Seed-NANOHA_まじかるしん_第26話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 03:16:22

「さあ、こんなところでは話しづらいだろう。こちらへ」

なのはたちとカリムはデュランダルに連れられるままに彼の元へついてゆく。

そして案内された部屋には、いかにもと言う豪華な机とイス。

そしてその机には豪勢な料理が並んでいた。

その光景を唖然としながら見る一同。

「あの、議長…これは?」

ふとシンがデュランダルに尋ねる。

これは全く予想をしていなかった事なのだ。

そして本人のほうは、なんともないように答える。

「何、ちょっとしたお礼だよ。今回の件に協力してくれた、ね」

何でも今回の件で機動六課に協力を要請したのは他でもない彼だった。

だから、これは個人的な礼だと言う。

流石金持ちというかなんというか……

「それに、いろいろと君達にも興味があってね、ゆっくりと話がしたいのだよ」

そういってデュランダルはフェイトのほうを見る。

「そう、いろいろとね、フェイト・テスタロッサ君」

「え?」

フェイトは、ハラオウンをつけていない、以前の自分の名前を言われ、戸惑いながら議長を見た。





「な、何だね君は!?」

ところ変わって、ここはミットチルダのある研究施設。

そこにいきなり誰かが入り込んできたのだ、そして一言。

「ここの一番偉いやつを呼べ!!」

男はそういってずっとそこに居座っているのだ。

そして、この研究所の所長がやってきたのだ。

所長はその男が管理局の執務官服を着ていることに驚く。

そんな局員がなにか用なのだろうか?

「久しぶりだな。まさか忘れたとは言わせないぞ……」

その執務官は自分に見覚えがあるようだが、本人はさっぱり覚えていない。

果たして誰だろうか……

「ふん、やはり覚えてなかったか。人の事を勝手に作っておいて、あまつさえ捨てようとした男の一人が管理局で働いていたとはな……」

執務官、カナードの言葉に、どこか引っかかりを感じる所長。

まだわからないのか、とカナードはため息を付く。

ならいやでも思い出せてやろう。

そう思い、カナードは所長を見据える。

「メンデル……これで俺が誰かわかるだろう」

その言葉が引き金となり、その所長にとって悪夢といわざる終えないある出来事を思い出す。

「まさか……お前は……」

所長は驚き、驚愕の目でカナードを見る。

あ…あ…と後ずさりし腰を落とす。

「そうだ…お前達が研究していたスーパーコーディネーター…その失敗作だ。

ナンバーで言うとNP3228だがな」

カナードは自嘲気味に笑いながら所長を見る。

既に所長は心ここにあらずといった感じだ。

「安心しろ、殺しはしない。おまえたちに復讐したところでどうこうなるものじゃない」



そうだ、こんなやつなど殺しても何にもなりはしない。

自分が倒したいのは……

「俺はキラ・ヤマトを倒し、お前達が俺に貼り付けられたレッテルを引き剥がしてやる。

今日はそれだけだ。

安心しろ、お前がスーパーコーディネーターの研究で多数の命を無駄に散らした事は黙っておいてやる。

……あくまでも研究者の名前はな」

おそらく自分がこの研究の事を言えば、すぐにでもこいつのこともわかるだろう。

そう思って、カナードはその場を後にするのだった。





「おいしいこれ!ねえティア、これおいしいよ!」

「スバルうっさい!場所を考えなさいよ。あんたも少しはエリオたちを見習いなさい」

「はやてちゃん、これおいしいです」

「ほんまやなあ」

殺風景極まりない先ほどまでとはうって変わって、こちらは明るい雰囲気が漂っている。

先ほどの後、結局議長と少々早い夕食をする事になった一同。

その食事メニューに驚きながらも、その料理に舌鼓を打つ一同。

しかし、一名ほどあまりいい顔をしない雰囲気をしている人物がいた。

「………」

その人物、フェイトは少々難しい顔をしながら食事を取る。

「フェイトさん、大丈夫ですか?」

フェイトははっとして声のほうを向くと、キャロとエリオが心配そうにフェイトを見ていた。

フェイトは心配させまいと大丈夫だよ、と言うが、それでもまだ二人の顔ははれない。

「あの人、フェイトさんの知り合いなんですか?」

アリオはフェイトと議長は前に何度かあったことがあるのかどうか尋ねたが、いや、とフェイトは首を横に振る。

彼とは今日初めて顔をあわせた。

と言う事は……

(やっぱり母さんとなにか……)

フェイトは自分の母、プレシア・テスタロッサとつながりがあるのだろうか?

それとも、ただ名前が長いから省略しただけなのか……

そう思いながらフェイトは議長を見る。

「二人とも、向こうでは上手くやっているかね?」

「はい、議長。いたって順調です」

「それは良かった」

議長はレイ、そしてシンと話をしていた。

どうやら二人は議長に面識があるようであった

「あの、少しいいでしょうか?」

「ん?なんだね?」

フェイトは意を決して聞いてみることにした。

これではっきりする。

「あなたは、プレシア・テスタロッサの事を知っているのでしょうか?」

フェイトの言葉に、隊長陣の空気が一瞬重たくなったように感じた。

即座になのはの表情が暗くなった。

それはそうだろう。フェイトの過去を考えると、自然と表情も暗くなってしまう。

一方、フォワード陣は何がなにやらさっぱりであった。

そんなフェイトを見て、デュランダルは含みのある笑みを浮かべながら一枚の写真を取り出す。

かなりの人数が写真に写されていて、その中央に写されている人物にフェイトは驚く。

「かあ…さん…」

その中心にいる人物こそ、プレシア・テスタロッサだった。



「私の父があなたの母上のプロジェクトに参加していてね。

私も何度か彼女とは面識があるようだが、小さいときのことでね……」

と、デュランダルは自分とプレシアのつながりを話す。

そういうことだったのか、とフェイトはどこか安心したような顔をする。

だが、とフェイトは思い出す。

彼女の研究は確か失敗して……

どうやらその疑問の顔に出ていたようで、デュランダルは笑いながら話す。

「ああ、あの事件の当日、話では父は休んでいたよ。

なんでもミスで腕を骨折させたみたいでね」

そうですか、とフェイトは微妙な笑みを浮かべる。

(ねえティア)

(なによ?)

(フェイト隊長のお母さんって、リンディ・ハラオウン提督じゃなかったっけ?)

(さあ…私たちにわかるわけないでしょ)

スバルとティアナは話の内容がわからなかった。

その横で、エリオとキャロが心配そうにフェイトをみていた。

こうして食事と話が終わると、デュランダルをシンとレイを見る。

「二人とも、これから少し模擬戦をしないか?」

突然議長の言葉には?と聞き返す二人。

まあ今までのことがあるからそこまで驚かないが……

「君達が機動六課に入って、どれほどの腕になったのか見てみたくてね」

笑いながら、デュランダルは側近の者にあるものを持ってこさせる。

二人の言葉は勿論……

「わかりました」

「お願いします」

とすぐに返事をくれた。

次に議長はなのはたちのほうを見て、

「よければ見学でもどうかね?」

という議長の誘いに、フォワード陣の何かの参考になると思ったなのは。

そして単純に議長の強さに興味がある副隊長陣とフェイトとカリム。

その結果、なのはたちもその戦いと言うものを見る事にした。

一同は広い庭へと向かう。

「インパルス!」

「ファントム!」

二人はそれぞれのデバイスを起動させる。

一方議長のほうはデバイスは持たず、一本の刀を持つ。

「今回は私はこの逆刃刀で戦う。君達は全力できてもらってかまわんよ」

「ええ!?」

議長の大胆発言に驚くシン。

シンばかりではない、なのはたちも驚く。

その中、レイだけはわかりました、と簡潔に言う。

(お、おいレイ!)

(何だ?)

(何だじゃない!いくら議長が有名な剣術家といっても、デバイス無しじゃ……)

シンの言葉にああ、と頷くレイ。

「そうか、シンはしらないのだな……」

そういって、レイはデュランダルのほうを向く。

デュランダルのレイの意図を察した。



「シン、こちらを向きたまえ」

不思議に思うまま議長のほうを向くシン。

そこには確かに議長がいた。

だが、次の瞬間議長の姿が急に消えたのだ。

「え?」

そして、消えたと同時にシンの背後に動き、首筋には刀があった。

わずか一瞬のうちにこれだけの事を、魔法も使わずに行ったのだ。

この動きにシンは唖然としながら冷や汗をかく。

「シグナム、さっきの見えたか?」

「なんとかな……だが、捉えるだけで精一杯だ」

「私も……」

シグナム達も、彼の速さに圧倒される。

新人達にいたっては何がなにやらさっぱりであった。

「だから言っただろう、シン。議長にとって、俺達程度の相手ではデバイスなど必要ない」

レイの言葉にを素肌で実感したシン。

それを見て、議長はすっと先ほどまでいたところへと戻る。

「それでは始めようか」

そういって議長の目つきが変わり、剣を構える。

『フォースシルエット』

『スラッシュウィザード』

二人もそれぞれのシルエットに変形し武器を持つ。

そして30分後。

「はぁ…はぁ…」

二人とも息もたえたえの状態で議長をみた。

既に二人のジャケットはぼろぼろである。

だが、議長のほうは息一つ絶やさず悠然と立っている。

そして……

「驚いたよ、まさかここまで上達しているなんてね。これも訓練の賜物と言うものか」

議長はにこやかに笑いながら二人を見る。

よく見ると、議長の衣服に何箇所か傷と呼べるのかどうかわからないものがついていた。

ただし、それは魔力刃の余波のようなものでついたもので、実際に傷をつけたとは言いがたい。

「はぁ…あ、ありがとうございます」

模擬戦も終わり、一同は議長の実力に思い知ったときだった。

「騎士カリム、緊急事態です!」

突然シャッハが通信を入れてきたのだ。

どうしたの?と尋ねるが、シャッハの後ろの光景を見て唖然とする。

そこにあったのは真赤なちか……ではなく、真赤な血でまみれている義弟であった。

それははやてたちにも見えていた。

「ヴェロッサが何者かに襲われて倒れていたのです。それで……」

シャッハは気を失う前にヴェロッサが言っていた事を話す。

「ラクス・クラインを護衛しているキラ・ヤマトを守ってくれ、とおっしゃっていたのですが、その人物を騎士カリムはご存知ですか?」

キラ・ヤマト……

聞いたことない名前だ、とカリムは思った。

このメンバーでキラ・ヤマトの名前を聞いて反応したのは3人であった。

それは、議長、レイ、シンの3名であった。



(そうか、彼はついに突き止めたのか……)

その中でも、議長は何か昔の事を思い出すように微笑を浮かべるのだった。

そして、その表情に疑問が残るような目で見ていたのはフェイトであった。

「あの、議長。お尋ねにくいのですが、その件について何か知っているのですか?」

フェイトに聞かれ、つい懐かしさで顔に出てしまったようだ。

ならば、とデュランダルは話し始める。

「ああ、知っているとも……かれこれ10年位前だったか……」





フェ「議長の口から開かされるキラとカナードの出会い」

な「それは、彼に現在の戦う理由を授ける」

な「だけど、その話を聞いたフェイトは……」

シ「次回、魔道戦士まじかるしん「カナード」に、テイク・オフ」

ティ「なにか……すごいフラグのようなものを感じるんだけど……」