リリカルクロスSEED_第07話

Last-modified: 2007-12-27 (木) 16:31:04

「なるほど、それが時空管理局なわけだね」
キラは二人から時空管理局についての説明を受けていた。
時空管理局は数多に存在する次元世界を管理・維持する為の司法機関。
今回のジュエルシードの反応を察知して、それの問題解決のために来たということらしい。
「ともかくそれに見つからないようにジュエルシードを集める必要があるわけか」
「難しいと思う、でもやらなくちゃいけないから」
「分かった、僕も全力でフェイトちゃんたちを手伝うよ」
「ありがとう、キラ」
「あ・・・・・・」
「?・・・どうしたの、キラ?」
「あ、いや、この前までキラ君って呼ばれてたのがキラになっていたからちょっと驚いたんだ」
「そういえば、そうだったね。何でだろう?」
フェイトもキラに言われて今気付いた感じだった。
「もしかして、キラ君のほうが良かった?」
「ううん、そんなことない。呼び捨ての方が嬉しいから」
「そうなんだ。じゃあ、キラでいいよね?キラ」
「うん、これからもよろしくね。フェイトちゃん」
キラはフェイトとの距離が少し縮まった気がして嬉しかった。
そして、フェイトは危ないことのはずなのに手伝ってくれるというキラに深く感謝した。
 
「すごいや、どっちAAAクラスの魔導師だよ」
「あぁ」
巡行艦「アースラ」では先ほどの戦闘の映像がモニターに現れていた。
「魔力の平均値を見てもこっちの白い服の子は127万、黒い服の子で143万。最大発揮値はその3倍」
そのモニターを見ながらクロノと話しているのはエイミィ・リミッター、アースラの管制官である。
「クロノ君より魔力だけなら上回っちゃってるね」
「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と的確に使用できる判断力だろ」
「それはもちろん、信頼してるよ。アースラの切り札だもん」
「それよりも・・・・・」
モニターの映像が変わり、キラが映し出された。
「この子は110万、白い子と黒い子より少し低いみたいだね。だけど・・・・」
「あぁ、あの一瞬だけだが魔力が桁違いに跳ね上がった」
「うん、まだ分からないけど最大発揮値は恐ろしいことになるよ」
すると後ろから妙齢の女性、リンディ・ハラオウンがブリッジに入ってきた。
「あぁ、二人のデータね」
「はい、ですが・・・・・・」
「やっぱり、この男の子が気になる?」
映像がまたキラに切り替わる。
「はい、一度だけでしたが・・・・彼は強いと感じます」
「そうね、あの子の目。何度も死線を戦ってきた目、戦士の目だわ」
「あの歳でもうそんな経験を?」
「分からないけど・・・・気をつけるべきなことは確かね」
 
キラたちは管理局に見つからないようにジュエルシードを集めていた。
「でえぇぇぇぇぇぇいっ!!」
キラはジュエルシードの化け物に身の丈ほどの大刀シュベルトゲベールを振り下ろす。
真っ二つになった化け物の姿が消えジュエルシードが現れる。
キラはそれを掴むと上に放り投げ、それをフェイトがキャッチする。
「お疲れ様、キラ」
「おつかれ、キラ」
フェイトとアルフがキラのところまでやってくる。
「うん、二人とも大丈夫だった?」
「キラがほとんど戦ってくれてるおかげで楽させてもらってるよ」
「見つからないように三人分転移するんだから休んだ方がいいからね、僕は転移覚える暇ないし、コレぐらいしかないからね」
キラはシュベルトゲベールを見せながら笑う。
「それにしてもキラのデバイスは凄いんだね、状況に応じた装備に換装するなんて。それにキラ自身も強いし」
「オールラウンダーってわけだね、頼りになるよ」
「そ、そんなことないよ。そ、それよりほら移動しないと!」
「はいはい。それじゃ、移動するよ」
「うん、お願いね。アルフ」
そうすると三人の下に魔方陣が現れ、そして三人は姿を消した。
 
数日後
「ここ?」
キラは下を見る。そこには海が広がっていた。
「そうみたい、まだ発動していないから」
フェイトはバルディッシュを構える。
「強制発動させるよ、キラは下がっていて」
「うん、無茶はしないでね?」
「大丈夫」
そう言うとキラはフェイトから距離を取る。
海上に大きな魔方陣が現れる。
「アルカス・クルタス・エイギアス」
フェイトが詠唱を始める。
「煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
雷が鳴り、雨が降り始めた。
(ジュエルシードは多分、海の中。だから、海に電気の魔力流を叩き込んで強制発動させて位置を特定する)
(確かに、そのプランは間違ってないけど・・・・フェイトちゃん)
アルフとキラは心配そうに魔方陣の中心にいるフェイトを見る。
「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス」
フェイトの頭上に幾つもの雷の魔力の塊が現れる。
「はぁーーーーーーっ!!」
フェイトはバルディッシュを海に向かい振りかざす。
それと同時に魔力の塊から電気の魔力流が海に叩き込まれる。
すると、海が荒れ始め、ジュエルシードが強制発動し、六つの光が現れた。
「はぁ、はぁ・・・・・見つけた、残り六つ」
(こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して・・・こんなのフェイトの魔力にしても絶対に限界超えだ。キラ!)
「うん、わかってる!」
キラはすぐさまジュエルシードの光に向かっていく。
「アルフ、空間結界とサポートをお願い」
「あぁ、まかせといて」
(だから、誰が来ようが何が起きようが・・・・・)
(僕らが絶対守る!)
アルフとキラはそう決意をする。
ジュエルシードは六つの魔力の竜巻を作り上げ、恐ろしい魔力を放ち始める
「行くよ、バルディッシュ。・・・がんばろう」
フェイトはキラの後を追い、その中に飛び込んでいった。
 
「くそっ!数が・・・・・多い!」
ライフルで魔力弾を撃ち込んでも効いているようにも見えない。
「このままじゃ、こちらが自滅してしまう」
仮にどうにか出来ても、その後を待ち伏せられ時空管理局に叩かれる恐れがある。
キラに今の打開策を見つけることは出来なかった。
「フェイトちゃんは!?」
フェイトも避けることで手一杯だった。
「どうにか・・・・どうにかしないと!」
そんな時だった、空の暗雲が割れ、光が差し込み、その光の中から少女が降り立った。
「なのは・・・・ちゃん?」
キラはそんな彼女を呆然と見ていた。
「フェイトの・・・・邪魔を・・・・するなぁ!」
「アルフさん!」
キラの呼び声を無視してアルフはなのはに飛び掛っていったが、緑の障壁に邪魔される。
「違う!僕たちは君たちと戦いに来たんじゃない!」
「ユーノ君!」
「ユーノ・・・・君?」
なのはの声にキラはその少年がユーノであることに驚いた。
魔導師なら動物にも変身できるのだろうということにしておく、考える暇がないのだ。
「まずはジュエルシードを停止させないとまずいことになる」
そういうとユーノは上に飛び魔方陣を形成し、バインドを六つの魔力の竜巻を縛る。
その間になのははフェイトの元へと下りる。
「フェイトちゃん。手伝って、ジュエルシードを止めよう。キラくんも!」
レイジングハートからピンクの魔力の流れがバルディッシュに流れる。
『Power charge.』
『Supply complete.』
魔力が尽きていたバルディッシュが復活する。
不思議そうになのはを見つめるフェイト。
「二人できっちり半分こ」
ユーノもバインドで抑えるのが苦しそうだったが、オレンジ色のバインドが同じように竜巻を抑える。アルフのバインドだ。
「ユーノ君とアルフさんが止めてくれてる、だから今のうち!キラくん!」
それを呆然と見ていたキラがすぐに状況を把握する。
「うん、分かった!援護するよ!」
キラはライフルを再度握り締めるとなのはたちの援護をする、二人に攻撃がいかないようにライフルで魔力を撃ち消し始める。
それでもフェイトは良く分からなかった、ずっと一人だったから・・・・・・。
「二人で「せーの!」で一気に封印!」
そう言うとなのはは上に上がっていく。
途中、キラとすれ違うがお互い笑顔で目を合わせ、直ぐに離れる。
『Shooting mode.』
離れていくなのはを未だ見つめているフェイト。
なのはに向かう電撃をキラが全て撃ち消す。
(ひとりぼっちで一番寂しい時にしてほしいかったことは・・・・・)
(「大丈夫?」と聞いてもらうことでも優しくしてもらうことでもなくて・・・・・)
キラとなのははそれを知っている、彼女の苦しみを少しでも知っているから・・・・。
『Sealing form. Set up.』
バルディッシュがフェイトの命令を聞くことなく封印状態に入る。
「バルディッシュ?」
今度はバルディッシュを不思議そうに見るフェイト、そしてなのはを見る。
それにウィンクで返すなのは。
なのははレイジングハートを高く掲げて聞いた。
「ディバインバスター、フルパワー・・・・いけるね?」
『All right, My master.』
なのはとフェイトの下に魔方陣が現れる。
二人にいく魔力の攻撃を全て叩き落すキラ。
「二人に・・・・・当てさせはしない!!」
なのはとフェイトの魔力が高まっていき、なのははフェイトを見る。
「せーの!」
「サンダアァァ!」
「ディバイィン!」
二人がデバイスを振りかざす。
「レイジイィィーー!」
「バスタアァァーー!」
その瞬間・・・・・大きな魔力の爆発が起きた。
そして、六個全ての封印が完了した。
なのはとフェイトの間に六個のジュエルシードが現れ、それを見つめるなのはとフェイト。
そして、なのはが胸に手を当てて言った。
「ともだちに、なりたいんだ」
その言葉に驚くフェイト。
それを見つめる、キラ、アルフ、ユーノ。
その時だった、雷の音が響くと赤紫の雷が落ち始めフェイトに命中する。
「うわあぁぁぁぁぁっ!」
「フェイトちゃん!・・・・・!?」
なのはは雷に弾かれ、アルフが落ちるフェイトの元へ向いそれをキャッチし、ジュエルシードのところへ向かう。
ジュエルシードに手を伸ばそうとしたところで転移してきたクロノのデバイスに阻まれる。
「邪魔・・・・・するなぁ!」
アルフはクロノを吹き飛ばし、ジュエルシードを取ろうとするが三つになっている。
「三つしかない!?」
アルフのほうを見ると残りの三つを持ち、すぐにそれをデバイスに封印した。
アルフはクロノを睨むと魔力弾を海に打ち込み、水しぶきを目くらましに消えていた。
なのはが目を開けるとそこにフェイトもアルフ、そしてキラの姿もなかった。