【マトリフ】

Last-modified: 2024-04-07 (日) 03:23:47

勇者アバンのパーティ
【アバン】【ロカ】【レイラ】―【マトリフ】―【ブロキーナ】

ダイの大冒険

漫画【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場する人物。アニメでの声優は旧版は青森伸。新版は山路和弘(DQ11Sボイスドラマの【グレイグ】の父役)。
かつて【アバン】と共に【ハドラー】と戦った【大魔道士】
劇中では【ポップ】の第二の師となり、「先生はアバン一人」という事で、師匠と呼ばれるようになる。
呪文以外の知識も豊富で、まだ若い主人公パーティーへの助言役となる場面も多々あった。
「大魔道士マトリフ」は新アニメ16話のサブタイトルにもなっている。
 
【魔法使い】が扱う呪文はもちろん、【僧侶】の回復呪文も扱い、さらには独自の呪文まで開発している。
両手で二つの呪文を同時に使用するという技能も持ち、研究と実践の両面に於いて『魔法』というものを知り尽くした人物。
ただし、98歳という高齢に加え、【禁呪法】まがいの無茶な魔法を多用したツケのために、魔力はあっても体力がついてこない状態になっており、高度な呪文を使うと反動で吐血したりする。
 
僧侶の呪文も扱えるため、呪文適性の面では【賢者】と呼ばれるべき人物なのだが、本人はこれを「偉そうでドスが効いていない」と嫌い、誰が聞いても恐れ入ってしまう肩書として「大魔道士」を自称する。その名に恥じない実力故に、名乗られてケチを付ける者もいない。
 
ニセ勇者一味の【まぞっほ】とは同時期に同じ師匠に師事していた兄弟弟子の関係にあるが、彼らの年齢差は31歳と親子並みに離れている。
「勇者アバンと獄炎の魔王」では回想にて彼らの修行中の姿が見られるが、まぞっほが青年なのに対して既に中年に差し掛かった容姿であり、仮にこの時まぞっほが20歳だったとすればマトリフは51歳。
幼少期から死期を悟った師匠に卒業を言い渡されるまでかなりの長い間里を出ずに修行を続けていたと思われ、ひょっとしたら魔法使いとしては結構な遅咲きだったのだろうか。

性格

偏屈で女好き、弟子のポップをして「横暴が服を着て歩いてる」と言わせたサディストでもある。性格のせいなのか家族はいない。
かなりの自信家でもあり、前述の「大魔道士」のほか、「世界最強の呪文使い」、拳聖【ブロキーナ】と並ぶ「世界で最も有名な老人の一人」などと自称する場面があるほか、体力の衰えを自覚しつつも「魔法力において1分間ならまだ誰にも負けねえ」と言い切る。
 
その一方で「魔法使いはパーティの中で一番クールでなきゃならねえ」という持論通り、物を見る目は非常に鋭く、かつ何があっても取り乱さないほど冷静沈着。
仲間のための冷静な振る舞いを心掛けていることもあり、パーティー全体を気にかける視野の広さや、面倒見の良い所も併せ持っている。
ダイ達にも個性と連携の大切さを説いており、特にポップに対しては先の「魔法使いは一番クールでいろ」という持論と共に「無数の呪文と知識によってパーティメンバーの危機を振り払うことが魔法使いの役目である」という考えを強く教え込んだ。
 
そんなポップとの修行で最初に覚えさせたのは、攻撃呪文ではなく移動呪文の【ルーラ】
ポップはスパルタな修行に音を上げて「ルーラなんて戦いに必要ないだろ」と舐めた態度を取るが、マトリフはバルジ島から脱出する際に気球を【フレイム】に燃やされ墜落の危機に陥った事を引き合いに出して、その視野の狭さを一喝する。
 
「もしおまえがルーラを使えていたら 炎上する気球船からたやすく仲間を救えたことがわからんのか!!?」
 
それまでグダグダと言い訳していたポップは「自分に何が足りないのか、自分がどう戦力外なのか」をこの一言で理解すると共に自分の未熟さを改めて痛感し、愕然としている。
ポップの習得したルーラは、終盤まで脱出や救助で何度も印象的な活躍を見せることになるため、先見の明があったと言えるだろう。
 
剣も魔法も使える【勇者】である【ダイ】に対しては【空裂斬】のコツを掴めるよう指導したが、魔法が使いたかったら魔法使いのこいつ(ポップ)がなんとかすると説明して、特に呪文の修行はつけなかった。
その上で、何でも出来るが専門家には及ばない、しかし勇気こそ最大の武器だという「勇者本来の意味」を教え、力なら戦士、呪文なら魔法使いのように、専門的な力が必要なら専門家の力を借りろと助言している。
「パーティの力とは補い合えるチームワークなのだ」というこの言葉は、陰で聞いていた【マァム】にも影響を与え、僧侶戦士から武闘家に転職する決断のきっかけとなる。
ダイが【竜の騎士】であることを察したときは、勇者としてではなく人間として大きな壁にぶつかることを予想し、ダイが傷つき精神的同様に直面した時には支えになるようポップに教えるなど、戦闘以外の面でもパーティーの繋がりを説いていた。
アバンと旅をしていた時に禁呪法まがいの強力な呪文を使い続けてきた反動で体を病んでいるが、吐血するほどの負担を押してポップに【メドローア】を伝授しようとするなど、認めた相手には身を挺してでも熱心に向き合い続ける。
 
「女を泣かさない」というポリシーも持っているらしいのだが、ボディタッチ等のセクハラで女性を怒らせることはしょっちゅう。
こんな所でも人を見る目が確かと言うべきか、セクハラされて泣いたりショックを受けたりするような気の弱い女性には手を出していないので、確かに「泣かさない」のだが…。
命懸けの無茶な戦いをしがちな自身の性格を踏まえ、もしもの時に悲しませる相手を作らない…という意味にもとれる。

「日常」においてはいい塩梅にハメを外してちゃらけているが、いざという時はスイッチが切り替わったように冷徹無比な本領を発揮する。
体に無茶な負担をかけることを繰り返しながらも98歳という高齢まで生きてこられた最大の秘訣は「上手にオンとオフの切り替えができる」ことなのかもしれない。

足跡

ハドラー討伐

魔王ハドラー討伐を目指すアバンのパーティに加わっていた。
アバンの旅立ちはロカとの二人きりだったので、他の仲間である僧侶レイラや武闘家【ブロキーナ】同様、出会いのシーンは描かれていない。
レイラはアバンとロカ二人のパーティーに加入していると言っていることから、順番としてはレイラより後に仲間になったと思われる。
 
一度目の対決はアバンが討伐は難しいとして【凍れる時間の秘法】による封印を選び、マトリフは雑魚すべてを引き受けて戦いぬくがアバンは秘法に失敗、一時の封印には成功したもののアバン自身も巻き込まれ、ハドラーと共に時間停止状態となってしまう。
これを目の当たりにしながら何も出来なかったマトリフは己の実力不足を悔い、最強最大の消滅呪文メドローアを編み出すに至る。
 
メドローアは時間停止している物体でも問答無用で消滅させられるため、凍れる時間の秘法による封印が解ける前にハドラーを消滅させてしまう事も可能(おそらくこれが開発の最大目的)だったが、開発が間に合わなかったのか一年後に封印が解けるまでハドラーは健在であり、マトリフは2度目の討伐にも同行。アバンがハドラーを討ち倒すその時までサポートし続けた。
 
ハドラーを討伐した後は、【パプニカ王国】にて王の相談役として王宮に迎え入れられていた。
しかし一部の側近がマトリフの事を快く思わず嫉妬して冷遇し出したため、「助けてもらった恩も忘れてすぐに掌を返す人間」に嫌気が差し、地位を捨てて【バルジ島】付近の海岸にある洞窟に移り住んで一人で隠居していた。
 
なお、パプニカ時代の冷遇に関しては、嫉妬以前の問題として「そもそもマトリフに宮仕えが向いていないのでは?」と言う説もある。そもそもマトリフが優れた魔法使いであり、優れた師であるのは間違いないのだが、治世に携わる者としての素質はまた別のもの。面倒見良く的確な助言もできるとはいえ、立場のある地位に立って国に仕える以上、その人の人と成りや性格面なども無視はできない。飄々とした性格で堅苦しいのを嫌い、女性と見ればセクハラするようなマトリフが、王宮での生活に馴染めるのかと考えてみれば、かなり微妙な所だろう。
もちろん先代パプニカ王の時代は【バロン】【テムジン】などの奸臣が蔓延っていたのも事実であるため、そうした者達がマトリフを冷遇した可能性は十分有るが、王宮の全員が奸臣と言うのも考えにくい。彼の性格的に周囲との軋轢や確執が生じ、そのつもりがなくても知らぬうちに敵を作ってしまい、そうした流れでマトリフに対するあたりが強くなってしまったのかもしれない。
 
また、大臣をぶん殴って辞職した【ジャンク】の境遇とも繋がり、ダイ大では「宮廷は堅苦しく窮屈な場所である」「能力有るものは冷遇される」と言う扱いが一般的な様子。その割に出てくる王や重臣は有能だったり、無能でも心優しい者が多いため、あまり繋がらない所ではあるが。

新たな魔王軍

大魔王【バーン】による新たな魔王軍が地上の侵攻を開始し、いくつかの国が攻め落とされ、かつて宮仕えをしたパプニカ王国が陥落する事態に至ってもなお、世俗を捨てたマトリフは我関せずで隠居を続けていた。
 
しかし、自身が住む洞窟の目と鼻の先であるバルジ島にて、ダイ達が【フレイザード】との一度目の戦闘からの離脱、島からの脱出を図っているところを見て、気まぐれで手助けする。
幼少期以来の久方ぶりの再会と相成ったマァムを猛烈なセクハラと共に歓迎はするが、事情を聞いて助力を請われるも「やだ」とすげなく拒否、過去の経験を語り「人間は恩知らずだからどうせ助けても都合がよくなればすぐに掌を返す」「先程助けたのはあくまで気まぐれで、これ以上はもうダメ」と追い返そうとする。
しかし、意識を取り戻したダイからアバンの訃報を知らされると共に、ダイの必死の説得に心を打たれたこともあり、彼らのサポートをしていくようになる。
 
この時、魔法使いのポップに目をつけ「見どころありそう?」と聞いてきたマァムに対し、いきがる彼を見ながら「あんな弱そうな魔法使いはじめて見た」「俺が何とかしないとあいつ死ぬぞ」とボロクソに評し、スパルタで徹底的に鍛え直すためにポップを自身の弟子とする。
この時はメドローアこそ教えていないものの、【ベタン】などのオリジナル呪文を含む殆ど全ての呪文の契約をさせている。ただし、ポップのレベルと心構えの問題で、全て使えるようになるのはもっと後となる。
これらのオリジナル呪文は強力だが、かなり高い魔力を持つポップでも数発しか撃てないほど燃費が悪い。尖った性能を使いこなせた往年のマトリフの腕前の証左だろうか。
 
彼の修行はスパルタという表現すら生温いもので、準備運動と称して魔物に跨りポップを追い回し、ルーラの原理を叩き込むために重石を括り付けて滝壺に落とす、ダイ達の拠点から遥か遠くの【ベルナの森】のド真ん中に置き去りにしてルーラでなければ帰還出来ないようにするなど、凄まじいものであった。
しかし「追い詰められなきゃ絶対に努力しやがらねえ」(旧アニメ版では「助ける人間がいると分かっていると努力しやがらねえ」とも)と語っていたように、修行のどれもが彼からあらゆる物理的・精神的な逃げ場を封じた上で奮起させることを狙ったものであり、いたずらに鞭打っていた訳ではない。…単にサディズムぶりを発揮したかっただけな気もするが。
あまりの厳しさに音を上げ「ルーラなんか覚えたって戦いの役に立たない」と零したポップに、冒頭に述べた事を指摘しその視野の狭さ・考えの浅さを徹底的に叱責している。
 
加えて、旧アニメ版ではまったく成長を見せないポップの姿に「もっとも、アバンみたいな甘ったれに育てられりゃ、こういう弟子に育つわな?」「アバンは甘過ぎるのが欠点だ。アイツにゃ弟子は育てられん」と批判し、対してポップが「俺の事はいくら言ってもいいけど、アバン先生の悪口は聞き捨てならねえ!」と憤慨。対してマトリフは自分との勝負に勝てたら幾らでも取り消すと挑発し、原作での魔法力をぶつけ合う場面に繋がる。
 
だが、ポップが苦心の果てにルーラを習得し拠点に戻った際には「よし、お前が(バルジ島攻略メンバーの)4人目だ」とその成果を一言で認め、出発間際に「また戻ってくる」と言うポップに「逃がしゃしねえよ。お前に言ってやりたいことはまだ山ほどある」と、ポップとの正式な師弟関係を築く。
 
ポップへの指南に隠れがちだが、ダイにもフレイザードの性質を踏まえて「目に見えないものを斬る」心得を教えており、目隠しをした状態でマァムとの模擬戦をやらせていた。これは後にダイが【空裂斬】を習得する大きな助けとなっている。
 
その後しばらくは暇を見てポップの指南をしつつもあくまでサポートとして影ながらダイ達を支えるのみであったが、ダイが【竜の騎士】だという事実が分かった後は、事の深刻さを理解する。
特にダイが自分の出生で大きな壁にぶつかることを予期して、ダイを勇気づけるために【アバン】が残した【アバンの書】を探しに【カール】王国へと向かった。
なお、事態の深刻さからかこの辺りから女性に対するセクハラ行動はなくなっている。
 
アバンの書を渡すために【テラン】王国にて【バラン】と対峙した傷を癒すために休養しているダイ達一行の下に赴く。
その時ハドラーが【ザボエラ】の姑息な作戦に乗って夜襲を仕掛けてきており、見張りに立っていたポップを除いて全員深く眠らされ、当のポップも生き返った直後で体調が万全ではない上にマァムの姿による色仕掛けによる不意打ちで毒を盛られて身動きを取れなくされ、あわや全滅かと思われたところで駆けつけてピンチを助ける。
 
宿敵ハドラーと再会したマトリフは「来いよ三流魔王、俺があの世に送ってやるからアバンに謝ってこい」と威風堂々の挑発。
ポップに向けて【キアリー】を使いながらハドラーと【ベギラマ】の打ち合いをし、それでもなおハドラーを圧倒するほどの魔法力を見せ付ける。
焦ったハドラーが極大呪文の【ベギラゴン】を使って一気に決着をつけようと試みるが、マトリフも同じべギラゴンを使ってハドラーを再度圧倒する。
同時に二つの呪文を扱い、極大呪文ベギラゴンをも操り、魔王時代から二度のパワーアップを果たしたハドラーを単独で圧倒するという「人間界最強の大魔道士」に嘘偽りない実力を見せつけた。
 
しかし復帰したザボエラの加勢のベギラマにて分が悪くなり始めた事に加え、べギラゴンの反動で体が悲鳴を上げ、撃ち負けるのも時間の問題になったが、ポップの心の声に応じて目を覚ましたダイが救援にかけつけ、ハドラーの撃退には成功した。
ちなみに、ハドラーはこの戦いの時に再会するまで、大魔道士マトリフの存在をすっかり忘れていた様子……彼の、もと勇者パーティの一員という来歴と実力実績を鑑みれば、勇者アバンの次点くらいに魔王軍の抹殺対象者としてその名を挙げられていてもおかしくない(名を挙げられていないのがおかしい)気もするが……

弟子への伝授

無理に無理を重ねてどんどん体調が悪化してゆき、ついには一日の大半をベッドで安静にして過ごすほどになってしまっていたが、【ヒム】との遭遇を経てより強力な呪文を欲するようになったポップが再度自分を訪ねて来たのを見て、最大の奥義であるメドローアを伝授する決心をする。
 
メドローアほどの大呪文はもう何発も撃てないところまで来ていたマトリフだったが、体に鞭を打ちメドローアを習得させるためにポップに向けてメドローアを構える。
「メドローアを打ち、同じ呪文で相殺しなければ死ぬという状況に追い込んで習得させる」という無茶な伝授方法に驚き、一度は逃げを考えるポップであったが、吐血しながらメドローアを構えるマトリフを見てその並々ならぬ決意に「これを避けてはあの人を師匠とは呼べない」と受け止める覚悟を決めて、見事メドローアでの相殺に成功、習得する。なお、ポップがメドローアを相殺する覚悟を決めた際には「…ありがとよ」とポップが自らの意を汲んでくれた事への感謝の言葉を述べており、打ち合いの際には「ポップ、消えるんじゃねえ!」と必死で叫んでいる。
 
その後もポップがメドローアを完全に物にするまでの修行に付き合っていたが、たった数日でポップがメドローアで岩山に巨大な穴を空けるまでに至ったのを見て、この時ばかりは流石のマトリフも感服して「今日ほどお前を大したやつだと思ったことは…無い!」とこぼした。
自身の最大呪文をも習得し、魔法使いとしての心構えも何もかも受け継いでくれたポップに対しては、やがて「自慢の弟子」と称するようになる。
後に【アバンのしるし】を輝かせる事ができず、苦悩するポップが無意識に訪れた時、最後のアドバイスとして「自分を信じろ」と送った。
この時、自身に見当もつかないほどの悩みを持ったポップの成長に嬉しさや寂しさを感じ、まるで子を持つ親の様だと話している。尤も、ポップの悩みも大方察しており「これがお前の人生の最大の壁になるだろう」「これを乗り越えたらお前はオレの手の届かないところへ行っちまうんだろうな」と感じていた。

最終決戦

最終決戦には参加せず、おそらく自宅で静養していたと思われるが、最後の最後で【ピラァ・オブ・バーン】に搭載された【黒の核晶】の存在が明らかにされた時、一番人が到達している可能性が低かったと考えられる北の【オーザム】王国地域にあったものに駆けつけた。
 
先に【でろりん】らニセ勇者一行が駆けつけていたが、他の箇所と違ってモンスター(【ジャミラス】)が守護していた。
ニセ勇者一行ではモンスターが倒せず手詰まりかと思われた矢先に現れ「時間がねえんだ、てめえが消えな」の言葉の通り、躊躇無くメドローアを発射して一瞬でモンスターを消し飛ばす。
 
しかしその直後に吐血し、先の一発で体力・魔法力を完全に使い果たしてしまったのか、黒の核晶に【ヒャド】を撃つ事ができなかった(撃とうとして手をかざしたが何も出せなかった)。
そこでニセ勇者一行としてその場にきており、修業時代以来の再会でもあった弟弟子のまぞっほに、代わりにやらせようと指示するも、まぞっほは修業時代に逃げ出した過去による自信の無さから尻込み。
そんなまぞっほを(マトリフらしい言い草で)激励し、見事黒の核晶の凍結停止に成功した。
 
エピローグではニセ勇者一行から金品を巻き上げて泣かせていた。
それなりに改心していた彼らから今までの所業でため込んだ金品を手放させることで完全に足を洗わせたのか、ちゃっかり自分のものにしていただけだったかは定かではない(アニメ版では「盗んだものは全部返してこい」と命令しており、前者であることが判明した)。

能力

単行本ではマスターした呪文は100以上とされる。殆ど全ての系統の呪文に加え、いくつものオリジナル呪文を編み出して使いこなす。
全ての魔法使いの頂点に立つとまで言われた存在。
ちなみに初登場時期のDQにおける呪文は、当時の最新作であるDQ4までの合計で65種類しか存在しなかった。修得数100以上は彼の実力を表現しているのは当然だが、DQ5以降の新呪文を反映させたりオリジナル呪文を登場させる余地として設定したのだろうか。
ダイ好きTV#37」で原作者が明かした設定として、「あまりに色々使えるため、本人も使えることをド忘れしている呪文もあるらしいです。」とのことなので、自身で開発した呪文や古代呪文なども含めて100以上使えるということなのだろう。また、「マホカンタとイオナズンは使えると思う」と語っている。
 
作中で使用するシーンがあったのは一部に過ぎないが、魔法使いと僧侶が扱う呪文は全て体得済み。
【マホカトール】【ミナカトール】のように習得条件が限られる呪文に関しては定かでないが、ダイの大冒険世界における魔法は会得に必要な契約儀式の適性を持つ人がそもそも珍しいとされる。そんな適性を魔法使いと僧侶のもの両方を持っていた上、ベギラゴン等の最上級呪文まで修得、実戦的に使いこなせるレベルまで修めたマトリフには、稀有な才能とそれに見合った修行をこなす能力があったと言える。
人には扱えるものが殆どいないと言われる極大呪文まで体得しており、使えない呪文と言えば【竜の騎士】のみが扱う【デイン系】と、竜闘気を魔法力で圧縮して撃ち出す【ドルオーラ】くらいしか無いと思われる。
また、【ドラゴラム】については、作中では失われた古代呪文もなっているため未習得であることが確定している(のちに習得の機会自体はあったが、体力的に追いつかないためアバンに譲っている)。

 
以下は『ダイ』本編で使用した呪文

【ルーラ】
【ヒャド】【ヒャド系】
【イオラ】【イオ系】
【トベルーラ】
【ベギラマ】【ギラ系】
【バギ系】(真空波のようなもので【ザボエラ】の右腕を斬り落としている)
【キアリー】
【ベギラゴン】(ギラ系)
【メドローア】【メラ系】とヒャド系)

※前日譚『勇者アバン』で使用した呪文
【バギクロス】(本に封印されていた為ロカに使用させた)
【ベタン】
【マヒャド】
【リレミト】
【ヒャダイン】
 
その魔力も絶大で、先述のようにハドラーとベギラゴンをぶつけ合い単独で押し勝っている。
この時のハドラーは最初の復活時に肉体が若々しくなっており、さらにアバンに【メガンテ】を使われて瀕死になった時とバルジ島で【ヒュンケル】に倒された時の合計2回バーンの魔力による強化復活を遂げた状態だったので、アバンに討伐された当時より大幅に強くなっていてなお、呪文だけならマトリフが上回っていた事になる。
 
また、左右の手で別々の呪文を同時に発動することができる。
マトリフ自身と弟子であるポップ、つまりメドローアの体得者2人しかできる人物が確認されていない技能。
魔界の神と言われ、数千年を生きているはずの大魔王【バーン】でさえ、ポップがやって見せた時には驚いて感心していたほどなので、人間・魔族含めてほぼこの2人しか体得者がいないと見て間違いないだろう。
『勇者アバン』当時には既に熟練した技能だったようで、ヒャド系呪文の氷塊をバギ系呪文によって回転射出して強化キギロにぶつけるなどしている。
 
また、気球を襲っていたフレイムたちを消しとばした際は、「人間や気球には一切影響を与えずにフレイムだけ消す」という地味ながら離れ業をやってのけている。何の呪文かは不明だが、描写からすると【ニフラム】に近いようにも見える。

呪文は唱えていないが、小舟を空中に浮かべて目的地まで飛ばす念動力のような術も披露している。
ドラクエで似た効果の呪文というと他者を吹き飛ばす【バシルーラ】があるので、その応用技だろうか。
ダイ達をバルジ島に送り出す時にこの術を使ったのだが、止め方を考えていなかったのでダイ達は冷や汗をかく羽目になった。大魔道士のお茶目な一面である。
 
身体能力に関しては、高齢なのもあって特に目立つ描写は無く、肉弾戦は披露する機会そのものがなかった。師であるバルゴードや同輩のカノンの戦闘スタイルを考えると、直接戦闘に全く習熟していないとも考えづらいが、本人としてもあまり適性があるとは思っていなかったのかもしれない。
しかし、「無茶な呪文の使用で体を壊した」と言いつつも、98歳という年齢で背筋も曲がらず歩けることを考えると、むしろ驚くほど元気とも言える。ブロキーナのような規格外を除けば、年齢に対しての身体能力は十分に高い方だろう。

勇者アバンと獄炎の魔王

当時既に80歳前後。修行できるような年齢でもないため、初登場時点で「ダイ大」本編と同等の能力を持っている。(【凍れる時間の秘法】が使われる前のため、メドローアの考案はまだであるが。)
単行本に書かれたステータスでも、他の仲間がLv20前後なのに対して、彼はLv38、と倍近い高さを持つ。
本編でポップに語った「魔法使いはクールであれ」という教えもしっかり実践されており、敵を挑発して自分に有利な地形に誘導したり、【リレミト】用の魔法力を温存するために戦闘を味方に任せるなど、先の展開を見据えたクレバーな行動が持ち味。この教えは師匠からの受け売りであることも語られた。
修行を共にした【カノン】からは「傲慢で自分勝手で女好きなクズ」と評されており、本編で見せた性格は根っからのもののようだ。
 
生まれは不明だが、賢者【バルゴート】が拓いた修行場【ギュータ】で幼少時から修行していた。バルゴートからは「問題児だが過去最高の弟子」と評されており、ギュータに招くべき真の勇者を見つける、という彼の密命を帯びて野に下る。この際、カノンら他の住人には何も言わずに出て行ったため、彼女からは「修行から逃げ出した」と誤解されて仲違いしている。
また、旅に出る際にはバルゴートから「お前は力を持つがゆえに辛い思いをする」と忠告されており、その通りに人々に妬まれたり恐れられたりと相当に嫌なことも味わってきたようである。
衣装は本編で見せたのと同じものをずっと愛用している。【ギュータの法衣】?という名前で、ギュータでの修行における正装。また、後にポップに譲り渡す【かがやきの杖】も所持している。
 
その後、旅の中で【ヨミカイン遺跡】の魔導図書館を訪れ、【エッチなほん】に偽装された罠の本に引っかかって本に閉じ込められてしまう。なんとか図書館からは脱出したが、偶然落石に巻き込まれて身動きが取れなくなり、数年間放置されていたところを【アバン】一行に出会う。このような状況であったため、ここ数年で【ハドラー】が台頭し魔物勢力が活発になっていることは知らなかった。
本に閉じ込められた状態では他人の心を読んだり念話のようなことができ、一行の中で最も単純で悩みも持っている【ロカ】に目を付けて「仲間達を追い越せる力をやる」と唆し、本の罠の解除のために体よく使おうとするが、同時にロカのことを「放っておけない」と気に掛ける。
ロカの側からも、エッチな本に引っかかったことを呆れられつつも、彼が仲間に打ち明けられなかった悩みに共感したことでマトリフを信頼し、罠の解除のために行動を共にした。
 
ロカと協力して図書館に侵入し解除の本を探させるが、図書館は【ガンガディア】配下の【エビルマージ】に占拠されていた。
戦いの中で本に火が付き暴発寸前となったため、ロカに自分を見捨てて離脱するよう促すも、ロカは諦めずに奮闘しそのまま深部に降りて運良く解除の本を見つける。猛攻にさらされ解除の本をなくしてしまうが追ってきたアバン達と合流し、ロカはエビルマージを撃破する。
直後にガンガディアが現れアバン達を追い詰めるが、ガンガディアの隙を突き自力で罠の本を解除。
戦闘では二つの呪文を同時に発動させたり、ガンガディアを挑発して痛んだ床へと誘い込み【ベタン】を食らわせ地下深くに叩き落として離脱する時間を稼ぐなど、魔法の実力と頭脳戦を見せつけた。
その実力はガンガディアからも危険と判断され、これ以上図書館の呪文を利用されまいと、お気に入りの場所だった図書館を湖に沈める決断をさせた程。
 
戦いの後は大魔道士の衣装に着替え、ロカのような不器用は放っておけないからと言って正式にアバン一行に加わる。
勇者パーティーで一番の年長者となったわけだが、年寄り扱いされたくないからと、名前は呼び捨てにさせている。
 
【サババ】ではハドラーの居場所を突き止めるべく、旧知の仲であるディードックから【不死鳥のかがり火】の火の粉をちょろまかす。
ハドラーとガンガディアが侵攻してきた際はガンガディアを一手に引き受け、挑発に応じなくなった彼をなお頭脳戦で出し抜いた。その後、アバンがハドラーを撃退した時の感覚を聞いてアバンストラッシュ完成に心が必要である事を探り当て、アバン一行を自身がかつて修行していたギュータへと導く。
 
ギュータでは仲違いしているカノンと再会し、ひと悶着あったりもしたが、秘めた使命である「勇者の修行」の目的を果たし、アバンに【空裂斬】会得の取っ掛かりを与える。
アバンの修行や【キギロ】の襲撃のさなかにカノンの誤解も解けるが、彼女は寿命で亡くなってしまう。しかし、最後に仲直りすることはできた。

それぞれの道

第1章 ダイの弟子で登場。
【パプニカ】解放後に【ダイ】【ポップ】を鍛えている最中、【トラン】から修行を頼まれたダイに「人にものを教えるのは大変だが、修行にもなる」と諭す。
その後エイミと共に【リタンス】【グーン】の間の借金の真実を暴く。

クロスブレイド

5弾の【シークレット】としてカード化している。必殺技はベギラゴン。
自身の被っている帽子の模様と同じような形の特殊な範囲の通常攻撃エリアを持つ。
原作通り、まりょくは1800とバーンが出るまで一番高かった。

漫画版

第10話で登場。【ギーイチ】に案内された【ユウキ】と出会い、彼がダイとポップの後輩という事で意気投合。
戦闘能力だけで解決できない問題に直面したユウキに【転職】を教え、2回戦では切り札として参戦するも、出番は無し。

その後24話では谷の門番「ナゾ仮面」としてユウキ達の前に立ちはだかる。
マァムの攻撃をパーフェクトガードで受け止め、ダイとユウキを合格させるがマァム&メイロ&レオナの女子3人にはあぶない水着を着せ、
試練と称してツイスターゲームをやらせる。
敗北すると今度は包容力が必要とのことでマッサージ試練を始めようとするが、その下心に怒ったマァムとレオナのSP連携で阻止され化けの皮を剥がされた。

魂の絆

原作では一時的に加勢してくれたことはあったが、本作では仲間キャラとして使用可能。
キャラ性能としては当然【魔法使い】
移動モーションは、走るのではなく宙に浮いて滑空しているようなものになっている。『勇者アバン』でサババにおいてガンガディアと戦った時の様子を反映したのだろうか。

大魔道士の衣装

おなじみのギュータの法衣姿。言語切り替え時の英語表記は「Grand Sorcerer Garb」。
熱と冷属性を得意とするキャラ性能となっているが、実装時点では冷属性のスキル・奥義ばかりであった。
しかし高齢を表すためかCT回復速度ダウンのマイナス特性があり、一方で「一分間でサシの勝負ならまだまだ誰にも負けねえ」ことの反映か、奥義使用直後はしばらくCT回復速度が大幅アップする特性も併せ持っている。
ガチャなしで使える基本奥義は【渾身の瞬冷弾】。
【刻氷の杖】によってマヒャド(マトリフ)を修得できる。原作では未使用だが『勇者アバン』で印象的に使用しているので、やはりそちらを反映しているのだろう。
 
実装時は冷属性を得意とするのがポップ(ロモス王国衣装)だけ、一応レオナもヒャドを覚えるが威力を高めにくいため、二人目の冷属性アタッカーとなった。
 
後に【英知の杖】で修得できる奥義として【メドローア】(マトリフ)が採用され、同時に熱属性スキルとして【ベギラマ】(マトリフ)と【レッドブラスト】が実装。

敵としてのマトリフ

原作再現ストーリー【竜の軌跡】第13章において、ポップにメドローアを伝授する場面にゲーム中の戦闘が挟み込まれて再現されたため、【ボス級モンスター】として登場。
肩書もなくシンプルに「マトリフ」表記であり、言語切り替え時の英語表記も「Matoriv」のみ。
他の竜の軌跡ストーリーもそうだが、初級では原作再現のためパーティ編成に制限が付き、ポップを【相棒】に編成して戦うことになる。再現にこだわるならポップに即交代して【絆の勇者】を使わずに戦うのも一興か。
 
またポップ(パプニカの法衣)のキャラ獲得イベント「偉大なる魔法使いへの第一歩」でも、ポップに喝を入れるためと言う形でボスとして登場する。

余談

モデルは【週刊少年ジャンプ】の編集者であった【鳥嶋和彦】
 
作中、【バダック】が作った爆弾を「デザインがダサいから」という理由で一蹴してボツにしているシーンがあるが、これは鳥嶋が上がってきたネームに容赦なく没をくらわすので恐れられていたことに由来するネタなのだろうか?