【まぞっほ】

Last-modified: 2022-07-07 (木) 18:46:17

ニセ勇者一行
【でろりん】【ずるぼん】【へろへろ】―【まぞっほ】

概要

漫画【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場する人物。
旧アニメ版のCVは青野武が務め、彼は【ハドラー】も演じた。
新アニメ版は過去に【トロデ】を演じた岩崎ひろし。
 
ニセ勇者【でろりん】一味の一人で、【魔法使い】の爺さん。出身は【パプニカ王国】らしい。68歳。
一味はそれぞれ、でろりんがDQ3の勇者【ずるぼん】女僧侶【へろへろ】【戦士】に準じた服装になっているが、まぞっほもDQ3の魔法使いと似たローブを着て、型崩れしたとんがり帽子をかぶっている。パーティで1番背が低いのもDQ3の魔法使いキャラと一緒。
DQ3の魔法使いがふさふさの白ひげをたくわえたお爺ちゃんなのに対して、まぞっほのひげは黒く、くるりと巻いた細っこい口ひげと、ヤギのような顎ひげを生やしている。
 
魔法の腕前が注目されるシーンはほとんどないにしろ、【マトリフ】とは同じ師匠の下で修行した間柄。
マトリフは兄弟子に当たるようで、兄者と呼んでいる。
一見すると傲慢で荒っぽいマトリフだが、まぞっほからはしっかり敬愛されていたようだ。師匠が上下関係に厳しい人だったのか、あるいは持ち前の面倒見の良さで、弟弟子とも良い関係を築いていたのかもしれない。
そのマトリフが師匠として多大な影響を与えた【ポップ】に、精神面から大きな前進を促した男でもある。
 
出番は少ないのだが、要所要所でオイシイところを持っていくことに定評がある。

略歴

かつては正義の魔法使いに憧れていて、マトリフと同門のある魔法使いに師事していたが、敵と対峙しても肝心な場面で踏ん張れずに逃げてしまうという情けない姿をさらし続けた末、夜逃げしてしまう。
その結果、小悪党へと堕落してでろりん達と出会い、【デルムリン島】襲撃の一件など、ニセ勇者一味として様々な悪さを働いていた。
 
ロモスが【クロコダイン】に襲撃された時には、ニセ勇者一味揃って廃品回収と称した火事場泥棒を行っていた。
その際、戦いに怯え【ダイ】【マァム】を見捨てようとしていたポップに遭遇。「みどころがありそうな顔しとる」と仲間にスカウトしている。
誘いに対して小悪党と一緒にするなと【アバンのしるし】を誇示するポップだったが、まぞっほは「アバンの使徒とは仲間を見捨てて逃げるようなものでも務まるのかね?」と手厳しい嘲笑を浴びせ、【水晶玉】でピンチに陥っているダイ達の様子を見せつけた。
それでも「何とかしてえ!…けど…!」と立ち向かう勇気を振り絞れないポップに、まぞっほは嫌味な態度を一変させ、

勇者とは勇気ある者ッ!!

と叫ぶ。さらに

そして真の勇気とは打算なきものっ!!

相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃなぁいっ!!!

と、大きなコマ割りでこれでもかと怒鳴りつける。
ポップは自分たちと違う道を進む素質を持っていると感じ取り、これができずに堕落した自分と同じ道を歩ませないためにかけた、叱咤激励の言葉であった。
案の定師匠からの受け売りではあったが、まぞっほ自身も「行け…胸に勇気のかけらが一粒でも残っているうちに…」と励まし、「小悪党にゃあなりたくなかろう…?」とわざと悪人ヅラで笑いかけ、戦いに戻るポップを後押ししている。
 
【アバン】のような人格者や、ダイのような勇気の持ち主ではなく、しょっぱい小悪党のまぞっほが自分自身に照らして言った言葉だからこそ、ポップや読者の心に響いたのだろう。
その後、クロコダインを打倒し国民に祝福されるポップの姿を遠巻きに眺め、「坊主、お前は本物だったようじゃな。がんばれよ、これからも」と内心で激励の言葉を送っていた。
 
最終決戦の最中には、【ゴメちゃん】の奇跡でダイと関わった人々に最終兵器【ピラァ・オブ・バーン】の危険が伝えられ、「知り合い」に含まれていたニセ勇者一行も危機を知らされる。
一行はたまたまピラァ落下地点のひとつ、北国【オーザム】に避難していたため、互いに軽口を叩きつつ【黒の核晶】凍結に向かうが、他のピラァと違い、魔界のモンスター【ジャミラス】が番をしていたため手出しできなくなってしまう。
そこへ駆け付けてきたマトリフが【メドローア】によってモンスターを消滅させ、まぞっほは兄弟子と数十年ぶりの再会を果たした。
無理を押したメドローアでMPと体力が尽きたマトリフは、その場にいたまぞっほに凍結作業を命令。大役に尻込みするまぞっほの腹をぶん殴り、「地上が吹っ飛ぶから今回は逃げ場はない」「一生に一度ぐらい本物の英雄になれ」「最後にチョコッと手を出すだけで英雄になれるんだ。こんなボロイ役はねぇ…!!」と焚き付ける。
でろりんの叱咤やずるぼんの懇願にも後押しされ、ついにまぞっほは黒の核晶に【ヒャド系】呪文をぶちかまし、その機能を止めて【バーン】の地上消滅計画を阻止した。
かつてポップの背中を押した「打算なき真の勇気」を、小悪党一味だったはずのまぞっほが発揮し、文字通り世界を救った瞬間であった。
 
エンディング後は他の一味同様、マトリフにいいように扱き使われているようだ。
さすがに「チョコッと手を出すだけで英雄になれるボロイ役」ではなかったが、間違いなく世界を救った一人である。

能力

魔法使いらしくひと通りの攻撃呪文は使えるらしいが、修行中に逃亡したせいなのか素質のせいなのか、その威力はいまひとつらしい。
また、【ふしぎなおどり】に弱く、ダイにその弱点を知られた際には【パペットマン】(旧アニメでは【じんめんじゅ】)をけしかけられ、踊りに釣られて無力化されてしまった。
一方、新アニメでは「自分より強い怪物(モンスター)に出会うと仲間を見捨てて逃げるなんてザラ」と言われている割に魔物の襲撃にも怯まず、ヒャドで【だいおうイカ】【キラーパンサー】を次々と凍らせ無力化するなど、実戦的な魔法の使い方で意外な奮闘をみせた。
その勢いで【ブラス】にも勝負を挑んだが、【バギ】で吹き飛ばされた所へ【ドラゴン】のブレスを食らって呆気なく敗北している。
 
ちなみに、新アニメ以外で彼が使用した呪文ではっきりわかっているのは黒の核晶を凍らせたヒャド系呪文だけで、デルムリン島で暴れた際にも使った呪文はセリフが無く判別不能となっている。
ヒャド系呪文はでろりんや【ずるぼん】も使える上に、作中ではでろりんの方が呪文に長けている描写があるため、どうにも立つ瀬がない。
 
ただ、彼は【水晶玉】を用いた遠視に長けているようで、クロコダインと戦うダイ達の様子を片手に持った水晶玉で次々と投影して見せるシーンもあった。
一概に比べられることではないが、作中で水晶玉を用いた遠視を行った他の3人は、本職で経験豊富であろう【ナバラ】は両手を使って集中した状態で投影しており、経験不足な【メルル】は僅かな時間の投影が精一杯、まぞっほの十倍以上生きている【ザボエラ】【あくまのめだま】を介して遠視している。
魔法使いではなく【占い師】の道を選んでいれば、小悪党にはならずに済んだのかもしれない。

勇者アバンと極炎の魔王

前述の通り師匠の元で共に修行をしていた時があり、マトリフからすると弟弟子にあたる。
マトリフを「兄者」と呼び慕っていたが夜逃げした事を【ディードック】が言及している。
若いころの姿も回想シーンで登場しており、特徴的な髭はまだ生えていない。
マトリフに「才能はある奴だった」とも言われており、まさしくポップのもう一つの未来であったのかもしれない。
 
第18話の回想シーンではまさに「勇者とは勇気ある者」の言葉で師匠から諭されている場面、兄弟子との実力差にコンプレックスを抱いている姿が描写された。

第5巻に掲載されたキャラクタープロフィールにおいて得意呪文が氷系だと明記された。

余談

でろりん、ずるぼん、へろへろといった珍妙な名前が並ぶニセ勇者一味だが、まぞっほという名前の人物は実在する。
オーストリアの作家ザッヘル=マゾッホという人物であり、その名はマゾヒズムの由来になっていたりもする。
まぞっほに作家要素やマゾヒズム要素は一切ないため、モデルではなく単なる偶然だろう。
原作者は「ハドラー」という名前が実在することに大層驚いたそうだが、奇しくも同じ声であるまぞっほの名前が実在することについてはどういう反応を示すのだろうか。
 
ポップを励ます前に嘲笑するシーンでは、ハナクソをほじってピンと飛ばす下品な仕草を見せているまぞっほだが、兄弟子マトリフも、ポップとのメドロ―ア修業で休憩中に同じ仕草をしている。
マトリフの方は賢者の肩書きについて「言葉面が気に入らない。“賢き者”なんてエラソーでドスが効いてない」と気の抜けた顔で言った直後、自信満々な顔になって「世界に一人、最強の呪文使いの呼び名として大魔道士を名乗った」と格好いい事を言っており、ギャップを演出する時のクセという変なところが似ている兄弟弟子であった。