「けど、こうやって4人ででかけるのって、なんか久しぶりじゃない?」
ヴィーノはショッピングモールのファーストフード店でハンバーガーを食べながらつぶやく。
今日は珍しく4人ともオフで、こうやって久しぶりに集まって町へ繰り出しているのだ。
「学校にいたときとは違って、俺達は今違う場所で働いている。合う事が減るのは仕方がないことだ」
レイはそういってシェイクを飲む。
「しっかし、ガルシア提督は捕まったか……なんかこう、気分がすっきりするよな。ああいうやつが捕まるとさ」
ヨウランは、今は独房にいるガルシアの話になり、そうそうとヴィーノも頷く。
彼ら4人は彼に対してかなり印象が悪い。
特に彼の元で働いていたシンやレイは特に思った。
だから、彼が逮捕された瞬間を見たときは本当にせいせいした。
「で、今日はこれからどうする?俺ほしいゲームとかいろいろあるから結構まわるけど」
「俺は……今はそこまでほしいものないし、適当にぶらついて何かあれば買うか」
こうして、昼食を取りながらこれからの事を話すシン達であった。
「ごめんねシグナム副隊長、車まで出してもらって」
「気にするな。それにこの車も私のものではなくテスタロッサのものだしな」
その頃、なのはとシグナムは用事があって聖王教会へ向かっていった。
シグナムは慣れた手つきでフェイトが乗っている車をまるで自分のように操縦する。
ちなみに、現在シグナムが持っている車は車検中で今はない。
かわりの車もあるが、フェイトが「今日の仕事は近場だから車はいらないから使う?」といだして、その好意に甘えて現在彼女の車に乗っている。
「それにしてもこの子、どうなるんだろうね」
なのははそういって、モニターに移る子供を見る。
アルカンシェルゲート突破作戦中に、偶然シンが見つけて保護した女の子だ。
今は目を覚まして教会が保護していると聞いている。
「さあな……しばらくは教会のほうで預かるという話だが……落ち着いたら孤児として引き取ってくれる家を探すらしい」
そう、となのははもう一度少女の写真を見る。
写真の少女はウサギのぬいぐるみを大事そうに抱いている。
「シグナムさん、なのはさん。突然ですみません、聖王教会のシャッハ・ヌエラです」
そのとき、いきなり聖王教会から通信が入った。
シャッハ・ヌエラ。シグナムの話だと確かコズミック・イラで一度会った騎士カリムの護衛を勤める
カリムと同じくはやてやシグナムたちとも親しい間柄で、特にシグナムとは親しく、よく模擬戦などもするらしい。
そんな彼女が一体何の用なのだろうか?
「こちらの不手際で、例の少女が抜け出したみたいなんです」
「え?」
例の少女とは、間違いなく先ほど話していた少女の事だろう。
なんでも、少し目を離したうちに逃げられてしまったらしい。
「それで、探してはいるのですが、なかなか見つからないんです」
シャッハの言葉に、わかりましたとなのはが答える。
そしてモニターが切れると同時に「急いだ方がいいな……」とつぶやく。
シグナムのつぶやきになのはも頷き、もう一度、その少女が移っているモニターを見たのだった。
「けど、何であたし達がこんな事をしなきゃいけないんだよ?」
街中で、少女はイラつきながら周囲を見る。
その少女は、赤い髪を短くしていて、いかにも活発そうな女性だった。
「これも任務の一つだノーヴェ」
「そうっすよ。ドクターから周囲を偵察してこいって言ってたじゃないっすか」
その少女、ノーヴェはわかってるよ、とぶつくさ言いながら周囲を見る。
ノーヴェと別の二人の女性、背の小さいチンクと陽気そうなウェンディ。
彼女達がドクターという人物からあるものを探しにやってきたのだ。
「っていうか、管理局の近くにある町なら、既に管理局が拾ってあるんじゃないっすか?」
とウェンディは懸念するが、いや、とチンクは首を横に振る。
「あのレリックケースは厳重に保管されてある。早々簡単に魔力は感知されるはずはないが……」
3人は一目のつかない路地裏へと行き、モニターを動かす。
そこには、管理局機動六課が探していたレリックがあったのだ。
「誰かが拾ったのだといっていたのだが……どこにあるのやら」
このレリックは、偶然レリックの事を知らない一般人が持ち去ってしまったのだという。
すぐに追跡のガジェットをこそっと追跡させたのだが、そこは管理局の域画家あったところで、タイミングが悪い事に、今は管理局がこの季節に開催している「町の安全フェア」中で、多数の管理局局員が町をうろついていた。
あまり騒ぎを大きくするのは得策ではないと思ったドクターこと、時空犯罪者ジェイル・スカリエッティ。
そこでスカリエッティがとった手段は、彼女達を探索に向かわせる事だった。
彼女達は普通の人間ではない、彼が手塩にかけて製作した戦闘機人。
「けど……」
ノーヴェはめんどくさそうに自分が着ているスカートのすそをまくる。
「これどうにかなんねえのか?ひらひらして邪魔だし足がスースーしてそわそわする……正直うっとおしい」
彼女達は普段は特製のスーツを着ているが、流石に街中でこれはまずいと思ったスカリエッティは、ウーノとクアットロという、これまたノーヴェたちと同じ戦闘機人に頼み、一般人が着るような服を渡された。
そして今ノーヴェの姿は、年頃の女の子が着るような姿なのだが、どうやらスカートがおきに召さなかったらしい。
「そうっすか?あたしたまにはこういうものいいとおもうっすけど」
ウェンディもよく似たような服装だが彼女は気に入っているようだ。
「チンク姉も義眼のほうはどうっすか?」
「うむ、なかなか良好といったところだ」
チンクはある事から右目を失っている。
普段は眼帯をしているのだが、それでは目立つため、今回は義眼をはめ込んでいる。
「とりあえず、早くレリックを見つけなければならない。民家ならセインに頼めば何とかなる」
そういって、チンクが表通りに入ろうとしたときだった。
さっきも言ったとおりチンクは義眼だ。
見えない方向はなかなか見えない。
チンクは右側から人が来たのがわからずに誰かにぶつかってしまう。
いきなりのことだったので、コケはしなかったが少しよろけてしまう。
「ごめん、大丈夫?」
そのぶつかった人は、に申し訳なさそうにチンクを見る。
「だ、大丈夫だ」
そういうチンクに、そうか、と少年はほっとした。
「大丈夫ッすか~~~?」
ウェンディとノーヴェもやってきたが、少年はその二人を見て、こう尋ねる。
「あんまり似てないけど、あの二人は君の姉なのかい?」
少年の言葉に、チンクは違う、という。
さっきの会話のとおり、チンクはウェンディとノーヴェよりも長く起動していて、二人の姉的存在に当たる。
しかし、容姿はどう見てもこの中では一番小さく見えてしまい、たまに偵察などで町に繰り出すと、たまに間違えられる。
チンク自体この体にコンプレックスを持っている。
「それじゃあお友達?それとも従兄弟か何か?」
だが、少年はそんな事に気付かずにチンクに問いかける。
普段は温厚なチンクでも、見知らぬ人物にここまで言われるとやはり不機嫌になってしまう。
「すまなかったな」
そういってテクテクと歩き出すチンク。
ウェンディはちょっと失礼だと思いながらもくすくすわらいながら追いかけ、ノーヴェはその少年をきっと睨んでその場を後にした。
「なんなんだあいつ等?」
それが、少年、シン・アスカとナンバーズの出会いだった。
そして、後に意外な形で会うとはお互い思っても見なかった。
そしてその頃、聖王教会では……
「どうしたの?そんなところで」
なのは達はその抜け出した少女を探していたのだが、なのははその少女を見つけた。
だが、その少女がはなのはを警戒していた。
その警戒をとこうと、なのはは微笑みながら近づこうとする。
「あれは」
その光景を偶然見つけたシャッハ。
念のために、デバイスを起動させ、すぐに駆けつけようとした。
「大丈夫ですよ」
シグナムの声にシャッハはシグナムのほうを向く。
シグナムはゆっくりなのはの方を見る。
「私は高町なのは、あなたは?」
なのはは自己紹介をして、さらに近づく。
「……ヴィヴィオ」
その少女、ヴィヴィオはゆっくりと自分の名前を言った。
「そっか、ヴィヴォオって言うんだ。その子はあなたのお友達?」
今度はヴィヴィオが抱いているぬいぐるみを見る。
なのはの言葉に、小さく頷くヴィヴィオ。
ぎゅっと大事そうに抱きしめているところをみると、かなり気に入っているのだろう。
「大丈夫だよ。私はヴィヴィオのお友達に挨拶をするだけだから」
そういって、なのははぬいぐるみに優しくなでる。
そんななのはに、ヴィヴィオはだんだんと表情が柔らかいものとなる。
「確かにに大丈夫そうですね」
シャッハは二人のやり取りを見てデバイスを収める。
「私達のようなものは、何でもデバイスを持とうとするのが難点だな」
シグナムの言葉に、確かにそうですね、とシャッハは苦笑いを浮かべる。
「ただ……」
こういうのに似た光景を数年前に見ているシグナムは、この先どうなるか大体予想がついていた。
「あの少女が高町に懐き過ぎなければいいが……」
そういって、シグナムは誕生したばかりのリィンフォースを思い出したのだった。
「なるほど、お前のほうでも何も得られなかったか……」
ある喫茶店で、トーレはお互いの情報を集めたが、まだ何も手がかりはつかめないでいた。
だが、トーレは話を聞いていると、チンクの様子が何かおかしい事に気付く。
「どうかしたんですか、チンク姉」
「何もない、姉はいつもどおりだ」
そういって、チンクは自分より一つ下のセインの言葉にもあくまで冷静さを装いながらコーヒーを飲む。
「あいつ、こんどあったら潰してやる」
んーヴェはあの頃を思い出して闘志を燃やしている。
相変わらずチンクに懐いているな、と思う一同。
「トーレ姉、実は……」
ウェンディは、隙を見てトーレを呼び出してさっきのことを話す。
「お前ら……」
ウェンディがセイントーレに事情を話している最中、ノーヴェは少し落ち着いた後、ある二人組を見る。
その二人組は一つのグラスに注がれたジュースを二人で飲んでいた。
まあ、これが男女のカップルなら普通の光景だ。そう、普通の男女のカップルなら。
「…何?」
その一人、オットーは、無愛想に尋ねる。
この二人は、この姉妹達の中でも最も遅く誕生した二人である。
「研究所ならまあいいが外ではやめてくれ。目だってしょうがない」
一つのグラスにあるジュースを、本当にカップルのように仲良く飲む二人組みの女性。
それもそのうちの一人はぱっと見は少年なのだが、着ている服はどう見ても女物で、一風変わった組み合わせに周りのものはちょくちょくこちらを見ている。
この二人、同じ素体を使っているのか知らないが、二人の間ではかなりお互いを認めているというか通じ合っている。
「けどそんなの関係ありません」
二人は人目も気にせジュースを二人でわけ、もういいとノーヴェはため息をついて席に着く。
「なるほどな、後でそいつを見つけたらちゃんといっておく必要があるな」
セインとトーレはウェンディから話を聞き、まあしょうがない事だそのうち忘れるだろう、と下手にかまうよりもほうっておく事を選んだ。
「しょうがないとはどういうことだ!」
「ヴィヴィオ~、そろそろ離してくれないかなー?」
なのはは困りながら自分のスカートの裾をぎゅっと握っているヴィヴィオを見る。
用事を済まし、そろそろ戻ろうかと思ったのだが、さっきからヴィヴィオがずっとこうしているので帰るにも帰れない。
「すっかり懐かれたな」
シグナムは苦笑を浮かべながらなのはを見る。
ヴィヴィオはすっかりなのはに懐いてしまい、なのはがそろそろ戻るというと、うぅぅ~~~、と涙目を浮かべながらさっきからずっと服をつかんでなのはを見る。
さて、これはどうしようかと思ったときだった
「シャッハ、なのはさんはまだこちらにいますか?」
カリムから通信が入り、はい、とシャッハは頷く。
「それじゃあここで待っててもらえますか?もうすぐこちらにはやてとフェイトさんが言います。
ちょっと重要な話なのでなのはさんにも知ってもらいたいんです」
わかりました、とシャッハは頷いてから通信を切る。
なのはもこの話は聞いていて(ヴィヴィオはよく分からなかったらしい)、ヴィヴィオを見る。
「よかったですねヴィヴィオ、なのはさんはもう少しここにいてくれるみたいですよ」
シャッハは微笑みながら言って、ヴィヴィオもその意味を理解したのか、さっきまで泣きかけ立ったその顔はすっかり笑顔に変わる。
「この後はどうする?高町も話に混ざるとなると、私達二人で面倒を見ることになるが……」
そうですね、といって二人はなのはにべったりくっついているヴィヴィオを見る。
これはかなり大変な事だ、となのはを含め3人は思った。
カ「なのはさんとフェイトさんは機動六課が設立された本当の理由を知る」
シャ「その理由とはなんなのか」
ヴェ「その頃、町では一つの再開があった」
は「次回「予言」にテイクオフ」
カ「私達がこのコーナーに出るのは初めてね」
シャ「そうですね、ほとんどが機動六課の面々でしたから」
ヴェ「今後はいろんな人にやらせるらしいですよ」
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