擬古田薬品

Last-modified: 2022-08-15 (月) 22:48:19

擬古田薬品(小説作品・長編完結)

モラ山は、ダッコ映像に勤めている。
擬古田薬品との合同プロジェクトで記録映画を製作することになった。
政府の麻薬撲滅キャンペーンの一環らしい。
 確かに歌手やタレントが『だめ、絶対』なんて言っているポスターよりも
「麻薬に手を出すとこうなりますよ。」という実際の経過観察を見せたほうが、
 抑止力になるということなのだろう。

作者

  • 不明

擬古田薬品 (1)

2 名前: 管理団 投稿日: 2003/11/03(月) 01:25 [ btf06cwM ]

モラ山は、ダッコ映像に勤めている。
擬古田薬品との合同プロジェクトで記録映画を製作することになった。
政府の麻薬撲滅キャンペーンの一環らしい。
 確かに歌手やタレントが『だめ、絶対』なんて言っているポスターよりも
「麻薬に手を出すとこうなりますよ。」という実際の経過観察を見せたほうが、
 抑止力になるということなのだろう。

被験者は、ちびギコ・ちびしぃ・しぃ(妊娠しぃも含む)に決まっている。
問題は、どうやって研究所に連れてくるか、
悟られないようにするには、どうしたらいいか。
モラ山は悩んでいた。
「擬古田薬品さんとの合同プロジェクトって言ったってなぁ。
どうやってたくさんのしぃを集めて来いって言うんだよ・・・」

公園の中を歩いていたら、ちびしぃがベビしぃを売っていた。
*が見えない。少し色素が薄いのだろうか。
モラ山は彼女を見ていたら、ある閃きを感じた・・・・・
9 名前: 1・会社にて 投稿日: 2003/11/05(水) 14:55 [ Q9ecaUgc ]
公園でちびしぃを見た翌日、モラ山は上司のモナ川に相談した。
「え?*なしのしぃがベビを売っていたので、彼女にしぃ集め役を
 頼みたい?結構凄腕っぽいのか。でもなぁ・・・・うちみたいな
 弱小会社ではあまり彼女に金を払えそうにないモナ。」

「でも、逸材ですよ。口もうまそうだし。あれならアフォしぃも
 研究所まで楽に連れてこれそうなんだけどなぁ・・・」

モラ山とモナ川が頭を抱え込んでいると、社長のモラ谷が現れた。
「値切る方法ならいくらでもあるぞ。」

「ええええ??」

「彼女の生活パターンで、必要なものを支給する手法をとるんだ。
 擬古田薬品さんの許可が必要になるが、必要とするのが薬であれば、
 お金の面でのうちの負担は抑えられるかもしれない。」

「社長!それいいアイディアっす!!!」

「では、早速擬古田さんに連絡をとるモナね。」

モナ川は擬古田薬品に電話を入れた。
「擬古田さんですか?ダッコ映像です。いつもお世話になっております。
 実は折り入って相談がありまして・・・・」

モナ川は、モラ山が公園で見かけた*なしのベビ売りのしぃのこと、
彼女を被験者集め役にしたいこと、(彼女へ払うお金)をできるだけ
抑えたいこと、もし彼女が薬を必要としている状況にあれば、
擬古田薬品に提供をお願いしたいことを擬古田薬品の担当者に伝えた。

「担当者さんがこちらにいらっしゃるんですか?
 わかりました。伝えておきます。」

「擬古田さんの担当者がこちらに明日来るって。
 担当者と詳細は詰めてほしいって言っていたモナ。
 無償提供のことはOKが取れたモナよ。」

「忙しくなりそうですね。社長」

「そうだね、今日は飲みにいかないか?
 とりあえず、仕事の成功祈願ということで。」

3人は飲み屋街へと繰り出した。

10 名前: 2・擬古田側との打ち合わせ 投稿日: 2003/11/05(水) 14:58 [ Q9ecaUgc ]
翌日、擬古田薬品から2人の担当者が、ダッコ映像に来社した。

「はじめまして。擬古田薬品の、擬古矢と申します。」
「マーケティング タントウノ ジエン! ヨロシク。」
「お一人ずつに、名刺を渡したかったんですが、申し訳ありません。切らしておりまして・・・」

ジサクジエンは擬古矢の頭を一発叩き、ダッコ映像側にわびた。

「こちらこそ、ご足労をおかけしまして・・・しかもマーケティングの方まで。」
モラ谷が逆に恐縮すると、
ジエンは「キニスンナ! *ナシノ チビシィガ ホシイモノ サッソク サガソウ!」
と言い、早速「コウエン ドコダ?」と ダッコ映像側に聞いてきた。
「モラ山君。われわれを案内してくれないか?」
モラ谷に促され、モラ山は彼女を見かけた公園に皆で出かけた。

公園に着くと、もうベビを売り切ったらしく、彼女は帰宅するところだった。
結構量が売れたのか、帰りに鮭と、しぃフード、栄養剤、と結構買い込んでいた。
5人は、母娘宅を特定し、近所にて聞き込みを開始した。すると、
「母親の腹を蹴り、流産させた」「懲りずにママが妊娠しちゃったの・・・」と言っていた
という証言が聞き出せた。

証言を聞いた後、彼らは、ダッコ映像に戻った。
モラ谷はモラ山に、ジュースを買いに行くように命じ、彼はコンビニに出かけ、
モナ川、モラ谷、擬古矢の3人は
社内で和んでいたが、ジエンは一生懸命メモをとっていた。

「ピル(21錠型OR28錠型)、血液検査・堕胎/避妊手術・(ケイサツ モミケーシ?)」

疑問を感じたモラ谷は、ジエンに聞いてみた。
「ジエンさん?(警察 もみ消し?)ってなんすか?」

「ベビ リャクーシュ (ユウカイ?) シテタラ モミケーシ ヒツヨウ!」

「おお。そうモナね。それに、ピルの件もかなぁ。
(懲りずにママが妊娠しちゃった)って言ってた件も
気になるモナ。あまり母親の妊娠を喜んでいないように、
思えるモナ。」

「ちびちゃん一人が、またーりできる、と言うところをアピールしても
 彼女の心をくすぐるかもしれないね。」

「政府が絡んでいる点で、結構自由がきくんだゴルァ。」

「それに、もうひとつ・・・(ニヤニヤ)」

(何か裏を感じるなぁ・・・・)

でも社長のことだし、楽しめるに違いない。モナ川はそう思い直した。
モラ山がジュースを買って帰社し、5人でジュースを飲みながら、
スカウトについての話し合いを持った。

モラ山はジエンのメモを見ながら感心していた。
(彼女のニーズにあっているかも・・・・ジエンさんさすがだ。)

「ジエンさん。抗精神薬系も彼女に提供って可能ですかね?」
モラ山がきくと「ウチハ クスリヤ バカニ スンナ!」 と、怒られてしまった。

「ごめんなさい。弟が擬古田さんの研究所の所員で、
 被験者を探してるんですよ。抗精神薬の依存について調べていまして、
 検体を欲しがっているんです。」

「奇遇だなゴルァ。うちの兄もだ。」

四方山話をしていると、そろそろ終電に間に合うかどうかという時間であった。
「終電が・・・」
「今日は解散して、明日はスカウトに行くぞ」
「ヨロシーク!!!!」

5人はダッコ映像を後にした。

11 名前: 3・スカウト 投稿日: 2003/11/05(水) 15:02 [ Q9ecaUgc ]
朝になった。
母娘宅近くに集まった5人は、ちびしぃの尾行をはじめた。
略取している。もの凄い勢いで略取している。
母親が留守にして、ベビだけ残ったダンボールから。
ベビだけ残された乳母車から。
「ベビの失踪」の噂も母親しぃのところに入っていそうなものだが、
無用心なのか、「私だけは大丈夫」という妙な自信からなのか、
かなり、ベビだけ残っている状態を5人は見ていた。
その隙を狙ってベビを*無しのちびしぃは、略取していた。
ちびの身のこなしが早かったのか、子沢山のしぃから全員いただいたのか、
瞬く間にちびの乳母車はすし詰めになった。

お昼にはちょっと早いだろうか?
ちびが公園に着いて2~3分後に、5人は公園に着き
物陰に隠れてベビ売りの様子を早めの弁当を食べながら見ていた。


「しかし、もの凄い勢いで略取していたモナ。
 なにか、復讐しているみたいな感じを受けるモナ。」

「復讐してるんじゃないか????」

「なぜだ ゴルァ???」

擬古矢がモラ山に聞いた。

「でぃを虐待している場所見たことあります?
しぃは、自分の違う姿のしぃ・傷ついた同族の姿を(醜い)と思っているみたいです。
彼女はおそらく、(奇形)とされて、陰口とか叩かれたことがあるんじゃないかな?」

「ああ、大耳のしぃが虐待されているところを助けたことがある。
 なんて連中だゴルァ、と思ったぞ。そうか、うん、納得できるな。」

「アノチビハ *ヲ アフォチビカラ ゴウダツ シタコトアル! 」

「怒りとか結構たまってるんじゃないすかね?」

2時間ほどたったころ、ちびしぃはベビを売り切った。

5人はちびに声をかけた。

「こんにちは。ちびちゃん。」

「ごめんなさい。もう売り切れなんです。
 お兄さんたちけっこう前から見てたでしょ?言ってくれれば、とっておいたのに。」

「全角でしゃべる賢いしぃちゃんは珍しいモナ。」

「これ、ママには言わないでくださいね。半角でしゃべらないとママに怒られるの。
 ところで、お兄さんたち、何の用ですか?」

「オマエラ ナニシテル メイシ ダセ!!」

ジエンに促され、5人は名刺を出した。

「ダッコ映像さんに、擬古田薬品さん?」

「ちびちゃんのセールストークを見込んで頼みがあるんだ。
 アフォしぃ(妊娠しぃも)、ちびギコ、ちびしぃをできるだけ多く集めたいんだよ。」

「彼らには記録映画に出てもらうモナ。」

モラ山、モナ川が言うと、「どんな映画ですか?」と彼女が聞くので、
擬古田薬品の2人が答えた。

「麻薬撲滅キャンペーンって知ってるか?
 ポスターだけじゃジャンキーは減らないって言うんで、記録映画を作ることになったんだ。
 (実際に麻薬に手を出すとこうなります)っていう具体例を出したほうが、わかりやすいって
 やっと政府も気づいたらしいんだ。遅いんだけどな。」

「ウチ ジッケンシセツ テイキョーウ!!」

「でも・・・・・・」

「お金は、ベビちゃんの売った日当よりちょっと多いくらいしか出せないけど、
ほかで、サービスするモナ。薬で必要なものがあれば、ちびちゃんにあげるモナ。
それと、略取したベビの、母親しぃが警察に訴えても、揉み消してあげるモナ。」

「お母さんの愛情がちびちゃんだけに注がれるように、
 避妊薬も出すぞゴルァ。」

避妊薬の言葉に、ベビの心は奪われてしまった。
「やらせて下さい!でも、情報がないと騙そうにも騙せないです。」
*のないちびしぃは、5人の申し出を受けることにした。

擬古田薬品の2人は感心して、
「ミアゲタ チビ イイ!!!」
「研修が必要か。明日朝10時に迎えに来る。 
研修期間中は、1日5000円出そう。それから、ダッコさんと
契約は詰めることにしよう。」

サイタマ色の太陽が沈むころ、6人は別れた。

19 名前: 4・葛藤 投稿日: 2003/11/08(土) 17:58 [ aZEDM6dY ]

夜、ダンボールの中でちびは一人葛藤していた。

(5人の申し出を受ければ、同族を売ることになる・・・・)

ちびの心の中で天使は囁いていた。
「ちびちゃんは、お友達を虐殺厨に売るなんてことはしないわよね?」

悪魔も囁いていた。
「友達なんていないじゃん。(キケイ) ってあんた、馬鹿にされてたでしょうが。
それに、あんたの母親、際限なく子供こさえるかもよ?あんたの姉妹に
愛情、取られるんじゃないのぉ?避妊薬くれるって言ってるんだからさぁ。
売っちゃえばいいのに。」

「キケイ キケイ キケイ キケイ キケイ キケイ キケイ・・・・・・・」

ちびの頭の中で、キケイの3文字が頭の中に渦を巻いていた。
*がないだけで、陰口をどれだけ叩かれたか。
同年代の、同族にどれだけ馬鹿にされたか。
母親は、弱弱しく微笑んだだけで、馬鹿にした同族たちに何もしてくれなかった・・・・

(復讐してやるんだ。同族に。)

心の中の悪魔が、天使の首を鎌で切り取り、彼女に微笑んだ。
安らかな寝息を立てている母親の横で
彼女は、邪悪な微笑を浮かべた。

20 名前: 5・迎えの車中で 投稿日: 2003/11/08(土) 17:59 [ aZEDM6dY ]
10時になる数分前に、ちびしぃは待ち合わせ場所の公園についた。
数分後、擬古田薬品の社名が書かれた乗用車に乗って、擬古田が現れた。

「おはよう、ちびちゃん。」
「おはようございます。擬古矢さん。」
「まぁ、乗って。中で内容を説明するから。」

ちびしぃが車に乗り込んでしばらく世間話をした後、
(彼女の愚痴をほとんど擬古矢が聞いているようなものであったが)
擬古矢は説明をした。

「研究所に着くのは、1~2時くらいになるよ。それから軽い食事をしようね。
 ダッコさんたちは、先に研究所に着いてる。3時ぐらいに
 映画に関係の無い部署についての説明を始めるよ。妊娠しぃを扱ってる部署になる。
 実際に見てもらうことにもなるけど。」
 
「妊娠しぃたちの部署?」

「ちびちゃんのトークのネタに、そこも見学してもらおうと思うんだ。
妊娠しぃを連れてきてくれたら、1匹あたり2000円出そう。
ところで、ちびちゃんはグロいの平気?」

「ジシン ナイデス・・・・・」

「そうか。じゃあ、コンビニに行こうか。ビニール袋を置いてるんだよ。そこ。」

2~3分後に、コンビニに着くと、擬古矢は、ビニール袋と、アイスクリーム・角砂糖を買ってきた。

「ここでも少し食べたほうがいいよ。あそこに行ったら、もしかしたら吐いちゃうかもしれないから。
向こうで食事しながら、詳しい妊娠しぃの部署の説明をするけど、あそこでは、奇形児を
見ることになるんだ。だいじょうぶかな?けっこうグロかも・・・・」

「スコシ カクゴスル ジカンヲ クダサイ・・・・」

「落ち着いたら言ってね。」

ちびは、少し擬古矢に待ってもらっていた。
パニックを起こしたのだろうか?呼吸が少し荒い。
擬古矢は、「パニック・アタックかな?」とビニールを渡し、
ちびに袋を口に当てて、呼吸をするようにいった。

(キケイって、どんなの?私みたいな*が無いベビちゃん?
そこのベビちゃんはママに捨てられたベビちゃん?)

(キケイのベビちゃんたちのママも、何にもしないのかな??
 ちびが馬鹿にされても弱弱しく微笑んでたママみたいに・・・・)

しばらく、ちびは気持ちが揺れていたが、
だんだん落ち着きを取り戻してきた。霧が少しづつ晴れてくるみたいに・・・・

(キケイ キケイ * ナシノ キケイ ・・・・)

弱弱しく微笑むだけで、私のことを馬鹿にした同族に何も言い返せなかった母、
コウビとダッコしか考えられない母。
助けてくれなかった。助けてくれなかった・・・・・・

また、ちびの心に囁く声が聞こえた。

(アフォしぃががよく使う「虐殺厨」が減るだけじゃん。
あいつらだって、でぃちゃんや(キケイ)を虐待や
虐殺してるし、あたしだって・・・・・
それにお金も入るし、一石二鳥だよねぇ。)

「覚悟は決まった?」

「はい」

「さっきは息苦しかったの?」

「少しめまいがしたんですが、落ち着きました。大丈夫です。
袋を口に当てて呼吸してるうちに、落ち着いてきました。」

「そう。社に戻ったら、抗不安剤を処方してもらおう。
じゃ、行こうか。」

車を走らせてから、2~30分後、研究所に着いた。

21 名前: 6・研究所にて 投稿日: 2003/11/08(土) 18:01 [ aZEDM6dY ]
研究所につくと、ダッコ映像のモラ谷・モラ山・モナ川が二人を出迎えた。
擬古矢は「抗不安剤をもらいに行ってくる」と中座すると、
3人がちびに話し掛けてきた。

「体の調子でも悪いモナ?契約はすこしまったほうがいい?」
「擬古矢君から説明を受けて少しびっくりしちゃったかな?」

「大丈夫です。もう落ち着きました。」

「今日は妊娠しぃの部署の見学をするんだって。それと、焼却炉の説明も」

「焼却炉????」

「うん。麻薬中毒のとことか、妊娠しぃが頃しちゃったベビとかで
遺体が出るでしょ?それを焼却するんだ。」

「頃しちゃうの?自分の子なのに?」

「これから見る場所について、擬古矢君から説明を受けたよね?そこで生まれたベビを母親は
頃しちゃうんだよ。まず100%といっていい。育てている母親なんていないよ。」

「ちびちゃん。抗不安剤をもらってきたよ。1錠寝る前に飲んで寝てくれって。」

擬古矢が抗不安剤をもらって戻ってきた。
「食事にしないか?4人とも。」

「食事しながら、妊娠しぃについての説明やら、契約についての説明やら
話そうか?どうする?」

「食事しながらの妊娠しぃの部署の説明は、ちときついっす。社長。
契約を先にしましょうよ。」

「部署の説明は食休みしてからだ。普通でもきついと思うぞ。」
モラ山の意見に擬古矢が同意すると、

「そうモナね。擬古矢さん。食堂に連れて行って欲しいモナ。
いいかげん、腹が減ったモナ」

「モナ川さん。そうですね。行きましょう。」

5人は食堂へ向かった。

22 名前: 7・契約 投稿日: 2003/11/08(土) 18:05 [ aZEDM6dY ]
‐‐‐‐‐‐‐契約書‐‐‐‐‐‐‐

ちびギコ・ちびしぃ・しぃ  1人 1000円
妊娠しぃ    1人 2000円

もし、アフォしぃではないしぃを連れてきた場合
罰金  1500円

------------------------------------------------------

全員、食事をし終えて15分ほど経った頃であろうか。
モラ谷、擬古矢は、紙をちびしぃに差し出した。

「ちびちゃんは、アフォしぃではないしぃちゃんと会った事あるモナ?」

モナ川に聞かれたちびは、うなずいた。
「私が、*が無いのを同族に馬鹿にされたとき、お友達に助けてもらったの。
ちびにできた初めてのお友達。でもね、大勢のアフォに2人とも殴られちゃったけど。
お友達と一緒に家に帰ったの。お友達の家、しぃの家と近いのね。
お友達の家に着いたとき、彼女のお母さんがびっくりしてたから、
私がわけを話したのね。しぃちゃんに助けてもらいました。って。ありがとう。って。」

「お友達のママは、なんて言ってた?」

「当然のことをしただけだって。お友達は、いい子だってダッコされてたの。
こんな人がお母さんだったらなぁ。って、あの時思った。」

「そういう、優しいしぃちゃんを連れてきてはだめだよ。もし連れてきたら、罰金として
ちびちゃんに払うお金から、1人1500円づつ引くからね。誤魔化してもだめだよ。
ここに連れてくるときに、調べてから連れて行くからね。」

モラ山に念を押されて、ちびはうなずいた。

「モラ山君。そう、緊張させなくても。ちびちゃん、簡単なことモナ。
 ちびちゃんを馬鹿にした連中を全員連れてくればいいモナよ。」

モナ川に言われたちびは、安心したのだろう。笑顔が出てきたように見える。
「ちびちゃん。念のため、おテテに墨を塗ってここに押して欲しいんだ。
 僕たちと、ちびちゃんの、お仕事の契約書だよ。」

ちびは、即座に手のひらに墨を塗って手形を押した。

32 名前: 8・レモナ棟 投稿日: 2003/11/10(月) 13:44 [ hGDzyKlI ]
>>2 >>9-11 >>19-22 の続き。

「皆落ち着いた?レモナ棟について説明してもいい?」
擬古矢の問いに、みんなうなずいた。
少しの食休みの後に、擬古矢が説明を始めた。

「ちびちゃん。羊さんしってる?」

「馬鹿にしないでください。」

ちびが少し怒った口調で言うと、擬古矢は謝罪し、

「バイケイソウって言う植物があって、それを食べた羊たちにある奇形が見られたんだ。
これはアメリカの話で、日本では、そういった例はまだ出てないんだけど。
わが社はバイケイソウを北カリフォルニアから輸入して、
エキスを抽出することに成功したんだよ。で、そのエキスを妊娠しぃに注射したら、
同じ奇形がベビに発現した。バイケイソウエキスを錠剤にして、
すでにサンプルができているんで、経口投与する適量を実験したいんだ。」

「それで妊娠しぃが必要なんですね。ところで、奇形ってどんな?」

「まぁ見てもらえればわかるよ。それと、レモナ棟には、産婦人科のお医者さんもいるから、
お母さんの相談もするといいよ。ピルの件はすでに話をしてある。お医者さんの説明を受けてから
ピルを決めていいんじゃないかな。それと、堕胎手術、避妊手術が必要になったら俺に言ってくれ。
スケジュールを決める関係もあるんでね。」

「はい。」

「じゃあ、みんな行くモナ?」

モナ川の言葉にみなうなずき、エレベーターに乗った。

33 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/11/10(月) 13:57 [ hGDzyKlI ]
7階の部屋に、レモナ棟があった。5人は、エレベーターから降りると、
タカラギコ&ジサクジエンが「分娩室」と書かれた部屋から、黒いビニールを持ち、
血まみれになって出てきた。タカラギコは
「ああ、あのちびちゃんですね。少ししたら会いましょう。」
と、挨拶をして出て行った。

分娩室からは母親しぃともう1人の女性の言い争う声が聞こえてくる。

「ベビちゃんに、なんてことしてるのよ!!!!」

「シィィィィィ アンナノ ワタシノ ベビチャンジャ ナイワヨ!!!!!!」

「現実を見なさい!!!自分のベビを床に投げつけて、頃してしまって。
あの子を育てることもできたのに、あなたは頃しちゃったの。
自分のことを棚にあげて(ギャクサツチュウ)ってよく言えたものね」

「ベビハ マタツクレバイイ。 ナンニンデモツクレルモン!!」

「もう無理よ。アハハハ。あなたは、ここから別の場所に移されるんだから。
もう、出られないんだから。だれか、この人を、MMG棟に移してね。
止血処置は済んでいます。ギコ君にモルヒネの経口投与をお願いしてください。」

「はい、レモナ先生」
「来なさい。」 

二人の看護士のモナーに母親(だった)しぃが連れて行かれる途中、
ちびたちとすれ違った。母親だったしぃはちびを見つけると、
「アハハハ キケイノ チビチャン イキテテ ハズカシク ナイノォ?」
と、ちびを馬鹿にした。ちびは殴り倒してやりたくなったが、我慢していた。
3人が見えなくなった頃、モラ山、モナ川は感心して、
「ちびちゃん。よく我慢できたモナね。」
「漏れなら、殴り倒したけどなぁ。ちびちゃん。よくがんばったね。」

34 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/11/10(月) 13:59 [ hGDzyKlI ]
モラ山がちびをほめたすぐ後に、「擬古矢君?」という声が聞こえた。
「先生、お邪魔してま~す。どこに案内すればいいですかね?」
「あら、かわいいちびちゃんじゃない。産婦人科医のレモナです。はじめまして。
握手はちょっと待ってね・・ちょっと身支度を整えてくるわね。擬古矢君、診療室で
待ってもらってて。そこで説明もしてね。」

分娩室の隣の部屋が診療室になっている。1人用、2~3人用のソファーがあり、
ちびは一人用のソファーに座っていた。擬古矢は丸椅子に、ダッコ映像の3人は
2~3人のソファーに座って待っていた。

医師の机には、ホルマリン漬けのベビの遺体が容器に入り、浮かんでいた。
まるで案内嬢のようだった。
観察してみると、ベビの目が1つしかなく、鼻や口もどこにあるかわからない。

「これが、ここで見られるベビの奇形。単眼症って言うんだ・・・」
「そうなんですか・・・・バイケイソウを食べてた羊も、こんな奇形があったんですか?」

擬古矢が答えを言う前にレモナが現れ、
「そうよ。サイクロパミンって言う毒素のせいなんだけどね。胎児期のコレステロールの
輸送を阻害することにより神経系に著しい障害を引き起こすんだって。
まだ、コレステロールの発生における役割は明らかではないんだけど、
マウスの研究によればsonic hedgehog という遺伝子がこれに関連しているみたいなの。
どうもしぃも、同じみたいね。」

「わかりました。ところで。バイケイソウの錠剤を見せてもらえます?」
レモナは緑色の錠剤を見せると、ちびは思わず「ベタベタかも・・・・」とつぶやいた。
「やっぱり??? ハハハ。素直ねぇこの子。
 擬古矢君。カプセルにするか、錠剤の色を変えるか検討したほうがいいわね。
 ちびちゃん。貴重な意見をありがとう。」
レモナは握手をちびと交わした。

「話は変わるけど、ピルについての説明をしましょうか。
ちびちゃんのママはお薬って、飲み忘れするほう?」

「飲みません。味が嫌なんだって。本当こどもみたいで嫌になります。」
「ハハハハ・・・」

これくらいの粒なのよ。と、レモナはちびにピルのシートを見せた。

「毎日飲む薬なんで、飲み忘れがあると困るの。
21錠型は21錠飲んで7日休むのね。休んでいる7日の間に消退出血がきます。
28錠型は、毎日飲み続けるの。
ここに1って書いてあるでしょう?ここから初めて、番号順に順番に飲ませてね。
ホルモンの量が薬の色によって違うのよ。最後の色にはホルモンがありません。
飲み忘れをしないための偽薬です。最後の色の錠剤を飲んでいる時に
消退出血が来ます。
 これは21錠型・28錠型両方ともなんだけど。必ず時間を決めて飲ませてね。
1日一回ね。今日は簡単に説明をしたけど、細かな説明はこの次でいいかしら?
どのピルがママの体に合うかまだわからないし。いろいろ試してママに合うものを
探しましょうか。」

レモナの説明にちびはうなずくと、
「今日は、いい意見をくれたお礼にプレゼントするわね。どっちがいい?」
「えっ?」
「お礼に今日はピルをあげる。」
「レモナ先生。ありがとう。でも、母が妊娠してるかもしれないんです。」
「そう、それなら、近いうち連れてきて頂戴。それから決めても
遅くないわね。」
「はい。」ちびはうなずいた。

そろそろ時間も時間ですしと、擬古矢がレモナに告げた。
「じゃあ。さようならかしらね。ちょっと名残惜しいけど。」
「レモナ先生。ご説明ありがとうございました。」
ちびが礼を言い、4人は頭を下げると、
レモナは「いつでもいらっしゃいね。お礼はさせて頂戴ね~。」
とちびに言いながら、5人を手を振って見送った。

ちびは何度も、レモナに頭を下げて
4人とともに レモナ棟を あとにした。

35 名前: 9・焼却炉 投稿日: 2003/11/10(月) 14:01 [ hGDzyKlI ]
エレベーターの中でちびは、
「ウマレタダケ シアワセナノカナ・・・・」と呟いた。

モラ谷は、
「ちびちゃん。漏れは親になってないんでわからないけども、
親になるって言うことは、親になる責任もついてくるってことだと思うんだ。
ちびちゃんが馬鹿にされてるのを見てて、お母さんは君の同族に怒ってくれたか?
普通なら怒るぞ。丸耳の子とその子のお母さんを知っているけども、
自分の子供が丸耳なのををアフォしぃに馬鹿にされてるのを見つけた
その子のお母さんは、アフォしぃをぼこぼこにしていた。
漏れ、そのお母さんを見て母親の強さって言うのを感じたぞ。」

「それに、母は強しって言う言葉があるモナ。母親はいろんなものを背負って
 強くなっていくと思うモナ。」

「そろそろつくぞ。」擬古矢は到着を告げる。

チン。
地下1階に着いたことを知らせる音が鳴った。5人が降りると、
焼却炉とかかれたドアの向こうから、やけに陽気な歌声が聞こえる。

不謹慎で、陽気なレクイエムだ。

♪奇形を殺(や)ったの しぃちゃん しぃちゃん
 自分のベビなの  しぃちゃん しぃちゃん
キモイし ウザイし  はにゃにゃにゃにゃ~ん
マターリ したいし はにゃにゃにゃにゃ~ん♪

「カエウタ ハヤッ! ウマイカ ヘタカハ ベツ!」

「ジエンさん。 きびしいっすよ~。」

能天気なやり取りも聞こえて来る。

擬古矢がノックすると、「ドゾー」という声がしたので、
5人は中に入った。
タカラギコは焼却炉の中に何かを入れていた手を休め、
ジサクジエンはペダルのようなものから降りた。

「作業中悪いな。」

「いいえ~。一旦灰を集めようと思っていたんで、気にしないでください。」

「ソレニ イップク シタカッタ!」

焼却炉の隣に、休憩所がある。案内された5人は
椅子をタカラギコに勧められた。7人が着席すると、
擬古矢が説明を始めた。
「ここは、遺体を焼却している。今、燃やしてたのは、レモナさんのところの、
頃されたベビだよ。1回にベビ・ちびは20匹ぐらいまとめて焼却してるらしい。」

タカラギコが続けた。
「焼却炉なんだけど、冷蔵庫もあるんです。
 遺体を保存するんですって。変でしょ?ここ。」

「遺骨ってどうしてるんです?」ちびは疑問を口にした。

「コプーンニスル! 」

「MMG棟からの遺骨は粉にして、麻薬の増量剤にするようです。
MMG棟の人たちが詳しいんで、彼らの説明を聞いてもらえると
ありがたいんですけど。」

「ベビノ コプーン アツメタバカリ!」

「レモナさんの所のベビの遺骨は、まだ少量しか集まってないんです。
成分は、これから調べるらしいです。」

「じゃあ、遺骨はここから出ないモナ?」

「ベビの遺骨はわかりません。成分によりますね。MMG棟の遺骨は
 ここから出ることはありません。」

「そうなんですか。一種のリサイクルですね。」

擬古矢は外を見ると、もう夜になっていた。
「ちびちゃん。今日の研修は終わりだよ。ご飯はどうする?」

「車の中と、こっちで十分いただきました。お腹すいてないの。」

「そう。お薬を飲んで、早めにお休み。明日は
 MMG棟の研修になるからね。」

また、エレベータで移動し、3階に着いた。
ここは、宿舎になっているようだ。廊下を歩きながら
いろいろと説明を受けた。 売店、お風呂、各人の部屋・・・・

一室の鍵を擬古矢に渡された。
「今日はここで眠りなさい。」中に入ると、擬古矢はドアの向こうで
「じゃあ、明日迎えに来るから。」と言い、ちびと別れた。

ちびはふかふかのベッドの中でもらった薬を飲み、
電気を消し、眠りについた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バイケイソウ&単眼症に関する記述は
したらばの グロラボ掲示板・「奇形児を語ろう」スレの
5さんの書き込みを元に検索しました。

ピルに関する記述は
自分のかかりつけの医者の説明を
引用しています。(人間様ので申し訳ない)

増量剤に関する記述は
山口 椿さんの著書より引用しました。

幻冬舎 アウトロー文庫って
もしかして、成人指定?

次回、ちびちゃんの研修 2日目編にいきます。

次回:擬古田薬品 (2)

擬古田薬品 (2)

前回:擬古田薬品 (1)

49 名前: 10・MMG棟 (薬物ミニ知識編) 投稿日: 2003/11/19(水) 13:11 [ 2XccdJxA ]
ちびしぃは、MMG棟での研修が始まる時間よりも、かなり早くに目が覚めてしまった。
お風呂場で体と顔を洗い、自分の部屋で身支度を整えても、まだ時間があったので、
少し早い食事をとり、外の空気にあたっていた。
爽やか過ぎる、朝であった。

擬古矢がダッコ映像の3人と一緒にちびを呼びに来たので、
5人で一緒に、部屋を出た。エレベーターに乗り、6階に案内された。
ドアに(合同会議室)と書かれている。
4人は擬古矢に促され、会議室の中に入った。
(学校ってこんな感じなのかしら?)とちびしぃは思った。

会議室について、擬古矢が説明を始めた。
「ここはMMG棟・レモナ棟の合同会議室です。
 ダッコ映像さん。ちびちゃん。
 まずはここで、ちょっとした講義を受けてもらいますね。
 先生はMMG棟の責任者の3人です。モララー・モナー・ギコ
 この3人が責任者を勤めているので、頭文字を取ってMMG棟と呼ばれています。」

擬古矢の説明が終わって10分ほどしたあとにモララーが現れた。

「みなさん、おはよう。漏れが、モララーだ。
漏れの説明は、ここで扱っている麻薬についての説明だな。
すでにダッコさん達は知っていると思うがちびちゃんのために。」

モラ山、モナ川、モラ谷はうなずくと、
「ちびちゃん。麻薬の映画のことはすでにダッコさん達に聞いているね?
 ここで扱っている麻薬のことについて簡単に、説明をしようね。」

「麻薬というのは、麻酔作用のあるお薬のことです。
免許を持った人しか扱うことはできません。麻薬を輸入したり、製造したり、
処方したり、研究したりするのには免許が要ります。
お医者さんの中にも、麻薬取扱者の免許を持った人でないと使えません。」

「アッパーとかダウナーってあるじゃないですか。どういう違いがあるんですか?」

モラ山が尋ねると、モララーが、ニヤニヤしながら、
「それは、我々とは別の世界の言葉だね。簡単に解説すると、
アッパーは気分が高揚するタイプの薬、
ダウナーは、気分がまたーりとするタイプの薬のことだよ。
アッパーの例は覚せい剤、リタリン、
ダウナーはヘロイン、アヘン、睡眠薬とかかな。」

「リタリンと睡眠薬は、お医者さんで使ってる薬じゃないですか?」
ちびが尋ねると、モララーは少々沈んだ顔で、
「お医者さんは、本当に必要な人たちに処方したいんだけどね。
快楽目的で使うお馬鹿さんのおかげで、悲しい思いをしている
人たちがいるんだよ。それを忘れないでね。」

全員がうなずくと、続いて、撮影で紹介する薬物についての説明を始めた。
彼は、黒い塊を机の上に置き、「臭いでしょ。」といって窓を開けた。

「次に、あへん・モルヒネ・ヘロインについて話そうか。
3つとも親子みたいなものなんだけれど。で、これがあへん。
けしの実を傷つけて、そこから出た液を固め、天火で乾かした物だ。
これを、精製してモルヒネができる。モルヒネは、医薬品として厳重に管理されている。
主に、末期がんの患者さんに鎮痛剤として使用されている。
モルヒネを精製してできた物がヘロインだよ。」

ちびが、「使うとどんな症状になるんですか?」と聞くと、

「それは、モナーとギコの説明を受けながら、実際に見てもらったほうが
わかりやすいかもしれないな。漏れの時間はこれでお終い。少し待っててね。
モララーとギコが迎えに来るから。」

ちびと、ダッコ映像の4人は、モララーに礼をいい
モナーとギコを待った。

50 名前: 11・MMG棟 「見学(事前説明)」 投稿日: 2003/11/19(水) 13:17 [ 2XccdJxA ]
会議室のドアをノックする音に、モラ谷が応答すると、
白衣を着たモナーとギコが現れた。
彼らは全員と挨拶を交わし、説明を始めた。

「さて、被験者達の見学へ実験棟に行く前にちと説明するぞ。ゴルァ
まず、第一段階は、全員一部屋にまとめて、モルヒネを経口投与している。
大体2週間ぐらいかな?彼らの身体症状、
すなわち嘔吐とか、ふらつきとか、消える者が出てくる。薬に慣れてきたってことだ。
ただ、便秘は氏ぬまでずっと続くので、定期的に職員が浣腸をしてるんだ。」

「それから、吸引室へ移動モナ。ここで、しぃ・ちびしぃ・ちびギコを
分けるモナ。吸引室には2種類あって、増量剤入りのヘロインを吸わせる
グループ、そして100%の純度のヘロインを吸わせるグループに分けている。
部屋は6室あることになるモナね。」

「いや、8室だ。ベビどもの部屋もあるぞ。経口投与している最中に
コウビして、妊娠したしぃとちびしぃが産み落としたり、
吸入しながら、ボランティアの皆さんとコウビして、
妊娠し、出産したベビの部屋だ。個体差があるからな。妊娠能力が消えていると思われる時期
にコウビしても妊娠してしまっている者とかもいるんだ。
それと、吸引室の部屋の上に6ヶ月とか、3ヶ月とか期間の書かれた札が掛かっているが、
それは、初めてモルヒネを投与した日からの期間を考えてくれればいい。」

「おっと、もう1室はモニター室モナね。それぞれの部屋と、モニター室に
観察日記があるので、よかったら見てみるといいモナ。どっちかといえば、
モニター室のほうが、記録としては細かいね。何せしぃちゃんのすべてを知りたい人たちが
記録をとっているからね。」

「1年以上のグループは、注射をしているんだ。もう吸入方式じゃ
我慢ができなくなってるみたいだな。量も、被験者に任せているので、
下手すると死体を目撃するかもしれないぞ。ゴルァ」

ちびが、「いわゆるOVERDOSEってやつですか?」と質問すると、
モナーが「そのとおりモナ。鋭いモナね。」と答えた。

「どんな状態か見に行こうか。」ギコの声に皆同意し、実験棟に向かった。


173 名前: 12・実験棟(経口投与室) 投稿日: 2003/12/09(火) 09:59 [ BzRMHfQs ]

5人は実験棟に通された。実験棟のある階の部屋は
階段に近い順に経口投与・ちびギコ部屋・ちびしぃ部屋
しぃ部屋・モニター室の順に並んでいる。

まず、(経口投与)と書かれた札が掛かっている部屋に入った。
ちび達がいる部屋と、被験者達の部屋はガラスの壁で隔てられていて、
被験者側の部屋には、監視カメラが設置されている。ちび達がいる部屋に
スピーカーが設置されている。スピーカーから被験者達の音声が聞こえてくるそうだ。
被験者の音声を聞くには、モニター室で機材の操作をしなければならず、
そのためにモニター室へ連絡を入れる必要があるそうだが。

この部屋には、ちびしぃ・しぃ・ちびギコ・フサギコが一緒にいた。
部屋の向こうには、頑丈な鉄のドアが見え、ドアの窓にはめ込まれた鉄格子
コンクリートの壁が覗いている。そこの部屋には
ちびしぃ・しぃは各10匹、ちびギコ・フサギコは各5匹、
それに、レモナ棟から連れてこられたしぃが1匹。
31の被験者がそこにいた。被験者達はそれぞれ小さな番号札つきの
耳飾りをつけている。個体を識別するためだそうだ。

「お腹の膨らんだしぃ達がいますね。妊娠?」とちびが聞くと、
「レモナさんとこで診てもらったら、一匹を除いて、全員便秘モナ。」
「そろそろ特殊な趣味を持ってる連中に頼んで、浣腸だな・・・・」
「特殊な趣味って??」とモラ山が聞くと、ギコは気持ち悪そうな表情で話し始めた。

ギコの言う(特殊な趣味を持ってる連中)とは、
しぃに対し、特別な感情をもっており、糞でも愛でることができる連中のことらしい。
浣腸の仕事やほかの仕事のために(ボランティア)で雇おうとして金額を提示したのだが、
(しぃちゃんのいろんな姿が見れるなら無料でもいい)と行ったつわものがいたそうだ。
ちびが開いた口がふさがらないといった表情をすると、
「しぃのウンコを掻き出したいと言ったやつもいたんだ。正直気持ち悪いぞ。」と
ギコは青ざめた表情で話していた。

モナ川は、なにか気まずい空気を読み取ったかのように、
「話を変えよう。観察日記を見せてもらっていいモナ?」とギコに聞き、
ギコが了解したので、日誌を見ることにした。この部屋の日誌は、
被験者達が自由に書き込み、その下に研究員が
一言書き込むという形式を取っているようである。

-----------------------------------
★月○日 

・今日は、ちびしぃちゃんとしぃちゃんと3pしたデチ。
 こういうのを「ハーレム」て言うんデチね。
 ちびちゃんのういういしいところもいいデチが、
 しぃちゃんの大人の色気もいいデチ
 よーしパパ明日もコウビしまくるぞー

・キョウハ チビギコト コウビシタ。
ホントハ ギコクント コウビ シタカッタケド 「タマニハ ショタモ イイカモ」
チビクンハ スグニ カイフクシテ ナンドデモ デキタ。
コウイウノモイイカモ・・・・・

・サイキン ウンチサン デナイヨォ
マスクノヒトニ カンチョウ シテモラエルノハ ウレシイケド ウンチサン タベラレナイヨォ
ウンチサン サベサセテクレナイノハ ギャクサツチュウダヨ!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★月○日 記入者 モララー

レモナ棟から連れてきた1匹を含む31匹の被験者が入った。
すぐに頃してやりたいが、まぁ、緩慢に頃しているようなもんだからいいか。
レモナ棟からの1匹は手術後ということもあり、モルヒネを点滴している。
もしかしたら、早めにこの部屋を出ることになるかもしれないな。

コウビを始めている者が早速いる。こいつらの頭の中にはコウビしかないのか
ダッコしかないのか、と小一時間問い詰めたい。漏れは問い詰めたい。
その上、ボランティアが食事としてしぃフードを出したら、
「甘くてやわらかい物しかしぃちゃんは食べないんだよ。」だの
「高級な物食わせろ」だのと行ったらしい・・・・それが、この書き込みかい!!!

(甘い物・柔らかい物・高級な物)しか食べないとぬかしておきながら、 
「ウンチサン タベサセテクレナイ」 と矛盾を言いやがる。漏れは、正直混乱している。

ボランティアが、被験者(便秘の者に対して)の摘便作業を希望したので、
「せいぜいグリセリンやお湯での浣腸にとどめておいてくれ」と頼んだ。
被験者達は凄く脆いので、便と一緒に、こてっちゃんまで出されると非常に困る。

174 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/12/09(火) 10:00 [ BzRMHfQs ]
「・・・・・・・・」
全員、コメントに困ってしまった。

モナ川は、
「えーと、ここ以外で多少楽そうなとこってどこモナ?」
と擬古矢に聞くと、擬古矢は考え込んでしまった。
「ベビ棟かなぁ。」モナー・ギコが同時に口にした。

「ベビ棟は、レモナさんとこの単眼症の子はいないんで
多少は大丈夫かもしれないけど、全員ドラッグ・ベビーだぞ?」

「でもここ以外は、全部同じような感じモナ。」

擬古矢の(大丈夫か?)という意味を含んだ問いに、
モナーが答えると、ちびが口をはさんだ。

「擬古矢さん。これは、ちびの個人的な感想なんだけど、
麻薬って、私達のいろいろな仮面を剥ぎ取っていくような物なのかな。
ここのお部屋は、すごろくで行ったらスタート地点みたいな物なのかもね。
ここから、順当に進んでいったほうがいいかもしれない。ベビ棟は後でもいいよ。」

「ちびちゃんがもっともなこと言ってるんだから、大人が泣き言を言うのもなぁ・・・」
モナ川が呟いた。

モラ谷は擬古矢に、
「擬古矢さん、増量剤の説明をしてもらって、純度100%のお部屋だけ見せてもらっていい?
増量剤のグループの方は、100%のグループの方と何か違いはある?」と聞いた。
「ありません。症状が悪くなっていく速度の違いだけですかね。」
ギコに即答され、モラ山は、
「じゃあ100%のほうだけ見せてもらおう。それと増量剤のことを焼却炉で聞いたんだが、
説明をお願いできるかな。」とギコにたのんだ。

ギコは、モラ山の申し出を了解し、モナーが説明を始めた。

「実は、しぃ達に渡すあへん系麻薬のコストが問題になったんだ。
100%の純度の物を渡すと、あまりにコストが掛かりすぎということで。
いかにして金を減らすかという話になって、ギコが戯れに買った本の中身を社の上の者
に話したら、実験を行い、結果を報告するようにというお達しが出て・・・・」

ギコが続ける。
「本に書かれているいろいろな物を試したら、一番いいのは中毒者の骨だったんだ。
金がかからないっていう点でも、ほかのいろいろな点でも。上の方に、
実験結果を報告したら、骨粉と、麻薬の割合を調べる様に言われて調べているんだ。
今回は骨粉を30%混ぜたグループ。どこまで純度を下げて大丈夫かっていうのを
現在調べているんだよ。」

ちびが「ある種のリサイクルですね」と、モナーに感想を言うと、
その場にいた全員が苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ、少し仮面が剥がれた被験者達を見に行くかゴルァ?」
苦笑いを浮かべたギコが冗談交じりに皆に次の部屋へと促すと、
皆が困ったような笑みを浮かべてギコに同意し、
「経口投与」と書かれた札のある部屋を後にした。

175 名前: 13・実験棟(3ヶ月・ちびギコ&フサギコ部屋) 投稿日: 2003/12/09(火) 10:02 [ BzRMHfQs ]
続いて、3ヶ月という札の掛かった部屋の近くに来た。
まず入ったのは、ちびギコ&フサギコとかかれた部屋だった。
早めの昼食の時間だったらしい。ガラスの壁の向こうでは、
ボランティアが被験者達に食事を与えていた。

ここも、経口投与とかかれた部屋とだいたい同じつくりの部屋である。
違う点といえば、まるで留置所を思わせる鉄格子のドアの小部屋があるくらいだ。
小部屋に入室しているちびギコはいなかった。
また、部屋の一角ににあるテーブルの上には白い大きな塊と、
塊から粉を削り取るためと思われるナイフが人数分置かれ、吸引具・薬包紙なども点在している。

「この部屋は定期的に薬は投与してないんだ。いわゆる、頓服状態だな。
マターリしたいときとか、コウビ前やオナーニ前に粉薬を鼻から吸えば、マターリ感や
気持ちよさが倍増すると騙して吸入方法を教えたんだ。」

ちびが、「ちびギコ部屋なのに何でちびしぃがいるの?」と
耳の先に2番の番号札をつけたちびギコを指差すと、
モナーが「日誌を読んでみてよ。理由もわかるから。」とノートを差し出したので、
皆は、日誌を読むことにした。

----------------------------------------------------
ちびギコ部屋 ○月×日

・ちびしぃちゃんとコウビしまくりデチ。
毎日のごはんもおいしいし、白衣のフサギコたんが教えてくれた
お薬を鼻からすいこむと、ちびしぃちゃんやしぃちゃんとのコウビも
気持ちよさが倍増デチ。ここは天国デチね。

・白衣のフサたんがおしえてくれたお薬を鼻からすいこむと、
何回でもコウビができるでち。それにコウビが終わると何時間でも眠れるでち。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○月×日 ちびギコ部屋 記入者 フサギコ

まずは、某大人のおもちゃメーカーに感謝を。しぃ、ちびしぃの型の
いわゆる、(丈夫なリアルドール)を写真だけ渡して発注したら、
精巧な物を作ってくれた上、「連続一週間でも破れません」とニヤけて説明した。

ヘロインの吸入方法を教えておいた。
(コウビの気持ちよさが増す薬)とヘロインについて説明したら、
被験者達は熱心に説明に耳を傾けていた。欲望に忠実な連中だ。

被験者達の書き込みや、モニター室の日報によると、
疲労感が麻痺しだしている者が出始めているようである。
3時間超のオナーニ、3日間の睡眠・・・・・既に性欲の抑制が聞かなくなっているとも
考えられる。こんな状態の連中に、しぃやちびしぃを投げ込んだら、かくじつに
あぼーんだな。と妄想してみる。
食う、寝る、遊ぶの3種類揃って、さぞや彼らは幸せなことだろう。 
--------------------------------------------------------------------------

ちびギコ室の中に爆笑が響いた。
「人形だったんですか!しかしよくできてるなぁ・・・・」
「てゆーか、ちびギコが気付かないのがおかしいね。」
「ハハハハ」

ギコがおどけた。
「しぃちゃんやちびしぃちゃんとのセクースのつもりだろうが、実はただのオナーニだったとさ。
という落ちでした。ちゃんちゃん。」

モナーが続ける。
「それもただのオナーニではないよ。3時間4時間は当たり前、下手すると一日以上も
オナーニ漬けだったりするし。そして、体力の限界になると、泥のように眠るんだ。」

「もう、何回射精したかも自分でもわからないんだろうな。それに皆見てみろ。あれ。」
ギコに促され、皆がガラスの向こうの部屋を見ると、ちびギコが自分の腰を振らずに、
しぃの人形を腰のあたりを持って激しく振っている。人形は揺れまくり、今にも破れそうだ。
ちびギコの顔を見ると、よだれをたらし、恍惚の表情を浮かべている。
「相手のことを思いやるということは、性欲を抑える、理性で抑えるということにも
つながるんだよ。でも、もうあの被験者は、できなくなってる。」
モナーがさめた口調で皆に説明をした。

「オナーニを覚えたサル状態ですか?」「・・・・・・」
ちびの質問に、みな黙りこくってしまった。
「すいません。もうここはいいです。次いきませんか?」
沈黙の詫びを入れるような口調での、ちびの言葉に従い、
皆は、ちびギコ部屋を出た。

176 名前: 14.モニター室 投稿日: 2003/12/09(火) 10:04 [ BzRMHfQs ]
ちびギコ部屋を出たダッコ映像の面々と、ちびしぃ、擬古矢は
隣のちびしぃの部屋へ行こうとして、モナーとギコに止められた。
「モニター室に先に行くぞ。ゴルァ。」

「?????????」
「モニター室ですか?見るところあったっけ?」
5人が不思議がっていると、
「まぁまぁ。面白い物を見せるモナ。」とモナーが盛んに勧める。
二人に後ろをふさがれる形で、5人は一番奥のモニター室に入った。
ドアに「必ず最初に日誌を確認!!!!」と書かれた紙が貼られていた。

「ここでは、各部屋の被験者の行動を監視しているんだ。
ここの日誌は、行動記録みたいなもんだな。日誌に書かれてる
番号は被験者の耳の札だ。ちょっと古いけど」といってギコは日誌を見せた。
特記すべき事項を書き込んだり、ボランティア間の連絡に用いているようである。
-------------------------------------------------------------------

×月△日 経口投与部屋 記録者 ○△木 しゃぶ朗 AM8:00~PM5:00

特記事項 2・5・8番が嘔吐。 

嘔吐した時刻 2番 AM10:00、 5番 PM12:00 8番 PM 3:00

食事は全員残さず食べていた。
前回浣腸時より14日以上経過しているため、ボランティアに呼びかけを行う。

-------------------------------------------------------------------

3ヶ月 (ちびギコ&フサギコ)

特記事項 2番がAM10:00よりオナーニ開始。PM4:35過ぎても続けているため、
     夜勤さん、継続して監視をお願いします。

7番がPM12:00より睡眠。

10番はAM8:00に私が入った時点で既に睡眠中でした。食事のときに
ボランティアに生死の確認をお願いしました。生きている、とのことです。
PM4:35過ぎても睡眠中のため、継続して監視をお願いします。

-------------------------------------------------------------------
(ちびしぃ)

特記事項 1番がAM9:35よりお祈り、9:40よりコウビ中。
PM12:00に終了  12:30より睡眠中のため 継続して監視をお願いします。

6番がPM3:00に目覚めました。24時間の睡眠です。

-------------------------------------------------------------------
(しぃ) 6番がAM9:00に陣痛?を訴えたため、レモナ先生を呼びに行かせる。
     AM11:00、6匹のベビを出産。即座にヘロインを吸引したため、
レモナ先生が育児放棄&ベビの治療が必要と判断し、ベビ棟に、ベビを連れて行った。

8番 PM4:26よりお祈り、PM4:30よりコウビ中。
継続して監視をお願いします。

177 名前: 14.モニター室 投稿日: 2003/12/09(火) 10:05 [ BzRMHfQs ]
「・・・・・????」
何でここに連れて来られたのだろうという表情の5人がいた。

モナーがモニター室の機械の操作をしながら、
「本当に見せたかったのはこれ!」とあるモニターを指差した。
モニターに移った画像を皆が見ると、しぃがなにやら祈りをささげている。
「音声を今聞かせるから、ちょっと待ってな。」とギコがなにやら
つまみを引くとしぃの祈りが聞こえてきた。

「マターリノ カミサマ マターリノ カミサマ シィノ トコロニ ギコクンヲ ツレテキテ クダサイ。
ギコクント コウビガ シタイデス。」

一番早くて2分ぐらい、遅くても5分以内に床の穴から棒のような物が生えてきた。
モニター室のボタンを操作しながら、モナーが説明した。

「ここの画面じゃ見づらいけど、あの棒はティンポだ。今は、モナーが連絡したけど
いつもは、この部屋の監視当番が、しぃやちびしぃの祈りを見つけたら、
ボランティアさんたちの詰め所に連絡を入れて、元気な人たちが、
ああやって抜いてもらってるんだよ。」

「ボランティアさんの顔も見てもらおうか。」
とギコがモニター室のボタンを操作し、床下の様子が映し出されると、
モニター室に爆笑が響いた。床下には恍惚の表情を浮かべた、
かなり顔の造作が不自由な男性が横たわっていたのだ。
「笑わせに来たのか!お前ら!」笑いをかみ殺しながら擬古矢が言うと、
「3ヶ月のグループの部屋を見終えると、地獄が待ち構えているので、笑い収めだから。」
と、冷静な顔のモナーが切り返した。

(地獄??)ちびには地獄の意味がわからなかった。
混乱が、ちびの顔を青ざめさせ、息も少々荒くさせていた。
「ちびちゃん。大丈夫?」擬古矢がちびを気遣った。
「ええ。ちょっと混乱しただけです。」

「ちびちゃん。百聞は一見にしかずモナ。後2部屋見終わると地獄の意味がわかるモナ。」
「そうだな。漏れ達も、下調べの意味もこめてちびちゃんと一緒に来てるんだからな。
 しっかり、地獄を見ておかないと駄目だな。」

モナ川とモラ谷に少々力づけられたのだろうか、ちびに少し開き直った感じが見えた。
「モラ谷さん。モナ川さんありがとう。
ギコさん。モナーさん。次はちびしぃの部屋に行きましょう」

ちびがモラ谷・モナ川に礼を言い終わった頃、ドアをノックする音がなった。
「そろそろよろしいですか?」という、ボランティアの問いに
「お。悪かったな。祈りの時間を記載をしたのと、ボランティアさんの連絡は済ませたので
続けて監視を頼むよ。」とモナーが答えた。

モナーとボランティアのやり取りと平行して、
ギコは、ダッコ映像の面々・ちび・擬古矢にそろそろ次の部屋に行こうと促していた。
5人がそれに同意すると、モナーに、「そろそろ次の部屋に行こう」と呼びかけた。
モナーが同意すると、監視当番のボランティアに、皆で礼を言い、モニター室を出た。

178 名前: 15・実験棟(3ヶ月・ちびしぃ部屋) 投稿日: 2003/12/09(火) 10:07 [ BzRMHfQs ]
ちびしぃの部屋に入ると、ガラスの壁の向こうで、ちびしぃもマターリの神様に祈りをささげていた。
(ヒョコッ)床の穴からばらばらにボランティアの男性のペニスが出てきた。
もぐら叩きを思わせる光景で、微笑ましく思えたらしい。ちびしぃが思わず微笑み、
思わず、「もぐら叩きみたい。」とガラスの向こうの様子を表現した。
「ちびちゃんは、面白い事言うなぁ。」「うまいね。どうも。」
モラ谷、モナ川が感心していると、ギコが釘を刺した。
「おいおい、みんな。あの状態が普通じゃない事は頭に入れてくれよ。」
ノートを数冊持ったモナーが続けた。
「ちびギコの部屋でも言ったけど、このグループの被験者は
もう相手を思いやることが出来なくなっているんだ。自制というものがきかなくなっているんだよ。」

「はーい。先生わかりましたぁ」おどけた擬古矢が返事をすると、
「じゃあ、このノートを見て確認しますね。ちょっと先生恥ずかしいけど見てください。」
とモナーもちょっとふざけながら、古い日記を持ってきたので、
モラ山・モナ川・モラ谷・ちび・擬古矢は「はーい。」と幼稚園の園児のような
返事をし、日記のページを開いた。
-------------------------------------------------------------------
★月△日 ちびしぃ部屋

・マターリノカミサマ イツモ アリガトウ ゴザイマス。
オイシィ ショクジニ ギコクンノ ティンポ。 シィハ トテモ シアワセデス。

・7バンノ ゙シィチャント コンド ナンニンノ ギコクンヲ イカセルカ
キョウソウ シマス。 カミサマ ドウカ シィヲ カタセテ クダサイ。 3バンノ シィ

・モナーサンガ「この穴の前でお祈りを捧げると、マターリの神様が、
シャイなギコを連れてきて、しぃちゃんとコウビさせてくれるモナ。」ト オシエテクレタ。
タメシニ オイノリシタラ ホントウニ ギコクンノ ティンポガ ハエテキタ。 ソレニ トッテモ オオキクテ ツヨカッタ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★月△日 ちびしぃ部屋 記入者 モナー

フサギコは、某おもちゃメーカーに感謝を捧げていたので、
モナは、ボランティアさんに感謝を。
よく、お祈りに合わせてタイミングよくティンポを出せるよな。しかも、たたせて・・・・
あるボランティアさんが言ってたっけ。
「1回じゃもったいないので、ためて最低2回は抜いてもらう」って。
もったいないって感覚を持ってること自体感服する。

モナは、とんでもない誤解をしていたことを告白しなければならない。
性欲の亢進が見られるのは、コカインや覚醒剤等のアッパー系麻薬だけだと思っていた。
ヘロインでも同じ状況が見られるとは思わなかった。反省。

ボランティアさんよりお祈りの頻度が上がっていると報告を受けた。
人数は被験者の5倍程度はいるので、お祈りには誰かしら応じられるだろう。
もし全員腎虚になったら、また募集をかければいいだろう。

モニター室の確認も必要になるが、疲労感が麻痺している者が出始めているようである。
日記の記述から推測すると、自制がきかなくなっているのだろうか?
それとも、もともと自己中心的な性格が、さらに増長しているのだろうか?

-------------------------------------------------------------------------
「モナーさん、両方。」ちびは思わず、日記に書かれた質問に答えていた。
「研究者でも、誤解することがあるモナ?」モナ川に突っ込まれると、
「お恥ずかしい・・・」とモナーが顔を赤らめていた。
しばしの沈黙の後、
「こうやって、研究は進んでいって、いろんな物が開発されていくんだね。」
とちびが、かなり強引なまとめと思われる言葉を口にした。
「ちびちゃん。フォローされるとかえって恥ずかしい。いっそ笑ってくれ。」
モナーがさらに顔を赤らめている。

「ちびちゃんがまとめてくれたんで、次行ってみるぞゴルァ。」
某○リフターズの●かりや氏を思わせるギコの一声に皆が背中を押され、
ちびしぃ部屋を後にした。

179 名前: 16・実験棟(3ヶ月・しぃ部屋) 投稿日: 2003/12/09(火) 10:09 [ BzRMHfQs ]
「コメディの最終幕だぞ。ゴルァ。」
ギコのそんな言葉に後押しされるかのように,ちび達はしぃの部屋に吸い込まれた。
ガラスの向こうを注視してみると、奇妙な光景を目にした。
小用を我慢していると思われるしぃがいたのである。
「モナーさん?ギコさん?あれ・・・・なんすか?」
「ションベンを我慢してるモナ?」

モナ川とモラ山の質問に、ギコが笑いながら答えた。
「ハハハ。あれか?見ての通り、ションベンを我慢してるんだ。
薬の効果をできるだけ長く持たせたいんだろうよ。顔を洗わなくなるのもいるし、
体を洗うのをやめるのもいるぞ。ま、ここは製薬会社なんで、
衛生面はきちんとしないといけないからな・・・・・」

モナーが続ける。
「ちなみに、洗顔と風呂の担当もボランティアさんだよ。
うちのボランティアさんは3Kどころじゃないよね。
きつい・汚い・暗い・キモイ・危険・・・・・・
あ!抜いてもらうんで気持ちイイだ。6Kだね。」
皆がいっせいに「モナーさん、最後の違う!!」と突っ込みを入れていた。

かなり場違いと思われる和んだ空気の中、モラ谷はある一点を凝視していた。
ボランティアの入口とは別の場所に鉄格子のドアがある小部屋があるのだ。
まるでペナルティボックスか留置所を思わせる小部屋である。
ちびしぃ部屋や、ちびギコ部屋にも、実は小部屋はあったのだが、入室者はいなかった。
この部屋で、初めて入室者を見つけたので質問することにした。

「あの檻は何ですか?何かの罰用ですか?」

モナーが答える。
「ああ、衛生面をきちんとしないとって、さっきギコが言ったでしょ?
もう、薬を長く持たせるためなら何でもやりますって言う感じで
小便まで飲んじゃうのがいるんだよ。糞は洗い流すから安心だけどさぁ。
小便までは・・・ってことでペナルティだな。」

「そうなんですか。でも、禁断症状がそろそろ・・・」

「おお、出てるぞ。見てみろあれを。」
ギコが指差した先を見ると、ペナルティボックスの中のしぃががくがくと震え出していた。
「音声も聞かせるか?」と言うギコの申し出にモラ谷は甘えることにした。
ギコがモニター室に連絡を入れて、数十秒後に音声が聞こえてきた。

「シィィィィィィィ サムイヨォ ギコクン タスケテヨォ・・・・」
しばらくすると、小部屋の中でしぃが暴れ始めた。
「イタイ イタイ カラダジュウノ ホネガ バラバラニ ナル!!!
タスケテ タスケテ オナガイ タスケテ!!」

「そろそろ ボランティアさんにもう一回連絡が必要だな。」
しぃがのた打ち回る光景を見ながら、モナーがだるそうに呟いた。
「え?」モナ川が思わず声をあげる。
「1人スカトロレースが始まる前に、ボランティアさんに入ってもらって
洗浄の準備をしてもらわないと。」と、モナーが続けた。
「スカトロレース????」
その場にいたダッコ映像の面々や、ちびの不思議そうな声に
今度はギコが説明した。
「モナー。連絡は頼んだぞ。そう、禁断症状の中の1つで下痢を繰り返すっていうのがある。
・・・・・っていってる間に始まったぞ。」

「しまった、遅かったか・・・」
連絡を終えたモナーが思わず呟いた。
「ほれ、あれが1人スカトロレースだ。」
ギコが指差す方向を見ると、しぃがもの凄い量の便を小部屋中に撒き散らしている。
勢いがついてしまったのか、体が車のスピンのように回転している。
回転が止まり、しぃがぐったりして倒れた。小部屋の床はまるで、
こげ茶色のじゅうたんが敷き詰められたようになっていた。
「ほら、前に便秘の話をしたでしょ?薬を飲んでいる間は便秘するって。
禁断症状が始まると、反対に下痢を繰り返すんだよな。溜まっていたから
量も物凄いし、それに臭いも・・・・・」
「・・・・・・・」
モナーの説明に、皆顔をしかめた。沈黙と気まずさが時間を長く感じさせる。

ガラスの壁の向こうでは、被験者のボランティアに対する罵声が響いていた。
「ナンデ オイシイ ウンチサン ステチャウノヨ!」
「コリコリノ ウンチサンガ マタ イイノニ ナンテコトスルノヨ!!!」
ボランティアは無言で小部屋の床と、
小部屋の入所者のしぃの体に水をかけて洗浄作業をしていた。

180 名前: 16・実験棟(3ヶ月・しぃ部屋) 投稿日: 2003/12/09(火) 10:11 [ BzRMHfQs ]
ギコは内線電話でモニター室と連絡をとっていた。
これ以上、この部屋にいる必要は無いと思ったのだろう。
ギコが電話を切って少しした後、ガラスの向こうの音声が切れたのだ。
付箋の貼ってあるノートを彼は持ってきて、
「妊娠しぃについての記述だ。読んでみるといい。記述者のレモナさんは
 レモナ棟で会った人だよ。」といってノートを差し出した。
ノートを見ると、彼女の前任者の医師の助手を彼女が務めていた頃に書かれたもののようである。

-------------------------------------------------------------------

◇月●×日 しぃ部屋

・ベビチャンガ ウマレタケド アンナ ブサイク イラナイヤ。
ギャクサツチュウガ ツレテイッテクレタ。 アシタカラ マタ オクスリ スッテ マターリダネ!

・アンナニ ギコクント アイシアッタノニ ナンデ ベビチャン デキナイノカナ?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇月●×日 しぃ部屋 記入者 レモナ

今日は、ガナー先生のお手伝いで、しぃ部屋の分娩と流産・死産の処置の手伝いをしました。
4匹出産。案の定4匹全員ドラッグ・ベビーです。
ガナー先生の指示で、ベビ棟の保育器に全員移しました。
彼らを使って、解毒治療の練習用にするそうです。
ここは、医師も育てている製薬会社だったのねと初めて実感。
解毒治療に成功した場合は、乳児院に出すそうです。
死産・流産した胎児は看護士に頼んで、焼却炉に運んでもらいました。
10数匹いたかな?

あれだけ、ヘロイン漬けなのに妊娠できる個体がいること自体驚きでした。
普通、生殖機能が低下し、流産・死産が普通なのに。
生まれたベビは血液中の麻薬も一緒に摂取しているため、生まれた時点で
禁断症状が出始めている状況です。母親はといえば、自分の体力を省みず、
早速ヘロインの吸引を始めています。

ベビ棟の日誌にも詳しく書く必要があるのですが、
生まれたベビはみな小さいです。レコ種?とかいう種類を
実際見たことがあるのですが、彼らと同じくらいか、それよりも小さい。
でぃなみの金切り声を上げている個体もいれば、虚脱状態になっている個体もいます。
解毒の実習の開始です。成功すればいいけど・・・・
ベビがあれだけ弱ってるとなぁ・・
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「こういう実験していてこう言うのもなんだけどさ。
ドラッグの最大の被害者ってベビ達やちび達じゃないかと思うんだ。」
モナーが思わず声を漏らす。

ギコもぼやいていた。
「俺みたいな仕事の奴が言うことじゃないけども、
神様って、いたずら好きだろって思うときあるもんな。本当にベビが好きで
ベビを欲しがってる夫婦には子供ができないで、お前は子供を産むんじゃないよって
馬鹿どもが子沢山なの。全員に平等に愛情を注ぐべきなのに、虐待したりする馬鹿もいるじゃんか。」

「やるせなくなってくるモナ。」モナ川も困惑した表情をしていた。

「でも、ちびしぃやしぃ、ちびギコ・フサギコを連れてくるためのセールストークは
浮かびました。3ヶ月のグループを見せてもらってたら、釣るネタは満載でした。」
ちびが少々にやけながら話している。

「ちびちゃん。釣るネタを見つけたんなら、今度は釣られた連中の末路にも興味はある?」
「もちろんです。っていうか見とどける責任があるんだと思うんです。」
モナーの質問に少々びくつきながらも、ちびが答えを返した。

モナ川とモラ山の顔は青ざめ、震えていたが、モラ谷に一喝された。
「お前ら何を震えてるんだ。ちびちゃんがあんなにがんばってるのに。
ここをでて、6ヶ月のグループの所へ行くぞ。」

「はい・・・・」二人は力無い返事をする。
「じゃ、お願いします。」モラ谷の言葉を合図に皆はこの部屋を後にした。

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ちびちゃんの社内研修2日目 (パート1)です。
次回社内研修(パート2)行きます。

今回は、警察関係のホームページと、小説スレ(前々スレ?)保育日記ネタと、
山口椿さんの著書を参考にさせていただきました。

次回:擬古田薬品 (3)

擬古田薬品 (3)

前回:擬古田薬品 (2)

293 名前: 17・6ヶ月 (ちびギコ&フサギコ) 投稿日: 2004/01/26(月) 10:01 [ Tlumu4ZM ]
ちびギコ・フサギコの張り紙のあるドアを開け、中に入ると、ガラスの壁の向こうで
転げ回るフサギコが目に入った。ふさふさだった毛はあちこちに飛び散り、
皮膚が剥き出しになっている。引っかき傷とも縦に切り裂いた傷とも見ることのできる傷が
胸から腹にかけて見て取れた。

この部屋のテーブルには、ヘロインの塊、ヘロインを削り取るナイフ・薬包紙・吸引具の他に、
注射器・駆血帯代わりと思われる細いゴム管が加えられている。

ギコが説明を始めた。
「音声の前に、説明が必要だなゴルァ。ここは、モルヒネの経口投与を始めてから
6ヶ月以上たった部屋だ。実を言うと、被験者達の中で1年以上生存した個体はいない。
禁断症状に苦しんでいる連中もいるし、苦しんでいる様を見て、自分はああなりたくないと思って
吸入の使用量を増やし始めている連中もいる。それに幻覚とか・・・・」

説明を続けようとしているギコをモナーが遮り、
「ギコ、幻覚とかの説明は、音声聞かせながら説明した方がわかりやすいかも。
注射器と駆血帯は・・・6ヶ月もたつと吸入じゃ効かないって言っている連中が出始めてね。
静脈注射のやり方を教えたんだ。ギコ、音声を頼むよ。」

「ん、わかった。」ギコはモニター室に連絡を入れた。

一分ほど経った頃、音声が聞こえてきた。8番の札を耳につけているちびギコが、
「虫がいるデチ・・・キモイデチ・・・・」とぶつぶつ繰り返しながら、
自分の体をナイフで切り裂いていた。「ギ、ギ、ギ、ギャアアアアアアアアアア」
痛みに耐え切れなかったのか、禁断症状からくる全身の痛みなのかは図りかねるが、
悲鳴をあげながらちびギコは床を転げ回っている。

ガラスの向こうでギコが説明を始めた。
「8番のちびギコが「虫がいる」って言ってるでしょ?蟻走感っていうんだよね。
体中を蟻が蠢いている感じって言ったらわかるかなぁ・・・・
気持ち悪くて、体中をかきむしるんだよね。幻覚なんかも出始めてるかもしれない。
体の中にいる虫の幻覚を何とかしてえぐり出そうとしてるんだろうね。」

また、傍らでは1番の札を耳につけたちびギコが、人形とのコウビもどきにふけっていたが、
こちらは3ヶ月のグループの部屋にいたチビギコと勝手が違っていた。
彼の全身から必死さがにじみ出ているのが、ガラスの向こうの面々に感じられたのである。
「なぁんか、1番の被験者って必死モナね。」モナ川が思わず、声を漏らした。
「必死ですねぇ。」ちびが思わず相槌を打つ。

「禁断症状が性器に出てきてるんだよね。勃起しっぱなしってやつだ。
何とかして静めようとしてるんだろうねぇ・・・・でも静まらないんだよね。
何回やっても静まらないの。もう1番の寿命も長くないだろうな・・・・」

ギコの説明に、ちびが疑問を口にした。
「1番の寿命も長くないって?なぜです?」

「まぁ、被験者全員を見てごらんよ。全員痩せているだろ?
食事なんか、もうどうでもいいって状態になっちゃってるんだよね。
それに、薬で衰弱してしまうし。1番みたいに禁断症状が性器にきてしまうと、
ここでは人形のオナーニだけどさ、お姉ちゃんとのセクースでおさめようとする奴もいる。
それで、また衰弱と。薬を取る体力があれば、まだ回復するんだけどもさ。
回復って表現はごへいがあるな。死への延期って言う表現が正しいかな。」

294 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:03 [ Tlumu4ZM ]
「ちびちゃん!あれ!」
ギコがちびの質問に答え終わるか終わらないかのうちにモラ山が絶叫した。
「モラ山君大声・・・・・」
出さなくてもわかるモナとモナ川が言おうとしたが、彼も息を飲み込んでしまった。
1番のちびギコがなんと、あちこちに精を撒き散らしている。
「ちびしぃたん、逝くデチ、逝くデチよ。ああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
彼が声を発した後、数十秒ほど精があちこちに放たれていたが、それも止まった。
1番のちびギコはその後、体を数回痙攣させたが、それも止まり、動かなくなった。

「モナー、モニター室に連絡頼むわ。」急にギコがモナーに告げる。

「り、臨終モナ?」「臨終?」「不謹慎だけど・・・・アハハハハ」
ダッコ映像の面々はそれぞれのリアクションを取っている。
ちびも、思わず笑い出してしまった。
「そう、臨終だよ。でも、笑い事じゃないんだよね。70年代じゃないけれど、
セックスとドラッグはここにあるからねぇ。死因の説明が必要かい?」
モニター室への連絡を終えたモナーの問いに、皆は首を横に振った。
「それよりももう少し落ち着くまで、時間をもらえませんか?」
ちびが笑いをかみ殺しながら頼むと、モナーとギコはうなずいた。
「ちびしぃやしぃの部屋に行くと、笑い事にならないから、今のうちに
笑っておくといい。ベビ棟なんかも、笑い事にはならないし・・・・・」
ギコの言葉に、ちび達の笑いは一斉に止まった。

「どう?そろそろ出る?」
顔が青ざめているダッコ映像の面々に、モナーが声をかけた頃と同じくして、
ボランティアが被験者の部屋に入室してきていた。彼はちびギコの首に触れ、
ガラスの向こうの面々に首を横に振ってみせた。臨終ですという彼なりの意思表示だろう。
すると、彼は盛んにちびギコの死体を指差し始めた。
「死体見るかって言ってるみたいだね。どうする?」
「お願いします。」
モナーの問いにちびは思わず返事をしてしまった。
「見るモナ?」「もしかして、ちびちゃん、ROTTENとかの常連さん?」
モナ川・モラ山の問いにちびは顔を真っ赤にして否定した。

「好奇心があるというのはいい事だね。」
と言いつつモナーは、ガラスの向こうのボランティアに「頼む。」というジェスチャーをした。
ボランティアは大きくうなずき、ちび達に、事切れた被験者の遺体を見せた。
彼は、首を握っている感じで、被験者を持っているため、ちび達には
死体が首吊りをしている状態に見えている。
詳細にちびは観察を始めた・・・・・・・・・

ちびギコやちびしぃは、ふっくらとしているイメージがあるのだが、
それがまったく感じられず、痩せてあばら骨が浮き出ている。
腕には注射のせいと見られる内出血だらけ。それに、縦に切ったと思われる傷跡も見える。
ナイフで切ったんだろうか?
体にも同じ様な縦の傷跡。ギコが言っていた蟻走感という奴に苦しんだのだろう。
股間のあたりを見てみると、毛が、整髪料で固めたように立っている。
先ほどの精子が固まった物だろう。

「モナーさん。手の縦の傷跡ってリスカ?」
「違うよ。血管を探したんだ。そこまでしてでも、薬が欲しかったんだよ。」

「もう、逝くとこまで逝っちゃったんですね・・・・・」
質問の答えを聞いたちびが思わずため息をつく。
「この被験者は1人で逝ったから、まだましな方だよ。
ちびちゃんには悪いが、しぃ族同士の争いは本当に凄まじいものがあるよ。
次の部屋に行ってみると運が良ければ、みられるかもね・・・・・」
ギコは、少し申し訳なさそうな口調でちびに話し掛けた。

しばらくして、急に部屋の中の連絡用の電話がなった。
「わかった。急いでちびしぃの部屋に行く。」
電話に出たモナーが電話を切ると、
「皆、急ごう。ギコが言った、ちびしぃ同士の争いが始まりそうなんだって。
ちょっとえげつないかもしれないけど、見ておく価値はあるよ。」
緊張した面持ちの皆は、モナーの言葉に従い、部屋を出た。

295 名前: 18・6ヶ月 (ちびしぃ) 投稿日: 2004/01/26(月) 10:04 [ Tlumu4ZM ]
ガタッ。
急いでドアを開けて中に入ると、モニター室のボランティアが気を利かせてくれたらしく、
被験者達の音声が聞こえている。
ガラスの向こうでは、3番と7番の小さな札を耳につけた
ちびしぃが互いにナイフを持って睨み合っていた。

「・・・カミサマハ シィチャンダケヲ アイシテ クダサルノ ・・・」
「・・・・ニセモノハ アボーンデス!!・・・・」

モナーは、「まただよ」と呟きながら、外国人の良くやる両手を広げるポーズをとった。
ギコもうんざりした表情をしている。

ちびは、ガラスの向こうの音声を聞きながら、あることを思い出していた・・・・・
いつの頃だったか、母親と母親の友人とともに、路地裏を歩いていたときのことである。
一匹のでぃが、ゴミ箱をあさっていた。
母親や母の友人は複数で、一匹のでぃを嬲り頃した。彼女らはでぃを殴りながら、
「マターリノ カミサマノ ナニオイテ シニナサイ」 と言うような言葉を連呼していた。
でぃが逝ってしまった時に、「キタナイノガ キエテ マターリダネ」と話していたのも、
ちびの脳裏に蘇ってきていた。

ちびの回想は、7番の札を耳につけたちびしぃの悲鳴によってかき消された。

296 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:06 [ Tlumu4ZM ]
ガラスの向こうでは、3番のちびしぃが7番のちびしぃの耳を利き手でつかみ、
今まさに、(耳もぎ)をしようとしているところであった。
反対の手で、ナイフを持ち、切込みを入れた時に7番のちびしぃが悲鳴をあげたのだ。
「シィィィィィィ!!!! シィノ オミミガー!!!」
3番のちびしぃの力が弱かったのか、それとも筋肉繊維と逆らって切っている為なのかは不明だが、
耳もぎに、思いのほか時間がかかっている。それが、7番のちびしぃの苦痛を長引かせた。
「ギャアアアアアア ダッゴスルガラ モウ ヤベテェェェェェエエエ」
もう、7番のちびしぃは哀願口調になっているが、3番のちびしぃは無視している。
あろう事か、戦利品の耳を、口に放り込み噛み始めた!

「モウ ヤベテェェェ コンナノ マターリジャナイヨォ ・・・・ シィチャンノ オミミ カエジテェェェェェ」
7番のちびしぃが泣きながら3番のちびしぃに訴える。3番のちびしぃは、
「ウルサイワネ ニセモノノ クセニ。 ソンナニ イウナラ カエスワヨ」
と、口の中で噛んでいた(耳だったもの)を吐き出した。
彼女が噛んでいた耳は、もう繊維状の物に短い毛が絡まっている状態の
ガムもどきの物になってしまっていた。
「コンナンジャ モウ クッツカナイジャナイ! ナンテコト スルノヨ!」
さっき泣いたカラスがもう笑ったという言葉ではないが、
7番のちびしぃは3番のちびしぃに怒鳴っている。
「ダッコ スルカラ・・・・」と哀願していたのは、嘘だろうというくらいの変わり身の早さだ。

「モウ オミミモ アジガ ナクナッテ ダメネ。コンドハ、 ドコニ シヨウカシラ。」
「エ?」
凶器に満ちた笑みを浮かべ、3番のちびしぃが言った言葉に、7番のちびしぃが
面食らった表情をしている。
「ギュウタン ハ ウシサンダケド シィチャンノ シタハ ナニカシラネ。」
「コンナノ マターリ ジャナイヨ? マターリ シヨウヨ。 ミンナデ ナカヨク ハ・・・・グハァッ。 」
ボタボタボタボタッ。
7番のちびしぃがハニャニャニャニャンという前に3番のちびしぃが、
舌にナイフを入れたため、7番のちびしぃが吐血する。床にこぼれ落ちた血液に、
他の被験者が群がり、啜り、舐め尽くした。

「ボランティアサン イッテタヨ。 ニセモノノ シィチャンノ ホネハ マターリノ カミサマヘノ オソナエモノ ナンダッテ。」
「ニセモノノ シィチャンノ オニクハ マターリノカミサマカラ シィチャンヘノ オクリモノナンダッテ。 」
「ダカラ アンシンシテ シンデネ!」
痛みに転げ回る7番のちびしぃに、容赦なく他のちびしぃ達が言い放っている。
3番のちびしぃと5番のちびしぃが2人がかりで、7番のちびしぃの動きを止める。
「ジニダグ・・ゴボッ・・・・ナ・・・・グハァッ!!!!」

ボタボタボタボタッ。ザクッ。
吐血した血液が、床に流れ落ちる音と、
3番のちびしぃが、7番のちびしぃの腹にナイフを突き立てた音が、
ガラスの向こうにいる面々にも聞こえた・・・・・
「え?え?」「((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル 」「か、解体?」
ガラスの向こうのちび達に恐怖と、混乱が襲っている。被験者のちびしぃ達が、
頃したての遺体の肉や臓物を切り分けて、皆で食しているのだ。
ガッガッガッという水分を含んだ音がなんとも生々しい。

ピンクの臓物、灰白色っぽい色をした脳、見る見るうちに、ちびしぃの体が
食われ、血を飲まれ、骨と化していく。ガラスの向こうで見ている面々は
顔をしかめているのだが、被験者達はお構い無しだ。
中には勝ち誇ったような笑みを浮かべて食している者もいる。
「コレハ カミサマカラノ オクリモノダヨ」 と・・・・
それが、かえってちび達の心の中に、胸糞悪い何かを残していた。

「ギコ。すまないが、詰め所に連絡頼むわ。食い終わる頃だね。」
モナーが、ギコに事務的に頼んだ。

297 名前: 19・マターリの神様の中のしぃ 投稿日: 2004/01/26(月) 10:08 [ Tlumu4ZM ]
ちびしぃ達が、同族の遺体を食している一方、ガラスの向こうでは
モナーが、ちび・モラ谷・モラ山・モナ川に(ガラスの向こうの同族食い)の説明をしている。
ギコが気を利かせて、ちびしぃたちの食事の音のボリュームを下げるように頼んだようである。

「周辺の住民から、苦情が来たんだよねぇ。」
「苦情?」 
モナーの呟きにモラ谷が反応する。

「そう。異臭がするって。で、異臭の元を調査したの。
うちの焼却炉から出ている肉の焼けた臭いだったんだけど。で、照合作業をしたのね。
焼却炉のジエンとタカラギコには、日報をつけてもらった。」

「で、住民の方々には、何月何日の何時ごろの異臭がきつかったかって言うのを
聞き取ったモナね?」

モナ川の質問にモナーが答える。
「そう。結果、ちびしぃ、しぃ、ちびギコとフサギコらの遺体を燃やした日の
肉の焼ける臭いが周辺の住民の苦情の元みたいだって事だった。で、対処法を話し合ったんだ。
単純な話だよ。肉や臓物の部分をいかに燃やさないかってことなんだから。」

「で、食わせようかと?」
ちびの質問に、モナーは少し申し訳なさげに説明する。
「ちびちゃんには、胸糞悪い話だよね。でも、同族間の頃し合いも頻繁に起こっていてね、
遺体が激増したって問題も抱えてたんだよ。それと、焼却炉の方でも問題を抱えていた。
確か、時間がかかって困ってたんだったっけ?」

「変な油汚れがひどくて、掃除が大変だっていうのもだ。」
モナーの説明に、ギコが付け加えた。彼はそのまま説明を続ける。

「ボランティア・俺達・焼却炉のジエンとタカラギコでの話し合いの中で、
確かボランティアが、(食わせますか?)って言い出したんだよ。
死体の肉や臓物の部分を減らせば、臭いも減るだろうと。
現にレモナさんの所で氏んだベビたちの臭いについては、苦情が無いじゃないかと。」

震えているダッコ映像の面々やちびに、
ギコは追い討ちをかけるように続ける。

「ちびギコたちの場合は、血や生肉・生臓物の味を全員が勝手に覚えちゃったんだよね。
それで、ほっときゃ勝手に食うだろうと言う話になった。で、骨を片付ければいいと。
でも、さっきみたいな氏に方をした場合は、しょうがないんで、こっちで解体して、
肉の部分を食事に出すって事で落ち着いた。」

「問題は、しぃやちびしぃっスか?」
「モラ山君だったっけ?少し落ち着いた?」 モナーは少々モラ山をからかいつつ、話し始めた。
「うん。軟らかくて、甘くて、高級な物しか食わないとか当初言ってたから。
どうやって食わせるかって事で、マターリの神様のご登場となったんだ。
神様の贈り物とか言えば、同族でも食うだろうと。問題は、罪悪感だったけどね・・・」

298 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:09 [ Tlumu4ZM ]
(マターリの神様)と言う言葉を聞いたとたん、ちびは顔をこわばらせた。
そして、少々興奮気味にモナーに話し始めた。
「モナーさん。あのね。マターリの神様ってあたし、いないと思うようにしているの。
あれは(マターリの神様の中のしぃ)だと思ってるの。」

「ん?」場にいた全員がちびの発言に興味を示し、耳を傾ける。

「あのね、私達がここに入ってきたとき、
ガラスの向こうでちびしぃたちが、 マターリノ カミサマハ ・・・・って言ってたじゃない。
その言葉を効いて思い出したことがあるの・・・・・」

「うん、続けて?」モラ谷に促され、ちびは続ける。

「1人のでぃちゃんが、ごみを漁ってたのね。そしたら、母さんと、母さんの友達が、
マターリの神様の名において氏ねっていいながら、でぃちゃんをぼこぼこにしてたの。
でぃちゃんは氏んじゃった。キタナイノガキエテ マターリダネ って母さん達が言ってたのも覚えてる。」

モラ谷は合いの手を入れた。「ちびちゃんはどう思ったの?」

「違うって。マターリの神様の名前を借りて、勝手なことをしてるだけじゃんって思った。
別の日に母さんに質問したことがあったのね。
(でぃちゃんがもし、しぃちゃんだったらマターリの神様は彼女を守ってくれるの?)って。
そしたら、母さんは答えてくれなかったの。そんなこと考えたら、ギャクサツチュウなんだって。」

「ちびちゃんは、それでどう思ったモナ?」

「マターリの神様の中のしぃが、あのしぃたちを増長させちゃったんだって思ってる。
本当は、でぃちゃんにだって優しくしなきゃいけないのに・・・・
いろんな人に優しくできて、初めてマターリってできるって思っているの。
だから、マターリの神様はいないって思うようにしたの。マターリの神様の名前を借りて、
でぃちゃんを平気で頃せるしぃがいる間は。」
ちびは歯を食いしばり、苦渋の表情を浮かべていた。
場にいた他の面々は彼女にかける言葉が見当たらなかった。

突然、電話の音がけたたましく鳴り響いた。
「・・・・・そこもか?・・・・頼むよ。うん、すぐ行く。」
「皆、隣でもけんかが始まったらしいよ。きっかけはこことは違うけど。
頃し合いに発展しそうだってさ。見に行ってみよう。」
電話に出ていたギコが全員に退出を促し、皆それに従った。

ガラスの向こうでは、同族の遺骨を一箇所にまとめた他の被験者達が、
全員体のどこかを血に染め、マターリの神様に祈りを捧げていた。

299 名前: 20・6ヶ月 (しぃ) 投稿日: 2004/01/26(月) 10:15 [ Tlumu4ZM ]
ドアを開けると、ガラスの向こうでは8番の札を耳につけたしぃと、
2番の札を耳につけたしぃが、言い争っている声が聞こえてきた。
「ギコクンノ アツーイマナザシハ ミンナ シィチャンノ モノナノ!!」
「チガウ。 ギコクンハ シィチャンノ モノナノ!!」
どうやら、床の向こうのシャイなギコ(実際はボランティア)は、誰の相手かで
けんかが起こったようである。
実際は、ギコがペニスを穴から出しているのではなく、ボランティアの
少々顔が不自由な男性なのだが。(アツーイ マナザシ)とやらも、
彼女らの幻覚であろう。
「今度は(ギコクン)か・・・・」モナーは少々にやけながら呟く。
「勘弁してくれ・・・・」ギコは顔を青ざめさせた。

ちびは少々あきれていた。薬で頭がいかれているとはいえ、
これは普段の同族の争いと変わらないではないか。「ギコクン」
「マターリの神様の愛とやらの独占」・・・・・・・・・・
すべて「自分だけの」物にしたいんだ。「相手のこと」なんか範疇に無いんだ・・・・

「あ~あ、ちびちゃん。あれ。普段のしぃちゃん達と、あんま変わらないねぇ。」
のんびりとしている口調だが、鋭いモラ谷の指摘にちびは赤面した。
「恥ずかしいと思えることが大事だよ。ちびちゃん。彼女達よりもしっかりとした
考えを持ててるんじゃないのかな?」と、モラ谷はガラスの向こうを指差す。

一方、ガラスの向こうでは、「ニセモノ」 と、互いを罵り合う声が聞こえている。
8番の札を耳につけたしぃも、2番の札を耳につけたしぃも、薬のせいで痩せ細り、
彼女らの自称する(アイドル)的かわいらしさは、かけらも残っていない。
静脈をあちこち針で探した為と思われる内出血が腕のあちこちにできて、痛々しい。
ガラスの向こうでの、「シィチャンハ カワイイノ 」 という音声を聞いて思わず失笑が漏れる・・・

300 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:19 [ Tlumu4ZM ]
突然、2番のしぃが、8番のしぃに向かって襲い掛かった。
8番のしぃも応戦し、殴り合いになっているのだが、どうもシリアスさに欠ける。
子供が2人で握りこぶしを作り、腕を振り回している見たいで、どうも滑稽であった。
またも失笑が漏れたが、その笑いが突然凍りついた。

突然、8番のしぃが、爪を立てて2番のしぃの顔を引っ掻く。
片目に爪が刺さったらしく、目から出血した2番のしぃは絶叫した。
「シィィィィ!!!!! オメメ オメメガァアアア!!!! シィノ オメメェェェェエエエエエ!!!!!」
怯んだ2番のしぃに容赦なく、8番のしぃはみぞおちを蹴り飛ばした。
「グハアッ!!」
転げ回る2番のしぃを8番のしぃは容赦なく踏みつけ、完璧に彼女の動きを止めた。
荒い息をさせながら、2番のしぃはあちこち目だけを動かし、
助けてくれそうな相手を探していたらしい。ガラスの向こうのギコを見つけて
助けを求めた。
「ギ、ギコクン シィヲ タスケナサイ 」
ギコは無言で、ガラスの向こうの2番のしぃに対し、さよならの動作をしている。
「ナ、ナンデ サヨナラナノ ギャクサツチュウニ センノウサレタノ?? 」
ギコは笑みを浮かべ、中指を立てるポーズをしぃにみせた。
2番のしぃは、ギコのほうに視線を向けていたが、ギコが助けてくれないのがわかると
顔を天井に向けた。「ギャクサツチュウ シンジャエ 」 と、最後の抵抗と思われる捨て台詞を残して。

ギコに対しては強気の姿勢の2番のしぃだったが、
すぐに卑屈な命乞いを始めることになった。8番のしぃがニヤけながら
粉まみれのナイフを持って近づいてきたのである。

「コンナノ マターリ ジャナイヨ?ネ? ダッコシテアゲルカラ タズケテ・・・」
「マタガミサマノ オツゲガ アッタノヨ。」
「エ? オツゲ?」
「アナタヲ コロシテ ホカノミンナデ マターリ シナサイッテ。 アナタハ イケニエダッテサ。」

「カミサマ ナンデ シィチャンヲ ミステ・・・ゲハァッ」
ブシュッ。2番のしぃが最期の台詞を言い終わらないうちに
首筋に粉だらけのナイフが突き刺さった。
驟雨のように首から噴き出す血の赤と、2番のしぃの毛の白が
奇妙な模様を描き出していた。他の被験者達は2番のしぃに群がり、血の雨を浴びている。
勝手な言葉を吐きながら。
「オオムカシニ コウヤッテ ケツエキヲ カラダニ アビタ オンナノヒトガイタンダヨ」
「シッテル。 ソノヒトハ ウツクシサト ワカサヲ タモチタカッタンダヨネ」
「シィチャンモ ソノヒトミタイニ ナレルヨネ」

勝者の8番のしぃが、かつての同族だった物の解体を始めている。
毛を剃り、皮をはぎ、肉を取り分け・・・・
とぼけたレクイエムを歌いながら。
「カミサマカラノ オクリモノ♪ シィチャンノ オニクデ ハニャニャニャニャン♪」
2番のしぃの肉を9等分し終えた8番のしぃは、
残りの全員を一箇所に集め、代表で祈りを捧げていた。
「マターリノカミサマ オクリモノヲ アリガトウ。 マターリデキマス。 ハニャニャニャニャン。」
「ハニャニャニャニャン」8番のしぃの祈りに続いて全員が唱和する。
祈りを終えた全員の被験者は、ちょっと早い食事をとり始めた。────

301 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:20 [ Tlumu4ZM ]
ちびは気丈にも(顔は青ざめていたが、)ガラスの向こうの惨劇を注視できたが、
ダッコ映像の面々は、そうではなかった。
モラ山は持参していたスーパーのレジ袋の中に嘔吐していたし、
モラ谷は、めまいを起こしうずくまっていた。モナ川は失神しているという有様である。

モナーとギコ、そして眩暈がおさまったモラ谷は、失神しているモナ川を、
彼らがいる部屋の、長いソファーに寝かせた。
モナーとギコは、この状況を見慣れているらしく、流石に平然としている。

「ちびちゃん、よく見ていられたなぁ。」 モラ谷が感心した口調で言うと、
「怖かったですけど、見なくちゃいけないと思ったんです。」とちびが返した。

「モラ谷さん。どちらかというと女の子の方が、こういうの強いみたいだよ。
学生のとき、しぃの脳出しをやった事があるんだけどさ、俺も含めて、男性陣は皆、
今のダッコ映像の皆さんみたいになっちゃったもん。女子学生や、ナースは
比較的大丈夫だったんだよ。」
ギコが、モラ谷を慰めようとして昔話をすると、モラ谷は恐縮した。
「恥ずかしいですよ・・・ギコさん・・・いっそ笑ってください・・」

「モナ川さんが気がついたら、次の部屋に行きましょう。
次が最後の部屋です。ちびちゃんも、よく見ておいてね。」
モナーが皆に覚悟を促すと、失神しているモナ川以外の面々はうなずいた。
30分ほど後にモナ川が気がついたので、モナーが最後の部屋に行くことを彼に説明した。
彼が、気分が落ち着くまで15分くらい待ち、この部屋を出た。

302 名前: 21・ベビ棟 投稿日: 2004/01/26(月) 10:23 [ Tlumu4ZM ]
ベビ棟に入る前に入念に消毒をするように、看護師から言われたので、
手を消毒液で洗い、ベビ棟内で着用を義務付けられている白衣に着替え、棟内に入った。
「ベビたちが起きないように・・・・」というモナーの声を遮る女性の声がした。
「大丈夫。起きてるから。」診察に来ていたらしいレモナが、モナーに告げる。
「ちびちゃん。こんにちは。」レモナの挨拶に、ちびは丁寧なお辞儀で返す。

レモナが、皆に説明を始めた。
「この部屋は、ここにくる前に妊娠してたりとか、3ヶ月のお部屋で妊娠したしぃ・ちびしぃ達が
運良くって言っていいのかなぁ。出産したベビたちの部屋なの。全員生まれながらにして麻薬中毒。
ここで、解毒したり、食事で体力つけたりして、元気になった子達は乳児院に行きます。」

全員「生まれながらにして麻薬中毒」という言葉の意味が分からなかった。
最初にモラ谷が、レモナに尋ねた。「生まれながらにして麻薬中毒って???」

「赤ちゃんとママとは、胎盤とへその緒で繋がってるのはわかるわよね?
へその緒を通じて、お母さんから栄養をもらって育っているの。麻薬注射で
血液中に薬の成分が母体に入っていると、子供にもその成分は当然行くわよね・・・・」

「お母さんと一緒に、薬でマターリと言う訳ですか?・・・・」
ちびがレモナにおそるおそる聞く。

「そうよ。ちびちゃん。でもね、この子達は生まれたときに
麻薬の供給は断たれるの。で、生まれたときから禁断症状に苦しむと。
それに前のお部屋で、ママだった被験者達見てたでしょ?太ってた?」

全員レモナの問いに首を横に振る。
「そう。まともな食事なんて取ってない。あんまりぶくぶく太るのはまずいけど、
妊娠中ってある程度は太るべきなのよ。赤ちゃんのためにもね。
食事の代わりに麻薬じゃ、ここにいる子達みたいになるのもしょうがないでしょ。」

いらっしゃい、とレモナに促されベビ棟の一角を訪れたちび達は絶句した。
保育器に入れられたベビたちは、一様に毛が無く、ピンク色の肌が剥き出しになっている。
「ピィィィィ」と言うなんとも弱弱しい泣き声が、皆の顔を曇らせた。
「この子達は全員、超未熟児といわれる状態で生まれたのよ。」

看護士代わりのでぃがミルクをあげているのを見て、ちびがレモナに、
「ダッコしてあげてもいいですか?」と聞いたがやんわりと拒否された。
「ちびちゃん。ここら辺の子達はまだ、ダッコできるほど、強くないの。ごめんなさいね。
ただ、触るくらいなら大丈夫。触ってみる?」
ちびはうなずくと、でぃに抱えあげてもらい、保育器の中の手を入れる場所から
手を入れ、ベビに触れた。でぃに「ヤサシク・・ヤサシク・・」 と言われたので、
そのとおりにさすると、ベビの顔が少し微笑んでいるように見えた。

ちびはでぃに礼を言い、床に降ろしてもらうと、レモナは話を続ける。
「もう少し大きく生まれたベビちゃんたちもいるのよ。見る?」
皆でうなずき、棟内を移動し、また別の一角で止まった。そこの一角のベビたちは、
先ほどの「超未熟児」レベルのベビたちよりは大きかったが、保育器に入れられていた。

ちび、モラ谷、モナ川、モラ山は、なにか違和感をこのベビ達に感じていた。
保育器の中で、震えている者、荒い呼吸をしている者、
見かけはベビしぃだが、「キィィィィ キィィィ」と、でぃの様な金切り声を上げている者など、
さまざまな「禁断症状」を起こしているベビが大半を占めているのである。
「ここら辺の子達は、さっき私が言った、生まれたときから禁断症状を起こしてる子達ね。
できる限りのことはしているけど、最後はこの子達の体力次第になっちゃうのよね・・・」
レモナはため息混じりに呟いた。

「アフォが増殖するよりは、捨てられた方がまだましな方なのかもしれないですね。」
「ちびちゃん????」
意外なちびの発言にその場にいた全員は面食らった。
「ここで話すべきことではないですね。別の場所で話しませんか?」
ちびの申し出に、皆でうなずき、この部屋を出た。

303 名前: 22・申し出 投稿日: 2004/01/26(月) 10:25 [ Tlumu4ZM ]
ちび達は、薬物についての知識を学んだ部屋に、もう一度通された。
レモナが、「何か飲みながら話をしましょう」と、お茶を用意しに部屋を出る。
しばらくしてレモナがお茶とお菓子を持って戻り、皆に配り終えると
ちびは話し始めた。

「ベビちゃんたちの部屋にいてふと思ったんです。びっくりさせてすいませんでした。」

「いや、意外だったのよ。ちびちゃんがそんなことを言い出すなんて。
しぃ族って、母親のもとで子供を育ててるのって多いじゃない?
(捨てられた方が・・・)って考えるしぃって珍しいと思って。」

レモナがちびに、自分の考えを話す。
ちびはレモナに思わず、自分の心情を吐露した。

「乳児院に行くってレモナさんの言葉を聞いて、羨ましいなと思ったんです。
まともな教育が受けられるかもしれないチャンス・・・
(あやふやな物なのかもしれないけど・・・)がこの子達にはあるんだって。
全角で喋るのがギャクサツチュウなんて考えをすり込まれないですむかもしれないでしょ?」

「そうか。ちびちゃんはベビたちを見て、この子達はやり直しができるかも
って思ったモナね。羨ましかったんだ。」

モナ川の問いにちびはうなずいた。

「話を変えようか?」ギコの声に皆がうなずく。

「実は、6ヶ月の所でもそうだし、3ヶ月の所でもそうなんだけど、
被験者同士の頃し合いがあると、個体数が減って困るんだよね。
どうしたらいいか悩んでたりするんだけど。」

「既に、薬物中毒のしぃ・ちびしぃ・ちびギコをつれてくるって言うのは?」
ちびの提案に、モナーとギコが「おお!」と言う表情をした。

「それいいね。ちびちゃんやってくれる?」
モナーのお願いに、ちびが頷く。
「実は口上も考えてたりして・・・」
ちびが呟くと、「なおさらいいね。」ギコは喜んだ。

「今日で見学は終わりだけど、もう2日ほど、お家に帰る日を延ばしてもらえるかな?
作る物と、ちびちゃんに教えなければならないこともあるんだ。それと、もし
中毒状態の被験者を連れてくることができたら、一体あたり2000円出そう。
具体的な契約は擬古矢と詰めてくれる?」

モナーの話にちびは頷いた。
彼は続けて、ダッコ映像の面々に、
「ダッコ映像の皆さんは、見学は終わりです。ご苦労様でした。詳細はまた後日ということで・・・」

ダッコ映像の面々・擬古矢が部屋を出て行き、姿が見えなくなった頃、
会議室にはレモナとモナー・ギコ・ちびが残された。

ギコはちびに、
「明日は、擬古矢が起こしにくるからな。ここの部屋にくるように彼には話してある。
まず、擬古矢と契約の詳細を詰めてくれ。それから、ちびちゃんに渡す麻薬を作るからな。
ある程度の薬の量ができたら、ちびちゃんの研修はおしまいだよ。」
と明日の説明をすると、ちびは頷いた。
次にレモナが、
「今日は疲れたでしょう?お食事を取って早めにお休みなさい。また明日ね。」と声をかけると、
ちびは「また明日よろしくお願いします。」と、モナー・ギコ・レモナに声をかけ、部屋を出た。

食堂で、ちびは軽い食事をとり、自分の部屋に戻ると、
強烈な眠気に襲われたので、シャワーを軽く浴び、
擬古矢が起こしにくる時間の30分前に目覚ましをセットし、床についた。

304 名前: 23・本契約/金裏銀児 投稿日: 2004/01/26(月) 10:27 [ Tlumu4ZM ]
[ジリリリリー]
目覚ましの音でちびは目を覚ました。
今日か明日で、擬古田薬品での研究は終わる。顔を洗い、身支度を整え終えた頃、
ノックの音がした。擬古矢が起こしに来たのだ。
「おはようちびちゃん。よく眠れた?」
擬古矢の問いにちびはうなずく。
「じゃあ、会議室に行こう。」
擬古矢は、ちびを会議室に連れて行った。

会議室に着くと、擬古矢は早速契約書を取り出しちびに渡す。
条件が変わった旨をちびに説明した。

「前に契約書に、お手手のはんこ押してもらったよね?中毒にした被験者も連れてくるって
ちびちゃん言ったじゃない?それを上に話したら了承したんで、
新しい契約書作ったんだ。もう一度これを見て、ハンコを押してくれる?」

--------------------------------

契約書

妊娠しぃ・しぃ・ちびしぃ・ちびギコ&フサギコ 1人 2000円
     (既に薬物中毒であることが前提)

しぃ・ちびしぃ・ちびギコ&フサギコ  1人1000円
(薬物中毒ではないことが前提)

もし、アフォしぃではないしぃ族を連れてきた場合
罰金 1500円
                     (ハンコ)
--------------------------------
ちびは、迷わず左手に朱肉をつけ、手形を押す。
「じゃあ、契約成立だね。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
互いに挨拶を交わし終えると、擬古矢は、ベンジンとティッシュペーパーをちびに渡し、
「これで、朱肉が落ちるといいけど。落としてみてね。」
ちびはベンジンをティッシュに浸し手を拭きながら、
「ギコさんが言ってた、作る物ってなんだろう・・・・」と呟いた。
擬古矢が、「なんかね~。ミングオイルとか言ってた。俺も手伝えって。
モナーとギコが、後ね、ボランティアも2~3人連れてくるらしいよ。」

305 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:31 [ Tlumu4ZM ]
「ふうん・・・あ、擬古矢さん。朱肉落ちました。どうもありがとう。」
ちびが擬古矢に礼を言い終えた頃、モナーとギコが2人のボランティアを連れて入ってきた。
彼らは、小さな密封できるビニール袋・薬包紙をたくさん持ってきていた。
それに、秤、分銅、大きなあへんの塊、ヘロインの塊、ナイフ、使い捨て手袋・・・
かなりの大荷物である。

「やあ、ちびちゃんに擬古矢。よく眠れた?」
二人がモナーの問いに大きくうなずく。
モナーが会議室のホワイトボードに、大きく
「金裏銀児 ミングオイル」と書くと、ギコが説明を始めた。

「今日の作業は阿片のタバコ作りと、ヘロインを粉にして袋に詰める作業だ。」

モナーが続ける。
「これは、金裏銀児 (ミングオイル)といわれている方法の改良版だよ。
金は阿片、銀はモルヒネの隠し言葉なんだって。でも、今回は、モルヒネの変わりに
ヘロインを使うんだ。まずは、阿片のタバコを作ることから始めようか。」

ドン。
生阿片の塊をボランティアが机に置くと、
ギコが、ゴム手袋を手にはめ、作り方を説明し始めた。
「皮膚からも成分が吸収されてしまうんだ。まず、手袋をはめてくれ。
ここにいくらでもあるからな。」

へらを取り出し、少々の生阿片を取り分け、薬包紙の上に置く。
「粘土くらいの軟らかさだから、簡単に取れるぞ。
 そして紙の上に少し置いてくれ。薬包紙はいくらでもあるから、
失敗してもかまわない。こつをつかんでくれな。」

生阿片を乗せた薬包紙を筒状に巻き始める。
そして、両方の紙の端をキャンディの包み紙のようにねじった。
「これでタバコは出来上がり。乾かすのに少し時間がかかるから、
ちびちゃんがこれを使うのは、もう少し後になるな。」

「作り方はわかった?」 「はーい」
ギコが全員に聞くと返事が返ってきた。
「じゃあ、お昼まで作ろう。お昼をとってから、ヘロインの袋わけだよ。」
モナーの声が合図となって、皆タバコを作り始めた。

ちびは、最初の2~30本ほどは要領がつかめず、
たばこのような形に巻かなければならない物が、キャンディ状に巻けてしまったりしたが、
徐々に要領がつかめてきた。流石にボランティアの青年二人は上手に巻けているようだ。
モナー・ギコは言わずもがなである。
擬古矢はまだ、要領を得ないらしく、へらで薬包紙についた阿片をこそぎ落としていた。
「なかなかうまくいかないなぁ・・・みんなうまいなぁ・・・」
擬古矢のぼやきに、ちびがアドバイスをする。
「擬古矢さん。割と、阿片の量、少なめでいい感じですよ。」

アドバイスが功を奏したのか、擬古矢のタバコを作るペースも上がり、
だんだん出来上がったタバコの量が増えていった。
お昼の30分前くらいには200本くらいは既に出来上がっていた。

「皆ペースが上がってきたな。後15分でとりあえず切り上げよう。」
モナーの言葉に皆でうなずいた。15分経つとギコが、
「今巻いているタバコで、終わってくれ。それから荷物を片付けて、
午後からはヘロインの袋詰めだからな。」
皆で荷物を片付け終えた頃、お昼の時間の3分前くらいになった。

306 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/01/26(月) 10:32 [ Tlumu4ZM ]
「食堂に行こう。」モナーの先導で、全員で部屋を出た。
食堂に着くといい匂いが立ち込めていた。

「カニグラタンと、プリン下さい。」「A定食」 「B定食ね」・・・

それぞれが好きな注文をとり、すぐに出された食事を持ってテーブルに移動した。
口々に「いただきます」の挨拶をし、食事をとり始めた。
あまり行儀のいい状態ではないが、食べながら、という状態で、
午後の予定の説明がモナーよりなされる。

「午後は、ヘロインの袋詰だよ。あの塊を削って、5gづつ量って袋に入れるの。
後で、マスクを持ってくるから少し待っててね。吸い込んじゃったら事だから。」

ちびが不安を口にする。
「いきなり5gも渡しちゃったら、すぐに使い切って、氏んじゃう予感がします。
少しずつ渡した方がいいかもしれない。それに、私、最初から大勢にばら撒こうって
思ってないんです。少しテストしたいの。」

ギコは、はっとした表情をし、
「そうか、そういう危険性もあるんだ。気付かなかったぞ。ゴルァ。
袋詰の方法を変える必要があるな。マジックが必要になるな。
でも、問題はテスト方法だぞ?」

モナーが口をはさんだ。
「袋詰のときにグラム数を記入しよう。一日量0・5g~2gぐらいが妥当かも。
それから、ちびちゃんに、観察日記をつけてもらうのはどう?
ちびちゃんのテストの目安にもなるし、その日記が連絡帳代わりになるし。」

ちびが表情を曇らせながら言う。
「いいですね。やります。でも、筆記用具・・・」
モナーがちびの肩を叩いて言った。 
「筆記用具はあげるから、心配しないの。連絡帳の使い方は袋詰の後に教えるからね。」

ちびの顔に笑顔が戻った。40分ほど経ったあと、全員食事をとり終えた。
「会議室に先に行っててくれ。筆記用具と、マスクを忘れたんで持ってくる。」
ギコと別れ、モナー・ちび・擬古矢・ボランティアの青年2人は会議室に向かった。
会議室に着き、10分ほど経ったあと、ギコが戻って来た。
不職布で作られた精巧なマスク、サインペン・鉛筆・鉛筆削り・大学ノートを持って戻ってきた。

「さて、ヘロインの袋詰だぞ。俺が言った通りに真似してくれ。」説明をギコが始める。
「その前に・・・」マスクをギコが配り始めた。
「マスクを皆してくれよ。でないと、ミイラ取りがミイラになっちまうからな・・・」
全員がマスクをつけ終えると、説明をギコが始めた。

「サインペンは全員に渡っているな。まず、0・5gの袋から始めるぞ。
それぞれ、各70袋づつな。まずビニールに、0・5って書いてくれ。書いたか?
それから、秤の上に、薬包紙を置くんだ。そして、目盛りが0・5を示すまで
薬をけずって紙の上にのせてってくれ。」

全員、少々手間取りながらギコに言われた通りにする。
「のせたか?」ギコの質問に、全員うなずいた。
「よし、それを0・5って書いたビニール袋の中に入れるんだ。そして、チャックを閉じて、
ここにおいてくれ。」と目の前の小さなダンボールを指差した・・・・・
その後、ギコの号令に合わせ、袋詰の作業が4時間ほど続いた。
外は、もう暗くなり始めていた。

ダンボールの中に袋詰した麻薬の小袋が280包。
ギコが、終了の号令をかけると、皆、ほぼ同時ぐらいに伸びをしていた。
相当根を詰めての作業だったようだ。

「ちびちゃん、時間も時間だし、今日も泊まって行くといい。食事をとって
早めに休みなさい。明日のお昼で、ここでの打ち合わせはお終いだ。
擬古矢に、公園まで送らせよう。ゆっくり休んでね。」

モナーの言葉にちびは「はーい」と返事をする。
ちびはその後食事をとり、部屋へ戻る。軽くシャワーを浴び、
早めに床に着いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回、観察日記についての説明を受け、
いよいよ、町に出かけます。

今回は山口椿さんの著書と、
警察関係のHPより引用部分があります。

次回:擬古田薬品 (4)

擬古田薬品 (4)

前回:擬古田薬品 (3)

618 名前: 23・連絡帳 投稿日: 2004/03/30(火) 22:48 [ z9dvf3ng ]

前日と同じ時間にちびは、目を覚ます。身支度をし、食堂へ向かい朝食をとった。
ゆっくり食休みをとると、いい時間になったため、会議室に向かった。
10分ほどすると、筆記用具を持ったモナーが現れた。
「やあ、ちびちゃんおはよう。よく眠れた?」 ちびはうなずいた。

「今日はね、昨日言ってた観察日記(連絡帳)のつけ方。とりあえず、鉛筆持ってきてみたんだ。
これに、ちびちゃんがベビを売っていた公園の名前、書いてみてくれる?」
モナーはレポート用紙一冊をちびに渡す。ちびはモナーから渡されたレポート用紙に
公園の名前を書いてみた。

( ○×公園 )

少々筆圧が強かったらしい。
「ありゃ、下敷きが必要かな? そんなに力を入れなくても書けるから大丈夫だよ。
ちょっと待っててね。」モナーは出て行ってしまった。
3分ぐらい後に、モナーが下敷きを持って戻ってきた。彼は、下敷きをちびに渡し、
「さっきのページの下に敷いて、もう一度、公園の名前を書いてみてごらん。」
ちびは、言われたとおりに下敷きを敷き、また書いてみた。

( ○×公園 ) ( ○×公園 )

「あ、滑らかな感じ。」
今度は大丈夫だったようだ。
「よし、これで大丈夫だな。」モナーは、微笑みながら言う。
次に、観察日記の書式についてをホワイトボードに書き始めた。


○月 ×日    (薬を渡した相手)  (薬を渡して何日目か)

(渡した相手の様子)  相手はどんなことを言っていたか
ちびちゃんはどう思ったか 質問など

(欲しい物があったら書いてください)


「?????」
怪訝そうな顔のちびにモナーは説明を始める。

「まず、ちびちゃんが言っていた(テスト)の話なんだけどね。まず、しぃに0・5gのヘロインを渡して欲しいんだ。
ちびしぃと、ちびギコとかは、量を減らせばすむことだからさ。薬の量って、体重で決まる所があるから。
しぃに渡す量が大体わかれば、ちびしぃとかの量もこっちが把握できるからさぁ。」

ちびがうなずくと、彼は続けて
「それで、金裏銀児のやり方ね。生阿片のタバコ作ったでしょ?たとえばこれをタバコとするじゃない?」
モナーはホワイトボードに書き込むのに使っていた細字のサインペンにふたをして、キャップの部分をタバコのフィルター部分に見立てて、説明を続ける。
「このふたの部分が、口で吸う部分。タバコでいうフィルターってやつだと思ってね。
で、底の部分が、火をつける部分だとするでしょ?
ここに、ヘロインをつけて、火をつけて吸うんだって説明するんだ。」
「なんか、縁日で売ってるパイプみたいですねぇ。なんだっけ?えーと…」
「ハッカパイプ?ちびちゃん。うまいたとえだね。」
モナーが笑うとちびも思わずつられて微笑んだ。

「続けて、日記の書き方の説明をしていいかな?
まずね、日にちは忘れずに書いてね。もう一度言うけど、薬を渡す相手はしぃだよ?
それから、(薬を渡してから何日目か)の欄は、薬を渡した日の次の日を1日目にしてね。」

日記の説明をしながら、モナーはホワイトボードの ( 薬を渡した相手 )の欄を
( しぃ )と書き替えた。
「じゃあ、薬を渡した日は、そこの欄は (薬を渡して0日目)でいいですか?
ちびの質問にモナーは、「それでもいいよ。」とうなずいた。

「つぎは、(しぃの様子)の所ね。ちびちゃんが見たしぃの様子とか、しぃが言ってたこととか、
細かく書いてね。しぃの言った言葉は全角でも半角でもいいや。後は、質問とかも書いてくれる?
答えられる限り答えるからね。
それから、(欲しい物があったら書いてください)は
鉛筆とか消しゴムが小さくなったら、ここに、鉛筆下さいとか消しゴム下さいとか
書いてくれれば、擬古矢に持たせるから。」
「わかりました。がんばります。」
「よろしくね。」
時計を見ると、AM10:00を指していた。
「食堂で10:00のおやつを食べておいで。擬古矢に研修費を持たせてそっちに行かせるからね。
彼が送っていってくれるから、車に乗って帰りなさい。」
モナーの言葉にちびはうなずいた。

食堂で、チョコパフェを食べていると、擬古矢が現れた。
慌てた表情のちびに、「ゆっくり食べなさい。」と擬古矢は話し掛ける。
12~3分後、おやつを平らげたちびに、擬古矢は封筒を渡した。
「これ、研修費だよ。どうぞ。」
「ありがとう。」
ちびが礼を言うと、彼は、
「モナーがね、時間が足りなくて、言えなかったことがあったんだって。
車の中で話すね。」
ちびはうなずき、2人で車に向かって食堂の席を立った。

619 名前: 24・帰りの車中で 投稿日: 2004/03/30(火) 22:49 [ z9dvf3ng ]
二人は車に乗り込み、擬古矢が車のエンジンをかける。
車を運転しながら、擬古矢がちびに話を始めた。エンジンをかけて、15分ほど車を走らせた頃である。

「モナーが言えなかった事なんだけど…・・
麻薬の免許のことなんだ。タバコや筆記用具と一緒に渡すって。」

「免許?」

「そう。免許を持っている人しか麻薬は扱えないんだよ。
でね、モナーとギコが、ちびちゃんの免許の申請をしてたんだ。
それが、阿片のタバコが乾く頃に来るらしいんで、筆記用具やタバコ、ヘロインと一緒に渡すって。」

「どうやって使ったらいいんだろ…・・」
ちびが呟く。

「タイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!! されないお守りだと思えばいいよ。
警察に見せれば、もしつかまっても、無罪放免ってこと。心配しなくていいよ。
じゃ、モナーの件は伝えたからね。」

「あのときに一緒に伝えてくれたらよかったのに、
何で、モナーさんは伝えてくれなかったの?」
ちびが少々非難めいたことを口にすると、擬古矢は弁解っぽい説明をした。

「ちびちゃん。研修の件で会議を持ったときに、具体的なスケジュールも
決めてたんだよ。で、10:00には予定をすべて消化しなければならなかったんだ。
日記について、結構細かい所まで指示をしてたんで、時間が足りなくなったのかもしれないよ。」

「そうですか…・・モナーさんには内緒にしてくれませんか?」
赤面しながら、ちびが擬古矢に頼むと、擬古矢は笑いながらうなずいた。

擬古矢は続けて日記や、(薬物中毒ではない)しぃやちびギコについての、説明を始めた。
ちびがこれから集めてくる、被験者についての話である。

「そうそう、日記の件だけどさ。交換日記形式を取ろうってことになったよ。
僕が日記を渡した日の次の日から、薬をしぃに渡してくれたらいいや。
それから、薬物中毒ではない、しぃとかちびギコとかだけど、
3日ごとに、収集担当の者が公園に行くから、彼らに引き渡してくれる?
彼らにお金の件も話してあるので、バイト代は彼らからもらってね。
収集担当の者が最初に行くのは、今回は、明日を1日目と数えて4日後、後は3日ごとだ。」

「はい。わかりました。」

しばらく、世間話をしながら30分ほど車を走らせると、公園に着いた。
「じゃあ、5日あとのお昼までに、収集担当の者がここの公園に来るからね。
それまでに、できるだけ被験者を集めておいてね。」

車を止めた擬古矢がちびに、念を押す。ちびがうなずくと、擬古矢は
「今度来るときは、麻薬や日記を持ってくるからね。それまで、さよなら。」
「擬古矢さん、送ってくれてどうもありがとうございました。また会いましょう。」
ちびは車から降り、擬古矢に挨拶をする。擬古矢の車が消えるまで、公園でちびは
見送っていた。

620 名前: 25・漁 投稿日: 2004/03/30(火) 22:51 [ z9dvf3ng ]
次の日の朝から、早速ちびは獲物を物色し始めた。
物色と言うよりは、向こうから勝手に近づいてくるという表現のほうが正しいのかもしれない。
何しろちびは、*が無いのである。 アフォしぃと言われる連中が放っておくわけがない。
昼近くにすれ違った妊娠しぃに、ちびはいきなりこんな言葉を投げかけられた。
「キケイガ マチナンカ アルイテルンジャナイワヨ ! ベビチャンノ タイキョウニワルイジャナイノ ! 」
ちびは、妊娠しぃの腹を蹴り上げたい衝動に駆られたが、お金を頭に思い浮かべて、ぐっと我慢した。
代わりにこんなセールストークで、妊娠しぃの心をつかもうとしていた。

「あ、お腹にベビちゃんがいらっしゃるんですか?ベビちゃんのためにも、ママのためにも
い~い お話があるんだけどなぁ~???そんなことを言われたんじゃ、教えるの止めようかなぁ。」
つかみはOK、という某3人組のギャグではないが、妊娠しぃは食いついてきた。
「エ? ハヤク オシエナサイヨ!!! ギコクンノイバショ? ナンナノ? ナンナノヨ? ハヤク イイナサイ!!!!」

「擬古田薬品で、サプリメントのモニターを探してるそうなんです。
妊娠中の栄養補給、そして出産後のダイエット補助のサプリらしいんですよ。
出産のための病院や、ベビちゃんの保育園なんかも完備されてるんです。それらが、
なんとタダなんですよ!!!!
タダで、赤ちゃんが産めて、それに後のダイエットまで、面倒見てもらえるって、
お得だと思いませんか?それと、退院前のしぃちゃんたちに会ってきたんですが、
みんな美しかったです。( コレデ ギコクンノ シセンハ シィチャンニ クギヅケ! )なんて言ってたんですよ。」

ちびの嘘話に妊娠しぃは目を輝かせた。「ドウスレバ モニターニ ナレルノ ?」
この母親はすっかりその気になってちびにたずねる。
その言葉にちびは待ってましたとばかりに説明を始めた。
「4日後の必ずお昼までの間に、○×公園に来てください。お迎えが来ることになっています。」

「オトモダチモ ツレテイッテモ イイノ ?」
「どうぞ、お友達にも教えてあげてくださいね。」
「4カゴノ オヒルマデニ ○×コウエンネ。 ワカッタワ。 オシエテクレテ アリガトウ バイバーイ」
「さようなら。」

妊娠しぃと別れ、彼女の背中を見ながらちびは1人、呟いた。
「生まれてくるベビの目玉、 二つあると いいわね。」

621 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:51 [ z9dvf3ng ]
お昼過ぎ、彼女はコンビニに向かい、シュークリームとカフェ・オレを買った。
ピクニック気分を味わいたくて、少々歩くと、空き地を見つけた。土管が無造作に3本置いてある。
彼女は、1本の土管の上に座り、シュークリームの袋を破った。
「アレに寄生されるのかしら?」
ちびは、コンビニで買ったシュークリームを、空き地の土管の上でぱくつきながら1人で呟いた。
そういえば、少々母は、太ったような気がする……・・
(母親だけではなく、ベビにまで寄生されるのかしら?)
ちびの頭の中にふと、不吉な考えがよぎったが、頭の中に浮かんだレモナの笑顔が
彼女の不安を吹き飛ばした。
「アレが増やした寄生虫はレモナさんに駆除してもらえばいいか。」
ちびはカフェ・オレを飲みながら呟いた。

食休みを取ってから、ちびは、土管から飛び降り、シュークリームとカフェ・オレを買ったコンビニに向った。コンビニの前のゴミ箱にカフェ・オレの空きパックと、シュークリームの
空き袋を捨てると、またあてどなく歩き始めた。しばらく歩くと、今度はちびギコに罵声を浴びせられる。

「ちびしぃちゃんとは セクースはしたいデチが キケイの ちびしぃちゃんは 勘弁して欲しいデチネ。
お昼を食べ終えて マターリしてたときに 嫌な物を 見たデチ」

ちびはキレかかったが、またお金を頭に思い浮かべた。すかさず、このちびギコにも
勧誘を開始した。

「ひ・ど・い・なぁ せっかく*のあるちびしぃちゃんが あんなことやこんなことをしてくれる所を
教えてあげようと思ったのに。」

とたんにちびギコの様子が変わった。とたんにちびに対し、媚び始めたのである。
「もうキケイだなんて言わないデチよ。 ユルチテクダチャイ だから、ちびしぃちゃんが、
アンナコトやコンナコトしてくれる場所を教えて欲しいデチ。」 なんと、揉み手まで始めているではないか。
これは、すぐにのりそうだと思ったちびは、セールストークを開始した。

「お迎えの車が連れていってくれる所はね、ちびしぃちゃんとしぃちゃんがたくさんいるのよ。
そこにいた、君みたいなちびギコ達はね、なぜかすっきりした表情の子がいたり、ほっぺがつやつやしていた子がいたり、
あとねぇ、目の下にクマを作ってげっそりしてた子もいた。でも、みんな微笑んでたわよ。満足感って感じ?」

ちびギコの表情から、期待感を感じ取ったちびは、さらに嘘で固めたセールストークを続ける。

「でね、そこでは、薬やおもちゃが使い放題!!!薬をちびしぃちゃんに使って、あんなこともできるし、
おもちゃで、こんなことをちびしぃちゃんにして…・… むふふふふ。熟女好きのちびギコ君には、
しぃちゃんがリードしてくれて、あんなことやこんなことを教えてくれるって。」

ちびギコの鼻息は荒く、目はらんらんと輝いている。
「連れて行って欲しいデチ!!!お迎えはいつ、どこに来るデチか?」
「4日後に○×公園に車が来るの。もし、行く気なら、公園にお昼までに必ず来てね。」
「わかったデチ。バイバイ。」
ちびは愛想笑いを浮かべてちびギコを見送った。

2日目、3日目、4日目も彼女は、同じようにちびしぃ・しぃ、ちびギコに声をかけていった…・

622 名前: 26・引渡し前夜 投稿日: 2004/03/30(火) 22:52 [ z9dvf3ng ]
4日目の夕方………・・
この4日間で、ちびは、声をかけた連中の中で、5匹は確実に来そうな雰囲気を感じていた。
しかし、昼食時に感じていた母親に対する不安感が彼女を襲っていた。
不安と戦いつつ彼女は帰宅した。

「ただいまぁ。」
「オカエリ。 チビチャン ステキナ オハナシガ アルノ。」
「すてきなお話?何それ?」 愛想笑いを作りつつ、ちびは尋ねる。
「アノネ ママネ ベビチャン デキタノ。」

ちびの不安感は的中した。表情は、愛想笑いから憤怒の表情にがらりと変わり、
彼女は激しく母親をなじった。 
「ハァ?あんた、父親は誰なのよ?養育費ぐらい、貰う手はずぐらいは整えたんでしょうね?また、父親のわからない子供産むの?何考えてるのよ?」

「チチオヤ? シラナイワヨ。 ヨウイクヒ? ナニソレ?」

「ベビ育てんのにも金がかかるって言ってるのよ!それとも、あんたが働くんでしょうね?
私のバイトだけじゃベビなんか育てられないわよ!!!」

「ダイジョウブヨ。 ハタラカナクタッテ ナントカ ヤッテイケルワ。 キョウノ チビチャン ナンカヘンヨ? マターリシヨウヨ ネ?」

ちびはふと、周りを見渡していた。母親に渡したお金が無い。母親が所持していた財布も見当たらない。
ちびは、研修から帰ったとき、母親にバイトを始めたことを告げ、バイト代の半分を渡していた。
母親は、礼をちびに言いながら、金を財布にしまいこんだのをちびは見ていた。
普通に暮らしていれば、1人分で4日間はゆうに暮らせるであろうという金額である。

「母さん。私が渡したお金はどうしたの?」ちびは、母親に尋ねる。
「エート モナゾフノ プリンデショ ○○ドウノ ドラヤキデショ ・・・・・・… 」
数え切れない量の良く知られたお店の高級なお菓子の名前が母親から出て、
「ソレデ、 ゼンブ タベチャッタ」と彼女は満足そうな笑みを浮かべて答えたとき、
ちびは、思わず母親の顔をこぶしで殴った。

「ハニャァアア?? ナニスルノヨ!!!」

「何するのじゃないでしょうが!あんだけの金を稼ぐのにどんな苦労したと思ってんのよ?
生活費にと思って渡した金を一日で使い果たして!『ゼンブ タベチャッタ 』 って何?しかも笑顔で!
そんな金の感覚しかないあんたに、ベビなんて育てられるはず無い!」

「オネエチャンニ ナルノヨ? ウレシクナイノ ?」

「腹の中のベビは、将来あんたのこと絶対に恨むわよ。」

「ナンテコトヲ イウノヨ ! コノ ギャクサツチュウガァァアアアア」

母親はちびに殴りかかったが、彼女に逆襲され、首を締められた。
ちびは、母親の首を手で締め上げながら、ある選択を迫った。
「いい?腹のベビ中絶するか、それともあんたが働く所を探すか、どっちか選ぶのよ。
産んだもの勝ちなんて、馬鹿な考え起こさないことね?そしたら、わかってるわね?
おろすんだったら、ベビの遺体を見せること。働くんだったら、職場の人間紹介しなさい。」

母親にはうなずくしか道が残されていなかった。
ちびは母親の首を締めた手を彼女の首からはずし、とどめに一発彼女の顔を平手打ちし、
寝床に向った。

母親は、一旦ちびの言葉にうなずいたが、産むことを決心していた。
お昼のワイドショーの相談コーナーに良く出てくる言葉ではあるが、
『(暴力夫や、浮気性、金遣いの荒い夫)が私の出産をきっかけに変わってくれるだろう』
こんな甘い考えを起こしていたのである。もちろん、この場合は( )の部分が
( 娘 )に置き換えられるのだが。

一方ちびは、寝床で、あるシミュレーションを始めた。
おそらく母親は、ベビを産むだろう。そして、働きもしないだろう。
バイト代を生活費として渡せば、一日で使い果たす。すべて私が稼いだお金は
あの女に吸い取られてしまう……・・私のこれからの人生→マターリできない!!!

これらの考えを元に、彼女は寝床の中で、ある決意を固めた。
1・母親には、明日の朝から一日500円しか渡さない。
2・中絶を決意OR実行するまで、精神的に圧力を加える。
家庭内暴力もふるう。ただし、腹は殴らない。
3・もし出産したら、ベビを全員頃す。避妊手術(流産した場合、後始末も)の準備をレモナに頼む。

ちびは、観察日記・麻薬が届くのを期待しつつ、浅い眠りに就いた。
そして、初めての引渡しの日が訪れた……・・

623 名前: 27・引渡し当日 投稿日: 2004/03/30(火) 22:54 [ z9dvf3ng ]
引渡し当日の朝、ちびは母親とけんかをした。もちろん、食事代のことでである。
「アニャア! オカネガ タリナイジャナイノ! ベビチャンノブンモ イッパイ タベナキャ イケナイノニ!!!!!」

「あぁ????生活費の足しにと思って、渡した分の金を全部お菓子買って食い尽くしたくせに、何言ってんのぉ?腹のベビはおろすんでしょ?何で氏ぬはずのベビの分まで、ご飯、食べなきゃいけないの?2食分のお金、500円で足りないなら、あんたが働いて稼ぎなさいよ!私は、これだけ渡すのが精一杯なのよ!!!」

「ギャクサツチュウ!!! アンタナンカ シンジャエ!」

「二言目には 『ギャクサツチュウ』か。ハハハハ。ベビちゃんたちに胎教をしなくちゃねぇ」

ちびが、母親の顔をこぶしで数回殴り飛ばすと、母親は、頬に手を当ててうずくまってしまった。
うずくまった母親の両足をつかんで、開脚させ、彼女の動きをある程度封じると、
ちびは、 「さあて、これから胎教を始めるわよ。」 と、ぞっとした笑みを浮かべながら、
母親のお腹に話し掛ける。

「おはよう、ベビちゃん。私がおねえさんよぉ。ベビちゃんたちはねぇ、生まれてきても、
幸せな時間なんて何にも無いのよ。虐殺されるか、いじめられるかしかないの。
いじめられても、ママは守ってなんかくれないわよ。あなたのお母さんはね。ただ、コウビがしたかっただけなのよ。
それであなた達ができちゃったの。もう、わかったわね?あなた達は邪魔者なのよ。
ギャクサツチュウとかいわれる人に、あなた達がいじめられても、ママはねぇ、黙ってみているだけよ。
こんな地獄のような所に生まれたいと思う? お腹の中で氏んだ方が幸せかもよぉ。」

ちびの、『生まれてきても、幸せな時間なんて何にも無い』という言葉を聞いたとたん、母親は
両足をつかんでいるちびの手を何とかしてふりほどこうとしたが、
お腹が邪魔したのと、ちびの力が強すぎたのもあって、解くことはできなかった。
母親は、両耳をおさえ、体をよじらせることだけしかできなかった。

「ハニャアアア ヒドスギル。 ヒドスギルヨォ コンナノ マターリジャナイヨ。 ナンテコトイウノ チビチャン。」
母親は、耳から離した手で、ぽかぽかとちびの頭を叩きながら抗議するが、
ちびはまったく動じず、母親にこう言い放った。
「じゃあ、早くおろしてね。そうすりゃ二度と言わないから。」

ちびは『いってきます』 の意味で、微笑を浮かべながら、
母親の顔に往復ビンタを食らわした。玄関ですすり泣いている母親を背に、ちびは公園へ向った。

624 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:57 [ z9dvf3ng ]
10分ほどの距離に公園はある。既に、ちびが声をかけたしぃ、ちびギコ、ちびしぃがそこにいた。
ちびの予想を少々いい意味で裏切った数であった。 妊娠しぃの、『お友達』が2匹いたのである。
3匹の妊娠しぃ、姉妹と思われるちびしぃ2匹、ちびギコ1匹が、そこにいた。

(妊娠しぃの友達の、2匹のうち1匹は、アフォじゃないしぃちゃんだな。しょうがないか)
ちびは、3匹の妊娠しぃのうちの1匹を見て思った。後の2匹は嬉しそうに、
ギコ君がどうの、ベビを産んだら、ショタに手を出してみようだのと話しているのだが、
残りの一匹は疑わしそうな表情を終始しているのである。

「車、遅いデチねぇ。」
ちびギコの言葉に、ちびしぃ達もうなずいている。
「道がこんでるんじゃない?車が来るまでの間、向こうで見たことでも話そうか?」
ちびの申し出に、ちびしぃ・ちびギコ・妊娠しぃ3匹のうち2匹は目を輝かせた。
「向こうにはねぇ、ちびしぃ、しぃ、ちびギコたちで、集団生活するの。おたがいのお部屋は行き来ができるから、
カプールもできてたし、ケコーンしてた子達もいたわよ…・ギコさんたちは、そこのボランティアとして働いてたわ。
ボランティアさんは、しぃちゃんたちにアンナ事やコンナこともしてくれるのよ…・・って、まず、元気なベビちゃんを生むことが先決ですよね。」
ちびの、むふふふふと言う笑いにつられて、5匹が笑っていた。

10分くらい後だろうか。『擬古田薬品 被験者様』と書かれたステッカーが窓ガラスの右上の隅に貼られたトラックが場にいた全員の視界に入った。
トラックが、ちび達の前に停車すると、中からクックル、八頭身、モララーが出てきた。

モララーが、代表して挨拶を始めた。
「こんにちは。擬古田薬品の、モラ之本と申します。皆さんを連れて行く前に、ちょっとオーディションをさせてくださいね。
まず、妊娠されているしぃちゃん。全員一歩前にお願いしますね。」
彼らは、モラ之本の指示に従い前に出る。そして、妊娠何ヶ月か、自宅に残している子供はいるのか、配偶者の有無等の簡単な質問に答えた。
最後にモラ之本は、妊娠しぃたちに質問をした。
「ここに、お腹のすいたでぃちゃんがいます。しぃちゃんたちは、あんパンを一個持っています。
しぃちゃんは、どうしますか?」
二匹のしぃは異口同音に、「キタナイ ディヲ シメタアト、 マターリト アンパンヲ タベマス 」 と答えた。
ちびが、(アフォじゃない)と形容したしぃは、「でぃちゃんにアンパンを半分あげます。」と、答えた。

「アンパンをあげるといったしぃちゃんは残念ながら落選です。こちらは交通費になっております。
剥き出しで、申し訳ありませんが、どうぞお受け取りください。」 モラ之本が、1500円をしぃに渡した。
その光景を見ながら (罰金の使い道ってこういうのだったのね)とちびは思った。
「でぃを〆ると答えたしぃちゃんは、こちらへどうぞ。」
八頭身が、アフォしぃたちをトラックの荷台に誘導すると、彼女達は不満を漏らした。
「ナンデ コンナ カタイトコロニ、 シィチャンタチヲ スワラセルノヨ!」 
八頭身もしぃの扱いには慣れているらしい。彼は、ニヤニヤしながら彼女らに言った。
「しぃちゃん。向こうのギコは、凄くシャイなんですよ。着いたら、色々教えてあげてくださいね。」
とたんに彼女らは機嫌を直した。

八頭身が、しぃをなだめている間に、モラ之本は、ちびしぃ達、ちびギコのオーディションを終えていた。
わくわくした表情で、『合格』した五匹は、荷台の中にいる。
お金を持って、当惑した表情の 『落選した』しぃに、モラ之本が、声をかける。
「しぃさん。お疲れ様でした。お金は少々ですが、どうぞお受け取りください。そして、申し訳ありませんが、
この場をお引取りいただけませんか?私どもは、彼女にお話がありますので。」
『落選した』しぃは、モラ之本らに何度も頭を下げ、公園を去った。

625 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 22:58 [ z9dvf3ng ]
しぃの姿が見えなくなった頃、モラ之本がちびに、お金を見せながら、封筒に入れる。
「じゃあ、ちびしぃ2匹で2000円。ちびギコ一匹で1000円。妊娠しぃが2匹で4000円だね。
7000円だけど、5000円札があったほうがいい?」モラ之本の問いにちびは首を横に振る。
「できれば、500円玉が欲しいんです。」
珍しそうな表情をしている3名に、ちびが赤面しながら昨夜の事を説明すると、
とたんに八頭身やモラ之本の顔がほころんだ。
「わかった。ちびちゃんも大変だねぇ。じゃあ、500円玉で2000円あるから、両替するね。」
ちびの前で、バイト代が入った封筒の中から1000円札2枚を抜き、ちびに見せる。1000円札2枚をモラ之本が取り、
八頭身が500円玉4枚をバイト代の封筒の中に入れた。

「確かにいただきました。」
ちびの言葉に、モラ之本は頭を下げる。八頭身が「伝言」と呟きながら、モラ之本の背中をつついた。
モラ之本は、「おっ。」と反応し、ちびに伝言を告げた。
「実は、伝言を頼まれたんだ。擬古矢が、次の時に一緒に来ますって。
えーと、タバコが出来たって言えばわかるっていってた。」
「はい。わかりましたとお伝えください。」
ちびの返事に、モラ之本は、「じゃあ、伝えたよ。」といい、車にクックル、八頭身とともに向った。
「じゃあ3日後に。」 「ではまた。」モラ之本達と、ちびはその日、別れた。

626 名前: 28・日記の到着 投稿日: 2004/03/30(火) 22:59 [ z9dvf3ng ]
初めての引渡し日の3日後が訪れた。今日は擬古矢が日記とともに、タバコを持ってくる日である。
ちびが公園に着いて、10分後くらいにトラックと乗用車が公園に止まった。トラックからはモラ之本らが、
乗用車からは擬古矢が出てきた。

今回の獲物は7匹。全員モラ之本の『オーディション』に合格したアフォであった。
今回も7000円のバイト料を貰うと、モラ之本らは 「漏れたちの用は終わりだね。」
と言い、トラックで帰った。

モラ之本を見送った擬古矢は、「ちょっと待ってて。」とちびに言い、自分が乗ってきた乗用車に向った。
彼は、大きな巾着袋に背負う紐がついた感じのリュックサックを持って、ちびの所に歩いてきた。
「どこか座れる所は…・ あ、ベンチがあるね。ちびちゃん。あっちへ行こう。」
ちびをベンチのほうに行くように促す。
ベンチに座った擬古矢はちびに、早速袋の中をあけて見せた。

ノート、レポート用紙、鉛筆一ダース、消しゴム、タバコ、0.5gとかかれたヘロインの小袋
ライター……・

「アレ?」 ちびが首をかしげる。タバコの吸い口がわかるように配慮したらしく、禁煙パイ○の
吸い口に似た、キャップがつけられていた。
「モナーがね、こうしたら説明がしやすいだろうってつけさせたんだ。これが、時間がかかったらしいよ。
ちびちゃんに謝っといてって。」
ちびは、擬古矢に礼を言い、モナーにも礼を言ってくれと伝言を頼んだ。

続いて、日記についての話を擬古矢は始めた。
ノートの表紙には 『観察日記』と書かれ、レポート用紙の表紙には、『つなぎ』と書かれている。
「しぃに収集日に薬を渡して、次の収集日に、モラ之本に日記を渡してくれる?」
擬古矢の指示にちびはうなずいた。

続いて、彼は『つなぎ』と書かれたレポート用紙をちびに見せた。
「『つなぎ』の方の説明ね。日記をモナー達に渡すでしょ。
彼らが必ず、一筆書いてちびちゃんに渡すって言うんだよ。そうすると、次の日に、ちびちゃんに戻ってこないじゃない?
その間日記が書けないでしょ?」 うなずくちびを見ながら、彼は説明を続ける。

「で、日記が向こうに行っている間、その『つなぎ』の方のレポート用紙に観察記録を書いて欲しいんだ。
日記をちびちゃんに戻したら、その『つなぎ』の方を破って、モナーたちに渡すからね。」

ちびが首をかしげている。擬古矢は例をあげ、ノートとレポート用紙を指差しながら、説明し始めた。
まず、ちびの膝の上に『観察日記』の方を置き、
「ちょっと、説明の言葉が足りなかったか。ごめんな。
例えば、0~2日目まで『観察日記』を書いて…・・」

ここで、擬古矢がちびの膝の上にある『観察日記』を持つ。
「3日目の朝に、僕に渡すとするでしょ?日記はモナー達の所に行っている。」

ちびがうなずく。彼は、『つなぎ』と表紙にかかれたレポート用紙を指差し、
「日記があっちに行っている間、『つなぎ』の方に、記録をつけていて欲しいんだ。
3日目から、5日目まで『つなぎ』の方に、記録をつけたとするでしょ?」

ここで彼が、持っていた『観察日記』をちびの膝の上に置いた。
「6日目の朝に、『日記』をちびちゃんに返しに来たとするでしょ。それから僕は、
3~5日までの『つなぎ』の方にかかれたレポートを、貰っていくからね。それで…・」

「6日目から記録を『日記』のほうにつければいいんですね。わかりました。」
ちびの納得した表情に擬古矢は安堵した。
「良かった。じゃあ頼んだよ。」

擬古矢は筆記用具をすべてリュックサックの中に入れ、
「今度は、『つなぎ』のレポート用紙を取りに来るときだね。」
「ありがとうございました。えーと、最初は『日記』の方をモラ之本さんに
渡せばいいんですね?」
ちびは擬古矢に念を押すと、擬古矢はうなずいた。

擬古矢とちびは挨拶を交わし、別れた。

627 名前: 29 観察日記 (実験編) 投稿日: 2004/03/30(火) 23:02 [ z9dvf3ng ]
ちびは、ちびしぃ しぃ ちびギコ フサギコらを公園に集め、モラ之本に引き渡すという作業と平行し、
しぃに麻薬を与え、観察を始めた。記録を少し読んでみることにしよう…・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○月×日 しぃ 薬をあげて0日目
今日は、モラ之本さんに被験者を引き渡した後、公園から歩いて10分ぐらいの空き地で食事を取りました。そこの空き地でのんびりしていると、通りがかったしぃに罵倒されたので、
彼女を麻薬漬けにする事にしました。
『ハニャ上天しぃ堂で作られている マターリできる薬だ』 と嘘をつき、ミングオイルのやり方を
教えました。モナーさん、どうもありがとう。吸い口のおかげで、説明がしやすかったです。
「マターリノカミサマは、私のような者に使命を与えてくださり、
しぃちゃんをマターリさせるために、この地域に遣わしてくださったのだ。」
ともっともな事を言って、お祈りの真似をしたら、すっかり信じ込みました。
しばらくシスターの真似でもしようかと思います。(藁)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○月×日 記入者 モララー
ちびちゃん。『ハニャ上天しぃ堂』には、思いっきり笑かしてもらいました。
シスターの真似、うまくいくと思う。がんがれ。

追伸
お家でのこと、皆興味を持って読んでたよ。
『関係ないこと書いてごめんなさい』 なんて謝らなくていいからね。
むしろ、どんどん教えてくれ。

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○月 ★日 しぃ 薬を渡して3日目

「ウンチサン デナイ 」 「メガ マワル」 「キモチワルイ」などなど、色々文句をつけてきました。
挙句の果てには、「コノクスリ ホントウニ マターリデキルノ??」 とか言うので、
「マターリノカミサマの試練なのです。この試練に打ち勝つ事が出来ない方は、
神様の恩寵を受けられません。神様は、あなたの事をお見捨てになり、ギャクサツチュウに
引き渡されるでしょう。」と、でたらめを言いました。
そうしたら、「シィ ガンバル。」 と、言うので助かりました。
まったく同族ながら調子がいいと思いました。

念のため、浣腸を用意していただけると助かります。便秘が深刻になったら、渡すつもりです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○月★日 記入者 モララー

いわゆる、『薬が体に慣れるまで』の、不快な症状が出ているときだね。
ちびちゃん、何が何でも、タバコを吸わせ続けてくれ。
浣腸の件はわかったよ。次の収集日にモラ之本に持たせるので、彼から受け取って。

(追伸)
お家での事、皆で(いろいろな意味で)興味深く読ませてもらってるよ。
どんどん書いて。次回の収集日にモラ之本に、ボールギャグを持たせるので
お家でお母さんに使ってみてください。使い方は、モラ之本に教えておきます。

628 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:02 [ z9dvf3ng ]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

○月◇日 しぃ 薬を渡して10日目。
浣腸、モラ之本さんより確かにいただきました。モララーさんありがとうございます。
タバコを渡しに行く時に、浣腸も持って行って、一緒に渡してきました。
渡す前に、お腹に触ったら、硬い。大丈夫か?と思いましたが、杞憂に終わりました。
彼女は5mくらい離れて排便したのですが、猛烈な臭いと、こげ茶色の小山…・
う、うげぇ…・ その後、それを食、食べ…(自己規制してもいいですか?)

えーと、『気持ちの悪さ』とか『眩暈』は、程度が軽くなったようです。
それと、「トローントシタ カンジガシテ ジカンガ ワカラナク ナッテキタ」と 言ってました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○月◇日  記入者  モナー

モララーにお礼の事は伝言しといたよ。
もうそろそろ、こっちに来てもらってもいい頃かもね。
ちびちゃん。被験者について、
近所の人たちに聞き込みを始めてくれないかな?
彼女の言動を細かく聞いて欲しいんだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

○月 △日 しぃ 薬を渡して18日目

ここ2~3日、モナーさんに言われたとおり、近所の人たちの噂話を聞いています。
どうも、あちこちでコウビをねだっているようです。
コンビニの食べ物を万引きしたという話も聞きました。とてもしぃが一匹で
食べる量ではない量だったらしいです。店員さんに話を聞きました。
店員さん曰く、「目からして逝っている」表情だったので、
相手にすると殺されそうだったとのことでした。

3日前にでぃちゃんを虐待していたので、おとといと昨日は実は薬を与えていません。
『マターリノ カミサマが 怒っておられます。罰として、あなたに薬を与えるなと
神様に言われました。』と言ったら、ひどく落胆した表情をしていました。
「クスリガ ナイト ゴハンガ オイシク アリマセン 」 「クスリガ キイテイルトキ コウビスルト マターリカンガ バイゾウスルノニ」
と文句ばかりいうので、
『でぃちゃんに謝らなければ、マターリノカミサマは
あなたに薬を与えてはならないと言っておられるのです。』と、言って聞かせると、
でぃちゃんに土下座していました。
勿体つけた後に薬を渡すと、私から薬を奪い取り、吸い始めました。
薬のとりこかな?(笑

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○月 △日 記入者 ギコ

>薬のとりこかな?(笑
うん。そのしぃは薬のとりこだぞ(w
ちびちゃん。この日記が君の所に戻った日から一番近い収集日、
公園にその被験者を連れて来てくれ。
それと、収集担当の人数がいつもより増えてると思うが気にしないでいいぞ。

あと、擬古矢も一緒に公園に来るからな。彼と一緒に警察に顔見せに行ってくれ。
将来的に、警察の協力も必要になってくるからな。

629 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:03 [ z9dvf3ng ]
日記がちびの元に返った日の一番近い収集日は2日後であった。
ちびは、公園に向う前に薬を与えていたしぃに会いに行った。
彼女に、「あなたをマターリの聖地へ連れて行くようにと神様よりお告げがありました。
さあ、一緒に参りましょう。」と嘘をつき、一緒に公園へ向った。

公園には、事前に勧誘していたちびギコらが既にいた。
今回も7匹。うまくいけば7000円は確実に手に入る。それと、2000円の臨時ボーナスもだ。
ちびは、わくわくしながら待っていた。

いつものトラックと、擬古矢の乗用車に、なぜか救急車が公園に向ってくる。
救急車には 『阿武沢 精神病院』 と車体に書かれていた。
3台の車は公園に止まると、トラックからはモラ之本らが、救急車にはクックルと八頭身が降りてくる。
クックルと八頭身は手際よく、麻薬中毒のしぃに拘束衣を着せ、口にさるぐつわを噛ませて、
救急車の中に放り込んだ。
クックル達の作業と平行して、モラ之本が『オーディション』を行っていた。
一匹アフォでないしぃが混じっていたらしい。モラ之本が、彼女に1500円を渡し、
公園から帰ってもらうように頼んでいた。

「今回は、5500円に2000円のボーナスだね。7500円。
500円玉、5枚あるけど、五千円札に500円玉5枚にしとく?」
モラ之本の問いにちびはうなずく。彼は「わかった。」とちびに告げ、
ちびの前に五千円札と500円玉5枚を見せ、封筒に入れて彼女に渡した。
「じゃあ、後は擬古矢の出番だね。よろしく~」
モラ之本達は、去っていった。

630 名前: 30・ 警察へ 投稿日: 2004/03/30(火) 23:05 [ z9dvf3ng ]
「警察に行くから乗ってね。ギコがさくっと書いてたと思うけど、中で説明するから。」
擬古矢に促され、ちびは乗用車に乗り込んだ。車を走らせると、擬古矢は説明を始めた。
「お、日記のセットを持ってるね。よしよし。免許もちゃんとあるかな?」
「ありますよ。だって、これはお守りだもの。」
ちびの答えに、擬古矢は笑顔で返す。
「もうすっかりプロだね。次に来る時は、『つなぎ』と『日記』の2冊目のノートを持ってくるからね。」
擬古矢の言葉にちびは照れ笑いを浮かべた。

「ところで擬古矢さん、警察って?」
ちびの質問に擬古矢が答える。
「顔見せ。ちびちゃんが麻薬を持ってても、逮捕されない様に顔を覚えてもらうんだ。
あとねぇ、いろんな事のもみ消しも頼みにいくの。あと、携帯の話も警察でするからね。」
「携帯電話?」
「うん。ちびちゃんがコンスタントに、こっちに被験者を送ってくれるでしょ?
今度は、こっちのオーダー通りに被験者を連れてこれるかなと思って。それと、警察との連絡用でもあるんだ。詳しくは、あっちでね。」
「はあい。」

25分ほど車を走らせると、『阿武沢警察署』と書かれた看板が目に入ってきた。
車を駐車場に止め、署内に入る。擬古矢が、名刺を受付に出し、署長室の場所を聞くと、
署員が階段のほうを指し示し、「署長室は3階です。皆さん、お待ちですよ。」と擬古矢に告げた。
擬古矢とちびは、応対した署員にお辞儀をし、受付から少し離れた階段へ向かった。

3階で、『署長室』と書かれた看板がある部屋の前に着いた。
擬古矢がドアをノックすると、中から「入りなさい」という声がする。
「失礼します。」 「失礼します。」 二人は声をかけ、中に入った。
ちびは署長室の雰囲気に緊張していたようだ。擬古矢の後ろに隠れるようにして中に入った。
中には署長以下、数人の私服刑事がいた
「免許の許可をしたちびしぃをつれて来たかい?」
署長に聞かれた擬古矢は、後ろのちびしいの背中を押し、「彼女です。」と紹介する。

「は、はじめまして…」
緊張しながら挨拶するちびに、署長は笑顔で挨拶を返す。
「阿武沢警察署の署長のモナ木です。そんなに緊張しなくてもいいよ。
ちょっと免許を見せてくれるかな?」
穏やかな口調のモナ木に少々安心したちびは、リュックの中から免許を出して、モナ木に見せた。
「ん。間違いない。それに、君は覚えやすい特徴をもっているので、署員も助かると思う。
ちょっと写真をとらせてくれるかな?」モナ木の頼みに、ちびはうなずく。
「では、モラ角君。たのむ。」 「はい。」
モラ角と呼ばれた刑事は、3枚ちびの写真を写した。

モラ角がちびに、申し出た。
「申し訳ないが、保険をかけさせて欲しいんだ。指紋と掌紋を取らせてもらえないか?」
「へ?」面食らった表情のちび。
「もし、君が免許をなくしたり、忘れた場合の確認材料が欲しいんだ。」
「は、はい。わかりました。えーと…」
モラ角は、用紙を用意し、ちびに指で指し示す。
「ここに、一つ目の肉球。ここに、二つ目…・」
モラ角の指示通りに、ちびは順番に指紋・掌紋を押していき、用紙が全部埋まった。
「よし、これで完了です。洗面所はあっちね。洗い終わったら戻ってきてね。」
手を洗い終え署長室に戻ってきたちびに、モナ木が、「空いている席に座って」と勧める。

631 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/03/30(火) 23:05 [ z9dvf3ng ]
ちびが席に着くと、モナ木は、携帯をテーブルの上に置き、説明を始めた。
「これを君に支給する。電話代は心配しないで。ただ、私用に使えないように、
ちょっと細工をさせてもらったからね。」
「ツカイカタ ワカラナインデスガ…」
ちびが恥ずかしそうに署長に話す。すると、モナ木が、
「えーと。君、ノートを2冊持っているよね?その表紙の裏に
使い方を書いておこうか。そうすれば、見ながらできるもんな。
君、ノートを両方とも出してくれ。それと、擬古矢君だっけ?このノートがいっぱいになったときに、
新しいノートの表紙の裏にも、携帯の使い方を書いてあげてくれないか?」
擬古矢はうなずいた。
「スイマセン・・・・」
恐縮しながらノートを出したちびから、モラ角がノートを受け取り、彼女の頭を撫でながら言う。
「そんなに恐縮しなくてもいいよ。じゃ、署長から続けて説明を受けてくれ。
署長?机をお借りしますよ。ここで書かせてもらうことにします。」
モナ木はモラ角のほうを向き、うなずいた。

「えーと、どんな時にこの電話を使うのか説明するね。まずは、擬古田さんの方からお願いしますよ。」
モナ木が擬古矢に話題を振ると、擬古矢はモナ木に「じゃあ、お先に。」と断りを入れ、
ちびに説明を始めた。

「ちびちゃん。こっちのほうの使い方は、車の中で少し話したんでちょっと補足するね。
健康体の被験者のオーダーは、モナー達が直接君にします。その電話でね。
また、麻薬漬けにした被験者がいるでしょ?レポートや日記で、今まで出してもらってたけど、
今度は、電話で報告って言う形になる。ノートのほうには君のおうちのことだけ書いて欲しいって。
日記と、『つなぎ』のレポート用紙の回収と、小物を届けに僕は君のところに来ることになるね。」

「クックルさん達は、収集日の日にしか来ないんですか?」ちびの問いにモナ木が口をはさんだ。
「いや、収集日以外にも来てもらう事があるよ。ところで、擬古矢君。そろそろ私の説明を始めるころかな?」 
擬古矢がうなずくと、モナ木が擬古矢に代わって説明を始めた。
「クックル君達は、こっちが要請したときにも、きてもらうことになってる。
例えば、ある麻薬中毒のしぃが事件を起こした場合。そのしぃを一旦こっちに連行した上で、
我々は、君に電話をする。君には、身元確認のために、こっちに来てもらう事になる。
そのしぃが君が薬漬けにしている被験者だった場合、クックル君たちの出番だよ。」

ちびは、説明に納得した表情で、モナ木の言葉に大きくうなずいている。
携帯電話の使い方をノートと、レポート用紙に書き終えたモラ角が口をはさんだ。
「ちょっといいかい?使い方を書き終えたんで、目を通してくれるか?
わからない漢字とかないかな?」
ちびは、「大丈夫。読めます。」といった後、モラ角に礼を言い、ノートを受け取った。
モラ角は、「実はもう一つあるんだ。君の前で申し訳ないんだが…・」と口ごもる。
「いいですよ。」ちびはモラ角に発言を促した。
「実はあふぉしぃやちびギコらがよく事件を持ち込むんだよ…・」
モラ角がつぶやくとちびは察したのか、うなずきながら 「掃除ですね。」とモラ角に答えた。
「頭がいい子は大好きだ。」モラ角とモナ木はちびに微笑んだ。モラ角は続けて、説明した。
「そのときにも、クックル君たちに来てもらう事になる。もちろん、君にもお金は入るよ。」
モラ角の言葉にちびは微笑んだ。
「では、早速明日からだよ。ちびちゃん頼んだよ。」 「わかりました。」
ちびたちと、モラ角・モナ木は互いに握手を交わした。

ちびと擬古矢は、阿武沢警察署を出、車に乗り込んだ。
近くのコンビニで、ちびは擬古矢に、ソフトクリームをおごって貰い、
車の中で食した。走る車中で、擬古矢はモナー達のことを話し始めた。
「お母さんのこと、モナー達が興味を持って読んでいるって。あとは、レモナが
お母さんのことは任せてって。でも、ちびちゃん大変だね。」
擬古矢のねぎらいの言葉にちびは微笑み、そして、伝言を頼んだ。
「モナーさん達にお礼を言ってください。
レモナさんに、よろしくお願いしますとお伝えください。」
「うん。わかった。」擬古矢がうなずく。

公園に着くと、擬古矢はちびに、
「今度は、2冊目のノートと、レポート用紙を持ってくるよ。」と、予定を伝える。
ちびは、車を出て、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「じゃあね。」 「また。」二人は公園で別れた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^
次回、「日記:家庭の事情編」 いきます。

次回:擬古田薬品 (5)

擬古田薬品 (5)

前回:擬古田薬品 (4)

736 名前: 31 日記 (家庭編) 投稿日: 2004/04/14(水) 21:37 [ Rr1HtN86 ]

『観察日記』と同じノートに、ちびは家庭での事を書き始めた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○月×日
皆さん。関係のないことを書いてごめんなさい。うちでの事を愚痴らせてください。
初めてしぃやちびギコたちをそちらに引き渡す日の前夜のことです。
家の母親が、「ステキナ オハナシガ アルノ 」とか言うので、何のことか聞いたら、
妊娠してやがったんです。相手を聞いても「シラナイ」 って言ってるし、
養育費の事を聞いたら、「ナニソレ?」って言っていました。
「ハタラカナクタッテ ナントカ ヤッテイケル」 とも、言っていました。正直呆れました。

研修費の半分を母親に、生活費として渡したんですよ。4日間、普通に生活してれば
ゆうに生活できる額じゃないですか?でも、母は一日で使い果たしちゃったんです。
モナゾフのプリンとか、○○堂のどら焼きとか、数え切れないほどのお菓子の名前が
母の口から出てきて、「ソレデ ゼンブ タベチャッタノ」 って、満足した顔で言いやがったんで
もう完璧ぶち切れですよ。拳で母親の顔殴りつけてやりました。
お決まりの言葉(皆さん、ご存知ですよね?)を吐いて殴りかかってきたので、
首を締め上げてやりました。
『子供をおろすか、臨月まで働くか』の選択を母に迫っています。
母親は一旦、私が『子供をおろす』と言ったときにうなずいたんですが、
あのババア、おそらく働きもせず、子供だけ産むんだろうな。
避妊手術、レモナさんお願いしますね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モララー
おやおや、大変だったね。もし産んだり流産・死産した場合こっちに知らせてくれ。
こっちはいつでも、お母さんのベッドを用意して待ってるからね。

レモナ
大変ねぇ。お母さんのことは、任せて!・・・・・ その前に、
医者として、インフォームドコンセントってやつをやらせてもらうわね。
術式として子宮のみ取ってしまう方法と、子宮も卵巣も両方とってしまう方法があるのね。
それをちびちゃんに、決めて欲しいの。子宮だけ取ってしまう方法だと、
卵子だけをお母さんから取り出して、いわゆる『代理母』に子供を産んでもらう事ができます。
卵巣も取ってしまうとそれもできないです。
時間は、まだあります。(死産しました)って事にして、今お腹にいるベビを頃す事も可能です。
ゆっくり決めてください。

737 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/04/14(水) 21:39 [ Rr1HtN86 ]
○月★日
母親について決めたこと。
1・母親には一日500円しか渡さない。
2・虐待を始める。暴力もふるうが、腹は殴らない。

レモナさんへ。
避妊手術の件、卵巣・子宮、両方とも取っちゃってください。
ベビをもし、出産した場合の処置もお願いします。

今日は、初めてちびギコ達をそちらに引き渡した日の朝のことを書きます。
母親と喧嘩したんです。食事代のことで。一日の食事代として、500円渡しています。
バイトの後に、私が食材を買って帰宅し、その中から母は、朝食と夕食を作ります。
問題は昼食なんです。昼食&おやつ代として500円渡しているんですが、
「アニャア! オカネガ タリナイジャナイノ! ベビチャンノブンモ イッパイ タベナキャ イケナイノニ!!!!!」
と言いやがったんで、「金が足りないなら、自分で稼げ」と言ったら、
「ギャクサツチュウ! アンタナンカ シンジャエ! 」と、いつもの言葉を吐かれたので、
顔を数発殴りつけました。母がうずくまってしまったので、
母の子宮が墓場になるかもしれないベビたちに胎教をすることにしました。
両足をつかんで広げ、お腹の中のベビに向かってこう話し掛けました。

「おはよう、ベビちゃん。私がおねえさんよぉ。ベビちゃんたちはねぇ、
生まれてきても、幸せな時間なんて何にも無いのよ。虐殺されるか、いじめられるかしかないの。
いじめられても、ママは守ってなんかくれないわよ。あなたのお母さんはね、ただ、コウビがしたかっただけなのよ。
それであなた達ができちゃったの。もう、わかったわね?あなた達は邪魔者なのよ。
ギャクサツチュウとかいわれる人に、あなた達がいじめられても、ママはねぇ、黙ってみているだけよ。
こんな地獄のような所に生まれたいと思う? お腹の中で氏んだ方が幸せかもよぉ。」

ギャアギャアわめいて、私の手を振りほどこうとしましたが、大丈夫でした。
両耳を塞いで、体をよじらせることしかできなかった。アヒャヒャ。
ベビ達おなかの中でショック氏かしら。 ちょっと楽しみ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モララー
食事代で500円。十分なのにね。贅沢だね。

所で、話は変わるが、
面白いことを始めたね。もう一つの実験かな?漏れにも手伝わせてくれないか。
ボールギャグをモラ之本に持たせます。使い方も教えておきますので、彼から聞いてください。
わめき声が小さくなって、ベビ達にちびちゃんの言葉が聞こえやすくなると思います。

レモナ
別の意味で面白いことを始めたわね。ちびちゃん。私にも手伝わせてね。
それと、避妊手術の件、了解しました。ベッドはいつでも空いています。
それと、ベビの遺体の解剖をしてもいいですか?血液を採取したいので。

738 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/04/14(水) 21:40 [ Rr1HtN86 ]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○月◇日
レモナさんへ。了解しました。(遺体は)好きに使ってください。

モララーさん。ボールギャグをありがとうございます。
モラ之本さんにも、お礼を言っていたとお伝えください。
ボールギャグですが、早速使うことになってしまいました。
夕方、食材を買って帰宅すると、魚屋さんのご夫婦が怖い顔をして、玄関に立っていました。
母は、口をへの字にして涙を浮かべています。「コノフタリガ シィチャンニ オサカナ クレナイノ ギャクサツチュウナノ」
と、自己中心的なことを言っていました。
母のたわごとを無視して、魚屋さんのご主人に事情を聞くと、
母がなんと、マグロを盗んだんだそうです。取り返したら逆切れし、奥さんの顔を引っかいたそうです。
魚屋さんご夫妻に「母親には調教・ベビには胎教をしますので、どうぞ許してください。」
とお二人に謝罪したら、ご夫妻が(調教&胎教を)手伝ってくださるというので、
お言葉に甘えさせていただきました。

奥さんに母の両腕をつかんでもらい、私が母の両足をつかみ、
ご主人が母に、ボールギャグをかませました。
母のわめき声が小さくなり、いい感じです。
もともと半角しゃべりなので、声がさらに小さくなりました。
ご主人と私が入れ替わり、旦那さんに母の両足をつかんでいてもらいました。
私は母の左側に座り、母のお腹に手を当てながら、語り掛けました。

「ベビちゃん。おねえさんよぉ。今日はねぇあなた達のママが、ひどいことをしたのよ。
ママは悪い人なの。魚屋さんのお魚をお金を払わないで持ってきたのよ。取り返しにきた魚屋さんの
奥さんの顔を引っかいて怪我までさせたの。こんなママのところにうまれちゃだめなのよ。
とっとと氏んだ方が幸せよ。わかったぁ?」

母の体を押さえつけるのを交代しながら、
私の次に魚屋のご主人が、その後に奥さんがベビに胎教を始めました。
「ベビちゃん、魚屋さんだよ。今日はね、悲しいことをベビちゃんに教えにきたんだ。
ベビちゃんのママが、お魚をお金を払わずに、持って行っちゃったんだよ。
これはね、とっても悪いことなんだ。魚屋さんの奥さんが、お魚を取り返したら、
奥さんの顔を引っかいたんだよ。悪いママだね。こんなママの所にうまれちゃだめだよ。
マターリの神様とやらの所に逝って、もっと良いところにうまれてくるようにお願いしといで。」

「魚屋さんのおばちゃんよぉ。こんにちは。ベビちゃんのママに顔を引っかかれちゃったの。
それなのに君たちのママはねぇ、魚屋さんたちのことギャクサツチュウって言うのよ。
ママが悪い人なのにね。こんなママの所にうまれたくないでしょ?氏んだ方が幸せかもよぉ。」

魚屋さんのご夫妻に、「最後はおねえちゃんがしめなさい。」と言われたので、
お言葉に甘えさせていただくことにしました。
「ベビちゃんのお母さんは、自分が気持ちよかったり、自分がマターリできればいいの。
ベビちゃんたちは、うまれるだけ損なのよ。わかったぁ?」とお腹を触りながら聞いたら、
私の手に何か触れたような気がしました。手をあげて返事をしたのか、
それとも、私に向かって中指を立てたのかは、わかりませんが。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
レモナ
お魚屋さんは災難だったわね。
ところで、ちびちゃん。ちびちゃんが小さかったとき、お母さんがしてくれたことで、
うれしかったことや、楽しかったことがあったら教えてくれないかな?
覚えてる範囲でかまわないからね。

739 名前: 32・告白 投稿日: 2004/04/14(水) 21:41 [ Rr1HtN86 ]
ちびのレモナへの返信である。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△月 ○日

うれしかったこと、楽しかったことは、
悲しい出来事につぶされてしまいました。あまり覚えていません。
ちびがもっと小さかったときの事を書きます。

ちびのほっぺに*がないのを「キケイ」と同族にいじめられていたとき、
助けてくれたお友達がいました。
彼女はとてもやさしくて、でぃちゃんに給食の残りを持っていくような
女の子でした。ちびと、彼女とでぃちゃんとで遊んでると楽しかったです。
なんか、あったかかったです。

でも、あったかかった日々はすぐに終わっちゃいました。
お友達と、でぃちゃんがいつもいる土管に遊びに行ったら、でぃちゃんが氏んでたんです。
血がいっぱい出てて、腸もお腹から出てて、ぼろぼろでした。
お友達と、ちびとでいっぱいいっぱい泣きました。

次の日、学校から帰ったあとに、お友達のお家に行ったら、
(ちびのことを助けてくれた彼女です。)
お友達のお母さんと、彼女が「土手にお花をつみに行こう」と言うので、
一緒に行きました。「でぃちゃんに?」って二人に聞いたら、二人は静かにうなずきました。
土手で3人でお花をつみました。
土手でお花をつんだら、彼女のお母さんがちび達に持ちやすいように束ねて
花束を作ってくれました。私たちは、冠と首飾りをお花で作ったんです。
それからお菓子屋さんに行って、でぃちゃんにお供えする団子を買いました。

それからでぃちゃんがいる公園に行きました。
まだ、でぃちゃんがそのままの姿でいたんです。
土管の中にいたでぃちゃんを出して、私たちの作った首飾りと冠で
でぃちゃんを飾ってあげました。それから土に埋めて、お墓を作りました。
団子と花束をお供えして、その日は帰りました。

お家に帰ると母が、楽しそうな顔で、
「コウエンニイタ ウスギタナイ ディヲ ママノ オトモダチト イッショニ ナブリゴロシニシタンダヨ。
キタナイノガキエテ マターリダネ。」 っていきなり私に言ったんです。
ちびが、「土管のある公園?」って聞いたら、うれしそうな顔でうなずいてました。

このとき、ちびの中に何か黒いものが芽生えたような感じがしました・・・・

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

レモナが読むことができたのは、ここまでである。この文以降は、
ちびが書いては消し、書いては消しを繰り返したらしい。水分を含んだ状態で、
消しゴムをかけたとみられ、薄紙をはがしたような状態でぼろぼろであった。
流石にこれはまずいとちびが思ったのだろう。追伸は次のページに書かれている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
追伸。
そろそろこの地域も、あふぉと言われるしぃ族やちびギコたちが少なくなってきました。
私の仕事もそろそろ、潮時かもしれません。それに、他の地域では私の面が割れている
恐れがあると思うんです。つきましては、私の仕事を受け継いでくれる人材を教育することを
検討していただけないでしょうか。(すぐではなくて結構です。)
人材の対象は、育児放棄されたベビしぃとか、でぃちゃんをリハビリして教育したりとか
ってどうでしょうか?

740 名前: 33・電話 投稿日: 2004/04/14(水) 21:43 [ Rr1HtN86 ]
ちびが『日記』に書いた提案を、擬古田薬品&阿武沢警察の面々が検討を始め、
大体2週間ほどがたった頃の話である。

ちびは、母親のことで考え込むことが多くなった。
出産の時期はとうに過ぎてるはずなのに・・・
母親のお腹は、素人のちびの目から見ても大きくなりすぎている。
母親は能天気に、「ベビチャンハ タクサン オネムスル イイコナノヨ! アンタト チガッテネ !!」
なんてことを言っていたが、ちびはそう思ってなかった。
(うまれるのを恐れているのかしら?)
ちびは、母親が見ていないところでぞっとする笑みを浮かべた。

引渡し先の公園にて、モラ之本に、しぃたちを引き渡し、
擬古田薬品にサンプル(麻薬漬けのちびギコ)の様子について報告を入れたところ、
「ちびちゃんの提案の件、通ったよ。後は細かいところを詰めているところだ。」
と、応対したモナーからうれしい報告を受けた。
モナーの報告に、少々気分がよくなったちびは昼食を少々奮発し、
いつも買い物をするコンビニで、エクレア2個ととカフェ・オレを買い、
昼食をいつもとることにしている空き地へ向かった。
昼食をとり終え休んでいると、携帯電話が鳴り響いた。
(また、ちびギコがレイープでもしたのかしら?)
ちびはちょっと鬱になった。

彼女は現在ちびギコに麻薬を投与し、観察しているのだが、
薬の回りがちびギコは速いらしく、ちびしぃ、しぃよりも早めに性的な逸脱行動が見られ、
レイプ事件を連発しているのである。警察に向かうのはかまわないのだが、
こうも回数が多いと、さすがの彼女も気が重くなる。
電話に出ると、申し訳なさそうなモラ角の声が聞こえてきた。

「モラ角です。えーと、今回はちびギコがメインじゃないんだ。
ちびギコ達相手に売春をしていた妊娠しぃを連行したんだが、君の母親だと言い張っているんで、
身元確認を頼みたいんだけど・・・・」


「母が売春ですか・・・すぐに伺います。徒歩なんで、時間が少々かかりますが
よろしくお願いします。お手数をかけまして申し訳ありません。」

ちびは電話を切り、「自分の母ながら、なんて女なのよ・・・・」とつぶやき、
呆れながら警察に向かった。

741 名前: 34・取調室 投稿日: 2004/04/14(水) 21:45 [ Rr1HtN86 ]
モラ角からの電話を切り、一時間ちょっとたった頃、ちびは警察に到着した。
警察署に入るとすでにモラ角が、入り口で待っていた。
「ちびちゃん。毎度、すまないね。」 「いいえ、こちらこそ母がお手数をかけまして」
二人は挨拶を交わし、2階の刑事課へ向かった。

取調室の隣室にまず通され、モラ角より説明を受ける。
「びっくりしないで聞いてね。『ちびギコ相手に売春しているしぃがいる』って通報があって、
○○公園へ行ったんだ。で、お母さんらしきしぃとちびギコ10匹を逮捕したんだよ。
『シィチャント コウビシナイヤシハ ギャクサツチュウ』なんだそうだ。」

「妊娠したときに、『働くか、ベビをおろすか』って選択を母に迫ったんですよ。
普通に働き口を見つける努力をすると思ったんだけど・・・まさか・・・」

「あんまり気を落とさないでね。」
モラ角の気遣いにちびは微笑みながら感謝の言葉を述べ、続けて言った。
「ちょうどいいタイミングです。擬古田薬品のレモナさんに、
母の避妊手術をお願いしていたところです。母に会った後で、電話を使わせてください。
取調室は、携帯の電波はどうでしょうか?」
モラ角は「3本。状態はいいよ。」とちびの質問に答えた。

モラ角が、取調室のドアをノックし、「お嬢さんを連れてきました。」と中に告げると、
「どうぞ」と応答があった。二人で、中に入ると、すすり泣く母親と、困り果てた表情の
ギコ族の刑事がいた。テーブルの上には一円玉10枚と5円玉一枚で15円。
どうも、母親の『稼ぎ』のようだ。

「ギコ崎です。」モラ角から紹介された、ギコ族の刑事は、ちびに頭を下げる。
ちびもギコ崎に頭を下げた。「えーと、どうもお母さんの金銭感覚が・・・」
「ないのはわかってますよ。」ちびはギコ崎の言葉に苦笑いを浮かべる。

「ちびギコ達の証言によると、
『オネエサンガ ギコクンノ レンシュウダイニ ナッテアゲル」と尻を出したそうです。
お金は1000000円と吹っかけられたらしいんですが、
猛烈に臭かったので、抗議したら、10000円に負けるって言ったらしいです。」

「一万円にしては、金額が少なすぎますが・・・・」
ちびが笑いをかみ殺しながらギコ崎に聞くと、ギコ崎も笑いをかみ殺しながら答える。
「うまくちびギコ達はお母さんを騙したんでしょうね。
よく、こういった事件での金銭交渉で前払いって言うのは聞くんですが、
彼らは後払いを要求したらしいです。それに応じたんですな・・・・・・・」
「それで?」ちびが聞くと、モラ角が続ける。
「我々が公園に着いたとき、お楽しみの最中でした。お母さんの視界から外れた所に、
ツナの缶詰の空き缶が置かれてましてね、そこに15円が入ってました。
大人のおもちゃを使ってる最中で、ちびギコはその様子をニヤニヤしながら眺めてましたね。」

「アノネ チビチャン アノネ ・・・・」 涙を浮かべながら、言い訳を始めようとする母に、
ちびは作り笑いを浮かべながら半ば棒読み口調で話し掛ける。
「お母さん。働こうと思ったのね。嬉しいわ。でもね、コウビでお金を取るのは準備がいるのよ。
病気を人に移したりすると、逮捕されちゃうし、ベビを妊娠したら困るでしょ?
コウビでお金が取れる準備をしに、病院に行きましょう。」

「ハニャッ? ジュンビ? ドンナコトヲ ジュンビスルノ?」 希望からか、欲望なのかはわからないが
とたんに表情を明るくした母親に、モラ角、ギコ崎、ちびはにやりと笑って言った。

「避妊手術だよ。もうベビは産めなくなるんだ。」

742 名前: 35・擬古田薬品へ 投稿日: 2004/04/14(水) 21:47 [ Rr1HtN86 ]
顔を青ざめさせ、言葉を失っている母親を傍目に、ちびは擬古田薬品へ電話を入れる。

「もしもし?モララーさんですか。またかって?今回は大丈夫です。
いま、警察からです。今回は、母の件をお願いします。詳細は
モラ角さんに報告してもらいます。」

モラ角は、電話を変わるとモララーにちびの母親のことを報告した。
売春をしていたこと、稼ぎが15円であったこと、客のちびギコ10匹も
拘束していること。

「え?ちびギコ達のチン拓ですか?亀頭部分?わかりました。すぐにとります。
それから、ちびギコ達の詳細な証言をまとめた物を持って来い?わかりました。
漏れが彼女と同行します。」

『ちびギコ達のチン拓』という言葉をモラ角が発したとき、彼はギコ崎の方を見て、
無言で、ドアを指差した。彼は意味を察したようで、外に出て行った。
鑑識課へちびギコ達のチン拓を、取ってもらいに行ったのだろう。

電話をモラ角が切り、ちびに渡した頃に母親は正気づき、とたんにわめきだした。
「シィハ ギコクンノ コドモ ウミタイノ ! シキュウ トッチャウナンテ イヤァアァ」
ちびは母親の言葉をさえぎり、モラ角に同意を求める。
「うるさいよ。ベビを腹の中に入れたままコウビしてたくせに、
子供産むなんて大間違いよ。そう思いませんか?モラ角さん。」
モラ角は大きさが20cm近くもある大人のおもちゃを指差しながら、
ニヤニヤして母親に問いただす。
「奥さん。ちびちゃんに聞いたら、いつ産まれてもおかしくない状態らしいじゃないですか。
それなのに、中にこれ、深くまでずっぽり入れてたじゃないの。ベビちゃん、動いてます?
ちびちゃんの言うこと、正しいのかもしれないなぁ。」

「ベビチャンハ タクサン オネムスル イイコタチナンデス。 キット ゲンキニ ウマレテ キマス!!」
母親はこう言い切ったが、顔色は青ざめていた。

743 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/04/14(水) 21:48 [ Rr1HtN86 ]
40分ほど経った頃、ギコ崎が紙を持って戻ってきた。
「チン拓、取り終わりました。」
「ごくろうさん。後は、クックル君たちを待つだけだね。」
モラ角が、彼をねぎらうとギコ崎は、愚痴り始めた。
「いやあ、取ってる最中のちびギコ達の話には参りました。
『あのババア、ハラボテにもかかわらずコウビなんてばかデチ』とか、
『ぜんぜん気持ちよくないのに100万なんてぼり過ぎデチ』とか、
不満ばかりでした。とどめは、どこのニダーに教わったのか、
『あのしぃに病気を移されたら、謝罪と賠償を要求するデチ』とも言ってましたよ。」

ちびはギコ崎の言葉に、爆笑している。それを見て、母親は羞恥のあまり顔を
今度は赤らめ始めた。ちびはとどめをさすように母親に笑いながら言い放つ。
「なに顔を赤らめてるのよ。恥ずかしさなんて残ってたの?
きょうび73のばあさんでも、一回に7000円は稼ぐわよ。それなのに、
あんたは15円。しかも10匹相手によ。あはははは。」
母親は、またも泣き始めた。

「すいませーん。擬古田薬品です。お母さんをお迎えにきました。」
モラ之本の声が取調室の中に聞こえてくる。
「どうぞ。」ギコ崎の応答に彼は、八頭身とともに挨拶しながら入ってきた。

「ちびギコ達はすでにトラックに詰め終えました。
モララーさんが、言ってたものは用意できました?」モラ之本の問いに
モラ角はうなずいた。
「その前に・・・」泣いている母親を、モラ之本・八頭身は、手首と
足を縛り上げ、上から拘束衣を着せた。袋から首だけ出ている状態の母親を
八頭身は、抱え上げ台車に乗せた。

「じゃあ、行きましょうか。」モラ之本が阿武沢署のモラ角とちびに声をかける。
二人はうなずき、取調室を出た。八頭身が押している台車の上の母親は、
最後の抵抗とばかりにもがいているが、拘束衣のせいか、
痒くて背中をもぞもぞさせているようにしか見えなかった。

外に出ると、いつものトラックの隣に、乗用車が止められている。
トラックにはすでにクックルと別の八頭身が運転席に乗っていた。
「出しちゃって。」モラ之本の指示に、クックルがエンジンをかけ、先に出る。
「じゃあ、我々も。」モラ之本が、乗用車のカギを開け、運転席に座る。
助手席にはちび、後部座席には母親・八頭身・モラ角が乗り込んだ。

「ベビちゃん。無事だといいですね。」モラ之本が母親に笑いかけ、
エンジンをかけた・・・・・・・・・・・・・・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「独白」のエピソードは、ヘンリー・リー・ルーカス
の幼少時のエピソードを元にしました。

擬古田薬品のちびの台詞「73のばあさんでも~」のところは、
痛いニュース+板の現在ダット落ちしているネタがもとです。

後は吉野家が少々・・・・

次回、擬古田薬品での手術編いきます

次回:擬古田薬品 (6)

擬古田薬品 (6)

前回:擬古田薬品 (5)

858 名前: 36・擬古田薬品にて 投稿日: 2004/06/02(水) 18:14 [ YaZ5LRxs ]

夕方に擬古田薬品に着き、母親は、ベッドに両手両足を拘束され、横になっていた。
ベビ達の胎動が感じられなくなったのが、母親は気がかりだったが、
すぐに気を取り直した。「ベビチャンタチハ ネテルダケ ネテルダケ・・・・」
彼女は呪文のように繰り返し、体を休めていた。

一方ちびは、モララーやモナーと会食していた。
ちびの『後輩育成』についての話をモナーが話し始めた。
「ちびちゃんが日記に書いていた、ちびちゃんの仕事の『後輩』の育成なんだけど。
△★山の奥のほうに施設を建設しようって事で、話がついたんだ。後輩の育成対象も
でぃちゃんをリハビリ後に再教育と、ベビを教育するっていう案で決定してるんだ。」

ちびはニコニコして話を聞いている。レモナが会食の輪に加わり、続けて話し始めた。
「ちびちゃんにもね、まだどっちか決定してないんだけど、ベビ達かでぃちゃん達の
先生として、仕事をしてもらおうって話があるのよ。どお?」

ちびは、「やらせてください。」と、力強く答えた。
モララーが「じゃあ、この件はちびちゃんがOKしたっていうのを上に話しておくよ。
それで話をすすめるからね。とりあえず、冷めない内に食べちゃおう。」
みんな笑いながらうなずき、食事をとり終えた。

食休みを取り終え、モララーとモナーは、先にちび達に挨拶をし、別れた。
レモナは明日の予定をちびに伝える。
「明日朝一番で、術前の検査になるから、
AM9:30にお母さんと一緒にレモナ棟に来て頂戴。
術前の検査の説明とかもあるからね。それと、お母さんには、何も食べさせないで。」

「わかりました。レモナさん、よろしくお願いします。」
ちびはレモナに頭を下げ挨拶し、レモナと別れた。

ちびは、母親がいる部屋に戻ると、母親が、拘束されているベッドの上で
「ベビチャント イッショニ マターリ シヨウヨ ネ ? ベビチャンヲ オロセナンテ モウ イワナイデ チョウダイ」
と、笑顔でちびに語りかけた。ちびは冷たい目で言い放つ。
「あのさあ、ベビと一緒になんていってるけど、
まだちゃんと生まれてくるって思ってるわけ?
ベビ、絶対氏んでるって。明日、それを調べてくれるってさ。朝一で。
9:30に女医さんのところに行って診察してもらおう。それから、決めても遅くないし。」

母親は(ベビチャンハ ゼッタイニ ブジニ ウマレルモン。 ヤット チビチャンモ オネエサンニナル ケッシンガ ツイタノカシラネ。)と、
どこまでも、甘い考えを抱きながらちびの申し出を受け入れた。
「ワカッタワ。 ジョイサンニ ママ ミテモラウ。 ソシタラ ベビチャント イッショニ クラシテ クレルワネ ?」
ちびはうざそうに、「ああ、はいはい。金をあんたが稼いでくれるならね。」と適当にあしらった。

もう日付が変わろうとする頃に、二人は眠りについた。

859 名前: 37・術前の検査 投稿日: 2004/06/02(水) 18:18 [ YaZ5LRxs ]
AM9:00・・・・・
ちびは、サンドイッチを食べながら、母親に怒鳴りつける。
「何、物欲しそうな顔してるのよ!今日は検査だから、
食べるなって言ってあるでしょうが!」
「ダッテ ベビチャン オナカ スイテルッテ オモッテ……」
母親の抗弁にちびはカチンときたらしい。額に血管を浮かべ、顔には作り笑いで、
「氏んだベビって、お腹はすかないわよ」皮肉たっぷりに言い放った。

ちびが、サンドイッチにぬるめのココアで朝食を済ませ
壁の時計を見ると、9:15を指している。
   『コンコン』
部屋のノックの音に応答するちび。「どうぞ。」
看護師のモナーとでぃ、顔の造作が少々不自由なボランティアの青年がドアをあけて入ってきた。
「よろしくお願いします。」ちびが礼をすると、でぃは静かに頷いた。
ところが、母親は、でぃの顔を見たとたんわめき出した。
「キタナイ ディガ カワイイ シィチャンニ ナニスルノヨ! ヨルンジャナイワヨ! オマケニ ナニ コノ キモイ オトコ!
シィチャンハ ギコクンジャナキャ シンサツニナンカ イカナイワヨ!!」
ちびは、三人に頭を下げ謝罪し、彼らに何か囁くと、
モナー達は苦笑いをして、ドアを閉めた。

ちびは、母親のほうに向き直る。
彼女は殺気を漂わせ、母親の腹を拳で触り、軽く微笑みながら脅した。
「今ここで、ベビちゃんを産ませてもいいのよ?私医者じゃないから
ベビとあんたの命の保障はできないけど。」
母親は、顔を青ざめさせながら「ゴメンナサイ。 カンゴシサンタチニ シタガウカラ イノチダケハ タスケテ」
と、ちびに惨めな命乞いをした。
「すいませんでした。よろしくお願いします。」部屋の入り口のドアを開け、
ちびは、3人に声をかける。入室した3人は、手際よく母親のベッドの拘束を解き、
拘束衣を着せ、台車に乗せた。ちびを含めた5人は、無言でレモナ棟に向かった。

860 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 18:19 [ YaZ5LRxs ]
レモナ棟に入ると、部屋の主であるレモナはすでに入室していた。
「いらっしゃい。早速検査を始めたいんだけど。」
母親は、「ドンナ ケンサ ナンデスカ? ベビチャン ブジニ ウマレテキマスヨネ??」 早口で質問を始める。
レモナは、拘束を解くように看護師のモナーに指示を出す。
拘束が解かれた母親とちびに椅子を勧めた後に、最初の検査内容を二人に説明した。
「まずはエコー検査です。お腹の中を見させてくださいね。子宮の大きさとか、
腫瘍の有無とかもわかります。ベビちゃんの様子もわかりますよ。生きてるかどうかもね。
ところで、お母さん。妊娠何ヶ月なんですか?」

レモナの質問に、元気良く「ハイ! 10 カゲツデス!!!」 と答える母親。
レモナは額に汗をかきながら作り笑いを浮かべ、
「いつ産まれてもおかしくないじゃないですか?検診には?」と続けて質問する。
「ケンシン? ナンデスカ ソレ?」 母親は怪訝そうな顔をしている。
レモナは呆れてしまった。これ以上何も聞かず、母親に指示する。
「そこのベッドに横になってもらえます?」母親が、レモナの指示に従い、横になる。
「じゃあ、ちょっとゼリーを塗りますね。」レモナは母親のお腹にジェルを塗り、
そして、機械をお腹にゆっくりと這わせた。

「ん?ん?おかしいわね・・・・」「ナニガ オカシインデスカ? センセイ。」
母親の問いにレモナが怪訝そうな顔で、説明する。
「胎動がないんですよ。」母親は気にも留めず、「オネムデスヨ。 」
と、ニコニコしながら答える。レモナは呆れながら、
「4体、ベビちゃんの姿を確認してるんですけどね。4体ともおねむっておかしいですよ。
次は、心臓の音を聞いて見ましょうか。」
ジェルがついた母親のお腹をティッシュで拭い、レモナは、聴診器をまず母親に渡し、
聴診器の採音部を母親の胸部に当て、イヤーピース部分を母親の両耳に差し込んだ。

ドクン ドクン ドクン ドクン …………
規則正しい母親の心臓の鼓動が聞こえてくる。母親の耳に差し込んであった
聴診器のイヤーピース部分を外し、レモナは、母親に問い掛けた。
「心音、聞こえました?」母親がうなずくと、次は、母親の胸部に当てていた聴診器の採音部を
ちびの胸部に当て、イヤーピース部分をまた母親の耳に差し込んだ。
ドッドッドッ・・・
ちびの心音も母親の耳に入ってくる。また、母親の耳に差し込んであったイヤーピースを外し、
レモナは尋ねた。「ちびちゃんの心音は?」 「キコエマシタ。」  
母親が答えると、「今度は採音部をママのお腹に当てますよ。ベビちゃんがおねむだったら、
ベビちゃんの心音は聞こえてくるはずです。ママやちびちゃんと同じようにね。」

「・・・・ハニャ? ハニャァアアア??????」
「どうなさいました?」奇声を上げた母親にレモナが尋ねると、
「ザアアア ッテ オトシカ キコエナインデス。 シィチャンノ シンゾウノ オトハ
ドクン ドクンッテ キコエルノニ 」
「ベビちゃんの心音もドクンドクン とか、ドッドッドっとか聞こえるんですがねぇ?
心臓の音まで止めておねむですか?お宅のベビちゃん達、お茶目ですね。」
レモナが皮肉混じりに母親に言うと、母親は黙り込んでしまった。

861 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 18:20 [ YaZ5LRxs ]
「えーと、沈静剤の注射!ストレッチャーの用意もね。」
レモナは矢継ぎ早に看護師達に指示を出していった。
「エ? エ?」 戸惑った表情の母親に、レモナは説明を始める。
「ベビちゃんを産みましょう。お腹の中のベビちゃん、大きくなりすぎですよ。
自力分娩が無理なくらいまで育ってます。お腹を切りますよ。
お母さん、痛いのいやでしょ?
眠っている間に、ベビちゃんを出しますんで安心してください。
注射はその前処置です。」

静脈注射の用意を終えたモナーが、レモナの前に現れる。
「ベビちゃんの手本にならないとね。お母さん。」
レモナは、(我慢しろよ。ゴルァ。)と言う意味を含んだ口調で言う。
母親はしぶしぶ腕をレモナに差し出した。
駆血帯を腕に巻き、そばにいるモナーに目配せをする。
「はい、ママさん手を握ってくださいね。」
母親が手を握ると、腕に静脈が浮き出てきた。レモナが針を静脈に刺すと、
タイミング良くモナーが駆血帯をほどいた。
「手を開いてね。」
母親に指示を出した後、静脈にゆっくりとレモナは注射液を入れていく。
10ml……9ml……
徐々に液が減っていくのを見ながら、母親は「ベビチャンノ テホン・・・・ ベビチャンノ テホン・・・・」と、
自らを元気づけるように繰り返していた。

「お母さん。そこ、しっかり押さえてくださいね。揉まないで良いからね。」
モナーはレモナに、「お母さんは、ストレッチャーに?」と質問すると、レモナはうなずく。
ストレッチャーに横になるように指示を出された母親は、
足元をふらつかせながらストレッチャーの方にたどりつき、横になる。
「こりゃ、部屋に戻った頃熟睡だな……」
モナーは呟き、助けにきたでぃや、ボランティアの青年と一緒にレモナ棟を出た。

「ちびちゃんは、もう少し残っててね。手術についての説明と、
ほかに助けてくれる先生達2人を紹介するから。もう少ししたら来るからね。
ちょっとコーヒーでも飲んで待ってようか。」

ちびはレモナの厚意に甘えることにした。

862 名前: 38・術前説明 投稿日: 2004/06/02(水) 18:21 [ YaZ5LRxs ]
30分ほど経った頃、レモナ棟のドアがノックされた。
「どうぞ。」
レモナが入室を促すと、兄弟か双子と思われる
白衣を着た青年が2人入ってきた。レモナが、名札を見ながら二人の紹介をする。
「えーと、こっちがサスガ(兄)さん。麻酔医です。あちらが、サスガ(弟)さん。
専門が法医学です。役割は、自分で紹介してね。」

ちびが二人にお辞儀をすると、レモナが3人にいすに座るように促す。
「お茶入れてくるわ。」といい、彼女が席を外している間、
二人は交代に役割紹介を始めることにした。

3人は着席するとまず、サスガ兄弟がなにやら、二人でささやきあった後、
弟の方が先に、ちびに役割の説明を始めた。
「漏れの方が、説明の時間が短いから先に役割を説明するわ。
漏れのメインの出番は手術後。ベビ達の死因を詳しく調べて君たちに報告します。
手術中は兄のサポート。じゃあ、兄者。」

弟に促された兄は、「うむ。」とうなずき、自分の役割の説明を始める。
「漏れは麻酔医。麻酔って言うと、痛みをとるだけのように思うだろ?」
ちびがきょとんとしていると、サスガ兄は続けて、
「それだけじゃないんだ。手術によるダメージを最小限に抑えて、体への負担を軽くする役割も
あるんだ。それと、眠っている状態と、麻酔の状態は別物なんだな。呼吸や、血圧の管理が必要に
なってくるんで手術中は管理を行う。手術後は、痛みの強さによって、鎮痛薬や、麻酔薬を投与する
量を増減する。痛みも管理するのが漏れのメインの役割だ。ほかにも麻酔医がいるんで、
今回は、痛みの管理はそいつに任せることになる。
それと、今回漏れは手術後、弟のサポートだ。」

ちびは二人の役割を理解した。なぜか二人の説明を聞いてほほえましく感じた。
「お茶できたわよ~」
レモナがコーヒーとクッキーを持って、ちびたちのテーブルに現れ、
サスガ兄弟に「役割の説明終わった?」と聞くと、二人はうなずく。
「最後は私か・・・お茶飲みながら、説明しましょう。
まあ、3人とも飲んでよ。」 

コーヒーを飲みながら、レモナが説明を始めた。
「ちびちゃんの希望通り、子宮・卵巣とも取っちゃいます。
それと、ベビちゃん。全員氏んでるわ。安心して。サスガ(弟)君の管轄に
なっちゃうけど、死因を特定して、教えます。その際協力をお願いします。
お母さんの退路を断つ意味もあります。」

「退路?」ちびが首をかしげると、レモナが説明を続ける。
「お母さん、ちびちゃんや私がいくら『ベビが氏んでる』って言っても
『オネムダ』って言い張ってたじゃないの。おそらく、死産も認めず、
『ギャクサツチュウガ コロシタ』って言い出すと思うのね。
だから、サスガ(弟)君にちびちゃんや、私らがギャクサツチュウじゃないっていう
証明をしてもらうのよ。」
ちびはレモナの説明に納得した。

全員がお茶を飲み終わると、レモナがちびに手術の日を告げる。
「手術は明日の朝10:00です。執刀は私とモララーが行います。」
ちびは、「よろしくお願いします」とレモナたちにお辞儀をし、レモナ棟を出た。

863 名前: 39・手術 投稿日: 2004/06/02(水) 19:51 [ YaZ5LRxs ]
AM9:55-
ちびは、第3手術室の前にいた。もう少しで、母親の手術が始まる・・・
ちびは少々わくわくしている。あれだけベビが寝ていると言い張った母親が
ベビ達が氏んだことを知ったとき、死因を知ったとき、どんなリアクションを取るんだろうか?

ガラガラガラガラ・・・・・・・
ストレッチャーのキャスターの音が響く。ストレッチャーの右側にモララー・左側にレモナ・
モララーの後ろと、レモナの後ろにサスガ兄弟がいる。ちびの位置からは、名札が見えにくく、
どちらが兄かはわからない。
サスガ兄弟の後ろには、数名の看護師および、ボランティアが、走っている。
ちびを見かけたモララーがストレッチャーを止め、話し掛けた。
「これからベビを出すからな。それと、子宮・卵巣も取るからな。命は保障する。
ベビの死因を知ったときの母親の様子、漏れも見てみたいし。」
レモナが、「ごめん。モララーにも話しちゃった。」と目を細めながら謝罪した。
「いいですよ。レモナさん。」ちびは彼女に微笑みかける。

「よろしくお願いします。」ちびが、場にいた全員に頭を下げると、
うなずく者、サムズアップをする者、指でOKサインをする者、
それぞれが「まかせとけ!」という意思表示をちびにかえし、手術室に入室していった。

ストレッチャーから手術台にしぃを移し終え、
記録(ビデオ撮影)係の者以外の全員が消毒を済ませると、
サスガ(弟)の指示・レモナの号令、それに呼応しての全員の挨拶後、手術が始まった。

864 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 19:54 [ YaZ5LRxs ]
「ビデオ撮影を開始してください。」
サスガ(弟)がボランティアの青年に指示を出した。
彼は続けて、看護師達にも指示を出す。
「ベビの清拭後、番号のついたリストバンドをつけていって下さい。
母親の縫合後、ベビ達のMRIとレントゲンの指示を出します。」

「これより、帝王切開術、並びに、子宮と卵巣の摘出を始めます。」

「よろしくお願いします!」

開腹する部分に穴のあいた緑色の布地が母親の腹部にかけられている。
腹部は剃毛されており、ピンク色の皮膚が除いている。
レモナはその部分にメスを入れ、徐々に切り開いていった。
皮膚の後に、黄色い粒々がとうもろこしのように並んでいる脂肪層、
そして、ピンク色の筋肉繊維、ゴム風船のように膨らんだ子宮……
モララーが看護師に命じ、器具で、開腹部を固定してもらう。
レモナのメスが子宮に達し、ベビ達の様子が彼らに見えてくると、
レモナ、モララー、サスガ(弟)は、絶句した。

もう少しで、チィチィ と泣き始めるであろうと思われるほど大きく育ったベビ達が、
ゆがんだ丸底フラスコ状の子宮内で、
すし詰めになっている光景が彼等の前にお目見えしたのだ。
「ここも撮影頼む。」サスガ(弟)の指示で、子宮内のベビ達の撮影が始まる。
左右対称に、顔を互いにそむけ丸まっているベビ2体。
彼らの上方に、背中を子宮口側に向け丸まっているベビが1体。
そして腹部を子宮口側に向けそっくり返っているベビ1体。
(どれから行こうか……)レモナとモララーは迷っていた。

「よし、この左右対称に丸まっている2体からいこう。」
意を決したレモナが左側の子宮壁に頭をつけて丸まっているベビを取り出し、看護師に渡す。
「一番」サスガ(弟)が、看護師に指示を出す。
モララーが右側の子宮壁に頭をつけて丸まっているベビを取り出し、看護師に渡す。
「二番」サスガ(弟)が、モララーがベビを渡した看護師に指示を出した。
二人は、左右対称に顔をそむけて丸まっているベビを取り出したとき、何か違和感を指に感じていた。
サスガ(弟)に胸部のMRI撮影をしたほうが良いと助言をする。
彼は、二人の言葉にうなずいた。

「三番」は一番と二番の上方で丸まっていたベビ、
「四番」が腹部を子宮口に向け、そっくり返っているベビである。

電気コードを束ねるベルトに似ているおそろいのリストバンドを右腕に巻いた
四体のベビは、羊水をできるだけ拭き取られ、鼻や口に入ったと思われる羊水は、丁寧に吸引された。
生乾きのベビ達は心電図の電極をつけられて、仮の棺であるベッドに寝かせられた。
モニターが映し出す心臓の鼓動を示す線は直線だし、
もちろん、血圧、心拍数といった数字も、0としか表示されない。

「次に、子宮・卵巣の摘出ですね。」「うん。」
レモナとモララーがこんなやり取りをしている隙に、看護師のでぃが二人の額の汗を拭う。
二人は礼をでぃに言うと、まず子宮の摘出に取り掛かる。
切り裂いた子宮をモララーがメスで軽く突っつくと、レモナが切開した場所と別の場所が裂けてしまい、
子宮の原形をとどめていない状態になってしまった。

レモナとモララーのやり取りが続く。
「あら、使えなくなりましたね。」

「ちびちゃんが怒って腹でも殴ったら、お母さん自体が危なかっただろうね。
しかし、取り出し辛くなったなぁ(笑)」

「卵管から行きますか。」 「じゃあ、漏れは子宮をやっとく。レモナ、卵巣頼むわ。」

二人は、手際良く役割を分担し、子宮、卵巣の摘出を終え、縫合作業に取り掛かった。
二十分ほどで母親の縫合は終了した。

865 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 19:55 [ YaZ5LRxs ]
サスガ(兄)は母親の様子の観察や仕事の引継ぎがあるため、手術台に残り、作業をしている。
彼はモララーに、「少々遅れますが、引継ぎが終わり次第、そちらに向かいます。」という伝言を残していた。
レモナは、サスガ(弟)を連れて、ベビ達が横たえられているベッドへ向かった。
レモナは彼に、左右対称に丸まっていたベビ達の遺体について情報を入れる。
「多分、モララーも感じてたと思うんだけど、一番と二番、肋骨骨折してると思う。」

ベッドにつくと、サスガ(弟)は、困った表情になってしまった。
「解剖が必要になるかもしれない。それに、ちびちゃんの指紋や掌紋もだ。」
「ん?」
レモナが怪訝そうな表情をすると、彼は、めんどくさそうに
「簡単に済むかと思ったんだがね。あざが多すぎる。
それに、臓器の損傷具合も…… アレモ コレモ ブツブツ …………」

「お兄さんだけじゃ足りなさそう?」
「写真とビデオの記録係が欲しいな。それと、ちびちゃんの協力も。」
「わかった。手配する。」
レモナがサスガの頼みをを請け負った。

「17~8時間だな。全員。」
死後硬直の具合から、大体の氏んだ時間をサスガ(弟)は見立てる。
彼は続けてベビ達を触りながら、MRIとレントゲンの箇所を看護師に指示していった。

「レントゲンとMRIは全員全身を縦に。大の字の形になるように撮ってもらって。
三番は頭のレントゲン・MRIも追加だ。頭部のMRI写真は輪切りになるように撮ってもらって。」

「わかりました。写真はいつ?」看護師の質問に、
「なるたけ早く。技師さんの手が空いてたら、すぐに撮ってもらって。
 あさって朝一に解剖を始めたいんだって伝言も頼む。」

「わかりました。」

看護師がサスガ(弟)の指示内容のメモを取っている時、モララーと
サスガ(兄)がベッドがあった場所にやってきた。
サスガ(兄)は走ってきたらしく、息が弾んでいる。
「弟者。なんか大変そうだな。」
「兄者。このあざを見てくれよ。骨折か、打撲かを見なくちゃいけないし、
 臓器の損傷具合とか……」

モララーが警察に頼んでおいた、ちびの指紋を取った用紙のコピーと、
ちびギコ達のチン拓をサスガ(弟)に見せながら聞く。
「これどうだろ。役に立つかい?」
サスガ(弟)は礼をモララーに言うが、少々不満そうだ。
「ありがたいが、少々指紋の量が足りないみたいだ。チン拓は感謝するよ。」
「そうか。役に立てなくてすまんね。」
「いや、これだけでも十分。あまりにベビ達の状態がおかしすぎるのが悪いんだ。
 君が恐縮する必要はないよ。だろ?弟者。」
モララーのすまなそうな口調に、サスガ(兄)が弟のフォローを入れた。。
サスガ(弟)がモララーにわびる。
「モララーのせいじゃない。ベビの状態があまりにおかしすぎるんだ。
念には念を入れたいんでね。言葉が足りなくて申し訳ない。」

「あさっての朝一までの準備の確認をしましょうか。」
レモナがまとめに入り、みながうなずいた。
「ちびちゃんの指紋の不足分。MRIの写真。後なんかある?」
モララーが補足する。
「ちびギコ達のチン拓、大人のおもちゃもあるぞ。そっちに持っていこうか?」
モララーの申し出にサスガ兄弟はうなずいた。

「今日は疲れたんで、明日はゆっくり休もう。あさっては、大忙しだな。」
モララーがサスガ兄弟の肩をたたくと、彼らは苦笑いを浮かべていた。

「今日は、これでおしまい。明日、ちびちゃんをそっちに行かせるから。」
「じゃあ、みんなお疲れ。」 「お疲れ様でした。」

モララー・レモナ・サスガ兄弟は互いの労をねぎらい、手術室を出た。

866 名前: 40・解剖(午前の部) 投稿日: 2004/06/02(水) 20:00 [ YaZ5LRxs ]
「しかし、弟者はこの小さな指紋をどうしようと言うのだ……」
サスガ(兄)は、弟が責任者を勤める法医学棟へ向かいながら呟いた。
弟は前日、法医学棟にてちびの指先の指紋だけを採取していた。
彼女に、朱肉のついた指で、用紙を指差すように指示したと言う表現が一番近いかもしれない。
(まあいい。解剖ですべて判明するだろう……)
彼は思い直し、法医学棟へ急いだ。

「弟者!遅れてすまなかった。後、指紋と写真持ってきたぞ。」
「兄者。早速始めたいんだが……」
法医学棟に着いた兄は弟にせかされ、着替えを始める。

「弟者。写真を先に見ないか。それから始めても遅くはないだろう。」
「うむ。それもそうだな。」
着替えを終えた兄は、ライトボックスにMRIとレントゲンの写真を貼り付け始める。
全部写真を貼り終えた兄は、弟に指示を仰いだ。
「弟者。どれから行く?」
「一番と二番から行くか。レモナの言ってたことの確認だ。血液サンプルも取っておこう。
細菌検査の要請もレモナに出しとかないと。」
「胸部の切開か?」 「うん。」

「ビデオの撮影頼むぞ。君たち。」
サスガ(弟)に頼まれたビデオ係の青年が彼に質問する。
「先生、何分ぐらいかかります?もし時間がかかるようなら、途中でビデオテープを買う時間をいただきたいんですが。」
「時間がかかるのは三番だ。一番・二番が終わった頃、ビデオを買う時間を取ろうか。
ちょうど半分で切りも良かろう。それに食事の時間もあるしな。」

「わかりました。」 「じゃ、始めてくれないか。」
青年たちがサスガ兄弟の解剖の様子をビデオに取り始める。
サスガ兄弟は、カメラにまず、ベビしぃの腕に巻かれたベルトの数字、
そしてベビ達の遺体を続けて撮影させた。
サスガ(弟)は続けて、一番と二番のMRIの説明を始めた。
彼は写真を指し棒で示しながら、
「一番は右の肋骨、二番は左の肋骨がすべて折れていますね。
普通肺は2つあるんですが、写真では1つしか見えません。
1つの肺はつぶれていると考えられます。血液検査が必要ですが、細菌感染も考えられます。
解剖をこれから始めて確かめてみましょう。」

「では解剖を始めます。」少し間を開けて、彼はビデオ係に、指示を出した。
ベビの全身。そして彼女の腕に巻かれた一番のリストバンドがカメラに収められていく。

サスガ(弟)が主に説明を、サスガ(兄)が、解剖の担当をする。
「では、胸部を切開します。」弟の言葉を合図に兄は、
一番のリストバンドが巻かれたベビの体にメスを入れる。*の形にメスを入れ、
胸部をピンセットで開いていき、待ち針で開いていった部分を固定し、
カメラの部分に胸部を露出していく。弟がまた説明を始めた。
「胸が見えてきましたね。写真のとおり、右の肋骨がすべて折れています。」
兄が、つぶれた肺から骨の欠片を取り出し、レンズに見せる。
一番の肋骨の中に、複雑骨折をしている骨があるようだ。
「肋骨の内の数本が、砕けているようですね。肺に刺さっていました。」

「手の甲の静脈から、血液を採取してください。」
兄が、看護師に指示を出し、看護師が手首に駆血帯を巻き、静脈に注射針を刺す。
駆血帯を解くと、根元に小さな試験管がセットしてある注射器に、血液が流れていく。
「1番のラベルを貼って、後でレモナに持っていってください。」
弟の指示に看護師はうなずいた。
「手順を誤ったな。次は切開前に血液採取だ……」
「兄者、急がせてすまんな。」
兄の呟きに弟は反応し、謝罪する。

「2mlの注射器。」
兄は看護師に指示を出し、看護師から2mlの注射器を受け取ると、
一番のベビの潰れていない方の肺に注射器を刺し、水分を吸い取る。
「これの成分を調べてもらってください。血液と一緒に、細菌の検査もよろしく。
後、ラベルも忘れずにお願いします。1番ですよ。」
弟は指示を看護師に出した。

867 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:02 [ YaZ5LRxs ]
一番について弟がまとめの説明を始めた。
「一番のベビちゃんは、右の肋骨が全部折れていました。砕けているものも見受けられます。
『あざ』の所見ですが、生活反応が認められます。生きているときについたものですね。
直接棒のようなもので突かれたか、ベビ同士が子宮内で暴れてモッシュ状態になったと思われます。
血液検査・肺の水分の検査結果を待つ必要がありますが、
このベビちゃんは、恐らく感染症も併発していたと思われます。
肺の水分の成分検査結果がもし、羊水だった場合、
肺が片方つぶれて酸素が大量に必要なのにもかかわらず、
このベビちゃんはママの羊水を飲んで
おぼれてしまった可能性がありますね。」

弟の説明中、兄はベビの小さな胸元を縫い合わせようとしていたが、難儀していた。
弟が一番の所見の説明後、兄に、(適当でかまわん)というニュアンスで問い掛けた。
「兄者。どうせ、これは母親に返すものだろう?」
兄は納得し、看護師にホチキスを持ってこさせる。
彼はベビの胸部周辺の皮膚を巾着状に縫い縮めると、先をホチキスで止めた。
「編集のこともあるんで、ちょっと休憩して、それから二番行きましょう。」
記録係の青年の呼び掛けに、サスガ兄弟、看護師らは同意した。

持参したミネラルウォーターを一口飲み、兄は、弟にぼやく。
「しかし、弟者。あのベビ達、結構凄絶な状況じゃないのか?」
「うん。一番初めに氏んだのは、恐らく三番だろうね。脳挫傷ってとこじゃないかな?
それに、術中………兄者見たろ?あの子宮の状況じゃ、ベビ達逃げ場所ないだろう。」
「うむ……」
「あの馬鹿母のリアクションが見ものかな……」
弟は、持参していた冷えた缶コーヒーを飲み、つぶやいた。

868 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:02 [ YaZ5LRxs ]
10数分たった後、ボランティアの青年の
「次の用意ができました。」という声に、
「じゃあ、二番行きますか。」とサスガ兄弟はそろって反応する。
「じゃあ、次二番行きますよ。記録お願いしますね。」
兄の声に記録係の青年がうなずいた。

ベビの腕に巻かれた二番のリストバンド。そして全身が撮影される。
「採血おねがいします。」弟の指示に、看護師は試験管がセットされた注射器と
駆血帯を持って現れ、手の甲の静脈から、苦労して血液を採取していった。
「ラベル間違えないでくださいね。これは二番ですよ。」
兄が念を押すと、看護師は、注射器にセットされている試験管の
2という数字が書かれたラベルを兄に見せた。

「二番のベビちゃんの胸部を切開しますよ。」
弟の説明を合図に兄は、ベビの胸部の切開を始めた。
先ほど一番のベビのときに*の形に切開したため、縫合に難儀した兄は、
今度は体の中心線に沿って胸部を切り開いた。
器具で開胸部を固定する。すると、左の肋骨がすべて折れているのが
彼らの視界に入ってくる。
兄は、弟と記録係に無言で、ベビの胸部のある部分をメスで指し示す。
記録係はすかさず、兄が指し示した部分を撮影した。

弟は説明を始める。
「今度は、肋骨が肺に刺さっていますね。早く医者に見せればこのベビちゃんは助かりました。」
そして彼は2mlの注射器を兄に手渡し、
「右肺に水がたまってますね。このベビちゃんも、
恐らく大量に羊水を飲んでいるんではないでしょうか。水分を取って調べてみましょう。」

弟から渡された注射器で、兄はちびの右肺から、水分を採取した。
看護師に渡し、「これは二番のラベルです。これも、成分を調べてもらってください。」と、
指示を出す。渡された看護師は無言でうなずいた。
一方、弟は、兄の解剖の様子と平行して、
終始、彼女らの全身のレントゲンとMRIの写真とベビの遺体を見比べている。
「一番と二番は骨折はしてないようだな。この皮下出血は打撲だな。」

兄が二番のベビの縫合の許可を弟に求める。弟はこれに応じ、縫合の指示を出した。
縫合といっても、ホチキスでとめるだけなのだが。
「その他の箇所は?」 「ありません。縫合を開始してください。」

カシャッカシャッカシャッ……
兄がホチキスでベビの胸部をとめている時、弟は二番のベビの所見をカメラに向かって説明する。
「このベビちゃんも、肋骨を骨折していました。数本の肋骨が肺に刺さっていましたね。
緊急の手術が必要だったのですが、手遅れでした。一番のベビちゃんと同じく、
血液検査と肺の水の成分の検査結果待ちになりますが、恐らく、感染症を併発しているでしょう。
肺の水分がママの羊水だった場合、羊水でおぼれている可能性もあります。
このベビちゃんの『あざ』も生活反応がありますね。生きているときについたものです。
恐らく棒のようなもので突かれたか、ベビ同士で子宮内でモッシュ状態になったと思われます。」

10秒以上の空白があっただろうか。記録係の青年が、
「はい。終了です」と声をかけたのは。彼の声の後に、どこからともなくため息が聞こえてくる。
全員少々疲れがみえているようだ。

「昼食・休憩の後、夕方・夜の部を始めます。午前の部の皆さん、ゆっくり休んでください。
その前に引継ぎの方は、しっかりお願いしますね。夕方5時に法医学棟です。
夕方・夜の部の皆さんにお伝えください。」
サスガ(弟)は看護師、記録係の全員にそう語りかけると、
うなずく者、返事をする者、手をあげる者、それぞれがそれぞれのリアクションを
サスガ(弟)に返す。何かほほえましい光景を感じさせるものであった。

「では、午前の部解散!!!」 
笑顔の記録係の号令で、午前の部に参加していた看護師、記録係は、
ばらばらに法医学棟から出て行った。

869 名前: 41・昼食 投稿日: 2004/06/02(水) 20:04 [ YaZ5LRxs ]
サスガ兄弟が食堂にて昼食を取っていると、レモナとちびに声をかけられた。
「サスガ君。どう?解剖の方は。」
「ん?」
レモナに声をかけられた二人が同時に彼らのほうを見ると、
ギコとモナー・モララーの姿もみえる。
「とりあえず座ったら?食事とりながらでも話せるだろ?」
サスガ(弟)がレモナ達に着席を促した。

レモナ達が着席し、食事を取り始めると、
サスガ(弟)は解剖の進行状況を話し始めた。
「とりあえず、四体のうち二体が終了したところだ。君のところに
血液のサンプルと水分の成分の検査を依頼したんだが、サンプルの方は?」
弟がレモナに尋ねると彼女は浮かない顔をして、
「来てるわよ。すでに結果は出てるわ。」
彼女は、ちびちゃんには悪いけど、と前置きし、結果を話し始めた。
「一番・二番両方とも、血液中から同じ細菌が検出されたわ。
破水してたんじゃないかしら。それと、水分は両方とも羊水でした。
念のため、三番・四番の血液サンプルもお願いできる?」
サスガ兄弟はレモナの言葉にうなずいた。

「羊水?」
ちびは首をかしげて、サスガ兄弟に尋ねる。
彼女の顔を見たサスガ兄弟は、困った表情をしている。
「どうした?」
ギコに尋ねられたサスガ(兄)は、困り果てた表情で、
「迷ってるんだよ。手術中のことから話すべきか、
それとも、写真から話すべきか……
結構壮絶なんだ。ちびちゃんの妹たち。それに全部終わってないから。」

「大丈夫だよ。この子は漏れらの棟の中もしっかり見て、
『同族食い』を見ても、あまり動じなかった子だから。」
モララーの言葉を聞いたサスガ(弟)は話す決心を固め、
レモナとモララーにフォローを頼んだ。
「じゃあ、術中の話から行くか。モララーにレモナ、フォロー頼んだぞ。」
彼らがうなずくと、サスガ(兄)が手術の状況を語り始める。

870 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:05 [ YaZ5LRxs ]
まず、彼はレモナと弟、ちびからコップを借り、さいころの4の目に似た形に
ちびの前に並べ始めた。ちびは「なんかひし形みたいですね。」と素直に
感想を呟く。
食堂で彼らは、テーブルをつなげて、それぞれの場所から持ち寄り
カタカナのコの字状に座っていた。
レモナの右隣にちび、ちびの右隣にモララー、モララーと対面してサスガ(兄)
が座っている。ちびと対面して座っているのが、サスガ(弟)、
レモナと対面して座っているのがギコだ。モナーはレモナとサスガ(弟)の間に、
ちょうど、コの字の縦棒にあたる位置に座っている。

「レモナの位置からの方がわかりやすいかな?頼むわ。」
「何番まで終わったの?」
「一番と二番だ。」
サスガ(弟)から解剖の進行具合を聞いたレモナは、ちびに説明を始めた。
「今ちびちゃんのところに置いたコップは、ベビ達の位置だと思って頂戴。
で、ちびちゃんの位置に一番近いこのコップのあたりが、子宮の入り口。」
ちびがうなずくと、彼女は4つのコップの周りを触りながら、説明を続けた。
四つのコップの縁を丸く囲ったという表現が正しいのかもしれない。
「お母さんの子宮にメスを入れるとこんな感じで、ベビ達はいたのね……」
ちびは驚き、レモナに質問した。
「動き回る隙間がないじゃないですか。」
ベビ達の位置を示すときに、ちびの前に並べたコップを指差しながらレモナは説明を続ける。
「ええ、なかったわよ。で、取り出すときに固体識別のために番号をつけたのね。
この位置の子が、一番。で、この位置の子が二番。で、解剖はここまで終わったのね?」
レモナに聞きなおされたサスガ(弟)はうなずいた。

「で、死因は……?」
ちびに質問されたサスガ(弟)は、困った表情をしながら、彼女に答える。
「これがいろいろありすぎてね……」
ここで、サスガ(兄)が口を開いた。
「弟者、話の腰を折ってすまんがいいか?」
弟がうなずくと、兄はちびに弟の言葉の説明を開始する。
「あまりに原因が多すぎてね。この2体のベビの死因の特定は困難になるかもしれない。
この2体は氏んだ可能性を並べるだけになるかもしれないけどいいかな?」
ちびはうなずくと、兄は説明を始めた。

「まず、一番から。肋骨が砕けていた。でね、片方の肺がつぶれていたんだ。
つぶれた方の肺から、砕けた肋骨の欠片がでてきたよ。
もう片方から、水分が検出されたんだ。」
サスガ(兄)の説明に、レモナが補足する。
「サスガ君達から、血液サンプルと一緒に、この水の鑑定依頼があったのね。
水は羊水。お母さんの中にいたときに羊水を飲んだのね。
さっきサスガ君が、肺がつぶれていたっていったでしょ?
ベビ達は早く、医者に見せるべきだった。ただでさえ狭いお家の中(子宮のことよ。)で、
酸欠状態だったのに。お母さんはそれをしなかったのよ。」
ちびの言葉は無かったが、表情がこわばっていた。
          『憤怒』
場にいた全員は、ちびの表情からこの2文字を頭に浮かべていたはずだ。

871 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:06 [ YaZ5LRxs ]
「ほんと、わが母親ながら、人をギャクサツチュウなんていっておきながら…」
「まあ、怒りはわかるが、もう少しの我慢だよ。」
「え?」
モララーの言葉にちびは面食らった。
「実は、ダッコさん。ちびちゃん覚えてる?あの人たちが、ちびちゃんにお礼をしたいって。
ビデオがいいのが取れたんだって。それで、ちびちゃんと、お母さんのことを話しておいたんだ。
手術と解剖の様子、それと、血液検査もか?」
レモナが補足する。
「そうよ。胸の水分の検査結果も、ビデオに残してあるわ。」
ギコが続ける。
「あ、あれか?ダッコさんからの依頼って、このビデオのことか。」

ちびが何のことかわからず、きょとんとしていると、
モナーが微笑みながら、「まとめないと。」
と、場にいたほかの面々につげる。彼はちびに、説明を始めた。
「ダッコ映像さん。覚えているよね?」
ちびがうなずくと、モナーが続けて、
「彼らの麻薬乱用防止キャンペーンのビデオのプロジェクトがうまくいったんで、
ちびちゃんにお礼をしたいんだって、モラ谷さんが言ってきたんだ。
でね、ちびちゃんのお母さんのことをモラ谷さんに話した。
なら、死産ビデオを撮ろうかって。それと、ベビ達の解剖の様子も撮って、
母親に見せようかっていう話になってて、今、その映像を撮ってるんだよ。」
ギコが続ける。
「そのビデオは、手術中の様子の音声、解剖の様子の音声のほかに、
解説と、ナレーションが入るらしいんだな。で、解説が俺だ。」

「馬鹿親の妄想をぶち破ってもらえませんかね?」
「????????」
突然のちびの言葉に、みなは面食らった表情をする。
「どうしたの?」
「あの馬鹿親、ベビは氏んだっていってるのに、認めようとしないんです。
それに『ベビチャンタチハ センセイガ トリアゲテクレテ ミテテ クレテルンダカラ。ソレニ * ダッテ コンドハ
チャント アル ベビチャンナンダカラネ。 キケイノ アンタト チガッテネ』って。悔しいったらありゃしない。
私を生んだのはあの女なのに……」
ちびはまだ何かいい足りなさそうな感じの表情を浮かべていたが、
一旦深呼吸し、デザートのイチゴのショートケーキを食べ始めた。

彼女がケーキを食べ終わったのを見計らい、
サスガ(兄)がちびに、丁寧な口調で話し掛ける。
「ご遺体と対面されますか?お姉さまが先に。」
「え?」
「お母さん結構、ベビ達がかわいいって思ってるんじゃないかな~
と思って。それに、*。確か4体とも、なぁ弟者?」
話題を振られた弟は兄に答える。
「確か無かったぞ。ちびちゃんが興味があるなら、見にくればいい。
でも、夕方からだからな。しかも、脳出しと、生体の解剖もするからな。」

ちびは、「ぜひ!!!!」と弟に、答える。
弟は、ちびに時間と場所を伝え、兄は、ビニール袋を忘れるなとちびに伝えた。
「みんな食べ終わったし、そろそろ一旦お開きにしないか?
それと、漏れも一緒に見に行っていいかな?」
モララーがサスガ兄弟に尋ねると、彼らはうなずいた。
「PM5:00に法医学棟だな。ちびちゃんを連れて行くからな。」
モララーの言葉にサスガ(兄)は、モララーとちびを気遣う言葉をかける。
「4時ぐらいまで、昼寝でもしているといい。脳出しがあるから、長丁場になる。」

サスガ兄にちびは礼を言う。
「じゃ、そろそろ解散するか。漏れも昼寝するかな。」
モララーの言葉にレモナとギコ、モナーが突っ込んだ。
「お前は働け!」
食堂内に笑いが起こった。

それぞれが挨拶を交わし、昼食を終えた。

872 名前: 42・解剖 (夕方の部) 投稿日: 2004/06/02(水) 20:07 [ YaZ5LRxs ]
PM5:00-
息を弾ませたモララーとちびが法医学棟に到着すると、
すでに用意を済ませているサスガ兄弟、記録係、看護師が彼らを出迎える。
「お?きれいどころをそろえたのか?」
モララーがサスガ兄弟に尋ねると、弟は苦笑いし、兄は爆笑している。
笑いが止まらず、落ち着くのにやっとな兄の代わりに弟がモララーに答える。
「違うよ。もっと実務的なもんだ。脳出しをやるときって、野郎がサポートにつくと
仕事にならなくなっちゃうんだよ。嘔吐するのが多くて。
こういうのって、女性の方が強いみたいだ。」

サスガ兄弟が、ふとちびを見るとポラロイドカメラを持っているではないか。
どうしたのか彼女に聞くと、
「寝顔(実際は氏に顔ですね)を、親に見せようと思って。」
とニヤニヤして答える。
「実は、一番と二番のベビ、体をホチキスで止めてあるんだが。
お母さんは大丈夫か?」
心配した兄が、ちびに尋ねると、
「死産ビデオの件、すごく私も面白そうだって思ったんです。
顔しか撮りませんので、心配しないで。」
ちびはまたも、ニヤけながら答えた。

「まず、一番と二番と、お姉ちゃんの対面から行きますか。」
モララーに、サスガ兄弟、ちびが同調する。
「じゃあ、仮の棺へ。」
隣の部屋に案内されると、部屋の中に、大きなドアをちびが見つけた。
サスガ(兄)が、ドアを開けると冷気が漂ってくる。
どうも、部屋の中の大きなドアは、冷蔵庫であるらしい。
兄が、冷蔵庫の中から、発泡スチロールの箱を取り出し、机の上に置いた。
箱には、1・2と書かれている。
箱を開けると、ビニール袋にパックされている白い氷がちびの視界に入った。
この氷は乳白色の液体を凍らせたもののようだ。ちびは尋ねた。
「この氷は?」
「お母さんが毎日絞ってるでしょ?」
サスガ(弟)の言葉にちびは目を見開いた。
母乳を凍らせたものを保冷剤代わりに、箱に入れていたのだ。
弟は続けて、
「でね、定期的に解凍して……」
「ボランティアのお兄さんたちが?」
皆まで言う前にちびが答えたため、弟は微笑をちびに返した。

二体のベビが発泡スチロールから出され、ちびの前に置かれた。
「まず見させてくださいね。」
ちびの申し出に二人はうなずいた。
二体のベビは胸部に*型と、直線の傷跡を残している。
顔は、両方とも*が無かった。なぜかちびは気分が高揚していた。
自分と同じ『キケイ』だったことが、嬉しかったのだろうか
母親が言っていた言葉、母親の思いが崩れたのが、嬉しかったのだろうか。

「しゃ、写真とってもいいですか?」
サスガ(弟)に許可を取り、ちびはポラロイドのレンズを覗く。
「カワイイ ベビチャンノ シャシンヲ トッテ ハヤク ママニ ミセナサイ!」
法医学棟に来る前に、ちびは母親に、そう言い渡されていた。
レンズを覗き、胸部の傷が見えないように配慮し、彼女はシャッターを押した。

873 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:10 [ YaZ5LRxs ]
一番のベビ、二番のベビ、一番と二番の2ショット。
3枚ほど撮ったちびは、サスガ兄弟に礼を言い、写真ができるのを待っていた。
出来上がった写真を見たちびは、満足そうな顔をしている。
彼女は、続けて三番・四番のベビの遺体の写真を取らせて欲しいと頼んだ。
「脳出しするベビや、もう一体のベビも、解剖する前に写真を取らせてもらえませんか?」
「かまわないけど、脳出しは耳をもいじゃうから、早く撮ろう。」
サスガ(弟)に促された3人は隣の部屋へ戻った。
隣の部屋に戻ると、会話を聞いていたらしい看護師が、ベビの用意をして待っていた。
「ありがとうございます。」
ちびは礼を言い、カメラを取り出した。
また3枚、写真をとる。三番のベビ、四番のベビ、三番と四番のツーショット。
出来上がった写真を確認し、看護師に礼を言う。
ちびは6枚の写真を持ってきていたポシェットに入れ、それからビニール袋を取り出した。

「はは、用意がいいな。」「だってお兄さんが言ってたんだもの。」
弟にからかわれたちびは、ちょっとむくれた表情をした。
彼はちびにわび、記録係にそろそろ撮影の開始を促す。
「ごめんごめん。じゃ、記録係さん。そろそろお願いしますね。」
「用意ができました。」
記録係の声に続いてカウントダウンが始まる。
「5・4・3・2…」
記録係がサスガ(弟)に『どうぞ』というジェスチャーをすると、
彼は、全身・頭部のレントゲンとMRIの写真を棒でさし示しながら、説明を始めた。
「三番のベビちゃんは、頭に一撃を食らっています。
ほら、ここ。頭蓋骨が折れてますね。で、こちらがMRIの写真です。
脳のこちら側に血腫がありますね。確認しましょう。」

腕のリストバンドに書かれた三の文字。そしてベビの全身が撮影される。
「前処置がまだだったので、前処置から始めましょうか。
採血をお願いします。その後に前処置を始めます。」
看護師が3のラベルが貼ってある試験管がセットされた注射器で採血を終えると、
兄はメスで、三番のベビの両耳を切り落とした。
出血は当然あるはずも無い。続いて彼は、かみそりを持ち出し、剃毛の作業に入る。
数分で前処置が完了し、頭部が看護師たちの手によって固定された。
「皮膚を剥いで頭蓋骨を見て頂きましょう。」
まぶたの上あたりを起点にCの字型にメスが入り、皮膚がはがされていく。
看護師は、頭蓋骨にこびりついた血を精製水で洗い流したり、皮膚を止めるクリップを
兄に渡したりと大忙しだ。

しばらくすると、頭部の皮膚があらかた頭蓋骨からはがされ
灰白色の頭骸骨の骨折部分が露出した。
弟は棒でその箇所を指し示しながら説明を始める。
「ここの穴は、大泉門といってベビちゃん特有の隙間です。
大人になっていくと、この隙間はふさがっていきます。
で、こっちの凹んでいるところが骨折部分ですね。陥没骨折です。」

「ノギス」ノギスを渡された弟は、陥没部分の直径を計りだした。
「2cm。」弟が言った数値を看護師がメモする。
「こちらに、ベビちゃんたちのお姉さんのちびしぃちゃんの
指紋や掌紋などをとらせてもらったデータがあります。どこにも
2cmという数値はありませんねぇ……」
弟がデータを見ながら呟く。彼は続けて、
「ベビちゃんたちのママは、ベビちゃんたちがお腹にいるのに
ちびギコ達相手に売春していたそうなんです。
大人のオモチャも使っていたようですね。
ちびギコのチン拓の直径が、骨折の範囲と符合します。
次は、脳がどの程度損傷しているか、頭蓋骨を外して、脳を見てみましょうか。」

874 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:14 [ YaZ5LRxs ]
弟の説明の終了と同じくらいのタイミングで、
カメラは三番のベビしぃの頭蓋骨にいくつかの穴が開けられているのを映し出していた。
頭骸骨の穴を線でつなぐように頭蓋骨が切られ、黄色みを帯びた脳が露出した。
兄が、メスの先で血腫をしめす。
「ここが、ベビちゃんの骨折部分です。出血したようですね。」
弟の説明の後、兄はメスの先で、反対側のある範囲を丸く示した。
彼は、兄が示した範囲について説明を始めた。
「この範囲は脳挫傷です。しばしば、受傷部分と反対側に脳挫傷を作ります。
ちょっと範囲が広すぎますね……脳が出せると思っていたんですが、だめですね。」

弟は、三番のベビについての所見を話し始める。
「このベビちゃんは、ほかの姉妹より先に氏んだと考えられます。
一番・二番、そしてこれから解剖する四番のベビちゃんは体中にあざができていますが、
このベビちゃんはできていません。心臓が止まった後というのは血液の流れも、当然止まりますので、毛細血管が破れても、皮下出血にはなりません。そして、死因は脳挫傷です。
頭に強烈な一撃を食らって脳が直接傷ついてしまいました。凶器は、ちびギコのティンポと
考えるのが一番近いですね。」

「縫合はどうしましょう。?」
モララーが口をはさむ。
「とりあえず、母親との体面まで持たせることを考えよう。」
兄はうなずき、頭蓋骨を元の場所に置く。
皮膚をかぶせて、苦労して縫い合わせた。
「ベビの目がつり上がっちゃったよ。」
笑いながらの兄の言葉につられて、モララーたちも笑っていた。

「しばらく休憩して、四番いきましょう。」
記録係の声に、めいめいが法医学棟の部屋に散らばり休憩を取る。
ちびとモララーとサスガ兄弟も、休憩を取っていた。
「後一体だな。生体解剖ってどうすんだ?」
モララーの問いに、サスガ(弟)が答える。
「次は内臓破裂なんだ。で、どの内蔵が損傷しているか、比べようと。」
「で、生体はどこよ?」
「レモナがつれて来るそうだ。あふぉベビを1体処刑して、みせしめにするんだと。
で、レモナ待ちと。あと、あれだ。その見せしめの記録係待ちと。」
「ふーん……」

サスガ(弟)とモララーのやり取りから数分後―
バタバタバタバタ… ガラッ。
廊下を走る音の後、ドアが勢いよく開いた。見るとレモナが、ベビしぃを持って立っていた。もう少しでベビしぃからちびしぃになるだろうと思われるそのしぃは、
レモナに向かってダッコをねだってうるさい。

レモナはベビを無視して、サスガ(弟)に声をかけた。
「ごめんごめん。生体持ってきたわよ。」
「ん。あとで、三番と四番の血液サンプルを持って帰ってくれ。」
レモナとサスガ(弟)のやり取りから1~2分ほどたった後、記録係の女性が
慌てて入ってきた。機材を持って走ってきたらしく、息があがっている。
サスガ(兄)が缶入りの飲み物が入っているクーラーを指差し、彼女に声をかける。
「ご苦労さん。とりあえず、君が落ち着くのを待とう。
ここに飲み物が入っているから、お茶でも飲んで少し休憩しなさい。」
大きく息をついている記録係の女性の傍らで、レモナもついでに紅茶を飲んでいた。
「ナンテコトヲ スルンデチュカ コノ ギャクサッチュー」
ベビに罵倒されたが、レモナは無視している。
「ナッコ ナッコ ナコシテクダチャイヨォ ナッコォォォォ」
とうとうベビは泣き出してしまった。

875 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:15 [ YaZ5LRxs ]
「レモナさん。三番の血液サンプルです。」「ありがとう。」
看護師は、三番のラベルがついた試験管をレモナに手渡す。
彼らのそんなやり取りが終わった後に、
レモナより少々遅れてきた記録係の女性がレモナに声をかける。
「レモナさん。準備できました。」
続けて、解剖担当の記録係がサスガ兄弟に声をかける。
「サスガさん。こっちもOKです。」

「生体の方は、漏れが担当したいんだがいいか?」
「助かるよ。同時進行だと、はやくすむ。」
モララーの申し出に、サスガ(弟)は感謝し、そしてみんなに声をかけた。
そして、処刑ビデオ担当の記録係の女性に頼む。
「じゃあ、そろそろ最後の四番始めましょうか。
それと、レモナのほうの記録係さん、テープをこっちにもダビングして欲しいんだけど。」
処刑ビデオ担当の記録係の女性は、サスガ(弟)に、編集についての段取りをつけてくれるように頼むと、サスガ(弟)は承諾した。
「その事を、解剖前の説明にでも織り込んでいただけると編集のときに助かります。」
「わかった。」

「じゃあ、始めます。」
記録係が、サスガ(弟)に片手を見せ、指を一本づつ折っていく。
5・4・3・2・1… 
記録係が『どうぞ』というジェスチャーをサスガ(弟)にすると、彼は看護師に
四番のベビの採血を命じた。看護師が採血を終え、血液サンプルをレモナに渡すと、
彼女は静かに法医学棟を去っていった。

まずベビの全身が、そして腕に巻かれている四と書かれたリストバンドが
カメラのレンズに映し出されていく。
そして、MRIとレントゲンの写真が並べてあるライトボックスが写された。
MRIの写真を示しながら、サスガ(弟)が説明していく。
「最後のベビちゃんは、内蔵が破裂したと思われます。レントゲンだと
骨折部分が見当たらないんですね。MRIの写真では、出血が多すぎて、
内臓の損傷部分がわかりません。対照標本として、健康体のベビちゃんを用意しました。
さあ、ベビちゃん。テレビの向こうのみんなにご挨拶しましょうね。」
彼に促されたベビは片手を挙げ、「チィ」と挨拶をしていた。
彼は続けて説明する。
「ええ、こちらのベビちゃんを解剖し、それぞれ内臓を比べていきたいと思います。
テレビの向こうの皆さんには、このベビちゃんの生体解剖の様子と、四番のベビちゃんの
解剖の様子が一緒に見られると思います。」

弟が記録係の方をチラッと見ると、記録係はサムズアップをしている。
(りょ・う・か・い・し・ま・し・た)
撮影中であるので、生体担当の記録係は唇だけ動かしていた。

876 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:16 [ YaZ5LRxs ]
黙々とサスガ(兄)は作業していた。彼は看護師に次々に切り取った臓器を渡していく。
臓器を渡された看護師は丁寧に各臓器を洗い、ホルマリン入りの小瓶に詰めていく…
色あせたピンク色がほとんどを占めている心臓、心臓と同系色の蝶の羽のような肺、
Jの字のようなフォルムの食道から胃……
「洗浄を先に。」
小腸と大腸は分けずに切り取られ、兄から看護師に手渡された。
看護師は、10mlの注射器に入れた精製水を小腸側から流し、
ホースで水を出す要領で洗浄作業を始めた。
黒褐色の胎便が腸から水に混じり排出されていく。看護師は、数度その作業を繰り返し、
精製水が透明になったのを確認すると、静かにホルマリン入りの小瓶に腸を詰めた。

「ん?これかな?」
兄の呟きに弟が反応し、視線を兄の手元に向けた。
弟の視線の先には、小さな暗赤色の肉塊が見える。肝臓だったもののようである。
「どうも、肝臓のようですね…」弟が続けて説明を始めた。
「腹部に打撃を受けて、肝臓が破裂しています。主な死因は肝臓破裂によるショックではないでしょうか。後は膵臓や胆のうの様子を見る必要がありますね。」

弟の説明が終わった頃と平行し、兄は肝臓の摘出を終え、次の作業を始めていた。
膵臓、脾臓、胆のう…
洗浄された臓器は、それぞれホルマリン入りの小瓶に詰められていった。
「終了。骨はどうしましょうか?」
「必要ないです。縫合を開始してください。」
弟に指示された兄は、解剖中に使ったガーゼをすべて集め、小さくたたんで四番のベビの体内に詰めていった。そして、ホチキスを持ってこさせると、数箇所ホチキスでとめて
四番のベビの縫合を完了した。

877 名前: 43・生体解剖 投稿日: 2004/06/02(水) 20:17 [ YaZ5LRxs ]
サスガ(兄)が黙々と作業する一方で、モララーはベビしぃとの会話を楽しんでいる。
両手両足の肉球を待ち針で固定されたベビしぃはモララーに必死に抗議していた。
「イチャイ イチャイ ナンテコトヲ スルンデチュカ コノ ギャクサッチュー!
ハヤク チィタンノ オテテト アンヨノ イチャイノヲ ハズシテ ナッコシナチャイ」
「いいのかなぁ?そんなわがまま言ってると、漏れの友達とのナッコも
なくなっちゃうよ?」
「ナコ? ナコイパイ? ナッコ ナッコ ナッコォォォォ!」
モララーはニヤニヤと笑いながら、メスをベビしぃに見せた。
「漏れの友達のメス君だよ。さあ、メス君とナッコしようね~」

何かを察したらしいベビしぃは、突然謝り始めた。
「ゴメナチャイ ゴメナチャイ レモナタン。 モウ ナッコ イラナイデチュ。 マンマモ スキキライ シマチェン
ダカラ ココカラ ダチテェ。」
「いや、レモナは君を助けない。レモナは君をここに捨ててったんだよ。
ここで氏ねって。」
「ナッコスルカラ ユルチテ。 ナンナラ コウピモ シマチュヨ?」
「必死だな。母親から何を教わったの?そんな年でコウビなんて普通言わないよ?」
「マターリノ シカタデチュ。 ナッコシテ、 コウビシテ マターリスルンデチュヨ。」
「ふーん。漏れはお前が苦しんでる顔を見てマターリしたいんで、全く別だね。」
モララーは苦痛を長引かせようと両手両足を固定していた待ち針の量を増やした。
「ハ・ハズシテッテ イッタノニ グアアアアアアア」

「チィタン メスナンカト ナッコ チタク ナイデヂュ ダ・ダヂュゲデェ ギアガアアア」
メスを局部の方から上に向かって浅く入れるとベビしぃは悲鳴をあげた。
「メス君と、君とのコウビだね。でも、お前の臭いマソコになんか、ぶち込みたくないってさ。だからメス君、切り裂いちゃったんだね。」
微笑みながらのモララーの言葉に、ベビは、息をぜいぜいさせながらも、強気である。
「マ・マターリノ カミチャマガ チィタンヲ マモッテ クレルンデチュ… オマエナンカ アボーンデチュヨ。」 

「カ・カミチャマ…ハァハァ チィタ…ンヲ タタ・タ・タ・チュケ・テ クダチャアアアアアアアアアッガアアアアアア」
「祈らせてもくれないなんて、マターリの神様って、残酷だね」
モララーはメスを深く入れ、器具で中を開いた。もうベビには、モララーに
返す言葉も無いようで、荒い息だけをさせている。
「もうそろそろ〆ましょうか…」
そう言うとモララーは指を傷口に入れ、今度は小さなはさみで横に切れ目を入れた。
ちょうど、臍を中心に十字にベビの体に切り込みが入ったことになる。

「ギ・ギ・ギ… ヴァアアアアア ヴァアアアアア」
「まだ、こんな声を上げられるくらい元気なんだね。
それ、こてっちゃーん!!」
モララーは横に切れ目を入れた皮膚を器具で固定すると
中に指を入れて、腸をつまみ引きずり出した。
「ヂィダ…ンノ… オナガ… ヘンデヂュ…」
「逝ったか。図太かったな。」
ベビしぃの最期に、モララーははなむけの言葉を添えた。

『遊び』を終えたモララーの手際は神業という言葉がふさわしいほど早く、
次々にベビしぃの臓物を切り分けていった。
最初に先ほど引きずり出した腸を切り取り看護師に渡す。
「これ、洗浄。」
看護師は四番のベビと同様にこのベビの腸にも注射器で精製水を流し込み、
腸の洗浄を行った。あらかたきれいになった腸は、ホルマリン入りの小瓶に詰められる。
心臓、肺、腎臓… 手際良くモララーは臓器を看護師に渡していった。

878 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/06/02(水) 20:18 [ YaZ5LRxs ]
『氏にたて』という表現はふさわしくないかもしれないが、このベビの臓器は
四番のベビの臓器より、鮮やかだなとちびは思った。
生の鮮やかさが故意に止められ、あるいは自然に止まって、だんだん色あせていき
我々というのは氏んでしまうのだろうか。普段考えないような疑問がちびの頭に
浮かんでいた。

ちびがそんな疑問を頭にめぐらせている最中にも、モララーは作業を続けている。
膵臓、胃、肝臓、脾臓…
「売れば、金になったのにね。」
モララーは軽口をたたきながら、臓器を続けて切り分けている。
「いや、売らなくても研究材料にはなったから、これは一応役にはたったさ。
ところでモララー、あれだけ遊んで兄者とほぼ同時って………」
感心した口調のサスガ(弟)に、モララーは苦笑いを浮かべながら言う。
「こっちが幾分、兄ちゃんよりも楽だろうが。形が崩れてない分。
胆のう。これで終了っと。」
暗赤色の液体が絡んだ、小さなナスのような形の胆のうを看護師に渡すと、
彼は、中身を抜き取られたベビをどうするか弟に聞く。彼ははモララーに
看護師に、焼却炉へ持っていかせるので黒いビニール袋に入れておいてくれと頼んだ。

何かが入った黒いビニール袋を看護師がモララーに差し出す。
看護師が差し出したビニールの中は猛烈な大便の臭いがするため、
彼はすばやく遺体を放り込み、口を縛って看護師に渡すと、
看護師はダッシュして法医学棟から立ち去った。

「ふーっ。これで終わりだな。」
モララーは法医学棟の窓を開け、外の空気を吸っていた。兄は一足早く手袋を外し、
白衣を脱ぎ始めている。弟は兄とモララーに感謝の言葉を述べる。
「兄者、モララー、ありがとう。漏れは、最後の一仕事だ。」
「解剖所見か。書面に起こすにはもう少し後でも良かろう。
ビデオが出来上がってからでも。」
仕事が速すぎないかと怪訝な表情をしているモララーに、
兄は笑いながら言う。
「弟者は昔から、宿題は早めに終わらせるタイプだからな。」

「まあ、疲れない程度にやるさ……」
弟が呟いた頃、記録係と看護師たちは、機材の片づけを終えていた。
「お、そろそろ彼らも終わったようだ。モララーも、早く着替えろ。
でないと終われないからな。」
「ん~。」モララーは返事をし、着替えに出かけた。

数分後、モララーが戻ってくると、みんな着替えを終え、集まっていた。
サスガ(弟)がみんなに声をかける。
「モララーに兄者。今日はどうもありがとう。ゆっくり休んでくれ。
それに、みんなもご苦労さんだったな。
ギコがダッコ映像さんのほうに行くと思うんで、彼と一緒にがんばってくれ。
今日はこれで終了だ。」
看護師、記録係達は口々にサスガ兄弟・モララーに挨拶をして去っていった。

「お前も少し休んでから、解剖所見をまとめるといい。」
「兄者。漏れは大丈夫だ。疲れない程度にやるさ。兄者も休んで、手術に取り組んでくれ。
モララーもありがとうな。休んで、次の日に備えてくれ。」
サスガ兄弟とモララーは、法医学棟の窓を閉めた後に、消臭剤をあちこちにおいて、
カギをかけ、法医学棟を出た。窓から外を見ると、漆黒の闇であった。

879 名前: 44・解剖所見 投稿日: 2004/06/02(水) 20:20 [ YaZ5LRxs ]
サスガ(弟)が4体のベビについての解剖所見をまとめたものである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
解剖所見  擬古田薬品研究所 法医学担当サスガ 解剖担当 モララー・サスガ(兄)

出産時の様子
胎児が育ちすぎているというレモナの診断により、帝王切開術での分娩。
ベビ4体とも全員死産。死後硬直が見られた。
分娩した時点で、最低でも死後17~8時間経過していると思われる。

位置関係
子宮口を時計の文字盤で言う6時とすると、12時の部分に三番、3時の部分に二番、
9時の部分に1番、6時の部分に四番のベビ。

死亡したと思われる順番
3→2→1→4 OR 3→1→2→4

解剖結果
一番
右の肋骨全て骨折。粉砕骨折もある。骨片が右肺に刺さり、右肺に穿孔部位が見られる。
チアノーゼ反応あり。左肺より、羊水が検出された。

二番
左肋骨単純骨折。数本の骨折部位が肺に刺さり、左肺に穿孔部位が見られる。
チアノーゼ反応あり。右肺より、羊水が検出された。

一番と二番共通
肺から羊水が検出されていることから、羊水を大量に飲んでいると思われる。

三番
頭蓋骨陥没骨折。脳挫傷。
○凶器として一番可能性が高いもの………ちびギコ達の陰茎
母親が、ちびギコ達を相手に売春していたということから、
ちびギコ達が陰茎を母親の局部に挿入した際、
三番のベビの頭に打撃を与えたことによる脳挫傷の可能性が一番高い。

四番
対照標本と比較した結果、肝臓・膵臓に重大な損傷が見られる。
腹部に打撃を受けたことによる内臓破裂。すでに一~三番のベビが死亡していたため、
四番は逃げ場が無かったものとみられる。
○凶器として考えられるもの
ちびギコ達の陰茎並びに、大人のオモチャ(バイブレーター)

全員共通
○血液検査の結果、全員感染症にかかっていたことが判明。
レモナの診断によると、ちびギコ達とのコウビの際、
母親が破水していたものと見られる。

○血液中のアドレナリン濃度が極端に高かったことから、
死の直前に極端な恐怖を感じていたものと見られる。

生活反応
一番・二番・四番の体中の皮下出血は生活反応が見受けられた。
――――――――――――――――――――――――――――――――

「さて、後はダッコさんの映像待ちか……」
書類を作成した後、サスガ(弟)は一人、法医学棟の彼の机の上で、
コーヒーを飲みながら呟いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回は、日本麻酔科学会、OH・脳!のホームページ、
山口椿さんの著書から引用部分があります。

次回、ビデオ上映です。

次回:擬古田薬品 (7)

擬古田薬品 (7)

前回:擬古田薬品 (6)

989 名前: 45・母親の夢 投稿日: 2004/08/10(火) 18:32 [ agrvKVOs ]

レモナに鎮静剤を打たれてから、手術後まで母親が見ていた夢である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先生はベビちゃんが4人いるって言ってた
心臓が止まってるって先生が言ったけど、きっとしぃをビクーリさせるための冗談ね。
ベビちゃんたちがうまれて、退院したら、ちびちゃんのお金でみんなでマターリするの。

ベビちゃんにはお歌をたくさん歌ってあげるの。ダッコもたくさんしてあげるの。
*はね、今度はちゃんとあるベビちゃんなんだから。かわいさ倍増なの。
しぃだけじゃなくて、モナーさんにもモララーさんにもギコ君にもダッコさせてあげるの。
しぃの幸せと、ベビちゃんのかわいさの お・す・そ・わ・け!

ベビしぃちゃんの頃からモデルさんで華やかな世界で活躍してね、
ちびしぃちゃんになったら、アイドルグループになるの。
CDだってたくさん売れて、ベビちゃん達はモテモテなんだから。

ベビちゃん達がボーイフレンドを連れてきても、キモオタだったら絶対に
ボーイフレンドになんて認めない。
やっぱ、ボーイフレンドにはカコイイギコ君じゃなくちゃ。
ベビちゃん達のボーイフレンドのパパだって、絶対カコイイもん。
そしたら、しぃはね…しぃはね… キャー!!!!

ちびちゃんには、ベビちゃんのためにたくさん働いてもらうの。
あの子は『キケイ』なんだもの。それくらいしか働く口は無いのよ。
お金を稼がせてあげるだけでも、ありがたいと思ってもらわなくちゃね。

ベビちゃん達が稼いだお金で、レモナ先生にもお礼をしなくっちゃ。
たくさんダッコしてあげるんだから。たくさん寄付もするんだから。

ベビちゃんが生まれたら、しぃ達は勝ち組になれるのよ。
だからね、ベビちゃん… 無事に生まれてきてね…

990 名前: 46・母娘喧嘩 投稿日: 2004/08/10(火) 18:33 [ agrvKVOs ]
『ベビはすでに氏んでいる』と真実を伝えているちびと、信じたくない母親。
衝突が起こるのも当然である。
麻酔が覚めてからも、夢の世界から抜け出せていない母親は、
ちびの神経を逆なでする事ばかりを言い続けていた。
ちびが『死産ビデオ』の話をモナー達から聞くまでの間、
二人は同じような内容の親子喧嘩を繰り返している。ちょっと、その様子を見てみよう…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「だから、ベビ達は氏んだって言ってるのが、何度言ったらわかるのよ!
『生まれた』んじゃないんだって。単にあんたの腹から『出した』だけだって
言ってるでしょうが!!」

「ベビチャンハ チャント ウマレテルモン!」

「ふーん。生まれてずいぶん経つのに、ベビと会わせてもらえてないじゃないの。
ママに会わせて貰えないんじゃ、ベビ達さびしくて氏んでるかもね?」

「センセイタチガ チャント ベビチャンタチヲ ミテイテクレルモン。 ソレニ ベビチャンタチハ チョーカワイインダカラネ!
ショウライ ベビチャンタチハ アイドルニ ナルンダカラ。 ママト ベビチャンハ カチグミニ ナルンダカラ」

「ベビ達は、絶対にあんたの事恨んでると思うけどなぁ。絶対に棄てられるのがオチだと思うけど?もう少しで糞狭い腹の中から出れるって時なのに、ちびギコのティンポとか、大人のオモチャとかで突っつかれたわけじゃん。これって、一種の『ギャクタイ』じゃん?
もし氏んでたら、ベビ達たった15円のために頃されちゃったことになるわね。」

「ママハ ギャクタイナンテ シテナイモン。 ソレニ ベビチャンタチハ オナカノナカニイタトキカラ オヤコウコウナンダカラ。
ゼッタイニ ママヲ ステタリナンカシナイモン…… ソレニ ベビチャンハ ゼッタイニ シンデナイ!!!! 」

「ベビとあんたが勝ち組になんて絶対になれないわよ。
もし、また*が無いベビだったらどうするの? あんた、ベビに向かって
『キケイ』って言っていじめるつもりでしょ? 私にしたみたいにねぇ?」

「チャント *ダッテ アルモン!! イパーイダッコモシテアゲルノ! オウタモタクサン オシエテアゲルノ!
ベビチャント ママトデ マターリスルンダカラ。 アンタニハ ママタチノタメニ タクサンハタライテ モラウンダカラネ!!
ヘラズグチ タタクノモ イマノウチナンダカラ…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この後に必ず、母親は勝ち誇った笑みをちびに向かって浮かべているのだ。
ちびは悔しさのあまり唇を噛み締める日々を送っていたが、
サスガ兄弟との会食、そして、法医学棟にて見学させてもらった妹たちの解剖の日以降、
母親のたわごとをニヤニヤして聞き流すことができるようになっていた。
そして、母親を期待させるこんな嘘までつけるようになっていたちびである………
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ベビちゃん達ね、今プロモーションビデオを撮ってもらっているんだって。
もう少ししたら会えるから、ママもがんばってくださいってさ。」

「ダカラ イッタジャナイノ。 ベビチャンタチハ ウマレタトキカラ センセイタチヲ トリコニ シチャッタノヨ。
ママモ オパーイ タクサン ダサナイトネ…」

「なんかね、モデルになって欲しいんだって。
それで、プロモーションビデオを撮って売り込みたいんだってさ。」

「モデルサンカァ。 トッカカリトシテハ イイワヨネ… ソレカラ アイドルカナ? ジョユウサンカナ? 」

「もう少ししたら、ビデオを見てもらうって。
映像製作会社の人がね、世の中に出すよりも、まずママに見て欲しいって言ってた。」

「トウゼンヨ!! ベビチャンノ ヘンナエヲ トッタラ ソノカイシャノヒトハ ギャクサツチュウダヨ!!」

(自分のやったこと棚に上げてよく言うなぁ…)
ちびは、そんなことを思いながら
母親の言葉に、作り笑いを浮かべているのだった。

そして、上映の日が近づいてきた…

991 名前: 47・ビデオ上映の日 投稿日: 2004/08/10(火) 18:34 [ agrvKVOs ]
「ハニャ? プロモーションビデオガ デキタンデスカ? チビチャンガ イッテタヤツ?」
母親に悟られないように表情を作りながら、モララーは説明する。
「ええ。ビデオをダッコ映像さんていう製作会社に依頼していたんですが、
ようやくできたそうなんです。大作なんで、時間がかかったそうですよ。
そのビデオをまず、お母さんに見てもらって、それから世の中に出したいらしいんですよ。
ベビちゃん達とも、そのときに会わせますんで。」
「ヤット ベビチャンタチニ アエルンデスネ… マッタ カイガ アリマシタ。
キット ベビチャンタチノ カワイサニ オオゼイノ ヒトタチガ ノックアウト サレルニ キマッテマスヨネ!」

(ベビ達の姿を見てノックアウトされるのはてめえだよ)と
モララーは思いながら、彼は上映日を母親に告げた。
「明日の午前10時に、上映を始めたいんです。9時50分までに、合同会議室まで来てください。場所はちびちゃんが知っています。彼女と一緒にくるといい。」

その日、母親はうきうきしていた。
いつもはちびや看護師にたたき起こされていたのが、今日は自分で起き、
いつもは食事の内容に不満をもらしながらとっているのだが、
今日はニコニコしている。まるで、遠足前の子供のようである。
「ベビチャンノ ビデオッテ ドンナ デキニ ナッテルノカシラネ? カワイク トレテルト イインダケド…」
「かわいく撮れているらしいよ。」
能天気な心配をしている母親に、機械的な答えを返すちび。
母親は勝ち誇った笑みを浮かべながら、ちびに言い放った。
「アンタハネ コレカラ ベビチャンタチノ ドレイニ ナッテモラウンダカラネ シッカリ ハタラクノヨ!!」

(奴隷になんかなるもんですか……)
どす黒い怒りがちびの中に生まれていたが、ちびは母親に悟られないように、
感情を押さえ込んだ。彼女は壁にかけられた時計をチラッと見て母親に退室を促した。
「そろそろ時間だから、合同会議室に行きましょう。遅れるのは良くないから。」
「ソウネ。 キョウハ ベビチャンニ チョクセツ オパーイヲ ノマセルコトガ デキルヒダモノ ハヤメニ イッタホウガ イイワネ」

上機嫌な母親と、そんな母親を冷静に見ている娘。全く違う表情の二人が合同会議室に着いたのは10時15分前であった。すでに、モララー・レモナ・サスガ(弟)は入室し、二人を出迎えた。
母親がモララーたちにダッコ映像の面々の行方を聞くと、モララーが引きつった笑顔を浮かべながら答えた。あまりに彼女の様子がハイテンションだったのだ。
「ダッコエイゾウノ ヒトタチハ ドコデスカ? アノヒトタチニ サイショニ ベビチャンタチヲ ダッコサセテ アゲルンデス!!!」
「ダッコ映像さん達は今眠っていますよ。数時間前まで編集作業をしてて、眠っていないそうです。ダッコは上映の後でもいいんじゃないですかね?」

モララーが母親にダッコ映像の面々のことを話し終えた頃、数名のボランティアの青年が
風変わりな安楽椅子を持ってきた。母親が横になってビデオが見ることができるようになっているように配慮されているのだが、両方の肘が置けるあたりと、足首あたりの場所に半円形の金具がついている。おそらく、手首と足首を固定するためであろう。

「こちらへどうぞ。」
ボランティアの青年に椅子を勧められると母親は怪訝そうな顔を一瞬したが、
すぐに安楽椅子に体をゆだねた。
「アラ ジョウトウナ イスジャナイ…… シィィィ?? ナンナノヨ コレ!
オテテト アンヨノ カナグヲ ハズシナサイ!! オマケニ ナニヨコレ! アナガ アイタジャナイノ!! 」
「ああ、昔の高級貴族みたいに過ごしていただきたいと思いまして…
リラックスして、ビデオをご覧になってください。
食事や下の世話は、彼らが行います。長丁場になりますんでね。」
ヒステリックな口調で尋ねる母親にレモナが笑顔で答えている。
母親は、レモナの言葉に微笑を返した。
(両手両足を固定されてるのに高級貴族って…… レモナさんもきついなぁ)
レモナの言葉を聞きながら、ちびは苦笑いを浮かべている。

「では、ちびちゃん達とママのプロモーションビデオ上映会、始まり始まり~」
モナーのとぼけた口上を合図にビデオのスイッチが入れられた……

992 名前: 48・ビデオ上映(ママ編) 投稿日: 2004/08/10(火) 18:35 [ agrvKVOs ]
ビデオのスイッチが入ってしばらくすると、最初のタイトル画面が映し出される。
『しぃ族のみなさんへ おみせ以外の場所でのコウビでおかねをとってはいけません』
製作 阿武沢警察  撮影 ダッコ映像
協賛として、数店の性風俗店の名前が書かれていた。

テレビモニターには、奇妙な授業参観風の光景が映し出されている。
先生役に、阿武沢警察のモナ木、生徒達には、協賛の風俗店の女の子と見られるちびしぃやしぃ達がいるのだが、ただ父兄の代わりに、目つきのあまりよろしくない面々がいる。
おそらく、店側が雇った用心棒達であろう。

モナ木は、黒板にチョークで、『うそをついてもばれます』と書き、話し始めた。
「はい、皆さん。これから、やってはいけないことのお話をしますよ。
お店以外の場所でコウビをしてお金をとってはいけません。うそをついてもばれます。
これからビデオを見てもらいますが、このビデオに出てくるしぃちゃんは、
お店には勤めていませんが、コウビをしてお金をとっていました。
このヴァカなしぃちゃんがどんな目にあったのか、皆さんで見ていきましょうね。」
モナ木の語り掛けに、ちびしぃ・しぃ達は「ハーイ」と元気よく返事をしている。

画面が切り替わると、公園と思われる場所にいるちびギコ達の後姿が映し出された。
右下に日付、そして『通報者 ○× △の輔さん』と書かれたテロップが入っている。
小さめだが、「フサたんはどこデチ?ちびたんはお口でしてもらうデチよ。」とか、
「次はレコたんデチ」といった音声が入っていた。
水分を含んだクチュクチュといった音も一緒に聞こえている。

モナ木の音声が入る。
「警察に、ここの公園で、妊娠しぃがちびギコを相手に売春を行っているようだという通報が入りました。警察では、このヴァカしぃを確実に処罰するために、通報者と周辺の住民の皆さんにお願いして、証拠ビデオを取ってもらっていました。」

「ハーイ センセイ! コノ ヴァカシィチャンハ ケッキョク イクラ カセゲタンデスカ??」

ちびしぃの素朴な質問にモナ木は、
「はい、いい質問ですね。ビデオを続けてみて見ましょう…
ここの公園のあたりに住んでいる人たちは機転を利かせて、ちびギコに小銭を渡して
彼らにビデオをまわしてもらっていました。ツナ缶に入っているお金が、ヴァカしぃちゃんの稼いだお金ですよ。」

993 名前: 48・ビデオ上映(ママ編) 投稿日: 2004/08/10(火) 18:36 [ agrvKVOs ]
ちびギコが撮影したと思われるビデオには、母親が恍惚の表情で、ちびギコのティンポを
三本ほど操っている映像がアップで映し出されている。マムコに一本、両手にそれぞれ一本づつ。彼女は手コキに腰のグラインドと忙しく動いている。
「ハニャッ ハニャッ…」といった嬌声も聞こえてくる。
しばらくすると、ツナ缶が映し出され、中の小銭がモナ木や、風俗店のしぃ達にお目見えした。

ツナ缶の中の一円玉が数枚。同族の失笑、嘲笑の類の笑い声が
母親の嬌声にかぶさって聞こえている。彼女らは、容赦なく言い放った。
「センセイ! オミセデハ ナンニモシナクテモ イチニチ 1000エン モラエマス!」
「センセイ! シメイガ ツクト ヒトリアタリ 200エン モラエマス!」
「センセイ! ウチノ オミセデハ オニイサンタチガ シィチャンタチヲ ギャクサツチュウカラ マモッテクレマス!」
モナ木は、笑い声を上げながら、口々に自分がいるお店の居心地のよさを嬉しそうに語るしぃ達を落ち着かせ、説明を続けた。
「お店での皆さんのコウビを警察は見逃していますが、お外でのコウビは、見逃せません。もうわかりますね。皆さん。このしぃちゃんは、ちびギコ達に騙されて
お金にならないことをやっちゃった挙句に、警察に逮捕されてしまいました。
次の映像は、逮捕後のちびギコ達の供述とヴァカしぃちゃんの供述です。
警察はなぜ、取り調べの様子を撮影しているのかというのは、この映像を見た後に説明します。」

モナ木の説明の後、取調べの様子と思われる映像に切り替わった。
目は、黒い線で隠され、匿名にしてあるが、明らかにちびギコが映されている。
姿が映ってはいないが、ちびギコにいろいろ質問しているのは、
ギコ崎のようである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「公園で遊んでいたら、妊娠しぃに声をかけられたんだね?何て言われたか覚えてる?」

「オネエサンガ アイテニ ナッテアゲルって言われたデチよ。それで尻を出したデチ」

「お金のことは言われた?」 

「最初100万円って言われたデチよ。でも、マムコがとんでもなく臭いってフサたんがいったデチ。それから、フサたんが1万円に負けろって言ったんデチ。レコたんが、金は終わった後に払うって言ったデチ。」

「そう。お金、結構少なかったけど(笑)?」

「誰が、あんなばばぁに1万円なんて払うんデチか?レコたんが終わった後に払うって言ったけど、本当は払うつもりなんて無かったんデチよ。」

「金を払わずに逃げるつもりだったの?」

「そうデチ。チビたん達で、妊娠しぃがいないときに、話し合ったんデチ。
フサたんが、『あの馬鹿しぃに、身分相応という言葉を教えてあげるんデチ』
って言ったんデチ。それはいい考えだとみんなで思って、
みんなで1円だけ払ってやろうって言うことになったんデチ。」

「でも5円あったねぇ?あの5円は何だったの?
10ぴ… 10人なら10円じゃない?」

「お腹のベビの葬式代デチよ。今すぐにも生まれそうな腹ボテだったじゃないデチか。
恐らく、ベビたちは氏んでると思うデチ。」

994 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:38 [ agrvKVOs ]
画面が授業風の風景に切り替わった。モナ木が生徒役のしぃ達に問い掛けると、
即座ににしぃ達の答えが返ってきている。
「チビギコ達は、ヴァカしぃちゃんに、金を払うつもりは無かったらしいです。
お店で、こういうことをやっちゃったお客さんがいた場合、
このお客さんはどうなりますか?」
「ソンナ キャクハ ギャクサツチュウダヨ!」
「ミブンショウメイニ ナルモノヲ コピーサレテ オドサレマス!」
「ボコボコニサレタ オキャクサンモ イマシタ」

モナ木は、黒板にチョークで書き始める。

お店でのお仕事(コウビ)
1・何もしなくても日給1000円  
2・指名がつくと指名料一人あたり200円 
(1・2はお店により異なります)                 
3・違反行為をした客に対してお店が制裁をしてくれる
4・お店がしぃちゃん達をギャクサツチュウから守ってくれる

お店以外でのコウビ
1・お金を払ってもらえない可能性がある
2・変な趣味の客に下手をするとギャクサツされる可能性がある
3・誰もしぃちゃん達を守ってくれない
4・逮捕される

「お店でのコウビと、お店以外の場所でのコウビのいい面・悪い面を並べてみました。
皆さんはどちらがみなさんにとってお金を楽に稼げると思いますか?」
モナ木の問いに、生徒役のしぃ達は口をそろえて、
「オミセデノ コウビデ~ス!!!!」と答えた。

彼は、なぜ取り調べのビデオを録画しているかの説明を始めた。
「ここで、なぜ警察が取り調べの供述を録画しているのかの説明をします。
しぃ族や、ちびギコ達は悪知恵に長けており、突然警察での供述を
裁判所でひるがえす事をよくやって、自分のしたことの罰から逃れようとします。
そのときによく裁判所で使っていた言葉が『ギャクタイ』なんですね。
警察はこの取調べのビデオを、虐待はなかったという物的証拠として裁判所に送り、
裁判を円滑に進めているわけです……。 
続いて、ヴァカしぃちゃんの取調べのビデオをみんなに見てもらいます。
さっき、チビギコ達とセクースしていたしぃちゃんですよ。」

画面が切り替わり、今度はすすり泣いているちびの母親の映像が映し出された。
チビギコと違うところは、目隠しの黒線も無く、表情が丸分かりである点であろうか。
彼女に質問をいろいろしているのは、声から察するにモラ角のようである。

995 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:39 [ agrvKVOs ]
「ほう、チビギコ達に取り囲まれてレイプされたと。 お相手のチビギコ達は、あなたがお金の交渉をしてきて、『シィチャンニ オカネヲハラッテ コウビシナイヤシハ ギャクサツチュウナンダヨ』と言って脅されたと言ってるんですがね。それに、お金が近くに見つかってるんですよ。これはレイプじゃなくて売春じゃないんですか?」

「レイプ サレタンデス… オカネノ ハナシナンテ シテイマセン!! ソレニ コンナカラダデ コウビナンテ デキマセン!」

「最初100万円で、チビギコ達の不満の声に負けて1万円に値下げしたって言ってますけど。あまりにチビギコ達の証言が細かいんでね。あなたがレイプされたって言っても
あまり信じられないなぁ…。この金額だと、やり逃げ同然じゃないですか。
金額があまりに少ないからレイプって言い張ってるんじゃないんですか?」

「オカネガ スクナイッテ ドウイウコト? チャント イチマンエン アルンデショ?」

「我々が見つけたお金は15円だけです。それに、『チャント イチマンエン』って…
やはり、チビギコ達とのお金の交渉があったんじゃないですか。嘘はいけませんよ。
それに、お店以外の場所でのお金を貰ってのコウビは禁じられています。どこかお店にお勤めですか?」

「オミセニナンカ ツトメテイマセン。 コウビハ オソトデ スルノガ イチバン キモチイインジャナイデスカ!
ソレニ オカネヲ カセガナイト キケイノ クソチビニ ベビチャンヲ コロサレチャウンデス。」

「キケイ?チビちゃんって?」

「オナカノ ベビチャンノ オネエサンニナル チビシィデス。 *ガ アリマセン。
ベビヲ オロスカ オカネヲ カセグカ ドチラカ エラベッテ ウルサクテ…
ダカラ ダイスキナ コウビデ オカネヲ カセギタカッタンデス。」

「コウビでお金を稼ぐには、お店に入らないといけないんですよ。奥さん。
それに『キケイノ クソチビ』って、あなたが生んだお嬢さんでしょ?
それに、あなたにベビを育てる権利なんてあるのかな?母親失格じゃないの。」

モラ角の『母親失格』という言葉に反応するように、
すすり泣きながら供述していた母親の顔が急に変わり、口をへの字に曲げ、わめき始めた。
モラ角は全く動じず、取調べが録画され、証拠として提出されることを
母親に告げる。

「キーッ ナンテコトイウノヨ! コノギャクサツチュウ!! サイバンショニ イッタラ ギャクタイサレタッテ イッテヤルンダカラ!!!!!
ソシタラ シィチャンハ ムザイニナッテ コンナトコカラ スグニ デテヤル!!!! 」

「えーと、この取調べの様子は全て録画されているからね。それを証拠として
裁判所に提出すれば、君がどんなにわめいても、君の言い分なんて聞く人は誰もいないから。それと、これから君に見てもらうビデオも、証拠として提出するから。」

996 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:41 [ agrvKVOs ]
画面が切り替わり、チビギコがとったと思われる彼らと母親との金銭交渉内容のビデオが
映し出された。『署員が妊娠しぃに見せているビデオです』と画面の下方にテロップが載っている。撮影者のチビギコの音声までもが入り、なかなか生生しい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…ブツブツ…あのババア、100万円なんてぼり過ぎデチ。お腹のベビを、肉便器として差し出してもせいぜい出せる金は100円デチよ……ブツブツ……」

「ン~? ソコノ カメラヲ モッテル チビクンハ ナニヲ イッテルノカナ? コンナ キレイナ オネエサンガ チビクンタチノ アイテヲ シテアゲルノニ。
シィチャンニ オカネヲハラッテ コウビ シナイ ヤシハ ギャクサツチュウナンダヨ。 ヨク オボエテ オクコトネ!」

「チビたんは最近カメラを買ったばかりなんで、手順を口で言いながら撮影してるデチ。
お金は全員がコウビを終えた後で払うデチ… フ、フサたん?しぃたんの後ろで何してるデチか?」

「レコたんはこのババアのマムコが物凄く臭いのがわからないんデチか?
このババア、病気をフサたん達に移して金を稼ごうとしてるデチ。それに、100万なんて高すぎデチ。1万円に負けるデチ。」

「ビョウキナンテ モッテナイモン! シィチャンノ マムコハ クサクナイモン! シマリダッテ イインダカラネ!」

「お前の鼻が詰まってるだけデチ。締りのよさはフサたん達が決めるデチ。
病気をもってないなら、医者の証明書を持ってくるデチ。フーゾクのしぃちゃん達は
定期的に医者に行ってるデチよ。医者の証明書を持ってこないつもりなら金をまけるデチ。
できないなら、とっととここから消えるデチ。」

「ワカッタワヨ。 イチマンエンニ マケタラ イインデショ? オカネハ コウビガ オワッタアトデ モラウカラネ……」

「……ヴァカデチネ……ヤリニゲ スルデチ……」

997 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 18:42 [ agrvKVOs ]
画面が取調室の画面に切り替わり、母親がすすり泣いている映像に切り替わった。
「この映像と、あなたのことを通報した人や、あの公園の近くに住んでいる皆さんが
撮影した証拠の映像とがここにあるんだけど?これを裁判所に提出すれば奥さんは、確実に有罪じゃないかなぁ?」

「ソ、ソンナ… ベビチャンタチハ? アイドルノ ベビチャンタチハ? 」

「犯罪者の娘がアイドルに?(笑)とりあえず、上のお嬢さんに連絡しないと。あの公園付近にいるしぃ族で*が無いちびしぃか…。それと、彼女にあなたが妊娠何ヶ月か聞いて、
必要なら医者も手配しないと……。ギコ崎、漏れは娘さんに連絡してくる。後は頼んだよ。」

モラ角が退室すると、さっき鳴いてたからすが…という言葉ではないが、母親はころっと態度を替え、今度はギコ崎に対し媚び始めた。
「ネェ…ギコク~ン オ・ナ・ガ・イ! チビニハ ダマッテテ。 ダマッテテクレタラ、 タクサン ダッコサセテ アゲルカラ。
タクサン ゴホウシ シテアゲルカラ。」

「奥さん自分のした事わかっています?
私に対して、交渉を持ちかけるって何を考えてるんですか!
それに、そのお腹。そろそろ臨月くらいじゃないんですか?
ベビちゃん達、大丈夫ですかね。全員氏んでるんじゃないのかな?
ちゃんと動いてますか?(笑)」

「アノ クソチビヨリモ ベビチャンタチハ イイコダカラ ダイジョウブ。 ベビチャンタチハ チビクンタチトノ コウビノ トキモ
タクサン ウゴイテ シィチャンヲ キモチヨク シテクレタンダカラ。 オヤコウコウナ ベビチャンタチデショ。」

「それって、ベビちゃん達が逃げ場所求めてもがいてただけでしょ?
だって、一種の虐待だもんね。やっとお腹から出られるのに、チビギコ達のティンポや
大人のオモチャで逃げ道ふさがれた挙句、突っつかれまくったんだもの。
医者じゃなくたって、ベビが氏んでることくらいは想像つきますよ。
自分の都合のいいように解釈するのって、あなた方しぃ族の悪い癖ですよ。」

「ギコクンマデ クソチビト オナジコト イウノ? ギコクンモ ギャクサツチュウナノ? 」

「クソチビってあなたのお嬢さんでしょ?私には、あなたが上のお嬢さんや
お腹のベビちゃんに対して虐待しているようにしか見えないんですが……」

取調室の画面から、授業風景の画面に切り替わり、モナ木が語りだした。
「このしぃちゃんは、彼女のお嬢さんの証言によると、
いつベビが産まれてもおかしくない状態でした。
今は、ベビを産むために病院にいると思います。
出産後、彼女には罪を償ってもらう予定になっています。
売春の件以外にも、署員に対してうそをついたり、
また、妙な交渉をもちかけたりして、罪を逃れようとしていた彼女に対し、
裁判所は厳しい態度で臨むと思われます。
しぃ族の皆さん。お店以外の場所でのコウビは決してしてはいけません。
そして、もし逮捕されたときは、警察に嘘をついたり、妙な交渉をもちかけたりして
自分のしたことの罰から逃れようとしたりしない様にしましょう。」

エンドロールが流れ、ビデオが終わると、ちびは呆れた表情をしていた。
彼女はビデオについての感想と、取調べの様子を見た感想を力なく微笑みながら語った。
「確かに母が出ているプロモーションビデオでしたね。
お店の女の子のいい教育になるんじゃないでしょうか。
話は変わりますが、取調べの様子もよくわかる内容になっていました。
全く、我が母親ながらとんでもないことを警察でやってたんですね…」
レモナが、ちびの方に手をやりながら力づける。
「お母さんの、いい薬になったと思えばいいじゃない?」
モララーがちびにウィンクしながら、
「お母さんには、食事の後にもっと苦い薬を飲んでもらうことになるから。
それを見れば、ちびちゃんの怒りを静める薬にもなると思うよ。
少し早いけど、食事にしよう。」

「食事をお持ちしました。」
ボランティアの青年が合同会議室のドアをノックし、中の面々に声をかけたのは11時半であった。


2 名前:48 昼食 投稿日: 2004/08/10(火) 21:20 [ nB1qAL9A ]

ボランティアの青年が食事をちび達に配膳している途中、母親が口を開いた。
「ア・アノビデオガ ゼンコクニ デマワルノ???」
「そうらしいですよ。奥さん。あなたのなさった事が
フーゾクに勤めるしぃ族達にいい教訓になるそうです。」

モララーの答えに母親の頬が羞恥からか、怒りからかは図りかねるが、
みるみるうちに真っ赤に染まっていく。彼女は、ヒステリックに喚き散らした。
「シィチャント ベビチャンハ アイドルナンデス! アンナモノ ナガサレチャ ファンガ ダレヒトリトシテ ツカナイジャナイデスカ!」
母親はまだ何か叫びたそうだったが、ちびは彼女に対し、皮肉な笑みを浮かべ言い放った。
「何が『アイドル』よ!あんな恥ずかしい真似をして。刑事さんが言ってたじゃない
『犯罪者の娘がアイドルに?』って。そろそろ現実に戻ったらどお?」
モララー、サスガ(弟)、レモナもちびに同意するように笑顔で肯いている。

「とりあえず、暖かいうちに食べませんか?」 
「そうね。彼らの食事も取らせてあげないと。」
サスガ(弟)が静かに口を開くと、レモナが反応するように、
介助担当の青年達の方を見ながら同意する。

全員の「いただきます」の挨拶で、母親以外のメンバーは楽しそうに世間話をしながら
食事をとり始める。モララーがレモナの注文した食事を見ながら、
「ダイエット始めたのか?」と彼女をからかい、彼女が顔を赤らめたり、
ちびが注文したデザートのごまプリンを見たサスガ(弟)が、感心した表情で
「大人のスイーツを注文したんだな。」とちびに話し掛け、
ちびがはにかんだ笑顔で「初めて注文してみました。」と答えてたりと、
結構ほほえましい場面である。

そんな場面をぶち壊すかのような金切り声で母親がまたも喚きだす。
「ナンナノヨ コノ キモイ オトコ! シィチャンハ ギコクンカラジャナイト ゴハンハ タベナイワヨ!」
「じゃあ、食うなよ」
サスガ(弟)は、さらっと母親に言い放ち、食事を続ける。
「食べないとベビ達のビデオ見せないって言ってたよ。ベビ達に会えないわねえ。
今日は母乳をベビに直に飲ませられるって言ってたじゃない。
今日も、ビニールに詰めた母乳をベビ達に飲ませるのぉ?」
ちびは、ニコニコしながら母親に鋭い言葉を投げた。
さすがに、ちびの言葉がこたえたらしい母親は、介助担当の青年に
「ソ、ソウネ。 オニイサン ゴメンナサイ パンケーキヲ クダサイ。」と頼み、食事をとり始めた。

母親以外のメンバーは食事を終え、軽い食休みを取っている。
レモナは、ちびと世間話をしながら、母親を観察していた。
母親の顔色が悪くなり始め、時折歯を食いしばっている。食事のペースが上がらない。
今日はまだ、母乳を搾り出してないから
恐らく胸が痛み始めたのだろうな、とレモナは推察した。
「手が空いてるほうでいいから、ちょっとこっちに来て。」
介助担当の一人の青年がレモナの下に来ると、彼にレモナは耳打ちする。
レモナの言葉にうなずくと、彼は部屋を出て行ってしまった。

彼女は母親の近くまで来て、いろいろ質問する。
食べながらの会話というのもあるのかもしれないが、母親は口ごもり気味である。
「お母さん。食事が口にあいませんか?」
「イイエ…チョット…」
「ベビちゃんのビデオが見れるのに、顔色悪いですよ?」
「チョット……」
「そろそろ、搾乳の時間じゃないんですかね?今、搾乳機取りに行かせてますんで
ちょっと待ってくださいね。」
「キョウハ モウ シボッテキタンデス。 ダイジョウブデス。」
「またまたぁ。嘘はいけませんよ。うちの者が、搾ったお乳入りのビニールを
取りに行ってないのはすでに確認しているんです。
お母さん、嘘をついても自分にとってプラスにはなりませんよ。
痛くてしょうがないんじゃないんですか?」
「ダ・ダイジョウブ… デス」

3 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:21 [ nB1qAL9A ]
搾乳機を取りに行った介助担当の青年が戻り、レモナに搾乳機を無言で渡す。
母親は食事を取り終え、体を横たえている。
痛みを我慢しているからか、呼吸が浅くなっている。
彼のポケットの中には、他にも角張ったものが入っているらしく、大きく膨らんでいた。

彼女は、搾乳機を後ろ手に持ち、母親に追い討ちをかけるように話す。
「お母さん。今搾っとかないと、また3~4時間は搾れませんよ。
炎症を起こして、とんでもない状態になるんじゃないのかなぁ。
痛みに耐えることができますぅ?」
「サ・3~4ジカンモ? ス・スイマセン オテテト アンヨノ カナグヲ ハズシテクダサイ。 ジブンデ シボッテキマスカラ。」
レモナは搾乳機を母親に見せ、母親に詰め寄った。
「ここでいいじゃないですかね?搾っちゃいましょう。」

母親は無駄な抵抗を試み始めるが、ちびに阻止されてしまったようだ。
「カナグヲ ハズシナサイ! コンナトコロデ オパーイナンテ シボレルハズガ ナイジャナイデスカ! 」
「とっとと、搾っちゃってくださいよ。レモナさん。お兄さん。
ギコさんだったら喜んで搾らせるくせに。全くわがままなんだから。」
「ウルサイ!! ウルサイ!! ギャクサツチュウガァアアアア」
母親はちびに向かってお決まりの言葉を吐いている。

レモナが母親を無視してちびに提案し、ちびがニヤニヤしながら応じる。
「このままビデオを上映してもいいんじゃないかしらね?」
「それも、いいかもぉ。おっぱいが痛んで辛いのはあの人だし。」

母親は、二人のやり取りにキレて喚き散らす。痛みに耐えるのも限界だったのであろう。
「オナガイ オナガイ オナガイィィィィイ!! オパーイ シボッテェエエエエエエ
オパーイガ パンパンデ イタクテ ガマン デキナイノォオオオオオオ」
ちびは母親を睨みつけて怒鳴り、それからレモナに頼む。
「人に物を頼むときには『お願いします』でしょ?『オナガイ』って何?
レモナさ~ん。この人が『お願いします』って言えるようになるまで、
搾乳を待ってもらえませんか?」
レモナは、彼女の提案を受け入れた。

4 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:25 [ nB1qAL9A ]
レモナとちびは、介助担当の青年と、なにやらこそこそと話し合っている。
話し合いが終わると、レモナは搾乳機を一つづつ青年に渡し、
一方ちびは、青年がポケットから出したポラロイドカメラを受け取る。
「オ・オナガイ オナガイ シマスゥ オパーイガ ハッテ イタクテ ガマン デキマセン…
シ・シボッテ クダサイ」
「『します』をつけたって駄目よ。お・ね・が・い・し・ま・す でしょ?
ギャクサツチュウなんて言葉なんて使ったら、わかってるわね?」
激痛のあまり懇願口調になった母親に、ちびは容赦が無い。

モララーはこの状況を楽しみ、サスガ(弟)は感心している。
二人は、ちびたちのやり取りを見ながらこそこそと話していた。
「しかし、モララー?彼女、実の母親だというのに容赦ないな。(笑)」
「愛別離苦を彼女は幼い時に経験しているからな。」
「アイベツリク?」
「愛するものと別離する苦しみって言ったらいいのか?
彼女、小さいときに友達のでぃちゃんを母親に頃されてるんだよ。
彼女が書いた日記のコピーがあるから、今度見せるよ。」
「別離させたのが母親か…」
「彼女の心の中には、母親に対する小さな憎悪が宿ったんだろうな。
でも、幼すぎて表に出せなかった。出しても逆襲されるのがオチだった…」
「今、憎悪の感情を表に出してると?体も大きくなったし。」
「そうだよ。逆襲されても、大勢の見方もいるしな…。」
モララーとサスガ(弟)は、ため息交じりで、ちび達のほうを眺めていた。

一方で、ちびと母親とのやり取りはそろそろ終焉に近づいたようである。
「オ・オ・オネ・オナガイ… ド・ドウカ・ オパーイヲ シボッテ シボッテ クダサイ」
「なんで、わざわざ言い直すの?お・ね・が・い・でしょ?」
「オ・オナ・オ・ね・ガイシマスゥウウウ ドウカ オパーイヲ シボッテ シボッテェエエエエ!!!!
イタクテ イタクテ シニソウ ナノォオオオオ」

ちびが、勝ち誇った笑みを浮かべながら食事の介助担当の青年に母親の搾乳を頼んだ。
青年たちは、搾乳機のじょうご状の部分を母親の胸に当て、空気を抜いていった。
「そろそろシャッターチャンスかも…」と、一人の青年がちびに指図する。
彼女は彼の言葉に反応し、カメラを構えた。
シュコ・シュコ・シュコ・シュコ…
ポンプで搾乳機内の空気を抜く音に混じり、
母親がカメラを構えたちびに撮影を止めるように懇願する声が聞こえてくるが、
ちびは当然、母親を無視している。

5 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:26 [ nB1qAL9A ]
シャアアアアア… 
カシャカシャカシャ…
「イヤアアアアアアアアアアアアアアア トラナイデエエエエエエエエ」
母乳が瓶の中に勢いよく流れ込んでいく音、シャッター音
母親の絶叫が奇妙なシンフォニーを奏でる。
「さてと。どうかな?ちゃんと撮れたかな?」
ちびはニコニコしながら写真の出来具合を見ていると、
搾乳機を持った青年の一人が、ちびに助けを求めている。

ちびは、彼の求めに従って、ファスナーつきのビニール袋とストローをレモナに渡し、
レモナが手際良く、瓶の中の母乳をビニール袋に注ぐ。
渡した袋が全て母乳である程度満たされると、レモナはビニール袋の中にストローを入れ、
中の空気を抜き、ファスナーを閉じていく。
3袋の母乳入り真空パックの袋が出来上がった。

「これ、持ってってね。あと、写真の出来具合はどうかしらね。」
レモナが、母乳についての指示を介助担当の一人に出し、
そして、ちびが撮影したポラロイド写真を手にとり、青年達に見せた。
「ありがとう、ちびちゃん。」一人の介助担当の青年がちびに礼を言う。
もう一人の青年がちびにサムズアップをして見せた。どうやら、うまく撮れていたらしい。

青年達のうちの一人が写真と母乳入りビニール袋を持ち、部屋を退出すると、
モララーが母親に、ベビ達のビデオについての話を始めた。
2本組みであること、ビデオを見た後にベビ達に会わせること、3時間ほどかかること。
母親は、荒い息をさせながらモララーの話を聞いていた。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」
ビデオを巻き戻し終わった音が聞こえた後に、
サスガ(弟)がビデオを入れ替え、みんなに声をかける。
ベビ達のビデオの上映会が始まった――――

6 名前:49・死産ビデオ 投稿日: 2004/08/10(火) 21:28 [ nB1qAL9A ]
サスガ(弟)がビデオのスイッチを入れているとき、モララーがニヤけて、
「さぁ、ベビちゃん達のプロモーションビデオですよ。」と声をかける。
母親以外の全員は苦笑いしているのだが、母親はある種の必死さを瞳にこめて、
ビデオ画面を注視していた。

『こんにちは ベビちゃん』と書かれたタイトルの下方には、
母親と4体のベビのほのぼのとしたイラストが描かれている。

ギコと、モラ谷が並んで座っている映像に切り替わり、
モラ谷が挨拶代わりの説明を始める。
「今日は、とんでもない症例を皆さんにお見せすることになりました。
解説は擬古田薬品の研究所からおいでいただきましたギコさんです。」
ギコは画面に向かって黙礼し、説明を始めた。
「ベビしぃを腹の中に入れたままで、ちびギコ相手に売春してた妊娠しぃだゴルァ。
まず警察で、この馬鹿母が自分のベビ達のことについて
どんなことを言っていたのか見てもらうぞ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
警察内での、母親とギコ崎が会話をしている映像に切り替わった。

「……それに、そのお腹。そろそろ臨月くらいじゃないんですか?
ベビちゃん達、大丈夫ですかね。全員氏んでるんじゃないのかな?
ちゃんと動いてますか?(笑)」

「アノ クソチビヨリモ ベビチャンタチハ イイコダカラ ダイジョウブ。 ベビチャンタチハ チビクンタチトノ コウビノ トキモ
タクサン ウゴイテ シィチャンヲ キモチヨク シテクレタンダカラ。 オヤコウコウナ ベビチャンタチデショ。」

「それって、ベビちゃん達が逃げ場所求めてもがいてただけでしょ?
だって、一種の虐待だもんね。やっとお腹から出られるのに、チビギコ達のティンポや
大人のオモチャで逃げ道ふさがれた挙句、突っつかれまくったんだもの。
医者じゃなくたって、ベビが氏んでることくらいは想像つきますよ。
自分の都合のいいように解釈するのって、あなた方しぃ族の悪い癖ですよ……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
モラ角は、呆れた表情を浮かべている。
ギコは、モラ角の表情を見ながら、ちびたちが研究所にきた経緯を説明した。
「言葉が出ないって感じだな。まぁ、よくわかるけども。
それでだな、この母親と娘さんが警察と一緒にうちの研究所にきたわけ。
で、ベビ達を出したんだ。」

モラ角は、落ち着きを取り戻したらしく、いろいろと質問を始めた。
「ベビ達の様子はどうだったんです?」
「さっきの映像で、刑事さんが『ベビ達が氏んでることくらい医者じゃなくても想像つく』
って言ってただろ?刑事さんの言う通り、全員死産だ。」
「あらら。(笑)」
「うちの医師が術前のエコー検査をしたんだが、母親にベビ達の胎動が無いことを告げると、ニコニコしながら母親が『オネムデスヨ』と言ったらしいんだ。呆れた医師が彼女にベビ達の心音を聞かせたら、ようやく事の重大さに気づいたらしいんだ。」
「かなりの馬鹿っぷりですね。ところで、次の映像は?」
「手術直前の映像だ。この馬鹿親は、術前の検査の時に担当した医師に体重を少なく申告していたんだ。うちの麻酔医はいつもは冷静な奴なんだが、このときは少しキレかかっていたな。ま、患者に嘘をつかれてたわけだから当然って言えば当然なんだけども。」

7 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
母親が入院している部屋のドアにかかっている番号が映し出され、
撮影者と思われる男性の声で、こまごまとした説明が入っている。

「はい、こちらは子宮と卵巣、そしてベビを取り出すしぃちゃんの入院している部屋です。
レモナ先生に鎮静剤を注射され、彼女は現在眠っています。
これから、麻酔の下準備として彼女の体重を量り、
サスガ先生が麻酔に使う薬剤の量を決めるそうです。それからオペ室に運び、
麻酔後、手術になるそうです。執刀はレモナ先生とモララー先生だから、
このしぃちゃんは恐らく、麻酔が効きかけで手術かなぁ?では、入室しま~す。」

ドアを開ける音の後、彼は部屋に入り、母親の様子を映し出した。
ベッドの上で寝言を言いながら、熟睡している。
「ハ、ハニャ… ギコク~ン シィチャント イッショニ マターリシヨウヨ オカネナラ イクラデモ ダスカラ…」

「しばらくすると看護師さん達や麻酔医のサスガ先生がいらっしゃいますので、
ママになり損ねる予定のしぃちゃんの寝言でもお聞きください…」
男性の言葉の後に、母親の寝姿が映し出され、彼女の寝言も続けて聞こえている。
眠っている間というのは本性が丸見えになるようだ。
「ギコク~ン ベビナンテ ショウライ ウリワタセバ イインダカラ。 イッショニ コウビシヨ! ネ?
チビハ キケイデ ウレナイケド ベビタチナラ カワイイカラ タカネデ カッテクレルモノ…」

看護師が入室してきたときに、母親の寝言が聞こえていたらしく
彼らは一様にポカーンとした表情を浮かべている。
撮影者の男性が看護師達を撮影しながら、彼らにインタビューを始めた。
「どうでしょう。これからしぃちゃんの手術に立ち会われるわけですが。」

「上のお嬢さんがお母さんの子宮と卵巣の摘出を希望してたんですが、
理由がわかるような気がします。」

「こちらのでぃちゃんは、ベビちゃん達のために涙を流しているようですね。」

「コドモ… ハハオヤ… エラベナイ…」

「でぃちゃん?今のうちに彼女たちのために泣いてあげて下さいね。
手術が始まったら、泣いてなんていられませんからね。」

カメラは静かにうなずくでぃを映していた。

パタパタパタパタ…
足音がする方に撮影者の青年がカメラを向けると、
サスガ(兄)が息を弾ませ、立っていた。
「麻酔科のサスガ(兄)先生です。手術中、弟さんと一緒に呼吸や、心電図、血圧の管理を行います。弟さんは法医学を専攻されていて、ベビ達の死因を調べるそうです。
手術後は、弟さんのサポートですね?先生。」
撮影者の青年に不意に尋ねられたサスガ(兄)は、微笑みながらうなずいた。

8 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
サスガ(兄)は早速麻酔の前準備のため、看護師達にいろいろと指示を出し始めた。
「さてと、諸君。体重測定から始めることにするよ。体重計はあるね?」
看護師たちが体重計を彼に見せると、続けて指示を出す。
「じゃあ、乗せるよ。漏れも手伝おう。」
サスガ(兄)を含めて5~6人ほどで、母親をベッドから持ち上げる。
全員で掛け声を出し、母親を体重計に乗せてある大きな籠の上に乗せた。

「25kg」 「もっとあるんだと思ってたよ」
「そんなもんだろ。眠ってる患者を移動する時って、結構重く感じるじゃん。」
看護師たちが口々に感想を述べていると、サスガ(兄)が続けて指示を出す。
「体重計からストレッチャーに移して、腹部の剃毛を頼む。
剃毛後、オペ室につれてって。それから、モララーとレモナが君達に合流すると思うが、
彼らに、『薬剤の量の調整が生じたので、少々遅れる』と伝えてくれ。」
看護師たちの返事を聞いたサスガ(兄)は少々不機嫌な表情を浮かべて
病室からいったん退出した。

母親の全身が映し出された後、マジックで四角をかかれた腹部が映し出される。
恐らく剃毛範囲と思われるが、看護師達は範囲を忠実に守って剃るつもりは無いようだ。
「切腹だから、マジックの中だけ剃ればいいの?」
「マソコの毛も剃っちゃえ。どうせしばらく使えないんだし(笑)」
「使えないっていうか、使ってもベビが入る場所が無くなるんだけどね。」
「いや、卵子を作る器官もなくなるから。(笑)」
女性団体が聞いたら卒倒しそうな言葉を看護師達は並べながら、剃毛作業を始めている。
鋏でまず腹部や陰部周辺の毛を短く切る。指でつまめない位の毛の短さまで切り終えると、
オリブ油を腹部と陰部に塗りたくり、かみそりで丁寧に陰毛まで剃り落とした。

9 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:32 [ nB1qAL9A ]
看護師達は掛け声をかけながら、母親をベッドからストレッチャーに移動する。
看護師達は世間話をしながら、ストレッチャーを押して、手術室に向かった。
手術室までの直通エレベータまで来ると、彼らにモララーが合流した。
看護師はエレベータ内で、サスガ(兄)からの言葉をモララーに伝言した。
「あ、モララー先生。サスガ先生が『薬剤の量の調整が生じたので少々遅れる』って
伝えてくださいって。」
「わかった。」
しばらくエレベータ内は静かだった。

チン。
到着を知らせる音が鳴り、エレベーターのドアが静かに開く。
レモナとサスガ(弟)、そして息を弾ませたサスガ(兄)がドアの前にすでに立っていた。
「お?薬剤の調整は完了したのか?」
「事前の検査のときに、レモナに体重を少なく申告しやがって…」
モララーの問いに、兄は少々立腹気味に答えた。
「母親よりも女なのかしら。全く。」
レモナもストレッチャーで安らかな寝息を立てている母親を見ながら呆れている。

「行こう、兄者。レモナ、モララー。早く終わらせて、ベビ達の悲惨な氏に方を
この馬鹿親に知らせてやろう。」
サスガ(弟)の言葉に、場にいた全員は使命感を持った表情でうなずき、
ストレッチャーを手術室に向かって走らせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
手術室の前にいるちびがお辞儀をしている映像が映し出され、その後に
モラ角と、ギコが二人で並んで座っている映像に切り替わった。

「*の無いちびしぃがいましたが、彼女は?」
「上のお嬢さんだ。彼女がまともな分、母親のDQNっぷりが際立ってな。(笑)」
「さて、これから手術なわけですが?」
「うん。ベビ達が育ちすぎてて、子宮がとんでもない状態になってたんだ。
 取り出し辛くて、執刀医たちが困ったって言っていた。
あと、産婦人科医が激怒したな。ベビ達の動く場所が無いって。
あれでは、酸欠起こすってさ。詳しくは、映像を見た後で説明しよう。」

10 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:33 [ nB1qAL9A ]
気道確保のために挿管され、口をテープで固定された母親の全身が画面にうつしだされる。
撮影者の青年は、眠っている母親を画面にうつしながら説明を始めた。

「これから手術が始まります。今、サスガ(兄)先生の指示により麻酔薬が点滴されています。先生方と看護師さん達は現在手を洗いに行ってます。
ベビちゃん達とこの馬鹿母との対面が重要らしいので、この母親に氏んでもらっちゃ困るらしいです。感染症起こすもんね(笑)。無難なところを切開しながら母親の反応を見て手術の開始かなぁ?」

レモナ・サスガ兄弟・モララー・看護師らが所定の位置につき、
レモナの号令と、それに呼応する皆の挨拶から手術が始まった。

「ちょ、ちょっと、これ…」 「おいおい…」
母親の子宮内の状況に驚きを隠せない様子の
モララー・レモナの表情が映し出される。
「ここも撮影頼む」
サスガ(弟)の声に従い、撮影者は母親の子宮内を映した。
「げ…」
撮影者の青年もビックリして思わず声をあげてしまった。

チィチィともう少しで泣き始めるであろうと思われるベビ達が
すし詰めになって母親の子宮からお目見えしたのだ。
左右対称に、顔を互いにそむけ丸まっているベビ2体。
彼らの上方に、背中を子宮口側に向け丸まっているベビが1体。
そして腹部を子宮口側に向けそっくり返っているベビ1体。

レモナとモララーが手早くベビ達を取り出し、看護師に渡していく。
看護師に渡ったベビ達について指示を出しているサスガ(弟)の声も聞こえる。
撮影者の青年は子宮内を映しながら説明をしている。
「サスガ(弟)先生が一番・二番…って言ってるのは、その番号が書かれたリストバンドを清拭を終えたベビ達の腕に巻いてねという指示を看護師さん達に出してるんです。
お?母体からベビ達がこれで全員出されましたね。私はこれから、ベビ達の様子を撮影に行きます。いったん、モラ谷さんに返しますね。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「と、返されてもなぁ…」
モラ谷は思わず呟いた。顔には脂汗がにじんでいる。
「ベビ達は、母親の糞狭い子宮の中ですし詰めになってたんだそうだ。
電●ネットワークの芸であったろ?ふとんの圧縮袋の中に人間が入るやつ。あんな感じ。」
ギコに話題をふられたモラ谷は、幾分ほっとした顔でギコに話を合わせる。
「ええ。確か、掃除機で空気抜くんでしたよね?」
「そう。空気を抜いた状態のふとんの圧縮袋の中にベビが入ってたと思えばいい。
うちの産婦人科医が怒ってたのわかるでしょ?」
「だって、電●ネットワークさんのはいい大人がやってるから芸になるのであって、
ベビがあんな状態の所に入ってたら、氏ぬじゃないですか。ただでさえ、しぃ族って
脆いんでしょ?」
「脆いぞ。ベビ達の遺体の状況がかなり酷いものだったらしい。
ま、後で詳しくでてくるけどな。」

モラ谷は気を取り直し、ギコに質問を始めた、
「ベビちゃん達は仮死状態だったんですか?」
「仮死どころか、死後硬直まで始まってたそうだ。
次は、そこら辺の映像が出てくるかな。映像を見てみよう。

11 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/08/10(火) 21:34 [ nB1qAL9A ]
葬送行進曲をBGMに撮影者の青年が話を始めた。
「さて、ベビ達はこれから体をきれいに拭かれた後、
鼻や口に入った羊水や血液を吸引されて、無駄な心臓マッサージを行うそうです。
蘇生術の練習するんですと。子供の心臓マッサージって難しいんだそうです。
では、移動します。」

青年は執刀中のレモナ達から離れ、ベビ達が集められている場所に移動した。
仮の棺であるベビーベッドには、一番と書かれたリストバンドを腕に巻いたベビが
すでに横たわっている。
「清拭中のベビのほうに行ってみましょう。」
粘液を吸引するズルズルという音のする方にカメラを向けると、
体を洗われたベビが1体、細い管を鼻から入れられて粘液を吸引されていた。
「このベビちゃんは?」 
「二番のベビ。一番のベビとこのベビは使えないなぁ。肋骨折れてるじゃんよ…
もしかして片方の肋骨全部いってるかな?」
青年に尋ねられた看護師は、舌打ちをしていた。

しばらくすると、全てのベビ達が体の清拭、羊水や血液等の吸引を終え
ベッドに寝かせられた。看護師が体の中心線に沿ってベビの胸元を触りながら、
手術室に向かって大声で叫ぶ。
「レモナ先生!心臓マッサージの練習、できませーん。
一番と二番、肋骨片方全部いってるでしょぉ?」
レモナの大声が返ってくる。
「あなたもそう思ったぁ?そう、一番と二番は肋骨いってるわ。
練習はできないわね。とりあえず、心電図のモニターはつけててね。」
レモナの指示に看護師は大声で返事をした。

「氏んでるしるしを、皆さんにお見せしますね。」
看護師たちが手際良く、心電図のモニターをベビ達の胸部につけていく。
そっくり返ったり、丸まったりしているベビ達は彼らの手によって
まっすぐな姿勢に整えられた。
彼女らの腕に巻かれたリストバンドの番号、次に*の無い氏に顔が映され、
そして、心電図のモニターが映された。

「お母さん、画面の向こうでご覧になってます?これが一番のベビちゃんのお顔ですよ。胸につけた電極はモニターにつながっています。
心臓が動いていれば、モニターに波線が現れて、心拍数や血圧のところに数字が現れるはずですが… 現れてませんね。」
二番、三番、四番のベビも同じように、看護師は説明をしていった。
ベビ達は泣きもしないし、手足も動かさない。心電図のモニターには、直線しか現れないし、もちろん心拍数、最高/最低血圧はともに0を示している。

一番、二番、三番、四番のリストバンドをつけたベビ達は胸部に電極をつけられ、
ベッドに横たわっている。撮影者の青年はまず彼女らと機械のモニターを
アップでゆっくりと撮影しながら話し始めた。
「彼女らの上のお嬢さんは*が無いことで、母親から『キケイ』と言われていたそうです。
また、お母さん『キケイ』を産んじゃいましたねぇ。手術室でこういうこというのは不謹慎だけど、この子達は氏んで産まれてよかったのかもね。『死産編』のビデオはここでおしまいです。死因は直接先生方から聞いてくださいね。」

ビデオが終了し、スタッフロールが流れる。
最後に、腹ボテの母親がちびギコと楽しそうにコウビしている姿を、
4体のベビ達の幽霊が怨めしそうに上方から見ているイラストが30秒ほど流れた。

次回:擬古田薬品 (8)

擬古田薬品 (8)

前回:擬古田薬品 (7)

157 名前:50・状況説明 投稿日: 2004/10/12(火) 22:37 [ VwP5VfXA ]

「ベ・ベビチャンガ シンダ?」
顔面蒼白の母親が呟くと、その呟きにモララーが答える。
「全員氏んでました。死後硬直まで始まってましたよ。事前の検査の時に、
レモナ先生が『胎動が無い』ってあなたに言ったんじゃないですか?
お腹に聴診器をご自分で当てて、ベビ達の心音も聞こえないことも確かめられたんじゃないんですか?」
「ベビチャンハ オトナシク オネムシテイタ ダケナンデス!!!!」
信じたくないといった表情で母親が叫んだ。

ちびが笑いながら口をはさむ。母親は得意の言葉をちびに吐くが、
ちびに死産ビデオの寝言を突かれると黙り込んでしまった。
「確かに『オネム』よね。永遠にだけど(笑) 」
「コノギャクサツチュウ! アンタハ ダマッテナサイ!」
「ベビが氏んで、あ・ん・た・が お金が入らなくて困るものねぇ。
産まれても売られるだけじゃ、ベビ達氏んだ方がましだったのかもね。」
「ウッ…」

二人のやり取りにサスガ(弟)が割って入り、これからの予定を話し出す。
「まあまあ。これからは、ベビちゃん達の死因についてお話をします。
スライドショー形式です。
動画ヴァージョンもあるんですが、こちらは医学生の教材として使わせていただきます。」

「その前に、お兄さん達におしもの世話をしてもらってねぇ~」
ちびの勝ち誇った笑顔に母親は、唇を噛んだ。

母親の下の世話を終えた介助担当の青年の一人が一旦部屋から退出すると、
サスガはホワイトボードに図を書き始めた。
丸を4つ、隙間なく時計の12時、3時、6時、9時の位置に並べ、
12時の位置の丸に3、3時の位置に2、9時の位置に1、6時の位置に4と番号を書き、
4つの丸の周りを逆さにした丸底フラスコのような感じの曲線で囲む。
フラスコの口の位置がちょうど四番のベビがいた場所を示した丸の真下にくる感じである。

指し棒で示しながら、サスガ(弟)は説明を始めた。
「子宮にメスを入れると、こんな感じでベビちゃんはいました。四番のベビちゃんの下が
ちょっとあいていますね。ここが子宮口だと思ってください。
ベビちゃん達を識別するために、番号をつけさせて頂きました。
では、ベビちゃん達の説明をさせていただきます。」

サスガが、スクリーンからスライドを入れてあるPCの方面に向かうと
誰かがスイッチを入れたらしく、スクリーンがホワイトボードの前に下りてくる。
PCにスライドをチェンジする役割の青年が座ると、サスガは彼に指示を出す。
照明が落とされ、一番のベビの全身を映したスライドが画面にお目見えした。

158 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:38 [ VwP5VfXA ]
顔以外あざだらけのベビ。腕には一と書かれたリストバンドが巻かれて横たわっている。
「これが、時計で言う9時の位置にいたベビです。一番のベビですよ。
このあざは産まれた時に既についていたものです。」
スライドがレントゲン写真とMRIの映像に切り替わる。
「このベビちゃんのお胸のあたりのレントゲンです。右の肋骨が全て折れていますね。
こちらの写真がMRIの写真です。通常肺は2つありますが、1つしか見えないでしょ。
折れた肋骨で肺がつぶれてしまいました。」

「ナオス コトガ デキナカッタカラ ソンナコトヲ イッテルンデショ? コノヤブイシャ!!!」
口調が荒くなりだした母親に、ちびが釘をさす。
「お腹にベビを入れたまま、ちびギコとセクースしてたくせに。
それに、産んだって育てる気持ちなんて無かったくせに。
サスガ先生。続けてくださいね。」
ちびの言葉に母親は唇を噛むしかなかった。

サスガはちびの言葉に返事を返した後で、スライドの係の青年に指示をし、説明を続ける。
「では、ベビちゃんの肺のスライドに。」
スライドがつぶれた肺の写真に切り替わった。

「ナンナノォ コレハ ナンナノォ!!!!!」 ガッ。 
思わず絶叫してしまった母親をちびが拳で黙らせると、サスガは説明を始めた。
「これは、一番のベビちゃんの右の肺です。つぶれてしまっていますね。」
カシャッ。
スライドが肺から小さな骨を取り出した映像に切り替わった。
「これはベビちゃんの肺からでてきた骨です。
肋骨が砕けて肺に刺さってしまったんですね。」

「ナンデ… ナンデ…?」
母親の呟きを聞いたサスガは一番のベビの死因について彼の考えを述べた。
「このベビちゃんがお腹にいた時に、直接棒のようなもので突っつかれたか、
それとも、ベビちゃん達がお腹の中で激しく動き回って、その時に折れちゃったか
どちらかでしょう。体中のあざについてですが、レントゲンで確認したところ、
骨折箇所はありませんでした。
あざはベビちゃん達があなたのお腹の中で動き回った時に、
恐らくついたものだと思われます。
このベビちゃんと二番のベビちゃんよりも先に氏んだベビちゃんが
逃げ場所ちょっと塞いじゃったんで、必死に逃げようとして殴り合いみたいになったんじゃないのかな。」

159 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:38 [ VwP5VfXA ]
「次。」 カシャッ。
二とかかれたリストバンドを腕に巻いたベビの全身写真のスライドに変わった。
やはり、全身あざだらけであった。
「このベビちゃんは一番のベビちゃんと反対、時計で言うと3時の位置にいたベビです。
このベビちゃんは左側の肋骨が全て折れていました。」

カシャッ。スライドが切り替わるごとに、サスガが説明を加えていく。
「これが二番のベビちゃんのレントゲン写真です。左側の肋骨が全て折れてますね。
続いてMRIの写真です。左の肺がつぶれていました。」
続いてつぶれてしまった左肺の解剖中の写真に切り替わる。
肋骨が刺さった部分が、細いマーカーで丸く囲んであった。サスガは説明を続ける。
「丸く囲んであるところがあるでしょ?
ここは肋骨が肺に刺さり、穴があいている場所です。早く一番と二番のベビちゃん達をお腹から出して、肺の穴を塞ぐ手術をすることが必要だったのですが、手遅れでした。
硬直が既に始まっていましたので。」

「ベビチャンンタチハ タスカッタンデスカ??」
青い顔をした母親がサスガに聞くが、代わりにレモナが答える。
「手術前の検査の時に、10ヶ月と答えてらっしゃったけど、
ベビちゃん達の育ちぐあいからいって、もっと時間がたっていたんじゃないんですかね。
早くお腹から出して、楽に空気を吸わせる環境を作ってあげるべきでした。
あれじゃ、酸欠で遅かれ早かれ全員死亡してましたね。
もっとも、母親よりも女であることを選んだような
あなたにそんなことを言ってもいまさら無駄でしょうがね。
一番と二番のベビちゃんは助けようと思えば助かる命でした。」
レモナの言葉を聞いた母親の顔に絶望の色が濃くなっていった。

160 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:39 [ VwP5VfXA ]
「他にご質問は?」 「アリマセン…」
サスガの問いに母親が消え入りそうな声で答える。
母親にとって、自分の罪を思いださせる忌まわしい『カシャッ』という音の後に、
耳もぎの前に撮影したと思われる全身のスライドがお目見えする。
腕には『三』と書かれたリストバンド。眠っているかと錯覚させるような氏に顔である。
彼は三番のベビの説明を始めた。
「このベビちゃんは他のベビちゃんよりも先に亡くなりました。
一番・二番のベビちゃんは全身あざだらけだったけど、このベビちゃんには無いでしょ?
あざっていうのは生きている時につくんです。心臓が止まった時に毛細血管が切れても
皮下出血はしません。血液はもう体を巡りませんから。」

スライドが頭部のレントゲンとMRIの写真に切り替わる。
彼は指し棒で三番のベビの受傷箇所を示しながら、
「お母さん。このベビちゃんは即死状態でした。ほら、ここ。骨折してるでしょ。
この骨折が元の脳挫傷です。続いてMRIの写真ですね。ここの部分が出血です。」

カシャッ。
スライドが変わり、ベビの脳が露出した映像が母親の目に映りこんだ。
「イヤァアアアアアア ベビチャン ベビチャァアアン!!!!」 ドゴッ。
悲鳴を上げた母親に今度はちびが蹴りを入れて黙らせた。
「自分のせいで氏んだべび達の氏にざまくらい、静かに聞きなさいよ。」
「ベビチャンハ ギャクサツチュウニ コロサレタンダモン!」
母親の的を外した抗議にちびは、頭に血が上るのを感じた。
母親に対し、殺意を感じたちびだったが必死に殺意を押さえ込み
彼女に鋭い言葉を投げた。
「そのギャクサツチュウとやらは、あんたでしょ!」
母親は返す言葉が無かった。

「続けていいですかね?」
サスガの問いにちびは肯く。
彼は、スライドにうつったベビの脳の場所を指し棒で示しながら説明を始めた。
「ここにあるのは血腫。血の塊ですね。ここを、ガーンと突かれて出血しました。
で、この範囲が脳の損傷部分です。ガーンと突かれて、中の柔らかい脳が振動して
血の塊があるほうの反対側が崩れてしまいました。
骨折の直径は2cmでした。
念のため、ちびちゃんの手とか、足とかを細かく測らせてもらったんだけど
どこにも2cmって数値はありませんでした。
あなたのお客だったちびギコ達のティンポの大きさも調べたんですよ。
どうも、凶器はちびギコのティンポのようですね。大きさ的にちょうどいい。
ちびちゃんを『ギャクサツチュウ』に仕立てたかったんでしたら、残念でした。」

161 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:39 [ VwP5VfXA ]
「コノ クソチビガ ベビチャンヲ コロシタンデス!」
今度はちびのせいにし始めた母親にサスガが釘をさす。
「ちびちゃんではありませんと申し上げたはずですが?
三体のベビちゃんの受傷部位がちびちゃんの手や足でやったにしては小さすぎるんです。
それに、指や爪でやったにしては受傷部位が大きすぎます。」

彼は、モララーやレモナに筆記用具を借りて、直径2cmほどの棒状にまとめて持ち、
母親の眼前に突き出し、問い詰めた。
「三番のベビちゃんはこれくらいの太さの棒のようなもので頭を突かれて死亡しました。
ちびちゃんがあなたのお腹にいたベビちゃんに直接危害を加えたと仮定したとすると、
彼女がお腹を殴ったり蹴ったりしたか、またお腹の上に乗ったか、お腹を踏んだか、
あなたのマムコの中に手を手首あたりまで突っ込んでいたか、この4つの可能性しかないんです。あなた、身に覚えでも?」
「コノ クソチビニ オナカニ ノラレマシタ!!」

母親とサスガのやり取りを聞いていたちびは母親の嘘に、力なくうつむいてしまった。
レモナが彼女の方に手を置き、慰める。
「お母さんの嘘はサスガ君にはお見通しよ。」
「…………」
モララーが彼女のそばに歩み寄り彼女に囁いた。
「お母さんの嘘に落ち込むのは、まだ先にしたほうがいいよ。
お母さんの嘘に、サスガが反論し始めたよ。
お母さんは、また黙るかな?もう少し、見てみよう…」
ちびは、モララーの言葉に少し元気を取り戻した様子で
サスガと母親のやり取りを観察することにした。

母親にちびがお腹に乗ったと主張されたサスガは、反論を開始した。
「羊水がベビちゃん達を守っていたので、その嘘は通りませんよ。
それにお腹に乗られたら、まず、流産してしまうでしょうね。
殴った、蹴った、踏んだにしても同じです。
まず流産するか、あなたの命の方が危なかったでしょう。
それに、ちびちゃんが手をあなたのマムコに突っ込んでたにしては、
肋骨を骨折していたベビちゃん達と、このベビちゃんの遺体がきれい過ぎます。
ベビちゃんの遺体がもっとひどい状態になっててもおかしくないんだ。」

162 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:40 [ VwP5VfXA ]
「ソンナ… ソンナコトッテ…」

「ちびちゃんが指であなたのお腹を押したとか、ちびちゃんが指をあなたのマムコに突っ込んでたとかの可能性も考えました。まず、指をあなたのマムコに突っ込んでたにしては
遺体の損傷がひどすぎる。それに彼女の指じゃ次に出てくる四番のベビちゃんの遺体がいた位置にまで届かないんだ。一番長い指でも。数本の指を突っ込んで中で広げたにしても。
それに、指でお腹を押したぐらいじゃ、いくら脆いといわれているしぃ族でも流産は無いです。ちびギコのティンポしか凶器は考えられないんですよ。こんなにピンポイントに
ベビちゃん達に直接攻撃できるの。」

母親は歯をカチカチ鳴らしながら恐る恐るサスガに質問する。
「アノ クソチビガ イッテタヨウニ ワタシガ 『ギャクサツチュウ』ッテイウコトニナルノ?」

「まあ、その答えは次のベビちゃんのスライドを見てもらえば
出てくるんじゃないですか?」

サスガは吐き棄てるように答えた。

163 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:41 [ VwP5VfXA ]
カシャッ。
お腹の周りが赤黒く変色している四番のベビの全身写真がお目見えする。
「このベビちゃんは、腹部に大量の出血が見受けられました。変色している場所が
出血部分です。MRIでわからないくらい大量に出血してたんですよ。
臓器が破裂している可能性があったので臓器を直接調べました。
異常があるあなたのベビの臓器が次に出てきます。
上が健康なベビしぃの臓器、下があなたのベビの臓器ですよ。」

母親の顔色は青ざめ、もはや言葉も無い。

カシャッ。
画面が変わり、ホルマリン入りの瓶に入った肝臓と膵臓がそれぞれ一組づつ映し出される。
上の瓶には『健康なベビ―肝臓』 『健康なベビ―膵臓』と書かれた紙が貼られている。下の瓶には、『四番のベビ―肝臓』 『四番のベビ―膵臓』と書かれた紙が貼られている。
上の瓶の肝臓は、暗赤色のきれいな立体の状態をとどめている。
同様に膵臓もきれいな立体の状態をとどめている。
ところが、四番のベビの臓器は肉たたきで叩いて伸ばされたかのように平坦で、
不規則な形に広がっていた。膵臓も、肝臓もである。

「あなたでもこのベビちゃんの死因くらいはわかるでしょ。内臓破裂によるショック死です。中でも酷く損傷していたのが、この2つの臓器でした。腹部に打撃を受けたと思われるんですが、ちびちゃんが指をあなたのマムコに突っ込んだにしてはこのベビちゃんの遺体の損傷が酷すぎます。フィストファックでもさせてたんですか?まだ、ちびちゃんがあなたのベビを頃したと言い張るつもりですか?」

「クソチビガァ… クソチビガァ…」
自分のしたことを認めたくない母親は、まだちびのせいにしたいらしい。ちびを指差し、泣きながらサスガに言い張っている。
サスガはポケットに手を入れながら母親の顔を睨みつける。
「やれやれ……。ちびちゃんでは無理だと何度いったらわかるんですか。
お母さん。実はね、警察からベビちゃん達の凶器と思われるものをこっちに送ってもらってるんです。ちびちゃんの握りこぶしでは、ベビちゃんの遺体がきれい過ぎるんです。
指では、このベビちゃんがいた所まで届きません。これが一番凶器に近いんですよ。
警察から送られてきたものです。あなた、覚えがあるでしょ?」
母親の目の前にサスガはポケットに入れていたものを出した。

ピストン運動をしている電動こけしが母親の前に突き出される。
「これか、客だったちびギコ達のティンポが四番のベビちゃんの臓器を破裂させた凶器です。刑事さんがあなたを発見した時、これを膣の中に入れてたそうですね?
自分のベビちゃん達をちびちゃんが頃したってよく言えたものですね。」
サスガの言葉を聞いた母親は、ただすすり泣くしかなかった。

「最後にレモナからあなたに報告があるそうです。」
サスガに目配せされたレモナが母親のほうに歩み寄り、報告を始める。
「お母さん。ベビちゃん達の血液から、細菌が検出されました。ちびギコ達とのコウビの時に破水してたんじゃないかしら。それに、血液内から尋常ではない量の
アドレナリンが全てのベビちゃんから検出されました。このアドレナリンというホルモンは、恐怖とか、怒りとかを感じると分泌されるんです。
氏ぬ直前にベビちゃん達は尋常ではない恐怖感を味わってたんじゃないかしら。」

母親の顔色は青ざめ、言葉を出そうにも出せない様子で
しばらく口をパクパクさせていたが、意を決したように深呼吸をすると医師団に向かって、彼女は勇気を出して言葉を発した。
「ベ・ベビチャンタチニ アワセテクダサイ! カオヲミルマデ シンダナンテ シンジマセン!」
医師団とちびは両手を広げ、やれやれといった表情を浮かべた。
サスガが代表して母親に応える。
「わかりました。保存してある場所へ参りましょう。」

レモナはパソコンの操作をしていた青年に命じ、母親の椅子の拘束を解いた。
そして、彼らはベビ達が眠っている法医学棟へ向かった。

164 名前:51・法医学棟にて 投稿日: 2004/10/12(火) 22:41 [ VwP5VfXA ]
一行が法医学棟に着くと、サスガはポケットの中からカギを出し、ドアを開ける。
「こちらです。」
彼は一行を冷凍庫のあるほうに導いた。

ちびは、前にこの部屋に来た時とは違う妙な明るさを冷凍庫のある部屋に感じていた。
(何のせいでこの部屋が明るく感じるのかしら?)
ちびの表情から何かを察したのか、モララーがちびに囁く。
「工事用のシートじゃないのかな?この部屋が汚れるのをサスガ達は予測して、
シートを床に敷き詰めたんだよね。」

彼女はモララーの言葉に思わず目を見開いて下を見た。
鮮やかな水色の工事用ビニールシートが部屋一面に敷き詰められているのだ。
シートとシートの重なったところは布製のガムテープで貼ってつながれ、
隙間がないように配慮されている。たるんでいる所も無く、ぴったりと貼られているところを見ると、相当丁寧な仕事振りである。
「結構丁寧なんですねぇ。」
ちびは思わず感想をもらすと、モララーがニヤニヤしながら、
「そろそろ酵素ちゃんのお目覚めの時間だからね。」
「酵素?」
「そう。それに、もう一つ違うところがあるでしょ?」
モララーに言われてもちびにはピンと来なかったらしい。ぽかんとした表情をしていると、
彼はうきうきした表情でちびに囁く。「お・ん・ど。」
「そういえば、前にきた時より暖かい…」
「腐らないように配慮してたんだよね。腹から出した時点で既に硬直が始まってたからね。
解剖後の保存にも、気を配ったんだ。それに、自己融解も避けたかった。
遺体を母親の前で腐らせるのが目的だったから。」

「ジコユウカイ?」
首をかしげているちびに、モララーが説明を続ける。
「臓器は、もともと酵素って言うのを持っているんだよね。
ほら、消化酵素とか言う言葉聞かない?で、氏んじゃうとその酵素が臓器自身をどろどろに溶かしちゃうの。これが自己融解。とんでもない高温か0度以下の低温だと、その酵素は眠っちゃうんで自己融解は止まるんだけどね。」
「高温にしとくと腐っちゃうんじゃないですか?」
「そう。湿気があるからね。それに腐敗と自己融解って同時に起こるし。
冷凍しておけば腐らないし、それに自己融解も起こらない。一石二鳥ってやつかな。」

「でも、もう、その必要も無いわけですね。」
「そう。」
二人はニヤニヤしながら母親の観察を始めた。

165 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:42 [ VwP5VfXA ]
一方サスガは冷凍庫のカギを開け、中から4つの小さな発泡スチロールの箱を出していた。
ちびがベビ達の解剖の時に見た時は、これらの箱よりもやや大きめの箱に、二体づつベビが詰められていたのだが、1体づつに分けられたようだ。
「前は二体づつ一つの箱に詰められてましたよね?」
ちびがそばにいたレモナに尋ねると、レモナは彼女に耳打ちした。
「ええ。解剖後に、1体づつにした方がいいってサスガ君が言ってたの
あまりにも、むごい氏に方だったんで、せめて最後くらいは…って思ったらしい。
それと、1体づつ4つの箱に詰めた方が母乳をボランティアのお兄さん達に多く渡せるのよね。」
ちびは思わず苦笑いを浮かべた。

4つの発泡スチロール製の箱にはそれぞれ赤いマジックで1・2・3・4と番号がふってあり、番号順に一列に並べられていた。
「全員、女の子さんでした。彼女たちがマターリの神様とやらの所に逝けるように
祈りくらい捧げてあげて下さい。」
サスガは母親に冷たい目で言い放ち、遺体がある机からちび達がいる方へ歩いていった。

母親は、発泡スチロールの箱のふたを全て開け、まず一番のベビを抱き上げた。
「ヤット アエタワネ ベビチャン。 ホラ オパーイ アゲルカラネ… サムカッタデショウ? ママガ アタタメテ アゲマスカラネ。」
ベビの紫色の唇に自分の乳房を押し付けるが、飲むわけが無い。
「オパーイ イラナイノ? ウンチサンカナ? 」
排便を促そうとベビの肛門をなめ始めたとたん、
プリンの様な柔らかい物を崩したようなグチュグチュッという音が聞こえた。

「イヤアアアアアア」
とたんに母親は、一番のベビを投げつける。
「自分が産んだベビなのに、何て事をするのよ!
*が無いからって投げること無いじゃない!」
ちびが罵声を投げつけるが、母親は無視して二番のベビに語りかける。
「アナタハ ママノ オパーイヲ ノンデ クレルワヨネ…… シィィィィィィィィ!!!!!!!」
乳房を押し付けられた二番のベビの唇がグチュッという音とともにはがれ、
肉が露出している。
「キモイ!!! アンタタチモ ギャクサツチュウダヨ!! ヤット ママト アエタノニ ナンテイウ シウチヲ スルノォ!!!!」
二番のベビまで、机に叩きつけてしまった。

一番と、二番のベビは机に叩きつけられ、顔は変形してしまった。
相当強く彼らの口元に乳房を押し付けたらしく、二体とも唇あたりの皮膚がずるむけになり、中の筋肉層が露出している。おまけに一番のベビは、尻の肉まで崩れていた。
両手、両足はベビとは思えないほど伸びきっており、腕や足はありえない方向に向いている。おまけに腐敗や、自己融解が始まったらしく、あたりに強烈な臭いが漂い始めた。

166 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:43 [ VwP5VfXA ]
母親は、二体のベビのことなど眼中に無い様子で三番のベビを抱き上げた。
「ベビチャン イタカッタデショ? コンナイト ハズシテ ママガ ペロペロシテ アゲマスカラネ。
イタイノナンテ トンデッチャウンダカラ… 」
観察していたレモナとサスガは思わず息を呑んだ。ベビの頭周りの皮膚を縫いつけていた糸を母親は爪や歯で切り、そして糸を抜き始めたのだ。

「お母さん。や…」
レモナが全ていい終わらないうちに頭蓋骨が机の上に軽い音をたてて砕けた。
糊の様にどろどろの脳が机にこぼれると、母親は絶叫し、またもベビを机に叩きつけた。

「ちびちゃん、お母さんは…」
サスガが、彼女に話し掛けると彼女は悲しそうな表情で首を振り、
机を指差しながらため息交じりにサスガに呟く。
「昔ありましたよね。育成型のゲーム。たま○っちでしたっけ?
全員あんなふうに酷くして、『フッカツ シテクダサイ』で、リセットできるとでも思ってるのかしら?復活なんてしないのにね。それに、自分の罪は消えないのにね………
………………………………。
あ、母ですか?正気は失っているでしょうね。完全に彼女を壊しますんで心配しないで。
あのね、先生。壊した後の使い道も考えてるんだ。ハハハ………」
レモナ、モララー、サスガはちびが最後に浮かべた微笑が妙に悲しく見えた。

一方、母親はといえば、四番のベビに向かって語りかけている。
「ベビチャン アナタハ ホカノベビチャンタチト チガッテ ママニ 『 チィ 』ッテ ナイテクレルワヨネ?
アナタハ ホカノ ベビチャンタチトハ チガッテ コワレタリ シナイワヨネ?
サァ オパーイ アゲルカラ。 ママノ オパーイ キョウハ ジカニ アゲラレルカラネ……」

口も開けるはずは無い。チィなどと鳴くはずも無い。
手足をばたつかせたり、体を動かずはずなど到底ありえない。
だが、母親は菩薩にも似た穏やかな表情でベビに語りかける。
「ベビチャン? ベビチャン? オパーイ イラナイノ? ナンデ オメメ アケテクレナイノカナ?」
歌を歌ったり、ダッコしているベビをゆっくりと揺らしてみたりもするが、
当然反応はない。
2~30分もすると母親の表情に焦りが見え始め、ベビに対する口調も詰問口調に変わっていった。彼女はベビの体を激しく揺さぶりながら、語りかけ続ける。
「ベビチャン!? ドウシテ 『 チィ 』ッテ ナイテクレナイノ? アナタマデ ママノコト バカニシテルノネ?」
2~3分ほど、母親はなにやらベビに向かってわめきながら体を激しく揺さぶり続けると、
ベビの首のあたりからなんとも嫌な音が聞こえてきた。

167 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:43 [ VwP5VfXA ]
「折れたか。」
モララーが呟くと、レモナも首を横に振りながら、
「あ~あ。せめてきれいな形でお別れくらいはさせてあげようと思ったのに。」
サスガも無言でうなだれている。

ちびは、彼らに対し恐縮しながら、
「先生方、本当にすいませんでした。サスガ先生にはさらに謝らなければいけませんが、
少し床を汚していいですか?自分をしたことのけりをあの女につけさせてやりたいんです。」
モララーは思わず、目を輝かせる。
「ちびちゃん、あれか?『完全に彼女を壊す』って言ってたの、これから始めるのか。
何か必要なものはあるかい?協力するよ。サスガもいいだろ?」
サスガは肯いた。表情も少々明るくなったように見える。

「で、何が必要かな?」
ちびがモララーに必要なものを囁くと、モララーは必要なものを調達しに退出した。

168 名前:52・復活してください 投稿日: 2004/10/12(火) 22:44 [ VwP5VfXA ]
「チビチャンニ タノンデ カワイイ ベビチャンニ フッカツシテモラオウネ。 ママ タノンデクルカラ チョット マッテテネ」

四番のベビまで机に叩きつけた母親は、媚びた表情を浮かべてちびの元に歩み寄る。
そして、彼女が今まで聞いたことがないような声でベビ達の復活を頼んだ。
続けて母親は、ベビ達が復活した後の彼女の夢をとうとうとちびに語り、
「 チビチャンモ イモウトタチガ ユウメイニナルノハ ウレシイワヨネ。
ベビチャンノタメニ ドレイノヨウニ ハタラケルノハ シアワセヨネ。 」
と、あまりに虫の良すぎる言葉で結んだ。

サスガは、悲しみが込み上げて今にも泣き出しそうなくらい
目を充血させて母親を見ていた。
レモナは、怒りのあまり歯を食いしばっていた。

ちびは笑顔を浮かべて、母親と一緒に遺体が散らばっているところへ行き
母親を抱きしめて、耳元で言葉を発する。
その言葉は『復活してください』ではなかった。

169 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:45 [ VwP5VfXA ]
「ママァ… ママァ… ナンデ ワタシタチヲ コロシタンデチュカ?」
ニコニコと笑みを浮かべながら彼女は恨みの言葉を母親に投げかけた。
まるで、机の上に散らかっているベビ達の心の中を見透かしているかのように。
母親が悲鳴をあげるが、ちびにはお構い無しだ。
「チィタンハ オモチデチュカ? ママノ オナカノナカデ マターリシテタノニ
ナンデ ボウノヨウナモノデ ボコボコニサレナキャ イケナイノ?」

「ママハ ワルクナイ!!! アンタガ 『カネヲ カセゲ』 ッテ イウノガ イケナイノヨ!」
ちびの手をほどこうとした母親だったが、必死にちびは母親を抱きしめている。
サスガがちびに加勢し、彼女に目配せをした。
二人で母親の動きを封じると、ちびは母親に恨みの言葉を発し続ける。
母親は、なおもベビ達を『復活』させようと、必死でちびに迫る。

「タトエ フッカツシタトシテモ ママニ カンシャナンテ シマチェンヨ。」
ママハ チィタンタチノコト アイシテナインデチュカラ。」

「ハヤク 『フッカツシテクダサイ』ッテ イイナサイ!!!」

「キケイノ オネエチャンニ  チィタンタチヲ フッカツサセルナンデ デキルワケガ ナイデチョ! ママハ オネエチャンノコト イツモ 『キケイ』ッテ イッテタジャナイデチュカ!」

「ベビチャンタチガ フッカツスレバ ママノ シタコトハ スベテ ユルサレルノ!
ダカラ ハヤク 『 フッカツシテクダサイ』 ッテ イイナサイ!! 」

170 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:46 [ VwP5VfXA ]
笑みを浮かべながら母親に対して恨み言を言い続けていた
ちびの表情がこわばった。
この女の命に対する考え方は、こんなにも軽軽しいものだったのか。
まるで、育成型のゲームでキャラクターを氏なせてしまい、『リセット』を
しきりにせがんでいる子供のようではないか。
一度氏んでしまったら『復活』なんてありえないのに…
命は『リセット』なんでできないのに…

「てめえの罪はなぁ、消えるわけがねぇだろうがぁああああ!!!!!」
ちびは母親を怒鳴りつけ、頬を平手打ちする。
「アニャァ?? ヒドイ! ヒドイヨ! チビチャン!!! チビチャンダッテ シィチャンナンダヨ?
『フッカツシテクダサイ』ッテイエバ ベビチャンタチト マターリデキルノニ! 」
虫のいい事をまたも言い続ける母親に対し、ちびは言葉を無くしてしまった。

サスガが、ちびに代わって口を開く。
「お母さん?一度失った命は復活なんてしませんよ?
それに、ベビちゃん達が復活すればあなたがベビちゃんにした
酷いことが許されるってあまりに虫がよすぎませんか?」
レモナがサスガに続いた。
「マターリの神様の中のしぃが、あなたのベビちゃんを復活させてくれるとでも?(笑)
いい加減にしなさいね。あなたのベビちゃんは氏んだの。あなたに頃されたのよ!!」
「ナカノ シィナンテ イナイモン!!!」
抗議する母親に対し、レモナは続けて鋭い言葉を投げた。
「マターリの神様とやらに頼んでも無駄でしょうね。あなたがベビちゃん達にした残酷すぎることを全てご覧になっていたでしょうから。」
母親は歯を食いしばり、レモナを睨みつけた。

モララーが数名のボランティアの青年とたくさんの刃物を持って到着した。
彼らはしばらくサスガ達のやり取りを聞いていたが、やがてモララーが口を開いた。
「お待たせ。なんかすごい展開になってるね。ちびちゃん、『復活の儀式』とやらを
そろそろお母さんのために、始めてあげたら?頼まれたものを持ってきたからね。」

ちびは、モララー達に近寄るとそれぞれの青年達に指示を出した。
ちび流の『復活の儀式』とやらを始めるために。

171 名前:53・復活の儀式 投稿日: 2004/10/12(火) 22:46 [ VwP5VfXA ]
「これから、復活の儀式を始めます。では、皆さんお願いしますね。」
ちびに指示された青年達はそれぞれの持ち場につく。
青年たちはまず、暴れる母親を押さえつけてベビ達の遺体がある机に仰向けに寝かせた。
右手と右肩を押さえつける者、左手と左肩を押さえつける者。
母親の首を少し前方に傾け、出産後のベビとの『ご対面』もどきの準備をする者。
モララーとレモナが二人がかりで、母親の両足を力ずくで揃えると、
ビデオの撮影係Aが彼女の両足の上にまたがる。母親の表情の撮影準備は万端だ。

母親は、ちびの口から『復活』の言葉を聞くと
とたんに顔を輝かせて、ちびに対して注文をつけ始めた。
「ハニャ? ヤット ベビチャンタチヲ フッカツサセルキニ ナッテクレタノネ?
コンドハ *ノアル ベビチャンニ フッカツサセルノヨ! ショウライ ベビチャンタチハ アイドルニ ナルンダカラネ!」
「わかったわよ。復活させればいいんでしょ?」
母親の注文にちびは投げやりに答えた。

「ちびちゃん、早く『復活』させてあげよう。ビデオも撮ってあげようね。」
うきうきしている表情のモララーに急かされたちびは、まだ指示を出してない青年に
耳打ちした。青年はニヤニヤしながら、ベビの顔を母親の顔に対面させるように
とりあえず腹の上に置いた。

「じゃあ。復活させましょうか?」 
ちびとモララーが青年に目配せすると、青年は小さな鋏を持ちちびに微笑みかけた。
「こちらも準備完了です。カメラ回しますね。」
撮影係の青年も、ちび達に合図を送る。

172 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:47 [ VwP5VfXA ]
「では、始めます。復活してくださぁ~い。」
パチッ。
ちびの『復活』という言葉を聞いた
鋏を持った青年がベビの首の後ろを持ち、一回でベビの右腕を切り落とす。

「お兄さんすごーい。」
目をきらきらさせて喜ぶちびに、腕を切り落とした青年ははにかんだ笑顔を見せた。
「今日は、ベビだからやりやすいだろ?」
モララーが彼に聞くと、彼は笑顔で首を激しく縦に振る。
彼はちびにこの青年について簡単な紹介を始めた。
「いつもは、成体のしぃの死体処理をしている人なんだ。しぃやちびしぃで『同族食い』から逃れる遺体もあるんだよね。きれいな状態で残っちゃう遺体。で、この人がいる処理班に来てもらって…」
「細かく刻むと、火の通りっていいですもんね。」
ちびが、モララーの言葉に相槌を打つと、モララーは微笑みながらうなずいた。

「シィィィィィィィ!! ナンナノォ! コレハ ナンナノォ????」
絶叫する母親に、ちびがあっさりと答える。
「細かく刻んで、灰にしてからコンクリートの一部にでも
『復活』してもらおうと思ってるんですが何か?」
「チガウデショ? チビチャン。 ベビチャント ママハ アイドルニナッテ ソレデ カチグミニナルノ。
ベビチャンハ イキテナイト コマルノヨ!!!」
「ハァ?あんたみたいな寄生厨の娘がアイドルに?
それに、あんたとベビの奴隷になるなんで嫌だし。」
「オナガイ チビチャン。 ベビチャンヲ イキテ フッカツ シテアゲテ チョウダイ…
ベビチャンガ イキテサエ イテクレタラ チビチャンハ スキニ シテクレテ イイカラ
オカネサエ ママニ クレタラ イイカラ」

母親の懇願を無視し、ちびは、冷笑を浮かべながら青年に指示を出す。
青年は、ベビの切り落とされた側の腹のあたりを持ち、次の指示を待っていた。
「復活してくださぁ~い」
パチッという音の後に、母親の腹の上にポトッとベビの左腕が落ちる音がする。
毛が生えそろっていれば、クッションの役割をして音もしないのであろうが、
まだ、母親の腹部には完全に毛が生えそろっていたわけではなかった。
絶叫する母親を、ニヤニヤしながらちびは見ていた。

173 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:48 [ VwP5VfXA ]
「ベビチャンノ オテテ ガァ… ベビチャンノ オテテ ガァ…」
「ほら、ベビチャンノオテテよ?」
ベビの切り落とした両腕を、ちびは母親の眼前に突きつける。
「好きにしていいから金だけよこせぇ?またずいぶんと虫のいい『オナガイ』ねぇ。
私に寄生してとことんしゃぶり尽くすつもりね?
私はあんたがすき放題やるための道具じゃないわよ。」

彼女はベビの両腕を透明なごみ袋に入れた後で、
鋏を持った青年から両腕を切り落とされたベビの遺体を借りた。
遺体を母親の眼前に突きつけながら、ちびは笑いながら話を続けている。
「ほら、ベビが泣いてるわよ。『チィタンガ シンデカラモ ツライメニ アウノハ
 ママノセイデチュ』ってさ。」
「チガウ! ギャクサツチュウノ アンタノセイヨ!!」
「あのね。もともと*がないベビが、*をつけて生き返すのは『フッカツ』って言わないの。
別のベビに『つくりかえる』って言うのよ。それに、一度氏んだベビはもう生き返らないの。わかるでしょ?ばらばらに刻んで、灰にして貰おうね。」
笑みをたたえ、ちびは母親に諭すが母親は聞く耳をもたない。
おまけにちびに向かって、悪態をつく始末だ。
「ベビチャント ママハ カコイイ ギコクント ケッコンスルンダカラ。 アンタミタイナ キケイノ バケモノハ ジゴクニ オチルトイイワ!」

「ふーん。」
ちびは母親の戯言を聞き流し、ベビの遺体を青年に渡す。
青年はベビの顔を、母親の顔に対面させるように持ってちびに微笑んだ。
「復活してくださぁ~い。」
パチッ。
右足が母親の腹の上に落ちると、ちびは、青年に続けて指示を出す。
「お兄さん。今度は、ベビの顔に*をつけてあげてくださいね。」

174 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:48 [ VwP5VfXA ]
「ちょっと待ってね。刃物を替えるからね。」
青年は、持っていた鋏を一旦机の上に置き、メスをもって現れた。
「ア…ア…」
「何?まだ妄想を語りたいの?下手に動くと『ベビチャンノアンヨ』が
床に落ちるでしょ。それとも、『ベビ達磨』が見たいから、早く左足を
切って欲しいのかな?」
言葉を無くしかけている母親にちびはなおも追い討ちをかける。
「『復活』なんて甘い考えをまだ持つつもりなら、『4体のベビのミンチ』を
あんたに食わせてやるからね。肉は腐りかけが一番おいしいって
グルメは言うけど、これは、完全に腐ってるから(笑)。」

「まだベビが生き返ると思ってるの?ちびちゃんが『復活』って言葉を口に出すたびに
あなたのベビちゃんが、『復活した姿』とは、程遠くなってるよね。」
モララーが母親に話し掛けると、母親はまだ、希望を棄ててはいないらしく
モララーに自分の夢を聞かせ始めた。
「ベビチャント シィチャンハ アイドルナンダカラネ! タクサンノ ギコクンタチガ シィチャンヲ ダッコシテクレルンダカラ。
チビチャンガ 『フッカツシテクダサイ』 ッテ イエバ シィチャンノユメガ カナウノニ…」
「『シィチャント ベビチャン』ばっかりで、ちびちゃんは蚊帳の外かい?
ちびちゃんの憎しみが、漏れにはが手にとるようにわかるよ。
こりゃ、『ベビミンチ』がママの口に運ばれそうだな…」
モララーが肩をすくめて呟くと、母親は聞きたくなさそうにモララーから顔をそむけた。

「そろそろ1体目が終わりそうですね。調理方法考えた方がいいですかね?」
用意を終えた青年とちびが、片足だけ残っているベビの遺体を持って現れた。
ちびに尋ねられたモララーは、少々不満そうな表情で返答する。
「脳出しのベビ以外は、定番の『耳もぎ』ができるじゃない。『オメメ』はもう
えぐれないけどさ。水分が蒸発しちゃったから。
ちびちゃん、もうちょっと時間をかけても大丈夫だよ。」
「薄切りの肉ができた状態でもよかったですね。調理方法を考えるのは。
ちょっとせっかちだったかな。」
ちびはぺロッと舌を出し彼に微笑むと、モララーは満足そうな表情でちびに微笑み返した。

「チビチャン オナガイ ベビチャンタチヲ イキカエラセテ。 ママト ベビチャンタチハ アイドルニ ナル…
シィィィィィ!!!!! ヤメテェエエエエエエ!」
頬筋に沿ってナイフが入ったサクッという音と、頬周辺の筋繊維が切れたぷちっという音をさせながらベビの右頬に、*印が刻まれる。ちびは、『復活』の言葉の後に*印を刻んでもらいたかったらしく、少々むくれながら青年に不満を漏らした。
「お兄さん、あんまり早いと嫌われちゃうぞ!
『復活してください』って言ってからにして欲しかった~。」
青年は笑いながら謝罪し、反対側の頬に*印を刻むのはどうかとちびに提案すると、
彼女は機嫌を直した。彼女は青年に合図を送る。
「じゃあ、いくね。『復活してくださ~い』」
彼は、今度はちびの言葉にタイミングを合わせてベビの左頬に*印を刻んだ。

175 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:49 [ VwP5VfXA ]
「ちびちゃん、ちょっと遊ばせてもらえないかな。」 
ナイフを持った青年の申し出にちびは少々面食らった表情を浮かべ、彼に質問した。
「何をして遊ぶんですか?」 「顔肛門ごっこ」
彼の答えに、ちびは思わずにやける。
「いいですよ。ただし、母親に見せながら遊んでくださいね。
でも、オミミを切り刻んでからじゃなくてもいいんですか?」
彼は、「お口を開けられないからね。」と残念そうに返事をした。

ちびの許可を貰った彼は、ちびの合図を待たずに切ってしまったベビの右頬を母親に見せ、
もう少し頬の傷を深く切り裂いた。絶叫する母親に彼は首を横に軽く振りながら
笑顔で話し掛ける。
「お母さん、お宅のベビちゃんが『アイドル』として、ダッコ以外に
初めて人の役に立つとこじゃないですか。もっと嬉しそうに見てもらわないと。
記録係さん、顔肛門のアップお願いしますね…」

彼は、ベビの右頬を切り裂いてできた穴に小指を出し入れしながら、母親に続けて語る。
「しぃちゃんやベビしぃちゃん・ちびしぃちゃんの顔肛門に
こうやってティンポをぶち込むことを望んでいる変態が
この映像を見ながらセンズリこいてますよ…
ほら、画面の向こうの変態が*のあるしぃちゃん達をマンセーしてますよ?」

「チガウノォ… シィト ベビチャンハ タクサン オウタヲ ウタッテェ… オドリモ オドルノ…
エイガトカニモ タクサン デテ… タクサンノ ギコクンガァ… 」

すすり泣きながら抗議する母親に、さらに青年は追い討ちをかけた。
「心配しないで。あなた達は十分変態達に『マターリ』を供給してます。
騒々しい歌や、ワンパターンの踊りよりもこっちの方が十分世の中の皆様のお役に立ってますよ。だって、変態たちが楽しんでくれることによって一般の人たちに被害が及ぶのが
減るんですもん。」
「変態達が一般人に及ぼす被害と、*があるアフォしぃが一般人に及ぼす被害、
両方減るんなら、一石二鳥ですね。」
ちびが青年の言葉に同意すると、彼はナイフを鋏に持ち替えて、
「達磨、いっとくぅ?」と、彼女に次の合図を促していた。
ちびは彼に、「いっとくぅ!」と返答した後、皮肉な合図を彼に送った。

176 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:50 [ VwP5VfXA ]
「復活してくださ~い」 パチッ。
ベビ達磨が1体出来上がった。
「ベビ達磨、いっちょあがりぃ。ちびちゃんどうする?オツムも切っとく?」
「もちろんですよ。肉を削ぎ落とすには、パーツは小さい方がいいですし。
その前に、オミミをもいでからですけどね。」

「ギャクサツチュウ…」
「酷いわねぇ。自分がベビの遺体を机に投げつけてたことは棚に上げて、
私のことを『ギャクサツチュウ』だなんて。私がやってるのは単なる『遺体の処理』。
『虐殺』じゃないわよ。それに、『復活』なんて私にはできないもの。
無理なことを私に強いて、できないからってギャクサツチュウ呼ばわり?
本当に最低よね。」
「ちびちゃんじゃなくたって、氏んだのを生き返らせるなんて事できるわけないのにね。」
青年がちびに相槌を打つと、母親は青年を一喝し、ちびにまたも媚びた口調で懇願する。
「キモオタハ ダマッテナサイヨ! チビチャン オナガ~イ。 ベビチャンタチヲ イキカエラセテチョウダイ。
シィチャント ベビチャンハ アイドルニナルンダカラ。 タクサンノ ヒトタチヲ タノシマセル ギムヲ ハタサナケレバ イケナイノ。
ダ・カ・ラ・ネ! イキカエラセテ」

彼女は、キモオタと言われた青年に謝罪した。
「お兄さん、母親の無礼を許してくださいね。」
彼はちびに微笑み、言葉を返す。
「ちびちゃんが詫びるべき事じゃない。この人に謝罪と…」
「賠償はベビ全員の顔肛門ごっこで。オミミは口内に入れられないですが(笑)」
ちびの素早い返しに青年は爆笑した。

「たくさんの変態を楽しませる義務は果たしているわけだから、いいじゃ~ん。
変態達のアイドルで十分でしょ?それに、無理なものは無理だし。」
ちびの笑顔の拒絶に、彼女は娘を怒鳴りつけた。
「ナンデ? ナンデ ベビチャンタチヲ フッカツデキナイノ?
ママノ マターリヲ ジャマスル アンタハ ギャクサツチュウダヨ!」
「あたし虐殺厨だも~ん。だから、ベビを復活させるなんてできない。
だからね、ベビをばらばらにしてねぇ。
あんたの夢もねぇ、粉々に壊してやるんだ。」
「ソ・ソンナ…」
母親は言葉を失った。

呆然としている母親の表情を楽しみながら、ちびはベビの解体を青年に指示する。
「お兄さん、お次は耳もぎで。準備はいいですか?」
ちびに聞かれた青年は、鋏を持って微笑む。
彼女は、OKの合図だと察し、すぐに合図を彼に送った。
「復活してくださ~い。」 パチッ。 パチッ。
ちびは切り落とされた両耳を母親の眼前にひらひらさせながら、冷たく言い放った。
「ベビ達の復活の妄想もこうしてばらばらにしてあげる。
アイドルの夢もまだ持ってるんだったら、ばらばらにしてあげるから。」

いったん、ちび達はモララー達とのベビの解体についての打ち合わせのため
母親のもとを離れた。達磨状態で顔と体の肉を削いだ方が作業が楽ではないのかという
モララーの提案があり、解体担当の青年が検証したいと言い出したためである。

177 名前:54・祈り 投稿日: 2004/10/12(火) 22:50 [ VwP5VfXA ]
あの子は妹達を『復活』させず、全員灰にするという。
その上、『復活』という言葉をキーワードにして、私の目の前で妹達を解体したのだ。
娘は虐殺厨に洗脳されたのだろうか? 
それとも、私があの子に何かひどいことをして、復讐されているのだろうか?
母親にはわからなかった。

自分の心を静めるため、そして娘が考えを改めてくれるように、
母親はマターリの神に祈りを捧げていた。とはいっても、
体を押さえられていた為、黙祷という形でだが。

「神様、どうかベビちゃん達を復活させてください。どうか、チビちゃんの考えを変えてください。あの子は、妹達を全員解体して私に肉を食べさせると宣言しました。
そして、妹達を灰にして、コンクリートにするそうです。
こんなのマターリじゃないです。
もし、チビちゃんが考えを変えて妹達を復活させてくれたら、
私とベビちゃんはアイドルになって、お歌をたくさん歌います。
そして、ダッコもたくさんしてもらって、たくさんのしぃちゃんのファンから
お金をもらって、そのお金からたくさん神様に寄付をします。
どうか、どうか、ベビちゃん達を生き返らせてください…」

178 名前:55・終演 投稿日: 2004/10/12(火) 22:51 [ VwP5VfXA ]
「達磨状態の方が、肉を削ぎやすかったですねぇ。」
「だろ?」
「で、残り一体を母親の前で解体して…」

モララー達が検証作業を終え、母親のいる部屋に戻る途中にかわされた会話である。
どうやら、ベビ達を『どのように再生させるか』について話しているようだ。
モララーがちびに内臓や、骨の処分について聞いた。

「こてっちゃんや、骨はどうする?」
「そりゃ、全部食べさせますよ。母は骨粗しょう症が気になるお年頃ですし(笑)」
「アハハハハ。ベビ4体じゃ、たいした骨粉も取れないからな。それいいアイデアだね。」
ちびの返答に、モララーは満足そうにうなずいた。

彼らが母親のいる部屋に着くと、母親は妙に落ち着いた表情をしている。
ちびはすぐに感づいたようだ。彼女は笑みをたたえながら、母親に話し掛けた。
「お母さん。三体のベビの肉と臓物を全部骨から外したところよ。これから、もう一体を解体するの。もう少しでベビのハンバーグができるから待っててね。
ソースは甘めにしておくからね。」

「アニャァ! コンナノ マターリジャナイヨォ!」
母親は身をよじりながらちびに抗議するが、ちびは無視してさらに続ける。
「骨は粉々にしてコンクリートにしてもらおうと思ったんだけどね、
4体のベビの量じゃ、たいした灰が取れないって言われたの。
それにレモナ先生から教わったんだけど、ベビを産んだあとってお母さんの骨の中のカルシウムががんがん減ってってるんだってさ。授乳とかで。だからね、骨もすりつぶしてカルシウムたっぷりのハンバーグ作ってあげるからね。」

179 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:52 [ VwP5VfXA ]
彼女は母親に「ほら」と透明なレジ袋を見せると、
袋の中には小さな骨盤と頭蓋骨が3体分、そして大腿骨が6本、
ほかにも小さな骨片が入っている。手間を省くため、あらかじめ砕いたものであろう。
もうひとつの袋の中には、まだ白い毛が混ざっている状態で薄い肉や臓物が入っている。
色あせたピンク色の肉や、腐敗して茶褐色に変色した肉の色と、毛の白が絡まり、奇妙なマーブル模様を作り出していた。

「アニャァ…」
ちびは、腹部に縫い目のあるベビを母親の目の前に出し、微笑んだ。
「でね。これが、最後のベビ。これを解体して、それからハンバーグの調理に入るのよ。
内臓も、骨も一緒に料理するから栄養たっぷり(?)よ。全部食べてねぇ。アハハハハ。
お兄さん、これで最後です。御願いしますね。」
解体役の青年はちびからベビを受け取り、刃物を持ち待機していた。

「コンナ コトッテ… カミサマ ナンデ ワタシヲ オミステニ ナッタノデスカ?」
あさっての方向を見て呟いた母親にちびは笑いながら彼女の目をしっかり見て答える。
「マターリの神様なんて元からいなかったからじゃない?それか、あんたがあまりに身勝手な祈りでも捧げてたんで神様は怒ってあんたの元から去ったのかもね。」
母親は目を潤ませながらちびを見ていた。

「そんな目で見ても、無駄無駄無駄ぁ!さぁ、『ベビバーグ』の準備を急ぎましょ。
お兄さん準備はOK?」
青年がうなずくと、彼女は皮肉な呪文を母親の目をしっかり見て唱え始めた。
「復活してくださぁい」 パチッ。
彼女の呪文を合図に、青年はベビの遺体の右腕を切り落とした。

「アニャ… アニャアアアアアアア モウ ヤメテェエエエエエエエエエエ ベビチャンヲ ラクニ シテアゲテェエエエエエ
モウ チビチャンニ 『ベビチャンヲ フッカツサセテ』ナンテ イイマセン!
チビチャンハ ママノ ドレイナンカジャ アリマセン! チビチャンカラ オカネヲ トロウナンテ オモイマセン!
ダッコシテアゲルカラ オナガイ…」

180 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:52 [ VwP5VfXA ]
悲鳴をあげながら今までの自分の言葉を否定し続けた母親に対して、
ちびは冷たい返事を返す。
「どうせ、また産めばいいって思ってるんでしょ?
だからさ、あんたが頃したベビ達にあんたの体の一部として、『復活』してもらってぇ。
いつまでも、罪の意識を持っててもらおうと思うのよ。
さて、続けるわよ。お兄さん、準備はいいですか?」

彼がうなずいたのを確認したちびは、もう一度呪文を唱えた。
「復活してくださぁい」 パチッ。

「イチド ナクナッタ イノチハ モウ モドリマセン! 『ベビチャンタチノ フッカツ』ナンテ ママハ モウ ノゾミマセン!
ベビチャンヲ コロシタツミハ ママノナカニ イッショウ ノコリマス! チビチャンニ キセイナンカセズ ママハ ジブンデ イキテイキマス!
ダカラ ダカラ モウヤメテ クダサイ オナガイ シマス…」

両腕を切り落とされたベビを見ながら、母親はおびえた表情で口走るが、
ちびは容赦せずに、青年に指示を出した。
「そろそろ最後にしましょうか?次で達磨にしちゃってください。
いや、お腹のガーゼを出してから、お腹に指数本出し入れするのも面白そうですね。
顔肛門ごっこ、これで最後になっちゃいますよ?お兄さんどうします?」
「両方で。夕食ぐらいには余裕で間に合うでしょ?ちょっと遊ばせて貰っても。」
「十分間に合う時間ですよ。2体分の顔肛門ごっこできなかったですもんね。
見せながらやってくださいね。」

ちびの許可を得た彼は楽しそうにベビのお腹のホチキスを外し始めた。
全てお腹の中に入っていたガーゼを取り除くと、彼は母親にベビのお腹の中を見せ、何もない腹の中に三本の指を出し入れしながら、楽しそうに語った。

181 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/10/12(火) 22:53 [ VwP5VfXA ]
「このベビちゃんは指を3本くらい出し入れできますね。
こてっちゃんがある状態で、もう少し新鮮な遺体だったら確実に抜く香具師いますよ。
こうやってティンポ出し入れして。(笑。)
モララーさん達笑ってるけどさぁ、現にいたんですよ。
ベビの遺体の腹掻っ捌いてオナホール代わりにして抜いた香具師。
そいつが言うには、こてっちゃんがヒダヒダみたいになってて、
血がローション代わりになって気持ちよかったそうですよ。
え?小さすぎるだろって?そうなんですけどね(笑)
背中まで突き破ったって言ってました。」

「ヒドイ! ヒドイヨォ! シィチャンタチハ…」

「アイドルなんでしょ?生きてる間は役立たずでも
氏んでから(変態の)男達を楽しませてるんだもんね。偉大だよね。しぃちゃん達って。
もちろん、ちびしぃちゃんやしぃちゃんの遺体で抜く変態もいましたよ。
そっちのほうがいろいろ遊べて楽しかったらしいです。いろいろなところに
入れられるからね。」

彼は、ベビの遺体の左頬に*印を切り刻み、さらにそこにできた穴に
小指を出し入れしながら続けた。
「お母さんさぁ、しぃ族ってギコ族の間でなんて言われているか知ってる?
『氏んだしぃと*印の無いしぃ、でぃは良いしぃ族だ』って言われているらしいよ。
そこまで言うかって最初思ったけど、あちこちでギコ達相手にケツ出してるの見たりとか、あと逃げ回ってるちびギコ捕まえて輪姦してたしぃ達も見てたらさぁ
最近奴らが言うのも、もっともだって思うようになったよ。」

「シィハ… シィハ… マターリシタカッタ ダケナノニ…」

「しぃたちのマターリが、ギコさん達にとっては、恐怖の時間だったんですよね?
一度、母さんがギコさん相手にお尻出してるの見た時、ギコさんが本当に嫌そうな表情してたんですよ。それを見てそういう事はしちゃいけないんだって思いました。
母が、私にしてくれた教育ってそれくらいかしらね。」

「反面教師ってやつだね。大切なことを学んだね。ちびちゃん。
そろそろ、これを達磨にしようと思うんだが、呪文はOK?」
青年の求めに従い、彼女は最後の呪文を唱える。
「OKですぅ。『復活してくださ~い。』」
パチッ。パチッ。

彼は両足を一気に切り落とし、ベビ達磨を一体作り上げた。
「お耳は切り落としてないけど、これで調理に行っちゃっていいの?」
青年の問いにモララーが答えた。
「かまわないよ。調理のところも母親に見て貰って、それから試食もしてもらう。
とりあえず、お母さんが投げたベビの腐汁の処理と、
ここで彼女が垂れ流しまくった糞尿の処理を頼むね。
体を洗ってから、拘束衣を着せて、外の臨時調理場に連れてってね。
人数足りないだろうから、手の空いてる人たちに手伝ってもらって。」

解体を担当していた青年はモララーの指示に頷き、そしてちびに感謝の言葉を述べた。
ちびはこちらこそ、と彼に頭を下げる。

医師団に退出を促されたちびは、部屋の掃除をしている青年達に何度も頭を下げ
法医学棟を退出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回の引用
山口椿さんの著書
鈴木葬儀社さんのHPより 死体現象

次回『料理番組ごっこ』より始まります。

次回:擬古田薬品 (9)

擬古田薬品 (9)

前回:擬古田薬品 (8)

223 名前:56・だだ今洗浄中… 投稿日: 2004/11/29(月) 21:07 [ 9ZxhbguU ]

「ハニャ… シィチャンノ ポンポン ゴロゴロスルヨォ…」
「当たり前だろうが!さっきから浣腸しまくりなんだからよ。おら、ケツ出せや」
「モウ ウンチサン デナイヨ ダカラ モウ オテテト アンヨ ハナシテェ」
「ウンチサン出なくても浣腸液が透明になるまで洗えって言われてるからな。
もう少し必要だなぁ」
浣腸器を持った青年が、グリセリン液を浣腸器に注入しながら母親にまだ
作業が続くことを宣告した。

「アニャァ! マタ オシリカラ オミズ ダスノ? マタ ポンポン イタイノ?」
「そうだよ。ぐだぐだ言ってると糞まみれの浣腸液飲ますぞ ゴルァ!
腸壁破って氏なないだけでも感謝しろや ああ?」
グリセリン液を静かに母親の肛門内に注入しながら青年は母親を怒鳴りつけた。
仲間の青年らが数人で母親をうつぶせに押さえつけてはいるが、
ただでさえ脆いしぃ族相手に浣腸するとなると、相当神経を使うのであろう。
「栓」
アナルプラグが差し出されると浣腸液を注入し終えた青年は、母親の肛門に
アナルプラグを差し込んだ。

「ハニャ… モウ ヤダヨォ… コンナノ マターリジャナイヨ」 
「三分間待って、グリセリン液出して、それが透明だったら
ベビの調理を見物に行くぞ。ベビ肉食ってマターリだな。アヒャヒャ。」
おまるがお目見えすると、また母親がぐずりだした。
「ヤダヨォ ウンチサンデナイノニ ナンデ ベンキサンニ スワラナイト イケナイノ?
ベビチャンヲ タベルナンテ マターリジャナイヨ… ヤダヨォ…」

浣腸液を注入して3分が過ぎると、タイミングよく母親がわめきだした。
「シィィィィィ!!! ポンポンイタイヨォ ウンチサン サセテヨォ!!!」
「ほら、栓抜いてやったからてめえでおまるまで行けや。
それから体洗って、ベビ料理を見物に行くぞ。」

アナルプラグを抜かれた母親は、尻に力を込めながらおまるが置かれた場所まで歩いた。
便意を我慢しているため、歩幅は狭まり、両太腿をすりあわせて歩くので自然とモンロー・ウォークを思わせる歩き方になってしまうのである。その光景を見た青年達は口々に
母親を嘲った。
「ケツなんか振られても、ここにはギコはいませんよぉ~」
「俺達相手の肉便器にでもなってくれるのかな?」
「ウ・ウ・ウルサイワヨ! アンタタチノ ニクベンキナンカニ ナルワケ… ハウッ!」
強気な返答をする母親であるが、腹に力が入り強烈な便意を催したようである。
口ごもった母親を青年達の一人はからかった。
「第二波ですかぁ?あんまりお腹に力入れると、便器以外の場所で脱糞することになりますよ。それとも、脱糞姿を人に見せる趣味でもあるのかな?」

224 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:09 [ 9ZxhbguU ]
質問した彼の声を無視した母親は、なんとかおまるがある位置までたどり着きおまるにまたがった。周りにカメラを持った青年達がいるのを見つけると、弱弱しい声で退出を促す。
「シャシンニナンカ トラナイデ… オナガイ…」
小声で、「マンドクセ」「ウルセ」「ハヤクトラセロ」といった声が青年達から母親に浴びせられるなか、
青年達のうちの一人がイライラした表情で返答する。
「しぃちゃんさぁ、とっとと出しちゃってよ。こっちはグリセリン液の色を見て
透明だったらあんたの体を洗って、お嬢さんのところへ連れて行くだけなんだから。
てめぇのベビ食うのが嫌で、わざとやってるの?だったら無駄だよ?」

「チガイマス… ア・ア・アニャァアアアアアアアアアア」
シャアアアアアアアアア… 
弱々しい否定の言葉でお腹に力が入ったらしく、一気に浣腸液が母親の肛門より流れ出すと、青年達はいっせいにシャッターを切った。屈辱のあまり、悲鳴を上げた
母親の声を聞いた青年達の中には笑顔を浮かべるものも少なくなかった。
作業が終わるという安堵の笑みを浮かべた者は少数であることは言うまでも無い。
カメラを持った者の中では、早速現像後の打ち合わせを始める者が出始める始末である。

一方、肛門からグリセリン液の雫を滴らせた母親はおまるから離れ、うつぶせに倒れ込んでいた。グリセリン液を注入していた青年がおまるの位置に駆け寄り、液の色を見ると
母親に歩み寄り、浣腸の終了を告げた。母親は彼に返答せず、ただすすり泣くだけである。

「さてと、洗濯洗濯。あそこのたらいで体洗ってもらいな。」
青年は数メートル先のたらいを指差し母親に指示を出すと、彼女はゆっくりとたらいに向かって歩いていった。たらいの周りには、胴まである長靴姿の男女がたむろしており、
女性は全員不機嫌な表情をしている。
母親がよろよろとたらいのある方向に向かうと、フローラル系の良い香りが漂ってくる。
バブルバスを思わせるたくさんの泡が母親の目に入った。
石鹸の香りをかいだ母親は、少々図に乗ってしまったらしい。
いつもの口調で体を洗うように長靴姿の男女に命令した。
「カワイイ シィチャンガ カラダヲ アラワセニ キテヤッタワヨ! サァ シィチャンノ カラダヲ アライナサイ!」
むっとした表情をした女性陣の中の数人が無言で取り出したのはたわしであった。
彼女らは体を押さえる係と、体をたわしで洗う係に分かれ、手際よく作業を開始した。
「エ? チョット… シィチャンノ カラダヲ… ハギャアアアアア」
少々強めに擦っているらしく、母親は体をよじらせながら悲鳴をあげている。
一方で男性陣はといえば、母親のビデオ撮影や写真撮影に余念が無く、
時折、息を弾ませながら「萌え」だの「おかずができた」だのという言葉を漏らしていた。

「しっかり撮れた?ちゃんと約束は果たしたからね。」
女性陣と、男性陣の間でなにやら取引がなされていたらしい。ほかにも男性がたわしを持った女性に礼を言っている姿が見える。

225 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:10 [ 9ZxhbguU ]
体は… ん。出血してない。体を拭いて、連れて行くだけだ。」
男性がぬれねずみ状態の母親の体を見て呟くと、数人の男女が、洗い物用のゴム手袋をはめて、母親のもとに近づいた。先ほどの扱いに腹を立てた彼女は、
その一団に怒鳴りつけた。
「シィチャンガ カゼヒイチャウデショ? ハヤク カラダヲ フキナサイ!!」

母親の言葉に、体を拭く係の面々はキレてしまったようだ。
「あぁん?」
「いちいち神経を逆なでする言葉を吐くのは、この口か?この口かぁああ!」
ガーゼ状の布やハンドタオル、新しい雑巾で、彼らは力を入れて母親の体を拭き始めた。
「シィィィィィィ!!! ゴメンナサイ! ダッコ シテアゲルカラ ユルシテ… ハニャアアアアア」
デッキブラシで床を磨くように力を入れて体を拭くため、母親の悲鳴は止むことは無い。
どさくさにまぎれて体毛をつまみ、抜けない程度に引っ張る者がいたり、
頬をつねったりする者もいた為、なおさらである。

4~5分ほど悲鳴を上げ続けた母親がぐったりしていると、ハンドタオルを持った女性が彼女にこれからの予定を告げた。
暴れたり、悲鳴をあげ続けていたせいで自分で立ち上がる事がままならないほど疲れていた母親は、体を拭く係の面々に拘束衣を着せられて、
台車に乗せられ、ちび達が待つ外の調理場まで連れて行かれた。

226 名前:57・○分クッキング 投稿日: 2004/11/29(月) 21:11 [ 9ZxhbguU ]
チャララチャチャチャチャ♪… チャララチャチャチャチャチャ♪…

キ○ピーの×分クッキングのオープニング曲を口ずさみながら研究所の玄関で
モララーが待っていると、ガラガラという音がだんだん近づいてくる。
拘束衣姿で涙を浮かべている母親の姿が彼の視界に入ってくると、
彼は台車を押している男性の横について、歩きながら彼女に話し掛けた。
「遅かったじゃないですか。お嬢さん、寒い中お待ちかねですよ。」
「…ベビノ ニクナンテ タベタクナイ…」
「食べたくないって言ってもなぁ、ちびちゃん嬉しそうだしなぁ。
それに、お嬢さんがあなたの為に作った料理ですよ?」

母親はモララーの言葉に返答せず、無言である。
2~3分ほど歩いた先に、鉄板が上に乗ったバーベキュー用コンロ、食材や調理器具などが置かれたテーブルなどが並んだ一角があり、そこに母親が座った台車は止められた。
ちょうど、ちび達と対面する状態である。

「♪チャララチャチャチャチャ… ♪チャララチャチャチャチャ…」
照明が照らされると、母親を台車に乗せて押していた青年や、コンロや食材などを用意していた女性が×分クッキングのオープニング曲を口ずさみ始める。
進行役のレモナが、料理番組風に調理の開始を宣言した。
どうやら先生役のちびとの掛け合いで調理が進むようだ。

227 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:12 [ 9ZxhbguU ]
「しぃちゃん×分クッキングの時間がやってまいりました。進行役のレモナです。
今日ちび先生をお迎えして作る料理は、『ベビバーグのゲロ甘ソース添え』ですね。
試食ゲストのしぃちゃんがお待ちかねですので、先生。早速始めましょう。」

「はい。まずは食材の紹介を始めていきたいと思います。
まず、ハンバーグの食材からですね。
まずは、ベビの遺体四体。通常の食用の場合は、新鮮であればあるほどよい事は当たり前ですが、アフォしぃに対する精神的な虐待目的などの場合は腐っていてもかまいません。
むしろ腐っていたほうが良いくらいでしょう。
もちろん後者の場合は、アフォしぃの実子であることが前提条件ですね。
今回は、試食ゲストのしぃちゃんのお嬢さんたちの遺体を使用します。」

レモナが、ソースとつなぎの食材の紹介を始めた。
「続いて卵、食パン、牛乳です。こちらはつなぎに使用します。 
ソースには、蜂蜜、砂糖、アイスクリーム、みりん、グリセリンの原液、ブドウ糖の注射液、しぃフードを使用します。しぃフードはスープでいう所のクルトンの役割でしょうか?
今回はこの程度の食材ですが、ソースは甘ければ何を使ってもかまいません。では、先生早速作り始めましょう。」

ちびはレモナの言葉にとびっきりの笑顔を返し、作り方を説明し始める。
「まずはベビの遺体ですね。このベビはすでに内臓は抜いてあります。他の三体はあらかじめ肉と骨を分けてあります。
あらかじめ手足をもいで達磨状態にしておくと骨から肉を削ぎ落とすときに幾分楽になりますね。
はさみや包丁などを使って、肉や内臓を骨から外していきます。
頭部の肉を外していく場合は、あらかじめ頭の骨を砕いたり、耳もぎをするなどして工夫しましょう。今回は金槌で頭部の一箇所を砕きます。」

228 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:13 [ 9ZxhbguU ]
ちびが、4番のベビの頭を金槌で小突くとポクッというくぐもった音とともに
ベビの頭骸骨が砕けたようである。彼女は骨折したと思われる部位を指で押しながら、
「ここが砕けたあたりですね。ぶよぶよしています。ここからナイフを十字に入れてみましょう。」

彼女が十字にナイフを入れると、母親は思わず悲鳴を上げた。
拘束衣の前の部分が少々膨らんでいるところを見ると、手を伸ばして
ちびを止めたかったのだろう。悲鳴がちびの耳に入ると彼女はにやりと母親に笑みを返し、
みかんの皮をむくように、頭部の皮を剥がしながら説明を続ける。

「観客席のしぃちゃんは自分の娘さんが解体されるのを見るのは耐えられないようですが、
でぃちゃんを頃すのは、笑いながらできる人です… ちょっと脱線しましたね。
さて、作り方の続きですね。ベビの全身の肉を骨から外す時に、丁寧にやる必要がある場合と、それほど丁寧にやる必要が無い場合があります。
ハンバーグを出す相手が、カルシウムを必要としている方の場合はそれほど丁寧に肉を外す必要はありません。ベビの骨を砕いて、
ハンバーグに混ぜるとカルシウムが取れますのでね。今回はベビの骨を砕いてハンバーグに混ぜますので、ある程度肉が骨から外せれば
大丈夫です。では、つぎの作業に移りましょう。」

レモナがすりこぎと、すり鉢を持って現れ、ベビの骨盤を母親に見せながら
ちびの説明に続いた。
「こちらは、他の三体のベビちゃんの遺骨です。試食ゲストのしぃちゃんは出産後ということもあり、授乳などで体からカルシウムが出て行ってしまい、
カルシウムが必要な状態です。今回はハンバーグにベビちゃん達の骨を混ぜて、カルシウム補給を図りたいと思います。」

229 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:14 [ 9ZxhbguU ]
レモナはすり鉢の中の骨を砕きながら、ちびに聞く。
「最初はベビの骨をある程度の大きさまで砕き、肉が入ってから完全にすり始めます。
先生?今回は完全に骨は粉末にしてしまうのですか?」

「そうですね。とりあえず某K社のバスソルト一粒程度の大きさに砕いておいてください。
ベビの骨を粉末にする際、あらかじめ小さく砕いてから、すり鉢に入れると良いですね。
ナッツ入りのお菓子のような食感を楽しみたい方には、細かく砕いた程度で良いでしょう。
この場合は、ミンチにしたベビ肉と、骨片を別々にしてつなぎと一緒に混ぜるという方法を取ります。レモナさん。アンヨはそのまま入れて
砕いても大丈夫だと思いますので入れちゃってください。体毛は、食事を出す相手の方が便秘気味の場合は繊維質が取れます。
入れる入れないはお好みでかまいません。今回は体毛も入れてしまいましょう。」

レモナが骨を砕いている間、ちびは体毛交じりのベビの肉を切り始める。
「レモナさんがベビの骨を砕いている間に、私は肉を切り、砕いた骨に混ぜやすくしておきます。牛や豚の肉料理では、皮は剥いでおくのが普通ですが、
今回は必要ありません。肉を切りにくいというリスクはありますが、包丁を砥石で研ぐなどして対応しましょう。自分の手を切らないように注意してください。」

ちびは袋からベビの肉を取り出し、数枚程度ずつまとめて、3~4センチ位づつの長さに包丁を入れていく。相当丁寧に包丁はとがれている様で、
ちびはてきぱきと肉を切っていった。ちび達がいる後ろの方から、すっと最後のベビの肉が差し出されると、彼女は後ろをチラッと向いて軽くお辞儀をし、作業を続けた。
全ての肉を3~4センチほどの大きさに切り終えるとその中の一枚を母親のほうに見せながら、説明を続ける。
「大体肉はこの程度の大きさに切ると良いですね。そろそろレモナさんが、骨を砕き終える頃なので、彼女が骨を砕き終え次第、この肉をすり鉢に入れていきます。レモナさん、
全て骨片をすり鉢の中に入れずに、少しづついきましょう。」
ちびに呼びかけられた彼女はうなずき、砕いた骨が入ったすり鉢を持って彼女のもとにやって来た。
大きなレジ袋をいくつか手に下げており、その中には砕いた骨の残りが入っているようだ。

230 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:15 [ 9ZxhbguU ]
すり鉢の中の骨片を母親に示し、次の作業に入る。
「大体この程度の大きさにベビの骨を砕いたあと、いよいよ肉と混ぜ合わせます。
ベビとはいえ、4体分の遺体を一挙にハンバーグ生地にするのは難しいので、少しずつ生地を作っていきましょう。レモナさんは、骨片を粉にしてください。」
レモナはうなずいて骨片の入ったすり鉢をテーブルに置き、骨片をすり始めた。

ザリザリという固形物が砕ける音から、ゴリゴリという音に変わり、ベビの骨が粉になったことがわかる。ちびは数枚ずつベビの骨粉入りのすり鉢に肉を加えていった。
グチュグチュという柔らかい物が潰れるような音と、キシキシという何かが擦れるような音が、やがてしなくなるとちびはボールを取り出して、
擂り鉢の中にある体毛交じりの肉と骨粉のペーストをボールに移した。

「少々ドロッとしているのは、脳やらこてっちゃんに残っていた水分のせいでしょう。
後ほど、生地につなぎを混ぜるときに、調節しましょうね。次の骨片をすり鉢に入れていきます。」

数度、同じ作業を繰り返し、全ての肉と骨片をハンバーグ生地にし終えたちび達は
つなぎの卵、パン、牛乳を混ぜてこね始めた。相当量があるようで、二人で交代しながら
こねている。

一方母親はといえば、台車の上でちび達に向かって泣きながら
「ギャクサツチュウ! アンタナンカ ジゴクニ オチロ!!!」といつもの言葉で罵倒してみたり、
「チビチャ~ン オナガイ ヤメテェ!」と絶叫してみたりと忙しい。
ちび達の作業を何とかして止めたかったらしく、
何度か彼女達のほうへ向かおうとして台車から転げ落ち、
そのつどモララーや、手が空いていたスタッフ達に笑われながら彼女は台車に乗せられた。
何度声を荒げても、何度哀願してもちびは聞く耳をもたない。
母親が絶望するのにさほど時間はかからなかった。

「なぜお嬢さんにあなたが憎まれるのか、ベビちゃんのハンバーグができるまで
思い返して見たらどうです?」
モララーが発した言葉に母親は怪訝そうな表情を浮かべている。

ちび達はその時、ハンバーグの空気抜きと整形作業に取り掛かっていた。

231 名前:58・誘導? 投稿日: 2004/11/29(月) 21:16 [ 9ZxhbguU ]
モララーは彼女を質問攻めにしていた。母親がどんな風にちびを育てたのか、
ちびが苦しんでいた時に母親はどう思っていたのか。
興味だったのか、それとも母親を精神的に追い込む目的だったのかは
モララー自身にもわからなかった。

「あなたはちびちゃんをどのように育てたんですか?娘さんのあなたに対する憎しみは相当なものだと思ったんですが。」
「シィチャンハ フツウニ ベビチャンノコロカラ タクサンダッコシテ…」

「ちびちゃんは学校とかでいじめられませんでした?その時あなたはどうしました?」
「マチナカデ アノコガ カゲクチヲ イワレテタトキハ タニンノフリシテ トオクデ ミマモッテマシタ! ツヨイコニ ソダッテホシカッタンデス!」

「助けが必要なときに手を差し伸べなかったんだ。ひどい母親だね。
強い子に育って欲しかったんじゃなくて、自分の子だって認めたくなかったんでしょ?」
「チガイマス! イジメラレテ ナイテタトキモ キビシク イッテキカセマシタ! ガマンシナサイッテ。」

「ふうん。質問を変えましょうか。ちびちゃんのお友達関係ってご存知ですか?」
「キケイノ アノコニ オトモダチナンテ イルワケガ ナイデショ! ヴァカジャナイノ?」

「いいえ、いたそうですよ。*が無いだけで同族にいじめられてた時に
彼女は助けてくれたそうです。彼女のお母さんにお礼を言ったら
『当然のことをしたまでだ。』って。
彼女のお母さんは彼女のことを褒めてダッコしてたそうです。
ちびちゃん、羨ましかったそうですよ。こんな人が母親だったらなって。
あなたから愛情を受けてないって肌で感じてたんじゃないかな。」
「ソンナ… アノコハ… ワタシガ タクサン ダッコシテ… アイジョウヲ タクサンカケテ ソダテマシタ」

「ダッコだけ?あなたは彼女が助けを必要としてたとき何してました?
街中での陰口の話をされてたけど、普通、自分の子供が影口をたたかれたり、
娘が苛められてたら、母親ならお嬢さんをかばったりとか、苛めた相手に向かって行ったりとかしませんか?少なくとも『タニンノフリ』はしないでしょ?」

「ダッテ シィチャンガ『キケイセイゾウキ』ッテ ミラレルノ イヤジャナイデスカ!」

232 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:16 [ 9ZxhbguU ]
「『嫌じゃないですか』じゃないでしょ?あなたのお嬢さんでしょ?
もしかして、自分のマターリだけでお嬢さんのマターリとか考えたこと無いでしょ。
苛められたりとか、陰口言われたりとかして、お嬢さんの心って荒れてたと思うんだけど。」
「キケイノ アノコニ マターリノシカクナンテ アルワケナイデショ! モチロン、マターリスル ジカンナンテ アルワケナイデショ?」

「彼女が唯一マターリしてた時間、あったそうですよ。先ほどのお友達の彼女と、
公園にいたでぃちゃんと、三人で公園の土管の中で過ごす時間。
『暖かい時間』と彼女は表現してたけど、それが彼女のマターリだと思うんですよね。」
「ダカラ ナンナノヨ! キケイト キタナイディガ イッショニイテ オニアイダトデモ イウノ?」

「違いますよ。我々とちびちゃんとで交換日記をしてましてね。うちの者が
ちびちゃんに、あなたが彼女にしたことで嬉しかったことや、楽しかったことを覚えてる範囲で書いてくれって頼んだんです。
彼女の返信であなたとの事よりも、お友達との事を書いていたのですごく印象に残ったんですよ。」
「ナンナノカシラ アノコハ… ママダッテ タクサン ダッコシテ アゲタノニ…」

「あなたが彼女にした、嬉しかったことや楽しかったことは、悲しいことに潰されてしまったそうです。公園にいたお嬢さんのお友達のでぃちゃんね、
アフォしぃたちになぶり頃しにされたそうです。お嬢さんと、先程のお友達とでいっぱい泣いたって書いてありました。
でね、お友達のお母さんとお友達、ちびちゃんとで、でぃちゃんを葬ってあげたそうです。
三人でのささやかなお葬式から帰ったときに、あなたが楽しそうに、
『公園にいた薄汚いでぃをママのお友達と一緒になぶり頃しにしたんだよ
汚いでぃが消えてマターリだね』って言ったって書いてありました。お嬢さんが
『土管のある公園?』って聞いたら、あなたがうれしそうな顔でうなずいたともね。」

「トウゼンデショ! キタナイディハ アボーンシナキャ カワイイシィチャンタチガ バカニサレルダケジャナイノ!」

233 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:17 [ 9ZxhbguU ]
「だからぁ、わかんねぇかなぁ?お嬢さんに復讐されてるってことが。
いろんなところで嫌な目にあっていたお嬢さんの唯一のマターリした時間。
お友達と一緒に土管にいたことでしょ?暖かい時間をお友達と過ごしたことでしょ。
あなたは彼女のマターリを奪ってしまったって事に気づいていないんですか?
しかも嬉しそうに彼女に報告までしたんでしょ?
彼女があなたを憎むのを当然だと思いませんか?
復讐されてもおかしくないって思いませんか?」

「ダッタラ スグニ フクシュウスレバ イイコトジャナイノ! ナンデ イマゴロニナッテ ソンナコトヲ…」
口調は強気であるが、狼狽の色が見えている母親の質問にモララーは即答した。
「だって、すぐに復讐したらあなた方に逆襲されるのがオチでしょ。彼女、自分の無力さ、幼さを自覚してたんでしょ。
機が熟すのを待ってたんじゃないの?それに、漏れ達っていう見方もできたしね。」

顔面蒼白の母親に対し、モララーが笑いながらちび達を指差して
ハンバーグの出来上がりを宣言する。
「ほら、お嬢さんのハンバーグが出来上がりましたよ。せっかく作ったんだから
食べてあげないと。お母さんの味の好みに合わせて、甘く仕上げたそうですよ。」

スタッフに台車に乗せられ、母親はちび達の待つテーブルに連れて行かれた。

234 名前:59・食事中の告白 投稿日: 2004/11/29(月) 21:18 [ 9ZxhbguU ]
ちび達が調理作業をしていたテーブルとは別に、食事用のテーブルが用意されていた。
手編みのレースで縁取られた白いテーブルクロスが敷かれた上に、薄い檸檬色のランチョンマット。あるランチョンマットの上に、
湯気が立ち上っているハンバーグとコップに入った透明な液体が既に置かれていた。そこが母親の席であろう。
他のランチョンマットの上には、ちび達用の別メニューの用意がなされていた。

既にちび達は席についており、母親が他の席に座ってベビの肉を食べないですむように
時間稼ぎをするという選択肢を奪っていた。スタッフの一人に促された母親は椅子の横に立ったが、なかなか座ろうとしない。
恐怖のあまり全身がこわばり、歯をカチカチ言わせているありさまである。
「早く席に着いたら?出ないと食事会が始まらないのよ。」
苛立った口調のちびに促されて、彼女はやっと自分の席についた。

肉の焼き色と、カラメルソースで上手く隠せたらしく、ハンバーグに腐った肉が混じっているようには見えなかった。
カラメルソースの上にはしぃフードを並べて作った『ママ』の文字が見て取れる。(ハンバーグの上にかかっているソースやしぃフードも含めて)
全体的に茶系統の色のハンバーグに、ベビ達の白い毛がアクセントを添えていた。
「ちびちゃんが『ママ』の文字を並べたんですよ。」
レモナが母親に作業の様子を話しても、母親は下を向いて反応しない。
席についていた面々には照明の加減もあり、母親の表情は見て取れなかった。

「ベ、ベ、ベビチャン… ゴ、ゴベンネェ ママ、 ベビチャンノコト タズケデアゲラレナカッタネ…」
「助ける気なんか初めから無かったんでしょ?食べてあげるのも供養のうちですよ?」
モララーやレモナ、ちびは口々にいただきますの挨拶をし、既に食事をとり始めている。
スタッフの一人が涙声でベビ達にわびている母親に対し、追い討ちをかけた。

235 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:19 [ 9ZxhbguU ]
「アンダニ ジィチャンノ キモヂガ ドデダケ ワガルノ? ベビジャンダチガ ジンダッテ キカサデタ アゲク
シィジャンノ メノマエデ ベビチャンガ バラバダニ サレテ… ベビチャンヲ ギャグサヅチューニ ハンバーグニサレタ
シィチャンノ キモヂガ!!!」
泣きながら抗議している母親の前で、スタッフは笑いながら答えた。
「いつ産まれてもおかしくない状態のベビを腹ん中に入れたまま、ちびギコ達相手に売春して、ベビ達を死産させた挙句に、ちびちゃんがベビ達は氏んだって真実を伝えても
信じなくて、ご遺体と対面してもベビ達が氏んだって認めず、ちびちゃんに『復活してください』ってねだった自己厨のあなたの気持ちを誰がわかれと?」

「冷めないうちに食べてよ。せっかく作ったのに。」
ちびが笑顔で促すと、母親は泣きながら拒絶した。
「タベナイ… ゼッタイニ ベビチャンノ ハンバーグナンカ タベナイモン!!」
ちびは究極の選択を母親に迫る。
「食べないんだったら、餓死するまで拘束衣着せて放っておくよ?
それ食べたら明日からのごはんも出るけど、食べないんだったら餓死するまでそのまんま。
どっちがいいの?好きなほう選んでね。」
母親は、仕方なくハンバーグを口に運んだ。
涙を浮かべ、心の中でベビ達に罪の許しを請いながら。

四分の三ほどハンバーグを食べ終えた母親に、ちびは微笑みながら話し掛ける。
「あのね。お母さん。ちびね、すてきなお話があるの。母さんがデザート食べ終わってから話すから、ゆっくり味わって食べてね。」
モララーも、レモナもちびと一緒に微笑んでいる。照明の暗さのおかげで母親が泣いていたことがちび達にはわからなかったように、母親にも、彼らの表情がわからなかった。

母親はデザートのババロアをすするような音を立てて一気に食べ終え、飲み物として出されていたブドウ糖の注射液を全て飲み終えると、
ちびに『すてきな話』の内容を聞き始めた。瞳には必死さが垣間見られ、言葉には力が入っている。
さっき鳴いたからすが(略)という言葉では無いが、彼女は微笑んでいるようにも見える。ちびの『すてきな話』とやらに一縷の望みを託したのであろう。

236 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:20 [ 9ZxhbguU ]
何度も母親にせがまれたちびは、ついに『すてきな話』を始めた。
「あのね、お母さんがここにくる前に、『▽丁目のしぃちゃんと、○丁目のしぃちゃんと、
×丁目のお腹にベビちゃんがいるしぃちゃんを最近見なくなった』って言ったじゃない?」
「ウン? ソレガ ドウシタノカナ? 」
「あの人達をね、売り飛ばしちゃった。」
「エ?」
「私、アルバイトを始めたって言ったでしょ?ここがアルバイト先なの。
アルバイトの内容は、ちびしぃちゃんと、しぃちゃんと、ベビちゃんがいるしぃちゃん、ちびギコ君達を上手く言いくるめて、公園に集める仕事。
公園で、ここの人がしぃちゃん達を迎えにきてここに連れてくるの。
それでね、ちびはその人達から直接お金を貰ってたの。」
「エ? ソレデ シィチャンタチハ ドウナッタノ? アノヒトタチハ ママノオトモダチナンダヨ? 」
「知らない。氏んだんじゃないの?それとも、頃されちゃったとか。」

「ママノ オトモダチマデ ウリトバスナンテ ナンテコトヲ スルノ! コノギャクサツチュウガ!!」
ちびを怒鳴りつける母親に、彼女は切り返す。
「虐殺厨って言ったって、その虐殺厨が売り飛ばしたしぃちゃん達や、ちびしぃちゃん達、
ちびギコ君達のお金の500円で、あなたは食事を買ってたのよね?
それに、私が買って帰った食材。あれも、しぃちゃん達を売り飛ばしたお金だし。
その食材で、あなたはご飯を作って食べさせてくれたじゃない。
虐殺厨が作ったお金で、あなたはお腹のベビまで育ててたのよ。ベビ達は氏んじゃったけどね。いくらなんでも、私だけ虐殺厨呼ばわりは無いと思わない?
母さん?あなたも、私も ぎゃ・く・さ・つ・ちゅ・う。お仲間なのよ。」

「ママハ、 ママハ、 ギャクサツチュウノ ナカマ ナンカジャナイ… 」
歯をカチカチ言わせながら呪文のように『私は虐殺厨の仲間じゃない』と繰り返す母親に、
ちびはとどめの一言を投げかけた。

「母さん。あなたが土管のある公園でちびの友達のでぃちゃんをを頃したって私に話したとき、こう言ってたじゃないの。『キタナイ ディガ キエテ マターリダネ』って。
ちびギコ君達を結構な量売り飛ばした今、ちびが思っていることを言っていい?
『たくさんのしぃちゃん達やちびギコ君たちを、売り飛ばしてお金にしたんだよ。
ちびを馬鹿にした人達が消えて、虐めていた人が消えて マターリだね お母さん。』」

237 名前:60・母親の妄想(ゆめ) 投稿日: 2004/11/29(月) 21:21 [ 9ZxhbguU ]
ちびの『マターリ』と言う言葉を聞いたとたん、突然母親の様子がおかしくなった。
恐怖の表情を浮かべていたのが消え、無表情になった。瞳の輝きも失せてしまった。
呆けているという表現が一番近い状態である。あろうことか独り言まで呟きだした。
完全に逝ってしまったのだろうか。戻って来れるのだろうか。
ちび達は、しばらく母親を観察することにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ここなら、ここなら、虐殺厨に頃されることも無いの。
ここなら、ここなら、ちびが売り飛ばしたしぃちゃん達に恨まれることも無いの。
私が頃したベビ達に恨まれることも無いの。
ここで、人生リセットするの。もう一度マターリな時間まで戻るの。
お花がたくさん咲いているの。ギコ君はここには一人だけいるの。
食べ物もたくさんって、もうゴミ箱なんてあさらなくてもいいの。
お家だってちゃんとあるの。段ボールなんてもういらないの。
ギコ君としぃとでベビをたくさん作って、イパーイダッコしてあげて、
ここで静かに暮らすんだから………
―――――――――――――――――――――――――――――――――

「………………………………」
うすら笑いを浮かべながら、ぶつぶつ何かを呟き続ける母親に、ちびは何事か囁いている。
まだ呆けている母親に彼女は冷たい笑みを浮かべながら囁き続けている。
「…ベ……………ナイノ。……ニモ………イノヨ。」

徐々に声を大きくしていき、母親に話し掛けるちび。半角喋り、半角交じりの喋り、
そして一発彼女を平手打ちし、全角喋りで母親に告知を始めた。
「ベビはもう産めないの。代理母に産んでもらうことも出来ないのよ」

238 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:22 [ 9ZxhbguU ]
「ハニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!?!?!?!?!?!?!?!?」
こめかみに血管を浮かべ、目を剥いて叫んでいる母親に、さらに一発平手打ちを食らわしたちびは、続けて彼女に話し掛ける。
「落ち着いた?(笑)あんたが妊娠したときに、既に頼んでいたのよ。卵巣と子宮を取ってくれって。だって、研修のときに貰ったお金の半分あんたに渡していたのに、
全額一日で使っちゃうし。それにちびが街の中で馬鹿にされてても、何にもしないで遠くのほうで弱々しく笑ってただけじゃない。
こんな親じゃもし妹や弟が生まれても彼らが苦しむだけだって思ったの。もう、ちびみたいなつらい目にあう子があなたから産まれちゃいけないって思ったの。
だからねレモナ先生に、子宮と卵巣全部取ってくれって頼んだの。」

「モウ ギコクント コウビシテモ ベビチャン ウマレナイノ?」
目は泳ぎ、呼吸を荒げ、明らかに動揺している母親にモララーが冗談を混ぜながら答えた。
「ああ、あの一発が命取り… なんてね。
ハイ、生まれません。っていうか、あなたの遺伝子を受け継いだ存在が、
あなたが『キケイ』と散々罵倒していたちびちゃん以外もういません。
交尾でお金を稼ぎたいってあなたが言ってたと、警察の方から聞いたんですが。
交尾でお金を稼ぐには、避妊手術が必要だって聞きませんでしたか?
お嬢さん、今回の子宮と卵巣の摘出手術のチャンスも狙ってたんじゃないかな…
どうなの?ちびちゃん。」

見透かしたようなモララーの問いに、ちびは頭を掻きながら舌を出している。
どうやら図星であったらしい。
「警察GJ!って感じですかね。もちろん、通報者さんもGJです。
それにコウビコウビってギコさんに迫って逃げられてる母を見るの、見苦しかったし。
それに、ベビが産まれちゃったら、ちび、マターリできないもん。」

彼はニヤニヤしながら、ある一枚の写真を示し、母親に写真の中のメンバーの
一人からの伝言を伝えた。
「ですって。それと、この写真に写っている奴らの中の一人から伝言を頼まれてたんだ。しぃちゃんにお礼を言っておいてくれって。
母乳とってもおいしかったって。記念写真をとったので見てくれって」

モララーに子供は二度と産めない、おまけに、ボランティアの青年が
子供にあげていたはずの母乳を飲んでいたという事を聞かされ、写真を見せられた母親は
信じられないといった表情で絶叫した。

「エ? コノ キモヲタドモガ ノンデルノッテ シィチャンノ ボニュウ? ベ、ベビチャンガ ノンデルト オモッテタノニ… 
アニャ… モウ シィチャン ギコクント コウビシテモ ベビチャン ウメナイ…
ハニャアあアアあアアアア亞ああアアアアソウgtpアz0イオp」

239 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:23 [ 9ZxhbguU ]
ちび、母親の様子を見せないように彼女を抱き寄せているレモナ、
肩をすくめて皮肉な笑みを浮かべているモララーの傍らで、叫び声を上げた後の母親が、うつろな目つきを浮かべ、
口からはよだれを垂れ流し、へらへらと笑いながら、妄想の中にある自分の世界を語り出す。

「タクサンノ オハナガ ココニハ サイテイルノ。 ココハ シィチャンノ ラクエン。
ギコクン シィチャント イッショニ マターリ シヨウネ。 サァ ベビチャン オパーイ アゲルカラネ。
オウタモ タクサン ウタッテ アゲルカラ…
こコにハ ギャくサツちゅウハ イナいカラ アンしnシテ まターリ でキルね
アハハハハ・・・・・」

とうとう旅立ってしまったようだ。
亡くなったベビも作りなおすことが出来、やさしいギコがいる。
お花が沢山咲き乱れ、虐殺されることも無い。
自分だけがマターリできる脳内の楽園へ… 妄想(ゆめ)の世界へ…

レモナに礼を言い、彼女から少し離れて母親の姿を見ていたちびは呟く。
「最後まで、私に向き合ってくれなかったな…」
彼女の目から一粒、涙がこぼれた。

240 名前:61・あれから… 投稿日: 2004/11/29(月) 21:24 [ 9ZxhbguU ]
母親が壊れてから2~3年後の話。

ここは、▽★山にある、リハビリセンター兼教育施設。ちびは、そこの副所長を務めている。ここは、でぃのリハビリ・社会復帰を手助けしていると共に、
育児放棄等の理由により保護されたベビしぃを育て、教育し、世の中に出している。
ある種の能力が突出している者、アフォしぃに対する憎しみが強い者に対しては、
特別に教育を行い、擬古田薬品でちびの『後任』としてがんばってもらっているそうだ。
ここの施設は、擬古田薬品と提携しているため、ちび達リハビリセンター職員と研究所職員とは、交流があるようで、職員同士でメールのやり取りなども行われている様子である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宛先:gikota-yakuhin lab @ slauterhouse.com
CC: D-and-Baby Rehabilitation Center @ rihacen.org:ちび
件名 近況報告

皆さん、その後いかがお過ごしでしょうか。私はリハビリセンターでなんとかやっています。でぃちゃんたちの中では、(元でぃちゃんといったほうがいいんでしょうか)
アフォしぃに対する憎しみが強い人たちもいますが、やさしい人たちもいます。
出来ればやさしい人たちには、リハビリセンターで看護師さんの仕事をして欲しいなと思う今日この頃です。
現在は、看護師さん達の助手という形で彼女達に働いてもらっていますが、できれば、看護学校も作って欲しいと思ったりしています。
ご検討を御願いいたします。

ベビちゃん達は、全角の喋り方を教えると、スポンジが水を吸うように吸収し、
簡単に喋れます。正直、羨ましいです。ちびは、街中を歩いている人たちの言葉を聞いて
全角喋りを覚えたので…。ベビちゃんから、ちびちゃんになるときにおしゃべりが達者な子達がいます。彼女達をピックアップしてセールストーク(精神的な追い込み方を含む)を教えています。

精神科医のツー島先生と、ヒキ神先生(何科を専門としている先生なのでしょうか?寡黙な方なのでちびにはわかりません)には感謝の言葉がいくつあっても足りません。
ツー島先生には、フラッシュバックの起こし方教室とかで、ヒキ神先生にはでぃちゃんたちのリハビリの方で、お力を尽くしていただいています。

母も、こちらでがんばってます。教材として。
ツー島先生の教室(アフォしぃに対するセールストーク、フラッシュバックの起こし方)
で、ちびちゃん達相手にがんばっているようです。
(っていうか、ツー島先生に何度も人工的にフラッシュバックを起こされ、
えらいことになっているようですけど。ツー島先生によると「最近反応が鈍ってきた」
そうなので、そろそろ潮時かなて思っています。)

テレビやネットで、擬古田薬品のお薬のCMを良く見るようになりました。
『大人気』とかいってるところを見ると、よく売れてるようでよかったです。
ちびも体に気をつけてがんばりますので、皆さんもお体ご自愛ください。

241 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日: 2004/11/29(月) 21:25 [ 9ZxhbguU ]
政府と、擬古田薬品のプロジェクト後も、擬古田薬品では、動物実験の被験体として
アフォしぃ(成体とちびしぃ)、ちびギコらを集めていた。
普通、薬品会社・化粧品会社の動物実験というと、動物愛護の観点から厄介なことになるケースが多いわけだが、
アフォしぃ、ちびギコを被験体として使っている擬古田薬品にはなぜか愛護団体は何も言ってこなかった。
アフォしぃ達の個体数が減るため、治安が良くなるといった点や、ちび達の教育機関から育っていったしぃ達が社会的に多大に貢献しているといったメリットが生じているためであろう。

阿武沢警察と擬古田薬品の連携も評価され、他の地域が彼らの取り組みを参考に
しぃやちびギコ達の対策をとり始めたのは、これからしばらくたってからのことである。もちろん、パイオニアである擬古田薬品は大もうけしたことは言うまでも無い。

糸冬

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