種死&リリカルなのはさん 単発SS集2

Last-modified: 2007-11-17 (土) 19:03:48

ガンダムし~どD´s氏 2007/04/22(日) 14:10:16

 

なのは強化計画

 
 

「さあてと」
とある休日に、シンは朝早くから目がさめる。
窓を見るとまだ日が昇りきっていない。
シンは階段を下りて居間に行く。
そこにはシグナムが素振りの準備をしていた。
「どうしたのだ、今日はやけに早いな。主もまだ寝ているのに」
シグナムにいわれて、シンはああ、と簡単に言う。
「今日は朝からちょっと用事がね」
そういってシンは準備をする。
「用事?」
そういえば、まだはやて達に言ってなかったな、とシンは思い出す。
「なのはの限りなく低い運動神経をどうにかするために今日は魔法の訓練じゃなくてそっちのほうの訓練をね」
ああ、とシンは付け足す。
「もしかしたら、朝飯は遅れるかもしれないってはやてに言っておいてくれ。なんか長引きそうな気がする」
確かに、とシグナムは笑いながら庭へ向かう。
シンも準備をして、なのはがいつも魔法の訓練をしていたところへと向かった。

 

まだ日が昇りきっていない海鳴市。
その丘で、数人の男女がいた。
「で、なんでお前らまでいるんだ?」
シンはベンチを見る。
そこには、フェイトとすずか、そしてアリサもいた。
アリサはジュースを飲みながら言う。
「別にいいじゃない。私たちも見てみたいし」
絶対おちょくる気だろ。そう思いながらシンはなのはのほうを見る。
「よろしくね」
一応準備体操もして、ヤル気はあるようだ。
とりあえず今日は……
「初めてだからか簡単なのがいいよな」
そう思い今日やることは。
「じゃあランニングだな」
運動神経云々よりも、まずは体力からつけなければいけない。
「うえぇ」
だが、ランニングと聞いただけでなのはは少し嫌な顔をする。
さっきのヤル気はどこへやら……
「そんな顔しないでこれを足につけてとっとと走れ」
そういってシンがなのはに渡したのは、錘だった。
「これをつけるの?」
少しぶつくさ言いながらも足につけるなのは。
そこはちゃんと真面目にやる。
ふと、シンはとある案を思いつく。
どうせこいつらもいるんだから協力してもらおう。
「お前らも暇だったら走るか?」
シンの言葉に、3人は少し考えて、一緒に走ることになった。
よし、とシンはなのはのほうを向く。

 

「なのは、今からちょっとしたレースをしてもらう」
レース?となのははシンのほうを向く。
これ以上何かあるの?という言葉が出てきそうである。
「この4人で各休憩地点までレースして、なのはがビリになる度にこれをつけてもらう」
そういって取り出したのはさっきなのはがつけた錘(1キロ)よりも少し小さめの500gの錘である。(500gではもはや錘と呼べるか微妙だが)
「えーーー!?」
シンの言葉に、反抗するなのは。
たかが500gだろ……
「絶対無理だよそんなの!!」
この3人に勝てるはずがないのだ。
そんななのはに、うるさいと一蹴する。
「だって、簡単にするって言ったじゃない!!」
はぁ、とシンはなのはのほうを向く。
「あのな、簡単にするのと手を抜くっていうのは意味が違うぞ」
それに、とシンはため息をつきながら言う。
「これでも楽なほうだぞ?日がたつにつれてもっと厳しくいくぞ。体力さえつけば、あとは運動神経と反射神経だからそこまで体力を使わないと思うから」
あと、とシンはフェイトたちのほうへ向く。
「お前らも本気でやれよ。そうしないとなのはのためにならないからな」
解ってるわよ、とアリサは言うが、フェイトとすずかはどうしようか迷っている。
最後に……
「俺は見張るからなのはの後ろにいるけど、俺は順位に数えるなよ」
わかってるよぉ、と既に意気消沈のなのはは深くため息をつく。

 

「あれ、シンは?」
朝食の準備をしているはやては、この時間なら起きているはずのシンが起きていないことに少し疑問を抱く。
シグナムは朝起こったことを言う。
「アスカは早朝に高町の強化訓練に言ってますが?」
それを聞いてああ、と相槌を打つはやて。
「そういえばそんな事昨日学校ではなししよったな」
一体どんなことしてんのやろ?と笑いながら朝食の準備をするはやて。
「それと、もしかしたら遅れるかもしれないとも言ってましたよ」
シグナムの言葉に「わかった」といってガスに火をつけるはやてであった。

 

「はぁ……はぁ……もう……無理……駄目……」
なのははベンチでうなだれる。
結局、競争は全部ビリになり、片足に4キロずつの錘をつけて走ったなのは。
休憩があったものの、走った距離も相当なもので、フェイト達も疲れて休憩している。

 

「朝から走るのって、意外と気持ちいいわね」
すずかが疲れているが笑いながら言って、そうだね、とフェイトも言う。
なのはは、そんな3人を羨ましそうに見る。
ただ……
「走るんだったらもっと動きやすい格好で来ればよかった」
まさか走るとは思っていなかったので、普通にスカートで走ることになったアリサたち。
それでも3人はなのはに勝てたのだから、なのはの運動音痴っぷりはすさまじい。
シンは時計を見る。
「10分たった。よし、最初の丘まで戻るぞ」
えぇ、もう?とくたくたでシンの方を見るなのは。
ほとんど目が死んでる。
流石にこれを見たフェイトたちは、
「流石にもうやめたら?なのはが死んじゃうよ?」
というが、シンは……
「何言ってるんだ。限界がきてからが勝負じゃないか。じゃないと体力なんて上がらないぞ」
ただし、と一言付け加える。
「流石にもう錘ははずしてもいいぞ」
シンの言葉を聞いて、ゆっくりと鎖をはずす。
早くはずしたいが、体が言うことを聞かない。
やっとのところではずし終わると、足が軽い。
「へぇ、流石に錘ははずすんだ」
アリサの言葉にまあね、とシンは言う。
「どうせ帰りは上りがメインだからな。錘をつけたままじゃ流石になのはがやばそうだ」
そういえば……と思い出しなのははへこむ。
「よし、なのはの足が軽いうちにいくか」
そういって皆はまた走り出した。

 

「ぜー…ひゅぅー…ぜー…ひゅぅー…」
やっぱり最後にゴールしたなのはは、ゴールしたとたん原っぱに倒れこむ。
他のみんなも疲れているが、倒れこんだりはしていない。
「も……もう動けない……」
目も虚ろで、今すぐにでも眠れそうだった。
「くーー………」
というか眠ってしまった。
まあそれはべつにいいのだが、問題は……
「で、コイツどうやって家に帰す?」
シンはなのはのほうを指差す。
「予定だったらこのまま解散なんだけど……」
流石にこれは無理か。
それにしても……
「このままだったら先が思いやられるなぁ」
そう思いながらシンは足から錘をとる。
それを見たフェイトが気付く。
「シンも錘をしてたんだ」
ああ、と簡単に返事をする。
「まあ、こっちは一つ5キロだけどな」
これでも軽いもんだよ、と笑いながらシンは錘をバッグにはめる。
さて、当のなのはをどうするか悩んでいたときだった。

 

「おーい、なのは。そろそろ朝飯だからもどるぞって……」
なのはの帰りが遅いので恭也が迎えに来たのだが、原っぱに大の字でうつぶせになって寝ているなのはを見る。
「あ、ちょうど良かった。こいつ寝ちゃって……どうしようか悩んでたんです」
シンはそういって寝息を立てて寝ているなのはを指差す。
恭也はそれを見て微笑む。
「解った。なのはは俺がおぶっていこう。すまないね、君も忙しいだろうに」
恭也の言葉にいやいや、と笑うシン。
「こっちも待ってるだけで暇なんですよ。だから丁度いいとおもって」
そうか、と頷いてなのはを背負う恭也。
「あと、なのはの目が覚めたら、あさっても待ってるから来いって言っておいてください」
週に1回だけじゃ成長は見込めそうにないので、魔法の訓練も考え、二日に一度の交代制にしようと思ってるシン。
わかったよ、といって恭也は家に帰る。
「さあて、俺達も解散だな」
そういってシン達も各自の家に戻っていった。
その帰り。
「なのは、耐えれるかな?」
フェイトの言葉に、シンは考える。
正直今のままじゃ持たないような気もする。
「また、メニューを考え直さないといけないかな?」
やれやれ、とシンはため息をつく。
まだ、なのは強化計画は始まったばかりなのである。

 
 
 

シンとヤマトの神隠し~Striker'S氏 2007/05/04(金) 17:37:36

 

スバルのリボルバーナックルでの一撃を紙一重で避けたシンは翼を展開。
右腕を伸ばし、カートリッジを消費する。
「えっ!?」
一瞬で間合いをつめられ、動揺するスバル。
『パルマフィオキーナ』
よもや直で喰らうわけにもいかない。
スバルは障壁を張る。
しかし、パルマフィオキーナは障壁を容易く貫通する。
『バースト!』
スバルの障壁はあっさりと砕け散り、障壁を形成する魔力は宙に無散した。
「もらった!!」
ここぞとばかりに追い討ちをかけるシン。

 

「スバル、しっかり!」

 

と遠くからパートナー、ティアナの声が聞こえてくる。
(そうだ、私はなのはさんみたいに強くなるんだ!
こんな…、こんな事で私は!!)
マッハキャリバーをフル稼働させ全速力で後退する。(逃がすか!それに、ここで逃せば、またクロスレンジでの勝負だ。)
それは勘弁してほしい。正直、スバルのほうが純粋な格闘ではシンを凌駕している。
(最終防衛機能を駆使させてこの戦闘を終わらせてやる!)
ゼロだった間合いが少しずつ開いていき、リボルバーナックルからカートリッジが消費され、回転を開始する。
自分の腕が振り抜ける距離まで開いたら、スバルはシンに一撃を見舞い、障壁の上から弾き飛ばすつもりでいた。しかし、
「デスティニー!!」
『Yes, sir. Type Speed Seed Burst!』
シンの中で弾ける何か、光を失う眼、溢れる魔力。
そしてそれは超加速の狼煙。
スバルの拳が放たれる。
障壁は張らない。
スバルの拳はシンの頬をかすめ、ピリピリと皮膚が裂ける音がする。
「う、嘘!」
「もらったぁぁああ!!」
「し、障壁!」
張れない、もうスバルの魔力は空だ。
シンの腕がスバルの剥き出しの腹部に伸びる。
『パルマフィオキーナ』
しかし、直後に後退走行中のスバルがバランスを崩す。
発生したイレギュラーにシンはめざとく対応。
「これでぇ!」
つきだした手に程よく収まる柔らかな感触。
だが、シンは力強くそれを鷲掴みにし、
「わ…ちょ…シン…んっ!」『バースト』
破裂させた。

 
 

「…はは、ははは…。やった…勝った。」
ガッツポーズで決めるシン。
「お疲れ様、シン。」
フェイトが言う。
「見ててくれましたか?フェイト執務官に高町教導官!」
「バッチリ、ちゃんと見てたよ。」
なのはが言う。
「ちょっとそこに立っててね、シンくん。」
「はい。」
「行くよ?フェイトちゃん!」
「了解、いつでも行けるよ?」
頷く二人。何やってるの?この人たちはという顔をしているシン。
「「ブラスト!!カラミティ!!!」」
「ちょ…なんでぇ!?勝ったのにぃい!!」
『Type Power Seed Burst』
耐える、ひたすら耐えるシン。

 

「キラさん、何で高町教導官とフェイトさんは怒ってるんでしょうか?」
桃色の髪の毛を激しい衝撃波に揺らしながらキャロ・ル・ルシエがキラに聞く。エリオはそんなキャロから視線外した。かなり動揺しているようだ。
「ん~、何でだろうね?取り合えず、ここは危ないから…ね?本館に避難しようか?」
「えっ?でも…シンさん…。」
「大丈夫…、彼は、大丈夫だから…ね?さ、エリオ君も…。」
渋々キャロは了承し、三人は二号館模擬戦室をあとにした。
その日、管理局本部、二号館が半壊したという。

 
 
 

シンとヤマトの神隠し~Striker'S~氏 2007/05/22(火) 15:00:59

 

シンと六課の骨休み

 

「ふわぁ~…。」
ミッドチルダ、機動六課隊舎屋上。
シンは寝そべって空を見ていた。
流れる雲、そよぐ風、ほどよい暖かさの日光。
なるほど、どれも眠気を誘うにはちょうどいいらしい。シンの瞼が徐々に、ゆっくりと、しかし確実に閉じて行く。
パタンっ。
ドアが開く音。
「あ~…、ここにいたよ、シン…」
まどろむシンに声をかけたのはスバル。ボーイッシュな髪型が特徴的だ。
「んぁ…?」
間抜けな声で少しだけ意識を覚醒させるシン。
「昼休みにクロスレンジでの戦闘練習に付き合ってくれるって言ったじゃ~ん。」
スバルが半あきれたような顔をする。
「…そういえば…そうだった…。なぁ、スバル、それは明日じゃ駄目か?なんか…眠くて…。」
「別にいいけど…、大丈夫?ここ連日、シグナム副隊長にしごかれてたもんねぇ、シンは…。」
眠たくなる気持もわかるよとスバルが言う前に、シンが寝息を立て始めた。
その様子があまりにも気持良さそうだったので、スバルもシンの隣に寝転がってみた。
視界一面に広がる青い空。ゆっくりと流れる雲。全身を駆け抜けていく心地好い風。ほどよく暖かな光を注いでくれる太陽。
「おぉぉ…。」
これは、確に眠くなりそうだ。昼御飯も食べたばかりだし…。スバルは腕時計を見る。
「五十分は寝られるかな…。」
それだけ呟くと、シンの隣で寝息を立て始めた。
十分後。
「スバルー?シーン?」
続いて屋上にやって来たのはオレンジがかったツインテールが特徴のティアナ・ランスターである。
「あんたたち、こんなところで寝てたら風邪引くわよ?」
屋上で二人して仰向けに眠っているシンとスバルを呆れたように見比べながら言うティアナ。
「午後の訓練遅れても知らないわよ?」
と言い残し、去ろうと思ったが、
(なんか気持良さそうじゃないの?)
シンの黒髪を、スバルの青みがかった髪を風がなでる。
(ちょ…、私も…ちょっとだけ…。)
ティアナはスバルの隣に腰を下ろし、仰向けに寝ると瞼を閉じた。
それからさらに五分後。
エリオとキャロがやって来て、ティアナやスバルと同様に寝たのは言うまでもない。

 
 

一時間後。
「どうしちゃったのかな?みんな…。」
集合地点を行ったり来たり、うろうろしながらなのはは心配していた。
集合時間はもう一時間と十五分を過ぎている。
最初は叱ろうとも考えたが、こうも遅いと何だか心配である。
「何か聞いてない?キラ君。」
ちなみに集合場所に唯一時間通り集合した人物は彼のみだった。
「さぁ、僕は、ちょっとはやてさんに呼ばれてて…。わからないんですが…。」
「なのは、見つけたぞ。あいつら、屋上で寝てる。」
通路から声とともに現れたのはスターズ分隊副隊長のヴィータ。それからライトニング分隊隊長のフェイトと、その副隊長のシグナムだ。
「それで、みんなは?」
なのはの言葉に、フェイトは頬を掻き掻き答える。
「それが…、あんまり気持ちよさそうに寝てるもんだから、起こすに起こせなくて…。」
そのまま、布団を全員にかけてきたらしい。
「テスタロッサ…少し甘やかし過ぎじゃないか?」
眉間にしわをよせるシグナム。
「まぁ…、あの子たちにも休息が必要ですから…。」
フェイトの言葉にあきれ返るなのは、シグナム、ヴィータ。
どうも彼女には過保護なところがあるようだ。
「まぁ、フェイトちゃんらしいっていったら、らしいんだけどねぇ~。」
クスクス笑いながらなのは。
「それじゃあ、行こうかキラ君。」
「ーー?行くって…?あの、何か流れ的には、訓練は休みって…。」
「キラは私たちが鍛えてあげるよ。せっかく集合したんだし…。」
「しばらく見ないうちになまってるよだしな…。」
「面白ぇ、キラとは一度、本気で戦ってみたかったんだ。」
フェイトに両肩を掴まれ、シグナムに左手を、ヴィータに右手を掴まれ、ひきずられていった。
「やめてよね?君達四人に相手に僕が本気だしても勝てるわけないじゃないか!」
「キラ、やる前から勝負を諦めちゃ駄目だよ。」
いつもならやさしいフェイトの微笑みが、今日ばかりは死神の微笑みにキラには見えたそうな。

 
 

五人は心地好い風と光、小鳥のさえずりに包まれ、眠り続ける。
いつのまにかシンの腕を枕に使っているスバルと、シンの胸に頭を預けているキャロ。
スバルに寄り添うように寝ているティアナ。キャロに寄り添うように寝ているエリオ。
そして……。
「ぜぇっ、ぜぇっ!!」
瀕死のキラ。
『シュワルベフリーゲン』
『アクセルシューター』
縦横無尽に空を駆けるキラ。赤い光弾をサーベルを駆使して破砕し、アクセルシューターを次々と撃ち落としていく。
『ハーケンセイバー』
光の刃が回転しながらキラへと向かってくる。
それをかわし
『紫雷一線』
雷の用に振り下ろされるレヴァンティンを二刀のサーベルで受けきった。
『ドラグーン』
フェイトに向け四枚、シグナムに向け四枚を飛ばす。そして元あった翼の代わりに溢れ出す光の翼。
『ヴォワチュール・リュミエール』
ハイマットモード時よりもさらに加速するキラ。
ヴィータの打撃をかわし、『クスィフィアス3』
で吹き飛ばす。
「てて、やるじゃねぇか、キラ!」
キラに喋っている余裕はない。必死の形相で、攻撃を受け、かわし、避け、反撃に出る。
「これが終わったら、今度は一対一だからねぇ、キラ君!」
なのはのその言葉で、キラの中で何かが弾けた。
「…そんなことぉ!!」
『サーベル・アンビテクストラス・ハルバート』
左右のフリーダムの柄尻を連結させ、なのはに向かって全力の突きをキラは叫びとともに放った。
「できるかぁぁああ!!」

 

午後八時管理局機動六課、局員隊舎食堂。
「あれ、そういえばキラは?」
パスタを口に運びながら、ティアナが言った。
「そういえば、お昼休みから見てませんね。」
とキャロ、オムライスを頬張る。
「体調でも悪いんでしょうか?」
エリオは素麺を汁に浸し、つるっと軽快な音をたて殆んど噛まずに飲み込む。
それを見ていたスバルがエリオから一口もらっていた。
「何にせよ、今日は特別休みにしてもらえてよかったな。」
だねぇっとシンの言葉に皆同意しつつ、楽しく雑談しながら夜は更けていった。

 
 

キラはストレッチャーでシャマルの元へと運ばれていった。

 

どれもこれもが一撃必殺。避けることが得意なキラを持ってしても相当な精神力を刷り減らしていた。
なのはに障壁で弾かれたのち、フランメシュラークが直撃。
立ち上る炎から逃げるようにして出ていくと、レヴァンティンのシュヴァイゼンフォルムに捕獲され、ドラグーンを放つ。
その間にプラズマランサーでダメージを受け、吹き飛ばされたキラはフルバーストを連射する。
声を張り上げ、魔力がからになるまで打ち続けたその砲撃は、狙いどころか照準さえされておらず、誰にも当たることはなかった。
シュミレーション空間の建物破壊しまくり、そのままバタリと崩れ落ち、キラは意識を失った。

 

翌日、抜け駆けして六課隊長陣からの指導を受けたとし、キラは五人にはぶられたという。

 

「……やっぱり、戦いは…悲しいよ。グスンッ」
シンと六課の骨休み
~完~

 
 

シンとヤマトの神隠し~Striker'S~氏 2007/05/24(木) 18:17:43

 

いつか飛びたいあの空に

 

管理局機動六課隊舎食堂。

 

「で、実際、空飛ぶのってどんな感じなの?」
大皿に乗った大量のパスタを自分の個皿に取り分けながらティアナがシンとキラに聞く。
「…どんな感じって言われても…。」
口に運ぶ途中だったフォークに巻き付けたパスタをキラは途中でとめた。
「ただ、何と無く…飛んでるからな…。どんな感じなんて考えたことないな。」コップに水を注ぎながらシンが言う。
「私は地上走ってるときと変わらないけどねぇ、スリルは増けど…。」
「あんたには聞いてない…。ていうか、ウィングロードは飛んでるうちに入らないでしょ?」
スバルとティアナのじゃれあいに苦笑しつつ、食を進めるシンとキラ。
「僕は二回ほど、空飛んだことありますよ?」
「「へっ!?」」
スバルとティアナがエリオへと視線を向ける。
「(ゴクンッ)一回目はキラさんに捕まって、二回目はフリードに乗りました。」
「私はフリードに乗っただけですね。」
キャロがフォークにパスタを巻き付けながら答える。「エリオ、フリードとキラの飛びかたに違いはあった?」
興味津々のスバルが聞く。
「えぇ、まぁ…。フリードにはやっぱり乗ってるって感じが強かったです。
キラさんに捕まってたときは不安でしたね。
フリードみたいにただのってるだけと言うわけにはいかなかったし…。」
そんな会話をしながら昼休みは過ぎていった。

 
 

「じゃあ、今日の訓練はここまで…このまま解散!」
なのはとヴィータは涼しい顔をして、歩いていく。
ティアナは建物の屋上で大の字になってばてている。スバルはマッハキャリバーを使って訓練施設出口まで向かっていった。
正直、羨ましいと思った。こっちは歩かなくては行けないのだ。
ティアナは溜め息を漏らし、足に力を入れて立ち上がる。
今日は大変だった。
ヴィータのシュワルベフリーゲン、なのはのアクセルシューター。その両方を撃ち落とすのに苦労したし、皆を指揮するのに精神を刷り減らした。
フラッとよろけるティアナ。
「大丈夫?」
声に振り向けば、キラだった。
「えぇ、ちょっと休めば…これくらい…。」

 

「飛んでみる?」
「はっ?」
キラの突然の言葉に目を丸くするティアナ。
「歩くの辛いでしょ?それに、訓練施設の出口までなら飛んでいけるよ?」
「でも、飛ぶって、どうやってよ?」
近寄ってくるキラ。
「もちろん、こうやって…!」
フリーダムは腰にかけてある。キラはティアナの膝、肩を抱き、ちょうどお姫様だっこの形で抱き上げ、
「ち、ちょっ、あんた!!」
屋上から地上に飛び下りる。
「きゃぁぁああ!!」
「しっかり捕まっててよ!」
地面が近付いてくる。ティアナは目を固く閉じ、キラの首に腕をかけた。瞬間グンっと重力に逆らうような感覚に見舞われ、、次にティアナが目を開いたときには、遥か上空にいた。ゆっくりと飛翔するキラ。夕焼けに染まる空、雲。
「…綺麗…。」
機動六課隊舎も夕焼けに染まっている。見れば下の方にはシンがキャロとエリオを抱えて飛んでいた。緋色の羽の間から漏れる鮮やかな光が風に流されて、夕日を反射させながら流れていく。
「どう、空を飛んでみた感想は?」
唐突に口を開くキラ。
「うん…悪くないかな…。」
景色を眺めながら答えるティアナ。
「そっか…。」
そう微笑んで答えつつ、キラは降下し、着地して、ティアナを下ろす。
「あ、ありがとう。」
ティアナが少しだけ顔を赤に染めてお礼を言う。
「うぅん、どういたしまして。」
「ティア、ずるいよ!」
デバイスを解除したスバルがこちらへやって来る。
「あんたはなのはさんと飛んだことあるでしょうが!」
シンとキャロ、エリオが到着する。
「どうしたんだ?」
言い合いするスバルとティアナを見ながらキラの元へとやってくるシン。
「ん?…ちょっとね…。」
笑いながら言うキラにシンは顔をしかめた。
「シャワーを浴びたらご飯だね。」
キラの言葉にスバルとティアナは言い合いをやめ、一同は隊舎に向かって歩き出す。ティアナは空を仰ぎ、いつか飛翔魔法を覚えようと誓うのであった。

 

男子シャワー室。
「じゃあ、シン君、エリオ君。僕は先に上がるから…。」
キラがシャワー室から出るのを見計らい、エリオがシンに声をかけた。
「あの…、シンさん…。」
「なんだよ?」
「飛んでるとき…なんですけど…、シンさん、ル、ルシエさんの…その、む、胸掴んでましたよ?」
シャー…と水の流れる音だけがこだます。
「……マジ…かよ?」
「…マジです…。こう言うのって…ラッキースケベって言うんですよね?確か…。」
その言葉を聞いて、シンは派手にこけた。

 
 

135氏 2007/06/06(水) 02:08:52

 

なのは「キラ君、ちょっと来てもらえる?」
それは何時もの訓練の最中の出来事だった。
キラ「え?どうしたのなのは?」
急になのはに呼び止められ訓練を中止するキラとヴィータ
ヴィータ「なんだよーせっかく良い所だったのによー…」
ふんっと拗ねるヴィータをなだめるキラ
なのは「ごめんねヴィータちゃん~ちょっとキラ君とお散歩良い?」
両手を合わせてヴィータに申し訳なさそうに詫びるなのは。
ヴィータ「仕方ねえ。戻ったらもう一回たのむわな、キラ」
キラ「うん。わかってる」
そしてキラはなのはに連れられていく。
キラ「で…どうしたの?用って何?」
なのは「うん。実はね、キラ君に渡したいものがあって」
なのはが基地にあるラボの扉を開け、キラを招き入れた。
プシューガシャン
はやて「お、二人ともきたな」
リイン「キラちゃんになのはちゃん遅いですっ」
フェイト「まってたよキラ、なのは」
なのは「ごめんね3人とも。おまたせだよっ」
すでにラボには、フェイト、はやて、リインの姿があった。
でも一体何のようなのだろうとキラは困惑するばかりである。
はやて「キラ君訓練中なのに急に呼んでごめんなぁ」
キラ「いや…僕は全然かまわないんだけど。急に呼び出されてびっくりはしたけど」
はやてはこほんと息をつき、改めてキラに用件を伝える。
はやて「実はな、キラ君の新しいデバイスが完成したんや」
キラ「え?」
なのは「うん、結構時間掛かっちゃったけど、良い仕上がりだよ」
なのははニコっと微笑むと、モニターにスイッチを押す。
するとそこに新型デバイスの映像が出る。
キラ「これは…!レイジング…ハート…」
モニターに映し出されたデバイス、それは一瞬レイジングハートと見間違えるくらいよく似たものだった。
なのは「似てるのも無理ないよ。だって設計したの私だもん」
はやて「X10A レイジングフリーダム。レイジングハートのデータをもとにキラ君用にカスタマイズした特殊デバイスや」
リイン「設計から組み立てまで全てなのはさんが行ったんですよ~!」
キラ「うん…すごいよなのは…」
なのは「空戦で何度もキラ君に助けられてるからね、私からの心ばかりのお礼だよ」
なのはは優しく微笑むと、キラにペンダントを渡す。

 

レイジングハートの色とは違い、そのペンダントは綺麗で透き通った青い色をしていた
キラ「この力…大事に使わせてもらうよ。ありがとなのは…」
なのは「いいよ。その代わりこれからも私達と一緒に沢山がんばってこ!」
キラ「うん!」
お互い笑顔で頷き合うなのはとキラ。
フェイト「なのは、毎日夜遅くずっとレイジングフリーダムの設計考えてたんだよ」
キラ「そうなの…?」
フェイト「うん。だからこのお礼は高くついちゃうねキラっ」
キラ「改めてありがとうなのは仲間の為にこんな風に…うれしいよ」
なのは「だ…だからいいってー」
少し照れながら下を向くなのはを尻目に突っ込みを入れる外野
はやて「せやなぁ。ほんならキラ君の給料で私ら5人で焼肉やな~!」
キラ「ええ!?」
なのは「楽しみにしてるねキラ君っ」
ラボ内にみんなの笑い声がこだまする。
レイジングフリーダムを手にしたキラ…新たな力を手にし、これから先どうなるのだろうか。
リイン(キラちゃんて戦うときはなのはさんと同等ですけど、こう言ったことにはすごい鈍感ですぅ…)
はやて(せやなぁ…でもいずれわかるやろ♪)

 
 

380氏神隠し氏合作 2007/06/08(金) 02:01:34

 

心閉ざして

 

起動六課にキラが入隊してから6ヶ月が経とうしていた。
管理局のエースofエース、高町なのは 
そして管理局のエース蒼天の翼と呼ばれるキラと同じくエースのアスラン。
選りすぐりの戦士が起動六課に集められ、部隊も安定の兆しを見せ始めていた。
なのは「キラ君。今日のあの子達の訓練メニューなんだけどこれでどうかな?」
なのはが組んだ訓練メニューを受け取るキラ
キラ「うん。短時間だけどこれなら時間通りになんとかこなせるね」
なのはの組んだメニューを見て優しく微笑むキラ
なのは「あはは、この練習を継続すれば次の段階に進むペースも上がるだろうから、がんばってこ」
キラ「うん、成長が早ければ早いほど実戦でも上手く対応していけるから」
なのは「まぁ急ぎすぎるのも良くないんだろうけど…今のあの子達にはこれくらいのペースが丁度いいよね」
……
はやて「なんかあの二人意気あっとるなぁ」
そんな二人の光景を見て微笑むはやて
フェイト「うん。仕事が終わっても二人で夜遅くまで残って訓練生の練習メニュー考えてるんだよ」
はやて「凄いやる気やな…とってもええ事や」
フェイトもはやての発言にまったくだと頷く。
はやて「それにしても…ひょっとしてあの二人あれなんちゃうかな?」
フェイト「え?」
はやての発言にクビをかしげるフェイトであったが、すかさずはやてがにやけながら突っ込む。
はやて「お互い恋愛意識とかしてるんちゃう?」
万遍の笑みでフェイト語り掛けるはやてであったが、フェイトはその発言にすこし黙り込む
はやて「どうしたん?」
フェイト「たとえば…なのはがキラを好きになったとしても…きっとキラはその思いには答えられないと思うよ…」
はやて「え???」
フェイトは一瞬悲しい顔をするが、すぐにもとの穏やかな表情にもどった。
はやて「じょ…じょうだんで言っただけ!フェイトちゃんそんな本気にならんでも!!」
あははとその場を笑ってごまかすはやて
フェイト「解ってるよはやてっ」
フェイトもはやての言葉を受け止め笑いで返す。
フェイト「(キラの心の中には、いまだに重い心の傷が残ってるから…)」
数年前………
キラ「どうして…こんな…」
吹雪が吹き荒れる山…そして散乱しているガジェットローンの残骸
そこに立ちすくむ一人の少年、そして広がる赤い鮮血。
キラ「しっかりしろ!!!!ラクス…ラクスぅぅぅぅ!!!!!!」
倒れている一人の少女を抱きしめながら泣き叫んでいる一人の少年…
フェイト「キラ!落ち着いて!!!いま救護班を呼んだから!!!」
キラ「何が蒼天の翼だ…僕は…目の前の大切な人さえ守れてない…」
その場にうなだれ魂が抜けたかのように放心状態になるキラ
フェイト「こちらフェイトテスタロッサ・ハラウオン…任務完了しました…」
涙をこぼし唇をかみ締めるフェイト

 
 

はやて「キラ君…なのはちゃんと居れば立ち直るかもなぁ…」
はやての言葉にハッっとなり我に返るフェイト。
フェイト「どうかな…それは私にも解らない…」
フェイトには解っていた。キラの心の傷の深さを、そして周りを悲しませまいと笑っていようと努力している姿を。
はやて「あれからキラ君、しばらく戦う意欲なくして部隊を抜けた…」
フェイト「それからしばらくしてだよね…なのはがキラを誘ったの…」
はやて「アスラン君に後で聞いてみよか…」

 

「アスランくん…何か知らん?」
というわけで、食堂でサラダをフォークでつついているアスランに、フェイトとはやては聞いてみる。
「あぁ…まぁ…あんまり人に言うことではないんだがな…。」
コップの水を飲み干し、アスランは話始めた。
「結局、あれからキラは戦う意欲をなくして、しばらく部屋に篭ってたんだ。」
「それは…うん、うちもフェイトちゃんも知っとるよ。」
「たぶん、ヴィータと、それからスターズとライトニングの二人は知ってると思うんだが…ティアナの件…。」
「模擬戦?だっけ?私が本当はスターズとライトニングの相手してあげようと思ってたんだけど、忙しくていけなかった時のことだね?」
フェイトとはやて、二人はアスランに促され、席に座る。
「あのとき、一応、新人たちの成長を見せようと…気分転換になればと思ってキラを誘ったんだ。」
いつのまに頼んだのやら、食堂でバイトしているディアッカがチャーハンを二人分もってきて、それをフェイトとはやてが食べ始めた。
「そしたら、ティアナとスバルが無茶をして…、ティアナが『もう誰も傷付くのをみたくないから!!』って…。
なのはがクロスファイアをティアナに向けて撃って…。
その二発目だったかな、あいつが動いたのは…。」
興味深々で身を乗り出す二人。
「二発目がティアナに当たる直前に、撃ち落としたんだ。それで、脱力したティアナを支えながら…
『…悔しいよね…ティア。でも、想いが強くても何も守れないんだ…。
力が強くても、その力をただやみくもに震えばただの破壊者にしかならない。
だから、今は…ちゃんと…ね?
それだけ強い想いがあれば、きっとティアはいい執務官になれるよ。
だから、焦らずに…今は基礎がためをしよう?
ティアの努力は知ってるから…ね…。』って」
「へ~」
と二人。
「それで、どうしてなのはとキラが?」
アスランが頬をかきかき答える。
「ここからが修羅場だったんだ…。」

 

「そのあと、キラがなのはに向かって言ったんだよ。『そんなこと…する必要はあるの?
ティアも、もう子供じゃないんだし…、言えばわかることでしょ?
本当に何をやってるのかわかってるの?』って珍しく、目をつり上げてさ。」
「ホント、あんときは、びっくりしたぜ…。
で、実際、なのはも胸中、やりすぎたな感があって、凹んでさ…。」
ふいに割り込んでくる声。ヴィータがアスランの隣の席にすわり…ラーメンをすする。
「で、なのはが自分の無茶で死にかけて…再起不能手前までやられたことがあるってことや過去を、シャーリーやシグナムがしゃべっちまってなぁ。」
「それでキラも悪いと思って…。
あいつ、根は優しいから…でも不器用で…。」
「なのはもな」
「じゃあ、ここからはビデオでみましょうか?」
と暇を持て余していたシャマルに案内されて一同はとある部屋に移動した。

 
 

まだ、日が上ったばかりの時間帯。いつものように訓練施設の設定をするなのは。そこへキラがやって来た。
「あっ、おはよ~キラ君。」
「…うん、おはよう…なのは。」
気まずい沈黙が流れる。昨日の今日で、いきなり二人きりなのだ。無理もないだろう。
「…ごめんね……。」
キラが先に沈黙を破った。
「聞いたんだ…、その…、なのはの昔のこと…。
なのに、全然、そんなこと知らなくて…あんなこと言っちゃって…。」
「…そっか、聞いちゃったんだね…。
私の経験したことだから…
無茶をし続ければ、いつか取り返しのつかないような大怪我をするって…。」
モニターを操作するなのは。
「気にしなくていいよ?」
付け加えるなのは。
キラはもう一度謝ってから訓練の準備を手伝った。

 
 

訓練からの帰り。

 

日もとっぷりと暮れ、なのはとキラは本館に戻る途中を二人で話ながら歩いていた。
「…、その、ラクスさんのことは…?」
なのはが聞いてみる。今まで訓練にも顔を出さなかったのだ。気になるところなのだろう。
「…うん、…仕方ない…割りきらなきゃ…とは思ってるんだけどね…。ちょっと…まだ…。」
「そっか…、キラくん…ラクスさんのこと好きだった?」
頷くキラ、少しだけ、目に涙を浮かべている。
「割りきる必要なんてないよ…。でも、あんまり塞ぎこむのもよくないよ。
じゃないと、きっと、ラクスさんも、キラくんがこのまま塞ぎこんでたら悲しんじゃうよ。」
歩みをやめ、立ち止まるキラ。袖を使って目にたまった涙を拭うが、また溢れそうになる。
「…辛いこと…思い出させちゃった…かな?」
近寄ってくるなのはを手で制するキラ。
「大丈夫、もう…泣かないって…決めたんだ、現場でも…泣いたし…。
それに…僕が泣いたら、ラ…ラクスもきっと……悲しいから…。」
無理に笑おうと笑顔を作るキラ。目尻に涙が玉となり、笑顔はいびつに歪んでいた。
ポロっと片方の目尻から、涙が一滴こぼれ、地面に染みを作った。
首をふるなのは。
「悲しければ…泣いていいんだよ?怒りたければ怒って、笑いたければおもいっきり笑えばいいじゃない?…」
キラの両肩に手をかけるなのは。
「それが…人間なんだから…恥ずかしがることはないよ…。溜め込んじゃ駄目だよ…。」
背中に回す手。なすがままのキラ。
「…がんばったよ…キラは…。ひとりで抱えこまないで…、あれは私達、機動六課の責任でもあるんだから…。」
キラと正面から向かい合い、微笑むなのは。
どっと押し寄せる感情。せきとめるのは限界で、大粒の涙が溢れた。
そんなキラをなのははギュッと抱擁する。その中で、何もかもを吐き出すように声をあげて泣きじゃくるキラ。
ごめん、ごめんと何度も何度も呟きながら…。
それから、何分立っただろうかキラは泣きやみなのはの両手を両手を使って包みこむように握って言った。
「ありがとう…、僕はもう…大丈夫だから…。
ごめんね、何か、恥ずかしいところ見せちゃって…。」
「うぅん、明日から頑張ろう…ね?」
キラはなのはに笑いかけ頷いた。

 

ビデオをとめるシャマル。

 

なんだかしんみりとした空気が部屋に漂っている。
皆なるほどといった感じで頷いていた。
「ところでシャマルさん…何でビデオなんか持ってるんですか?」
アスランの問いに皆、疑問を持ったと言う。

 
 
 

「心閉ざしてENDING FAINAL PLUS」

 

同刻、訓練施設。
「ほら、スバル!!いい加減な攻撃しない!」
となのは。
「スバル、そういう攻撃をするときは相手の隙を作ってからの方がいいよ?」
とキラ。
「えっ?えっ?」
混乱するスバル。
いいのか悪いのか、どっちなのさって感じである。
「キラくん、私の言ってることおかしいかな?」
頬がひくひく痙攣気味のなのは。
「おかしくはないかもだけど…、スバルが何であんな戦法をとったのか考えてあげるべきじゃないの?」
二人の間に流れる沈黙。
「あ、あの…なのはさん…キラさん…?」

 

「私の指導方針がそんなにきにいらないかな?」
「僕が言ってることはそんなに間違ってるかな?」
「キラくん!!」
「なのは!!」
「「頭、冷やそっか!!!」」

 

「仲がいいのやら悪いのやら…。」
二人を見守るティアナの言葉にですよね~、と頷くキャロとエリオ。

 

けれど喧嘩を始めた二人はどこか楽しそうで、嬉しそうで…、快晴の青空に、桜と蒼の奔流がほとばしった。