運命と最強_第03話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 13:25:50

八神家 PM6:10
「おそいな~皆」
シグナム達の帰りを心配するはやて
今八神家にいるのははやてとカナードの二人だけである。
シグナム達は老人会に顔を出してるヴィータを拾いに行くといったが、それきり1時間が経過していた。
普通ならは20分もあれば帰ってこれるはずである。
そんな心配そうな顔をするはやてを見て、ため息をつくカナード
「心配するな、大方老人達にでも捕まってるんだろ、俺が引っ張ってくる」
「そうか?それじゃ、おねがいするわ」
「ちゃんと鍵はかけとけ」と言い、八神家を後にするカナード。

 

海鳴市某所 PM6:25

 

シグナム達は以外にも直に見つかり、声をかけようとした。

 

「このままでは、主の命は尽きる」

 

その言葉を聴くまでは

 

即座に詰め寄り色々と問いただすカナード
カナードの問いにシャマルが答えた。

 
 

はやての足は闇の書が原因ということ
このままでは闇の書の呪いが体全体に行き渡り、はやてを死に至らしめること
唯一の方法が闇の書を完成させ、はやてを真の主にすること
闇の書を完成させるにはリンカーコアを収集すること、リンカーコアは生物にしか存在しないこと

 

「要は人や生物を襲い、リンカーコアを奪うということか」
全員が沈黙し、シグナムが「その通りだ」と答えた。
「しょうがねぇだろ!はやてを助けるためだ!!」
叫ぶヴィータ。
「襲うといっても魔力があるもの、魔道師や異世界の生物などだ・・・・」
「そうか・・・・・わかった、俺もやるぞ」
カナードの言葉に全員が驚いた。
「シグナム、確かお前は初対面のとき『リンカーコアを持ってるということは魔術師のようだが、』といったな」
「ああ・・・確かにお前にはリンカーコアがある」
「ならば俺も魔法が使えるんじゃないのか、どうなんだ?」
シグナムは考えた。確かに戦力は多い方がいい、しかも自体は一刻を争う。
それにカナードが並みの人間でないことは、共に生活をしている内にうすうす気がついていた。
「可能だ、だがいきなり魔法戦闘が出来るとは思えんが、半端な実力では我々の足手まといにしかならない」
通常戦闘と魔法を駆使した戦闘は違う、そのためシグナムは遠まわしに拒否をしたのだが
「なら、試してみるか?」
カナードはそう答えた。

 

海鳴市某所ビル屋上 PM6:40

 

カナードの実力を試すため
急遽、カナードとザフィーラによる模擬戦が行われることとなった。
「丁度デバイスも持ってるようだが」
ザフィーラの問いに、自然にカナードはこの世界に来たときに一緒に落ちてた四角錐の物を取り出した。
「これのことか?これをどうすればいい?」
「デバイスの名を呼べ、それが機動音になっているはずだ」
「デバイスの名前?」
(名前・・・・・・心当たりは・・・もしや)
「・・・・ハイペリオン!!」
その瞬間カナードの体は光に包まれた。
頭の中に流れ込むデバイスの能力。
そして、形はノーマルスーツに酷似し全体は白く、背中に等身大の筒のようなもの、
両腕と筒状のようなものに待機状態のデバイスがついたバリアジャケットをまとったカナードが現れた。
(これは・・・・ふっ、正にハイペリオンのコスプレだな・・・)
「装着したか・・・・いくぞ」
そういい、ザフィーラは構えた
数十秒の静寂・・・・先に仕掛けたのはカナードだった。
「くらえ!」
ザフィーラに向けて放たれるマシンガン『ザスタバ・スティグマト』、ザフィーラはそれを横に跳躍して避け、
着地と同時に踏ん張り、勢いをつけカナードめがけて蹴りを放った。
「はあぁぁ!」
声と共に放たれる強烈な蹴り。
その蹴りをカナードは避けることなく左手を掲げ
「アルミューレ・リュミエール」
カナードが唱えた瞬間、待機状態のデバイスが展開し、それを中心に光の障壁が現れ、ザフィーラの蹴りを易々と防いだ。

 

「(さすがはアルミューレ・リュミエール、大した防御力だ)」
「(くっ、破砕どころか揺るがすこともできんとは・・・・だが!)」
蹴りの勢いが無くなり、地に着いた瞬間、ザフィーラはしゃがみ、足払いでカナードを転倒させた。
「くっ、こしゃくな!」
体が倒れる瞬間、両手で体を支え、両手に力を込め勢いで後ろに飛び、体制をたてなおすカナード。
この瞬間僅か数秒、訪れる沈黙。
「やるな・・・・」
驚くザフィーラに
「何だ?『今さっきのはウォーミングアップだ、次は本気で』とでも言う気か?」
どこかで聞いたような台詞を言うカナード、だがザフィーラは気を悪くしたそぶりは見せず
「いや、本気の一撃だった。まさか、ああも簡単に防がれるとは。だが、欠点があるようだな」
内心舌打ちをするカナード。
アルミューレ・リュミエールの欠点、それは展開範囲が狭いことだった。
自分を包むフィールドや結界は勿論、前面なら自身を丸々、もしくはほとんどを防御できるプロテクションやラウンドシールドとは違い、
アルミューレ・リュミエールは最大で自身の半分しか展開することが出来ないという欠点があった。
両腕のアルミューレ・リュミエールを展開すれば前面丸々防御することが出来るが、そうすると防御に専念しなければいけなくなる。
双方の問題を解決する手段はあるが、
「五分で片付くとは思えん」時間制限という欠点があるため却下。
まぁ・・・・微妙に中途半端な防御手段である。
「なるほど、展開されてなかった足を狙ったか」
「ああ、だが直に間合いを取られてしまったがな」
また訪れる静寂
今度は仕掛けたのはザフィーラだった。

 

「縛れ、鋼の軛!」
カナードに目掛けて地面から鋼の軛を伸ばす。
それをステップで避けながらザフィーラ目掛けてザスタバ・スティグマトを放つカナード
放たれるザスタバ・スティグマトをシールドで防ぎながら突進、
間合いを積め強烈なパンチとキックのコンボを繰り出す。
それを両腕のアルミューレ・リュミエールで防ぎ、後方へ飛ぶカナード
さらにザスタバ・スティグマトで弾幕を張り、距離を開ける。
距離が開いた隙に、刃が魔力で構成されてたナイフ『ロムテクニカ』を手にし、ザフィーラに突進。
カナードのロムテクニカを篭手で防ぎ打撃を繰り出すザフィーラ。
ザフィーラの打撃を左手に展開したアルミューレ・リュミエールで防ぎ、ロムテクニカで斬撃をくりだすカナード。
「フッ、ナイフか」
「素手では勝てそうに無いのでな!」
両者の激しい攻防が続いた。

 

「やるもんだな~、カナードの奴」
シャマルとシグナムはヴィータの感想に素直にうなずくしかなった。
当初はカナードを説得もしくは再起不能にし、シャマルの記憶操作でこの話の記憶を消し、
主が寂しがらないように主と普段通りの日常を送ってもらうつもりだった。
だが当初の予想は外れ、ザフィーラと互角の戦いを繰り広げていた。
そして、彼らの戦いも決着が付こうとしていた。
ナイフを篭手で防がれた瞬間、瞬時に左手にロムテクニカを手にし、ザフィーラに突刺す。
「甘い!!」
だが、ザフィーラは即座にシールドを張り、ロムテクニカを防ぐ。
ロムテクニカはシールドに刺さり勢いが止まり、一瞬両腕がふさがるカナード。
チャンスとばかりにザフィーラが脇にキックを放とうとした時、ザフィーラは見た。
シールド越しに邪悪な笑みを浮かべるカナードを。
「カートリッジ・ロード!」『Burst』
カートリッジがロードされた瞬間、結界に刺さったロムテクニカの刃が爆発し、ザフィーラを豪快に吹き飛ばした。
爆発の衝撃でよろめくザフィーラにむかって迫るカナード
一瞬で体制を立て直したザフィーラが、懇親の拳をカナードに放つ
両者の距離がゼロになった時、そこに写ったのは、
カナードの肩に拳をめり込ましているザフィーラと
ザフィーラの喉もとにロムテクニカを突きつけているカナードだった。

 

「勝負あったな・・・・・」
「ああ・・・お前の勝ちだ、実力を認めよう。いいな、シグナム」
ザフィーラの問いに
「ああ、ヴォルケンリッター烈火の将・シグナムの名において、カナード・パルス、騎士としてお前を認めよう。」
シグナムはカナードを見据えながら答え、そして
「我ら主を助けるため、お前の力を借りたい、頼む」
右手を差し出し、カナードに問いかけた。カナードは笑いながら
「頼まれなくてもやるつもりだ」
差し出された右手を握り、そう答えた。
ちなみに模擬戦後、帰りがすっかり遅くなった結果、半泣きのはやてに全員が猛烈に怒られたのだが・・・まぁ、それは別のお話で。

 

翌日の夜
海鳴市某ビルの屋上、そこには五人の男女がいた
シグナムは語る。「主の体を蝕んでいるのは闇の書の呪い」
シャマルは語る。「はやてちゃんが闇の書の主としてまことの覚醒を得れば」
ザフィーラは語る。「我らの主の病は消える、少なくとも、進みは止まる」
ヴィータは語る。「はやての未来を血で汚したくないから人殺しはしない」
カナードは語る。「だが、俺達の邪魔をする奴は、だれであろうと容赦はしない」
それぞれが自身の甲冑を装備する。
「申し訳ありません、主。一度だけ、誓いを破ります」
そして、シグナムは叫ぶ
「我らの不義理をお許しください!!」
その叫びを合図に5つの光が海鳴市の夜に輝いた