種デスクロスSS_第01話

Last-modified: 2008-01-18 (金) 23:05:37

ことん、とコーヒーを置きため息をつくと、シャマルはリモコンのモニターのスイッチを入れた。

 

ピッ――――

 

「これって…」
なのは、は驚愕した。
モニターに映し出された二人の人間、お互いの感情をぶつけ合うかのように戦っているキラとアスランであった。
「そう…いまから5年近く前…一つの強大な力を秘めたロストロギアが発端でおきた、血のバレンタイン事件…なのはちゃんも知っているでしょう…?」
「はい…フェイトちゃんが携わった事件の一つで…フェイトちゃんにとっては私たちとの出会いと同じくらい大事な思い出だって…」
シャマルはなのはの言葉を聴きつつ、モニターを切り替える。すると、モニター越しの二人の姿が鮮明に移っていた。
「キラ君に…アスラン君…」
「当時キラ君は14歳…本来は魔法学校に通って、普通の学生として過ごすはずだった…けど、彼の通っているヘリオポリス地区の学校で事件はおきた…」
「ロストロギア、ジェネシス強奪事件…」
当然なのはもこの事件の有名さは耳にしていた。かつて、管理局の上層部の人間であるパトリック・ザラが起こした反乱事件で後のスカリエッティ事件にもつながった悪夢…
管理局の部署がテロで襲撃され、それに巻き込まれ戦うことになってしまったキラ
実の父親に利用され、それを信じて戦うしかなかったアスラン…ロストロギアを奪うために町を襲撃し、惹かれあいながらもキラとぶつかり合う
そしてその事件に配属されたフェイトは、偶然にもその二人と運命的に出会い物語は始まったのだ。
きっとフェイトは、昔の自分となのはの出会いのような、そんな光景を目の当たりにしたのだろう。
そして同じ境遇におけるアスランに徐々に惹かれ、キラを精神的に支えるにつれ、かけがえのない友達になったこと。
それと同時に起こった悲しい事件…
アスランとキラは、フェイトの介入もあって和解、しかしアスランの父、パトリックザラは、スカリエッティの野望の手ごまに過ぎず、利用され抹消されたのであった。
項垂れるアスランをフェイトが説得し、立ち直らせるも惨劇はそれだけでは終わらなかった。
戦いに巻き込まれてから、魔力が開花していくキラを、管理局の戦力として利用されていくのを見て、それを助けられず苦悩するアスランとフェイト。
「キラ君は、あの事件とともに消えない傷を背負うことになったの…」
自分とは少し違うが、それでも似たような境遇におかれているキラの過去に心を痛めるなのはだった。
スカリエッティが実験導入した巨人兵器。ロストロギア、ジェネシスを取り込む事と生体コアが必要なために利用された少女で、キラの大事な人であったラクス。
「キラ君は助けられなかったのよ、ロストロギアと融合した破壊兵器は取り込まれた彼女の意思とは関係なく、ヘリオポリスを燃やし続けた」
「それで…どうなったんですか?」
しばらくの沈黙がつづくが、シャマルがゆっくりと口を開く。
「一度その兵器の生態コアとなってしまった以上、分離はできなくなって…下に戻れなくなる。取り込まれた人間の意志とは関係なしに破壊を続けるだけの兵器になるの…」
「じゃあラクスさんは…」
「キラ君が自分の手で…」

 

「!?―――――」

 

なのはは今まで知らされなかった事実をシャマルに聞かされ項垂れた。

 

シャマルの話だと、その後のキラは、二度と人を悲しませたり傷つけたりしまいと、その償いで今現在まで休むことなく戦い続けてきたという・・・
そのおかげでキラの体は、リンカーコアを含めずたぼろ、このまま戦いを続ければ、魔導師としての寿命はおろか、次は死ぬかもしれないという事実…

 

それを突きつけられたなのはの表情はいつに無いくらい青ざめたものになっていた・・・