SEED-クレしん_18-071_04

Last-modified: 2010-12-05 (日) 14:20:35
 

ソレスタルビーイングの長い一日 【その4】

 
 

「いやあああああ!銃撃たないでくださいいいい!許してくださいですぅ~!」
「ま、まいったわね……」

 

 私は自分でも大袈裟すぎるんじゃないかしら?というくらいに取り乱していました。
 だって……そりゃあ私も戦争に身を置いていましたよ?でも、直接人から銃を向けられたことはあれが初めてですし……
 とにかくあの時のことを思い出すともう怖くて怖くて……ほんとトラウマになってたんだと思います……

 

「私じゃ説得は無理か……ね、ねえシン君にしんのすけ君、君たちでちょっとミレイナを言い聞かせてほしいの」
「え!い、いや俺じゃ無理なんじゃないかなあ……この人とは面識もない赤の他人ですし……」
「まあまあ。そう焦らずとも間もなく救世主が現れるから~♪そう心配しなさんな~」
「救世主……?ねえ、さっきから言ってるけどそれは一体……」

 

 もうダメ。頭がどうかなりそう。ノリエガさんには悪いけど私もうおうち帰りたいですぅ!
 ほんと恐怖と混乱で気を失う寸前に……その声は聞こえました。

 

「おいロックオン!なんだこの収支報告書は!」

 

 ……え?

 

「備品の補充代やその他諸々を考慮しても収益の計算がまったく合わない!どうなっているのだこれは!」
「いやー悪いなティエリア。溜まってた店の会計仕事やってもらって」
「そんなことは聞いてない!どういうことだと聞いている!」
「いいじゃないか~人生気軽にいこうぜ気軽にさ~」
「ぐっ……やはり兄弟か。最近弟(ライル)に似てきたな!」
「いやぁ~それほどでも~」
「誉めてないっ!どうせまた黙ってレジから持ち出してゲーセンにでも行ったのだろう!まったく……たかが50年留守にしただけでこれか!」

 

 あの人は……あの人は!アーデ……さん?
 私の目の前に信じられない光景がありました。
 なんと2度も死んでヴェーダと一体化したはずのアーデさんが、生前の姿でストラトスさんと普通に会話してるじゃないですか!

 

「あ……ミレイナ、ティエリア見たとたんに泣き止んだわ。何故?」
「救世主登場だからですよー」
「さーてこれからどうなるか見物見物~♪」
「?」

 

「ア、アーデさん!」
「うん……?うっ!ミ、ミレイナ……!?」
「アーデさん!会いたかったですぅ!」

 

 きっとアーデさんは私を助けにきてくれたにちがいないです!
 きっと多分いえ間違いなくアーデさんは私のの白馬の王子(王女?)さまなんですぅ!
 私は感激のあまりアーデさんに抱きつこうとしました!
 そして……

 
 

「ゆべっ!?」

 

 何故かアーデさんの体をすり抜けて壁に激突したです………いたい。

 

「だ、大丈夫ミレイナ!?」
「うわ、あの人もの凄い勢いで壁にちゅっちゅしたぞ?」
「おーいおねいさーんだいじょうぶ~?」
「ふえ……?え…?ど、どうして……?どうしてすり抜けるんですかあ……?」
「あーその……だな……悪いが、今の僕の体はヴェーダによって作られた高度な立体映像のようなもので……以前のような生体端末ではないのだ」

 

 がーん!
 そんなあ……なんかショックです……
 せっかくアーデさんに慰めてもらえると思ったのに。ああ私のブロークンハートはどこへいけば……

 

「まあ仕方ないさお嬢さん。ティエリアはもう死んでるようなもんだからな。はっはっはっ」
「気安く僕の肩を叩くなロックオン!まったく馴れ馴れしい……」
「そうですよね……気安く肩は…………肩……あああああ!?」
「ど、どうした?」
「な、なんでストラトスさんはアーデさんの肩に触れられるんです!?だ、だって触れられないはずじゃ……」

 

 私の当然の疑問にアーデさんはあさっての方向を見ながら、指で頬をかきつつ、額には汗一筋で答えてくれました。

 

「い、いや……その……だな。完全に触れられないーというわけではなく、そう……まあ例外もたまにはあるというか……」
「あるんですか例外!じ、じゃあ私もアーデさんに触れさせてください!」
「えっ!そ、それはだな……ううっ」

 
 

 ミレイナに抱きつかれるのはなんか嫌だ、とは何故かはっきり言えないティエリアであった。

 
 

「おーおー困ってるなあティエリアの奴♪」
「……楽しそうですねえ二ールさん?」
「人の不幸は蜜の味なんでしょう」
「気持ちはわかります~♪あ、でもそろそろあのおねいさんに事情教えてあげたほうがいいとオラ思うな」
「ああそうか、おーいティエリア。そのお嬢さんに事情説明してやってくれないか?」

 

「う、うむ。ふう……(深呼吸して)…………ミレイナ」
「え……?」

 

 なんかいきなり真面目な顔をしたアーデさんが私の手を握り(感触はないけど)顔を近づけてきました。
 な、なんかちょっと……いえかなりドキドキものです!

 

「落ち着いて僕達の話を聞いてほしい……できるか?」
「は……はい……♪」

 
 

「やるなあ……ティエリアの奴、実はけっこうな女誑しだったのか」
「当の本人は男性とはいえないような……でも、ミレイナが落ち着いたようでよかったです」
「そうですねえーあれ?そういえばあの人……えーと確かスメラギさん…は?」
「そこのイスに座ったまま放置?」
「失礼なこというな。しゃべりながらでもちゃんと仕事してるぞ、俺は」

 

「zzzzz……」
「……寝てるし。しかしこの人、この騒ぎでよく熟睡こけるなあ」
「シンにいちゃん、きっとこのおば……おねいさんは週末の父ちゃんみたいな二日酔いなんだゾ」
「酒飲んだことがあまりない俺にはわからないや」
「まあいいだろ。こっちの仕事とそこのお嬢さん(ミレイナ)への事情説明が終わる頃には、リヒティの奴も帰ってくるだろうしな」
「お~全員集合というわけですな♪」

 
 
 
 

「と、まあそういう訳で。次はいよいよトレミークルー集合編だ。じゃあ今回はこれで!……て、いつまでひっぱるんだこの話?」
「シンにいちゃん、書いてる人が長編苦手だから仕方ないゾ」
「そうか?まあ、さすがに次で結着つくだろうが……なんか行き詰まってるし次はいつになることやら」
「まあ期待しないで待て~♪」

 
 

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