ウルトラマンデスティニー_第10話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 03:52:43

彗星怪獣ガイガレード、超古代尖兵怪獣ゲイツR 登場





─ミネルバディレクションルーム─



「イーグルW回収完了。ハイネ隊員は無事です」

戦闘が終了して数分後。ハイネ以外の隊員が集合した指令室でようやくタリアが口を開いた。

「これで全員揃ったな。それでは、これより状況を説明する。アーサーが」

ハイネがまだ着てないことを無視して話を始める。

「・・・皆さんも知ってのとおり、ユニウスセブンはプロヴィデンスが倒された時点で浮上をやめ、

現在は地球の周回軌道上を漂っています。しかし既に動力が停止した状態である為非常に危うい状態です」

「危うい状態?」

渋々と説明をするアーサーにシンが疑問を投げかける。これまた渋々アーサーが答える。

「つまり、今のユニウスセブンはいつバランスを崩して地球へ落下するか分からないのです。

例えずともさっきのような彗星がぶつかれば確実に現在のコースを離れて地球の引力に引かれるでしょう」

『そのとおり。多少の砲撃を食らったとはいえ彗星は未だ健在だ。未だ危機は去っていない』

「!!」

デュランダル総監のいきなりの登場に後づさるクルー達。悲しいことにタリアまでビビッている。

『そこまで驚かれると傷つくな・・・オホン、たった今、緊急会議でユニウスセブンの破壊が決定された。

そこで君達には引き続き破砕任務を続行して欲しい。ただし目標は彗星ではなくユニウスセブンだが、ね』

声のトーンが落ちている。結構ショックだったようだ。

「しかし総監。ユニウスセブンにはこういった時の為にメテオブレイカーとそれを操作する部隊が駐留していたはずです」

一人微動だにしないレイが言う。総監は少し持ち直した様子で、しかし真剣な顔で告げる。

『先程、アルザッヘルから連絡がはいった。ユニウスセブンからは怪獣・・・ゲイツが次々と溢れ出しているらしい』

続いてモニターにユニウスセブンを守るかのごとく群がっているゲイツの大群が映し出される。

「あーっ!あれはゲイツR!」

「何アーサー、そのゲイツRって?」

「さっき戦った奴ですよ。おそらくゲイツが宇宙に適合し更に進化したのだと思いますが・・・あ、RってのはRebirthの略で」

『アール田中だかレールだか知らんが下らんことはいい!彗星がユニウスセブンとぶつかれば地球への落下は避けられん。

今、阻止限界点のデータを送る。急いでくれたまえ!』

出てきた時と同じく急に切られる通信。クルー達はアーサーの昇進は未来永劫来ないなと確信した。

「・・・とにかく、我々には時間がない。レイ達はイーグルの修理が完了しだい、先行してゲイツどもを殲滅しろ!」

「ラジャーッ!」

艦長の激に応える隊員達。シンは本当の戦いはこれからだと覚悟した。







─月面基地ガロワ─



「スクランブル発令!出撃可能なパイロットは直ちに搭乗、発進してください!」

鳴り響く警報。慌しく動き始める兵士達。そしてそれはアスランも例外ではなかった。

『出撃命令だ!お前も今すぐ格納庫へ向かってくれ!』

当然だな、とアスランは思った。自慢じゃないが自分の操縦技術はこの基地でトップクラスだ。

この緊急事態、猫の手でも借りたいのだろう。それがわかっているアスランは、静かに答える。

「了解。しかし一つだけ借りたいものがあるのですが・・・」

相手はゲイツと聞いている。並みの機体では奴の餌食になるだけだろう。ならばこっちもそれに備えなくてはならない。







─ミネルバ─



「予定ではシン達はあと五分程度で到着か・・・どうした?メイリン」

「う~~ん・・・あっ、艦長。あの、変なんです」

「変だと?」

腑に落ちないといったふうに首を捻るメイリン。怪訝そうな顔で尋ねるタリア。

「はい。どう計算しても味方艦の砲撃は正確そのものなんです。たとえ破壊できなくても彗星は太陽系から外れるはずなのに・・・」

「どういうことだ」

「私にも分かりません。まるでこの彗星自身が意思を持ってるようにしか・・・」

彼女の言葉は、後に現実のものとなる・・・







─ユニウスセブン宙域─



出撃して数時間後、シン達はユニウスセブンを目視できる位置に来ていた。周辺では月のブルーファントム隊が編隊を組んでいる。

既に彗星はユニウスセブンへ衝突、ユニウスセブンはその起動を徐々に地球へ向けつつあった。

「見てろよ怪獣どもー!俺がまとめて倒してやる!」

『随分と威勢のいい返事だな。だが気合だけでは戦いには勝てないぞ』

息巻くシンに無線機から高慢そうな台詞が飛んでくる。

「なっ、なんだアンタは!?」

『所属も言わずに食って掛かるとはミネルバはならず者の集団らしいな』

シンが何か言おうとした時だった。シン機の横にイーグルPが並んできた。

「なんだよレイ!・・・ん?レイは俺の機体と合体してるはずだから・・・あれ?」

「黙ってろシン!・・・失礼しました!我々はザフト所属のミネルバ隊です。作戦に参加すべく駆けつけました!」

『フン!・・・了解した。こちらはザフト所属、ジュール隊だ』

「ジュール隊!?ヤキン・ドゥーエで最も戦果を挙げた・・・前の赤服の・・・!?」

『全く恥ずかしいものだな。俺がいた頃は・・・』

『まあまあ、そこまでにしとけよイザーク。今はそれどこじゃないだろ?』

イザークを機の後ろから更にイーグルG、Wが登場する。

『俺はディアッカ・エルスマンだ。よろしくな、後輩』

『シホ・ハーネンフースです。よろしくおねがいします』

次々と挨拶をするジュール隊の隊員たち。みなヤキン・ドゥーエ戦を生き抜いた名のあるパイロットだ。

「俺はハイネ・ヴェステンウルフだ!よろしく頼むぜ!」

「いやお前はミネルバ隊じゃん」

「・・・俺だってヤキン・ドゥーエ戦経験者なのに・・・」

がくりと肩を落とす。彼の経歴を知るものは少ない・・・

『シン、レイ、ルナマリア。話は聞いている。これからお前達は我が隊の指揮に従って行動してもらう。いいな』

軽く無視されるハイネ。どうやらノリのいい人物らしい。そこへジュール隊の旗艦ボルテールからの通信が入った。

『隊長、ゲイツたちが活動を開始しました!』

『わかった。作戦開始だ!ブルーファントム隊は俺達に続け!』

ザフトウィングの高機動タイプ、ブルーファントムを後ろにつけて、ゲイツRたちの群れに飛び込んでいくイザーク。

「そんな!ゲイツRは二十体以上いるんですよ!?」

『二十体?七年前の戦いではそれの倍はいたぞ。臆病なことを言っている暇があったらさっさと戦え!』

心配するルナだがイザークは気にも留めずに返す。

『見てろお前達、奴らの倒し方を教えてやる!』

後続の部隊へ言い放ちゲイツの正面から突っ込む。ゲイツは容赦なく破壊光弾を吐き出すがイザークは回転してそれを避ける。

『こいつらの弱点は、ここだっ!』

次に光弾を吐こうと開けた口にビームを叩き込む。ゲイツの頭が粉微塵に吹き飛んだ。

『お前達にもやれるか?』

挑戦するような笑みがディスプレイに映る。その言葉に皆口を閉ざす。だがその時、一機の機体が飛び出した。

「俺が行くっ!」

シンだ。レイたちの制止も聞かず分離するとイザークの後を追ってゲイツに向かってゆく。

「ヒギャオオー!」

「うおおおおー!」

絶叫しながらゲイツの光弾を避けていく。しかしどれもギリギリで今にも当たりそうだ。

「そこだあっ!」

ゲイツが光弾を吐き終わったところを狙いビームを連射する。

「ガアッ!!・・・ヒガアア!」

ゲイツの口腔を正確に撃ち抜く。だが、ゲイツは絶命しなかった。体勢を立てすと、伸ばした爪を振り上げる。

「なんでだよ!?」

慌てるシン。そこへ飛んできた光がゲイツを貫く。レイたちのトルネードサンダーだった。

「シン!お前の機体じゃ砲撃力に欠けると言っただろう!」

レイの言葉に小さくなるシン。それを見たイザークは一人溜息をつく。

『ふう・・・危なっかしい奴め・・・』

『だけど俺たちも昔は無茶したもんだぜ?ほら・・・』

見ると、シンに刺激されたのか他の者達もゲイツへと向かっていく。

『フン!・・・お前ら!こちらの指示に従え、いいな!?くれぐれも無茶をするなよ!ディアッカ!俺たちも行くぞ!』

『否グゥレイトォ!?俺はただの専属料理人のはずなのにー!』

『炒飯しか作れんコックは俺の艦には要らん!さっさとやれ!』

漫才のようなコントをしてはいるがその戦いぶりは本物だ。首や口腔内を確実に撃ち抜いてゆく。勿論味方機への指揮も忘れない。

「すげえ・・・あれがヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロットなのか・・・」

感心して見つめるシン。その顔にふと影がよぎる。見上げると、まるでシン機めがけて急降下してくるゲイツがいた。

「マズイッ!」

操縦桿を握るが間に合わない。やられると思ったその時。

「ヒギャオオーッ!?」

今まさに獲物に飛びかかろうとしていたゲイツの肩が爆発する。動きが一瞬止まった隙にその場を離れるシン。

『大丈夫か?シン』

ボーっとしているシンの耳に、聞き覚えのある声。

「あ、あんた!」

『あんたじゃない、アレックスだ。どうやら無事らしいな。今そっちへ行く』

上方からシン機の元へ降りてきた機体。それはまるで雪のように真っ白な色をしていた。

「その機体は・・・」

「ああ、これはザフトウィングにマキシマを搭載した実験機、スノーホワイトだ。速度ではイーグルにも引けを取らない」

得意げに言うアスラン。助けられたのが気に入らないのか、シンは黙ったままだ。するとそこへ割り込んでくる者がいた。

『その機体のパイロット!早く所属と名前をい・・・貴様、アスランか!?まさか・・・』

『アスラン!アスランじゃないか!お前ザフトにいたんだな!懐かしいぜアスラン!』

イザークとディアッカである。まるで長らく会ってなかった友人のような口ぶりだ。

「二人とも久しぶりだな。だけど今の俺はアレックスだ!」

アスランアスランと連呼されたことに怒るアスラン。お前身分偽る気ないだろとシンは口の中でつぶやいた。

『よくわからんが・・・まあいい!今はこいつらを急いで片付けるぞ!』

『昔みたいに一緒にやろうぜ!』

「ああ!」

二人と合流するやいなやゲイツの群れに突撃するアスラン。素早いアスラン機が敵を引き付け二人が仕留める。抜群のコンビネーションだ。



「よーし、俺だっt」『皆さん無事ですか?こちらミネルバ、ただいま到着しました!』

アスランの後に続いてゲイツに向かおうとしていたシン機にメイリンが通信を開いてきた。

「・・・邪魔しやがって!遅いぞメイリン!」

出鼻を挫かれ憤慨するシンはいつものごとくメイリンに食って掛かる。

『あ、シン隊員無事だったんですね。珍しいなあー』

軽く皮肉を言われてしまいますますシンのボルテージが上がっていく。言い返そうと口を開いた時、またもや通信が入った。

『こちらボルテール!遺跡から更に大量のゲイツが出現!その数およそ百以上!』

さっきまでの倍を軽く超える数を聞き、呆然となるパイロット達。見ると、ユニウスセブンはゲイツの大群で黒山がたかるようになっている。

「マジかよ・・・」

「そんな、折角数を減らせてきたところだったのに!」

絶望的な光景を見て戦意を喪失しかけるルナたち。それを見たレイがいきなり叫んだ。

「俺たちの戦いは最初最後までからクライマックスだからな!!」

「・・・」

「まだ一クールも終わってないのにそれはないわよ・・・」

逆効果だったようだ・・・

「くそっ・・・レイ!機体の調子が悪い、自動でそっちに行く!俺の機体を拾ってくれ!」

見かねたシンは操縦をオートパイロットに切り替えると、マユケーを取り出した。前回の戦いで温存したせいか、もう光が戻っている。

「わかった!ルナマリア、トリガーを預けるぞ!」

「あたし!?なんであたしが・・・!」

ルナがレイに異議を申し立てようとした時、彼らの前に光と共に青い巨人が現れた。

「あれは!ウルトラマンインパルス!」

『あれが今のウルトラマンか・・・』

イザーク達が見守る中ウルトラマンはゲイツの大群のまえに立ちはだかると胸の前で両腕を十字に組んだ。周囲から光が集まってくる。

「ウウ~~・・・ダアアッ!!」

組んだ両手を解放すると共に、カラータイマーから光が溢れる。そしてそれは全てを包んでいった。

「まっ、眩しい・・・ああっ、敵が・・・」

光に触れたゲイツ達が次々と粒子化する。逃げようとするが、迫る光は全ての闇を飲み込んでいく。



────そして、光が消えた時。百を超えるゲイツは残らず消え失せていた。



「すごい・・・」

ピコーン ピコーン ピコーン

早くも点滅を始めるカラータイマー。しかしウルトラマンは飛び立とうとしない。ユニウスセブンのある一点を見つめている。

「あれは彗星の落ちたクレーター?あっ!」

ルナの悲鳴に皆クレーターへ視線を向ける。クレーターの底で何かが蠢いている。

「な、なにあれ・・・!」

積み重なる岩石の中から徐々に姿を現す。それは、新たなる脅威。

「・・・グ・・・グギャオオーン!!」

眼球のない眼、ひび割れた模様の入った体、剥き出しの歯・・・それは今、産声を上げた。その声に呼ばれるように再びゲイツが湧き出してくる。

「ジュワッ!」

インパルスがユニウスセブンに向かって飛ぶ。

見上げるそれはまるで笑うようにその凶暴な風貌を歪ませた。







落下するユニウスセブン上で始まる極限の戦い!

しかしウルトラマンのエネルギーは残り少ない!



次回、果たしてウルトラマンとアスラン達はこの強敵に勝利できるのだろうか!?