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魔動戦記ガンダムRF_04話

Last-modified: 2011-08-13 (土) 22:48:08

ある少女の記憶。
私にはお母さんがいた、お母さんは仕事の合間にはよくピクニックに連れて行ってくれて、花の冠の作り方を教えてくれた。とっても優しいお母さん、そして飼い猫のリニス、二人と一匹で暮らす生活はとても幸せだった、そう、あの日を迎えるまでは…。

 

私が覚えていたのは、部屋でお母さんの帰りを待ちながらお絵かきをしていたとこまで、気づいた時には私は裸のまま空になったカプセルの中にいた、なにが起こったか分からず呆けていた私の目の前に白衣の男が現れ、私の父だと名乗った。お父さんの話では私は母さんが携わっていた魔力動力炉の研究の事故で私は一度死んでしまったのだという、そして数年たった今、アルハザードというところから来た魔導士のお陰で私は蘇れたのだ。

 

私は…お父さんにお母さんはどうしたのかと聞いてみた、お母さんは私を蘇らせるため、“ジュエルシード”という石を私のクローンであるフェイトと、コズミックイラから連れてきたシンという少年と共に集めてさせていたが、フェイトとシンの不手際で管理局に見つかってしまい、奴らとの戦いで命を落としてしまったのだという。

 

お父さんは二人を恨んじゃいけないと言っていたけど、私は二人を許すことができなかった。フェイトはあろうことかお母さんを死に追いやった管理局の提督の養子になり、友達に囲まれて幸せな生活を送っていたのだ、お母さんの死を忘れ、仇に尻尾を振っているのだ。私は…そんな恥知らずな自分の分身を許すことが出来なかった、もちろんシンも同罪、あいつも今頃家族に囲まれてヌクヌクと生きている。私は母さんが受けた苦しみをあの二人…いや、あいつらを取り巻く人間達も含めて100万倍にして返してやろうと心に決めた。まずは…どうしてやろう、拷問にかけてジワジワと殺してやるか、性的な辱めを受けさせて廃人にしてやろうか、目の前であいつらの愛する人達の命を奪ってやろうか、復讐のアイディアはいくらでも思いついた。そして私はその中でとびっきりの案を採用することにした、それは…。

 

“時の方舟”と名乗る高官誘拐事件から数日後、オーブのMS生産工場「モルゲンレーテ」、そこにあるMS訓練場でフリーダムとインパルスは模擬戦を行っていた。
『行きますよキラさん!』
『こっちはいつでもいいよ!』
お互い持っていたビームサーベルの電源を入れ対峙する二機、その刹那、インパルスが一歩踏み込みフリーダムに切りかかるが、完全に防がれてしまった。
『やりますね…!』
『まだ勘は取り戻せてないけど…ね!』
そしてフリーダムはもう一本のビームサーベルでインパルスを追い払った。
『まだまだぁ!』
『でえええい!』

 

「うわー…シンってばすごいわね、あのキラ・ヤマトと互角に戦っているわ…。」
「あいつは一応インパルスを任された我が軍のエースだからな…そうじゃなきゃ困る。」
その模擬戦の様子を、ルナやレイなどのミネルバクルーが見学していた。
「手厳しいわねレイ…でもアンタも結構強いんだから勝てるんじゃない?」
「………どうだろうな。」
レイは訓練室で戦っているフリーダムをなにやら複雑な表情で見つめていた。
一方、ルナ達の後ろでは…。
「や~ん♪ザフィーラかわいい~♪」
「ほれ!お手!お手!」
「ヨウラン…失礼だよ…。」
「ぬう…。」
ミネルバのオペレーターでルナの妹であるメイリンと、整備兵のヨウランとヴィーノがザフィーラ(こいぬフォーム)と戯れていた。
「メイリン、ザフィーラ困っているじゃない。」
「…俺はかまわん。」
「いや~びっくりだよ、犬が喋るなんて…。」
「シンの昔の友達って変わってんだな。」
「ねえねえ、シンの小さい頃ってどんな風だったの?」
メイリン達の質問攻めに、ザフィーラは快く答えた。
「そうだな…何度か拳を合わせた事はあるが、アイツはどんなことでもまっすぐな男だったな、仲間を大切にするし…そしてそれは今でも変わっていないようだ。」
ザフィーラはルナ達の顔を見回しながら口を綻ばせた。そこに、
「だから~、キラさん思いきりが足りないんですって~。」
「そ、そうかな…?」
模擬戦を終えたキラとシンが戻ってきた。
「シン、キラさん、お疲れです~。」
「どうです?勘は取り戻せました?」
「大体ね…、模擬戦に付き合わせちゃってごめんね、アスランもカガリもバルトフェルトさんも用事があって今いないんだ。」
「別に俺は構いませんよ、前大戦の英雄と手合わせ出来るなんて滅多にないですからね。」
「…お前、妙にキラ・ヤマトと仲がいいな。」
レイは怪訝な顔でシンに質問する。
「そうか?この人話をしてみれば結構おもしろいぞ?」
「あれから色々話し合って…僕がしたことを彼は許してくれた。だから僕は彼の手伝いをするって決めたんだ。」
「そうですか…。」
するとそこに、
「シンく~ん。」
シャマルとモルゲンレーテの開発主任、エリカ・シモンズがやってきた。
「ん?シャマル、デスティニー治ったのか?」
「う~ん、それが…。」
シャマルは赤いビー玉のようなデバイス、デスティニーをシンに手渡す。
「一応見た目と戦闘機能は治ったんだけど…いかんせん設備が揃ってないうえにデスティニーにはブラックボックスが多いから…前みたいに喋らなくなっちゃってるわ。」
「そっか…。」
シンはデスティニーを見つめながら深く溜息をついた。
「デバイス…MSと違う用途で作られているから、私も大変勉強になりましたわ。」
「いえいえ、こちらこそ設備を使わせてもらって助かりましたよ。」
シャマルとエリカはぺこぺこ頭を下げながらお礼を言った。

 

「ねえねえシン!よかったら試しに変身してみてよ!」
「あ!俺も見てみたい!魔法少女ならぬ魔法少年だな!」
「バッカ、男ならガブッと変身だろ!?」
「え~?久し振りだからハズイな…///」
メイリン達のリクエストに、シンは照れながら答えようとした。
「私も見たいー。」
「俺も興味があるな。」
「僕にも見せてよ。」
「しょ、しょうがないな…じゃあ行くぞ。」
キラ達にもリクエストされ、シンはデスティニーを天高く上げた。
「セーットアッ…。」
とその時、

 

ビー!ビー!

 

突如施設の警報がけたたましく鳴り響いた。
「な…なんだ!?」
「と…とにかくミネルバに行こう!」
一同はとりあえず港に停まっているミネルバへと向かった。シンを除いて
「どうだ!?この翼!かっこい……って居ねえ!!?」

 

数分後、ミネルバのミーティングルームに集まったシン達はタリアの話を聞いていた。
「所属不明の戦艦?」
「ええ、つい先程オーブ領内の無人島に正体不明の戦艦が墜落しているのをパトロール中のオーブ兵が目撃したの。」
タリアは端末を操作し、オーブ軍から送られてきた所属不明艦の映像をみせる。そこにはザフトでもオーブでも連合のものでもない戦艦が映し出されていた。
「!!!」
シンはその戦艦に見覚えがあるのか、目を見開いて驚いた。
「ザフィーラ!この戦艦…!」
「ああ…間違いない、でもなぜ…!?」
「…?三人とも、この戦艦を知っているの?」
ルナの質問にシン達は信じられないといった表情で答えた。
「知ってるも何も…あれは…。」
「あれはアースラ、管理局の艦だ…!」

 

さらに数分後、ミネルバはオーブ港を出港してアースラが墜落した地点に向かっていた。
シン達は格納庫でそれぞれMSに乗って待機していた。
「………。」
インパルスのコックピットでシンは何やら考え事をしていた。
『シン…アースラの人達のことを考えてるの?』
そこにそれぞれのMSで待機していたルナとレイ、そしてキラが通信を入れてきた。
「まあ、色々お世話になった戦艦だからなー、さすがにショックかな…。」
『シャマルさんとザフィーラさんも動揺してたね…それにしても異世界の戦艦がなんであんなところに…。』
「ザフィーラ達を探しに来た…ってだけじゃなさそうだな、管理局も時の方舟になんかされたのかな?」
『おしゃべりはそこまでだ。もうすぐ現地に到着だぞ。』
「おう。」
レイに言われシンとルナは通信回線を一回切った。
『あの…レイ君だっけ?』
その時、キラが通信回線を通してレイに話しかけた。
『……なんですか?』
『いや、なんてことはないんだけど…君、前に会ったことなかったっけ?』
『………俺は貴方と会うのは初めてです。』
そして通信が切られた。
『……彼の顔、やっぱりあの人に似ている…まさか…。』
キラはかつて出会った世界を滅ぼそうとしたあの仮面の男の素顔と、レイの顔を重ねていた。

 

現地に近づくたびに、ミネルバのブリッジは異様な緊張感に包まれていた。
「艦長、この救難信号…全部ムラサメのものですよ…!」
「先行していたオーブ軍が全滅したのか!?一体何が…!?」
「落ち着きなさいアーサー!周囲に警戒を、もしかしたらアースラを落とした部隊がまだ近くにいるのかもしれないわ。」
そしてミネルバは目的地であるアースラの墜落地点に到着した。
「見えたわ…メイリン!」
「こ…こちらザフト軍所属のミネルバ!アースラ、応答してください!」
メイリン達は必死にアースラにオープン回線で呼びかけた。だが応答はなかった。
「くっ…!やっぱりテクノロジーが違うから繋がらないのかしら。」
「ここはシン達に行かせたほうがいいんじゃ…。」
「そうね、シンとルナマリアとレイとキラ君に発進許可を。」
「は…はい!」

 

「これは…!」
発進したシン達はアースラの惨状を見て絶句する、アースラは至る所に攻撃された跡があり、所々で煙を上げていた。
『中のクルー達は大丈夫なのか…?』
『シン!なんとかして連絡とれないの?アンタあれに乗ってたんでしょ?』
「ちょっとまってろ…。」
コックピットでシンは瞳を閉じ、アースラのクルーに念話を試みる。
(こちらザフト軍所属のシン・アスカ!以前そちらの艦に乗っていたことがあります!リンディ・ハラオウン提督の知り合いって言えば…。)
(シン君!?シン君なの!?)
その時、アースラから聞き覚えのある女性らしき声が念話を通じてシンの頭に届いた。
(その声は…リンディさん!!アースラでコズミックイラに来てたなんて…今助けに…。)
(ダメ!逃げて!)
(え!?)
リンディの只ならぬ雰囲気に驚くシン、次の瞬間、遥か彼方からバズーカ砲の弾がインパルスに襲いかかってきた。
「うおおおおお!?」
『シン!?』
『上だルナマリア!』
『え!?きゃああああ!!!!』
次の瞬間、ルナの乗るガナーザクウォーリアやレイの乗るブレイズウィザードを装備したザクファントムにビーム砲やバズーカ砲の雨が降り注いだ。
『レイ君!ルナちゃん!』
『こ…こっちは大丈夫!』
『どうやら犯人がお出ましのようだぞ…!』
三機は弾が放たれた方角を見る、そこには両肩にバズーカ砲を装備し、手にはショットガンのような武器、そして鋭くとがった角を頭部に付けた青い一つ目のMSが三機いた。
『ケンプファー…!?イノセントケンプファーだと!?』
『イノセントケンプファーってたしかザクとドムと一緒に次期主力MS選定コンペティションに出されていた…?』
「!!来るぞ!!散開しろ!!」
シンの指示に従い四機は四方に散らばる、すると角が金色に染められたケンプファーはインパルスとフリーダムの方に向かってきた。
『どうやらあいつは隊長機みたいだね。』
「上等だ!俺達のコンビネーションを見せてやりましょう!残りの二機はルナ達が何とかしてくれます!」
そうこう言っているうちにケンプファーは背中に装備された二丁のギガランチャーDRマルチプレックスの実態弾をフリーダムとインパルスに向けて放つ。
『僕に任せて!!』
フリーダムは翼を展開してバラエーナを放ち実態弾を次々と落とす。
「いっけーーー!!!」
そのスキにフォースインパルスは背中のビームサーベルを持ち、ケンプファーとの距離を一気に詰め切りかかる。

 

バシュウウウウウウ!!!

 

ケンプファーは内装されていたビームサーベルで応戦し、激しいつば競り合いになる。
「くっ!なんてパワーだよ!?」
そのときケンプファーは空いた手でワイヤーに幾つもの楕円形のなにかが付いたものをインパルスに振り下ろした。
「チェーンマイン!?」
そのチェーンマインはインパルスの右肩に巻き付き、その刹那大爆発を起こしそのまま右肩を吹き飛ばしてしまった。
『シン君!』
「だ…大丈夫です!それより早く!!」
『う、うん!』
キラはすぐさま腰部の砲身を展開し、ケンプファー目がけてビーム砲の雨を放った。
ケンプファーはビームの雨をヒョイヒョイかわしていく、そのスキにダメージを受けたインパルスはその場から離脱した。
『当たらない…!』
キラは相手のパイロットの高度な腕に歯噛みする。そして相手のショットガンの反撃を受けてしまう。
『ぐあ!』
フリーダムのシールドで銃弾を防ぐが、あまりの衝撃にシールドは一瞬でべこべこになってしまった。
『つ…強い!』
「こんのおおおおお!!!!!」
そのとき、一度距離を取っていたインパルスが猛スピードでケンプファーに突撃した。
『シン君!?』
ケンプファーはインパルスに向かってショットガンの引き金を引く。
「今だ!」
次の瞬間、インパルスはレッグパーツを分離させ弾をよけ、そのままケンプファーにぶつける。そのスキに上半身だけのインパルスは後ろに回り込んだ。
「これでぇー!!!」
インパルスは残った左腕でビームライフルの引き金を引いた。
ビームはケンプファーの翼付きバックパックを破壊し、ゆっくりと機体を下へ下降させていった。
「いよっしゃあ!!」
レッグパーツを再び合体させたインパルスのコックピットで、シンは力強くガッツポーズをとった。
『す…すごいね、あんな戦い方するなんて…。』
キラはシンの戦い方に素直に関心していた。
「へへへ…昔よくフェイトやシグナム達と模擬戦してたから…武器の特性に合わせた戦い方のバリエーションを考えるのが癖みたいになっているんですよね~。」
そこに、別の場所で戦っていたレイとルナから連絡が入る。
『シン、こっちは終わったわよ。』
『ちゃんとコックピットは外しておいた、今からパイロットの確保に向かう。』
「こっちも今から隊長機のパイロットの確保に向かう、あとはミネルバの指示待ちだな。」
そしてシンとキラはケンプファーが着陸した地点に機体を下ろした…。

 

「キラさん、俺に任せてくれ、相手は多分魔法を使うだろうから…。」
『う、うん…(すごいな、本職の軍人さんっぽい…ムウさんみたいだ。)』
着陸した地点で対峙していた三機、そしてインパルスのコックピットが開かれ、銃を構えたシンが出てくる。
「ケンプファーのパイロット!抵抗しなければ悪いことはしない!おとなしく投降するんだ!」
シンの呼びかけに応えるように、ケンプファーのコックピットが開かれそこから黒いヘルメットとパイロットスーツを着た少女が出てきた。
『女の…子?』
「ヘルメットをゆっくり取れ、その後両手を頭に付けるんだ!」
シンは銃を構えながら女に指示を出す。
「…………。」
少女は黙ってシンの言う事に従い、ヘルメットを取った。その瞬間、美しい金色の長髪が風になびいた。
「えっ……!!?」
シンはその女の自分と同じ紅い瞳を見て、目が飛び出しそうになるぐらい驚く。
シンは7年前、その少女とよく似た女の子と運命的な出会いをしていた。その少女はまるでその女の子が成長したような風貌をしていた。
「フェイ……。」
かつて出会った女の子の名を口にしようとした時、シンは対峙した少女に妙な違和感を覚えた。成長して変わったとか、イメチェンして変わったとかではなく、自身の直感でその人物がかつて出会った女の子ではないと気付いた。
「アンタ…誰だ?」
「人に“アンタ”は失礼すぎじゃない?シン・アスカ。」
(あの子…!シン君の名前を知っている!?)
その少女は自分が圧倒的に不利な状況にも関わらず、余裕といった表情をしていた。
「あーあ、まさか落とされるなんて…ちゃんと作んなさいよね~。」
「お前…一体何なんだ!?なんであいつと同じ顔をしている!?」
少女に怒鳴りつけながら銃口を向けるシン。
「んー?ここまできたら普通解ると思うけどねー。」
「だ、だってあいつは…!」
「“死んでる”って言いたいんでしょ?でもね…私は戻ってくることができたの。」
(なんだ…!?なんの話をしているんだ!?)
キラは二人の話に付いていけず混乱していた。
「お前…は…。」
「はあ…なんでわからないの?私よ、わーたーし。」
そして少女は、至極あっさりと自分の名を名乗った。

 

「私はアリシア・テスタロッサ、7年ぶりね、シン・アスカ。」
「…………!!!」
(アリ……シア?)

 

「ふふ…フェイトとはまた違ったリアクションをするのね。」
「フェイト…!?お前!フェイトは今どうしてるんだ。」
アリシアと名乗った少女は何ともないと言った感じで答えた。

 

「コロシタヨ」
「「!!!!!!!」」
その、顔は笑っているのだが、とてつもない“なにか”が蠢いているアリシアの一言に、その場にいたシンとキラは身が竦んでしまい動けなくなっていた。

 

「あははは♪ウソウソ♪今の顔ちょーウケるんですけど♪」
次の瞬間、アリシアは先程とは打って変わってゲラゲラとシン達を指差して笑った。
(ば…馬鹿にして!!!)
キラはアリシアの人を馬鹿にした態度に腹を立て、コックピットから出て銃を構えた。
「キラさん…。」
「いいかげんにするんだ……!!!君は人の命を何だと思っている!!!!」
「人の事…言えないんじゃないの?キラ・ヤマト?」
「……!?僕の名前を!?」
「知らないと思ってたの?人の夢と業の塊、スーパーコーディネイターのキラ・ヤマト♪」
「………!!!!!」
アリシアは意地悪そうにべらべらと喋り出す。
「怖いわよね~、前大戦で沢山の命を奪っただけでなく、自分の力にかこつけて友達をしめて婚約者奪ったり、ラクス・クラインと共謀してフリーダム盗んで開発者自殺に追い込んだり、他の人間はゴミと言わんばかりに力を振りまいてやりたい放題よね~♪」
「ぼ……僕は………!!!」

 

パァン!!

 

その時、アリシアの顔の横に銃弾がかする。
「わぉ」
「お前…いい加減にしとけよ、スーパーコーディネイターってなんなのか知らないけど…多分キラさん天然だからいいことしてると思って、自分のやってることがよく解ってないんだよ。」
「シン君!?」
「お前のほうがよっぽど最低だよ、人の悲しんでる顔みて笑ったり、トラウマほじくり返していい気になったり…。」
「………!」
アリシアはシンの指摘を受け、それまでのひょうひょうとした態度とは打って変わって、憎しみが籠った鋭い表情になり、彼を睨みつける。
「母さんを殺したくせに…!勝手な事を!!!」
その瞬間、アリシアの周りに膨大な魔力が放出された。
「これは…。」
「キラさんは下がって、ここからは魔導士の戦いです。」
シンは懐からデスティニーを取り出し、アリシアは腕のグローブを天高々に上げる。
「「セットアッ「はいそこまでー。」
そのとき、アリシアの背後に先日オーブに現れた仮面の少年が現れて、彼女の首根っこを持ち上げた。」
「こ、こらカシェル!!離しなさい!!」
「もう今回のミッションは達成されてるはずですよ、あとこいつらに本名バラさんでくださいよ。」
「本名なんだ…てっきりコードネームかと。」
「あんたも墓穴ほってんじゃん!!」
迂闊さをアリシアに指摘され、カシェルという名の仮面の少年は苦い顔になる。
「ぐっ…!!と、とにかく今回はこれで帰ります!人質には今んとこ無事ですから安心してください!それじゃ!」
「は~な~せ~!」
暴れるアリシアに悪戦苦闘しながらカシェルは何処かに転移していった。
「消えた…。」
「チッ!久し振りに魔法で暴れられると思ったのに…。」
そこに別行動していたルナ達から通信が入る。
『シン、そっちはどうだ?』
「ああ、パイロットは取り逃がしたけど色々解ったことがある、今そっちに…。」
『気を付けろよ、奴らMSに自爆装置を仕掛けている、さっきそれでルナマリアがえらい目に逢っていた、お前も…。』
「ちょ!!そういうことは先に言えー!!!!」
「え!?なになに!?」

 

次の瞬間、放置されていたケンプファーが突如自爆し、爆風がインパルスとフリーダムに襲いかかる。
「どわああああ!!!!!!?」
「うわああああ!!!!!!?」
二人は慌ててコックピットに滑り込み難を逃れる。
「いてて…やってくれるな…。」
「証拠隠滅ってやつだね…抜かりはないってわけだ。」
そしてコックピットの二人は、墜落したアースラの方に視線を向ける。
「とにかく今はリンディさん達を保護しないと…。」
『う、うん…。』
「さっきのキラさんの話…話したくない事なら無理に聞きません。」
『……ありがとう。』

 

二機はブースターをふかし、救出を待つアースラのほうへ飛び立っていった…。

 

どこかにある“時の方舟”のアジト、そこでメガネを掛けた“スターゲイザー”という名の少年は、首領らしき仮面の男に報告を行っていた。
「アリシア様とカシェル様はアースラの破壊に成功したそうです。」
「そうか…ごくろうだったね、“彼”から連絡は?」
「オーブはミネルバ…ザフトと手を組み、そのザフトはセカンドシリーズの残りの四機をすべてミネルバに配備するそうです。」
「そうか……じゃあ僕はそろそろ行くよ、留守は君達に任せるね。人質はくれぐれも丁重に扱うこと、あの5人は…頃合いを見て投入してくれ、別に奪われても構わない。あと忍博士の機嫌を損ねないように、それと“マリアージュ”の生産、急がせすぎないようにね、王様の機嫌も損ねたら大変だ、トレディアも僕の目的に勘付いているみたいだから慎重に。」
「かしこまりました…ご武運を。」
そして仮面の男は何処かへ転移していった。