Seed-NANOHA_まじかるしん_第31話

Last-modified: 2007-12-24 (月) 12:46:01

「はやて!」

ヴィータは急いではやての事へ駆けつける。

既にシャマルが到着していて、はやての治療を行っている。

それでも、はやての腹部にある痣を見てヴィータの顔は青ざめる。

「ヴィータ。ごめんな、私が油断したばっかりにこんな姿になってもうて」

なんでだよ、とヴィータは何とか泣き叫ぶのをたえながらはやてを見る。

目の前にスバルたちがいるからかなり我慢をしているのだろう。

「あたしが…あたし達がもっとちゃんとしてれば、こんな事にはならなかったのに」

そういうヴィータの顔はくしゃくしゃで、目からは涙がぽろぽろとこぼれていた。

スバル達はそんなヴィータを見て驚いていた。

こういう表情をするのは初めてみたからだ。

「あの、シャマル先生、お忙しいところちょっといいですか?」

そこで、スバルが今まで疑問に表いた事を話す。

「さっきシャマル先生のそばにいた男性って誰なんですか?今まで見たこともない人なんですけど」

「それは私も不思議に思いました」

スバルとティアナの言葉を聞いて、なのは達はぷっと吹き笑うのを我慢した。

「いたたたた」

その中、笑ったせいではやては傷に触れてしまったらしい。

「ああもう、気をつけてくださいね」

そういって、シャマルははやての治療を再開する。

「だれって、いつも会ってるじゃねか……」

シャマルに変わって、ヴィータはまだ笑いをこらえながらちょっとヒントをあげる。

だが、それでも誰かわからない二人。

「会うたびにスバルは頭なでてるのに……」

ヴィータが沿う前言ったときに、まさか…といった顔で二人はヴィータを見る。

自分がそんな事をするものなど一人…いや、一匹くらいしかない

「……ザフィーラ?」

スバルが恐る恐る答えると、コクコクと頷くヴィータ。

「「……えええーーーー!!!?」」

これにはスバル、さらにはティアナも今回はたいそう驚いた。

「ザフィーラってしゃべったときも驚いたけど、人間にもなれるンですね」

スバルの言葉にくすくす笑うシャマル。

「ザフィーラは人間のほうが主ですよ。ちょっとした理由でずっとあの状態になってるんだけどね」

シャマルの説明にへえ……と頷くスバルたち。

一体ザフィーラに何があったのだろうかと思う一同。

「はやて、もう大丈夫なの?」

そして、フェイトもはやての所やってくる。

既に呼吸も整っていて、顔色のちょっと悪そうだがほとんど問題はなさそうだった。

ただ、それでもエリオ達は心配そうにしているが。

「まあ私は見てのとおりやけど、フェイトちゃんは問題なさそうやな……」

たははとはやては笑うが、その時、カナードが飛ばされた、激突した建築物がすべて消えうせたのだ。



「な、なんだ!?」

一体何が起こったのか不思議に思ったメンバー。

「あ、あれってアスカさんとバレルさんじゃないんですか?」

キャロの指差したほうをみると、その光のほうへ無断で向かうシンとレイの姿が。

「あいつ等……まあ確かに待ってろとか一言も言ってねえけど、無茶にも程があるぞ!」

愚痴を言いながら、ヴィータも臣たちの後を追う。

「私も行く。エリオたちはここでいて」

そういって、フェイトも続いていった。

はたして、あの現象はなんだったのだろうか。



「ぐ……う……」

カナードはうめきながらがらがら…と建物から這い上がる。

緊急に発動させたアルミューレリュミエールのおかげでなんとか骨折は免れたカナード。

だが、展開する時間がなかったため全力で使ったというわけではない。

肩にはかなりの痛みが伴う。

「くそ……」

カナードは痛む肩を掴みながらゆっくりと歩く。

右腕を見ると見事に破壊されているシェルブリッド。

いくら2対1…いや、途中邪魔が入ったから3対1か……とはいえ、かなりのダメージを追ってしまった。

「俺は、負けたのか……」

カナードがそう思っていたときだった。

カナードはバインドで拘束されてしまう。

それはあの赤神の女と戦っているときにシェルブリッドを拘束したものと同じだった。

「そこまでだカナード・パルス。お前を拘束させてもらう」

自分の前の前に現れたのは先ほど剣を交えた女と黒い肌を持つ男。

おそらくこのバインドはこの男のものだろう。

だが、そんなシグナムの言葉など、今のカナードにはまるで伝わっていない。

「ふざけるな…」

カナードは俯きながらそうつぶやく。

俺が負ける?まだだ、まだ負けるわけには行かない。

「俺は、俺はまだ負けられない…」

彼にと手戦う事は自分を固持するもの。

「勝たなければならない。勝つ事が…勝つ事が俺の存在理由だ!!」

カナードの叫びと同時に、彼の周囲に不思議な力が撒き起こる。

それと同時に、彼がぶつかった建築物がだんだんと消えていく。

「なに!?」

建築物が消えるのと同時に、彼の右腕のシェルブリッドは再形成されていく。

さらに、ザフィーラのバインドすらもアルターの餌食となる。

「さっきとは形が違う」

新たに生成されたシェルブリッドは、さっきのものとは形が違うものとなっている。

全体に太くなっていて、背中の羽のようなモンも一つだけである。

「俺は……失敗作なんかじゃない!!」

その叫びと共に、カナードは二人をにらむ。

「まだやれるな、レヴァンティン」

『勿論』

「そうか…なら行くぞ。ザフィーラ、援護を頼む」

「心得た」

シグナムのほうもレヴァンティンを構え、ザフィーらもファイティングポーズを構える。

カナードは二人を見据える。

そして数秒が流れる……

「紫電……」

先に仕掛けたのはシグナムだった。

再度レヴァンティンから炎が渦巻く。



それを見たカナードも動く。

背中にあるフィンが最初はゆっくりと、だが、次第とスピードは上がってゆく。

そしてそのスピードで少しずつ浮くカナード。

「シェルブリッド……」

二人が動いたと同時に、ザフィーラも動いた。

「唸れ!鋼の楔!!」

ザフィーラは銀色の楔を出し、カナードへけん制する。

だが、それでもカナードはひこうとはしない。

それどころか逆に突っ込んでいく。

「バアアァァァストオオォォォォーーー!!!」

カズマの一撃は、簡単に楔を破壊する。

「何!?」

これにはザフィーらも驚く。

まさかここまで簡単に破られるとは……

カナードはそのままシグナムへ向かう。

「一閃!」

レヴァンティンにまとっている炎はさらに燃え上がり、カナードを襲う。

「ううおおおりゃあぁぁぁ!!」

カナードはそれにムカ手思いっきり拳を振り下ろす。

以前よりもさらに激しいスパークが襲う。

だが……

「同じ手が二度も通用すると思うな!!」

カナードは力を要れ、炎をまとったレヴァンティンをたたき折る。

「な!!」

まさかのことにシグナムは動揺してしまい、思いっきり隙を与えてしまう。

レヴァンティンを折っても未だに水力が衰えないシェルブリッドんバーストがシグナムを襲う。

「させん!」

そこに割り込んできたのはザフィーラだった。

ザフィーラはシールドを張りシグナムの盾になった。

「邪魔を……するなああぁぁぁーーーー!!」

「ぐ……」

ザフィーラに衝撃が遅い、だんだんとシールドにも亀裂が走る。

これではいつまで持つかわからん。

「シグナム、早く引け。二人とも巻き込まれては洒落にならん」

ザフィーらの意図を汲み取り、苦やしながらもシグナムは一度後ろに下がる。

その間にも、シールドにはヒビが広がる。

ここまでか、と思ったときだった。

「俺の必殺技その一!クリティカルブレード!!」

「超重斬!!」

「何!?」

カナードの後ろから二つの影がカナードを襲う。

カナードは攻撃をやめ、急遽アルミューレリュミエールを展開し、攻撃にたえる。

その間にザフィーラも下がる。

その間にザフィーラは攻撃をしたかったのだが、先ほどの攻撃をたえる時に踏ん張りすぎ、腕が痺れている。

「お前達か……」

カナードはその二人に見覚えがあった。

彼らは元自分の部下だからよく覚えている。



(確か狸のせいで機動六課に移されたのだったな……)

カナードはそう思いながら二人を見る。

シンとレイもザフィーラが下がったのを見て攻撃を取りやめ、距離をとる。

「なかなか強くなってるじゃないか。これも六課での訓練の賜物か」

カナードは二人の成長を素直にほめる。

「あんたは……」

だが、シンはカナードを睨む。

そこへヴィータ、そしてフェイトも駆けつけた。

「シグナム、それは……」

ヴィータは折れたレヴァンティンを見て驚く。

「見てのとおりだ…悔しいが、1体1ではまず勝てん。あのシェルブリッドというスキル。手ごわいぞ」

そういって、レヴァンティンを収めるシグナム。

真正面からぶつかり、相棒であるレバンティンを折られた。

完全敗北と言ってもいい。

ザフィーラがいなければ、今頃自分がどうなっていたか……

そう思うと、自分が許せなくなる。

(私も、まだ未熟と言うことか……)

苦い表上を浮かべるシグナム。

(すまないレヴァンティン。私がふがいないばかりに)

『主のせいではありません。これからは共に精進しましょう』

ああ、と相棒の言葉に頷き、シグナムはカナードを見る。



「フェイト・T・ハラオウン。一つ聞きたいことがある」

カナードはフェイトのほうへ向いて先から聞きたい事を訪ねる。

「俺は俺、何故お前は俺にあんな事を言った?」

カナードの言葉に、フェイトは少し考えて、微笑みながら言う。

「それは、あなたが昔の私に似ているから」

「何?」

そして、フェイトは自分の事を話す。

「昔の私も、あなたと同じように一つの目的のために戦っていた」

自分の母、プレシアテスタロッサに笑ってほしいために、そんな理由のために彼女はプレシアのために戦っていた。

「けど、その時に知った。私も、あなたと同じように作られた人だって……」

「え?」

そう、フェイトはプレシア・テスタロッサの娘、アリシア・テスタロッサのクローン。

そんな事を聞いたことがないシンは驚くが、レイはただ黙って聞くだけだった。

だが、そんなともプレシアにとっては「所詮はただのお人形」でしかなかったことを話す。

「フェイトさん……」

遠くから念話で聞いていたエリオとキャロはある程度はフェイトの過去は聞いていたが、まだ詳しい事を聞いてなかった。

だから、フェイトの昔の話を聞いて、二人は俯いたままだった。

特に、エリオは何かを感じるように聞いている。

「エリオ、キャロ」

そんな二人を見かねたなのはは二人を呼ぶ。

「フェイト隊長の話を聞いて動揺するのはわかるけど、これだけはわかってね。

フェイト隊長…いや、フェイトちゃんが二人を預かったのは、ただ自分の過去を重ねて、かわいそうと思ったからってわけじゃない。

一人ぼっちの寂しさを誰よりもわかってるからこそ、フェイトちゃんは二人を引き取ったんだよ。それだけは忘れないでね」

なのはの言葉に二人は頷く。

それはわかっている。



ただかわいそうだとか、哀れみでフェイトは二人を引き取ったわけじゃない。

自分が一人ぼっちのときに手を差し伸べてくれたことがフェイトにとっては本当にうれしかった。

だから、今度はフェイトがそれを教えたいと思ったのだ。

ただ……その思いが強すぎたせいか少々甘い性格になってしまったのだが……

「くくく……」

フェイトの話を聞いたカナードはつい笑みをこぼす。

「なんだ、たいそうな事を言っておいて結局は貴様も俺と同じじゃないか。

結局は貴様も俺も、戦う事だけに生み出されたに過ぎない」

とんだお笑い事だ!とカナードははき捨てる。

しかし、フェイトは首を横に振る。

「確かに産まれた理由はそうかもしれない。けど今は違う。私はこうして、フェイト・T・ハラオウンとしてここにいます」

そして、とフェイトはバルディッシュを構える。

「あなたにもそれを教えてあげます」

その姿を、レイは唖然としてみる。

だが、カナードの表情は変わらないままだ。

「お前などにわかるか?俺がいままで受けてきた苦しみが…」

フェイトに向かって向けられた言葉だが、返事をしたのは別の人物だった。

「ええ、わかりますよ。カナード隊長」

それに答えた人物、レイは何かを決意したように前に出る。

「レイ?」

シンは呆然とレイを見る。

レイの行動の理由がわからなかった。

レイは一呼吸置いて、自分の過去も話す。

「俺もフェイト隊長と同じクローンです…それもあなたとキラ・ヤマトと縁のあるクローンです」





な「いきなり語られるレイの過去」

フェ「それは、カナードとキラ・ヤマトに密接に慣例していた」

シ「次回「テロメア」に、テイクオフ!」

は「しっかし…よくよく考えてみると機動六課のフォワードメンバーって普通に生まれてきた人って少ないなあ…」

シャ「そうですね……」