CCA_507 ◆Bm82Mk3J2Y氏_第2話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 18:13:04

C・E73年。
異世界に飛ばされたアムロとジュドーは、ザフト軍MS「デスティニー」、「レジェント」
と接触、戦闘に入っていた。逃げ切ろうとするアムロとジュドー、それを追うシンとレイ。
2つの世界のガンダムが今、激突する。

 
 

―第2話「Gather way」―

 
 

「くっそぉ!!何で当たんないんだよ!?」
シンは呻いた。
丸腰に近い相手に戦いを互角に持ち込まれたからだ。
ライフルを撃っても、相手は全弾避けていく。
いつまでも当たらない攻撃を打っても埒が明かない。
思い切ってビームブーメランを投げた。
ようやく攻撃が当たったが、それでもνの肩口にわずかな損傷を与えただけでしかなかった。
一方、レイのほうはシンに比べ多少マシな状況ではあった。
宇宙世紀の人々ほどではないが、レイにはニュータイプ能力の片鱗が備わっていたからである。
巧みに攻撃をかわし、ジュドーのZを幾度も牽制する。
「このパイロット・・・多少は骨のある奴だな!」
ジュドーは呻いた。
歴代のガンダムパイロットの中でも高いニュータイプ能力を持つジュドーがこう評するほどレイは奮闘していたのだった。
「チッ!」
ドラグーンのオールレンジ攻撃さえかすりもさせない敵の反応速度は、おそらくフリーダムのパイロットである「キラ・ヤマト」をすら遥かに越えるだろう。
だがレジェントはドラグーンでの攻撃だけが特徴ではない。
「接近戦を挑む!」
ビーム・サーベルを保持して、Zに斬りかかる。
が、そこで敵は予想外の行動を取った。
なんとサーベルをサーベルで受け止めたのだ。
「何!?サーベルがパワー負けしているだと!?馬鹿な!!」
(レジェントがパワーで負けている。
核エンジンを搭載したMSがパワー負けしているという事は、敵はそれ以上の出力のエンジンを積んでいるということだろう・・・
それ以上の出力を持つのは核融合炉だけ…まさか!?)
レイはすぐさま結論を導き出した。
『敵は小型化された核融合炉を積んでいる』
レイは自らが出したその結論に凍りつくような思いがした。
これはザフト軍の技術面のアドバンゲージが失われたことを示している。
小型の核融合エンジンが実用化されていて、それがMSに搭載されているのはザフト軍、いや現在存在するすべての勢力の技術を遥かに凌ぐ物だ。
「ありえない・・・いや、あってはならないッ!!」
レジェントはふたたびドラグーンで攻撃を仕掛ける。その集中砲火でZを追い詰める。
Zのジュドーは苦戦を強いられていた。
「くっそぉ、うっとうしいんだよ!ビットは!」
ジュドーはドラグーンを「ビット」と言った。
ファンネルというのは、キュベレイに搭載されているような小型の物か、
(ジュドーはまだ知らないが)アムロのνガンダムやその完成型のHI―νガンダムのフィン・ファンネルのような物を差す。
レジェントのそれは昔、一年戦争中に使われたジオンのモビルアーマー「エルメス」が使ったファンネルの雛形である「ビット」に類似していた。
そのためにジュドーは、ドラグーンをビットと誤認したのだろう。
「ここで奴らを逃せばプラントは・・・!逃がすわけにはいかない!」
レイは攻撃の手を休めず、なおもドラグーンの攻撃を続けた。
「こうなったらサーベルで斬りおとしてやる!…そこだ!!」
ジュドーはドラグーンの機動を見切った上で、サーベルで全てを叩き落とした。
それはレイには神業に見えた。
「―な、なにっ!?味な真似を…くっ!」
レイは思わず苦悶の声を発した。
ジュドーはその一瞬の隙を見逃さず、Zのビーム・サーベルでレジェントの片腕を斬りおとす。
それを目撃したシンは激怒し、SEEDを発動させた。
「レ、レイ!…くっそぉぉぉぉ!よくもレイをぉぉぉぉ!!」
怒りの感情に流されるままに対艦刀を目の前にいるνガンダムに振り下ろす。
―これで終わりだ!!
シンは勝利を確信し、笑みを浮かべる。
しかし次の瞬間、対艦刀はνガンダムの右腕で受け止められた。
奇しくもνガンダムの装甲材である「ガンダリウム合金」の堅牢さがここで役に立ったのだ。
νのコックピットでアムロは思わず安堵のため息をついていた。
「意外なところで装甲が役に立ったな…しかしあのガンダム、どこの所属だ?まさかティターンズの残党か?」
アムロは目の前に立ちふさがるガンダムがどこの所属なのか気になっていた。
ガンダムタイプは連邦の象徴である。ジオン系の組織は絶対にガンダムを作ろうとしない。
混乱に乗じて新しい国家が出来たわけでもないだろうし、ティターンズの残党がこの時代まで生き残っている筈はない。
疑問は深くなる一方であった。
「こいつ、受け止めやがった!?嘘だろ!?」
シンはデスティニーの対艦刀が敵に受け止められたことに動揺した。
―片腕で防いでいるなんて、コイツの装甲はいったいどういう金属なんだよ・・・!
PS装甲ならばビームに弱いはずである。それがどうだ。ブーメランが当たってもたいした傷をつけられないではない。
ただの金属にしては強靭すぎる。MS用の装甲材でも、ここまで硬い金属は無いはずだ。
シンは全パワーをνにぶつけるつもりでフットぺダルを踏み込み、対艦刀を持つ腕の力を強める。だが、動かない。
対艦刀の出力を最大にしても、スラスターを最大出力にしても相手を押し返せないのだ。
「どういうことだよ、これは!?…うわあっ!?」
動きを止めたデスティニーのわき腹にνガンダムの左フックが綺麗に決まる。
思わぬ方向からの衝撃にコックピットは激震に襲われる。
シンはその横殴りの衝撃に耐え切れず、手をコントロールスティックから放してしまう。
アムロはデスティニーの力が弱まったのを感じ取ると、νガンダムの右足でもう一撃加える。
やはりMS同士の肉弾戦では、アムロに一日の長があった。

 
 

ちなみに両機のスペックを比較すると、格闘戦で発揮できる敏捷性はニューのほうが優れているもの、抗し難いほどの差は無い。
コズミック・イラのMSはフレームと装甲が分かれている、所謂「ムーバフルフレーム」方式を当初から採用している。
運動性能の面で見れば「デラーズ紛争」時の技術水準には到達しているが、PS装甲は装甲の耐久性能を向上させる代わりに、機体の総重量を増加させてしまう。
現にデスティニーの本体重量はほぼ80tに達しており、νガンダムの27tのほぼ3倍の重さだ。重量の違いは運動性の差となって現れる。
νガンダムはガンダリウムγ(U・C0093モデル)を装甲材に用いているため、量産機とは一線を画した驚異的な運動性を発揮できる。
それがνガンダムに当代屈指の機動性を与えているのだ。
「そんな間合いの詰め方では!!」
アムロはνガンダムの運動性をフル活用した。デスティニーにまわし蹴りを加えて、引き離す。
そしておもむろにビーム・サーベルを振るい、デスティニーの左腕をビームシールドごと切り裂く。
それは史実で言えばU・C0093から40年後のU・C130年代にシーブック・アノー
がクロスボーンガンダムでやってのけた戦術だ。
「シールドごと腕を!?そんな!?」
「シン、落ち着け!まだ右が残っているだろう!」
「そうだ!まだ終わっちゃいない!!」
デスティニーの残った右腕で武装を腰から引き出し、狙いをつける。
ロックオンと同時に、シンはコントロールスティックのトリガーを押し込んだ。

 
 

砲身から眩いばかりの光芒が発しられ、ビームが発射される。
アムロはすぐさま反応し、華麗な機動でビーム砲の砲撃を回避した。
―ちぃ!このままじゃまずい・・・
「ジュドー、なんとかして振り切るんだ!このままではいずれ落とされるぞ!」
「わかってるよ!」
2機はレジェントのビームの弾幕を避けながら、スラスターを吹かす。
それを逃すまいと、レイは残った武装で弾幕をはる。
「ツ・・・ミネルバ!インパルスはまだか!?2機だけでは抑え切れんぞ!」
「今、発進しました。あと2、3分でそちらに到着します!」
「了解した。」
レイはミネルバに増援が来るか確認し通信を切り、増援が来るまで足止めをすべく弾幕を一層激しくした。
「ん・・・この感覚・・・。ジュドー、3機目が来るぞ!注意しろ。」
「了解!」
アムロは戦場にやって来る新たな「気配」を感じ取り、ジュドーに注意を促しつつ、敵から距離を取った。

 

ミネルバは何故、インパルスまでも投入したのか。
そのことは後の記録だと、デスティニーとレジェントをもってしても一向に好転しない状況に艦長の「タリア・グラディス」がインパルスを投入することで打開を図ったのだと記憶されている。
だが実際は未知のMSであったZとνを捕獲したがった議長の指示だとも言われているが、この当時の資料や記録、報告書などのすべての資料はザフト軍が隠蔽してしまったので、真偽は不明とされている。

 

フォースインパルスが戦場に到着し、Zにライフルを乱射する。
ジュドーはこの3機目にある感覚を覚えた。それは「迷い」だ。
「ン・・・なんだこのパイロット・・・迷いをもっているのか?」
この時期、インパルスのパイロットのルナマリアはザフト軍で戦うこと、自分が戦う為の大義名分に疑問を抱き始めていた。
議長の言う事は確かに正しい。だが、戦争は一方的な正義や悪と言う考えで片付くほど単純な物でないことも彼女はよく知っていた。
―議長は本当に正しいのだろうか?
彼女の心には迷いが生じていた。それをジュドーは敏感に感知したのだ。
「うん?動きが遅いな・・・旧式か?それともパイロットが不慣れなのかな?」
インパルスの動きはデスティニーなどと比べれば、旧式かと思いたくなるような挙動だった。
実際、ライフルのビームもそれほど高い威力ではなく、装甲で相殺できるほどだ。
ジュドーはZガンダムをインパルスに神速の速さで肉薄させた。
「そんな腕でZに勝てると思うなよ!」
右腕に保持しているビーム・サーベルをインパルスに振り下ろす。
インパルスはシールドで受け止めようとした。
その行動はC・Eでは正しいが、相手がZガンダムではその常識は通じなかった。
「きゃあああああ!!」
シールドごと腕を斬りおとされ、そのままの勢いで上半身と下半身を両断される。
インパルスのコックピット内の計器はブラックアウトし、モニターも消えた。
そこにジュドーが通信をかける。
「脱出しろ!!そのガンダムはもう死に体だ!!」
通信の声に言われるままにルナマリアは機能停止直前のインパルスのコンソールを操作する。
コアスプレンダーは起動しなかった。
さっきの攻撃でフレームそのものが歪んだらしい。
「コアスプレンダーはだめ!?くっ、ハッチを強制開放・・・!」
ハッチが開け放たれ、そこから勢いよく脱出する。
その瞬間、インパルスは爆砕した。
その衝撃でルナマリアの身体は吹き飛ばされる。
それをジュドーがZの腕で受け止めた。
「パイロットか・・・。アムロさん、敵のガンダムのパイロットを一人救出した。
Zじゃ乗せられないからアムロさんのガンダムに乗せていい?」
「ОKだ。今行く。」
アムロはνガンダムの指に装備されているダミーバルーンを発射し、敵の注意を逸らす。
その隙にZから敵のパイロットを受け取り、νガンダムのコックピットの後部座席に乗せる。
νを再起動させると、レーダーに反応があることに気付いた。
「この反応はジェガンか!ジュドー、味方だぞ!」
「本当か!」
戦場に現れたのは地球連邦軍量産型MSである、RGM-89「ジェガン」だった。
U・C0093当時の連邦軍量産機では、屈指の高性能を誇るMSである。
その外観はストライクダガーやダガーLなどの地球連合軍製MSに類似している。そのため、シン達は『地球連合の新型』と誤認してしまった。
「あれはダガー・・・?新型のようだが・・・くっ!」
ジェガンの2機編隊がビーム・ライフルの弾幕を張り、νとZを援護する。
「大尉、ここは自分達が引きつけます!大尉はラー・カイラムに帰還を!」
ジェガンの小隊の隊長機から通信が入る。
アムロはそれに答える。
「了解した!
ジュドー、離脱するぞ!」
「了解!!」
ジェガンの援護を受けつつ、アムロとジュドーは機体を戦場から離脱させた。

 
 

「ま・・・負けた・・・のか」
シンは敗北感に打ちのめされていた。
ザフト最強であり、一度はフリーダムを落とした自分が、どこの馬の骨とも知れぬMSに負けた。
それがシンの自尊心を激しく傷つけた。
ーその上、自分はルナを守れなかった。
出来なかったのだ。何も、何も・・・。
敵を倒す事も、仲間を守る事も。
シンは呆然としていたがやがて、コックピットのコンソールに拳を打ち付けて絶叫した。
「くそ・・・くっそォォォォォォォォ!!」
その叫びは2年前に家族を失った時と同じ、慟哭の叫びだった。

 
 

3日後

 

月面 フォンブラウン市内 アナハイムエレクトロニクス管轄ドック

 

「ブライト、やはり連邦やコロニーとの連絡は出来ないのか?」
アムロは自分の隣りにいる―長年の戦友―「ブライト・ノア」に聞いた。
「駄目だ。どのコロニーも連邦軍もまるで反応無しだ。何とか連絡がついたのはこのフォンブラウンだけだった。それで急遽、ここに寄港したわけだ。
それと、アナハイムからお前のガンダムの修理とZガンダムの近代化改修はあと2日で終わると通達が来ている。
MSの補給だが、エゥーゴ時代に開発されたまま、秘匿されていたガンダムタイプを何機か送ってきたよ。連邦政府にばれたら大事だが。」
「ガンダムタイプか。たしかに上層部に知られたら大変だが、この事態に対処するのにはいいかもしれん。ジュドーのことはどうする?」
「ジュドーには便宜上、ロンド・ベルに入ってもらう。身分はこれで保証できる。」
「そうか。だけどアイツ、そう簡単に了承してくれるかな?」
「わからんが、聞いてみるしかないだろう。」
そこへ兵士がやってきて報告してきた。
「大尉!」
「何か?」
「ハッ、3日前にアムロ大尉が収容した所属不明機のパイロットですが、ついさっき目覚めました。」
「わかった。彼女から何か聞けるだろう。俺が直接行って話してくる。」
「了解しました。」
アムロはブライトと別れて、ラー・カイラムの医務室に向かった。

 
 

―ラー・カイラム医務室
「う…こ…!?」
ルナマリアは自分がどこかの医務室のベットに寝かされていたことに驚き、飛び起きた。
「お目覚めかね?」
「こ、ここは…?」
「戦艦「ラー・カイラム」の医務室だ。君は3日間も寝ていたんだよ。」
「み、3日間も!?」
ルナマリアは驚きの声を出していた。コーディネーターである彼女さえ3日間も寝込んでいたということはそうそう凄い疲労がたまっていたのだろう。
―ラー・カイラム?そんな名前の船、プラントにあったかしら・・・。
そこでルナマリアはある結論に達した。覚えている限りの記憶を辿ってみると、インパルスが爆発した後、あの所属不明機のほうに流されていた。
考えられることは1つしかない。
自分は捕虜になったのだ。それもどこの所属かもわからない船の。しかし普通、捕虜を拘束もしないだろうか?
「なんで私を拘束しないんですか?捕虜なのに・・・。」
「君の身体の治療のほうが先決だよ。それに捕虜だからって拘束する必要はない。」
(連合軍にしては変だわ。制服は似てるけども、どことなく違う・・・。)
そう。地球連邦軍の制服は連合軍のそれに似ているが、本来の「軍服」の色をしている。
「君にはこの状況を説明してもらう。何せ連邦政府やコロニーへの通信が一切通じないのだ。状況がどうなっているのか理解しないで動くのは危険だからな。
もうすぐ我が隊のMS隊の隊長が来られる。彼によく説明してくれ。」
―'連邦'政府?何を言っているの・・・地球'連合'じゃないの?それにコロニーとの通信が出来ないですって?どういうことなの?
タイミングよくそこにドアを叩く音が響いた。
「・・・はい」
ドアから現れたのはずいぶん人当たりのよい、優しそうな男性だった。
恐ろしい人じゃなさそうで良かった、と胸をひそかに撫で下ろす。
「やあ、元気になってなによりだ。…おっと、自己紹介が遅れたね。俺は「アムロ・レイ」。地球連邦軍の大尉だ。よろしく」
その人のよさそうな男性「アムロ大尉」ニコッと笑って握手を求めてきた。
一瞬と惑ったが、自分もその手を握り返す。
暖かく大きくて、なんだか安心感が広がっていくのを感じた。
この人は信じられる、そんな気がした。
「ザフト軍 ミネルバ所属、ルナマリア・ホークです。あのアムロ大尉・・・でよろしいんですよね?
さっきから'連邦、'連邦って・・・地球'連合の間違いじゃないんですか?」
「…!どういうことだい?地球連合と言うのは存在しない。地球'連邦'ならあるが」
「え?」
この一言がきっかけとなって、アムロとルナマリアは情報を交換しあった。
そうしてゆく内に、アムロは理解した。
自分達は別の世界に居ることを。
「別の世界に来てしまったというのか・・・?何故・・・?」
ルナマリアの言葉が正しければ、自分達は別の世界にいるということになる。
それも自分の世界の兵器ごとだ。
―ガンダムでこの世界の状況を打開しろというのか?無茶な!!国家の軍そのものに真っ向から挑むなんてできやしない。
ティターンズだってそうやって敗北していったんだぞ!?
かつてのティターンズは、一部の残存兵がニューディサイズのような活動をした部隊も少なくなかったが、すべて連邦正規軍に鎮圧されていった。
軍そのものに一部隊で戦いを挑むのはあまりにも無謀だ。ジオン残党軍のようにまとまった数を持っていれば別だが、いくら性能が優れたMSが小数あっても、物量の攻勢には抗し難い。
そのことはGMが性能で勝るゲルググを数で圧倒していったことで証明されている。
それにロンド・ベルはシャアとの戦いで消耗しており負傷した者を除けば、動けるパイロットは、アムロとジュドーなどごく僅かしかいない。
機体もジェガンは残存数が2個小隊分しかなく、あとは緊急措置として支給された、旧世代機のGMⅢとνとZを含めた小数のガンダムタイプのみしか無い。アムロはそんな事情を思い、ため息を零さずにいられなかった。

 
 

― 月面近くの空域  エターナル 艦橋
「前方のクレーターに都市のような反応が?」
「はい。このクレーターですが、この辺りにはザフトや連合の基地は存在しないはずです。なのに、この反応・・・、都市か基地があるとしか思えません」
「うむ。調べる必要があるな。キラ達に調べさせろ」
「了解!」

 

格納庫からストライク・フリーダムとインフィフト・ジャスティスが発進してゆく。

 

この戦闘でアーク・エンジェルとエターナルは思い知る事になる。
「量産型」MS、その恐怖を。

 
 

―ラー・カイラム 艦橋
「何、また未確認のガンダムタイプだと?」
「ハッ、2機だけですが、変なバックパックらしき物を装備しています。・・・これです」
スクリーンに映し出されたのはストライク・フリーダムとインフィフト・ジャスティスだった。
その姿はデラーズ紛争時のGP03デンドロビウムを想起させるが、違うのはMSがほぼ剥き出しのままドッキングした「強化パーツ」とも取れる形であるところだろう。
「強化パーツか?それにしてはずいぶん大型だな」
「ハッ、見たところ火力とスピードを強化するパーツだと推測できます」
「迎撃に使えるMSは何機だ?」
「ジェガンが2機と旧式のGMⅢだけです。あとはちょうど整備が終わったガンダムMk-Ⅲだけです。あとはだめです」
「頼みの綱はガンダムMk-Ⅲか・・・。アムロとジュドーはジェガンで出るように言え!
mk―Ⅲはぎりぎりまで出すなよ!!」
「了解!!」
「総員、第一種戦闘配備!!ミノフスキー粒子を戦闘濃度に散布!無駄弾を撃つなよ!!」
ブライトの号令でロンド・ベルの全艦が戦闘配備に入る。
MSも発進体制に入る。
まずはGMⅢが4機ほどラー・カイラムとラー・ケイターから発進していく。
第一陣がGMⅢなのは、フリーダムとジャスティスへの威力偵察の為である。

 
 
 

―今、C・Eでのロンド・ベルの長い戦いの幕が開かれようとしていた―

 

ジェガンを駆るアムロとジュドーはC・Eの「歌姫」の率いる艦隊と戦闘に入る。
彼らがそこで見たのは何なのか?

ルナマリアはまだ怪我が治りきっていない身体を押して、ロンド・ベルのガンダムタイプの1つ「ガンダムmk―Ⅲ」で出撃する。
自分のアスランに対する思いを断ち切るために、そして自分の正義を捜し求め貫く為に。

 

―次回、「Z・刻を越えて」