なのは達機動六課が主にガジェットやザムザザーなどの新型MAと戦っているとき、ザフト軍は連合軍のモビルジャケットと戦っていた。
「ディアッカ、撃て!」
「お、おう!」
イザークは自ら超回転してそこに魔力も回転しながらだんだんとたまっていく。
それをディアッカは素手で打ち出す。
「行くぞ、超級ぅ!覇王ぅ!!電影だあぁぁーーーーん!!!」
体は回転しているはずなのに、何故か首は回らないまま、イザークは敵に向かって突進していく。
それは多数の敵を巻き込みながら直進する。
やがて上に上っていき、イザークの「爆散!」という言葉に次々と爆発が起こり、敵は倒れていった。
「しっかし、相変わらずの力だな……流派東方不敗って言うのは……」
ディアッカの言葉に、まあな、とイザークは自慢げに
「これもシーゲル・クライン師匠の訓練の賜物だ」
周囲の敵をあらかた片付けて、二人は少し談笑する。
「にしても、この数、どうにかなんないの?」
ディアッカはため息を付きながら周囲を見る。
そこには、死んではいないが地球軍やブルーコスモスの兵士がそこらじゅうに倒れていた。
その時、司令部から通信が入る。
「管理局の一員が洞窟から出て、真っ直ぐアースラへ向かっているようです」
通信の声に、そうかといって、イザークはアースラを見る。
敵は出来るだけひきつけた。
「まあ、今回は管理局に手柄を譲るとしようぜ。いろいろとわけありみたいだしさ」
ディアッカの声に、そうだなといってイザークは新たに前を見た。
「よし、敵はいない、このまま一気に!」
シンは洞窟から出た後、周囲を確認して出口周辺には敵がいない事を確認し、そのままアースラへと直進する。
他のみんなも敵をひきつけていて、最初のほうは敵とは遭遇せず順調に迫っていた。
シンの存在に気付いた敵も追跡しようとするが、フォースインパルスのスピードについてこれない者がほとんどで、順調にアースラに接近している。
「何をしているのだ!!」
その映像を見て、この基地の司令官は戦況に不機嫌をあらわにして叫ぶ。
さっきからの報告を聞くと、自軍に不利な事ばかりである。
ついさっきも地球軍のエース、エドワードもやられたと連絡も入った。
「もういい!全戦力を投入してやつを止めろ!ここを落とされたら上に何を言われるかわからん!」
司令官の言葉に、慌ててオペレーターは、はい!と叫んで各員に連絡する。
「大変です!」
それと同時に、ある兵士がブリッジにやってきた。
変わりあわてているようで、かなり重要な事のようだ。
新た報告に、こんどはなんだ?と半ばやけになりながら答える。
「そ、それが……捕らえていたはずの例の少女が抜け出したようで……」
「なに!!?」
まさかの報告に、司令官は頭を抱える。
これは上になんと報告すればよいのか……
「現在、この基地内にいるものに捜索させているのですが……なかなか…」
「早く探せ!このばか者め!!」
司令官は兵士を一瞥してから再度前をみた。
そこには、残っていた兵がシンに向かっていたのだった。
それを見た司令官が命令する。
「脱出の準備をしておけ、もしものときはこの基地を放棄する」
司令官は歯軋りしながら言う。
基地を失って戻ったら何を言われるかどうか危うい。
だが、やはり自分の命は惜しかった。
コーディネーターに、あんな化け物に捕まれば何をされるかわかったものではない。
「くそ」
シンは舌打ちしながら敵を迎撃する。
最初は敵に会う事はなかったが、途中で伏兵にし、今足止めされている。
「いい加減にしろ、お前ら!」
シンは連合軍の一般的なモビルジャケット、ダガーLをエクスカリバーで叩ききる。
そこへ……
「わが道突き進む俺の必殺技シリーズその2!!スパイラルドライバー!!」
「いくよストラーダ!スーパーウルトラスペシャルストロングマッスルDX!!」
シンの後ろから何かが突っ込んでくる。
一つ真っ直ぐ。もう一つはぐるぐると回転しながらシンを横切ってそれぞれ敵を倒す。
「レイに……エリオ?」
シンはぽかんとしながらその二人を見る。
二人は敵を倒した後。レイは地面に、エリオはフリードの上に着地する。
「思ったより順調に事が進んでな、援護が出来るようになった」
「ここはぼくたちがおさえます。アスカさんはそのうちに」
エリオに言われ、ああといってその場を後にしようとする。
だがその前に……
「あの技名何とかならないのか?正直ダサいぞ」
「ええ!?」
シンの言葉にエリオはショックを隠せないでいた。
「一晩中ずっと考えてたのに……」
考えてたのか、とシンは呆れながらエリオを見る。
「シン、早く行かないとまずいぞ」
レイに言われて、シンはアースラの方を見る。
その時、シンは何かを見た。
アースラから、何かが飛び立っているのだ。
「あれって……脱出艇!?」
おそらく基地の司令官などが乗っているであろう脱出艇がアースラから発信したのだ。
「シン!アースラのほうは俺が行っておく、そのうちにお前は飛行艇を追え!」
それを見るなり、シンはフォースシルエットになり、すぐさま脱出艇のほうへ向かう。
運よくあまり離れていなかったため、何とか追いつけそうな距離ではあった。
だが、あまり時間をかけるわけには行かない。
「だったら……」
そういってシンはライフルを持ち、構える。
ウイング部分を狙い、バランスを崩させようとする。
シンはよく狙って連続でライフルを放つ。
放たれた魔力弾は見事にウイング部分を破壊する。
しかし……
「しまった、エンジン部分を!?」
シンが放った魔力弾は、ウイング部だけでなくエンジン部分も破壊してしまった。
運よくエンジン部分だけがあたっただけのようだが、勿論その損害を受けた飛行艇は急降下する。
「大丈夫なのか?」
シンはまあとりあえず追いかけるかと思いながら落下している飛行艇を追う。
そして、よく見るとフェイトもすぐそこまでやってきた。
どうしたのだろうか……
「シン、ミネルバから連絡が入ったんだけど、あの基地は放棄されたみたい」
フェイトの言葉に、シンはこの脱出艇は何かくさいと感じた。
そして、炎上する飛行艇から数人の人影が見える。
その人物は地球連合の高官の制服を着用していた。
おそらくあの基地の司令官と見て間違いないだろう。
「私は時空管理局者です。あなた達を拘束させてもらいます」
フェイトの言葉を聞いて、くそ……と悪態をつく司令官。
その時、司令官は彼女とは別の人影を見た。
人型なのだが機械的な体をしているモビルジャケット。
その姿は、同見てもこの地球連合軍のものではなかった。
「ザフトめ……」
司令官はそのモビルジャケット、インパルスを睨みながら悪態をつく。
シンはその司令官の言葉を聞いて、モビルジャケット、そして張りアジャケットも解除する。
「俺はザフトじゃない、管理局の人間だ」
シンはそういって司令官を見る。
司令官はシンの目を、燃えるような赤い目を見る。
黒い髪に赤い目。
普通はそんな組み合わせの人間はあまりいない。
さらに地球連合にないモビルジャケットを持っている。
これだけの要素があれば間違いない。
あいつは……
「コーディネーターめ……」
司令官の言葉に、シンは司令官を見る。
「コーディネーター、この宇宙の化物め!」
「!!」
司令官の言葉に、シンは体を震わせる。
そんなシンを見て、司令官は言葉を続ける。
「お前らのようなやつが存在するから争いがなくならんのだ!お前らのような化物など早くほ」「くっ!」
「……」
司令官の言葉に耐えられなくなったシンは、司令官を手刀で気絶させてしまう。
「シン……」
そんなシンを心配そうに見るフェイト。
「隊長……後、お願いできますか?」
いつもより静かなシンの言葉に、フェイトもうんとぎこちなく返事をして、シンはその場を後にした。
「シン」
シンは人気の少ないところで岩に座りながらぼうっと空を眺めていると、レイがやってきたのだ。
「レイ?」
シンはレイの存在気にづくと、レイはシンの隣に座る。
そして二人とも何もしゃべらないまま数分のときが流れた。
「所詮はブルーコスモスかそれに属する地球軍の言葉だ。あいつらの言っている事は気にするな」
どうやらフェイトからある程度の事情は聞いているらしい。
まあ、元からあいつの言っている事など気にしてはいない…といえばうそになるのだが……
「ちょっと前の事思い出した……」
そう、インパルスを手に入れるきっかけにもなった、あのコーディネーターを憎む者との模擬戦の事を思い出す。
あの出来事の詳細を知っているのは、シンと相手、それに同じフィールド内にいた教官だけである。
話の内容はレイにも言っていない。
だが、それでいいのかと思ってついその事が表情に出てしまった。
「気にするな。誰にも知られたくないことの一つや二つはある」
だが、レイはそれを全く気にしていないようである。
まるで、自分の何かを隠しているように。
「だが、フェイト執務官には気取られないようにしておけよ。あの人の考え方は俺達とは逆だ。
何かあれば言ってほしいという感じの人だからな」
レイの言葉に、わかってるよとシンは苦笑しながら言って立ち上がる。
レイの言葉はフェイトだけでなく、隊長陣にもいえることだろう。
どうも隊長陣の皆さんはお人よし過ぎるというところがある。
さっきレイもいっていたが、人間黙っておいてほしいことの一つや二つはあるんだから、気にしないでいてほしい。
もういいのか?と言うレイのことばにもああと返事を返すシン。
「いつまでもほうっておいたら、逆に心配されかねないからな」
ま、既に何かあるとは思われてるけど、と苦笑しながら言う。
そういうシンに、そうかといってレイも立ち上がり既に管理局員で分解、回収作業を行っているアースラへと向かっていった。
「あ、アスカさん、バレルさん」
二人が現場に戻ったときに最初にあったのはエリオとキャロだった。
「エリオ、状況はどうなっている?」
レイはエリオに尋ね、エリオはフェイトから聞いたことだけを話す。
既にアースラの中にいた地球連合軍の兵士は、すべて降伏したという。
そう、地球連合軍だけ。
「話じゃブルーコスモスの人たちは既に逃げ出したみたいですよ」
エリオの話に、そうかとレイは頷く。
「なのはさんが戦っていた相手も、結局は逃がしてしまったみたいですし……」
なのはを相手に逃げる事ができたと言う事は、その相手もかなりのものなのだろう。
「それとアスカさん。フェイトさんが探してましたよ、どうしたんですか?」
キャロに言われ、ええと……とシンは言葉をつまらせる。
(こいつらにはどういうべきか……)
とりあえず簡単な回避方法は……
「さあ、俺にもさっぱり……何なんだろうな?」
と適当のごまかし、二人からフェイトの場所を聞きだし、シンはそのほうへと向かっていった。
そんなシンを不思議そうに二人は見る。
「執務官のことだから気になるのか?」
レイに言われ、え!?と二人はあわてながらちがうちがうと二人は否定する。
思いっきり気になってますといわんばかりの表情だが、そうかといってそれ以降レイは何も言わなかった。
「あ、シン」
シンはフェイトを探していたが、フェイトのほうが先にシンを見つけた。
フェイトはすぐにシンのほうへ駆け寄る。
「シン…えっと……」
フェイトはシンにどのように声をかけようかどうか迷っている。
まあ、普通は思い当たらないだろう。
「別にいいですよ、気にしなくて」
シンがそういうが、フェイトはまだ何かいいたそうであった。
「俺も、もう気にしてませんから」
シンの言葉に、そう?と尋ねるフェイト。
だが、シンの表情はまだ少しくらい。
「それより、教官の姿が見えないんですけど、どうかしたんですか?」
シンは話題を変えようと、キョロキョロとなのはの姿を探す。
スバルやティアナは見つかったが、なのはは探してみたがどこにもいない。
シンの言葉に、ああとフェイトはストームレイダーのほうを見る。
「なのはは今、シンが見つけた例の女の子のところにいるよ」
そして話はいつしかその女の子の話になった。
その結果、女の子はまだ目が覚めておらず、レリックを持っていたということもありしばらくは教会側で預かるという事になったという。
「それで、なのははその子のことが気になって、自分のやる事を終らせて、ずっとその子のところにいるんだ」
フェイトの言葉に、シンはその少女を思い出す。
何故あんな子供がレリックを二つも持っているのだろうか。
その時だった。
何かがシンに飛びついてきた。
シンは誰なんだと思いそっちの府を見ると、そこには作戦前に洞窟の事を押しえてくれた現地の少女、コニールがいた。
「守ってくれてありがとう!」
彼女は、本当にうれしそうに笑いながらシンに礼を言う。
シンはそんなコニールに圧倒され、あ、ああとぎこちない返事を返す。
フェイトは、そんな二人を見えほほえましく微笑んでいるのだった。
次回予告
シ「俺達がコズミック・イラで戦っていたとき、ミッドチルダではある事件が起こっていた」
は「場所はミッドチルダ北部、聖王教会」
な「その人は失敗作と揶揄されて、所詮は実験台とはき捨てられた人」
フェ「その人がそこまで言われてもなおも戦い続ける理由とは……」
レ「次回、魔道戦士まじかるしん25話「欠陥品」」
ス「今回はまともな予告でしたね」
は「そろそろねたも少なくなってきたしな」
シャ「はやてちゃん…いつそんな情報を仕入れたんですか?」
は「そんなもんちょこっとコネを使えばすぐになんとかなるもんよ」
シグ「いいのですかそれ……」
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