シナリオ/色なき世界の見る夢のイベント
- レミリア・スカーレット
- 「今が一番いいからと時間を止めた……さしずめ、お前はファウストね」
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「幸福を永遠のものにしたいからこそファウストは"時よ止まれ"と叫んだのに。
ふふっ……足を引くために時間を止めるなんて、片手落ちではありませんこと?」
- 十六夜咲夜
- 「己の至らなさに苦しむメイドがいるなら、それを教え導くのがメイド長の役目です。
その相手が偶々自分だったというだけのこと」
- ニャルラトホテプ
- 「瀟洒?清楚?イヤイヤイヤ、あれは道化だろう? サーカスのピエロ――いや、ジョン・ゲイシーが如き異常者だ!」
「静止したものしか愛せない! 変わるものを信じられない! 静止した時の中でしか、彼女は安らぎを得られない!」
「それに、凍った時間を溶いたとて、十六夜咲夜の時間にあるものは」
- ???
- 「黙りなさい、混沌。永劫に嗤い続ける哀れな道化」
「私は、私に思い出させられた、変化の美しさを。代わり、進むもの尊さを」
「……忘れていたのよね、私が、幼稚園の副園長だったことも。自分だけしか、見えなかった」
「――あの子達にも、謝らないと。みんな、立派に進めたかしら」
眠りゆく時間の流れごと全て~トラジディ・ファウスト解放戦
エスカ-紅魔館の時を凍てつかせているトラジディ、ファウストの攻略解説。
ダンジョンのギミック解説も同時に兼ねているので他のトラジディに比べて攻略手順が細かい。仲間たちのヒントを聞き逃さず耳を傾けよう。
攻略手順
- ファウストはエスカ-紅魔館の内部を彷徨っており、彼女と戦うには館内に入らねばならない。
だが中庭はファウストの力で迷宮と化しており、スタート地点の先は下図のような8方向のルートで繋がった正方形のエリアがいくつも繋がっている。
また、スタート地点の壁に「正面玄関への暗証番号」という4桁の数字が刻まれた液晶パネルが埋め込まれている。これは玄関口を解放するために必要になる。しかし詳細は後述するが覚えなくていい。
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/|\ - そして、正しい順にルートを進まねばスタート地点に戻ってしまう。他のゲームタイトルでいうと迷いの森。
スタート地点の端に日記が落ちており、それがヒントとなっている。気付かなくとも何回もスタート地点に戻されるとPTメンバーが日記に言及してくれる。
日記は2日分のスケジュールを記述した内容で12:00からスタートし、1日後の24:00までの工程が記述されている。
この時刻は12:00(24:00)なら1:00(13:00)~2:00(14:00)なら北東、北東、3:00(15:00)なら東……というように方角に対応しており、時刻に対応する方角を全て通れば玄関口まで移動できる*1。
玄関前の大扉はロックされており、4桁の数字の暗証番号を求められる。スタート地点で覚えた4桁の数字を入力すればいいのだが、絶対に通らない。
「暗証番号を忘れた場合は中庭入り口まで確認されたし」と注意書きが書いてあるのでスタート地点まで戻ると、暗証番号の数字が変わってしまっているからだ。
この暗証番号の数字は実はゲーム・PC本体の設定時間と同じになっている。つまり現在の設定時間が20時50分なら2050となる。道中はどれだけ急いでも1分はかかる長さなので覚えた通りの数字を入力しても通らないのだ。
何回も失敗するとPTメンバーは「入り口の暗証番号の数字が確認する度に微妙に変化してる」「変化する数字に何かしらの規則性があるはずだ」
「この暗証番号の数字、デジタル時計の数字みたい」「でもエスカの時間って止まってるし……どこと連動してるの?」と失敗回数に応じたヒントをくれる。
中々意地の悪いパズルだが、種がわかればあっという間だ。
- 館内に入ってすぐにスタート地点に繋がるポータルがあるのでアクセスしておこう。これで館内とスタート地点を行き来できる。
奥へ少し進むと、このリージョンの時空間を滅茶苦茶にした犯人であるファウストが出現。攻略班を追い出そうと粘着してくる。- 開幕早々ファウストは「絶対回避」を使用して物理攻撃を全て回避する。
ならば魔法攻撃を当てればいいと魔法を使ってもこの時のファウストは「魔法バリアEX」を得ているため無効化してしまう。
3ターン経過するとファウストは戦闘を中断し、攻略班の行ないを無為だと窘め――時間を止めて立ち去ってしまう。ちなみにこの戦闘は館内に入るたびに発生する。
- 開幕早々ファウストは「絶対回避」を使用して物理攻撃を全て回避する。
- 最初の戦闘中断と同時にPTはエスカ-博麗神社に戻ることになり、同時にクエスト「ファウスト調査任務」が発生する。
ファウストの正体に関しては「時間を操れるメイド」の時点で時既にバレバレ――十六夜咲夜だろう、と有名税がプラスに働きアタリをつけられる。
次に咲夜がトラジディの核となったホワイダニットを探らねばならないのだが、ファウストとの遭遇時にPTにさとり、こいし、神子たちがいてもファウストの心(欲)が読めないと匙を投げられてしまう。ファウストは時分の心を凍り付かせており、そのため心(欲)を読み取ることができないと語られるのだ。妖夢からは心の時間を止めたことで無の境地に至ったとまで言われる。 - そして館内にホワイダニットの手がかりとなるアイテムがないか探し出すことに。なお、「肝心のアイテムを手に入れてもそれをファウストに知覚されたらおしまいなので、時間を止められる自分も同行する(意訳)」と咲夜をPTに入れることを求められる。
ファウストが立ち去った後、空間の歪んだ館内を散策し、アイテムを探し出そう。てゐなどがPTにいればそのエリアにアイテムが何個あるか教えてくれる。
館内は複雑に入り組んでおり迷いやすい。無駄な接敵を避けるためスニークなども用意しておこう。 - 館内の一室、現実世界では咲夜の私室だった場所の机にそのアイテムは置いてある。PTに咲夜を入れていないと「ファウストに気づかれた後が面倒だ」というメッセージが挟まれて入手できない。
咲夜をPTに入れた状態で部屋の前に行くと咲夜は単独でアイテムを回収しに行き、PTは先にエスカ-博麗神社に帰還する。
まもなく咲夜が戻り「誰かの日誌」――"ファウストになってしまった咲夜の日記"を入手。彼女の無念、未練を紐解くことができる。
- 日記の内容は咲夜√におけるPCとの邂逅から自分が変わったことに戸惑い、その変化がこれまでのアイデンティティの瓦解を招き、それに苦しむものまでを描いたもの。
SADENDに至るまでのダイジェストである。
- フランドール・スカーレット
- 「咲夜も……悩んでいたんだ、ね」
- 十六夜咲夜
- 「ご配慮を賜り、ありがとうございます妹様。
……私とて青い時分なら、このような悩みも抱くことがあるのでしょう」
- レミリア・スカーレット
- 「少しくらい悩みがある方が、愛嬌があっていいものよ?」
「でも、ある程度察しは突いたわね。あいつの根っこは……」
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「――考えすぎてダメになっちゃった咲夜ってことですね、後輩なお姉様?」
- レミリア・スカーレット
- 「そうよ、可愛くない方のフラン。……なんでアンタが咲夜より不機嫌なのさ」
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「うーん? こういうのって他人が言わないと気づかないんだなーって。
……今更痛感したところです、うふ」
- フランドール・スカーレット
- 「大人の方のわたしは置いておいて……咲夜、どうする?」
- 十六夜咲夜
- 「まず、あの者の止まってしまった時間を動かせねばいけませんね」
「――話はそれからです」
PTに咲夜を入れてエスカ-紅魔館の館内に侵入すると、ファウストが再度出現。
仮面越しから呆れる表情を浮かべるファウストだったが――
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「じゃーん☆ これって、なんでしょうか」
掲げられた日記を見て、仮面のメイドの動きが若干硬直する。
- レミリア・スカーレット
- 「悪いけど、少し閲覧させてもらったわ」
「なんでかって? ――従者のコンディションチェックは主の役目だからよ」
- フランドール・スカーレット
- 「そうだよね? ――咲夜」
- 十六夜咲夜
- 「『今』から変化できないことを畏れて、時間よ止まれと願った……
なるほど、貴女は確かにファウストね」
――仮面の奥の眼が見開かれた。
- ファウスト
- 「……!」
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「幸福を永遠のものにしたいからこそファウストは"時よ止まれ"と叫んだのに。
ふふっ……足を引くために時間を止めるなんて、片手落ちではありませんこと?」
20代のフランドール・スカーレットはおかしそうに笑いながら――目は笑っていない。
琴線に引っ掛かったのだろうが――その大人げなさに溜息をつきながらレミリアはファウストを見やる。
- レミリア・スカーレット
- 「その"幸福"の基準がわからないから、時を止めるしかなかった。
……咲夜も人間だったのに、私たちが過信し過ぎたのが事態を引き起こしたのかしらね」
- 十六夜咲夜
- 「時の流れの前には、『過去』も『今』も『未来』も否応がなく変化します。
時間を止めたとしても、止めた者の意識は常にその流れを受け続けるのです。
……止まっていると思い込んでいるだけで」
- ファウスト
- 「……私は疲れてしまったのです。流れる時間の忙しなさに」
「思い込みだとして、動かない時間の刻み方を私は知らない……。
構わないでくださいませ。私は……」
- 十六夜咲夜
- 「許しません」
瀟洒な態度を崩さず、しかし言葉に強い圧を乗せて咲夜は断言する。
- 十六夜咲夜
- 「たとえトラジディだろうと、"私"はレミリアお嬢様に仕えるメイドです」
「行動、思考、態度、配慮……」
「メイド長として――"私"がその姿をしている限り、どれひとつとして放棄することなど許さない」
それは。十六夜咲夜が十六夜咲夜であるがゆえに。
『私』が『私』である『目的』。なるほど、それは深淵なる沼のような哲学だ。
それに対する完全なる答えを『未来』の十六夜咲夜は知らない。
だが、『私』を構成しているのは私だけではないとしかと言える。
レミリアお嬢様をはじめに、『十六夜咲夜』を形成し続けるのはあらゆる出会いが生み出す『未来』だ。
得難い人もいる。相容れ難い人もいる。どのようなひとびとであれ、彼らと関わった経験が『今』の自分を築いたのだ。
時を止めたとして、それらとの『過去』は消えない。時間が止まっても「消える」わけではないのだから。
- 十六夜咲夜
- 「"私"は『変化』することを畏れているのだと、私は考えますわ」
完全で瀟洒な従者は、冷然とナイフに手を添える。
後ろでは主人たちが肩をすくめて武具を構えていた。
- 十六夜咲夜
- 「構えなさい、トラジディ・ファウスト」
「人間は、一生を終えて死ぬものですよ。時を止めて、死なないままの幻想に浸るなんて私は許さない」
VS.ファウスト
- BGM:Dial Connected
攻略√におけるSADEND後の咲夜を核としたトラジディ。
未練を当てられた動揺によるものか、それまで完璧だった所作に乱れが生じており「魔法バリアEX」が消滅している。
常時2-3回行動でHPは9万5000程度。DEX、AGI、物理命中、物理回避が高く、それ以外は平均的。
(今までの周回で順当に育成しているなら)咲夜もDEXと命中・飛命が高いので拮抗するように戦えるが、不安なキャラはデバフを与えたり魔法攻撃や「必中」のプロパティがついた攻撃を駆使しよう。
また、オリジナルの技として状態異常に応じてダメージ回数が増える『虚無「ヴァニティタイム」』、強力なヘイストとリジェネを付与する『歪時「リジェネレイションクロック」』などを使用。自己強化はディスペルやフィナーレなどで打ち消しておこう。 - 最初のターンでファウストは全体にストップを付与する『「ホロウワールド」』を宣言する。これに対して同一ターンで『幻世「ザ・ワールド」』か『「咲夜の世界」』を宣言した場合、効果が相殺される。
戦闘開始時、咲夜のTPが+100%されたうえでそのことを咲夜が言及するので『「咲夜の世界」』を宣言しよう。相殺中のターンの間はファウストの物理回避は0まで減少するが、SPアビ「絶対回避」で抵抗してくる。
その間は物理キャラは必中攻撃かバフに務め、それ以外は魔法で叩きのめすといい。
相殺時間が終わるとダメージが大きい『速符「ルミネスリコシェ」』を、最後の行動で必中全体攻撃『空虚「インフレーションスクウェア」』を使い始める。
前者は盾役が受け、後者は回復手段で対処。後衛でも万全なら3回連続殴られただけでやられはしないので余裕はある。
HPが35%以下になると最後の行動で必ずラストワードとして『「デフレーションワールド」』を宣言。次のターンに使用してくる。
ヘイトを稼いだ盾役がインビンシブルを切れば息切れした喪服メイドが残る。咲夜の特殊ラストワード『次元「ディメンションスクウェア」』を使ってPT一同で畳みかけよう。 - なお、必中攻撃はどうしようもないがデバフとしてフラッシュ推奨。グッと楽になる。
ファウストが肩を抑え、膝を付く。
- ファウスト
- 「全ての時間を凍らせれば、過ちも、不安も、喧騒も……」
「……何もかも、感じなくてもいい。恐れなくてもいい……」
「何も、考えなくていい……」
- フランドール・スカーレット
- 「だけど……希望も、幸せも感じなくなってしまう。
……"待て、しかして希望せよ"、よ。ファウスト」
咲夜が跪いて、肩を震わせるファウストの仮面を取る。
その素顔は目の前の咲夜よりあどけない……変化への不安に凍える少女だった。
- ファウスト
- 「……私は、どうすればいいの?」
- 十六夜咲夜
- 「己の至らなさに苦しむメイドがいるなら、それを教え導くのがメイド長の役目です。
その相手が偶々自分だったというだけのこと」
そして、レミリアたちの方を振り向く。
- 十六夜咲夜
- 「ですので……御許可を。お嬢様方」
「少しだけ躓いてしまった、過去の私にチャンスをください」
世界線を違えど、従者の絆は変わらない。
返事は一瞬だった。
- レミリア・スカーレット
- 「許すわ、咲夜。手取り足取り教授なさい」
- 十六夜咲夜
- 「ふふ。ありがとうございます、レミリアお嬢様」
そして、咲夜はファウストの手を取り呟いた。
- 十六夜咲夜
- 「"咲夜たちの世界へ"」
こちら側から見て、時が止まったのは一瞬だった。
止まった時間の中で、咲夜は幼い頃の自分の話を聞きながらそれに懇切丁寧に応じる。
不安の正体を。取り除き方を。
どれだけ完璧であろうとしてもやはり人間らしさは顔を出すもので。
悩み、迷い、不安に思うのは当たり前であることだと。
『変化』を受け入れることは、けして悪くはない――少なくともそのような環境にいることを咲夜は知っているから。
そうやって凍り付いた心を解いてゆく。
止まった時間の中で、何時間でも何日でも――
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「子どもがわからないところを教えるのが、大人の役目、か」
「ふふ。やっぱり咲夜は、十六夜先輩だなー」
- フランドール・スカーレット
- 「せ、先輩ってそんなに特別なものなのね……」
- フランドール・スカーレット(AS)
- 「うふふ♪ 私がいう"先輩"は、"フランドール"が本当に好きになった人だけよ?」
- フランドール・スカーレット
- 「えっ。えっ――ひゅひ……っ!?」
- レミリア・スカーレット
- 「平行同位体同士で漫才するなー。……終わったわよ」
カーテシーと共に咲夜が一礼する。その手に握られていたのは……ファウストの使っていた片手刀。
ファウストの姿はなかった。
咲夜は涼やかに淡く微笑む。
- 十六夜咲夜
- 「終わりましたよ、レミリアお嬢様、みなさま」
「お時間を戴きありがとうございました」
- レミリア・スカーレット
- 「1秒もかかってないからいいのよ。――それで、どうだった?」
- 十六夜咲夜
- 「ええ。上達に真摯で、学習に貪欲である姿勢は――あの人のようで」
「ご期待に沿えたかと思いますわ。ふふっ」
- レミリア・スカーレット
- 「お、おおう。そう……」
- 十六夜咲夜
- 「さ、一旦戻りましょう。
長丁場でしたからね、霊夢に調理場を借りて何か軽食を作りましょう」
- レミリア・スカーレット
- 「わおー。全員分は骨が折れそうね……まあでも」
- 十六夜咲夜
- 「ええ。時間の止め方は、こういう時が一番助かるのですよ」
その日、どこかの世界線で。
張り詰めた薄氷が暖気によって解けるように――止まっていた時間が緩やかに動き出した。
久々の時間の流れを感じて、十六夜咲夜は思わず膝から崩れ落ちかけた。
抱きとめたのは――
咲夜が凍り付かせた『今』に巻き込まれた"彼"。
その手の繋がりも、眼差しも。
それによって変化する『何か』が怖くて、眠らせ続けたもの。
身体の動かし方を忘れたように、体が言うことを聞いてくれない。
――だけど、意識すれば硬直は徐々に柔らかくなる。
夢の中で『私』が教えてくれたように――この感情と向き合わなくてはいけない。
『過去』も『今』も『未来』も動き続ける。
それらが『私』を決め続けるのだと。
勢いでホルスターからひとつ、零れ落ちた銀色を流れるように拾い上げて。
咲夜はいつになく緊張した『彼』と向き合う。
さあ、眠らせていた時間の流れを、今ここで始めましょう。