【こうげき】

Last-modified: 2024-04-15 (月) 00:34:33

概要

敵を攻めることを指し、戦争などのほかスポーツなど様々な「戦い」で使われる用語。漢字では「攻撃」、対義語は「防御」。
RPGでは、戦闘に勝利することを目的として、相手にダメージを与えて【HP】を減らす行動のこと。
手段はいろいろあるが、ここではその中でも、【呪文】【特技】、その他特殊な行動のいずれでもない「自らの肉体を使ったオーソドックスな攻撃」について書く。
全ての基本となる攻撃方法で、主に「通常攻撃」、他には「物理攻撃」「打撃」などと呼ばれる。
 
敵1体に、自分の【こうげき力】と相手の【しゅび力】に基づいて算出(計算式は後述)されたダメージを与える。
表示されるメッセージはシリーズ内で一貫して「◯◯の こうげき!」。自軍側と敵側とで音程の異なる「ピロリロ!」というSEを伴う(SFC版DQ1・2では例外的に自軍側のSEが鳴らず、DQMSLでは武器や特性によって通常攻撃が変化しているモンスターはSEが鳴らない)。敵側の方が自軍側よりも音程が低い。
自軍の場合は【武器】によってこうげき力が変動するため、「装備している武器(装備していなければ【素手】)で叩いて敵にダメージを与える」というイメージである。取扱説明書をはじめ各種解説記事でもそのように説明されており、実際にDQ5以降では装備している武器によって異なる攻撃エフェクトやアニメーションが表示される。
敵1体と書いたが、【複数攻撃武器】を装備している場合は対象が敵1グループか敵全体に変わる。
 
これを実行するためのコマンドはDQ3までは【たたかう】(開発段階のDQ9でも使用されていた)だが、DQ4以降では「たたかう」が【ターン】を開始する意味のメインコマンドとなったことで、通常攻撃のコマンドはその後に制作されたリメイク版も含めて「こうげき」に変更された。
コマンドを選択後には標的を選択する(これは打撃以外の単体攻撃全てで共通)。DQ7までは【グループ】単位、DQ8以降(DQ11の3DS版・2Dモードを除く)では単体単位での選択となり、DQ6~DQ9では相手が1グループ(1体)のみの場合は標的選択が省略される。
DQ3(GBC版まで)とFC版DQ4では常時、DQ11では仲間が【魅了】になっている時に限り、【パーティアタック】で味方も選択できる。

基本事項

通常攻撃によって与えるダメージは、以下が基本値。

(自分のこうげき力 - 相手のしゅび力 / 2) / 2

およそ攻撃力が2上がるごとにダメージは1増加、守備力が4上がるごとに1低下と考えるとわかりやすい。
実際は確定ダメージではなく上下幅があり、乱数によって若干のムラがある。
上下の幅は作品にもよるが、DQ6以降は概ね基本値の±1/16+1(端数切り捨て)が採用されていることが多い。基本値が100ダメージなら93~107の範囲という具合。
また、計算の結果「0」以下になった場合、実際のダメージは0~1になる(1以下を0~1にしている作品もある)。この状態で【ぼうぎょ】した場合、1ダメージの1/2=0ダメージと計算され、ダメージを受けることはない作品と0~1ダメージで変わらない作品がある。近年は後者が多い。
ダメージが0の場合は「ミス! ◯◯に ダメージを あたえられない!(◯◯は ダメージを うけない!)」という表示になる。
また、厳密にはダメージがごく小さい場合は少しだけ異なる計算式が使われている作品も多い(有名なところだとDQMJで攻撃力が501に達した瞬間メタル系のスライムに与えられるダメージが1~11ダメージになる、など)。
この値は、物理系【特技】のダメージ算出の基礎にもなっている(【ドラゴンぎり】【ドラゴン系】の敵に対して通常攻撃の1.5倍のダメージを与える、など)。
物理系特技も含めた物理攻撃によって与えられるダメージは、【バイキルト】【ちからため】などの影響で増加させることが可能。
状態変化の一種である【幻惑】状態やDQ10以降の一部武器などでの【命中率】の低下、相手の【回避率】による回避【盾ガード】【武器ガード】の影響によってダメージを与えられないこともある。
 
自軍側の通常攻撃は低確率で【会心の一撃】が発生する。ただしDQ8以前で複数攻撃武器を装備している場合は発生しない。
 
初期の作品を除き、物理攻撃を受けたキャラクターが【眠り】【混乱】状態だった場合はそれを解除することがある。これは敵味方双方にいえることである。DQ3とFC版のDQ4ではパーティアタックでのみこれらの状態異常を解除できる。
敵の通常攻撃は【やいばのよろい】の効果や【やいばのぼうぎょ】などのカウンター技を使うことでダメージを跳ね返せる。
 
特技に乏しいDQ5以前の【戦士】系キャラは、必然的に通常攻撃を多用することになる。
特に戦闘中に武器換装ができる作品では、武器を付け替えればこれ1つで色々な攻撃を試せる。
逆に【魔法使い】系キャラは、攻撃力の低さから通常攻撃ではまともなダメージを与えられないことがほとんどで、【MP】を消費したくない場面では通常攻撃よりも【ぼうぎょ】をしたり、【アイテム】係になったりした方が有効な場合も多い。
 
以下に具体的な計算式が判明しているものを記載する。

DQ1(FC・MSX2・MSX版)

基本的には敵も主人公も以下の通り。

((自分の攻撃力-相手の守備力/2)/2)*(50%~100%)

乱数が最大でも100%でありダメージが基本の式より低くなる。
主人公サイドは後の作品と同じく、敵の守備力が攻撃力の2倍以上あった場合0か1になる。
だが、敵は自分の攻撃力が主人公の守備力以下の時、このようなダメージ計算になる。

(自分の攻撃力/6)*(0%~100%)

主人公の守備力が関係ないことに気づいただろうか?
例えば、リカント(攻撃力40)の前では守備力が40であろうと80であろうと受けるダメージは0~7で固定なのだ。
この場合守備力39では5~10ダメージ。守備力が少し上がっただけで敵から受けるダメージが突然減ることがあるのはこのため。
ダメージ計算が変わるラインは装備品を整えてあげれば適正レベル帯でも十分届くので武器と防具どちらを優先するかの目安にもなる。
ちなみにダメージ計算が変わるかの判定はトヘロスで敵を封じ込めるかの判定にも使われている。
どちらにせよ、乱数を取り出す回数も1回で、ダメージのブレがかなりあるのが特徴。

DQ2(FC・MSX・MSX2版)

同じ攻撃力・守備力でも味方サイドと敵サイドではダメージ計算が異なる。
味方サイドでは、

(自分の攻撃力-敵の守備力/2)*(乱数値/256)
乱数値は[54,197]の間を取る

乱数値は、0から15までの乱数を16回発生させ、その総和に8を加えたもので53以下や198以上にはならないようになっている。
乱数の幅がかなり大きいが、95%以上の確率で基本の式の±30%以内に収まり、54や197が出る確率は0.01%以下。(この乱数算出方法はギラやホイミなどのダメージ計算全般に用いられている)
敵サイドはこれよりダメージが低くなり味方サイドの75%ほどのダメージになる。
そのため、ダメージ計算式がDQ4以降のものになったリメイク版では敵の攻撃力が下げられたり防具が強化されていてもダメージの期待値はあまり変わらなかったりする。
また、敵サイドに限ってこちらの守備力がいくら高くても0~攻撃力/8ほどのダメージが保証されている。

DQ3

変な処理をしている作品代表。SFC版では特に詳しく解析されており、計算式は以下の通り

(自分の攻撃力-相手の守備力/2)*(乱数値/256)
乱数値は[99,153]の間を取る

これだけなら何もおかしくない処理なのだが、この乱数値の算出方法がおかしい為に本作で古くから指摘されていた「やたら乱数が偏る」という現象が起こってくる。
乱数を生成する際、0から15までの乱数を16回発生させ、その総和に6を加える。
この乱数が取りうる値は6~246であり、上記の乱数幅の範囲に全く収まらない。
そこで、この乱数幅からはみ出した場合は99以下は99に、153以上は153としてしまう…という計算をしていることが解析者によって明らかになっている。
 
はみ出したぶんを無理やり最小と最大として計上している本作では、乱数の中央付近に加え最小・最大が突出して高確率。
計算してみると99と153はそれぞれ7.5%前後と、本来の最小/最大付近ではありえない超高確率で出るようになっているため、実際には中央値付近・最小・最大が出やすくなっている
また、FC版ではおそらく以下の計算式になっている。

(自分の攻撃力-相手の守備力/2)*(乱数値/64)
乱数値は[25,38]の間を取る

乱数値の生成方法は不明だが、最小値と最大値がなんと約17%という超高確率で選ばれる。つまり、3回に1回は最小値か最大値が出るということであり、SFC版どころではない偏りとなっている。GBC版以降は不明。
また、今作も敵サイドは0~攻撃力/8-1のダメージが保証されている。【メダパニ】が登場した今作ではこれを利用してメタル系のスライムを倒させることが可能。

DQ4以降・リメイク版DQ1・2

基本ダメージ = (自分の攻撃力 - 相手の守備力 / 2) / 2
乱数幅 = 基本ダメージ/16 + 1 (DQ4・5とリメイク版DQ1・2・6では基本ダメージ/8)
実ダメージ = 基本ダメージ ± 乱数幅内で生成された乱数

ダメージは基本の式の15/16(7/8)~17/16(9/8)倍の間となる。DQ3のような偏りはなく、均等にダメージが出るようになった。
また、DQ6以降は守備力が攻撃力の1.75倍以上2倍未満のとき、0~攻撃力/16のダメージとなる作品が多い。先述のDQMJで攻撃力が501に達した瞬間メタル系のスライムに(メタルボディのダメージ軽減込みで)1~11のダメージを与えられるようになるのはこのためである。
DQ11では【とくぎ】【れんけい】の攻撃力にもこの通常攻撃力が影響するものが多く、固有の倍率が掛かってダメージが算出される。

補足

通常攻撃は大半の敵の行動パターンに含まれているが、中には通常攻撃を行わない種族も存在する。この中には、【判断力】の関係で行動の選択肢がなくなると通常攻撃をしてくるモンスターもいる。
また、強化攻撃や状態異常付与攻撃を通常攻撃として放ってくるモンスターもいる。モンスターズシリーズでは通常攻撃が状態異常付与攻撃になる特性が登場している。
DQ11の【連武討魔行】では、普段は通常攻撃をしてくる敵が絶対に通常攻撃を行わなくなっているケースが多く見られる。
 
DQ6以降特技の充実によって、味方側はもとより敵側でも単純な火力バカでもない限り空気になりつつあった通常攻撃だが、DQ11にて、その通常攻撃が呪文・特技のどれよりも純粋に強く明らかに場違いな数値を誇る脅威のモンスターが登場した。使い手は主に【邪竜ウルナーガ】【憤怒の海獣】で、どちらの攻撃もカウンター不可能という鬼畜仕様。

武器による通常攻撃の変化

装備している武器によっては、攻撃の範囲や回数が変化するなど、通常攻撃が特殊な仕様になる武器も存在する。
以下に代表的なカテゴリと、該当する武器の一部を例に挙げる。

複数攻撃

複数攻撃系の武器を装備している場合は武器に応じた範囲の攻撃が可能になる。
大きく分けて【いばらのむち】などの武器による【グループ】攻撃と、【ブーメラン】などの武器による全体攻撃とがある。
これらの攻撃は、左端に居る【モンスター】から順番に1回ずつ通常攻撃を行うが、1体ごとに与えるダメージは下がってゆく。
・等倍(左端)→ 0.8倍(2番目)→ 0.7倍(3番目)→ 0.5倍(4番目)→ 0.3倍(5番目)→ 0.2倍(6番目以降)
また、この性質の影響で、2体目以降の【メタル系】のスライムにはダメージを与えることができなくなる作品もある。
1ダメージの0.8倍以下=0ダメージと計算されてしまう模様。
DQ3などがこれに該当するが、DQ8のように順番に関わらずメタル系にダメージを与えられる作品もある。
また、上記の通りDQ8以前での複数攻撃では会心の一撃が発生することはなく、これらの複数攻撃の場合バイキルトなどの効果は最初の一撃にのみ反映される。

2回攻撃

以下の武器を装備すると、通常攻撃を2回連続で行うようになる。
【はやぶさのけん】【はやぶさの剣・改】【シャイニーネイル】【ダイヤモンドネイル】【キラーピアス】DQ10、11のツメ全般、二刀流

DQ2・3に登場するはやぶさの剣や、DQ4以降に登場するキラーピアスは普通の通常攻撃を2回行う。詳しくは各ページを参照。
DQ5以降及びリメイク版DQ4に登場するはやぶさの剣とシャイニーネイル、ダイヤモンドネイルは少々仕様が特殊になっており、
攻撃1回ごとのダメージに0.75倍の補正が掛かるようになっている。
そのため、「2回攻撃だからダメージも2倍」とはいかず、実際には通常の約1.5倍のダメージを与えることになる。
当然、【守備力】の堅い相手には1.5倍程度にすらならないこともある。
また、この性質の影響でこれらの武器では、基本的にメタル系の【モンスター】にはダメージを与えることができなくなっている。
1ダメージの3/4=0ダメージと計算されてしまうためである。
こちらの2回攻撃の場合も、基本的に「バイキルト」などの効果は最初の一撃にのみ反映されるが、例外としてSFC・PS2版DQ5では二撃目にもバイキルトの効果が反映される。

ダメージ増加(特効系)

以下にあるような武器を装備すると、該当する系統に属するモンスターを攻撃した際にダメージが増加する。
【ドラゴンキラー】【ゾンビキラー】【はぐれメタルのけん】など。
ドラゴンキラーやゾンビキラーは、それぞれ【ドラゴン系】【ゾンビ系】に該当するモンスターに対してダメージが増加する。
ダメージ増加の方式や割合は、作品や武器の種類によって異なる(詳しくは各ページを参照)。
ただし、例外的にDQ3のゾンビキラーは、後述するように「特効系」ではなく「属性系」カテゴリに該当する。
はぐれメタルの剣は、メタル系のモンスターに対して2ポイントのダメージを与えられるというもの。
バイキルトも有効で、その場合はメタル系に与えるダメージは4ポイントとなる。
また、DQ9では武器のカテゴリごとにも有効な【系統】が設定されている。

ダメージ増加(属性系1)

DQ3のゾンビキラーのみが該当。
ニフラム属性を具えており、敵の当該属性への【耐性】に応じて、確率でダメージが増加する。
耐性を持たない敵には必ずダメージが増加するが、敵の耐性が高くなるごとに発生率が低下し、完全耐性の敵にはまったく発生しない。
追加されるダメージ量は耐性の影響を受けず、16~32の範囲でランダムに決定される。

ダメージ増加(属性系2)

DQ5にのみ登場する性質で、これを装備して攻撃すると敵の耐性に応じて与えるダメージが増加する。
【ほのおのつめ(DQ5)】【こおりのやいば(DQ5)】【ふぶきのつるぎ(DQ5)】が該当する。
炎のツメはギラ属性、氷の刃と吹雪の剣はヒャド属性を持っており、
対応する【属性】に耐性を持たない敵にはダメージが1.5倍、弱耐性を持っている敵には1.4倍、強耐性を持っている敵には1.15倍、そして完全耐性を持っている敵には等倍のダメージを与える。
【呪文】や特技などとは異なり、たとえ耐性を持っている相手であっても与えるダメージが減少することはないのが特徴。
各武器の詳しい性能などは、それぞれのページを参照。

追加効果(ダメージ)

DQ6から登場した効果。発動条件などの詳細はこちら

追加効果(状態変化)

DQ4から登場した仕様で、攻撃後に武器に応じた追加効果が発生する場合がある。
詳細はこちら

その他

その他にも様々な形で通常攻撃に影響を与える武器が存在し、
通常攻撃によって与えたダメージに応じて自分もダメージを受けるようになる【もろはのつるぎ】
通常攻撃によって与えたダメージに応じて自分のHPが回復するようになる【きせきのつるぎ】といった武器も存在する。

また、中には通常攻撃によって与えるダメージが「1」で固定となる【どくばり】や、
通常攻撃が「ミス」か「会心の一撃」になる【まじんのかなづち】など、
その性質がかなり特殊なものへと変化するものもある。
武器の付け替えができる場合、付け替えだけでもかなり性質の違う攻撃を使い分けられる。

敵の強化攻撃

通常攻撃とは異なるが、その延長にあるような敵専用の攻撃に、【強化攻撃】というものがある。
「激しく斬りつける」「鋭い牙で噛みつく」といった類の攻撃のことを指し、与えるダメージが増加する通常攻撃となっている。
増加する割合は攻撃の種類や作品によって異なる。
味方側のキャラクターが繰り出せることもあるにはあるが、基本的には敵専用の行動である。詳しくはこちら