SCA-Seed_19◆rz6mtVgNCI 氏_『先生』救出作戦 Part-3

Last-modified: 2009-03-19 (木) 18:37:10

安全な所に向かっているはずなのに、何故だろう。恐怖を感じるのは。

 

男の中で何か恐怖の感情が膨れ上がる。
もっとも、そんな男の恐怖とは裏腹に、MSは軽快に夜空を切り裂いて飛んでいた。

 

「もうすぐですよ、“先生”。もう直ぐ安全な所に……」

 

そう少女が言った、その時だった。

 

不意に通信機が強制的に立ち上がる。

 

『安全な所なんて無いっスよ、“先生”!!』

 

「えっ!? ま、まさかっ!?」

 

少女が驚きの声を上げるのと同時に、三人の乗っていたMSに巨大な衝撃が走る。

 

それは、通常のMSをはるかに超えたサイズの拳による攻撃であった。
こんなシロモノはアレしかない。
だが、先ほどの声は!?
“先生”の脳裏に疑問が走るよりも早く、その巨大すぎる人型兵器よりハイテンションな声が響く。

 

『くーくっくっくっくっく、はーはっはっはっはっは、お嬢様から借りてきたコレは凄いっすね。
 私でも操縦できるッスよ』

 

その巨大MSの中で金色のポニーテイルの少女は狂ったように笑っていた。

 
 

そう、確かに凄かった。
これなら新たな世界でヒロインになれる。
そう思えるほどの性能だ。

 

だが、決して乗りたくは無かった。
自分には適性がある。そういわれたとき彼女は反射的に拒絶した。

 

適性なんて無い。自分はそんな人間じゃない、未来があるんだと。
だが、突然現れたスーツ姿の少女は冷たく言い放つ。

 

 貴方と私はよく似ていると

 

そして、現実は無情だった。
簡単な適性審査で、ピッタリと一致してしまったのだ。

 

 胸のあたりのサイズが……。

 

 むしろ負けていた気がする……。

 

金色のシッポの少女は世界を呪った。
そして、その世界を少しでも良くする為に、お嬢様に協力する事を決意したのだ。

 
 

漆黒の巨大MSの放つビームをかわしながら、少女もドラグーンを切り離して反撃を試みるものの、
強力な防御力と攻撃力、それに嫉妬力の前にドラグーン自体が叩き落とされてゆく……。

 

「こんな事をしても何も変わらないわよ!! 自分を認めなきゃだめよっ!! やめなさいっ!」

 

『止められないッス。そう、私の同類のために!! 
 持たざる者でも生きていける世界のために、“先生”を返すッス!!』

 
 

 二人の少女の叫びが、戦場に交差した。