イベント/勝ったと思うなよ

Last-modified: 2022-12-11 (日) 08:47:33

シナリオ/色なき世界の見る夢のイベント



射命丸文
「特A級ストライダーになった汚い忍者か……なら、ストライダーで決まりね」

汚い忍者
「……」

古明地さとり
「……笠松さん」

汚い忍者
「お、おお。特A級ストライダー、ねえ」
「……すまん古明地。周りには内緒にしてくれ」
「出来の悪い鏡を見せられてる気分だ……」

ニャルラトホテプ
「効率というものは大事なものだ、効率を測るからこそ有意義と無意味を測る事ができる」
「さて、質問だ、彼を救ってやることに意味などあるのかね? 殺し続けて殺して殺して、闇から闇へ、暗闇の果てへと至ったものに」
意味と価値などありはしない!陳腐で退屈な、気怠い午後すら訪れない、憎しみの輪に囚われたものを救う意味など!」


???
「意味や価値なんざ貰ってねえよ」
「ちっとばっかし、欲張る動機を思い出しただけだ」
「ついでに、あの野郎もな」

勝ったと思うなよ~ストライダー覚醒戦

見るものすべてを淡々と殺し続けるトラジディ、ストライダーの攻略解説。
ちなみにイベント描写はPTにブロントさんと汚い忍者を入れ、PCが汚い忍者、ブロントさんではない時のものを採用している。あくまで一例のひとつ。

攻略手順

  • エスカ-博麗神社をのぞく各リージョンには時々モンスターの亡骸が散乱しているポイントが発生することがある。
    このポイントを調べると、ストライダーと遭遇、戦闘となる。
    この時のストライダーはHPが極端に低く(2000程度。LV99帯なのを考えると攻撃が当たれば死ぬ)、回避力も低い。HPを0にすると早々に興味を失って姿を消してしまう。
    ストライダーは特定のキャラクターがいない限り心を完全にシャッタアウトしているため、さとりやこいしがいても考えを読むことができない。
  • ストライダーとの遭遇時、PTにブロントさん、汚い忍者、リューサン、メディスンなどのキャラクターがいる場合、ストライダーは酷く動揺する描写と共にスタン状態になる。
    この状態のままストライダーのHPを0にすると「勝っタ……ト思ウなヨ……」という捨て台詞を残して姿を消す。
    ストライダーとの戦闘後にエスカ-博麗神社に戻ると、ストライダーのモデルが汚い忍者ではないかと憶測が入る。
    この時にさとりかこいしがPTにいれば、後述する調査任務の手間が1回分だけ省けるので入れておくとよいだろう。
  • この一幕を終えると、クエスト「ストライダー調査任務」が発生する。
    内容はストライダーが動揺するキャラクターたちに加えて、さとりやこいしをPTに入れた状態でストライダーと交戦・撃破することを繰り返すというもの。
    ストライダーが出現するポイントは法則性があるので、PTをふたつに分けて出現ポイントを待ち伏せると少し楽になる。
    条件を満たしたうえで撃破する度、前イベントのものを含めてストライダーのものと思わしき独白が流れ込み、累計5回撃破するとクエストクリア。

  • 調査任務をクリアするとストライダーの思考を読み取り、ストライダーの核がやはり汚い忍者であること。
    核となった汚い忍者の素性が特A級ストライダー「汚忍」であり、幾度となく世界を救ってきた英雄であることが発覚する。
    だが世界を何度も救ったとてその心は満たされることはなく、その強い未練がエスカに流れ着いたのだろうとも。
    ……そして、ストライダーとなった理由が親しい人たちの身の安全を脅かされた――脅迫によるものであるとも。
    その話を聞いて、神子は総括する。

神子
「恐らくあのトラジディが動揺したのも……ストライダーにならざるを得なかった遠因を思い出したからでしょうね」
「彼の未練は……あなたがただ」

「ストライダー調査任務」クリア後、ストライダー出現ポイントが発生しなくなり、PTにブロントさん、汚い忍者を入れているとエスカ-陰陽鉄学園の「陰陽鉄学園通りエリア」にある練り物屋「練・笠松」の入り口前にストライダーが佇むようになる。







ストライダー
「…………」

……漆黒のトラジディは、茫漠とした様相で店の入り口の前に立ち尽くしていた。
その背後に軽薄な憎まれ口が投げ込まれる。

汚い忍者
「――よお、いい年こいてホームシックか? ……()

ストライダー
「貴様、ら……は……」

汚い忍者
「ウヒェッヘッヘッヘッヘwww
 …………手古摺らせやがって。巡りに巡って帰郷なんざ青臭くて嫌になるぜ」

ブロントさん
「忍者が世界のメイン盾とか絶対汚い忍者の工作だろ・・俺はこれで忍者きらいになったなあもりにもひきょう過ぎるでしょう?」

汚い忍者
「テメエは本っっ当にブレねえなあ、ブロント……!」

ブロントさん
「おっととジョークのつもりが本気にさせてしまった感」

汚い忍者
「ハイハイ気分を紛らわせてくれたわけね、どうもありがとうってンなわけあるか!
 リラックスするより先に頭の血管が詰まりそうだわ!」

ブロントさん
「おいィ? 高血圧とかこのままでは忍者は骨になるはやく病院にいくべきそうすべき」

汚い忍者
「俺だってそうしたいよ、この世界に病院が開いてればなぁ!?」

八意永琳
「あら、医者ならここにいるわよ?」

汚い忍者
「八意センセ、混ぜ返すのやめてくんね!?」

――突如開かれたコントを黙らせたのは、無言の殺意。
ぐつぐつと煮えたぎるようなどす黒い殺意を纏いながら、ストライダーが漆黒のバイザーに深紅の閃光を迸らせる……。

ストライダー
「素人、が……!」
「誰のおかげで……安穏とした生活を送れてると……」
「思っていやがるッ!!」

汚い忍者
「……知らねえな、それがお前の辞世の句ならその程度だろうよ」
「少なくともここにいる連中に関しちゃお前のお陰じゃねえな」
「第一、誰とも知らない赤の他人に盾を任せるなんざ非効率もいいとこだ……!」

ストライダー
「……ククク、はははは」
「ク、ヒャ、ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ……!!」
「それこそ! お前の辞世の句ならその程度だろうよォ……!」

ブロントさん
「忍者がまt

汚い忍者
「お前はちょっと黙ってろブロント」

ブロントさん
「忍者はおもえがいうなという名言を知らないのかよ。
 あいつは忍者だがあんもなるまで盾役やってた事実こそが本物という事実だと認めるべき。
 あと悪口は名誉毀損で犯罪行為だからないい加減あいつのバカみたいにヒットした頭を冷やすべきだとおもった(正義)」

汚い忍者
「……チッ」
「こっちだって思うことくれぇあるんだよ」

舌打ち気味に吐き捨て汚い忍者はもうひとりの自分を目線越しから睨む。
守るためと己を欺き、PTを信用できなかった不愉快な鏡像を。

ストライダー
「笑わせるじゃねえか、アマチュア風情が……俺を倒せると思ってんのか……?」

ストライダーの嘲笑に、汚い忍者も挑発的に口の端を釣り上げる。

汚い忍者
「……試してみるか? 俺だってSHIELDのエージェントだ」

ストライダー
「笠松ノブオ……!」

汚い忍者
「ストライダー『汚忍』……!」




『――貴様にそんな玩具は必要ない』



VS.ストライダー

  • BGM:影をもたらす者 ~ハーデス前哨戦~
    忍びの道を往く者でBADENDを経た汚い忍者の成れの果て。
    HPは12万前後。STRは平均的でVITは低いもののAGIと物理回避が非常に高い。
    攻撃手段に低固定ダメージの多段ヒットを叩き込む『魔剣「汚れたグラム」』など、ストライダー飛竜を意識したスペルカードを使用するが性能は全く別物。
    エスカのボス敵としては珍しく1回行動だが、加速スキルを「超光速」まで取得しており、加速スキルの効果で得た追加行動によってヘイトを無視してHPが最も低いキャラに追撃を加え、空蝉が少なくなっているなら『忍符「汚れた空蝉」』を行使し、空蝉を5枚まで補充する。
  • 追加行動を除けば1ターンに1回しか行動しないが、ストライダーは貼られている空蝉の数分、行動回数が増加するという特徴を持つ。つまりストライダーは実質2-7回行動してくるのだ。
    蝉を張る関係で最初のターンは実質1回しか攻撃してこないので、敢えて後手を取って蝉を剥がすように立ち回り少しでも手数を減らすように努めること。攻撃が当たらなくても蝉は消える。
    戦闘参加者全員の加速スキルを「神速」まで成長させれば追加行動は発生しないが、常にストライダーの先手を取るため却って不利になるし同じくらいの労力でシナリオがクリアできる。
    なお、PTにメディスン・メランコリーがいる場合、単体攻撃では絶対に彼女を狙わない。
  • 前述のように物理回避が高く、加速スキル「ラウンドトリップ」のせいで必中攻撃も普通に回避してくるため、余程命中が高くないと安定しない。
    逆に魔法に対しては平凡なので魔法攻撃を主体にすると比較的当てやすいだろう。
    幸い回避率ダウンは通じるのでディストラやインデトルーパーを使用すれば物理攻撃もそれなりに当てやすくなる。その上でフルブレイクやJAのフェイントなどを叩き込めば逃げ切られる心配はなくなる筈だ。
    だが攻撃の勢いが苛烈なので地道に布石を張る時間はない。命中率はボスとしては平均的だし、ダメージそのものは低いが手数がとにかく多いのだ。アートマの補強もある程度吟味したい。








――ストライダーが、地を馳せる者が地に這いつくばる。
自身の敗北を認められないのか……不思議そうに呟いた。

ストライダー
「なんでだ……?」
「俺は、間違えてたのか……?」

……そんなことはない筈だ、とストライダーがボヤく。

ストライダー
「ブロント、メメ子……親父……雛……パルスィ……不破……」
「こうすりゃ、誰も傷つかなかったんだ……それで、正しかった……」

そうすれば、目の前で誰かが傷つくことなんてなかった。
重傷を負った父親、あいつ(・・・)になすすべもなくやられた好敵手。
その姿を見て、あの時決めたはずだ。

ストライダー
「地獄みてェな訓練を生き延びて、世界を何度も救って……」
「なんで、こうもスッキリしねえんだ……?」

静観していた嘗ての好敵手はストライダーに語りかける。

ブロントさん
「……忍者の言い分は「」確かになとみとめているが「忍者が望んだ事ではない」という意見
 そんななで無理やり盾をやってもストレスで寿命がマッハになるのは確定的に明らか
 地位と権力にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?
 ……お前あyせ我慢が過ぎてた結果だよ?」

ストライダー
「…………」

汚い忍者
「相変わらずの出しゃばりには業腹だが……このバカの言うことは概ね正しい」
「どうもお前は何でもかんでも一人で解決しようとしやがったみてえだな。
 ……たった一人でPTが成立するわけがねえのによ」

一息吸い込んで、告げる。

汚い忍者
「第一」
「……俺が知っている連中は、お前が思ってるより弱くはねえよ」

ストライダー
「……お前は……あったのか?」

汚い忍者
「……――」

ストライダー
「本当に、背中を預けられる……だけの……」

ストライダーが絞り出すように問うた時だった。
忍者は突然呵呵大笑と笑いだす。思い切り露悪的に。

汚い忍者
「ウヒャヒャヒャヒャッヒャwwww……はぁ」
「……ンなこと恥ずかしくて教えられるか」

煽り倒すように嗤って、静かに呟く。
そんな当たり前のことを教えてどうするのか。
それが答えとでもいうように。

ストライダー
「ク、ククク……最初っから勝ち組かよ……全く……」
「――汚ねェなあ……」

苦笑と称賛混じりの恨み節を残して、ストライダーは消滅する。
――彼が使っていた灰色の片手剣を残して。
それを拾い上げて、汚い忍者は呟いた。

汚い忍者
「ケッ……汚いは、褒め言葉だ」

――センチメンタルにボヤく忍者に迫る「不意だまメガトンパンチ!」
それを空蝉に押し付けながら、汚い忍者は血管を浮かべて頬をひきつらせた。
……が、実際にブロントさんは剛腕を放ってはいなかった。寸止めである。

汚い忍者
「……テメエ人が疲れてる時になんだ?」

ブロントさんが口の端を二ッと釣り上げて笑う。

ブロントさん
「忍者がセンチとか(笑)」

言葉こそ煽っているが、その笑みは忍者を皮肉るようにも、労うようにも、称賛するようにも……いや最後はあり得ないか。
とにかく柄でもなくアンニュイな汚い忍者を彼なりに慮っているのはわかった。

汚い忍者
「ハッ」

……これまでもこれからさきも、お互いが素直に褒めたたえることなんざ滅多にないだろう。
どうやっても悪童みたいなノリでギャアギャア騒いでいくのだ。
青春時代の思い出を一瞬だけ懐かしみ、汚い忍者は負け惜しみのように吐き捨てた。

汚い忍者
「勝ったと思うなよ・・・」

ブロントさん
「もう勝負ついてるから」













その日、どこかの世界線で。


――忍者の言い分は「」確かになとみとめているが「忍者が望んだ事ではない」という意見


男は、物思いに耽っていた。
唐突に脳裏に浮かび上がった、好敵手の言葉を反芻していた。



飛竜
「任務……完了」

同僚の言葉に意識が引き戻される。
そうだ、任務をたった今完遂したばかりではないか。

笠松ノブオ
「任務、完了……」

特A級ストライダー「汚忍」は取り繕うように復唱した。
だが、その態度を訝しんだか飛竜が尋ねる。

飛竜
「どうした、ノブオ? この任務は終わった。次は、新しい任務だ」

――そうだな。いつも通りだ。

笠松ノブオ
「ああ……」

任務、任務……また任務。終わりのない日々だ。

飛竜
「ストライダーズが国家に必要とされている限り、我らストライダーに休む日が来ることはない。
 そして、ストライダーズがなくなることも」



―ーその事実に、嫌気も差さないほど理解しているはずだった。
だから、ノブオもその通りに倣うはずだった。――普段通りなら。


――忍者の言い分は「」確かになとみとめているが「忍者が望んだ事ではない」という意見


乾ききっていた男の心に、毒の一滴が落ちた。





飛竜
「……何のつもりだ、ノブオ」

笠松ノブオ
「見ての通りだよ、飛竜」

殺気立つ飛竜を前に、ノブオはリラックスしていた。
実力も、装備の損耗も五分五分。
いや……

笠松ノブオ
「ホームシックに罹っちまったらしい」
「有給休暇くれよ。俺が死ぬまでな」

動機(・・)の分でこっちが少し勝るか。

飛竜
「ストライダーズを裏切るか、貴様らしくもない……」

笠松ノブオ
「へへへ……無理やり就職させられたようなもんだからな。ブラックすぎるんだよここ」

飛竜
「戯言を……裏切り者に明日はない。……死ね」

笠松ノブオ
「やだね……俺は、生きてやる」
「そろそろ欲張ってもバチは当たらねえだろ!」







剣戟の音が、響く。


世界の敵を滅ぼし、ストライダーズの裏切り者を滅ぼし、冥王を滅ぼし……
――そして、残るストライダーズの生き残りをも滅ぼし、闇の中に消えた元特A級ストライダー「汚忍」。
その行方を知る者はいない――。