クロスデスティニー(X運命)◆UO9SM5XUx.氏 第023話

Last-modified: 2016-02-15 (月) 23:25:21

第二十三話 『約束したんだ、俺は・・・・!』
 
 
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ヤタガラスを守ったアカツキの出現は、フリーダムとDXの対峙にも影響を与えた

「シン! すげぇ機体だな! しかし金色かぁ・・・」
『へへっ。このアカツキ、派手なのは見た目だけじゃないってのを見せてやるよ!』

アカツキから、威勢のいい声が聞こえる

「ああ、期待してるぜ!」

するとDX、アカツキに向かって、アスランのインフィニットジャスティスから同時に通信が入る

『二人とも! 無駄口を叩いてる暇はないぞ! 見ろ、地球連合軍とアークエンジェルから同時にお客さんだ!』

アスランの言葉通り、連合艦隊からは次々と新しいMSがこちらに向かってきており、
またアークエンジェルからは二機のMS、ヴァサーゴと黄色いムラサメが飛び出してきた

「クソッ、このフリーダムとかいうやつだけでもこっちは手一杯だってのに!」

するとアスランからまた通信が聞こえる

『ヤタガラス! 聞こえるな! 艦は戦場を強行突破! 構わん、三機の機動力なら追いつける!
  シン! ヤタガラスの離脱まで、アカツキ一機で、連合艦隊の足止めはできるか!?』
『行けます! アカツキは多対一に特化した機体です!』
『頼む、ヤタガラスを援護してくれ! ガロード、俺はアークエンジェルと、ヴァサーゴ、ムラサメをどうにかする!
  しばらくキラを・・・・フリーダムを抑えられるか!?』
「やってやるよ! DXの力、この勘違いヤローに見せてやらぁ!」

言って、フリーダムを見つめる。相変わらず嫌な感じは消えないが、負けてたまるかという想いもある

『各機散開! ヤタガラスが戦場を抜けたら、こちらも戦場を放棄して後を追うぞ!』
『了解!』
「おっけー!」

アカツキ、インフィニットジャスティスがそれぞれの目標へと飛び立つ

『アスラン、待つんだ!』

フリーダムがジャスティスを追わんとするのを、後方からバスターライフルで狙撃した

バシュゥゥン、バシュゥゥゥン!

しかしフリーダムは背中を見せているにも関わらず、見事にそれを回避する

「当たらねぇ!? なんだこいつ・・・・後ろに目でもついてんのか!?」
『やめろ・・・・僕を、行かせてくれ!』

瞬間、フリーダムが振り返った。ガロードがそう認識した時にはもう、相手はMSの全砲門を開いていた

ドォォォォォ!

フリーダムの両肩、両腰、右腕にあるそれぞれの砲からDXめがけてエネルギーが降り注ぐ
フルバースト。もろに直撃を受けた

「ぐ・・・ああーッ!」

DXがまたしても海面に叩きつけられる。それでもまだエネルギーは尽きていない
損傷はある、しかし!

『嘘・・・・フルバーストを、耐えた!?』
「このやろぉぉぉッ! DXなめんなぁぁぁぁ!!」

思いっきりバーニアを吹かせ、ハイパービームソードを抜き放ち、斬りつける!

『うッ!』

フリーダムはとっさにシールドで防御していた。不意を十分についた一撃なのに、こうも相手は反応してくる
本当に人間離れした、化け物を相手にしているのだ

「だからって! てめぇぇ! このまま叩き斬ってやらぁ!」
『—————ッ』

ジリジリジリ・・・・・!

DXのハイパービームソードが、徐々にフリーダムのシールドを溶かしていく

「どうしたい、天才パイロット! パワーはDXの方が上みたいだぜ!」
『この・・・ッ! 邪魔を・・・・するなぁァァ!!』

いきなり相手の、キラ・ヤマトの雰囲気が変わった。そう思った瞬間だった

ドシュゥゥン!

いきなりコクピットに衝撃がきて、またもフリーダムに吹っ飛ばされる

信じられないことに、あの格闘戦の最中フリーダムはどう動いたのか、ビームライフルを零距離で放ったのだ
DXでなければ、コクピットを撃ち抜かれていた一撃だった

ガロードはコクピットに叩きつけられた衝撃で、呼吸ができなくなる

「ッ・・・・・ハァッ! ハァッ! こいつ・・・・カリスがかわいく見えてくるような相手だぜ・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
『なぜ邪魔をするんだ! 僕は・・・・・僕は・・・・・殺したくないのに! どうして僕に撃たせるんだよ!』
「ハァ・・・ハァ・・・ふ・・・・ざ・・・・けんな! なら・・・なんでMSに乗ってんだよ! なんで戦ってんだよ!」
『誰も殺したくないから・・・・誰も死なせたくないから・・・・僕は戦ってるんだ!』
「あんた・・・・自分がなに言ってんのかわかってんのか・・・・! 引き金を引いたら、傷つく人が出るだろ!
  とりかえしのつかない過ちも起きるかもしれねぇ! あんたはそれをちゃんとわかってんのか!?」
『だからって・・・・君みたいな危険なMSを野放しにしておくわけにはいかないんだ!』
「わけわかんねぇよ、あんた・・・・。だったら・・・・あんたのMSは危険じゃねぇのかよ!
  いきなり戦場に乱入して、敵も味方も巻き込んでビームライフルぶち込むあんたのMSは!」

バスターライフルを構え、連射する。たやすくかわされた。信じられない機動だ

(やべ・・・・こりゃ、マジやべえや・・・・)

ドゥン! 

フリーダムの両肩にあるエネルギー砲が火を噴き、DXの腹部に命中する
ダメージを受けて、吹っ飛ばされるが、DXはまだ動く

『なんて・・・・。本当になんて装甲だ・・・・化け物みたいだ・・・』

化け物と言いたいのはこっちだと、コクピットに叩きつけられながら、ガロードは思った

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ヤタガラスが連合艦隊を振り切るべく、最大速度で空をゆく

「ヤタガラス! 援護する!」

シンはアカツキ単機で連合艦隊に戦いを挑んだ

『シン、無茶よ! たった一機で・・・・ああん、もう! キッド! MSの応急処置まだ終わんないの!』
『いや、これは・・・・』

ルナとレイの声が聞こえるが、シンは笑みを浮かべて答えた

「大丈夫! アカツキはそういうMSだ!」

連合艦隊のMSが、アカツキに群がってくる。シンは連結ビームサーベルを構えた状態で、
空中に静止した

『ちょ・・・・あんた、それじゃいい的・・・!』
「さぁ、ちゃんと狙ってくれよ!」

ウインダムが編隊を組み、ビームライフルを構えて、一斉に射撃してきた

バシュゥン、バシュン、バシュゥゥゥン!

いくつものビームが、アカツキの金色の装甲へとぶつかっていく

シュン、シュン、シュン・・・・・ドォォォン!

直後、アカツキにぶつかったビームは、すべて正確に反射され、MSを撃墜した

『は・・・・? ビームを反射したぁ!? なにそれぇ!?』
「これがアカツキの、ヤタノカガミ装甲だ。VPSとかとは一味違うぜ! 
  さぁ、覚悟しろよおまえらぁ!」

シンは連結ビームサーベルを構え、一気に敵陣へと斬り込んで行く
先ほどの光景が信じられなかったのか、ビームライフルを放ってくるMSもいたが、
それは正確なビームの反射を受けて自爆する

「らぁぁぁぁぁ!!」

ザシュゥ! ドシュゥ!

連結ビームサーベルを風車のように回転させ、次々と撃墜させていく
ビームの攻撃は無駄と知った敵MSたちは、それぞれビームサーベルを引き抜き始めたが、
元よりアカツキの機動と、シンの格闘能力にかなうはずもなく、数の優位を性能差で押し切られていた

「どけぇぇぇ! ヤタガラスを行かせろ・・・・ステラが、ステラが待ってるんだぁぁぁッ!」

ズバッ・・・・ドシュゥ!

ウインダムを切り下げ、撃墜する。やがて敵MSはアカツキを恐れ始め、徐々に距離を置くようになってきた

ヤタガラスが漆黒の機体を陽光にきらめかせ、地中海を突破していく。それをはばむものは見えない
そのとき、一機のMSがこちらへとやってくるのが見えた

「カオス・・・・!? アイツ・・・・!」

間違いない。ステラをガイアごとさらって行った、カオスガンダムである
カオスはビームがきかないことを理解しているのか、誘導ミサイルを放ってきた

即座にアカツキのシールドを構え、受け止める

ドォォン、ドォォン!

「野郎・・・・! 聞こえるか、カオス!」

防御に成功し、アカツキは無傷である。シンはカオスに通信を入れた

『チッ、戦場でなにか用かい、金ピカ君!』

軍人らしい、男の声が聞こえてきた

「ステラをどこへやった! ステラを返せ!」
『そうか。君がステラに変なことを吹き込み、連れまわした少年かい!』
「どこへやったって聞いてるんだ!」
『彼女は兵士だ・・・・。戦場に還したに決まってるだろう!』

カオスがビームサーベルを構え、迫り来る。

ぱぁぁぁん

それを確認した瞬間、シンの頭で『種』がはじけた

「なんて言った・・・・なんて言ったんだよ・・・・ステラが兵士だって・・・・!? 
  あの子を・・・・無理矢理戦わせているのはおまえたちだろうがぁぁぁぁッ!」

アカツキの連結ビームサーベルをまわし、カオスの腕をビームサーベルごと叩き斬った

『こ、この・・・・!』
「薬物を投与して、洗脳して! ステラをなんだと思ってるんだッ!
  それが人のやることかよッ! おまえはぁぁぁッ!」

カオスがミサイルを放ってくる。バルカンでそれを撃ち落とし、接近する

『戦争だからな! 人でなしと呼ばれるのもやむなしさ・・・・・』
「どけよ! 約束したんだ、俺は・・・・! ステラを守るって! あの子を守るってッ!」
『金ピカ! 君も軍人だろう! それなのになんだ、敵を救うとか、わけがわからないぞ』
「軍人なんか関係ない! 敵とか味方とか、そんなこと関係なしに・・・・約束は守らなきゃならないだろ! 
  あんたそんなこともわかんないのか! だから・・・・だから俺は行くんだ、ロドニアへ!」
『う・・・・くっ・・・・本気でステラを救うつもりなのか、君は!』

カオスの動きが停止する。ふと、相手の殺気がやんだ。だからアカツキも静止する

「本気だよ。俺はステラを助けに来た」
『助けてどうする? あの子は強化人間だ。そう長くは生きられないぞ』
「知ってるさ! でも・・・・でも! だからってあきらめるのか! 幸せも、命も・・・・!
  ステラはこの世に生まれてきたんだぞ! 人間なんだぞ!」
『こいつ・・・・・。俺はファントムペイン隊長、ネオ・ロアノーク大佐だ。おい、名前を聞いとこうか』
「シン・アスカ」
『シンか・・・・。ステラは、デストロイに乗せられる予定だ。あのオーブ戦で投入された巨大MSにな』
「・・・・・・・!」
『助けたければ助けてみろ。おそらく、次の戦場でおまえさんはステラに出会える』
「なんで・・・・俺に教えた?」
『気まぐれさ。でもステラは忘れてると思うがね、君の事』
「どうでもいい。俺は、ステラのこと忘れてない。ステラを守るって約束したこと、忘れてないから」
『やれやれ。少女を守る少年は、いつの時代も無敵ってわけか。無敵にかなうわけねぇわな
  おい、イアン、艦隊を撤退させろ! はぁ? いいんだよ! こんな化け物MSどもとまともにやってられるか!
  司令部がごたごた抜かすなら、この戦いの映像送りつけてやれ!』

ネオと名乗った男がそう告げると、連合軍の艦隊が本当に撤退を始めた
アカツキのコクピットで、ぽかんとシンはそれを見つめる

「ネオ・・・・あんた・・・・・」
『縁があったらまた会おうぜ、シン』

カオスがウインダムを引き連れ、撤退していく
シンはぼんやりとそれを見つめ、少しして我に返った

「そうだ、まだ、戦いは・・・・」

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アークエンジェルへの専用回線。その番号は覚えていた。それを入力して、
インフィニットジャスティスからアークエンジェルに通信を入れる

「アークエンジェル、聞こえるか。アークエンジェル!」

『アスラン・ザラ・・・!?』

聞き覚えのある声が、アークエンジェルから返ってくる。艦長のマリュー・ラミアスだ

「こちらはタカマガハラ第一部隊ヤタガラス艦長、アスラン・ザラである
  貴艦の行動はオーブ、ザフトの双方に対するテロ行為である
  すみやかに武装解除して降伏せよ。さもなくばこちらは、
  カガリ・ユラ・アスハ暗殺の犯人として貴艦を撃墜することも辞さない」
『なんですって!? あなた、本気で私たちをカガリ代表暗殺の犯人にする気!?』

アスランはマリューの声を聞いたとき、危うくアークエンジェルに向かってビームを放ちそうになった

(自分たちが結婚式に乱入してきたことはどう説明する気だ!)

しかし目を閉じて、怒りを静める。クールになれ。冷徹に、冷静に。でなければあの狂気には勝てない
ニコル・アマルフィには勝てない。これまでのアスラン・ザラでは

「繰り返す。武装解除して降伏せよ。さもなくば撃墜する」

アークエンジェルを守るように、ムラサメとヴァサーゴが立ちふさがっている
アスランは一旦、ジャスティスの進行を止めた

『私たちがカガリさんを殺すわけないって、あなたもわかってるでしょう・・・あ!』
『申し訳ありません、替わってください、ラミアス艦長。聞こえますかアスラン?』

聞き覚えのある声がする。ラクス・クラインの声だった

「・・・・・繰り返す、武装解除して降伏せよ。これが最後の勧告である」
『アスラン。あなたは戦うべき相手を間違っています。なぜ憎しみにその身を焦がすのです。それではまた繰り返しです』
「猶予は三分である。これを過ぎれば、当方は貴艦を撃墜する」
『アスラン、あなたはそんな方ではないでしょう? カガリさんを本当に殺したのは、いったい誰なのですか?』
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
『あなたはジャスティスという剣を持っています。その剣を復讐のために使うのですか? 
  そんなことをすれば、正義の刃は折れ、あなたを傷つけ、カガリさんも悲しみます』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『今一度、私たちと手を取り合い、共に戦いましょう、アスラン
  本当の平和のために。これ以上、カガリさんのような悲しみを生み出さないために』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三分だ。アークエンジェルを撃墜する」

ラクスのままごとに付き合うつもりはなかった。アスランは右腕に巻いたベールに触れてみる
ただ、決意だけがこの右腕には宿っている

ぱぁぁぁぁん

頭の中で『種』がはじける。瞬間、インフィニットジャスティスをMAに変形させ、全開でバーニアを吹かす

バシュゥゥゥゥ・・・!

ムラサメとヴァサーゴを一気に追い抜き、アークエンジェルの後方にまで回りこんでMS形態に戻り、急停止する

『・・・・なんて機動だ!』
『クッ、ラクスをやらせるわけにはいかん』

ムラサメとヴァサーゴが追ってくる。構わず、二門の収束ビーム砲をアークエンジェルのメインエンジンに向けた

「落ちろ」

ドシュゥゥゥン! バガァァァァン!

収束ビームの直撃を受け、アークエンジェルのメインエンジンが大爆発を起こす
白い艦体は大きく傾き、無様に半身を海面へとずぶずぶ沈めていく

『アスラン、正気か! アークエンジェルを沈めただと!?』

ムラサメのバルトフェルドから通信が入ってくるが、
アスランは無言でジャスティスのビームライフルをそちらに向けた

「自分たちからヤタガラスに攻撃を仕掛けたことは棚にあげて・・・・・・よくもぬけぬけと
  警告はした。それを無視しても、撃墜されないと思ったのか? なら、とんだ阿呆だな
  ただ、自分でどうにかする余裕だけはおまえたちに残しておいてやる
  それがかつてアークエンジェルを仲間と呼んだ俺の、最後の温情だよ」

バシュゥゥン! ドォォン!

狙いすました高エネルギービームライフルの一撃は、ムラサメのバーニアを貫き、
黄色いそのMSもまた海面へと無様に沈没していく

『バルトフェルドまでやったのか・・・・クッ!』

ムラサメからやや遅れて、ガンダムヴァサーゴがやってくる
これは他の相手とは少し違うだろう。インフィニットジャスティスでも、てこずる相手だ

「ヴァサーゴのパイロット。ムラサメのコクピットもアークエンジェルのブリッジも俺は撃ち抜いていない
  海の中へ急げば、仲間の命は助かるかもしれないな。どうする、それでも俺と戦うか?」
『貴様・・・・。インフィニットジャスティスのアスラン・ザラだな。覚えたぞ』
「俺もガロードから聞いている。オルバの兄、シャギア・フロスト』
『・・・・私の記憶を・・・・・・ええい、今は問答してる暇はない!』

ヴァサーゴはジャスティスを無視して、海へと飛び込んだ
アスランはそれを見届けると、決着をつけるべくMA形態に変形した

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バチバチバチ・・・!

DXとフリーダムのサーベルが、激しくぶつかり合う

『どいてくれッ!』
「てめぇぇぇ!」

DXはすでにかなりの攻撃を受けていた。装甲のおかげで致命傷は避けられているが、
まだ綺麗なままのフリーダムに比べると、違いは歴然だ

ドシュゥゥゥン!

不意に高出力のビーム砲が放たれ、フリーダムがそれを回避する
見上げると、両腰に高エネルギービーム砲を構えたアカツキの姿が見えた

『ガロード、無事か!』
「シン!」
『ったく、情けないな。一方的じゃないか』
「うるせぇ! とにかくやるぞ、シン!」
『・・・・わかってる、フリーダムは俺の家族のカタキだッ! あいつがオーブに来なければ、マユは・・・!』

DXとアカツキが合流し、フリーダムと向かい合う
アカツキやDXは性能的にフリーダムを上回っているはずだが、やはりガロードは威圧感を感じていた

「その・・・スカした顔が気にいらねぇんだよッ!」
『フリーダムッ!』

アカツキと連携し、フリーダムへ射撃を放つ。しかしあっさりとそれもかわされた
しかも回避行動を取ると同時に、フリーダムは全砲門を開き、フルバーストを行う

ドシュゥゥゥン!

「そう何度も当たって・・・クソッ!」
『クッ・・・!』

シンのアカツキがビームだけを受けて跳ね返そうとするが、レールガンを食らってよろめいている
DXもビームライフルの一撃を、頭部に受けた

それからこちらも反撃をするも、ことごとくかわされ、フリーダムの攻撃をほとんど一方的に食らう

「無事かよ、シン・・・!?」
『問題ない・・・・でも、つくづく化け物だよ、こいつは!』
「おい、シン・・・・アカツキって、ビーム跳ね返すんだよな?」
『ああ・・・・それがどうかしたか?』
「例えば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みたいなのはどうだ?」
『それは・・・・悪く、ないな。でもどうやってあいつのスキを作る?』

シンがそう言った瞬間、少し離れた場所で轟音が起きた
アークエンジェルがインフィニットジャスティスの攻撃を受け、沈んだのだ

『あ・・・・アークエンジェルが!? アスラン!?』

キラ・ヤマトの呆然とした声が聞こえる。瞬間、フリーダムの動きが止まった

「いまだ、シン!」
『おう!』

アカツキが飛び出し、いきなりフリーダムの体に組みついた

『なにをするんだ、君たちは! 僕を行かせてくれ!』
『いまだ、ガロード! やれぇッ!』

アカツキがフリーダムにしがみつく。これで動きはとれない。二機とも
ガロードはDXのバスターライフルの照準をそこに合わせた

『な・・・・味方ごとやるつもりなのか!?』
『物覚えが悪いな、キラ・ヤマト!』

シンの勝ち誇った声が聞こえる。ガロードもにやりと笑った

「アカツキはビームを反射するんだぜ! くらぇぇぇ!!」

ドシュン、バシュン、ドシュン、バシュゥゥゥン!

DXのバスターライフルが、次々とフリーダムを貫いていく
アカツキにもビームは当たるが、当然それははじかれ、効果を見せない
ヤタノカガミの直射機能を変更しているため、DXにはそれは跳ね返ってこないのだ

『うわぁぁぁぁ・・・!』

フリーダムの足や顔が吹き飛んでいく
それを確認したアカツキは、フリーダムを蹴飛ばし、ビームサーベルを引き抜く

『これで終わりだ、フリーダムッ!』

ザシュゥゥゥゥ!

アカツキの一撃は、フリーダムの右腕や翼を斬り落とした

フリーダムが推力を失い、落下する。しかし海面すれすれでかろうじて建て直し、空中に静止した
ただ、もう戦う力は残ってないだろう

「シン、わざとコクピットを外したのか?」
『・・・・・家族の復讐は、これで終わりだ。わざわざキラ・ヤマトを殺すつもりもない』

アカツキがビームサーベルを収納する

「・・・・・そか」

ガロードが笑った。その時だった。

いつの間にかインフィニットジャスティスがやってきていて、半壊したフリーダムを見下ろしている
もうほとんど動けないそのMSへ、ジャスティスはビームライフルを向けていた

「アスラン・・・・あんた・・・?」