セントラル・リーグの蔑称。特に2010年代のセ・リーグについてよく用いられる。
経緯
「人気のセ、実力のパ」とは昭和の時代から言われ続けてきた格言であるが、2000年代後半以降その風潮は更に加速傾向にあり*1、セとパが対決する『セ・パ交流戦』『日本シリーズ*2』『オールスターゲーム』の3構図全てにおいてセ・リーグが負け越していた。
ここから「最早セ・リーグにパ・リーグと対をなすような力はなく、実質2部リーグのようなものである」と、その弱さを揶揄された事が由来の表現。
言うまでもなく「セントラル」と「セカンド」の「セ」を掛けた蔑称であり、パ・リーグの蔑称(後述)としては機能しない点に注意。
『セカンドリーグ』時代の交流戦
※2020年シーズンは新型コロナウイルスの影響により交流戦が中止となっている。
ここでは18試合(6カード)制になった2015年以降を記載。
2016年(セ47勝、パ60勝、引き分け1)
セ・リーグ首位の広島は、交流戦前半はパ・リーグ上位チームとの9連戦を4勝4敗1分で切り抜け、後半は最終週のサヨナラコリジョン、鈴木誠也の「神ってる」などもあり6連勝。
しかし他5球団は貯金を作れず、交流戦終了後からしばらく広島だけ貯金2桁で他の5球団は全チーム借金という事態になった。
2017年(セ51勝、パ56勝、引き分け1)
巨人とヤクルトが前半戦9試合を消化した時点で勝ち星なし、巨人は交流戦突入前から続いていた連敗が13となり、球団ワースト記録を更新。最終的に巨人は6勝12敗、ヤクルトは5勝12敗1分となり、案の定両チームがブービーと最下位に沈む結果となった。
巨人はその後持ち直すもペナント4位止まり、ヤクルトは暗黒期のベイスターズすら超えるシーズン96敗という絶望的な記録を叩き出し真中は監督解任に追い込まれるなど、交流戦が最終成績に大きく響いた*3。
なお他のセ・リーグ4球団は勝率5割以上で、広島に至っては交流戦の優勝争いを繰り広げており、セ・リーグの借金をこの2球団だけでほぼ背負う状態となった。
2018年(セ48勝、パ59勝、引き分け1)
セ・リーグ5球団が負け越す中、交流戦前に最下位だったヤクルトが孤軍奮闘し、日本ハムを除く5球団に勝ち越して交流戦最高勝率を獲得。なお、交流戦終了時には広島以外の5チームが借金という状況でありながら1位と2位の差が大きく縮んでいたが、交流戦後に広島が2位のチームを徹底的に叩きのめすことで3連覇を達成した。
交流戦での好成績をバネにヤクルトが最下位から2位へと躍進、以降シーズン終了まで2位をキープした一方、阪神は11位とセ・リーグ最下位の成績*4を叩き出してしまい、最終的に最下位へ転落する遠因となってしまった。
またMVP規定が変わっていたために交流戦MVPが最高勝率チームから出ないという史上初の珍事が起きた*5。
ただこの年はパ・リーグも借金を抱えるチームが増え、シーズンを通して常に貯金を作れたのは12球団中3球団のみで、しかも下位同士で潰し合う展開が非常に多かった。
2019年(セ46勝、パ58勝、引き分け4)
16戦目にしてセ・リーグの10年連続にして14度目の負け越しが決定。
しかし巨人とDeNAが何とか上位に食らい付き、巨人に至ってはソフトバンク以外全て勝ち越しを決める健闘を見せ、広島と阪神の不振もありセ・リーグ首位に浮上、一時期最下位を爆走していたDeNAは5年振りの交流戦勝ち越しを決めAクラスも射程圏内(ゲーム差2.0)に捉えた。
一方、交流戦前に首位だった広島は楽天以外のパ・リーグ各球団に勝ち越す事ができず、交流戦の最下位に沈んだだけでなくセ・リーグ首位からも陥落という2015年のDeNAを彷彿とさせる展開だった。2位だった阪神も攻守にミスを頻発し前年に戻ったかのような有り様で一時期最下位、前年優勝のヤクルトもシーズンでの不調をそのまま引きずり、パ・リーグ全球団に負け越した*6ため、この3チームが交流戦の10~12位となった。
2021年(セ49勝、パ48勝、引き分け11)
例年交流戦で圧倒的な強さを誇ったソフトバンクが絶不調に陥り*8、5勝9敗4分という成績で交流戦11位に沈んだ。
これにより交流戦でも成績が悪化しないセ球団が続出。阪神(貯金+4)・DeNA(+3)・中日(+2)・ヤクルト(+2)が勝ち越しを伸ばし、巨人も交流戦負け越し1で踏みとどまる形となった。
一方、交流戦前から不調だった広島はパ球団にとってのボーナスゲーム枠と化してしまい、18戦でわずか3勝*9という惨状で交流戦最下位に沈んだ上に借金を9つも増やしてしまう。しかしそんな広島も6月15日の西武戦で俺達を打ち崩し勝利すると、達成が危ぶまれていた12年ぶりの交流戦のセ勝ち越しを無事に確定させた。
2022年以降
2022年はヤクルトがセ球団初となる交流戦全カード勝ち越しでの優勝を果たし、セ・リーグとしても55勝53敗で史上初となる2年連続勝ち越しを決めた。翌2023年も負け越し*10こそしたものの、DeNAが悲願の初優勝を果たし*11、史上初めてセ・リーグが連覇。“パ・リーグ一強”と言えるほどの時代は一旦収束を迎える事となった。
『セカンドリーグ』時代の日本シリーズの戦績
年度 | 結果 | 備考 |
---|---|---|
2011年 | 中日3-4ソフトバンク | 第6戦までビジターチームが勝利。 このシリーズが、セ球団が近年のソフトバンクを相手に最も拮抗したシリーズと言われる。 |
2012年 | 巨人4-2日本ハム | このシーズン以後、セ球団は2021年までの9年間日本一から遠ざかる。 |
2013年 | 巨人3-4楽天 | 楽天球団創設後初の日本一。 |
2014年 | 阪神1-4ソフトバンク | |
2015年 | ヤクルト1-4ソフトバンク | |
2016年 | 広島2-4日本ハム | 2014~2020年の間では唯一となる、ソフトバンク以外のチームによる日本一。 |
2017年 | DeNA2-4ソフトバンク | |
2018年 | 広島1-1-4ソフトバンク | |
2019年 | 巨人0-4ソフトバンク | 巨人、2005年の阪神以来となるスイープ。 ソフトバンクは直近10年間でセ・リーグ全球団から日本一。 |
2020年 | 巨人0-4ソフトバンク | 史上初となる2年連続の同一カードでのスイープ。 ソフトバンクは4年連続日本一。 セ・リーグは70年ぶり2度目となる日本シリーズ負け越し。 |
2021年 | ヤクルト4-2オリックス | 9シーズンぶりのセ球団日本一&8シーズンぶりのセ球団ビジター勝利。 史上初の前年最下位同士の日本シリーズ。 ヤクルトは20年ぶりに日本一達成。オリックスは球界再編後初の日本シリーズ進出。 ヤクルトは対歴代オリックス*12戦完全制覇達成。 |
派生語
他に「テントラレ(点取られ)・リーグ」と呼ばれることもある。パ・リーグの強みは主に打線であると言われていたため、あながちいい加減でもないかも知れない。
また、セカンドリーグとの対比でパ・リーグのことを「パーフェクトリーグ」「パラダイスリーグ」と呼ぶこともある。セ・リーグに対する侮蔑の意味が込められているのは言うまでもない。
一方、パ・リーグの蔑称には「セ・リーグの人気に寄生している不人気リーグ」、あるいは「ソフトバンクの強さに寄生して自分の贔屓球団もセ・リーグより強いと勘違いしている」という意味合いを込めた「パラサイトリーグ」が存在している。
またセ・パの人気格差が大きかった時代にはセ・リーグの正式名称「セントラル・リーグ」と混同した「パントラル・リーグ」と呼ばれることもあった。