LSD_第09話後編

Last-modified: 2008-05-04 (日) 06:25:25

 魔力を放出しはじめ、数分たったところで突然、光球が膨れ上がり負担が増す。
<おい、いきなり負担が増したぞ! ”ドミニオン”も膨れ上がってる! 何が起こったんだ!?>
 オペレーターから帰ってきた答えは、地上本部のエース数名が魔力切れで戦線から離脱したというのだ。
 ふがいない、と一瞬思ったがすぐにその考えを改める。自分達同様彼らもクラナガンの各地でガジェットや見慣れるMAと戦って消耗したのだろう。
<残ったみんな、申し訳ないけどいなくなった人たちの分まで気張ってや!>
<当然!>
<ま、しょうがないよなぁ>
<きついけど……やるしかない!>
<ここで引き下がるわけは、いかない!>
 はやての声にルナ、ディアッカ、フェイト、なのはが、他の皆が声を返す。
 シンも返事を返そうとしたとき、
<──レイッ!>
 フェイトの悲鳴を聞き、シンは視線をシンは親友のいる位置へ向ける。
 向けて、吐血している姿を見て、凍りつく。
「レイ──!」
 光球が一気に膨張する。数倍の威力となった押し返す風と衝撃の壁にシンはさすがに踏みとどまれず、後ろに下がる。他の皆も指定の位置から大きくずれている。
<レイ、レイ!!>
<……そう、騒ぐな。俺は、大丈夫だ>
 帰ってきた念話は彼の状態を表しているかのように、とてもか細い。レイは苦悶の表情で左手で口元を押さえながらも魔力の放出はまったく緩めていない。
<レイ! もういい! 下がるんだ! 後は俺がお前の分まで>
<馬鹿を言うな。先ほどの突風でさらに一人脱落した。その上俺がいなくなればどうなるかわからないはずがないだろう>
 レイは正しい。一人いなくなったことにより光球はさらに大きくなっており、いつ爆発してもおかしくない様子だ。
 仮にレイがいなくなった後、シンが彼の分まで魔力を放出してもとてもではないが時間まで魔力を持たせることなどできない。
<でも、これ以上無理をすれば、レイの体は──>
<すぐに死ぬわけではない。また治療すればいい。今は余計なことは考えるな。すべきことに集中しろ!>
 フェイトに言い放つ、強く、熱い友の言葉を聞きシンはわずかな逡巡の後、口をつぐみ魔力の放出に集中する。
 しかしさすがに数名の脱落は予想外の負担を強いる。爆発こそ押さえ込んでいるものの光球はわずかに膨張を続け、周囲への圧力も強まっている。
 だがそれでも懸命に魔力を放ち、押さえ込むシン達。徐々に光球は収縮していき、光や圧力も弱まり始める。

 

「くそ……まだ、な、のか、よぉ……!」
 すでに一時間以上放出しているような錯覚をシンは覚え、呻く。そこへオペレーターから残り一分と知らせが入ってくる。
──後一分!
 安堵の息を漏らさず、さらに気合を入れてシンは魔力を出し続ける。
 ──その直後、突然光球が今までで最大の大きさに膨れ上がる。
<なっ──!?>
 いったい何が起こった!? そう思うと同時聞こえてくる叫び。
「───!」
<レイ!>
<レイ君!!>
 脳裏に響くフェイトとなのはの声。視線の先にレイの姿はない。下を見れば陸士服のレイが落下している。
 助けにおこうと反射的に思うが、先ほどのレイの言葉がそれを押しとどめる。代わりにシンはこう叫ぶ。
<救護班! レイが脱落した! 気を失っているのか騎士甲冑も解除してる! 早く助けるんだ!>
 叫び、シンは光球を睨むと左手を突き出し、魔力を放出する。
「ここまで来て爆発なんか、させるかぁ!!」
 倍の放出。しかしそれでも光球の大きさは下に戻る様子は見せない。それどころか脈動が激しくなり始める。
「おああぁあぁぁぁあああっ───!!!」
 もはや後先考えずシンは魔力を出し続ける。しかし、それでも光球の膨張と脈動は、止まらない。
──駄目だ! このままじゃ爆発する!
 最悪の未来を予見したそのとき、さらに追い討ちをかけるがごとく、放出する魔力の勢いが急激に衰えだす。
「な!? 魔力切れ!?」
 叫んだと同時に、体内の魔力がほぼなくなっていたことを自覚する。耐えられない脱力と疲労が襲い、姿勢を崩してしまう。
<光球が──!>
 絶望に染まったはやての声で顔を上げると、眼前にはもう爆発寸前の光球──”ドミニオン”の姿。
「くそおおおおっっ!!」
 力を尽くしたのに報われぬ現実、また大切なものを守れない無念、悲しみ。それらすべてが混じった叫びをシンが放ったとき、
「諦めるなっ!」
 それを打ち消すような力強い声が響く。そしてその直後、突如光球に二束の魔力の奔流が激突。
 瞬く間に光球の膨張を抑えてしまう。
 突然光球を押さえ込んだ魔力よりも、シンはここにいない、いるはずのない人物の声を聞き驚きのまま後ろを振り返る。

 

「──アスラン!?」
 後ろには騎士甲冑をまとい、青白い顔──しかし覇気に満ちた──をしたアスランがいる。
「最後まで力を尽くせ、シン!」
 表に表れる真っ直ぐで揺るぎない意思の強さ。それは出会ったときよりも、三年前よりもさらに雄雄しく輝いて見える。
 いくつもの苦難、苦闘を乗り越えて鍛え上げられた男の顔。
「……ああ!」
 それを見て、シンは負けられないと思い、体に残ったわずかな魔力を収束。
「これで──」
『終わりだぁぁぁ!!』
 重なる二人の声と魔力の奔流。二束の赤紫の魔力に螺旋を描いて真紅の奔流が加わり、光球に激突。
 瞬間、周囲が白一色に染まり、空気を破るような大音響と暴風が吹き荒れた。
 最後の放出で力を使い果たしたシンは糸の切れた凧のようになすすべなく吹き飛ばされるが、
「シンッ」
 誰かが飛ばされるシンを受け止める。ゆっくり、瞼を開けると視界に入ったのはシンの腕をつかんでいる黒の翼を生やした空色の瞳を持つ女性。
「はや、て。どう……なった?」
 はやては管理局の陸士制服に戻ったシンの左腕を自分の首に回し、腰を右手でつかむ。肩を貸すような体勢になってから、はやては微笑して、頷く。
「作戦は、成功した。クラナガンは無事や」
 その言葉を聞き、シンはしばらく呆然として、大きく安堵の息を漏らす。
「よかった……」
 シンを支えながら、近くのビルの屋上へ降下するはやて。着地すると同時、シンは腰を落とし、はやてもまたへたり込んで、リインとのユニゾンを解除する。
 疲労のためか、しばらく顔を下に向けていたがある程度回復してきたところでシンはゆっくりと顔を上げる。
 視界に入るのは無事な姿の──場所場所では煙が上がったりしているが──クラナガンだ。
 しばらく呆然とそれを眺めていると、ルナとディアッカに担がれたアスランがこちらにやってくる。
 ルナたちも疲労の濃い表情だが、アスランは青白さに疲労が加わってひどい表情だ。
 ビルに着地するとルナが口うるさくアスランに説教を始めた。
「アスランさん、怒られとるなぁ。まぁ当然といえば、当然か」
 小さく笑うはやて。
「でも彼が助けにきてくれへんかったら、私達こうして無事にいられんかったもしれん。そう考えると、複雑や」

 

 確かにはやての言うとおりだ。爆発寸前まで膨張した光球を押さえ込めたのはアスランの助力があってのこと。
 彼の言葉がなければシンも最後の一撃を放つことはできなかっただろう。
 悔しいが、本当に悔しいが、いつもいつも彼の言葉はシンの胸を打つ。

 

 はやてと二人でしばしアスランたちを見ていると、こちらの視線に気がついたのか三人が近づいてくる。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
「ええ。しんどかったけど、無事成功してよかったわ」
「まったくやってくれるぜアズラエルの奴は。助けず”ドミニオン”ごと吹き飛ばしても、よかったんじゃないのか?」
「そう言うな。いくら犯罪者とは言えそういうわけにもいかない。法の裁きを受けて、罪を償ってもらえばいい」
 ふとアスランと目が合う。彼は微笑して、
「よくやったなシン」
「……当然、だろ」
 労いの言葉だとわかっているのだが、どうにも素直に返すことができない。アスランは気にした風もなく、微笑を浮かべたまま、続ける。
「作戦は成功した。地上本部にクラナガンは消えずにすんだし、レイやシグナム、ヴィータも救護班に助けられた。俺達も、六課の皆も大きなけが人も死者もいない」
 一息つき、アスランは言う。
「よかった。──皆が無事で」
「……無事」
「ああ。ここにいるすべての人間が力を尽くした結果だ」
「無事、なのか」
 なんとなく顔を横に動かすとはやてとリインの姿が映る。
「? シン?」
「な、なんですか?」
 さらにぐるりと周囲を見渡す。隣のビルには自分達同様へたりこんでいる地上本部のエースや、なのは、フェイトの姿がある。
 彼女らも疲れきった表情だが、その顔には笑みが浮かんでいる。
 誰もいなくなっていない。死んでいない。作戦が成功したのだから当然の結果なのだが、その事実がシンの胸に染み込む。
「シン。どうしたん!?」
「…え、何が?」
「何って、 泣いてますよ?」
「……え」
 言われ顔に手をやると、雫が手のひらをぬらしている。周囲の視界がぼんやりとぼやけはじめる。
 流れる涙を、シンは拭わず手を顔に当てて伏せる。どうして泣いているのか、その理由はすぐに理解できた。
 その理由が、思いが、自然と口からこぼれる。
「……れたから」
「え?」
「皆無事だったから。クラナガンを、守れたから。誰も、何も。失わなかった、から」

 

 爆発寸前の“ドミニオン”を前に感じた、また大切なものを守れない絶望と悔しさ。
 それを覆せた。皆を、クラナガンを守れた。それを本当の意味で今、シンは実感し、安堵と歓喜で胸がいっぱいになり、静かに涙を流す。
 ふと誰かが頭に手を置き、なだめるように優しくなでる。視線を向ければ慈愛の表情を浮かべたはやてが見える。
「お疲れ様や。シン」
 シンは何も言わず、撫でられ続ける。不思議と羞恥は感じない。撫でられる感触は暖かく、心地いい。
 涙が止まるまで、シンは静かに泣き続け、撫でられ続けた。

 
 
 

「ほんなら、起動六課設立記念アーンドお別れパーティ、始めるとしよか!」
 明るいはやての宣言でいっせいに紙コップが掲げられ、始まるパーティ。
 六課のメンバーに設立にかかわった者達──ハラオウン、ナカジマ親子など──含め、二十数名ほどの人が各々談笑したり、用意された食事に舌鼓を打っている。
 はやて達や他の皆とある程度話し、腹を満たしたシンは皆に気づかれぬようそっと離れる。
「ふぅ……」
 背伸びをしながらゆっくりと歩く。体に当たる風はわずかな冷たさと爽快感を感じる。
 周囲には紅に染まった木々が立ち並んでいる。風に煽られ紅の紅葉は音もなく緑の大地へ降り注ぐ。
 地に落ちた紅葉を広い、シンは言う。
「はやての言っていた通り、見事に真っ赤だな」
 ここはミッド南部にある自然公園のひとつだ。秋の近い今の季節、周りより紅葉が早い場所らしく、ここをパーティ会場に選んだのだという。
 周囲にはちらほら、家族連れの姿も見える。テントを張る大人に食事の用意をする母親と娘、木々の間ではしゃぐ子供。
「……平和だな」
 つい数週間前にミッド首都存亡の危機が訪れたことを、微塵も感じさせないのどかさだ。
 思わずシンは欠伸。周囲を見渡し、寝心地のよさそうな芝生を見つける。
 寝転がり、目を閉じる。眠りに落ちようとするシンの脳裏に、あの後のことが反芻させる。
 『M・A事件』と名づけられた事件。首謀者であるムルタ・アズラエルは管理局に捕縛され、現在裁判中。
 その辺の話を少しフェイトに聞いているが、このままいけばもう檻の中から出てくることはないらしい。CEでの数々の悪行に今回の事件の首謀者、さらには捕まえたことによりさらに多くの、非道な行いが明らかにさせたせいだという。また捕まえたクローン達は管理局の更生施設に、アッシュ・グレイはアズラエル同様、檻の中だ。
 もう一人の首謀者、フェイトが長年追っているジェイル・スカリエッティはまだ見つかっていないという。アズラエルの逮捕で一応事件に一区切りつけるようでまた彼には新しい罪状が加わったことになる。

 

 シンとしてはなんとしても見つけ、捕まえたかったのだが、そうなる以上仕方がない、と割り切った。彼についてはフェイト、そして執務官になるレイに任せるつもりだ。いつかきっと、あの二人のどちらかが捕まえるだろう。根拠もないが、そう思う。
 そのレイだが魔力の放出で吐血し、搬送されたがテロメアそのものには大きな変化はなく、いきなりの大魔力行使に体がついていかなかったのが原因だったらしい。
 今では見事に完治し、数日中には管理局の次元航行部隊所属の艦船”クラウディア”──クロノの艦に執務間候補として乗る予定だ。
 他の皆も、今は自分のいる場所へ戻っていく。起動六課起動は来年の春ごとになるらしい。
 そして、シンは──
「…うわっぷ!?」
 突然顔に何かが降り注ぎ、あわてて飛び起きる。
 見れば髪の毛や体にかかっているのはたくさんの紅葉だ。
「あははははっ」
 笑い声がする。ふと、シンは過去の情景を思い出し、視線を向ける。
 そう、かつてオーブにいたとき、秋にキャンプに行ったときも、マユにやられた──
 視線の先にいたのは当然のことながらマユではない。
「何、するんだよ」
「シンこそ、こんなところで何しとるの」
 泣くほどおかしかったのか、目じりから涙を拭うはやて。
「腹がいっぱいになって眠くなったから、少し休んでただけだ。ここは日当たりもいいしな」
「そか」
 隣に座るはやて。シンは何も言わず、はやても喋らない。
「シン」
「ん?」
 静かに秋風が吹く中、落ちてくる紅葉を眺めてると、はやてが真面目な声で話しかけてくる。
「シンはこの後、どうするん?」
 視線を向ければまっすぐな、しかし心配げな表情だ。
 この数週間、何も言わなかったが、この様子を見る限り気にかけていたようだ。
 本当ならパーティ終了に言おうと思っていたが、今言っても後で言っても同じだろう。そう思い、体を起こして向き合い、言う。
「CEに戻る。そしていまだ荒れているあの世界の建て直しに協力しようと考えてる」
 だけど。といったん言葉を切って、
「CEの軍人としてではなく、管理局員として、な」 
「局員として……?」
「本局武装隊の中に、管理世界治安維持部隊ってのがある。近々管理局はCEにその部隊を送る予定らしい。俺はその部隊に所属するつもりなんだ。もうすでに必要書類は送ってある」
はやては静かに頷き、誰もが思う疑問を問うてくる。
「でもどうしてわざわざ管理局に所属するん? CEに戻ってそのまま統合軍に加わってもいいと思うんやけど」

 

「……大戦の中であいつらがしたこと、それはきっと間違っていない。俺達ザフトや連合とやり方は違っていても同じ目的のために、平和のために戦ったのだから。
 でも、その中で失ったもの、守れなかったものの事を考えると、どうしても納得はできない。戦争だから。敵だったから。どうしようもなかったから。そんな理由で、片付けられない。同じ目的で戦っていたことを考えると、尚更。
 手を取り合うことは、認めることは、できない」
 アスランにルナマリア。かつての敵同士だった二人が、手を取り合う姿をシンは思い出す。
 かつてアスランに抱いていた怒りや敵意はもうない。しかし、そうだからといってすべてを許し、認めるのは別問題だ。
 だが──
「でも、いつか。いつになるのかわからないけど、いつか。それを認めるようにはなりたい。受け止められるような、かつての敵とも手を取り合えるような強さがほしい」
 もしかしたら一生、自分には無理なのかもしれない。だが、だからと言って背を向けるわけにはいかない。戦いを、力を嫌っているアスランがいまだ逃げずに戦っている。アスランだけではない。アスハも、ラクス・クラインも、キラ・ヤマトも。戦争の当事者として、力を持つ者の責務として、大切な人を守るため、平和のために、戦い続けている。現実を受け止め、苦しみ、傷つきながらも逃げずに前に進んでいる。より強く、大きくなって。ならばシンも立ち止っているわけにはいかない。シン・アスカ個人としても、アスラン・ザラに負けるわけにはいかないし、それに、
「守るべきものを守っていくために、俺は戦っていくことを決めたんだ」
戦う理由を思い出した今、大切な人がいるこの世界が平和になるまで、戦い続ける。
そしていつか、アスランと肩を並べ──越える。己の正義にまっすぐに突き進むあの男を。
 しばしの沈黙の後、はやては言う。
「そっか。……シンもいろいろ考えたんやね」
 まるでいつも自分が考えなしに行動しているような言い方にむっとするが、自分が望んでいたものをつい最近まで忘れ、彼女らとの生活や戦いで気づかされたとあっては、返す言葉はない。
 そう、彼女らが思いださせてくれたのだ。自分が本当に何を望んでいるのか。どうして戦っていたのかを。力を求めたのかを。
「さて、あんまり姿が見えんとみんなが心配するやろうし、戻ろか」
 立ち上がり、紅葉を払うはやて。シンも続いて腰を上げる。
 一歩踏み出したところで、何故かはやては振り返る。
「シン」
「なんだ?」
「これから色々と大変やと思うけどがんばってな。応援しとるから」
 いつもの、暖かい笑みを見せて言うはやてに、思わずシンは唖然としてしまう。
──はやての、奴
 これからはやては自分以上に大変だというのに、当たり前のようにその言葉を出す。改めて人としての大きさ、彼女の強さを思い知らされる。

 

 しかしそこに嫉妬はなく、羨望と一抹の不安。
 だから反射的にシンは彼女を呼び止める。
「はやて」
「ん?」
「あ、その、なんだ」
 とっさに言おうとした言葉が、今自分が言う資格などないことなどわかってしまうが、
「お前も、さ。何か俺に力になれることがあったら、遠慮なく言えよ。できるかぎりのことは、するからさ」
 友を、彼女を思う気持ちが言葉をつむぐ。
 ぽかん、と口をあけたはやて。シンは急速に膨れ上がる羞恥を隠そうと早歩きで彼女の横を通り過ぎる。
 と、その足が止められる。恐る恐る振り向けば、
「そっかー。そんなら何かあったら色々頼らせてもらうから、覚悟しといてな」
 いたずらっぽい、しかし嬉しそうな笑みをはやては浮かべている。思わずシンも微笑み返す。
──友を、平穏を、そしてこの笑顔を守るために俺は戦う。戦い続ける──
 内心で改めて誓い、はやてとともに皆の元へ足を向けた。

END

 

(続編)lyrical Seed Destiny~Destiny Striker'S~

 

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