【エルフ】

Last-modified: 2024-03-10 (日) 05:11:00

概要

数多くのファンタジー作品に登場する種族。elf。
元はゲルマン民族の民話・童話に出てくる【妖精】や小人で、いわゆる妖怪の一種であり、例えばシューベルトの歌曲『魔王』は原題を直訳すると「エルフの王」である。
今日のファンタジーRPGにおけるエルフ像はトールキン『指輪物語』(The Lord of the Rings)での描写を下敷とし、史上初のテーブルトークRPG『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』で定着したもの。
森に住み、自然と共に生き、非常に長命で若々しく、太古の伝承や魔法に深く通じるとされる。
加えて日本では痩身で「細長く」尖った耳(いわゆる「エルフ耳」)のビジュアルが定着しているが、これは1980年代末のライトノベル『ロードス島戦記』の影響と言われる。
指輪物語やその影響を受けた文物が流行りだした頃のエルフ像は必ずしも痩身の魔術師寄りではなく、女性キャラであってもアマゾネス寄りのマッチョ戦士系などが散見される。
しかし『ロードス島戦記』が先に映像化されて輸出され、更にインスパイアされた日本作品も続々と評価されたことで、細長い耳のビジュアルや魔術主体のイメージが国外でも定着していったようだ。
一方で『ロードス島戦記』の耳はまるでアンテナのように細長く頭頂部に達しそうなほどであり、ここまで細長い耳は2000年代で既に廃れていたという意見もある。
なお「エルフ」はトールキンの造語ではないため、トールキン財団の版権管理が厳しくなった今日でも、問題なく使用されている。そして今日のファンタジーでも稀にだが妖怪や魔王、魔族のイメージで登場することがある。
 
ドラクエでの登場例はそれほど多くないが、DQ3の【エルフの女王】、DQ4の【ロザリー】、DQ8の【ラジュ】が代表的。
上述の由来を反映して、「妖精」との違いがかなり曖昧になっている作品もある。
DQ10では妖精とはっきり区別され、プレイヤーが選択できる種族の1つとして登場した。
初出のDQ3では人間を嫌っているという設定だったが、その設定はシリーズが進むごとに薄れていき、現在ではそんな設定はほぼなかったかのような扱いになっている。

DQ3

FCでは「丈の長い緑白の服を着た緑の長髪にとがり耳の女性」と言った姿をしている。
【レイアムランドのほこらの巫女】【ルビス】もエルフのグラフィックが使われているが、エルフだと明言されているのは、【エルフの隠れ里】に住む者のみ。
このグラフィックのキャラクターは、特殊能力を持っているようで、【へんげのつえ】で魔物の姿になっても、【きえさりそう】【レムオル】【透明】になっても見破られてしまう。
しかし、【ホビット】に化けた場合は、多くの場合において見破られない様子。
詳細は【すがたを かえても わたしたちには わかります。】を参照。
 
【知られざる伝説】では尖った耳に布のような翼で描かれている。先述の『ロードス島戦記』の影響を受ける前の頃で、幅広な耳になっている。

リメイク版

上記以外に【ようせいのふえ】の情報を話してくれる女性が、汎用の女性からエルフにグラフィックが変更となっている。
おそらく一般人がルビスの解放にかかわる重要アイテムのことを知っているのが不自然だからと思われたのだろうが、町中で【詩人】と語り合うかのようにテーブルを囲み並んでいるエルフも何気に斬新(というかこれが初)な構図である。
 
このほかにも【精霊のほこら】【オルテガ】を信望する個体が追加されているが、一方ルビスやレイアムランドの巫女には独自のグラフィックが設定された。
【エルフの女王】と全てを司る者も通常のエルフとは異なるグラフィックだが、魔物や透明の姿になって話しかけた際のリアクションは通常のエルフと同様である。
 
また変化の杖でスライムに化けた場合、エルフの隠れ里の道具屋だけは騙せるようになった。
FC版の頃はNPC【住民】としてのスライムは存在しなかったが、FC版で【ランシール】にいたホビットがリメイクでスライムに変更されているなど、良いスライムをよく見かけるようになったという事情もありそうだ。

DQ4

FC版では緑髪やとがり耳は同じだが、服の色が青に変更。
初登場は第二章で、【さえずりの塔】【さえずりのみつ】を摘んでいた姉妹が登場する。
彼女たちは、第五章で【天空城】にて再登場し、実は3人娘であったことがわかる。
しかし、名前が発覚しているのは右端の【リース】のみで、姉らしき真ん中のエルフと左端のエルフの名前は不明。
右の2人はDQ3程ではないが人間を忌避しているが、左端のエルフのみ、「くるりん くるりん」と楽しそうに踊っているだけなので、忌避している様子はない。
 
また【世界樹】の根本には【エルフの里】を作って生活している。こちらは特に人間を嫌っている様子はない。
これらのことからDQ4のエルフは天空城と関わりが深いと推測され、魔族と対になる存在と思われる。
実際にリメイク版では【ピサロ】は自分は【魔族の王】だからと天空城には入らない他、
世界樹を破壊をするつもりでいたと話を聞くことができる。
よって彼がエルフの【ロザリー】と恋仲になったことは、敵対者と恋仲になったことになる。
【知られざる伝説】では天空城に住む者が尖った耳に昆虫の様な透き通った羽で描かれている。前作よりも明らかに細長く描かれており『ロードス島戦記』の影響が伺える。ただし妖精表記。ロザリーはエルフ表記だが彼女の姿はシルエットしか描かれていない。頭の横から角が生えているようにも見えるがこれがロザリーの長い耳なのだろうか。
 
本編中で詳しくは言及されていないが【シンシア】もゲーム中のグラフィックはエルフである。
公式ガイドブックのイラストでは金髪の人間の少女だが、小説版などではゲーム中のグラフィックを元にしたのか、エルフという設定になっていたりと、はっきりしない。
同作中では【勇者】とピサロが写し鏡の存在であると示唆するものも多い。

リメイク版

一般のエルフはFC版と同じ緑髪だが、ロザリーだけはなぜかピンクの髪である。
また、シンシアもピンクの髪にとがった耳と、ロザリーと同種族らしきグラフィックとなっているが、やはりゲーム内ではエルフとは言及されていない。
 
PS版では【移民】カテゴリとしても登場し、非人間系ということで【ミステリータワー】の構成員になる。
該当移民は【エクル】【エビータ】【ニース】【ネヴァン】【ノーラ】【マローネ】【ミース】【ムーンシア】の8人。
 
これらのエルフのうち、ニース、ミースは、天空城にいるリースとセットで3姉妹であるという設定が加えられた。
…のだが、ニースとミースを移民させても、上記の天空城のリース以外の2人のエルフはどこにも行かないので、どうやら移民2人とは別キャラのようである。
じゃあ、この姉っぽいキャラは誰なんだ、と。
なお、上記の通りミステリータワーの構成員となる特殊種族ではあるが、なぜかホビットおじさんと同様に特殊種族優先の移民スポットよりも人里の方に出現しやすい。
 
ロザリーの弁によれば、森に棲むエルフに個人名というものは無いらしい。
という事は、リースなど天空城のエルフや移民たちとは別種なのかもしれない。

DQ5

妖精である【ベラ】が自己紹介するときに「私はエルフのベラ」と発言している。
【妖精の村】にはドワーフも住んでいるので、ドワーフと区別するためにエルフと名乗ったのだろうか。
 
他には【エルフのおまもり】【エルフののみぐすり】というアイテムが初登場した。どちらも妖精とはゆかりがなさそうな場所で手に入る。

DQ7

【エルフのみずさし】というアイテムが登場する。
過去の【クレージュ地方】にある神木を守る【神木の少女】から渡される。
後にこの少女は自分が妖精であることを告げるので、「エルフ族の妖精」なのかもしれない

DQ8

【人跡未踏の森】の奥にある【三角谷】では、人間と魔物とエルフが共存して暮らしている。
ただし確認できるエルフは村長的存在である【ラジュ】という女性のみ。

DQ10オフライン

DQ10の種族
【オーガ】【プクリポ】―【エルフ】―【ウェディ】【ドワーフ】
【人間】【竜族】

風の民 エルフ
自然を愛し 森と共に生きる
背に小さな羽を持った かれんな姿の者たち。
伝統と格式を重んじる彼らは
世界の理を 深く学び
多くの優れた呪文の使い手を 世に送りだした。

主人公が転生先として選べる種族の一つとして登場。主に【エルトナ大陸】に住んでおり、転生先に選ぶと【ツスクルの村】から冒険が始まる。
対応する種族神は【エルドナ】
背中に生える小さな羽や人間とは異なる紫系の肌の色など、他のDQ作品に登場するものとは異なる外見をしているが、尖った耳をもっている点や、森林や世界樹と関わり深いことは共通している。他の種族と同じく男・女のエルフが存在する。
人間と同じスピードで老化していることから、長命ではない模様。
エルトナ大陸が和風な雰囲気もあってか、NPCの名前やイメージ曲【風の民エルフ】をはじめとした楽曲もまた和風で統一されている。
 
仲間キャラとして【フウラ】、NPCには【巫女ヒメア】【領主タケトラ】【ニコロイ王】などが登場する。

DQ10オンライン

種族による能力差がなくなるまでは、回復魔力が高く、風耐性を持つのが特徴だった。
なお、【鳥山明】によるデザイン原画で一緒に描かれていた謎の小動物は、他種族のものと同様再利用されている。
詳しくはこちらを参照。

DQM2(GB版)

【エルフのもりのかぎ】で行ける【エルフの世界】がある。PS版とイルルカでは登場しない。

DQM3

ロザリーが登場。
その他本作においてエルフの始祖は時と位置を司る特別な魔力を持ち、エルゼト王国に住んでいたという。
位置を司る【トラベライト】と時を司るクロノライトという二つの魔石を作ったが、
それに目をつけた【エビルプリースト】軍の侵攻で二つの魔石を奪われ、エルゼトも深い地の底に引きずり込まれ
エルフ達も【ストーンマン】に、女王は【流神殿の魔界】に変えられてしまった。

ヒーローズ1

【シーラ】の村がエルフの暮らす村と言われているが、登場するのは【村長】とそのお付きの者のみ。
あとは【ピサロ】が「エルフと親しい」と言及するのみ。

シアトリズム

DQ10のエルフがプレイヤーキャラクターのひとりとして登場。性別は男。
DQ10(Ver.1)のタイトルムービーやパッケージイラストに登場しているものがモデルになっている。
初期職業は【僧侶】で衣装は【聖者のほうい】だが、手にしているのはDQ10のVer.1ムービー同様、僧侶が装備できない【いかずちの杖】になっている(一応DQ10では賢者でいかずちの杖を装備できるが。聖者のほういは当初は僧侶専用だったが、後に賢者も装備できるようになった)。

ドラけし!

ドラポンから排出される星4紫属性のドラけし。スキルはニフラム。姿は緑の長髪の女性。
一部のステージでNPCとして登場しているが、DQ10の夢幻の森では本来のDQ10の種族の代わりに登場している。

アイテム物語

書籍「ドラゴンクエスト アイテム物語」の【王者の剣】のエピソードでは、【ルビス神】の命を受けて、エルフの少女エアリエルがノアニール地方から滅亡寸前の【ムー】にやって来ている。
心正しき人間に課された「百日の間に、神々に捧げる武具を造る」という試練を、【ホビット】のエドラスとともに手助けするためである。
 
エアリエルは熟練した職人より正確に石炭の良し悪しを見極めている。
実際の石炭にも無煙炭、瀝青炭、褐炭などの種類があるが、これは人間にも区別できる。エアリエルはさらに細かく炭素の純度や不純物を見極めていたのだろう(石炭を強熱して、不純物を取り除いたり、炉の高温で石炭自体が融けるのを防ぐことができる『コークス』は知らないようである)。
 
挿絵では、エアリエルは人間の女性の姿に近いが肌の露出が大きい服を着ており、長く尖った耳は頭のてっぺんに届きそうなほどである。
 
同エピソードでは、エルフは「妖精」とも呼ばれている。
また、ホビットともども人類よりも古い種族とされており、天地創造のときから存在したという伝説がある。

ロトの紋章

蜃気楼の塔が消えた後にできたオアシスで、エルフたちがバザーを行っていた。
アルスたちはアッサラームで手に入れた変化の杖を用いて、そのバザーに行ってみることとなる。
商いを行ったりイカサマを用いたりと財宝を探したりと、我々の知るエルフのイメージとは大きくかけ離れていることから、「ロトの紋章」のエルフはどことなくホビット族の要素も含んでいるのだろう。
エルフの若者・ピエタはヤオとその後、もう一度関わることとなる。
 
ちなみに、本作の原作とも言えるDQ3では変化の杖でエルフに化けることはできない。エルフと会話するためには上述のとおりホビットに化ける必要がある。