CCA-Seed_◆wjA9YKZn62 氏_第6話

Last-modified: 2012-09-12 (水) 16:01:24
 
 
 

「なんて事だ…。」
「ただ飛ばされただけじゃなく、異世界とはな…。」
「…。」

 

アムロ達ラー・カイラムの面々はラミアスやベアードから詳細な情報を聞かされた。
転移した先が同じ人間が地球やコロニーで暮らす世界で戦争が行われていて
尚且つ異世界という現実。
アムロ達は似たような世界、いわゆるパラレルワールドに来たような感覚だが、
ラミアス達にとってはこれが現実の世界なのだ。

 

「ブライト大佐…先程はお見苦しい所を見せ申し訳ありませんでした。」
「いや、良いんだラミアス大尉。
事情は分かった…今の情勢では仕方のない流れだったのだろう。」
「俺からも言わせてくれ。
大尉、さっきはすまない…少し威圧的な態度だった。」

 

互いは先程のいざこざを詫び、さらに詳しい情報やアムロ達の世界の話をしていた。

 

「へぇ、レイ大尉もあの坊主のように訓練も無しにMSに乗って、敵を撃破したのか。」
「ああ、今となっては懐かしい思い出だがキラ君を見て、あの時の事が鮮明に蘇るよ。」

 

ムゥはアムロ達の話や一年戦争の話に興味を持ち質問の嵐だった。
アムロ達は互いを理解する為にいくら質問をされても嫌な顔をせずに話ていた。

 

「しっかし、レイ大尉もそうだがブライト大佐も凄いな…
緊急事態だったとはいえ19歳で一隻の艦を任されて最後まで戦い抜くなんて。」
「フラガ大尉、だからさっきから言ってるじゃありませんか。
大尉達は凄い人達だって。」
「まあな。ナチュラルなのにMSを動かせるお前を見た時以上に驚いたぜ。」
「ラミアス艦長や俺も形無しだなこりゃ。」
「ふふ。そうですね。」

 

ムゥやラミアス達が話をしていると
アークエンジェルのクルーから報告が届き談笑していたラミアスの顔が曇る。

 

「どうした?大尉?」
「はぁー…。コロニー内の避難はほぼ100%完了しているということですが、
さっきので警報レベルは9に上がったそうです。」
「?てことはシェルターは、完全にロックされちまったって訳か。
あー、けどそれじゃぁ、あのガキどもはどうすんだ?」

 

ラミアスの表情を見て、ブライト達は報告の内容を聞き、
ムゥはラミアスの表情が曇った理由に気付きキラやサイ達の今後についての話になる。

 

「え?」
「もう、どっか探して放り込むって訳にも、いかないじゃないの。」
「彼らは、軍の機密を見たため、ラミアス大尉が拘束されたのです。このまま解放するわけには…。」
「じゃぁ、今だって荷の積み込みだの手伝わせてるのに脱出にも付き合ってもらうってのか?
ここを出てきゃ、ド派手な戦闘になるぞ?」

 

ナタルはムゥに言葉の意味を聞きムゥが説明するが、
軍人肌の女性であるナタルは解放には反対しているようだった。
しかし、ムゥの懸念は機密云々よりも子供達を危機に晒す事が重大だと感じていた。

 

「…子供達の問題もあるし…大佐は…これからどうするおつもりですか?」
「いや…分からんな。
クルー達とも話をせねばならんが、こんな戦艦やMSが下手に動く訳にもいかないだろう?」

 

ラミアスはキラ達の処遇を考えと同時にブライトへ今後、どうするかを問うがまだ迷っているようだった。

 

「…しかし、艦長…この状態ではいつかは物資も底を尽きます。
かといってこのコロニーに留まる事になれば危険にさらされます。」
「そうだな…ザフトは俺たちを敵とみなして攻撃をしてきた。
それに運の悪い事に、さっきの戦闘でジオン兵と交戦した。
ライデンとか言う兵士の言い方を考えればシャアがこの世界にいるのかもしれない。」

 

メランとアムロは考えるブライトへ進言する。
そしてラミアスが一つの提案をするのであった。

 

「では、私から提案があるのですが?」
「提案?」
「はい。ブライト大佐には我々アークエンジェルの護衛をお願い出来ないでしょうか?」
「艦長!!お言葉ですが、転移者に関する扱いは必ず連合議会の承認が必要です!
それを許可無しに軍事利用する事は軍規に反します!」

 

ラミアスの提案にナタルがいち早く反応する。

 

「ナタル少尉、落ち着いて。
表向きは我々が大佐達を保護しているとすれば良いはず。
その後はハルバートン提督の艦隊に合流し、引き継げば問題無いはずよ?
ましてやザフト側にはジオンという、ブライト大佐達のかつての敵対勢力もいると分かったのですから。
少ないながらも敵の情報を持つ重要な方達よ?」
「…しかし…」
「俺は良い考えだと思うけどな。
話を聞いてる限りじゃ、あちらの世界じゃブライト大佐やレイ大尉は最強の艦長とパイロットみたいだしな。そうだろ、ベアード?」
「それどころか、生きる伝説みたいな方達ですよ。」

 

ナタルに宥めるように説明するラミアスにナタルは少し納得がいかないようだったが
ムゥは乗り気であり、転移者であるベアードはむしろ共に行動する事を望み楽しみにしていた。

 

「…ラミアス大尉。それは我々が連合軍に協力する前提の話になっているようだが?」
「はい…失礼とご無理は承知での提案です。
しかしこれは大佐達の艦を守る事にも繋がるかと思います。」
「……。」

 

提案に対してブライトはラミアスへ質問するが、ラミアスは毅然とした態度で話を進め、
ブライトは考え出すがあと一押しという空気が流れていた。

 

「はははっ。ブライト、どうやら彼女が一枚上手みたいだ。
アークエンジェルのクルーは下士官ばかりだ。
それに俺達の昔の境遇とどこか似ているんだ…悩んでいても放ってはおけないんじゃないか?」
「ああ……そうだな。分かった、ラミアス大尉。目的地まで君達に協力しよう。」

 

アムロの援護射撃により、考えは固まったブライトはラミアスに協力を受諾した。

 

「先程のキラ君達の件については我々がいるから安心してくれ。
本人が望まぬ限りはなるべく参加させたくはないしな。」
「大佐……ありがとうございます。」

 

ラミアスはほっとした表情で敬礼をした。
こうしてアークエンジェルとラー・カイラムの運命の戦いが始まるのであった。

 

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