事で焼けた江戸の街で、少年は父親と再会できたのだろうか。
その後の歴史の中で伊吹少年の名前が記される記録は見つかっていない。

絵:さるの行丸

鬼蜥蜴

二番
onitokage.jpg鬼蜥蜴(おにとかげ)
資料室説明
自称「泣く子も黙る天下の大盗賊オニトカゲ」

下諏訪の山中を根城にする盗賊団の親分。豪快で粗野。乱暴者として近隣では恐れられている。しかし、一方で無益な殺しはしないというポリシーを持っており、子分たちからは慕われている。
―追記―

その年は飢饉と流行病で近隣の村では死者が大勢出ていた。
オニトカゲは子分と共に、ほとんどの人間が息絶えたある村を訪れた。

そこで拾ったのが伊吹だった。
伊吹は母親と祖母の亡骸の側でただじっと座っていた。
オニトカゲを見つめ返すその無垢な瞳は、どんな宝物よりも輝いて見えたのだ。

そうしてオニトカゲは伊吹を自分の側に置き、飯を食わせ、自分の身の回りの世話をさせた。
粗野な大男だが、伊吹に対しては乱暴は一切働かず、大事な宝物のように扱っていたという。

――さて、伊吹を失ってからのオニトカゲは傷心を癒すため、数名の子分たちと江戸に来たが、そこで伊吹の幽霊と出会ったそうだ。
オニトカゲは伊吹の霊と出会い、言葉を受け取ったとか。

「お頭には本当に感謝してるよ。
 ……だから、立ち直ってほしい。元気なお頭に戻ってよ。
 ――それから、……オレのこと、ずっと忘れないでね。大好きだよ。お頭。」

……その後、オニトカゲは砦に戻り盗賊家業を続けたらしいが、特に情報らしい情報も残っていない。

絵:Ohma

服部磯次

三番
isoji.jpg服部磯次(はっとりいそじ)
資料室説明
百人組がひとつ、伊賀組の組頭。
直感を信じる男……と自称しているが、その実高い霊力を持っており、普通の人間が気づかないことにも気づくことがあるため、あながちその直感は間違っていない。

伊賀組は、神君伊賀越えの際に道中を警護した伊賀忍者の子孫から構成され、江戸城大手三門の警備を担当していた。
―追記―

信州のある大名への幕府からの使いとして兄の供回りとして随行したときのことだ。任務の帰路、がけ崩れに巻き込まれ仲間は命を落とした。一命をとりとめた磯次を介抱した女がいた。

傷の回復のため半月の間その女の家に留まるうち、磯次は女と恋に落ち、夜を共にしたという。

江戸に戻ってからも女のことを片時も忘れたことはない。だが、磯次は亡き兄の分も一手に仕事を引受け、何年も会いに行くことができなかった。

そして、気づけば十数年もの月日が流れてしまっていた。

任務で再び信州へ訪れたとき、磯次は道程を変更して女のもとへと向かった。――しかし、その村はひどい有様だった。

磯次は元気でいてくれていると、疑いもせず
すぐに会いに行かなかった自分を責めた。

------

服部磯次に関して、未婚だが息子が一人いたという記述があったが、詳細は不明。

絵:ヒゲモリゲン