シナリオ/ヴォヤージュ2009-バックトゥザフューチャー

Last-modified: 2023-04-12 (水) 01:55:20

イベント名

ヴォヤージュ200⑨-バックトゥザフューチャー ~ Episode Remilia

概要

シナリオ傾向:シリアス[高] コミカル[高] ほのぼの[有] 恋愛[有] 欝、人死に[有] 百合、大統領ネタ[無]

登場人物関係:登場人物の制限[] キーキャラクター[レミリア・スカーレット] 敵対キャラクター[]

攻略関係:イベント発生時期[2009年] 総所要日数[] 他シナリオとの平行[一部可能] 戦闘難易度[中~有頂天] 攻略中ヒロインの関与[有]


運命とは後だしの予言と何も変わらない。
何かが起こった後、こう言えばいい。

 

「全部運命だった」と。

 

発生条件

特定の条件を満たし、レミリア√のSADENDを迎える
このシナリオはレミリア√のSADEND、その続きとなるシナリオでレミリアをシフト主人公に於いた内容となっている。
直接の続きとなるため、ネタバレに多分注意。

初めに

PCの死を覆す為に、タイムマシンで過去を遡るレミリアであったが、
時間遡行の最中のトラブルで記憶を失い、2009年のネ実市に流れ着くという展開から始まる。
偶然紫に発見され、保護されるものの、自分の名前以外は何者なのかすらわからない状況。
同じ名字という事で興味を持った紫の紹介でスカーレット家に引き取られ、学園に転入する事に。
自分の名前以外で、唯一記憶に残る「とある人物」の名前を手掛かりに、レミリアは自分自身の記憶を取り戻す為に奮闘していくことになるが…
基本的にはGSの攻略だが、攻略対象は「SADENDを迎えていた時に選んだPC」で固定されている他、独自のストーリー展開、ENDとなっている。

 

なお、レミリアのレベルやステータス、スペルカードはSADENDを迎えた時の内容を引き継いだ状態でスタートする。変則的ではあるが、タイムスリップシナリオなのでレベルキャップはすべて解放済み。
シナリオの全体的な戦闘難易度が高く、POPする敵のレベルが最初からある程度の高さに設定されているため、レミリアのレベルが低めだとレベリングだけでも一苦労する。

シナリオ限定のパラメータ・能力

  • 記憶値
    日常パートの右上に常に表示されるゲージ。数値はパーセンテージで表現される。
    レミリアが喪失した記憶の回復状況を示し、回復状況によって行動範囲や選択肢が解禁される他、シナリオの進行状況の指針となる。
    記憶値にはPC(攻略対象)に関する記憶自分自身に関する記憶レミリアの周辺人物に関する記憶の三つがあり、
    それぞれ対応する人物(攻略対象や周辺の人物)と関わる、シナリオが進展するごとに回復する。
  • 「運命操作」
    • レミリアの能力「運命を操る程度の能力」
      このシナリオでは、戦闘コマンドの「運命操作」は中盤まで使用できない。代わりに能力の片鱗がパッシブスキルという形で常時発動している。
    • シナリオ開始時はアイテムドロップ率に10%のボーナス。
      話を進むごとに、命中率・回避率+10%,レアアイテムドロップ率+10%と少しづつ強化されていく。
      そして中盤時のあるイベントを見ると、戦闘コマンド「運命操作」が開放される。また、能力が変質したことで、メニュー画面にも「運命操作」が追加される。
    • メニュー画面における「運命操作」
      エンカウント率といったゲーム全体の確率や数値をある程度変更できるようになる。所謂デバック機能に近い。
      ただしキャラの友好度・好感度といったレミリア自身が育むべき要素の変更はできない。
    • また、1回操作する度にデメリットとして最大HPが500減少する。
      残HPではない。回復アイテムをいくら使っても減少した最大HPは元には戻らない。

主要人物

  • レミリア・スカーレット(未来)
    序盤の初期スキル
    名称Lv/ランク説明
    両手槍*1記憶を失っても、体は技術をある程度覚えている
    格闘術
    射撃
    黒魔法3パチュリーから興味を持たれる程度には魔法の才がある模様
    投擲4弾幕を槍状に変形するほどの勢いでブン投げられる
    突・闇属性攻撃+-その技の多くは貫くこと、もしくは闇系の力に特化している
    オートリジェネ(強)-傷の直りはかなり早い
    剛力-木をなぎ倒す程度には怪力持ち
    見切り記憶を失っても、体は動きを覚えている
    話術1記憶がはっきりしていないため、ボンヤリしている事が多い
    加速超音速瞬きする時間で学校のグラウンドを駆け抜けられる……模様
    容姿美少女幼さを残しつつも、清楚な美しさを湛えた容姿。アンニュイな佇まいが儚げ
    性格努力家記憶を取り戻す為に頑張ってます
    純真まっさらな状態なので…
    精神覚悟完了記憶を失う前、重大な決断を下した。それは朧げながら覚えている
    機械工学3知識としてなら有している
    生物化学3
    調理下手くそ料理自体ほとんどやったことがない
    オーラカリスマ自然と周りを惹く雰囲気を持つ
    中心人物シナリオの、という意味では中心人物
    学業優秀幸運にも一般常識や学力まではロストしていなかった
    カルマ0記憶を失っている。ある意味純粋な状態
    水泳-5ここまでくると弱点のひとつか
    0果たして今の境遇は幸運なのか、それとも不幸なのか…
    食通-味にうるさいという事は自分でもわかっている
    紅茶党-紅茶が好きだったようだ…
    身軽-体育で注目される程度の身軽さ
    キャラ限定???
    運命操作
    ???
    中盤の初期スキル
    名称Lv/ランク説明
    両手槍*2記憶が戻ったことで、勘も完全に取り戻した
    格闘術
    射撃
    黒魔法パチュリーから興味を持たれる程度には魔法の才がある模様
    投擲4弾幕を槍状に変形するほどの勢いでブン投げられる
    突・闇属性攻撃+-その技の多くは貫くこと、もしくは闇系の力に特化している
    オートリジェネ(強)-傷の直りはかなり早い
    剛力-木をなぎ倒す程度には怪力持ち
    見切りこれまでのトラブルの解決によって、動きにも磨きがかかっている
    戦術眼伊達に未来で社長をやってない
    話術5記憶を取り戻した事と周囲への順応の結果
    加速超音速瞬きする時間で学校のグラウンドを駆け抜けられる
    容姿美少女幼さを残しつつも、清楚な美しさを湛えた容姿。かなり凛々しい印象になった感
    性格努力家現在の状況に至るまでにも相当な努力がある。他者に色々な葛藤を背負いこみがち
    精神覚悟完了失った大切な人の運命を捻じ曲げる為に…
    機械工学4未来から持ち込んだ知識
    生物化学4
    調理下手くそ料理自体ほとんどやったことがない
    オーラカリスマ自然と周りを惹く雰囲気を持つ
    中心人物シナリオの、という意味では中心人物
    指揮昔(?)とった杵柄
    学業優秀学業はきっちり取り組んでいる
    カルマ0記憶が戻っても、立ち位置はあくまでニュートラル
    水泳-5ここまでくると弱点のひとつか
    0果たして、この時代に迷い込んだことは幸運なことだったのか…
    食通-これまでの生活から、味にはうるさい
    紅茶党-某提督ばりに紅茶が好き
    身軽-体育で注目される程度の身軽さ
    キャラ限定運命操作運命を操る程度の能力。本人すら御することができない不確定な力
    シナリオの主人公。
    記憶をロストして倒れていたところを学園長に保護され、彼女の配慮という名の悪ノリによりスカーレット邸に引き取られる。
    現代のレミリアと区別する為、大きい方のレミリア、レミリア(大)等と呼ばれている。本人達からは不評。
    レミリア(幼)「つまり私の方は小さいって言いたいのか?」レミリア(大)「…他に言い様はなかったの?」
    記憶喪失になったためかシナリオ開始時はぼんやりしており、どこか頼りなさげ。
  • 攻略対象
    ブロントさんから餡刻までの主人公勢。その中から「SADENDを迎えていた時に選んだPC」が攻略対象として選択される。
    レミリア√の過去の話なので、どのPCでも園児のお世話で幼稚園に頻繁に通っている。
    レミリアの記憶にある「とある人物」のようだが…。

    この「とある人物」とはレミリア√で死亡してしまったPCのことである。
    攻略対象…PCと関わり、記憶を取り戻しながら、未来にて起こってしまった彼の死を修正する事がシナリオの最終目標となる。

周辺人物

  • レミリア・スカーレット(現代)
    現代のレミリア。所作にカリスマが滲み出てるが、まだまだ幼稚園児である。
    自分とそっくりなレミリア(大)を見て、隠し子か何かと勘違いしたらしい。
    ファイナル幼稚園にお手伝いに来るPCの事を少なからず気に入っている様子。
  • フランドール・スカーレット
    レミリアの妹で最終鬼畜妹様。元気いっぱいにレミリア達を振り回す。
    レミリア(大)のことは「大きい方のお姉さま」と呼ぶ。
  • 十六夜咲夜
    完全で瀟洒なメイドさん。シナリオ開始時からPTに誘える心強い戦力。
    レミリア(大)に対して主の命により、なにより学友として何かと世話を焼いてくれる。
    が、仕える主がそのまま成長したような彼女の容姿に少なからず戸惑っている模様。そりゃ本人だし…
    レミリア(大)が相手でもたまに忠誠心が鼻から滲み出るがその辺りは御愛嬌。
  • パチュリー・ノーレッジ
    動かない大図書館ことレミリアの親友。序盤にてPTに誘えるようになる。
    話しかければ魔法関連の訓練に付き合ってくれる他、アイテムの合成やスクロール、錬金術で作ったアイテムの販売を行ってくれる。
  • 紅美鈴
    ファイナル幼稚園の門番。パチュリー同様序盤にPTに誘えるが、門番の仕事があるので積極的には誘えない。
    話しかけると愚痴をこぼしたり、相談や悩みを聞いてくれる。ただし、あまり話し過ぎると咲夜さんに怒られるので程程に。

攻略

序盤

  • 季節は春を半ば過ぎた頃。レミリア(大)が陰陽鉄学園へ転入するところからスタートする。
    最初こそどうすればいいか戸惑うが、「とある人物」の名前を頼りに、その当人である攻略対象(以下PC)に会う事に。
    といっても、どう接触すればいいのか分からず遠くから見るだけ。
    その帰りに咲夜に誘われてファイナル幼稚園へ。そこでレミリア(幼)に「そっくりなのにカリスマない」と言われて心なしか落ち込んでしまう。
  • 翌日、校内でファイナル幼稚園の周辺にて不審者が出現したという話を聞くレミリア(大)。
    何か嫌な不安を感じ、ファイナル幼稚園に向かうと恥知らずな不審者が幼稚園に侵入していた。
    不審者を叩きのめすと、それを見た園児に囲まれ、前日の評価を改められる。
    はしゃぐ園児達を見て「私にもこんな妹や友人がいたような…」と一瞬だけ物思いに耽るレミリア。
    そこに一足遅く異変を悟ってカカッっと駆けつけたPCが現れる。一足先に事態が解決し、「おそい!」「ようやく来たのか!」と園児達に冷やかされながらも歓待を受けるPC。遅れての参上とはいえ、その安心感は流石といったところかな。
    その後、PCはレミリアに不審者を懲らしめたことを誉めるが、ところでどうしてここに?的な質問で尋ねてきた。
    思わず咲夜の勧めで幼稚園のお手伝いに来たと返してしまうレミリア。
    それを聞いたPCは後輩ができたとレミリアを歓迎する。
    戸惑いながらもレミリアはPCに対して不思議な懐かしさと親愛の感情を内心に浮かべる。
     
    ――名前のことといい、私は彼を知っている。……彼の方は初対面のようだが。
     
    PCの存在が自分の記憶に関して何か重要な鍵を握っているかもしれない。
    レミリアはPCと積極的に接触することを決める。
     

 
  • 以降から中盤までフリーシナリオになる。
    一定期間経過かPCの好感度orPCに関する記憶値が一定以上で中盤に移行する。

中盤

  • 中盤まで進めると、重要な記憶を取り戻す切欠となるイベント『紳士学園の復讐 side R』が発生する。
    大まかな流れ

    ロストした記憶の手掛かりであるPCと関わるうちに、彼と仲を深めるレミリア。
    ある日、PCとその友人達と一緒に街で買い物に行くが、その最中に不良達に粘着されてしまう。これを撃退すると、ズタズタにされた不良達は不穏な捨て台詞を吐いて逃走する。
    そしてPC達からあの無粋な連中が紳士学園の生徒であること、以前からPCがあの連中から何度も粘着を受けていることを知るレミリア。
    先程の捨て台詞もあり、何かよくない予感を感じるが…そして、それから数日後。レミリアは登校中に何者かに薬品を嗅がされ、誘拐されてしまう。
    目が覚めるとレミリアは拘束された状態で何処かの廃工場にいた。その周囲にはいつかの紳士学園の不良集団の姿がある。
    問い詰めると、紳士達はここにいるのはPCに苦渋を飲まされた紳士学園の生徒で、今までの鬱憤を晴らすためにPCへ復讐をするために集まったのだと語る。
    ――しかし数に任せても、普通に挑むだけでは返り討ちに遭う。ならば、反撃されない状況を作ればいい。
    だからレミリアを誘拐した。PCと親しい間柄である彼女を人質に彼を誘き寄せ、安全の保証を盾に、痛め付けるつもりなのだ。
    やり返すならそれなりのやり方があるだろうとレミリアは非難するが、紳士共はせせら笑いで返す。
    そして廃工場に第三者の声が響き渡り……PCが現れた。間もなく始まる私刑を前にして、レミリアは悲痛な声をあげる。
    しかし、そこにPCと共に工場に侵入していた咲夜らが介入、レミリアをカカッっと救出する。
    人質が居なくなればこっちのものとPCから反撃を受け、無双ゲームの雑魚のように次々と戦闘不能に陥る紳士共。
    そうして紳士はまとめて撃退された。PCに無事かどうか確認され、気丈に振る舞うレミリア。
    しかし半分泣きべそかいてたのは既にバレバレで、周りからその事を指摘され大いに慌てる。
    ……その時、まだ意識があった似非紳士がPCに凶刃を向け、背後から襲いかかる。
    直後、レミリアの脳裏に未来で事故に遭い、死亡したPCに関する記憶がフラッシュバック。咄嗟にPCを突き飛ばして、押し倒す形で危機を回避する。
    そしてPCの腕の中でレミリアはようやく思い出す。

     

    自分は一体何者なのか
    何故、過去へ遡ろうとしたのか
    自分が本来いた時間軸でPCに何があったのか

     

    混乱する記憶、不安と安堵。様々な感情が一度に押し寄せ、ごちゃ混ぜになり、レミリアは泣き崩れる。
    今まで抑えていた感情の堰が切れたと思ったのか、PCはレミリアを無言で宥めるだけだった。

  • 紳士学園の復讐同様、総勢20りの似非紳士と戦う事になるイベント。戦闘開始時のPCのHPが半分になっているのも同じなので、速やかな回復を。
    相手をする敵のレベルは通常に比べて高いが、戦闘に参加する全員が怒りが有頂天状態でステータスに上方補正が掛かっているのでプレイヤー側の方が優勢。
    なお、通常Verとは異なり、恵ちゃんと何度も戦闘していても隠しボスは出現してこない。
    そして、このイベントをクリアすることで「運命操作」が解禁。能力が拡張され、戦闘コマンド「運命操作」に戦闘中1回だけ全ての行動を自動的に失敗させる「崩れ去る運命」が追加される。
  • 全てではないが、過去に遡った目的と、自身に関する記憶を取り戻したレミリア。しかし戻ったその内容を鑑みると、周囲に記憶が戻ったなどとは言い出せない。打ち明けて、果たして信じてくれるだろうか。悩む間に時間が過ぎていく。
  • そんなある時、PCから紳士学園の一件で庇ってもらったことについて礼を言われ、ブローチを手渡される。
    『似合うかどうか分からないが――』
    若干不安げなPCに目を暮れずに、レミリアは手渡された紅色のブローチを無言で身につける。
    そしてキョトンとした表情のPCに向けて、はにかみながら。
    「……似合ってる?」
    PCからの感想は、彼女の悩みに若干の和らぎを齎した。
    そして、ブローチに触れながらレミリアは改めて思う。
     
    打ち明けられなくたって構わない
    でも、彼の死だけは何としても変えなくてはいけない
    どんな手段を使ってでも。
  • ある時、PCがにとりに頼まれ、タイムマシンの製作に奔走しているという話をレミリアは咲夜から聞く。
     
    もし彼の代わりに自分がタイムマシンで未来に行けば、PCは未来に行かない。自分と邂逅さえしなければあの事故の切欠もなくなる。つまり彼の死を修正できるのではないか…?
     
    しかし、その場合は未来のレミリアとの出逢い自体もなかった事になる。
    レミリアは苦悩するが、やがてそれで構わないと決心を固め、にとり達にタイムマシン製作の手伝いを申し出る事に。
  • 以降から終盤までの学園生活の傍ら、PC達と一緒にタイムマシンの素材集めに奔走する。
    具体的な内容はにとりが指示するので、それに従えば滞りなく進む。
    ただし、その内容が面倒臭い。
    一例を挙げると、必要素材のひとつを持っているというアルティミシアに会いに行くため彼女の能力でダンジョン化した女子寮(当然男子立ち入り禁止。男が入ろうとするとオメガウェポンが1Dで歓迎してくれる)に乗り込んだり、機材をわけてもらうためにAC学園まで遠出したり……。
    また、行き先では戦闘も発生する。レベリングも欠かさずにしておこう。
    細かい内容はこちらを参照。
  • また、タイムマシン開発と並行して学園祭にも参加しなくてはならない。
    いつのまにか実行委員になっているため(HRで考え事をしている間に自動的に決まってしまった)、素材集めのタイムリミットは学園祭の準備が本格化する少し前になる。
    ちなみに学園祭の実施だが、学生社長をやっていた頃の手腕がふんだんに活かされる貴重な機会だったりする。

終盤

  • 素材を粗方入手すると、タイムマシン完成を待つだけになる。その搭乗者候補にレミリアが挙手する。
    が、手を翳したその瞬間、挙げた手が指先からうっすらと消えかかる。
    驚愕から思わず下げた途端に、手は元に戻るが……。今の現象について考えるよりも、今は唖然とする仲間達に誤魔化すことで精一杯だった。
    以降、レミリアの体が消えかける事態が発生する。
  • 体が消えかける現象に悩まされるレミリアの元にタイムパトロールを名乗る人物が現れる。
    「ドーモ、レミリア=サン。タイムパトロールです」
    「ドーモ、タイムパトロール=サン。レミリア・スカーレットです……って、なにこの流れ」
    「……改めて、タイムパトロールのスノウ・ヴィリアースだ」
    タイムパトロールは時空犯罪者の取り締まりの他、全世界・全時空で本来起きない筈の出来事の修正などを行う組織だという。
    そして未来におけるPCの事故は既に決定された事柄であり、これを修正すると、大規模な改変が発生すると言われる。
    更にPCを未来に行かせない場合、事故は防げるだろうが『レミリアと出会った未来』が消滅し、その未来の住人であるレミリアも消滅してしまうとも警告される。
    体が消えかける現象も、PCを未来へ行かせない行動を取ろうとしたが為に起きたものだった。
    最後に、未来に帰還しないと大変不味い事になる。そして帰る手段が無い以上、自分達が本来の時間軸へ連れて帰る事になった。
    予定されている時間まで余裕があるから、それまでに落ち着いてよく考えてほしいと諭し、スノウは姿を消した。
    ちなみに…

    レミリアがこの時間帯に迷い込んだ原因とは、あらゆる世界・時空を飛び越えて彷徨うモンスター、コードネーム【オメガ】の襲撃である。
    オメガは何かの拍子で全身がバラバラになり時空の果てに飛んでいったので体の各パーツがお互いを求めて彷徨っているとか、爪ひとつですら並みのHNMレベルの化け物だとか、そのオメガの被害から時空間航行者を保護する(本当は時空間航行自体推奨していないのだが、航行者がオメガに撃破されると元の時空に確実に影響が出るため)のもタイムパトロールの仕事だとか色々と事情があるそうだが、当シナリオでオメガが関わることはもうないので割愛。
    とにかく、時空間の災害オメガに巻き込まれたレミリアを保護しようとして失敗した結果、今回の事件に繋がったのだ。

  • タイムパトロールのスノウが立ち去った後に、PCが姿を現す。
    先程の会話を聞かれ、レミリアの正体が知られてしまう。そして、PCはタイムマシンに搭乗すると言い出し…。
    PCを護るか、自分自身を犠牲にするか、選択を迫られるレミリア。
    皮肉なことにタイムマシンの完成予定・試験日は未来でPCを見送った日と同じ、クリスマスだった。
  • 通常だとタイムマシン起動を阻止するBADENDへ進むが、この時点で『周辺への記憶値』が一定以上だと選択肢が発生、正しい選択肢を踏むことでタイムマシンに乗り込む前のパチュリーの言葉を思い出し自身の消滅を踏みとどまる。
    そして「PCの死を修正し、レミリア達の未来を消滅させない方法」を考えるTRUEEND方向へ分岐する。

イベント

なにかんがえてるの

幼稚園の件でPCと知り合ってから少し経ったある日、パチュリーが某覚り妖怪を参考に、思考や記憶を引き出す魔法を思い付いたという。
もしかしたら記憶ロストが治るかもしれない。レミリア(大)はパチュリーの新しい魔法の協力に願い出る。
……が、紆余曲折の結果完成した魔法は「引き出した記憶や思考を具現化する」というものだった。そして魔法の実験の最中、たまたま通りすがった崖下紳士が魔法を浴びてしまう。……結果として、崖下紳士の計り知れない妄想力がモンスターの姿を取り、具現化してしまった。

 
戦闘相手

VS.名状しがたき崖下妄想
崖下紳士の妄想がモンスターとなったもの。
妄想だけで周囲に影響を及ぼすそれの具現は、幻想少女達の目にはおぞましい異形の姿に映る。
レミリアとパチュリーで戦闘することになるが、もし他のPTがいる場合はそれらも参加可能。
幻惑を始めとする精神系バステを付加する技を多用するので、回復手段は多めに。
とりわけ幻惑の状態異常が厄介だが、このシナリオが発生している時点でレミリアの精神スキルが「不屈の心」まで成長しているので、そうそうかかる事はない筈。
男性キャラは幻惑にかからず、崖下妄想へのダメージに1.2倍のブーストがかかるので、PCを始めとした男性キャラをあらかじめPTに誘っていると難易度がグッと下がる。

 

パチュリーと協力し、なんとか具現化した崖下妄想を撃退するレミリア(大)。結局実験は失敗、試作の魔法は危険ということで、封印指定という結果に終わる。
徒労感とやるせなさにぐったりするレミリア(大)だったが、パチュリーがお詫びに面白い本を貸してくれるという。先程の妄想との戦闘の中でのコンビネーションもあり、パチュリーとの間に奇妙な絆の芽生えを感じるのであった。

遠足のいくえの前に

レミリア(大)がファイナル幼稚園のお手伝いとして仕事や個性豊かな園児達の面倒を見、それらに少しづつ慣れてきた頃。
ある時、ファイナル幼稚園総出で遠足の計画が立てられ、行う事になった。園児らの希望で決まった行き先へレミリア達は下見として一足先に訪れることになる。
初めて訪れる筈の場所にも関わらず、懐かしさを感じながらレミリアはPC達と共に遠足の行き先を回っていく。

夏休み

  • 肌が弱いので日中は屋外を日傘装備で行動することになる。どちらかといえばインドア派なので太陽の光は苦手。(種族柄もあるだろうが…)
  • 野外学習臨海学校では熱中症にかかり、日傘の下でうーうー唸ることに。
    症状は軽めなので夕暮れになる頃には回復している。
    この時好感度40以上のキャラがいる場合、心配して様子を見に現れ、好感度70以上でレミリアを看護してくれる。
    ……くれるのだが、この時該当キャラが10人以上いるとぐったりしているレミリアを囲んでワイワイガヤガヤし始め、耐えかねたレミリアがブチ切れる一幕が発生する。この時のレミリアのいじられっぷりや一同のリアクションは中々面白い。
    怪談大会では怪談を聞くことになるのだが、話を聞いた後の反応は操作するプレイヤー次第なので選択によっては涙目になるくらい怖がったり、かと思えば終始豪胆な態度を貫くなど様々な面がみられる。
  • 先述のとおりインドア派なので林間学校では不慣れな野外作業で色々なハプニングが発生する。終始ギャグテイストなので色々試してみよう。
    ただし、林間学校の最中に夕食の買い出しが発生するのだが……
    この時、材料の選択肢を誤るとムドオンカレーが完成し、阿鼻叫喚の地獄が発生する。要注意。
    レミリアの初期調理スキルは「下手くそ」なので、改善してないと間違った選択が発生しやすい。
    ギャグイベントとしては美味しいが、カレーを食する彼らは無慈悲な味が口の中にデタラメに溢れでて味蕾がマッハ。
    食べると寛大さが菩薩級になるが、達観しすぎて他のイベントどころではなくなる。
    おい、だれかアバドン喚んでこい。

黒い絵画

  • 中盤で「運命操作」を取得し、射命丸から学園の噂を聞いたことがあると発生するサブイベント。
    発生させなくても本筋には一切関わらない。
    条件を満たすと美術室の一角に不気味な絵画がかけられる。これに近寄るとどす黒く変色する。
    そして、この黒い絵画を調べることで発生。
    黒い絵の中に吸い込まれ、悪霊や悪魔が跳梁跋扈する不気味な世界に放り出されてしまう。
    以降、ダンジョン・絵画世界が解禁される。入った時の演出から一瞬絵画から脱出不能に思えてしまうが、自由に出入り可能。
    入ることが出来るのはレミリア単独。よって他のPTメンバーを誘って絵画世界を探索することは不可能。
    幸い戦う敵は一戦闘に一体づつの上、それほど強くはない。(但しその時点の敵にしては、であるが)

凶夢の深淵

絵画世界の最深部。
そこには開けた空間が広がり、その中央に合わせ鏡がおざなりに置いてある以外には何もない。
そして、おそるおそる鏡を覗きこんでみると……

 
 
 

そこには、何も映ってはいなかった。
殺風景な風景だけだ。

 

……しかし、こんな世界の終わりの様な薄気味悪い場所まで来て、私は一体何をやっているのか。
ここで鏡を見る以外にもっとやることがあるだろうに……。

 

ふと、馬鹿馬鹿しくなり溜息をつく。そうしてもう一度鏡を見ると。
鏡に黒い影が立っていた。

 

「……!」

 

背後に振り向きながら、槍を振り抜く。
手応えはなく、そして振り向いた先。そこには

 

黒いレミリアのシルエットが佇んでいた。

 

影を切り抜いた様な真っ黒な自分の姿身
表情すら窺えないその黒いシルエットの中にドス赤い双眸だけが不気味にチラついている。

 

「……誰だ、オマエ」

 
  • VS.ナイトメア・シャドウレミリア
    The Eye of Darkness
    記憶関連の葛藤、未来で両親とPCが死亡した時の絶望。
    これまで抱えてきたレミリアの苦悩・悪夢が絵画世界の鏡によって映し出されたもの。
    そして絶望の度にほん僅かに感じていたデストルドー(死んでしまいたいという衝動)の具現でもある。
     
    強敵だが、回復手段を豊富に用意し、装備などを万全の状態で挑めば勝てない相手ではない。逆にいえば生半可な状態では勝つことは難しい。
    ナイトメア・シャドウレミリア(長いので以下シャドウレミリア)はレミリアの技と固有の特殊技を織り交ぜて使ってくる他、HPを問答無用で1まで削り取る「シャドウスティール」という特殊技を使ってくる。回避は可能だが、これだけは当たるとかなり危険。当たってしまったら早急に回復しておこう。
    また時折、レミリアを惑わせるような言動を発することがある。
    この時に選択肢を誤ると動揺の余り行動不能になってしまうが、逆に正しい選択肢を選ぶとシャドウレミリアを一蹴。
    シャドウレミリアが行動不能になりステータスがしばらくの間低下する。
     
     

レミリアのシルエットは【いくら足掻いたところで、死んでしまったアイツの運命は変えられない】と嗤う。
続けて【変えられないなら諦めて、そのまま身を委ねてしまえばいい。そうすれば今みたいに苦しみ続けるよりもずっとラクだ】と。

 

「……さっきから運命運命と。まるで騒ぎ立てる五月蠅の様ね」

 

【何故ならそれが――】

 

「もういい。喋るな。
 ……いいか馬鹿、運命なんてものは後だしの予言と何ら変わらない。
 何かが起こった後、こう言ってしまえばいいんだよ。
 全部運命だった、って」

 

【……】

 

「あいつの運命は変えられない?……上等よ。その吐いた唾、呑むなよ。【私】」

 

そして鏡ごと、自分の悪夢を叩き割り――

 
 

次に気が付いた時、レミリアは美術室で倒れていた。
起き上がった途端、悪所で眠りから目覚めたような気だるさが襲いかかる。……どうやら寝ていたようだ。
結局、アレは何だったのだろうか。
頭を押さえながらふと絵画が飾られていた壁へと視線を向けると、あの黒かった絵画が飾られている。
……その風景は赤い絵の具で上から書き殴られ、あの禍々しい光景がズタズタになっていた。
謎多き絵画が幾つかあることで知られる美術室。
射命丸に調査を頼んだり学園長などに尋ねると断片的にわかるが、
レミリアが見たというあの絵画は何十年も前に恋人を事故で先立たれ、その後を追った人物が描いたものらしい。
題名は『禿山の一夜』。同名の交響詩をモチーフにした、悪霊や悪魔が飛び交うおぞましい光景を描いた絵画
……あの黒い絵画は一体なんなのだろうか…?
絵画についてレミリアが尋ねた人物も同様に首を傾げる。
「話を聞く限りでは、あれはあまりにも生々しいということで包装されて、美術室の奥にひっそりと仕舞われていたらしいけど……
増改築の時に、何処かへ消えてしまったそうよ。貴女が見たのは、本当にその絵画なの?

 
 

一瞬、怨念・無念といった暗い単語が頭を過る。
馬鹿馬鹿しいと思いたくても、あの不気味な世界を見た以上は笑い飛ばす気にはなれなかった。

 

更に聞くところによると、あの絵画の作者は描き上がったその絵画の前で息絶えていたらしい。
そして、ネ実市では合わせ鏡にまつわるある迷信がある。
夜のとある時刻に合わせ鏡を見ると、鏡の中から亡くなった人物が見えると。
恋人を亡くしたその作者が描いた絵画の世界。その最奥に何故、合わせ鏡があったのか……

 

……今となってはどうでもいいことか。

タイムマシン関連イベント

最初のイベント「変えたい過去は誰にでもある」のみ強制発生。これをクリア後はクエストで任意で受領できる。
これらを期間内にクリアするのだが、ひとつもクリアせずに期間を過ぎてしまったり、わざとスルーしてもシナリオ自体は問題なく進む。
ただ、入手した素材の数に応じてにとりが報酬をくれるので受けない手はない。

変えたい過去は誰にでもある
タイムマシンのエンジンに丁度いいアイテムを女子寮管理人のアルティミシアさんが持っているという。
しかし女子寮、特に管理人室までの道のりは彼女の能力でダンジョン化していた。
アルティミシアに会うためにはダンジョン化した女子寮を進まなくてはいけないのだが、女子寮の中はPTに男性キャラを入れることができない。もし男が入ろうとすると防犯用オートマトンのプロトオメガと警備員のオメガウェポンが大群で盛大に歓迎してくる。やせいのバルバトス並に理不尽。
女子寮の管理人室に辿り着き、アルティミシアに話しかけると、勝負を挑まれる。これに勝つことでタイムマシンの素材である「時の歯車」を譲ってもらえる。
そして「時の歯車」を受け取った瞬間、脳裏に声が響く。
変えたい過去は誰にでもある
突如降りかかってきた声。その意味を噛み締めながらレミリアは管理人室を跡にする。
AC学園へ/イレギュラー・ネクスト撃破
機材が不足してしまい、これを補充する為にAC学園に訪れることに。
セレン・ヘイズもしくはジョシュア・オブライエンに事情を話すと、ジャンクパーツで良ければ構わないという。
しかし目的の資材が転がっているジャンクヤードに向かう途中、カラードに所属しないネクスト「フェラムソリドス」に遭遇・襲撃を受ける。
これを退けると、報酬として旧型のACパーツ一式を貰える。
フェラムソリドスは物理・魔法に強い難敵だが、暫く交戦していると、首輪つきやホワイトグリントが援護に現れる。
電波塔の上のアトモス
タイムマシン製作の為に時間や異空間に干渉するモンスター、アトモスの力が必要になるという。
エクスデス先生がアトモスについて詳しいということで本人に尋ねてみると、ネ実市郊外にある投棄された電波塔に現れるという話を聞ける。電波塔の頂上に向かうと、アトモスがいるのでこれと戦闘、倒すことで必要素材が手に入る。
 
戦闘相手

VS.アトモス
通常はコメットやグラビデ等の魔法を使ったり、強化効果を吸収してくる。
が、時たま即死効果を持つ「9ディメンジョン」を発動し、戦闘不能に陥った相手に対して「ワームホール」を使用。蘇生禁止に陥らせる戦法をとる。おいアサルトドアーが混じってるぞ
この効果は時間による解除が発生せず、アトモスに数回攻撃を当てるか、クリティカルダメージを叩き込むことでようやく蘇生禁止を解除できる。
即死効果は必中ではないので命中してしまうかは運次第。当たっても「ワームホール」まで1ターンのラグがあるので速やかに回復させておこう。

 
なお、電波塔道中の宝箱の中に赤いドラゴンことダハクが入っているものがある。通常エンカウントするモンスターよりも格段に手強いので要注意。
物資調達
不思議のダンジョンを探索し、物資を漁りにいく。
受領中はダンジョン内に「プリント基盤」「ダイオード」「コンデンサ」が大量に落ちている。これらを合計150個回収して、にとりに話しかければよい。
思わず顔をしかめそうな数だが、落ちている数がそれ以上に多いので集めきるのはけっして難しくはない。クエストの中ではもっとも簡単な内容。
回路をめぐる思惑
「カーマインチップ」「シアンチップ」「グレーチップ」
これら三色のチップを調達することに。
何れも特定のモンスターを倒した際にドロップする他、不思議のダンジョンに落ちている可能性がある。
入手し終えて、にとりに話しかければ完了。

素材一覧
素材名称入手先説明
時の歯車アルティミシア永久機関の一種。
変えたい過去は誰にでもある
ACパーツ一式AC学園旧式ACのパーツ一式。古いが内臓されている計測機器などはほぼ無傷
アメジストNMから入手異次元や時を食らうモンスター「アトモス」の力の残滓を強く残すアメジスト
取得物資一式不思議のダンジョン不思議のダンジョンで広い集めた物資。計150個
カーマインチップ特定モンスターから入手半透明な紅色の小さな六角形の板。中を覗くと、瞬く無数のラインが見える
シアンチップ特定モンスターから入手半透明な青緑色の小さな六角形の板。中を覗くと、瞬く無数のラインが見える
グレーチップ特定モンスターから入手半透明な灰白色の小さな六角形の板。中を覗くと、瞬く無数のラインが見える

報酬一覧
クリアクエスト数報酬名
1エーテル×5
2テクニカルアップ×2
3金のリンゴ×1
ALLハイエリクサー×3
ラストリカバー
技能の薬

『約束』

  • TRUEENDの条件を満たすと出現する選択肢を選ぶ。TRUEENDの確定イベント
     
    タイムマシン稼働前の前日
     
     
    12月24日 クリスマスイヴ。
    その日の夕食は、行事柄ということもあり豪勢なディナーが立ち並んでいた。
    それを踏まえても、メイド達の動きはあわただしく、姉妹の会話もいつもより弾んでいるように思えた。
     
    この日は、とても珍しいことにスカーレット姉妹の両親が紅魔館へ戻っていたのだ。
    多忙ゆえに滅多に帰れない稼ぎ手の帰還に、言葉にせずとも一同の表情はどこか嬉しそうだった。
    …しかし、レミリア(大)が走らせる食器の動きは何処か頼りない。
     
     
    「あの、レミリア様?」
    「ん。あ……どうかした?」
     
    咲夜の声でレミリア(大)はふと面を上げる。
    そうして、自分が眼前の空っぽの食器にスプーンをカチャカチャと鳴り響かせていた事に気が付く。
    慌ててサラダにフォークを伸ばすと、咲夜が心配そうに声をかけた。
     
    「…具合が優れないのですか?
     奥方様方が戻ってから、顔色が悪い様ですが…」
     
    最後の言葉はレミリア(大)にしか聞こえなかった。
    気を遣っているのだろう。
    力なく微笑んで、首を横に振る。
    見れば、周りは暗い表情を浮かべるレミリア(大)に向けて、怪訝そうな目線を向けている。
    何か思うところがあるのか、レミリア(幼)が訊ねた。
     
    「? …もしかして、気にしてんの?」
     
    レミリア(幼)は「もしかして」が何なのかは言わない。
    そして、レミリア(大)は彼女が「もしかして、両親を前にして気不味く思ってるのでは」と理解できる。
    それは、咲夜やパチュリー、両親も同じ。
     
    …居候ではなく、紅魔館の一員として手厚い待遇を与えられてはいるが、本来彼女は部外者である。
    館の主の娘にひどく似ていてはいたが。いや、似ているからこそ、気不味く思っているのではないか。
    レミリア(幼)は自身の頼りげない姿を見て、幼少の砌ながらにそう感じたのではないか。
     
    「そうなのかね?」
    「いいえ、そんなことは。少し、気分が優れないだけです」
     
    レミリア(幼)の推察は少しだけあっている。
    レミリア(大)にとってはもう聞くはずがなかった声。目に入れられない姿。
    …彼らは、レミリア(大)がいた時間軸において、既に故人だった。
     
    「彼」のこと。自分は一体何を選ぶべきか。
    先程までそればかりが頭の中に渦巻いていた。
    ぼんやりしていた理由はそれだったのだが、他者から提示され、改めて思い知る。
     
    この時間では、自分はまさしく異物なのだと。
     
     
     
    「ねぇ」
     
     
    声と一緒に肩を小突かれ、意識が引き戻される。
    小突かれた方に幼い自分が面倒くさそうに立っていた。
     
    「なんて言ったらいいのかしらね…。
     ああ…うん。アンタのこと、嫌いじゃない。
     頼りない癖して、やる時はやるしさ。
     そうね…大きくなった時の目標候補にしてやってもいいわ」
    「……」
     
    平らな胸を張って、豪語するレミリア(幼)。
     
    「…無理じゃない?
     お姉さまったら大きい方のお姉さまとちがって、いばりちらすもん」
    「偉いんだから、威張れるのよ」
     
    「だいぶ見ないうちに、随分とお転婆になったものだ」
    「ふふ、そうね…」
    「大丈夫です。甘やかさないようにしますから」
    「あ、甘やかすって…パチェったらあんまりな…っていうか、話が逸れる!」
     
    場の空気を一新したいのか、仰々しく咳笑いすると、
    過去(いま)のレミリアが、未来のレミリアに指を突き付ける。
     
    「だから…アンタは別にここにいてもいいの。少しは誇りなさいよ。
     アンタはこのレミリア様が認めたのよ?
     PCと仲がいいのはちょっと癪だけど……」
    「おやー、お嬢様ったらおませさんですね」
    「う、うるさーい! からかうなぁっ!」
     
    最後までしまらない。
    周りから面白おかしくいじられ、赤面してふるふる震えるレミリア(幼)だったが
    彼女の母親が言葉を締める。
     
    「でも、この子の言うとおりですわ。
     貴女の憂鬱の理由を伺い知ることはできませんが…
     貴女は貴女以外の何物でもないのですから」
     
    諭すように母が語りかける。
    ふと、レミリア(幼)が驚いたように声を上げた。
     
    「……ちょっと。なんで泣いてるのよ」
     
    目をこすり、レミリア(大)が笑う。
    その笑みは虚勢で、しかし、痛々しいものではない。
    悲しくて泣いたのではなかったから。
     
    「思い出したの。ずっと昔にこんなことがあったな、って」
     
    それを誤魔化そうとする、嬉しさと懐かしさが綯い交ぜになった、寂しそうな笑みだった。
     
    「……ずっと忘れていた、大切な想い出」
     
     
     
    ……そうだ。
    ずっと悲劇のヒロインを気取って、手前勝手に抱え込んで
    大切なもの、忘れてはいけないものを忘れかけていた。
    「彼」の未来と同じ…
     
     
    『早く帰ってきてね』
     
     
    大切な過去(おもいで)未来(やくそく)
    それは、自分だけのものじゃないことを。

エンディング

TRUEEND 『バックトゥザフューチャー』

『早く帰ってきてね』

 

ふと、パチェの言葉を思い出す。
私が過去に遡るより前、パチェはそう言っていた。

 

貴方を助けたい。でも、みんなが待っている未来を消す訳にはいかない。
私は、あそこに帰らなくてはならない。
二者択一。でも、一つじゃ駄目なんだ。
私は、その両方が欲しい。

 

でも、私ではこれ以上はどうしようもない。
私には未来を変えることなんてできない。痛みしか連れてこれない。
何が『運命を操る程度の能力』か。笑わせる。

 

悔しい。理不尽だ。こんなの、ない。

 

……。

 

だったら。
私だけではどうしようもないというなら。

 

……託そう。
私が未来から持ってきた標を、貴方に預ける。
無駄になんて、させるものか。

 
 
 
 

……あれから考えた結果、レミリアが行ったこと。
それは、PCに対し全てを話すことだった。
ずっと未来でPCが事故に遭い、死亡してしまったこと、自分はそれを修正する為に過去へ遡ったこと。
最後にそれらを打ち明けると、レミリアは未来へ戻ることを決めた。

 
 
 
 

「待ってるわ。10年後の未来で」

 
 

「さっさと追い付いてきてよ。
 言いたい事、沢山あるんだから!」

 
 
 
 

タイムパトロール・スノウのタイムマシン(何故かバイク。平気で空飛ぶし時間の壁だって超えちゃう)に搭乗し、自分が元いた時間軸……スカーレット邸へと帰還する。
そしてスノウはレミリアに告げる。

 

「ああ、そうそう。言い忘れた事があったんだ。アイツの事故は未来で確定した事柄だけど……」
死亡まで確定した訳ではない?」
「……エスパーか何かか?」
「いいえ、考えたらその結論に辿り着いただけよ」
だからこそ、彼に改めて全てを話した。
「避けられなくても、わかっていれば手の打ちようがある、ってね」
「過去にいた間に色々影響を促したようだが……極々小規模みたいだし、見なかった事にしてやる」
「随分寛容ね」
「元々は俺たちのミスが原因だからな。……頼むからその件については内緒にしておいてくれ……」
「そうね。あんた達が介入してなかったら今頃死んでたかもわからないし……そう言う事にしておきましょうか」
まぁ、文章にはしっかり残しておくけど。

 

「もしかしたら、運命も変えられるかもな」
「運命、ね。大仰だけど、結局……」
「どうした?」
「…いえ、なんでもないわ」

現代でスノウ(不良チームの大将Ver)と遭遇したことがある場合

「……そういえば」
「ん?」
「あの時代であんたにそっくりな男を見たんだけ――」
直後、スノウのタイムマシンが火を噴き、因果地平の彼方へといくえを眩ませてしまった。

 

爆風で乱れた髪を直しながら、引き攣った表情を浮かべるレミリア。
「逃げた……」

 

そして嘆息し、微苦笑する。

スノウが去り、レミリアは暫く屋敷を眺めていた。
すると、屋敷の向こうから咲夜、パチュリー、フラン、美鈴……彼女達に付き添われるように、松葉杖を持った人物がこちらにやってくる。
頭に包帯を巻いたその人物は、レミリアの前に立つと一言語りかけた。

 

『おかえり』

 

目元を拭いながら、レミリアも返した。

 

「ただいま」

 

rt.jpg

 

運命なんて後だしの予言と何も変わらない。
何かが起こった後、こう言ってしまえばいいんだ。

 

「全部運命だった」って。

BADEND 『If you're my destiny, end this fated determination.』

12月25日 クリスマス
タイムマシンの起動実験は、失敗という形で終了した。

 

…レミリア自身は何もしていない。
ただ、レミリアはタイムマシン起動を前に願っただけだった。
タイムマシンが故障してしまえばいい
壊れて、PCが絶対に未来に行けなければいいと。

 

運命を操る程度の能力。

 

能力を持つ自分自身ですら全容を知らない、曖昧であやふやな能力。
それが実際にレミリアの望む方へ作用したのか。今となっては確認のしようもない。
だが少なくとも、今ここで本来起きる筈だった運命はたった今、歪んだ。
レミリアと彼女が属していた未来の消失を代価に。

 

体から力を失い、自分自身が希薄になる感覚を感じながら、レミリアはPCの声を聞いた。
薄らぐ視界の中に彼の姿を見つけ、微笑みが浮かぶ。

 

……ごめんね。

 

自分を見送った未来の友人達と今まで世話をかけてもらった今の友人達、そして何より助けたかったPCへ、謝る。
最後まで本当に自分勝手だったけど、それでも変えたい過去があった。
最愛の人の温もりを感じ、その無事が確定した事に安堵しながら――

 

『レミリア!』

 

――いや、最後の最後に、ほんの少しの未練を感じながら、
『未来のレミリア・スカーレット』は消失した。

 
 
 

その跡には、ブローチがひとつ残されていた。
PCがレミリアへ贈った、深紅のブローチが。

報酬/称号

発生条件が特殊かつ非常にわかりづらいシナリオだからか、「時の卵」を所有していない状態でBADENDを迎えてもデータの引き継ぎ、報酬が発生する。

  • TRUEEND報酬
    アクセサリ「深紅のブローチ」
    レミリアがPCから貰った深紅のブローチ。
  • BADEND報酬
    アクセサリ「存在の証」
    レミリアが消滅した跡に残っていた深紅のブローチ。
  • 共通報酬
    現代におけるレミリアのレベルキャップが完全解放。
     

*1 シナリオ突入前の該当スキルの数値
*2 シナリオ突入前の該当スキルの数値+1