第8話_「決着の時」

Last-modified: 2014-03-31 (月) 23:51:49
 
 
 

この肌がザラザラとする感覚ーーー。
不愉快だ…クワトロは何かの存在を感じていた。
アムロ・レイではない……
この感覚はもっと黒くて禍々しいものだ…
そう感じたクワトロはすぐさまカミーユ達に指示を出す。

 

「アポリー!ロベルト!ザフトが来るぞ!!」
「えっ!?」

 

クワトロがそう叫ぶと周りにいた全員が驚き辺りを見回す。
ロベルトとアポリー、カミーユはヘルメットを被り発進準備に取り掛かる。

 

「准将、ヘンケン艦長を《アーガマ》へ連れて行くのは中止です。
あの少年達も連れて安全な場所へ。」

 

ブレックスが分かったと言うと、
トールやサイ達も一緒になってヘンケンの体を支えて
その場を離れる準備をする。

 

すると、どこからともなく空気を切り裂くような轟音が遠くから聞こえ始める。
モビルスーツだーーー。
アポリー達はその音がすぐにスラスターの噴射音だと気付くと、
腰の位置まで下ろしていたノーマルスーツを着直し、
駆け足で自分達の機体へと向かう。

 

ヘンケンの隣に寝ていたラミアスも起き上がると
クワトロ大尉へ不安げな表情で話しかけて来る。

 

「クワトロ大尉…もしかしてあの《ストライク》をお使いになるのですか?」
「ラミアス大尉、冗談はよしてくれ。
あのOSでは私に操縦など出来ん。
君は彼の隣で見ていたのだから分かるだろう?」
「えっ…!?」

 

ラミアスは驚いていた。
そういえばクワトロ大尉はまったく《ストライク》を調べていなかった。
むしろ、調べようという気配すらならかったと言えばよいのだろうか…
もしかしてこの人は何か分かっているのではないか?
そう考えていたラミアスにクワトロがラミアスに顔を近づけ耳元で囁く。

 

「あれは既にコーディネイターのキラ・ヤマトにしか動かせない状態なのだろう?」

 

やっぱりだわーーー。この人は最初から分かっていた……。

 

コーディネイターが構築するOSのモビルスーツの操縦は
どんなに優れたパイロットでも対応するのが難しいと言われている。
一年戦争時、連邦軍に所属していた当時は天才と呼ばれていた、
コーディネイターのモビルスーツパイロットは、
量産機故の非力さを補うべくOSの調整を徹底的に行っていたらしい。
そのOSには優秀な技術スタッフも手が出せないほどと言われており、
彼らの乗るモビルスーツはワンオフ機並の能力を発揮していたと言われている。

 

「クワトロ大尉…彼は民間人でまだ子供です…」
「…」

 

ラミアスの言葉にはクワトロも納得はしていた。
だが《ストライク》をこのままにしていたら、
奴らに奪われるか破壊されるだけだというのは分かっていた。
すると、ヘンケンやブレックスらと避難をしようとしていたキラが足を止めるーーー。

 

「お、おい…キラ?どうしたんだ?」
サイがキラに気付くとキラは覚悟を決めたような表情で彼らを見て言う

 

「サイ…みんな…ごめん!先に逃げて!!
僕はあれに乗って戦うから!」
キラはそう叫ぶと《ストライク》に向かって駆けて行く。
僕が戦って友達を守るんだ…
それにどうしても確かめなきゃいけない事があるーーー。
彼は…アスランは絶対に僕に会いに来るから……。
キラは心の中で恐怖と戦いながら、
モビルスーツと戦う決心をする。

 

その様子を見たクワトロとラミアスがキラの前に立ち
「君のサポートは我々エゥーゴがしよう、キラ・ヤマト君。」
「……あなた…大丈夫なの?」
そう言ってクワトロとラミアスはキラに気遣うと、
キラは力強くコクリと頷き《ストライク》に搭乗する。

 

ラミアスは《ストライク》に乗る彼を見ると、
部下のメカニックマン、ブライアン伍長に指示を送る。

 

「ブライアン!ソードパックの用意をして!」
「え!?は、はい!!」
ブライアンが慌てながら、
トレーラーに向かってコンテナハッチを開く。

 

「ラミアス大尉、これは?」
「《ストライク》用に開発されたバックパック換装用兵器です。
あれは接近戦向けで、コロニーへのダメージを考えれば
近接戦闘武器が一番だと思います。」

 

なるほど…技術士官の割には
戦術レベルの事もしっかりと考えている優秀な人間のようだ。
クワトロはそう感じながら、悠然と立ち並ぶモビルスーツを見上げた。

 
 

 
 

ナタルやノイマン達は無重力ブロックの中で浮遊する瓦礫や
死体の中を掻き分けようやくアークエンジェルまで辿り着いていたーーー。
「無事だったのは爆発の時、
艦におりましたほんの数名だけでした。
とはいえほとんどは工員ですが…」

 

アークエンジェルの艦外にいた生存者はナタル、
ノイマンと部下の三名だけだった。
彼女たちは艦外の生存者の捜索は諦めて、
アークエンジェルに着いており、
中にはメカニックマン達が数名ほどが生きており、
ナタルはノイマンらを連れてブリッジへと到着していた。

 

「状況は?ザフト艦はどうなってる?」
「…分かりません。
私どももまだ周辺の確認をするのが手一杯で…」

 

ナタル達ははブリッジの計器類やCIC席に目をやって
各部のチェックをして行く。
……流石はアークエンジェルだな。
これしきのことで沈みはしないか……
とナタルはこの新鋭艦の頑丈さに感心しながらも、
港口は瓦礫で崩されて身動きがとれない状況に苛立つ。
ナタルは色々と考えながらも各部の計器類をチェックし、
センサーに電気が通りるとセンサーの表示した物に目を見開く。
「これは…!ザフトのモビルスーツか!?
奴らの狙いはモルゲンレーテということか!」
索敵用のセンサーにはモルゲンレーテの工場に向かう
ザフトのモビルスーツ隊の機影をハッキリと捉えていた。

 

「え!?」
ノイマン達は彼女の言葉には驚き、
センサーの周りに集まってそれを確認する。
「なんてことだ……しかも1機は《イージス》だ!
あちらの状況は…!?ガンダムはどうなったのだ…
とにかく急いで各部を立ち上げるぞ。」

 
 

 
 

隔壁を破壊してコロニー内部に突き進むザフトのモビルスーツ隊。
ミゲルの乗るオレンジの専用カラーの《ジン》には、
拠点制圧用兵器のD装備
ザフトではバルルス改・特火重粒子砲と呼ばれる、
いわゆるビームキャノンを右手に抱えている。
もう1機のオロールの乗る《ジン》は、
両手には大小、計4発の大型ミサイルと
両の脚部には三連装ミサイルポッドを装備している
まさに強襲用と呼ぶに相応しい武装だった。

 

「アスラン、おまえ無断出撃なんだって?」
「………ああ。」
ミゲルはアスランの無断出撃を出撃後に知らされていた。
しかし彼はそんなアスランの無断行動を、
責める事もなくアスランに声をかける。
「……ヴェサリウスに戻ってから様子がおかしいが…
無理矢理ついて来た根性見せてもらうぞ!」
「ああ…分かっているさ…!」

 

アスランとミゲルが話していると、
センサーのアラートがコックピット内に響く。
「目標を発見、2時の方向!!
エゥーゴのモビルスーツも一緒だ。」
先行していたオロールからの通信が入ると、
ミゲルとアスラン達に緊張が走る。
「よし、散開して挟み込むぞ!」

 

「来たぞ!!数は5機!みんなわかってるな!?」
「大袈裟な武装してるのもいやがるな!!
俺はあの坊主の《ストライク》をフォローする!」
アポリーはキラの支援をしながら戦う事を選び、
ロベルトはカミーユとコンビを組み、
左翼に展開するオロールのD装備型《ジン》と
通常の2機の《ジン》の計3機を相手にする事になった。
「カミーユ!くれぐれもビームとバズーカは使うな!?」
「分かってます!バルカンとサーベルだけって言うんでしょ!?」
「そうだ!だからって泣き言は言うなよ!?」
そんな事誰が言うかよーーー。
カミーユは少しイラっとしながら、
前方に見える3機の《ジン》に向かってフットペダルを思い切り踏み込む。

 

「キラ・ヤマト!バルカンで牽制しながら距離を詰めろ!!じ
ゃないと好きなように撃たれるぞ!?」
「は、はい!」
アポリーがキラにアドバイスを送ると、
キラはグリップのボタンを押して頭部のバルカン砲で相手の射撃を止める。
「よし…このタイミングか!」
キラはほんの少し手応えを感じ、
レバーを前に押し出して
フットペダルをいっぱいに踏むと、
一気に距離を詰めてシュベルトゲベールを
ミゲル専用の《ジン》に振り下ろす。

 

「っうお!」
ミゲルは紙一重でこの一撃をかわすが、
《ストライク》が両手に持つその大きな獲物を見て、
ミゲルはゾクリとするーーー。
これを胴体にでも食らえば、一発であの世行きだ……
ミゲルにジワリと嫌な汗が滲み出す。

 

「く…だが、当たらなければ意味は無い!!」
ミゲルは《ストライク》の横にまわり「落ちろ!」と叫ぶと、
ビームキャノンを《ストライク》の至近距離から放つ。

 

「うわっ!?」

 

キラは直撃をさける為にとっさにミゲルの攻撃を回避する。
「な…こんな距離を避けるだと!?」
ミゲルは《ストライク》の異常な反応速度に驚愕の声を上げる。
しかし、キラもコックピットの中で焦っていた。
「コロニーが壊れる…どうしろっていうんだ…!」
「慌てるなキラ!隙を見つけるんだよ!」

 

アポリーはそう言うと、《イージス》にバルカンを放ちながら、
ビームサーベルを構え《イージス》に向かって直進する。
「あのモビルスーツ…来るか!」

 

アスランはビームサーベルを引き抜くと、
《リック・ディアス》とビームサーベルをぶつけ合う。

 

「坊や!また会ったな!」
「…くっ!……!!」

 

アポリーが接触回線を通して、アスランに話しかけるが、
アスランは何も言い返さない。

 

「なんだ?だんまりかよ!!」
そう言うと《リック・ディアス》は少し後ろに下がり、
横一閃にビームサーベルを振ると《イージス》がこれを躱す。

 

「アスラン!?…食らえよ!」
ミゲルが押され気味のアスランを援護しようと、
《リック・ディアス》にむけてビームキャノンで狙い撃つ。
不意を突かれたが、アポリーはなんとか躱すものの、
それにより被害は拡大して行く。

 
 

コロニーの港口部分から内部へと突き進みながら、
ムゥの《メビウス・ゼロ》が最後の残ったガンバレルを《シグー》に向け、
撃つがあっさりと躱され撃ち落とされる。

 

「くっ…!こいつはどうだ!!」
ムゥは苦し紛れにリニアガンを撃つがクルーゼはシールドであっさりと防ぐ。

 

ドッグファイトを繰り広げながら突き進む2機は、
やがてヘリオポリス内部に到達する。

 

「なっ…!モビルスーツ戦だと!?」
コロニー内部に始めて入ったムゥは、
中の光景を見て驚愕し、
クルーゼは広がるコロニー内部の被害を見て口元を吊り上げて笑っていた。

 
 

「そこっ!」

 

《ガンダムMk-II》が《ジン》の胴体に
ビームサーベルを突き刺すと空中で激しい爆発をおこす。
ロベルトもバルカンでもう1機の《ジン》のメインカメラを破壊すると
一気に胴体を真っ二つにする。
するとロベルトは《メビウス・ゼロ》と《シグー》の存在に気付く。
「ん!?まだいたのか!」

 

ムゥの《メビウス・ゼロ》は全てのガンバレルを失い、
コロニー内部の状況に驚きつつも、
目の前のクルーゼに追いすがる。
「くっそぉ!!」
「そろそろ死んでくれるとありがたいのだがね!」
《シグー》はビームサーベルを引き抜くと
《メビウス・ゼロ》に向かって突進をかける。
「ちいっ!やらせるかよ!!」
「ムッ!!……しぶといヤツめ。ならばこれはどうだ!」

 

《シグー》は《メビウス・ゼロ》に向けて、
大型のマシンガンを持ち替えて狙い撃つと
《メビウス・ゼロ》の機体後部に命中する。

 

「エンジン部分損傷…!?もうダメってことかよ!!」
《メビウス・ゼロ》はぐんぐんと高度を下げて、
機体の腹から地面に叩きつけられた。

 
 

「くっ…ヤツらめ…落ちろ!!」
オロールは僚機の《ジン》があっさりとやられると、
一気に距離を離して三連装ミサイルポッドからミサイルを発射する。
ミサイルは《ガンダムMk-II》と
《リック・ディアス》目掛けて撃ち放つとすかさずバルカンで迎撃をするーーー。
しかし、撃ち漏らしたミサイルがコロニーの表層部に直撃すると、
大きな爆発が起きて、コロニー全体が激しく揺れる。

 
 

「落ちろっての!!」
「ちっ…!」

 

アポリーはミゲルの攻撃をすれすれでかわす。
しかし、躱し続ける事によりコロニー内部のダメージがどんどん広がって行く。
アポリーは焦りの色を隠せずにいた。
慌てたキラはミゲルを狙うがアスランの《イージス》が割って入る

 

「キラ…!キラだろう!?」
「アスラン…!?…なぜ君が…」

 

アスランの呼びかけにキラとアスランは互い機体を止めたその時、
コロニーの鉱山区付近の表層部に大きな爆発が起きた。

 

全員がその爆煙の上がった方へ目をやると、
砂煙を突き抜けて巨大な船体が現れる。
その光景を見ていたラミアスは思わず声を上げる。

 

「アークエンジェル!!無事だったの!?」
歓喜と驚きが混じる上ずった声を上げるラミアスの表情に安堵の色も伺えた。
「あれがアークエンジェルか…」
クワトロはアークエンジェルのその姿を見て、妙な懐かしさを感じていた。

 
 

「開口部を抜けました!コロニー内部に進入!」
「モルゲンレーテは大破!ストライクがザフトのモビルスーツと交戦中!」
「…コリントス、発射準備。レーザー誘導、厳に!
フェイズシフトに実体弾は効かない、
主砲、レーザー連動、焦点拡散!」
「は!」
アークエンジェルのブリッジにはナタル中尉が
生き残ったノイマン少尉やトノムラ曹長ら数名と共に
アークエンジェルをなんとか発進させていた。

 

「あれは…連邦の新造艦…?ちっ。仕留め損ねたか…!」
クルーゼは沈めたと思っていた想定外の相手の登場に毒づいた。

 
 

 
 

ドックの《アーガマ》でもコロニー全体の激しい振動と衝撃を感じていた。
「ブライト大佐…本当によろしいのですか?」

 

レコアは少し不安げな表情でブライトへそう言うと、
ブライトは鋭い目つきに変わり、レコアへ言う。
「ザフトの母艦を叩けば、中で暴れまわるヤツも引き揚げるはずだ。」

 

「確かにそうですが…大佐は我々に協力するおつもりですか?」
「今は避難民もいる緊急事態だ。それは終わってから話そう。」

 

そう言うと、充てがわれたノーマルスーツのヘルメットを頭に被る。
ブライトの判断により、《アーガマ》はコロニーの外へと出ようとしていた。
ルナツーの監視が厳しいサイド7とあらば、
艦隊戦を行えばたちまちティターンズや
ルナツーの駐留部隊に捕捉される可能性はあったが、
ザフトの母艦を《アーガマ》で追い詰め、
相手の撤退を狙うという強引な策で、
コロニーの崩壊というリスクを背負うならばーーー。
というブライトの判断だった。

 

「レコア中尉、おそらくだが
外にザフト艦がいる時点で遅かれ早かれティターンズは、
ここの騒ぎを嗅ぎつけて来る。
最大船速で《アーガマ》の有効射程圏内に入り次第、
ザフト艦への攻撃を開始。
一点突破でザフトの撤退を誘う。
勝負は一瞬で決まるはずだ、集中するんだ。」
ブライトは椅子に座らずに艦長席に座るレコアへ
細かなアドバイスを送ると、大きく頷く。
「分かりました。両舷全速前進!《アーガマ》発進。」

 
 

 
 

「コリントス7番から10番まで発射!
目標、敵モビルスーツ!レーザー誘導!
いいな、間違えてもシャフトや地表に当てるなよ!」
「…えぇぇ…!?」
「てぇ!」
ナタルがCIC電子戦担当のロメロ・パル軍曹に難しい命令を下すと
アークエンジェルの艦尾からミサイルが発射されると、
《シグー》目掛けてミサイルが迫って行く。

 

「チィッ!」
《シグー》に乗るクルーゼは、ミサイルの雨を迎撃しながら躱すと、
コロニーに次々とミサイルが直撃して行く。

 

「隊長!!」
オロールはそう叫ぶとフットペダルを一気に踏み、
アークエンジェルの間近まで迫り、
両手に持った大型ミサイルと小型ミサイルを一斉射する。
するとそのミサイルがアークエンジェルの左舷側に命中して行く。
「第4兵装バンクに被弾!隔壁閉鎖!」
チャンドラが被害状況を知らせると、
ナタルはすかさずオロール機への迎撃を指示する。
「主砲発射準備!目標、前方の敵モビルスーツ!」
「了解!てぇ!!」
右舷カタパルト上層部にある砲塔からメガ粒子が放たれ《ジン》を襲う。

 

うあぁーーーーー!
オロールの機体は上下真っ二つに両断されると
その場で爆散して行く。

 

「オ、オロォーール!!」
ミゲルはオロール機が落とされ、一瞬の隙を作ってしまう。
その僅かな隙を見逃さなかったのはアポリーだった。
「くらえっ!!」
それまで背中にマウントしたままだった
クレイバズーカを右手に持ち撃ち放つと
砲弾は機体の目の前で散弾して《ジン》に直撃する。
「なっ!?ぐあぁぁ!!」
ミゲルは突然の衝撃に何が起きたか理解出来なかった。
ミゲルの《ジン》はコックピットをガードした左腕と右腕は激しく損傷し、
メインカメラは潰れ完全に戦闘能力を失う。

 

「く…そぉ!!腕とメインカメラをやられたか!」

 

「ミゲルーー!!」
「待って!アスラン!!」

 

アスランが大破したミゲルを見て、
そちらへ向かおうとするとキラが彼を呼び止める。
アスランは《イージス》の動きを再び止めて《ストライク》を見る。

 

と、その時だった。
コックピットにアラート音が鳴ると、
母艦であるヴェサリウスから通信が入ってくる。

 

「こちらヴェサリウス!こちらヴェサリウス!
ヘリオポリスより出現した戦艦より奇襲を受けている!
奪取したモビルスーツを乗せたガモフは中破!
直掩機2機が撃沈!!本艦はこれと交戦中!!
ただちに撤退されたし、ただちに撤退されたし!」

 

《アーガマ》のブリッジ内ではクルー達の声が響き渡る。
「ローラシア級に直撃弾!直掩機共に沈黙しました!」
シーサーの報告を聞いたレコアは思わず、ブライトの顔を見た。
ブライトは無言で頷くとレコアは確信した。
行けるーーー!レコアとブライトだけでなく、
ブリッジにいた全員がそう感じていた。
「見事に奴らの横っ面を叩く事が出来たな。」
「はい。
ミサイル発射管次弾装填準備!!
主砲照準合わせ!目標はナスカ級よ!!」
「了解!!」
《アーガマ》のザフト艦への強襲作戦は成功した。
そしてクルーゼとアスランはこの通信を聞いて驚愕していた。

 

「まさか単艦相手でこちらに被害を出るとは…。」
エゥーゴの戦艦がヘリオポリスにいる事は予想できた。
その為の直掩機も付けていたが、突破されるとは予想しておらず
完全にクルーゼの読みが外れた形となった。
「隊長!!」
「アスラン、撤退だ。
ミゲルを急いで回収しろ。」

 

アスランは「了解!」というと、ミゲルをすぐに回収して、
戦場の大地を去って行く。

 

(キラ……なんでお前が…!)
アスランの心の中はキラの事で頭が混乱していた。

 
 

「待て!逃がすか!」
そう叫びカミーユは撤退する{シグー》を追おうとするが
「よせ、深追いはするな!」とロベルトに留められる。

 
 

やがてコロニー表層部に開いた穴からクルーゼ達は撤退して行き、
キラのもとを離れて行く《イージス》の背中を見るキラは、
ひたすらアスランの名を叫び続けていた。

 
 
 

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