【アベル】

Last-modified: 2023-10-17 (火) 06:00:01

概要

男性キャラクターの名前。
DQ関連ではアニメ【ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~】(1989年~)の主人公名となったほか、後にDQ5主人公の【デフォルトネーム】としても採用された。
 
ちなみに、『旧約聖書』にカインとアベルという兄弟のエピソードがあり、この二つの名前は各種創作物においてよくワンセットで登場する。
アベル伝説に「カイン」の名前を持つキャラは登場しないが、DQ2ではFC版(あへ゛る)でもリメイク版でも、【ローレシアの王子】にこの名前をつけると【サマルトリアの王子】の名前はカインになる。

DQ5

PS2版制作時に制定された【主人公(DQ5)】【デフォルトネーム】
以降の公式スクリーンショットなどでは機種を問わず原則的にこの名前が使用されている。
またPS2以降のリメイク版DQ5では、主人公の名前を【トンヌラ】にするとパパスが提案してくる名前がトンヌラの代わりにこのアベルになる(SFC版では「サトチー」)。
 
なおリメイク以前より、DQ5の主人公の青年時代の容姿は、黒髪に逞しい体つきが後述するアニメのアベルに似ていると言われる事もあった。
 
ただし、バトルロードなどの外伝作品やコラボ作品ではこの名前を使わず【伝説の魔物使い】(または「伝説のまもの使い」)の呼称が共通して使用されている。

アベル伝説

勇者アベル伝説の主要人物
【アベル】 - 【ティアラ】 - 【モコモコ】 - 【ヤナック】 - 【デイジィ】

CV:古谷徹/佐藤智恵(少年期)。古谷徹は以前にラジオドラマ版DQ2の【ローレシアの王子】を担当していた。
 
古の龍を封じる青き珠を守る神々の血筋、グロウ族の末裔で、職業は【勇者】
鳥山明の描く主人公おなじみのツンツンに尖った黒髪に、大柄且つ筋肉質で褐色の肌の少年。
初期装備はアラビアンパンツ風のゆったりした白ズボンをはき、裸の上半身に民族的な模様の入った太いタスキ状の聖衣とかなりの軽装で、DQ3で言うところの、スーの開拓民に近い外見と言えるか。
【ティアラ】同様、冒険開始時に15歳の誕生日を迎える。
アリアハンの村の漁師だったが、突如現れた【バラモス】にさらわれたティアラを救うため、バラモス打倒の旅に出る。
本作の世界観はFC版DQ3をベースにしているが、ゲームの方の勇者は童顔で小柄なのに対して、1歳若いアベルはかなり大人びて見える。
 
ティアラには盲目的な好意を抱いており、初期にはその想いから実力差も弁えずに突き進む蛮勇が目立った。
モーラの都で【はがねのつるぎ】を手に入れた直後には、その威力に慢心して剣術もろくに学ばぬままバラモスに突撃をかけ惨敗も喫したが、己の無力を痛感して【デイジィ】に剣の修行を乞い、昼夜を分かたず修行するなど克己心も強い。
【ヤナック】からデイジィの入浴を覗こうと誘われた際には拒否するなど、生真面目な面も持っている。
また、あくまでデイジィと敵対する【アドニス】に対し、これまでデイジィが誰の為、何の為に戦ってきたかを真摯に訴えるなど、仲間の事情や思いを酌む優しい性格。
分け隔てない公平な態度で人々に接し、行く先々で弱きを助け強きを挫く、典型的なヒーロータイプと言える。

第一話でティアラと離れ離れになった際、彼女の持つ羽飾りが一枚だけ彼の元に残り、それをとても大切にしている。
「命よりも大切なもの」と言い切り、これが入った道具入れがスリにあった時は血相を変えて追いかけ締め上げている。
同時期に発売されたDQ4の【はねぼうし】と似たポジションだろうか。向こうは正真正銘の形見になってしまったが。
 
物語中盤に不完全な状態で復活した水龍を封印した際には、その力の反動で死にかけて生死の境を彷徨ったが、彼を懸命に庇い続け、パデキアの葉を取ってきたデイジィ他、仲間達の必死の奮闘の甲斐もあって無事に復活。
その際に【ザナック】より青き珠を守る勇者としての使命を教わり、以後は数々の戦いを重ねるにつれ着実に力を付けていき、青き珠の力を使いこなす大勇者へと成長する。
 
元が純朴な田舎の少年故か異性からの好意には疎く、前述の通りティアラ一筋でもあるため、デイジィからの好意には最後まで気付く事が無かった。
 
漫画ロトの紋章で、アベルらしき人物が、モブキャラとして描かれいる。物語中盤の、主人公アルスが旅立った直後のアリアハンに、第3の勇者アステアが辿り着いたシーン

装備

主人公だけあって装備の変遷は一番多い。
基本は【青き珠】?をはめ込んだサークレットと、タスキのようにして心臓部を守る布製の【聖衣】を装備。
勇者の服をもらうまでは上半身が裸になっている。
2話のおおありくい戦までは狩猟用の銛や農具で戦っていたが、旅立ちに際してアリアハン王から剣を賜る。
当時のカードダスの装備欄には「鉄の剣」とあり、7話の【だいおうイカ】戦で折れるまで使用した。
8話では【モーラ】の都で【はがねのつるぎ】を手に入れるが、まだまだ未熟だったためバラモスに惨敗。
11話にて一人で【ネザー】の都まで【ふぶきのつるぎ】を取りに行くと、25話で【水竜】に折られるまでそれを使用。
【ジキド】には「吹雪の剣に守られているだけだ」と嘲られるものの、この時期に飛躍的に腕を上げ、バラモスと一対一である程度戦えるようになり、青き珠の力でモーゼのごとく海を二つに割るなど超常の力も見せた。
28話でザナックから【いなずまのけん】を授けられ、バラモスの魔法を弱め炎と魔法をマントで防ぐ【ゆうしゃの服】も受け取ると、最終決戦寸前までそれを使用した。
最終話では青き珠と【赤き珠】?の力で、復活した【伝説の竜】?を体内に封じ込め、大勇者の装備に身を包む。この装備はロトの鎧に似たブルーメタリックの全身鎧だが、兜飾りが角ではなく羽根になっているなど、アニメオリジナルのデザインとなっている。

戦力

元々が村の漁師なので、湖の大魚と銛1本で格闘するなど日常的に鍛えられており、村の格闘技大会で【モコモコ】を破って優勝した経験もあるなど、基礎体力は抜群に良いようである。
しかし、「青き珠の力を操れる」、「勇者の武具を装備出来る」以外に特殊な力は何も無く、呪文も使えない。
当時のゲーム本編では味方が使える特技はほぼ呪文しか無かったため、呪文の使えない彼の戦闘スタイルは、その場の状況に合わせた通常攻撃の類である。ゲームの再現という意味では勇者職と言うより【ローレシアの王子】のような【戦士】タイプに近い。筋肉質で大柄な体つきに加え、剣を主体とした豊富な装備が可能といった特徴も、DQ3の戦士職そのものである。
仲間の【デイジィ】は正式に「戦士」の肩書きを持っているが、技巧派の剣術使いという趣が強く、【はやぶさのけん】を装備できるのでゲーム内の戦士とはこれまた別物である。
 
このおかげで、本作の勇者パーティはバランス型のアベル、技巧型のデイジイ、パワー型のモコモコという3人の戦士系を抱え、残る一人の魔法使いヤナックが【バギ系】呪文や回復呪文、勇者専用の【ベホマズン】【ギガデイン】まで使いこなす、戦士3人に賢者1人という、もの凄くとんがった編成となっている。
各メンバーにいわゆる「必殺技」が無いのも、当時のアクションアニメの主人公パーティーとしては異色で、オリジナルの必殺技を多数登場させた「ダイ大」とは対照的な部分でもある。
 
序盤は剣術の心得すら無い駆け出しのヒヨッコ冒険者で、危機に陥る事も多かったが、デイジィによる剣術指南や数々の実戦を経て着実に力をつけていき、終盤では一人前の勇者に成長する。
超魔王と化したバラモスには終始圧倒され、最終戦の戦いぶりは「装備の力で勝てた」などと揶揄される事もあるが、この時期(FC版DQ3の頃)の勇者は「終始器用貧乏感が漂うものの、専用装備で他と隔絶した実力を手に入れる」タイプのキャラなので、ゲームの再現としてはむしろ正しい。
加えて、「ゾーマの力を取り込んだ魔王」と「竜の力を取り込んだ勇者」という対比を考えるなら、DQ3のゾーマやDQ4のバルザック、DQ5のジャミ、DQ8のラプソーンなど度々見られた「まともにやっても歯が立たない相手を、アイテムやイベントによって同じ土俵に立たせる」展開と同じと言える。
 
ちなみに、DQ3側でアベルを模したキャラクターを作り、再現プレイを楽しむのはちょっと難しかったりする。
呪文無しを再現するため戦士キャラがアベルということにすると、勇者専用装備が使えないのである。
勇者で自主的に呪文を使わない【縛りプレイ】ならなんとかなるが、【混乱】すると呪文をぶっ放すアベルになってしまうのが悩ましい。