グラハム・エーカーが異世界に介入するようです_002

Last-modified: 2011-10-26 (水) 19:27:51
 

グラハムが目覚めた瞬間に大量の情報が頭の中に入っていった。
頭がパンクするのではないのかという程の情報量は苦痛を伴いながらグラハムの脳内に定着した。
実際には数秒に満たない時間ではあったが、少々怒りを覚えながら
目の前のカプセルの扉から室内へと足を踏み入れた。
脳内へと定着した情報の中にはイノベイドの覚醒方法もあり、
ヒリングとディヴァインらを起こすべく操作を行った。
それが終わるまでの間に服を用意し着替え、彼らの分の着替えも用意しておいた。
数分後アラームが鳴るとカプセルの扉が開き、2人は室内へと足を踏み入れた。
そしてヒリングが開口一番

 

「きゃ~変質者がいる~。って冗談よ冗談wリボンズから話しは聞いてるし。
 ねえブシドーそんなに怖い顔しないでよ~。」

 

ディヴァインはそんな彼女?の姿を半ば呆れたような様子で見ていた。
グラハムは彼らの前に服を差し出してとりあえず着替えるように話をすると
テーブルの前の椅子に座り今後どうなるのだろうと頭を抱えるのであった。

 
 

とりあえず彼らが着替え終わった後に「お腹が空かないか?」と尋ねると
彼らも空腹だと言うので室内のレトルト食品を保管してある冷蔵庫を開けて、
3名分のトレイを取り出そうとする。
するとディヴァインが「私も手伝います。グラハム」と言うのでレンジへトレイを入れてもらった。
その間ヒリングは右手にスプーンを持ち「お腹減った~!」と
まるで小さい子供のような姿で食事を催促していた。
そのような事を考えていると突然ヒリングが
「さっきからブシドー!しっつれいな事考えて酷いよ!」と怒り出した。

 

グラハムにしてみれば何が起きたか一瞬分からなかったがディヴァインが
「グラハムの脳量子波で考えが筒抜けになってましたよ。」と教えてくれた。
これまで脳量子波などイノベイターにしか関係ないと思っていただけに
自分が使えると言われてもにわかに信じがたい物があった。
とりあえず3人の食事が暖まったので食べようとその場はなった。
ふと
「考えてみればこうして食事をしたのは隊員達とした時くらいだったな。
 こうして考えると孤児院の食事は酷かったな・・
 あとカタギリ指令に連れて行ってもらったスシは旨かったな。
 あの後連れて行ってくれなかったが遠慮はいらないと言うから食べただけなのにな。
 ビリーがしきりに肘で突いていたがあれはなんだったんだろう?」
等と考えていると2人が生暖かい目でこちらを見ていた。
まさか!と思っていると頭の中に
「せ~かい!あたしら同類だからみんな筒抜けなのよ!」「というわけです。グラハム」
と2人の声が響いた。
「一応意識すれば遮断出来ますよ。」とディヴァインは教えてくれたが
ヒリングは「何で教えんのよ!」と噛みついていた。
自室には遮断装置があるので少なくても寝言が放送される事はなさそうで一安心だ。

 
 

食後にヴェーダが収集した情報を3人で整理していくと

 

プラント(ザフトとも言われているが)が散布したニュートロンジャマーという機械で
核分裂炉が停止状態にあるという。
その副次的効果で通信に障害が発生しているがGN粒子の散布に比べれば遙かに微弱だということだ。
とりあえず大西洋連邦やユーラシア連邦など地球連合を構成する加盟国は
火力などを再稼働させたりしているものの絶対的な発電量は不足しているということだ。
軌道エレベーターがこの世界には存在しないため(オーブで計画はあるらしいが)
太陽光発電をするとすれば静止衛星軌道上に発電衛星を配置する必要がある。
さらに地上に受電設備を配置すれば電力問題は大きく解決に向かうはずだ。
既に我々のいた世界では実用化しており枯れた技術でもあり、技術的なハードルはほぼ無いに等しい。
ソーラーセイル効果による軌道修正にはGNドライヴを使用すれば良いしな。
しかし問題は技術ではなくザフト軍であろう。
当然これらの衛星の破壊や鹵獲を目論むであろうことは予想できるし、
当然それらを防衛する組織も必要になるかもしれない。

 

モビルスーツ開発はザフトが一つ抜け出す形にはなっている。
しかしビーム兵器はある特殊な機体でのみの運用でありその弾数も少ない。
現在の所実弾を使用したマシンガンや実体剣が主な武器となっている。
こうしてみるとイナクトやフラッグでも勝てるのではないかなどとも思ってしまう。
(ティエレンはさておいても)
既に連合でも中立国のコロニーでのMS開発がハルバートン准将の指導の下で開始されている。
しかし基本がジンである以上こちらで言うナチュラルのパイロットには荷が重いであろう事は
容易に想像が付く。
フェイズシフト装甲とビーム兵器を装備したこれらの機体は既に完成状態らしいが
OSの作製に時間が掛かっているらしい。
ヴェーダの情報によればOSの作製にはヘリオポリスの民間人が関わっているとのことだ。
そしてこのGATシリーズの情報をオーブが無断借用し独自のMSの作製を行っているそうである。
中立国のコロニーで開発をする事と言い民間人が関わることと言い脇の甘さを感じずにはいられなかった。
さらにこの情報がザフトへ流れている形跡が発見されており、
ヘリオポリス付近でのザフト艦の活動も活発になっているという。
最悪の場合に備えてヴェーダ経由で機体のロックを掛ける事が出来るか確認したところ問題ないという。
さらに機密保持のために自爆装置が装備されているというので
最悪の場合はこちらで自爆させることも出来るという。
そうしたことが起こらないことを祈らずにはいられなかった。

 

我々サイドのMS製造はとりあえず3人の乗機を選んでから製造を始める予定だ。
かつてのソレスタルビーイングの様にそれの部品と分からない形で納品されており
これを組み上げればMSへと変貌を遂げる筈である。
MSの組み上げやメンテナンス等はハロやオートマトンが行う。
このオートマトンは非常時にはアロウズで使用されていたような武装タイプへと変貌する。
疑似太陽炉とビーム兵器はここの設備でしか現段階では作れないので貴重品でもある。
乗機はヒリングがガデッサ、ディヴァインがガラッゾ、私もガラッゾを選んだ。
現段階ではそれ以外にGN-Xと1ガンダムのみが製造可能となっている。
これは現段階では疑似太陽炉がガデッサ系列のコアファイターに装着するタイプの物しか
生産に余裕が無い為である。
後私の戦闘スタイルが比較的近接戦闘を好む為ガデッサの様な砲戦タイプよりも
ガラッゾの方が向いていると判断したためである。
連合参加国(おそらく大西洋連邦がメインだろうが)には
いずれGN-Xと多少性能を落とした疑似太陽炉が提供される予定である。

 

後は衛星の軌道修正に使う小型GNドライヴ(粒子発生量を絞る代わりに長寿命を得るタイプ)の
量産が行われている。
既に発電衛星と受電設備はダミーの会社を経由して出荷が決まっており、
最初の受電設備は旧アメリカの砂漠地帯に設置される事が決まっている。
リボンズの下準備とヴェーダのおかげで資材や資金は潤沢に揃っており
ダミーとなる会社も複数の会社が既に立ち上がっている。
この基地もダミー会社であるソレスタルビーイング社が大西洋連邦からリースを受けている形に
書類上はなっている。
また我々はソレスタルビーイング社の子会社の民間軍事会社である
ソルブレイヴスの社員ということになっており、ソルブレイヴスは大西洋連邦の軍人達に
CB社のMSの運用指導等を行うことになっている。
あと人材が不足しているためにソルブレイヴスではヴェーダの情報にあった
大西洋連邦で作製された戦闘用コーディネーターであるソキウスを3名転籍させることも受け入れさせた。

 
 

それにしても大西洋連邦の上層部がダミー会社経由とは言え我々の意見を素直に聞くのか
少々疑問があったがある資料を見て氷解した。
寿命を延ばすことと体の代謝を向上させる事に特化したナノマシンを
上層部や上流階級に提供していたのだ。
しかもヴェーダで評価が低い人物には提供が打ち切られるという。
不老不死はどこの世界でも財をなした者の最後の望みだがそこに付け込むとは・・あまり愉快ではないな。
またリボンズが下準備をした段階でブルーコスモスなる組織のムルタ・アズラエルに接触していた。
旧アメリカに本拠を置く軍産複合体のオーナーでもある彼に接触するのは
ある意味仕方のない事なのだろう。
反コーディネーター団体と言われているブルーコスモスではあるが
アズラエル氏は穏健派に属しているという。
しかし過激派のメンバーである軍人の暴走を止められず、プラントのユニウス7コロニーへの
核攻撃を許すなどブルーコスモスには不吉な物も感じずにはいられない。
宇宙では核攻撃を行ってもその環境自体に宇宙放射線などが溢れており
そういった意味では地球での核攻撃とはやや意味合いが異なる。
だが厳重に秘匿されるべき核起爆コードの流出など大西洋連邦も少なからず問題を抱えているようである。

 
 

こうして情報を整理し、決定をしヴェーダ経由で実行を指示させていると
ヒリングがわざとらしく目をしょぼしょぼとさせ
「夜更かしは乙女のお肌には良くないのよね~」などと声と脳量子波のダブルで言ってきた。
今日の所はここまでにしようとビリングとディヴァインに休んでくれと伝え、
自分もヴェーダの端末の電源を落とした。

 

「しかし乙女とはな。ヒリングは性別無しで作られていた筈だが?」等と一瞬考え、
しまったと思った次の瞬間右頬に張り手が飛んできた。
「ブシドーってホントデリカシーないのね!!」

 

なまじ脳量子波が使えるだけにこんな事になるとは・・

 
 

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