クロスデスティニー(X運命)◆UO9SM5XUx.氏 第091話

Last-modified: 2016-02-23 (火) 00:01:25

第九十一話 『自分の始末は、自分でつける』
 
 
==========================

オーブの状況は悪くなっている
真綿で締め上げられている、というような感じだった
長期戦になれば分が悪くなるとバルトフェルドは常々言っていたが、それを実感する
やはり短期決戦しかなかったのだ。オーブは、長期戦を戦い抜く体力を持っていない

シャギアはこの二ヶ月、戦い続けだったと言っていい
ザフトの来襲はしつこく、巧妙で、一気に攻め込まない代わりに損害を出さないやり方だった
ザフト地上軍の総司令、ヨアヒム・ラドルという男はそういう腰のすえたやり方をする

オーブは荒廃してきている

なにが荒廃してきているのか。それは人心である
食糧不足がささやかれ、やがてそれはオーブ国民を惑わせた
まだ惑っているうちはよかったが、店や企業が食料品の出し惜しみを始めると、いよいよオーブの世情は悪くなった

オーブ政府を牛耳っているクライン派の政治家たちは食料の出し惜しみを禁じたが、一向に効果はあがらない
本来なら、食糧は充足とは言わないまでも不足していないはずだった
うわさというものの、恐ろしさか

「シャギア二佐」
「オルバか」

二ヶ月前、オルバというザフトの青年がオーブに投降した
ガンダムアシュタロンハーミットクラブを手足のように操り、ともにザフトを撃退したのだ

敵であったが、ラクスは寛容である。彼女は人として、限りない大器を持っていると言っていい
だから、彼女の命を狙ったオルバもたやすく許され、今はオーブ軍としてともに戦っている

オルバが弟だというのは、シャギアもわかっていた
わかっていながら、なんとなく敬遠している。怖いのだ。なにが怖いのか、説明がつかない
ただ、オルバという青年はときおり、すがるような目つきをする。それを見るのが、ひどくつらい

それでもラクスの配慮で、オルバはシャギアの副官のようになっていた
副官としては優秀であるし、黙々と仕事をする

「戦力が不足してます」

オルバはまじめな顔つきで、そう告げてきた
ヤラファス島にある、オーブ軍大本営である。レドニル・キサカが総指揮を執っているが、シャギアも作戦に関与できる立場だった

「厳しいな、オルバ。オーブ本島の維持は」
「はい。メサイアか、オーブか。どちらかに戦力を集中しなければ守りきれません」
「オーブの政情不安も気になる……」
「クライン派と言いますが、たいしたことはありませんね。小娘一人に振り回される……」
「ラクスの悪口は言うな、オルバ」
「……」

また、なにか言いたげなオルバの顔である。シャギアは目をそらした
なぜか、心の奥をえぐられるような感じがする

「通信設備の復旧も遅々として進まず、か。MSの増産などできるわけもない……
 キラ抜きでこれは、もはや限界だ」

今のオーブは、政情不安の宝庫である
刑務所から大多数の囚人が逃げたままだし、軍事施設はほとんどが破壊されている
食糧不足で民心は荒廃しており、治安は悪化の一途。学校も、ほとんどが閉鎖されている

クラウダの性能が、いかにぬきんでているかということだった
クラウダの量産がなければ、今頃オーブはザフトの占領下にあっただろう

そのとき、アラートが鳴り響く
通信設備がやられているせいで、こういうやり方で敵襲を告げるしかない
本営はあわただしくなり、MSの出撃準備を始める。シャギアもいつものようにMS格納庫へ向かった

「暴動だ」

MS格納庫で、キサカが苦々しげに告げてくる
シャギアはすぐに意味を悟った

「相手はザフトではないのだな」
「ユウナ・ロマが受け入れた難民だ。食糧を要求して集まっている
 警官隊では抑え切れん。もしも船でも手に入れられて、ヤラファス本島まで来られたら厄介だ
 市民との間で衝突が起きかねんからな
 まったく、先のことを考えずに難民を保護するからこうなるのだ」
「MSで出ればいいのか、私は?」
「ああ。威嚇だ。わかっていると思うが発砲などするなよ。一人も死者は出してはいかん」
「わかっている」

MSデッキに鎮座する、ヴァサーゴに足を向ける
その隣では当然のように、オルバが出撃準備を行っていた

==========================

英雄であろうとは、思わない
名誉などになんの価値もない。ただ自分が自分として生きていけて、ちょっとの意地が守れればそれでいい
自分に生き方があるとすれば、それだろう

ガロードは、ヤタガラスにあるティファの部屋にいた
彼女はゆっくりとキャンパスに筆を走らせている
ティファが着ているひらひらの服が、ゴスロリとかいうものだというのは最近知った
それを着たティファは、妙に色っぽいと思う

「なぁ、ティファ」
「はい……」
「ティファは、AWに帰りたいとか思うか?」
「……私は。私は、私がいられる場所があるなら、どこでもいいです」
「自分でいられる場所、か」

ガロードは少し頭を抱えた。ティファは筆を止めて、こちらに振り返ってくる

「ガロード。悩んで、いるの?」
「そうかもしれねぇ。この戦争が終わったら、俺はどうなっちまうのか
 もしもAWに帰れず、CEに留まることになったら、どうすりゃいいんだろな」

DX。『ユニウスの悪魔』。世界に鳴り響いたその名前を、どうすればいいのか

たった独りで、生きてきた。誰の手にも頼らずに、あの過酷な世界で生き抜いてきた
だから、いつか死ぬだろうって思ってた。初めて人を殺したのは10才の頃。震える手で握っていた拳銃
いつか自分も、こんな風にゴミくずみたいな死に方をするんだろう
それは一種の予言として、ガロードの中にあった

それが、なにもかも変わってしまった。人の死を喰らって生きていたハゲタカが、英雄とまつられている

「私は……」
ティファが、少しだけうつむいた
「ティファ?」
「ガロード、できるだけあなたの近くにいたい。そう思ってます」
「ティファ……」

かぁっと、ガロードの顔が赤くなる。なにか、気のきいたことを言い返さないと
そう思ったが、言葉がもごもごする。ガロードは、ぱんっと、自分の両頬を叩いた

「よし! 勇気百倍だぜ、ティファ!」
「……はい」
「俺、行ってくる! 難しいことはわかんねぇけど、やるこたぁわかってるからな!」
「ええ」

ティファが、不器用な形で微笑んだ。それがガロードの心に染み渡ってくる

ティファの部屋を出た。ヤタガラスのMSデッキに向かう
キッドはまだ、合流していないが、DXの整備はきっちり終わっていた

「またオトリかよ、ったく」
ウィッツが、エアマスターの前で愚痴っている
「オトリでも甘かねぇぜ、ウィッツ」
「へっ。ガキに言われなくてもわかってんだよんなこたぁ」

ウィッツと、視線をかわす。にやりとお互いが笑う
ガロードはきびすを返して、DXのコクピットに身をすべらせた

「ガロード・ラン、ガンダムDX、出るぜ!」

==========================

難民には、オーブ国籍を発行していない
つまり、難民はオーブ国民ではないということだ
それでも、もしもキラ政権のオーブ軍が難民へ銃を向けることがあれば、それは暴虐である
まともな常識があるのならば、オーブ軍は暴動を起こす難民に、手を焼くはずだ

なすべきことはなした
準備は終わっている。食糧不足の流言も、アスランとユウナの工作である
難民は暴徒となって、警官隊と激突を繰り返している
警官隊ではとめることができず、熱狂は続いていた

ユウナは、熱狂する難民の中にいた。顔を泥でぬりたくり、服もみすぼらしい格好をしている

「心臓が破れそうだよ」

ユウナがつぶやいている。隣にいた、サイ・アーガイルがそれを聞きとがめるような顔をする

「代表、なんでもいいから叫んでください。熱狂した群衆の中、一人だけ臆病でいるのは危険です」
「わかってる。でも、本当にうまくいくのかって気もしてくるよ、サイ」
「ここまで来て、思い悩むのは無しですよ、代表」

サイが言うと、ユウナは青い顔で二度うなずいた

数千の難民が、百に満たない警官隊を押しまくっている
威嚇射撃などしているが、難民も強気だった
当たり前といえば、当たり前なのだ。難民の大半が餓えている。食べねば、彼らは死ぬのである
キラ政権の、難民への食糧供給は極端に少ないものとなっている。無論、彼らとてそうしたくてそうしたのではない
オーブの食糧事情がこの二ヶ月で極端に悪化したのだ
悪化の原因は、商人の売り惜しみから端を発していて、オーブ国民にうまく食糧がいきわたらなくなった
それで政府は、難民に供出する分の食糧を、市民への配給に切り替えたのだ

今の難民たちは、ユウナからの配給に頼りきっている。それでも食糧は足りない
結果的に暴動が起こり、ユウナはそれに乗じた

そういう風に、裏でユウナは工作を行った。ユウナは元オーブ代表である
ちょっとやそっとでなくならぬぐらいの備蓄は作ったので、
きちんとした政治が行われたのならこうまでオーブがおかしくなることもなかったはずだ

ラクスに政治能力はない。そのことはわかっているが、こうまで子供とは思わなかった
誰とて名君になりたい。民に好かれたい。政治家を志すならば、誰もがそう思う
しかし現実はあまくない。政治家の大半が、なぜ嫌われるのか、彼女はその理由をついにわからなかったというべきか

オーブ本島、ヤラファスが遠い。それでも、ラクスのためのキングダムと化した故国を、僕は取り戻す
そう。今度こそ、ラクス・クラインという化け物に、勝つのだ

空がかげった。MS隊が、遠方に見える。M1アストレイを主軸としたオーブ軍のようだ

「みんな、市街地へ入れ!」

サイが号令した。MSが出てきた以上、まとまっているのはまずい
数千の難民が怒号をあげ、警官隊を突破し、市街地へ向かう
ユウナもそれにまぎれ、急いだ。市街地に入るとすぐに指定された家に入る

「アマギか」
「お待たせいたしました、アスハ代表。これよりは我らが警護につきます」
「頼む」

普通の、オーブ国民の格好をした男たちが、家には集結している
しかし彼らはおのおの手に重火器を手にしている
人数はだいたい三十人ぐらいか

「人数をかなり集められました。当初の三人が、十倍です、代表」

アマギがしてやったりの顔で笑う。ユウナも笑い返した
三十人というのは、オーブ軍からすれば微々たる数である。それでもユウナはうれしかった
彼らは一様に、クラインの政治を否定し、自分についてくれる人間たちである

ユウナは顔の泥はつけたまま、難民の格好から着替え、外に出た
アマギを含め、五人ほどが警護につく。当然、武器などは隠していた

難民たちが警官隊と衝突している。死者が出なければいいが
甘いとわかっていても、そう思ってしまう。本当なら、難民は死んでくれた方がいい
そのほうが、キラ政権の非道を宣伝できる

「……ずいぶん騒ぎが大きいね」
ユウナはそろりとつぶやいた。数千人規模の暴動だったが、市街地に入ったあたりからさらに声が大きくなってる感じがある
「オーブ市民が参加しているのかもしれません」
アマギが答えてくる
「市民が? キラ、ラクスをあんなに慕っていたのに……」
「遅まきながら、わかったのでしょう。クーデター以後のオーブは、めちゃくちゃですから」
「……」

ユウナはじっと空を見上げた。そこにいるはずのラクスに向かって問いかける

(ラクス・クライン。父やトダカを殺してまで作ったあなたの国の、結果がこれだ)

「満足かい?」

憎悪が、入り混じる。どうしようもないやるせなさも感じる
それでもユウナは歩き出した。今は、そういう場合ではない

アマギにうながされ、ユウナは港まで行ってレジャー用の小型ヨットに乗った
ヤラファス島が近づいてくる。ユウナは肩の震えを押さえ、そっと目を閉じた

==========================

アスランは艦長席で、軽く息を吸った

「DX、エアマスターは艦の守備に
 これよりオペレーション・オケハザマを発動する
 総員の奮起を期待する」
アスランが告げると、イアンが片手をあげた
「ヤタガラス、浮上。進撃目標は、オーブ軍事施設が集中するオノゴロ島」

ブリッジがゆれて、モニタが有視界に切り替わる
水中の情景が一変し、ヤタガラスは海中より浮上した

ザフトの攻撃第一波にあわせ、ヤタガラスを浮上させる
ヤタガラスはキラ政権にとって目の上のこぶである。当然、軍を差し向けてくるはずだ
ザフトの迎撃にも出なければならない。そして、サイ・アーガイルの扇動によって立った難民たちは、警官隊ごときでは抑えきれまい

つまり、オーブ軍は三方へ軍を分散させねばならなくなる
この期に乗じて、ユウナがオーブ本島アラファスで議会を制圧する
それは空より降りてくるミネルバの役目だった

それまでにできるだけ、人目をひきつける。それこそアラファスからMSが一機たりともなくなるほどに、だ

アスランは空中をにらんだ。蒼い、オーブの空である
右手が、なにか熱を帯びたようになった。なにかを思い出そうとしている
カガリの笑顔か。去りし日は、あまりに遠い
キラやラクスを友としていた頃のアスラン・ザラに、今の自分を教えたら、彼はどういう顔をするだろうか

エアマスターとDXがヤタガラスの甲板、守備につく
DXは、この世界で最高の名声を持つMSだ。おとりには格好だろう

「え……これ……なに!?」

オペレーターのメイリンが声をあげた。アスランは怪訝な顔をそちらに向ける

「なんだ。なにがあった、メイリン」
「いえ……その。ちょ、ウォールが追いつかない……。プロテクトが……。なんて進入速度……これじゃ!」

メイリンが叫びながらパネルを叩いている。数瞬遅れて、ヤタガラスのブリッジ、メインモニタがエラーを叫んだ

『久しぶりだね、アスラン』
「な……誰だ、おまえは?」

メインモニタに映ったのは、無精ひげの男である
頭はところどころ白髪が入り混じり、目は真っ赤に充血している
それに着ているのが異様だった。赤いものがべっとりと張り付いた、よれよれのパイロットスーツである

「ハッキングです、艦長!」
メイリンが叫ぶ。アスランは回路をいったん切れと言いかけた
『アスラン。僕だよ、僕』

アスランの全身に鳥肌が立った。声だけは、まったく同じである
狼狽を押し隠し、モニタをにらみつけた

「キラか、おまえは!」
『そうだよ』

キラが……とうていキラには見えないがとりあえずキラと呼ぶべき人物は、へらへらと薄ら笑いを浮かべた

「なんの用だ」
『オーブ主権をユウナに返す。そのことを、僕は決断した」
「……なに?」
『やってみたんだけど、僕はふさわしくないと気づいたんだ
 だから、やるべき人がオーブ代表をやればいって、僕は思う』
「本気で言ってるのか、おまえは」
『本気だよ。やるべき人がやった方がいいって気づいたからね
 許してよ。とても反省してるんだ。クーデターという、悪いことをしたって……
 だから、また一緒に戦おうじゃないか』

アスランは怒り狂いそうになる自分を抑えていた
ただ、なにか違和感を感じる。それが、アスランの中で冷静さを呼んでいた

「……」
『それと、もう一つ君に頼みたいことがあるんだ、アスラン。君にしか頼めない』

するとキラに乗っ取られているヤタガラスのブリッジに、オーブ周辺の地図が映し出された
そこへ進軍ルートのようなものが書き込まれていく

「……キラ」
『ザフトが、オーブせん滅にデストロイガンダムを十機投入したんだよ
 これがその進軍ルート。それらがオーブ本土を射程におさめるまで時間がない
 もしもこれらがオーブについたら大変なことになる』
「なんだ? それを俺たちに撃破しろと? いったいおまえ、どういう顔でそういうことが言えるんだ……」
『でもアスラン。君にとってもオーブは大切だろ。僕もオーブが大切なんだ
 だから、こんなことは君にしか頼めない。カガリのためにも、ね』
「待て、キラ! ふざけるな……おまえ!」

しかしキラは微笑を浮かべると、アスランの前から消えた
アスランは怒りを抑えるようにうつむくと、声を絞り出す

「メイリン、今の通信をオーブ全土にばらまけ!
 こんなバカが国家元首だと、オーブ市民にわからせてやるんだ!
 それから……!」

クソッ。結局はキラの思い通りか。アスランは苦々しく思いながら、また声を絞り出す

「Gファルコンの降下予定地を変更! オノゴロ島沖西、100カイリでDXと合体させろ!」
==========================

キラは通信機を置いた。コトリと、やさしい音がする

「怖いか、キラ」

背中のジャミルが、聞いてくる

「いえ、そんなことはありません」
キラは静かに答えた。思ったよりも冷静である。全身が冷たくなってるようだ

空が蒼い。蒼穹と言っていい。それは、無限を感じさせる
オーブにある名も知らぬ小島、その小屋で、キラはジャミルと向かい合った

ジャミルの瞳にある、動かしがたいほどの悲しみ。多分、それは誰にも理解できないものだろう
世界を滅ぼした。その罪の深さは、想像もつかない。彼は、死んだ方が楽な人間のはずだ
それでも今日、ここに生きている

キラはジャミルのそんな目が好きだった。心のなにもかもを見透かされているようで、かえってそれが心地いい

「これからは敵同士だな」
ジャミルが静かに宣告する。キラは、こくりとうなずいた
「あなたと出会った二ヶ月間。それは忘れません。僕にとって、なにより大切な日々でした」
「いずれ、出会わなかった方がよかったと思うようになるだろう」
「そうでしょうか。そうは思わないと思いますよ」

キラは笑ったが、ジャミルはにこりともせずに背を向けた
彼は一歩一歩海岸線を歩いていく。キラは微動だにせずそれを見送った

「キラ。送る言葉はない。これが、君との別れだ」

ジャミルが背を向けたまま、去っていく。キラはがばりと身を伏せ、その背中へと土下座した

どれだけそうしていたか。再び目をあげると、ジャミルの姿はなかった
キラはすぐにかたわらにある輸送船に足を向けた

これで死ぬか。ただ、死ぬわけにもいかない。やるべきことは山積している
MSに乗り込み、遠隔操作で輸送船を動かす。古びた輸送船は騒々しいエンジン音と共に、動き出した

旧式のレーダーが動く。旧式だが、目標がばかでかいので見逃すことはないだろう
案の定、簡単に見つけられた

「どれだけ時間が稼げるか」

海をゆく、ザフト軍。そこに積まれている巨大な荷。デストロイガンダム
キラは目を閉じた。Sフリーダムに乗っていた頃は、これほどまでに死を身近に感じることはなかった
今はまるで、背中に張り付いたかのように、死は身近にある

傲慢だったのだ。戦場にいるくせに、自分は死と無縁だと思っていたのだ

コクピットで電源を入れる。にぶいうめき声と共に、キラの愛機が命を叫ぶ

「誰の手も借りない……自分の始末は、自分でつける。
 汚名にまみれるよりも、命を失うよりも、自分を許せないままでいることの方が僕は嫌だ
 願わくば、戦い終わるまでに、僕は男でありたい」

キラは軽く息を吸った。見送るものとてない
味方などどこにもいない。たった一人で、これから戦うのだ
それが、自分の選んだ道である。愉快ではないか

「キラ・ヤマト、ジン、行きます!」