「第8話」

Last-modified: 2014-02-26 (水) 14:24:30
 

障害なき人生?なるほど確かに素晴らしいでしょう。
何もかも思い通りになる人生?なるほど確かに聞こえは良いでしょうな。

 

しかしそのような人生が、生み出すものはどんな醜悪な者でしょうか
自分は強い、なんでもできる
努力などしたことはない、なぜなら私は天才なのだから

 

そんな人間がのっぴきならない逆境に対面した時
その真価を問われる時となる

 

      Fate
それが「運命」ならば尚の事

 

「どうして、こうなった・・・」

 

若くして、そして努力することなくその多くを手に入れた天才魔術師「ケイネス・エルメロイ・アーチボルト」と
ランチャー・・・もといランサーとして召喚された「パトリック・コーラサワー」

 

どうにも彼らは良い人間関係を築けていないようです
はたして彼らは、この聖杯戦争を勝ち抜く、いや・・・生き残る事ができるのでしょうか!?
それではFate/stay GUNDAMfight・レディィィィゴォォォォオオオオ!

 

どこから自分の人生は狂ってしまったのだろうか
まずは自分の教え子に英霊を召喚するための聖遺物を盗まれた事から始まるだろう
もちろんその程度のアクシデントで聖杯戦争を降りるワケにいかない
私は時計塔最高の講師なのだ、その華々しい経歴を飾るため、聖杯を手に入れる
故に新しい聖遺物を調達する、しかし・・・現れたのはコイツだ

 

「んで、俺はそのランチャーってクラスとして呼ばれたと」
宇宙服にも見えなくもないが珍妙な服を着た赤毛の男が現れた、軽薄で学も教養も無さそうな男である
「ランチャーではない、ランサーだ!そんなクラスは聖杯戦争には存在しない!!!」
声を荒げたケイネスがヒステリックに叫ぶ、なんでこんなヤツが呼ばれたのだと
「だいたいその聖杯戦争って何だよ、好き好んで戦争に飛び込もうなんてアンタ傭兵かなんかか?どーみても陰気な学者にしかみえねーがな」
陰気は余計である、しかし深刻なのはこの赤毛の男は聖杯戦争のなんたるかも理解していないことだ
「貴様は既に私と契約を交わしたのだ、この聖杯戦争を勝ち抜くために従うのだランサー」

 

しかしランサーから帰ってきた言葉は
「理由も無しに戦争なんて物騒な事やれるかよ、しかもなんだ?いきなり陰気な凸ッパゲに呼び出されたと思ったら高圧的にクドクドと・・・」
陰気な凸ッパゲ・・・ケイネスの忍耐はここに限界を迎えた

 

「令呪をもって命ずる、ランサー、私の言う事を聞けーーーーーーーーーーーーーッ!」

 

令呪の事を少し補足しよう、幾度か説明したように令呪とは聖杯戦争におけるマスターの自身のサーヴァントに対する絶対命令権である
しかしサーヴァントの対魔力によって抵抗されたり、命令の内容によってはかかる力は大きく変わる
たとえば単純で直に完了する命令は拘束力が高い
「ここに来い」と命じればテレポートしてどこにいようとマスターの元にかけつけれる
「次の攻撃を限界を超えて放て」と命じれば本当に限界を超えた攻撃を放つ
それを「私の言う事を聞け」などという命令は言う事は聞くけどやるとは言われてないという話であり、しかも命令の期間も決められていないためその影響は極めて軽微である

 

かいつまんで言えば
「ほぼ全く意味の無い令呪の使用方」である

 

ましてや対魔力を持つ三騎士、これでは逆らったところで体のどこかがムズ痒くなるだけである

 

「OKOK、わたったわかった先生、アンタの言う事を聞こう、まずは何から聞けばいい?」
両手を挙げて降参的ポーズを取るコーラサワー、片や両肩を上下に揺らし息を吐くケイネス
いくらなんでも自身の失態には気付いている、この程度は自身の器量を持って制するべきだったのだ
その絶対命令権という鞭は、ただ三度しか振るえない、それを全て失うということはマスターとして決定的敗北を意味する
だが覆水盆に返らず、せめてこの絶対命令権を有効的に使う他ない

 

「ランサー、まず君が何者かを答えろ、何時、何処の英霊か包み隠さず応えるのだ」
失態を犯しはしたが立ち直り、様になった威圧そ見せるケイネスの対応、これでも時計塔では政治的にも高い評価を受けている
相手より上の立場だと思い知らせた方が事はスムーズに運ぶ、しかし、目の前の男は一切の空気を読んでいなかったが

 

「OK簡単な質問だ、パトリック・マネキン・コーラサワー、2279年1月1日生まれのO型♪新年早々に生まれるとか縁起いいだろ俺ーーーー♪」
余計なハイテンションで自己紹介するコーラサワー、怒りに顔を赤くするケイネス、しかし・・・コイツは今何と言った?
「2279年とは何だ!ふざけているのかランサー!」
声を荒げるケイネス、それに軽快に答えるコーラサワー
「2279年って、西暦に決まってるだろ」
今は西暦1992年である、結論としてはこの男は未来英霊という事になる、そしてその実力は・・・極端に弱い、それか極端な能力と推測
ケイネスはマスターとしての透視能力でコーラサワーの実力を図る・・・幸運がEX、測定不能、どうやら後者の用である
落ち着きを取り戻し、次の質問に入る

 

「ではランサー、君が何処の英霊かはわかった、次は何物か答えてもらおうか、生前何をやっていたかということだ」
相手の学が無さそうなので一言追記する、ランサーがどれ程の実力を秘めているか把握する必要があるのだ
「連邦正規軍のMSパイロットだ、階級は少尉・・・大尉・・・准尉・・・だっけか?」
後半はどうでもいい、それより重要なのはMS(モビルスーツ)と言う聞いたことのない単語だ、パイロットというならば何かに乗っていたと推測できるが
「ではランサー、そのMSとやらを見せよ」
ケイネスが命じる
「いやー、一般人にホイホイ見せるのはいくらなんでも軍規違反ってレベルじゃねーだろ、いくら俺でもそれは・・・ってあれ?できる」
そうして姿を現したのは全長19Mの鉄巨人、ジンクスⅢである、さすがこれにはケイネスも驚く

 

(これは?ライダーではなくランサーとして出したのか!?そして間違いない、この鉄巨人は高次元の神秘の塊だ)
さすがは超一流の天才魔術師として名高いケイネスである、その真価を一目で看破した
態度こそ気に食わないがこいつは最強クラスのサーヴァントだ、それを私が従え悉く敵を撃破し聖杯を獲得し、時計塔へ凱旋する・・・ならば!
「ランサー、マスターとして命ずる、今すぐその乗機を駆りこの地の管理者である遠坂時臣を討ち取れ!」
絶対であり冷酷な意思、それにたいして体をポリポリとかきながら応えるコーラサワー、一切空気を読んでいない
「やだよ、だからなんで戦争なんて好き好んでやるんだよ、頭おかしーんじゃねーの?」
話が最初に戻った、しかし冷静さを取り戻したケイネスは二たび激昂する事はなかった

 

「戦争はキライかねランサー、ではその遠坂時臣がこの戦争を引き起こした張本人の一人だとすればどうかね?」
さすがにコーラサワーも耳を傾ける、その様子を見てほくそ笑むケイネス、彼はコーラサワーの態度はともかく良識的な軍人タイプと想定していた
「魔術師は人の法から外れた存在だ、時に無辜の民を容赦なく犠牲にしてその目的を果たそうとする、そんな魔術師という存在が戦いに際してその命を顧みると思うかね?」
そう、事実上聖杯戦争は冬木という街を舞台とした戦いである、そこに一般人が巻き込まれるワケはないという考えはどこまでもおめでたい
遠坂時臣の名を出したのはこの聖杯戦争において自分を除き最も強力な魔術師として脅威に感じていたからである

 

「うーん、どうにもアンタが上司という扱いみたいだなー、あんまり気乗りしないがいいだろ、それに・・・」
真剣さの欠片もなかったコーラサワーが
「どうやら嘘は言っていないようだからな、アンタの言う通り遠坂時臣って奴を叩きのめしてやるぜ」
そういって、コーラサワーはジンクスⅢを駆り、遠坂邸へと一直線に向かっていった、サーヴァントを御する事に成功したとほくそ笑むケイネス
しかしそしてその結果は

 



 

冬木ハイアットホテル32階、そこに幽鬼のごとく立ちすくむ男がいた、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトである
コーラサワーが駆るジンクスⅢの撃墜を使い魔越しに確認し・・・自らの敗北を信じられないまま自分の本拠地に戻ってきたのである
出迎えるのはソラウ・ソフィアリ、しかしケイネスの表情に何一つ気遣う様子は無い、ケイネスの表情を失った口が開く
「終わった・・・」
この世が終わったかのような声であった
「元気だせよ先生、人生山あり谷ありだろ?こんなこともあるって」
その横には赤毛の男、パトリック・コーラサワー、しかしケイネスは彼を一切知覚していない
なぜならその男は自らの乗機と共に消し飛んだはずだからである、つまり彼は現在という現実を何一つ受け入れていない
まったく状況をつかんでいないソラウがようやく口を出す
「何が終わったから知らないけど、早く部屋に入りなさいな、そっちのサーヴァントもさっさとね」
は?奴は死んだ、もういない
「おーい先生、いつまでも呆けていると彼女に嫌われちゃうぞ~(ほら、シャキッとしろって)」
アンタの女だろ?カッコつけたいんだろ?いいかげん正気に戻れと促すコーラサワー、そして現実に立ち戻るケイネス・・・
「はっ・・・!はーーーーーー?何故お前がここにいる!!!なんで・・・なんで・・・!」
そんなケイネスを前に、欠片の申し訳もない顔でコーラサワーが応える
「ごっめーん先生♪やられちゃいました~♪」
そんな一切の後ろめたさを感じさせない軽快な笑顔でその男はいた

 

数分後、精神の体裁を整えたケイネスはコーラサワーに問う
「ランサー、今回の戦いは何だ」
何だと言われてもコーラサワーには理解できない、追記が必要だ、それを再度理解して付け足す
「遠坂との戦いの事だ、何故やられた!・・・そうだ、私から見たらお前は抵抗せず無防備に背中から撃たれたように見えたぞ」
もしや土壇場で裏切ったのか、そもそもコーラサワーは聖杯に賭ける望みがない、問い詰めても幸せに生きたから必要ないと
しかしそんな英霊が存在するわけがない、何か重要な事を隠しているに違いない・・・違いない・・・?

 

「いや~、いきなりのマシントラブルでMSが動かなくなったんだよ、こんなこと今までなかったからマジビックリしたぜ」
嘘は言っていない、そういった意味では最初に放った令呪は効果的であった、言う事を聞かなければそこそこの重圧がある
そもそもこの男への真意看破はどこまでも容易だ、嘘を付こうとしないから、もしかしたら深いことは何も考えていないのではないかと思うほど
「マシントラブルだとランサー、お前の駆るMSとやらはそんなポンコツなのか!」
嫌味をぐちぐち言うケイネス、それに応えるコーラサワー
「ポンコツだよ、デビュー当時はぶっちぎり最強機体だったけど随分型落ちしてるからなー」
対するコーラサワーは嫌味で返している訳ではない、繰り返す、嫌味ではない
対するケイネスはバカにしているのかと激昂、話は逸れるばかりであった
そんな彼らの不毛な話を中断させたのは

 

「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ」

 

響く緊急ベルの音、そして部屋にかかってきた電話、その内容は火災が起きたため避難してくれというホテル側の要請であった
しかしケイネスは聖杯戦争の参加者、この火災が放火であり、他の参加者によるものと断定する

 

「放火?よりによって今夜?」
口を開いたのは今まで沈黙を保っていた、というより冷やかにケイネスのヒステリックな様子を眺めていたソラウ
「フン、私をサーヴァントを失いながらいまだ聖杯戦争にしがみつく木端として狩りにきた有象無象がいるようだ」
この火災の真意は人払い、魔術は神秘として秘匿されるのが魔術師達の絶対のルールである、暴かれた神秘はその力を失うからだ
だからどんな魔術師も自らの力を世に示そうとはしない、つまりまごうことなく襲撃である

 

「そう、お客人には私の魔術工房をとっくりと堪能してもらおう」
フロア一つ借りきって作られた魔術工房
結界の数は24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊魍魎が数十体、廊下の一部は異界化までされた
この世界において「完璧な魔術工房」であり「完璧な魔術要塞」
「宿泊者達が引き払えば何の遠慮もいらない、お互い存分に秘術を尽くした魔術戦ができるというものだ!」
笑いながら語るケイネス、そして水を差すコーラサワー

 

「その魔術工房、俺のMSで突撃したらどうなるの?」
その結果は・・・木端微塵に砕け散る、コーラサワーがやるわけではない、他の参加者がやるという事だ
引きつったケイネスの顔、それは後に予想される結果を容易に想像できた、つまりあんな巨大な塊を防ぐ手立てにはならないのである

 

「ちょっとケイネス!」
今まで冷淡を貫いていたソラウもさすがに感情を表している、明らかに危機であり対抗策を講じる必要がある
「自慢の魔術工房かもしれねーけど逃げるしかねーなコリャ」
そこにケイネス自慢の魔術工房に対する遠慮は無い、しかし現状の逼迫さは歴然でありそうする他無い
コーラサワーの言う事は正論だ、しかし、しかしだ、彼が心血注いで作り上げた魔術工房が何の成果も無しに崩壊の憂き目に会う、それをすんなり認める事はできるであろうか
「なぁ先生、アンタの魔術ってやつで囮みたいの作れね?せっかくの自慢の工房だから引き籠ったと思わせて上手い具合に死んだフリができるぜ?そいじゃ俺は荷造りすんぜ♪」
とはいえ、空気を読めないコーラサワーであるが、人の表層まで読めないワケではない、さもなくば数々の女性を陥落させた撃墜王は務まらない
これはケイネスに対するフォローでもある、魔術という専門分野では彼に並ぶ者はそういない、得意分野で活躍するべきだ
「むぅ・・・(ぐぬぬぬぬぬ)」
押し黙りつつも自身も行動を開始するケイネス、さすがに問答の余地など無い事はわかっている
そんな彼を後目にコーラサワーは慣れた、いや、手慣れ過ぎた手腕で荷造りをこなしていた
世界を牛耳るオーバーテックコンピュータを相手に愛する女性と逃避行を行った彼にとってこの状況は窮地でもなんでもない
しかし何もかもを思い通りにし、今まで窮地らしい窮地を経験したことの無いケイネスにとってこの状況は耐え難い物であった

 

かくして彼らが落ち着いた場所は冬木の外人向け歓楽街
日本という国では外国人は遺物である、道を歩けば外国人と注目される、そんな彼らが目立たない場所を潜伏先として選んだ
貿易が盛んな冬木において外国人の割合はそれなりに多い、石を隠すにゃ砂利の中である、しかし・・・この空気に耐えられない者がいた
「ちょっとランサー、もう少しマシな場所はなかったの!?」「まぁまぁ、住めば都っていうぜ?旅の醍醐味として楽しまなくっちゃ」
不機嫌さを隠そうともしないソラウ、ケイネスにいたっては部屋の虚ろな目でベッドに腰掛けたまま
自慢の魔術工房が爆破されたのが、それが神秘の鉄巨人に敗れたのであれば少しは自身を慰める事ができる
しかし結果は近代兵器による爆破、嗚呼、確かに基礎となる土台がなくなれば落下は必至、そしてそれに思い当らなかったという事にショックを受けていた
これではまるで自身は戦士として二流以下という現実を体現しているようではないかと
「私は戦士としても一流なのだ・・・この魔術を武功という華で添えて私の経歴は完璧になるはずなのだ・・・」
理想の自分として描いた未来は脆くも崩れ去った、誰にも言うでもない独り言を呟くケイネス

 

「何はともあれチョイと先生の事頼むぜ、俺は服買ってくるぜ、イカしたの用意してくるから大人しくしててくれよー?」
そう言って外へ飛び出すコーラサワー、ソラウとしては大人しくしているしかない、自身はこの街の異物
そもそも下品で雑多で汚い歓楽街になぞ足を運ぶつもりはさらさら無い、街には熱気をムンムンと立てた船乗りでごった返しであった
そんな彼らに一切関与せず自問自答を繰り返すケイネス
「誰があんな下品なマネをした?あの不愉快なトラブルは誰がやった?」
何を指しているかと問われたら、それは彼の魔術工房を建物ごと爆破した犯人である、それは聖杯戦争の参加者以外存在しない
この土地の魔術管理者、遠坂時臣・・・除外、魔術師たるものがそんな下品な手は決して使わない
おそらくは、彼にとって不愉快極まりない事だが卑賤の輩を聖杯戦争に招きよせた者がいる、それは誰か
ケイネスは事前に集めた他参加者の情報を纏めた書類に手を出す、他の参加者で判明している者は
遠坂の弟子であった言峰綺礼・・・敗退して教会で保護を受ける身として引き籠っているはず・・・論外
間桐からの参加者・・・間桐の本拠地は巨大な穴と化して壊滅
アインツベルン・・・

 

「なんだこれは」
アインツベルンの参加者の顔写真を見てケイネスの指は震える、怒りでだ
「アインツベルンは恥知らずで臆病にも自身の参加者ではなく外部の者を引き入れたのか?」
消去法、あのような行動を起こすならばそれなりの財力が必要となる、外部から引き入れた卑賤の者・それをバックアップするアインツベルン
「コイツだ、コイツが私の魔術工房を・・・ッ!」
怒りに燃えるケイネス、ただし彼は顔写真以外の情報をまったく生かしていなかった
その経歴、戦い方、魔術師殺しとしての異名、衛宮切嗣の情報を集めておきながら一切合切見なかった

 

「たっだいま~♪お楽しみタイムの服と生活用品もろもろだ」
軽快な足取りで買い物袋を携えて戻ったコーラサワー、出迎えるのはソラウ
「まぁ、こんな生活だけど無聊の慰めとするわ・・・ってこの服ってもしかして」
それはコーラサワーがソラウが見ていたファッション雑誌を眺める様子を見ていたから
「先生に感謝しとけよ?何せスポンサー様だからなー、ところで先生どこ?」
ケイネスに対するフォローは忘れない、そもそも本題は彼だ、陰気な凸ッパゲをイケメンに変えるべく大改造を施すのだ
しかし・・・

 

「ケイネスならいないわよ、魔術礼装をいくつかもって出かけたけどそれがどうかしたの」
どうかしたのって、マズイだろ、しかし彼が魔術工房を爆破された件を挽回しようと出て行ったのは想像に難くない
「うーん、ってアレなんだ?」
コーラサワーが目にとめたのはテーブルに散乱した書類、まず目につくのが遠坂時臣に関する書類
熱心に目を通していた形跡がある、他には・・・
「マズイ、これはマズイ、明らかに遠坂って奴よりもこいつの方がマズイ相手だろ・・・」
それは衛宮切嗣の情報、間違いなく先生はカモにされる、もし先生がコイツを相手に意趣返しをしようなんて考えていたら
カモがネギしょってコンロと鍋までもって行くようなものである、確定ではないが・・・もし出くわすとしたら最悪の相手である
「ちょっと先生連れ戻してくるぜ、留守番よろしく!」
そういってコーラサワーは駆け出した

 



 

「師よ、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトをアインツベルンの森近くで発見しました、どうなさいますか?」
その声の主は言峰綺礼
「ふむ、神童ことロード・エルメロイ・・・できれば確実に討ち取りたいところだが」
この声の主は遠坂時臣
しかしキャスターの使い魔を持って仕留めるのはリスクが大きい、今聖杯戦争最強の魔術師といわれるケイネス自身の実力と敗れたはずであるキャスターの存在の露呈
そもそもこの状況をどう見るか、ロード・エルメロイは自身の本拠地を破壊され、その下手人を撃つべく単騎でアインツベルンに乗り込んだ、と
「ならばアインツベルンの衛宮切嗣とロード・エルメロイを戦い合わせそこをアーチャーを動員して本拠地ごと叩き潰す、ここはこの程度のリスクは呑むべきだ」
穴熊戦略を決め込んでいた遠坂時臣が動く、彼も一流の魔術師、それが超一流の天才魔術師を脅威に思うのは当然の事であった

 

ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、窮地に立つ!はたして彼はこの戦場を生き残る事ができるのだろうか

 
 

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