サンタ 氏_未来の子供たちへ_第01話

Last-modified: 2010-02-28 (日) 03:19:26

第01話‐始動‐

 

C.E.79年、11月14日。
L3宙域に所属不明の戦艦三隻が航行していた。

 

ひとつは改アークエンジェル型大型戦闘艦『アマデウス』。
ザフト軍に足付き、ブルーコスモス盟主のムルタ・アズラエルからは不沈艦と呼ばれた
アークエンジェルの改良型だが、最大の特徴であった左右の"足"はなくなり、
アークエンジェルの改良型と言われても、誰も頷けないだろう。
むしろ、ザフト軍のミネルバに近い形をしている。
そしてアークエンジェル最大の武器であったゴットフリートだが、
アマデウスの主砲はミネルバと同じタンホイザーとなっている。
もうふたつは改ナスカ級MS搭載強襲駆逐艦『ヨーゼフ』と『ヴァン』。
こちらも改良されており、ナスカ級の泣き所であった火力の少なさを補っている。

 

この三隻の目指す場所とは、L3宙域に漂う資源衛星『フューチャー』。
プラント最高評議会にて未来と名付けられた資源衛星は、
表向きにはコーディネイターの出生率を上げるためのラボとされている。
そこに三隻は向かっていた。

 
 

「艦長、格納庫からの連絡です」

 

アマデウスブリッジ。
クルーの中でも取り分け若い少年オペレーターがまだ声変わりを終えていない声で艦長に告げる。

 

「格納庫から?なぜ?」
「えーっと、クシュース中尉が突然体調を崩し医務室へ運んだ、とバレル少佐が」
「分かりました、と伝えて下さい」
「了解しました」
オペレーターの少年は慣れた手付きで目の前のキーボードを打つ。

 

「艦長、残り3分で資源衛星フューチャーに到着します」
「分かりました。各艦、ファントムシステム展開中止。総員、第二種戦闘配備。
 各MSパイロットはMS内で待機です」
「ハッ。各艦、ファントムシステム展開中止!総員、第二種戦闘配備!
 MSパイロットはMS内で待機!繰り返す!」

 

鮮やかな赤髪を伸ばしている女艦長が指示を出す。
改ミラージュコロイド技術であるファントムシステムで姿を隠していたアマデウスは、
目的地である資源衛星フューチャーに接近するため、それを解く。
このファントムシステムはミラージュコロイドの欠点であった熱紋や電磁波をも隠す
ステルス機能を有しているので、見つかることはまず不可能に近い。
そしてアマデウスに続き、ヨーゼフとヴァンもファントムシステムを展開を中止する。

 

姿を晒した数秒後のことだった。

 

「艦長!MS接近してきます!」
「MS?数は?」
「一機です!」
「一機ですって!?」
「モニターに出します!」

 

一機で出撃してくるのにも驚いたが、ブリッジのモニターに映し出されたそのMSを見て、
アマデウス艦長のフロウ・アーガイルは二度驚くことになる。

 

「あれは……デスティニー!?」

 

『ラクス様の邪魔をする奴らは……俺が消してやる!!』

 
 

* * *

 
 

アマデウスの格納庫。
自身の愛機の中で待機していた青年は艦長の驚いた声と敵の声に笑みを見せた。

 

「聞こえたか?ステラ。デスティニーだそうだ」
『ですてぃにー?』

 

すぐ近くで自分と同じようにMS内に待機している少女にオープンチャンネルで話しかける。
あどけない少女は首を傾げながら、『ですてぃにー……ですてぃにー……?』と復唱する。

 

「シンの機体だ」
『シン……?だぁれ?ステラ、分かんない……』

 

記憶を消してしまった少女はもう憶えていないようだった。

 

「無理に思い出さなくていい。それより、いつも通りにな」
『うん!』

 

少女の太陽のような笑みを確認した後、青年はオープンチャンネルを閉じる。
出撃だ。

 
 

『ユビラーテフォビドゥン、発進スタンバイ。
 右舷カタパルトオンライン。気密シャッターを閉鎖します。発進区画、非常要員は待機してください。
 発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。カタパルト推力正常。進路クリアー。
 ユビラーテフォビドゥン、発進、どうぞ!』
「了解。ユビラーテフォビドゥン、レイ・ザ・バレル、行くぞ!」

 

青年―――レイ・ザ・バレルが愛機であるユビラーテフォビドゥンで出撃する。
言わずもがな、旧地球連合軍のフォビドゥンの発展機だ。
オリジナルのフォビドゥンとの違いはその特徴的な大鎌ニーズヘグが二本になったことと、
その機体色が黒になり、まるで魂を刈る死神のような姿になったことだろう。

 

『続いてエクスルターテガイア、発進、どうぞ!』
「エクスルターテガイア、ステラ・ルーシェ、出る!」

 

続いて宇宙に飛び出したのは少女―――ステラ・ルーシェと愛機エクスルターテガイア。
こちらも旧ザフト軍のガイアガンダムの発展機だ。

 

「スピカ、待ってて。ステラ、絶対に帰るから」

 

家で待つ"妹"にそう誓い、ステラは白いエクスルターテガイアを人型形態からすぐさま四足獣形態へ変形し、
レイのユビラーテフォビドゥンを追った。

 

To Be Continued.

 
 

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