イベント/お前ははげではない

Last-modified: 2022-12-11 (日) 08:33:26

シナリオ/色なき世界の見る夢のイベント



紅美鈴
「……ちょっと想像してみてください。
 花の十代、青春時代真っ盛りの若い時分。
 ストレスのあまり毛髪が全て死に絶えた己の姿を」

その場にいた者すべて
「…………ッ!?」

紅美鈴
「はい、笑えなくなりましたね?
 ――はげは呪いなのですよ



ニャルラトホテプ
毛髪死亡遊戯とはよく言ったものだ。代役によって完成した物語の結末とは!」
「そして、真実、君の結末の主役は、君ではない、君が向き合う意味はない、君はここでも脇役だ」
「決着の一言も! その後の未来も! 全ての主役は彼なのだ! 終わった後、彼の美談と語られようともさ!」
「――言い続けた暴言が、たった一度で許される。ハハハハハハ!イージーモードとはこのことだ!」
???
「質は、数に勝る」
「万度の暴言を吐くよりも、ただ一度の謝意が重い人もいる」
たった一度で終わりはしないし、戻りはしない――けれど、言葉の重みも解らぬ輩が、私とあいつを語るな

お前ははげではない~トラジディ・ボルド覚醒戦

エスカ-紅魔館を守護する哀しきトラジディ、ボルドの攻略解説。
発端こそコメディだが、当事者たちからすれば笑えない。
なお、イベント描写はPCがブロントさんではない時のものを採用しているが、PCがブロントさんでも大まかな展開は変わらない。

攻略手順

  • ボルドはエスカ-紅魔館の正門に巻き付いており、モノクローム色の門扉を真っ赤な糸が雁字搦めに固定しているという異様なシチュエーションでプレイヤーを出迎えてくる。
    正門を調べると、ボルドが本性をあらわし戦闘になる。この時点ではボルドは「髪の毛の怪物」という名称。
    例によってHPが低く設定されており(それでもHPは25000前後はあるが)、倒すことでエスカ-紅魔館の中へ侵入できる。ただし「解放」せずに倒すとトラジディの例に漏れず、ポータル間の移動を含めてエスカ-紅魔館の外にでた時点でボルドは再び復活してしまう。
    3回ほど撃破と復活を繰り返すとPCやPTメンバーが「あの髪の毛の怪物をどうにかするべきだ」と独り言ちクエスト「ボルド調査任務」を行なえるようになる。
    PTにブロントさんと美鈴を入れた状態なら1回戦うだけでもOK。この場合、ボルドがブロントさんに異様な敵愾心を見せ、美鈴がそのリアクションから何かを察するという前提となる。

  • クエスト「ボルド調査任務」は
  1. ボルドの正体を探るため、さとり、こいし、神子のうちいずれか一人以上をPTに入れて戦闘を行なう。
  2. その後、PTにブロントさんと美鈴を入れた状態でボルドと戦闘を行なった後、文に話しかける。
    上記の手順で達成可能。



射命丸文
「はげになった怒りで他人の髪をむしり取る妖怪になった美鈴さん、ですか。
 えっと…………暫定的に、ボルドと呼称しましょうか」

紅美鈴
「……あの!! 私だけノリが違うのどうかと思うんですよ!!! ねえ!!?」

射命丸文
「め、美鈴さんを揶揄した命名じゃないです……っ!!」

リューサン
「落ち着きたまえ^^」

紅美鈴
「すごく落ち着いた^^」




命名のやりとりを経て、正式にボルドと呼称されるようになる。
ボルドを「解放」する手段を探ることになるのだが、ブロントさんと美鈴を同じPTに組ませるだけで達成となる。

会話ログ


紅美鈴
「学生の頃、ブロントさんとそういう諍いがありましたからね……。
 おかげでなんとなく察するものはあったのですが」

古明地さとり
(はげ……)
「あっ。え、ええ……そうですね。確かに、そのような記憶が見えました。
 あまり悲惨、ではないよう……な気もしますが」

紅美鈴
「……ちょっと想像してみてください。
 花の十代、青春時代真っ盛りの若い時分。
 ストレスのあまり毛髪が全て死に絶えた己の姿を」

その場にいた者すべて
「…………ッ!?」

紅美鈴
「はい、笑えなくなりましたね?
 ――はげは呪いなのですよ

豊聡耳神子
「しかも、そうなった経緯はあまりにも生々しい……」

汚い忍者
「ナイト様のネガティブキャンペーンが原因、だからな」

博麗霊夢
「はいはい! やめなさい、そういう喧嘩売るようなことは!」

汚い忍者
「……わかってるよ、このブロントがやらかしたワケじゃねえのは。
 だが、ブロントの野郎が紅を散々はげ呼ばわりしてたのは事実だろ。
 それがあのトラジディが発生した原因になっちまった」

ブロントさん
「……」

紅美鈴
「あー、別にブロントさんはプレッシャーを感じなくていいんですよ……?
 私はもう気にしてませんし、言われたって軽口みたいなものですから」

ブロントさん
「いいや生まれながらのナイトである俺にはそうは思えないしログもあるからな・・言い逃れは出来ない」

ブロントさん
「なあみうsず」

紅美鈴
「? ……はい、なんでしょう」

ブロントさん
「俺が思うにおもえがボrヅオだったらどうすればスカッっとするとおもう?」

紅美鈴
「えっと……ブロントさんとその取り巻き全体を恨んでそうなんですよね、あの私。
 ブロントさんだけ倒してもそれでスッキリするかというと……虚しくなりそうだな」



紅美鈴
「……やっぱり、キチンと謝ってもらうことでしょうか」


VS.ボルド

  • BGM:美鈴革命
    攻略√のBADEND1を経た美鈴を核としたトラジディ。
    HPがおおよそ15万あるうえにSTR、VIT、AGI、DEXがバランスよく高い恐るべき毛髪ドラゴン。髪だからなのか火属性が弱点。
    常時1-2回行動で、フラッシュ効果に加えてMPにもダメージを与える単体攻撃『魔拳「禿頭太極拳」』や吹き飛ばし・スタン効果のある全体攻撃『髪符「髪龍尾脚」』など、ネーミングと裏腹に地味に効果がキツい技を多用する。
    HPを50%以下にすると集中ラスリゾ暗黒百烈拳を一気に使用。さらに行動回数が3回となり、通常攻撃のみだが凄まじい勢いで命を削りながら本気でこちらを殺しにかかってくる。
  • 生半可な近接攻撃に対してはカウンターを発動するので、安全にダメージを与えたいなら近接攻撃よりも遠隔攻撃や魔法攻撃がオススメ。
    毎ターンブロントさんへの敵対心が凄まじい勢いで上昇するので盾役に関しては彼に一任した方がいいだろう。
    ただし、ブロントさんを含め誰かが戦闘不能になると蘇生を禁止する『魔拳「毛髪死滅遊戯」』を使用してくるので注意。何とも恐ろしい技だが、別にはげにはならないので落ち着いて状態異常を解除しよう。
    そしてボルドのHPが半減したらインビンシブルやインターヴィーンを駆使し、攻撃をひたすら凌ぐのだ。







ボルド
「カミ……カミ……ッ」
「――ハゲテナイイイイイイイイッ!!」



狂猛な絶叫を放ちながら髪で編まれた真紅の巨龍がのたうつ。
その恨みと絶望を帯びた咆哮は、笑い者にするにはあまりに凄惨な響きがあった。

紅美鈴
「腐っても流石は私……ッ。そう容易くは倒れないかっ!」



――だが、度重なる熾烈な攻撃にボルドの動きは鈍い。

ボルド
「ワタシ……ハッ」
「――ハゲデハナイイイイイイイイッ!!」

ボルドは精魂を振り絞るように、絶望の雄叫びを上げる。
その時だった。

ブロントさん
「「」確かになおまえははげではない!!」
「はげなのは……心が不味しいのは俺だった!」

ボルド
「――ッ!?」



ブロントさんの言葉に、ボルドが硬直する。

ブロントさん
「俺ではない俺がナイトの風上にもおけにヒキョウなふるまいをして美鈴の髪を人工的に淘汰して傷つけたのは間違いなく事実
 おれは腕力も強いしシマでも圧倒的な影響力と人気を得ていたがそれでもやり方があったでしょう?」



早口でまくし立てるようにブロントさんが己を批判する。
それは、今から行なう行為への覚悟を決めるチャントのようで。
――孤高の騎士が、両膝をついてボルドを見上げた。
そして。

紅美鈴
「頭を……ッ」



そのまま、地面に頭を押し当てた。
ボルドだけでなくそれ以外の者たちも少なからず息を呑む。

ブロントさん
「……想像を絶する悲しみがめういrんを襲ったことを考えれば当然のことだと思った」
「カミがほしいならやるし気が済まないならボコボコにしてくれてかまわにい
 俺はリアルでモンク属性なのでそれくらい楽勝」



口を開けばいつもの自慢が挟まる。
苦汗の選択もあったものではない。
だからブロントさんは堂々と言い切ることにした。

ブロントさん
「……本当にすまなかった」



どれだけの時間が経っただろうか。
裁きを受ける咎人のように厳粛に待つ彼に、美鈴が恐る恐る声をかけた。

紅美鈴
「あのブロントさん……消えましたよ」

ブロントさん
「えっ」

紅美鈴
「……トラジディの私、消えてしまいました」

ブロントさんが面を上げる――
虹色の光の残滓だけを残して、ボルドの姿は跡形もなくなっていた。
美鈴は光の残滓に手を伸ばし、何かを拾い上げる。
それは灰色の鉄甲であった。


苦笑いを浮かべながら美鈴はブロントさんに手を伸ばす。
ブロントさんはその手を取り、起き上がった。

紅美鈴
「……どうやらスッキリしたみたいですね」

ブロントさん
「虎自伝になってもみすゞはみ鈴今回のでそれがよくわかったよ>>みすz感謝」

感謝に涼し気に笑みを浮かべて美鈴は返す。

紅美鈴
「それほどでもない」













その日、どこかの世界線で。


正午の陰陽鉄学園の正門。その前に人だかりが集まっていた。
人だかりをリング代わりに、二人の人物が向き合っている。


片方は学園名物の人気者である謙虚なナイト。
もう一方はチャイナドレスの少女。――その頭には、うなじにかけて鮮やかな真紅の髪が生え揃っていた。
少女は腕を組みながらナイトを見据え、口を開く。



紅美鈴
「――私が勝ったら、お前に言いたいことがある」

はげ! はげ! はげ!

ブロントさん
「うるさい黙れ気が散る一瞬の油断が命取り!」



騒ぐギャラリーを一喝すると、彼も思うことがあるようで頷く。


ブロントさん
「偶然にも俺も終わったらおまえに言いたいことがあった」

紅美鈴
「そう? ここで言うのなら外野がうるさいけど」

ブロントさん
「かまわねえくだらん粘着するのは雑魚のやること」

紅美鈴
「……それもそっか」

鼻をこすり、不敵に紅美鈴は笑う。
理由は如何ばかりか、どうやら互いに頭が冴え渡っているらしい。
みょんな諍いさえ抜きにすれば、案外気が合いそうだな、と美鈴は思った。
かといって、まあ。

紅美鈴
「――ログに残ったからね、言い逃れは出来ないわよ」

手心を加えるつもりはないけど。