Seed-NANOHA_まじかるしん_第40話

Last-modified: 2007-12-19 (水) 19:55:16

昼食も終わって30分ほどが過ぎた頃、シンとレイは訓練所に立っていた。
ようやく新形態がどのようなものなのかを試す時間が取れたのだ。
二人の間には六課の両部隊、そしてシャーリーもいた。
「それじゃあ始めるけど、何かあればすぐにやめるからね」
シャーリーの言葉に二人は頷く。
シャーリーの心配用に、なのはとフェイトは不思議そうにシャーリーを見る。
一体どうしたのだろうか。
「シン、まずは俺から行くぞ」
レイはそういってファントムを起動する。
「ドラグーン」
『了解、ドラグーン機動』
レイの周囲から何か突起物のようなものが出現する。
それはレイの周囲をとび、まるで自分で操るかのように動く。
「これがドラグーンか……扱いが難しいな」
いや、このドラグーンはレイが自分で操っているのだ。
このドラグーンは使用者の思い通りに動かす事ができる。
レイはドラグーンをなのはに用意してもらった試験で使うターゲットの周囲に配置する。
「そこだ!」
レイが指示すると、ドラグーンから魔法陣が展開し、そこから魔力弾が発射され、ターゲットを撃ち抜く。
撃ちもらしたターゲットがドラグーンに対して攻撃を行うが、レイはそれを器用に察知してドラグーンを動かして回避する。
「なるほど。上手く使いこなせればかなりの力になるね」
フェイトはドラグーンの利便性にただ頷くばかりだった。
「けど、あれだけの数を一斉に動かすとなると、かなりの集中力がいるし、
あのドラグーンを動かすにも魔力を使っているから、かなりの魔力を消費してしまう。
あれを操作しているうちは動かすのに集中しなきゃいけないから自身はあまり動けないから使う場所はかなり限られる」
ティアナのフェイスシルエットと違い、攻撃に徹しているので扱いはかなり難しくなる。これがドラグーンの難点である。
「ふぅ……」
レイ自身もドラグーンの扱いの難しさに驚いていた。
体にどっと疲れが襲う。
これをあの人は…ラウ・ル・クルーゼやムゥ・ラ・フラガ達は難なくからだの一部のように操り、
さらにはドラグーンを操りながら通常戦闘をもしていたのか。
「俺も、まだまだ及ばないと言うことか……」
だが、ドラグーンを動かすには才能がないと出来ないらしい。
レイは悔しさ半分、彼らに追いついてみたいという気持ち半分でドラグーンを解除する。
「レイ、大丈夫?」
なのはが近づいてきて、なんとか、と少し足をふらつかせながら立ち上がる。
「かなり扱いが難しそうだね」
「はい。ですが扱いきれない事はないと思います」
ようは慣れだ。
使っていくうちに、そのうちなれるだろう。
ラウはそうやって使いこなしていったと議長はいっていた。
だからゆっくりやればいい。確かに自分は老い先短いかもしれない。
しかし、だからといっていき急がなくてもいい。
自分達は仲間がいる。
「それじゃあ、次はシンだね」
なのはの言葉にシンは頷いて前に出る。
「お前は私が相手をしてやる。存分に来い」
そういって、シグナムが前に出た。
俺は模擬戦かよ、と思ったがデスティニーシルエットの場合はそっちのほうがいいかもと思った。
「シン、デスティニーシルエットを使うときは注意しろ。あれはドラグーン以上に魔力を使う上に、お前にも負担がかかる」
レイの忠告にわかってるとシンは言ってシグナムと対峙する。
それは自分もよく分かっている。
「インパルス、ディスティニーシルエットのプロテクトを外してくれ」
『わかりました、デスティニーシルエットの使用を許可します』
待機状態のインパルスは淡く光り、それを見たシンはシグナムを見る。

 

「インパルス、モビルジャケットセット」
シンは光、すでに見慣れたインパルスを見る。
「けど、あれってどうなってるのかしら、一度よく見てみたいわね」
「ですよね。けどあれは私にもよく分からないから……今度時間があるときに教えてもらおうかな」
マリーとシャーリーはモビルジャケットについていろいろと調べたそうにしている。
それをレイは見て少しそっぽを向く。
何か嫌な予感がしたのだ。
そんな事は梅雨知らず、シンはシグナムを見る。
「行くぞ!インパルス、デスティニーシルエット起動!」
シンはフォースでも、ソードでも、ブラストでもない、もう一つの形。
それは背中に大きな羽を出す。
「これがインパルスの新しい形態か」
シグなくはそう言ってレヴァンティンを構える。
「イフリート」
シンは背中にある二つの武器のうち、一つが動く。
折りたたまれているのでなにかわからなかったが、それがだんだんと姿を現し、一つの砲門になる。
シンはそれを持つと高く飛び上がり、イフリートを構える。
構えると同時に魔力陣が展開されカートリッジも4発消費すし、そこからおびただしいほどの砲撃が放たれる。
「この威力って……」
なのははシンから放たれる砲撃を見て、まさかと思う。
「こっちでもお計算したけど、威力はSランクほどのの威力はあります」
「え…Sランク!?」
確かシンは今AAランクぐらいのはずだ。
それなのに放たれたのはS-。
ティアナが使う多重弾殻射撃もAAランク級でBランクのティアナでも難しいはずなのだが、技術と単純な威力は全くの別物だ。
「このデスティニーシルエット、規定値かそれ以上の威力を出すために無理やり使用者の魔力を消費してるの」
つまり……
「なのはさんあたりが使えば普通どおりに使えることができるけど、
今のシンだとあまりに使用しすぎると普段よりかなり早く魔力が空っぽになっちゃうし、その反動もかなりのものになる」

 

「くっ!」
シンはその時の衝撃に苦しむ。
たしかに威力はありそうだが、その分反動もかなりのものだ。
それに魔力もかなり使い、一気に消費しているという感覚もある。
シグナムはシンがこのような砲撃を打つとは思いもよっていなかったが、すぐに我に帰りさっと避ける。
「アロンダイト!」
シンは先ほどの疲れを気にせず、もう一つの武器をだす。
もう一つの武器を手にもつとイフリートと同じように折りたたまれていたものが姿を現す。
それは自分の背丈よりも長いかなりの長さの大剣だった。
カートリッジを2発消費するとアロンダイトの刃の部分から魔力刃が展開される。
実刃部分と魔力刃部分で2重にダメージを与えるのだ。
「ミラージュコロイド展開!」
『残りの魔力を考えて3分しか展開できません』
「それでいい、一気に決める!」
シンはイフリートを排除すると、先ほどまで閉じられていた翼が開き、それと同時に魔力で出来た羽が展開される。
それと同時にカートリッジを消費するのだが、既に空っぽなので新しいカートリッジに入れ替える。
(ほんとに燃費が悪い……)
シンは悪態をつきながらアロンダイトを構える。
「このお!」
そしてシグナムのほうへと突撃する。
そのスピードはフォースインパルスのはるかに上回るスピードを持つ。
その時、シグナムは自分の目を疑った。
(分身してる?)
シンは自分の分身のようなものを作り出しながらシグナムへ迫る。
しかし、それはティアナのように周囲に散会させて出すのではなく、少しずつずれるように出している。
もしかしたら分身ではなのかもしれない。

 

「超重……」
シンはアロンダイトを構え、魔力を纏わせる。
「紫電……」
シグナムのカートリッジを消費し、レヴァンティンは炎を纏う。
シンはシグナムめがけて突撃し、シグナムもシンへと飛び上がる。
「斬!」
「一閃!」
二つの魔力がぶつかり、その力は増える一方だった。
そして、収束し続けた魔力は行き場を失って爆発する。
「どっちだ?」
一同は勝負の行方を見守ると、シグナムが高速で地面に叩きつけられる。
「ぐっ」
シグナムは叩きつけられた衝撃でうめくがすぐに立ち上がる。
よく見ると、シグナム、そしてレヴァンティンもぼろぼろだった。
「シグナム副隊長にあれだけダメージを与えるなんて」
エリオはシグナムを姿を見て驚く。
自分ではまずあれだけのダメージを与えるなんて到底出来ない。
だが、起き上がったシグナムは構えもせずにただエ無理を見ているだけだった。
その間にしな攻撃を加えたらどうするつもりなのだろうか。
「きまったな」
「うん」
ヴィータとなのはは何かがわかったようにだんだんと薄くなっている煙を見る。
「はあ……はあ……」
よくみると、そこにはモビルジャケットの色が灰色になっているシンがいた。
「もう、シンには戦うどころかほとんど魔力は残ってないよ」
なのはの言うとおりで、灰色になったインパルスが解除され、疲労の顔を隠さずにシンはゆっくりと降りていった。
「先ほどの一撃ですべての魔力を使ったか。
中々の威力だったがまだ私を倒すにはいたらなかったな」
シグナムは言うが、シンには聞こえているのかどうかわからないほど荒く呼吸している。
「ん?」
シグナムはシンの様子がおかしい事に気付く。
ゆらゆらとシンは少しずつゆれているのだ。
そのあと、シンはゆっくりと仰向けに倒れようとしていた。
「まったく、倒れるまで魔力を使うとはな」
そういってシグナムはシンを支える。
「シャマル、コイツを医務室へ運んでおいてくれ。相当疲れているようだ」
「わかったわ」
「なら俺が運ぼう」
そういって、人型になったザフィーラはシグナムからシンを受け取る。
「なるほどねえ」
なのははそういってシンとレイの新しい形態について考える。
レイのドラグーンは使い方によればかなり有効な遠距離からの攻撃が可能。
しかし、現在の状況ではその間レイは動く事ができず、魔力の消費も激しい。
一方シンのほうは簡単に言えば単純なパワーアップといったところか。
しかし、消費する魔力は尋常ではなく、乱発は不可能。
さらに現在の状態ではシン自身の負担もかなり大きい。
「ん~、しばらくはプロテクトをかけて、私達の許可がないと発動できないようにしないといけないかな」
「だな。特にシンの場合は使いどころを間違えると後がやばくなっちまう」
この事は後でシンに伝えておくことにして、まずはドラグーンについて尋ねるなのは。
「レイのドラグーンだっけ?あれぐらいならプロテクトをつけなくても大丈夫そうだけど、使いどころには気をつけてね」
「解りました。しかし隊長、シンのデスティニーなんですが、隊長権限でプロテクトをつけることはできません」
「え?」
レイはシャーリーに頼んで試しにドラグーンを隊長権限で解除するようにセットしてほしいと頼んだ。
シャーリーは頷いて設定を入れるのだがエラーが発生した。
モニターにはこう書かれている。

 

『ドラグーンシステムは開発者権限によりデバイス、および使用者でなければ発動、プロテクトは出来ない』
「つまり俺のドラグーン、そしてシンのデスティニーシルエットは隊長の権限での発動やロックは出来ません」
これもシステムを盗まれないためにごく最近採用されたセキュリティだと説明した。
「そうなんだ……」
ん~、となのはは考える。
「それじゃあ、シンにはよく言っておくしか出来ないんだね」
そういう事はちゃんと説明してほしいとなのはは思い、小さくため息をついた。

 

「ん……」
シンはふと気がつき目が覚める。
しかし、目覚めたわりには体が重い。
シンは何故こうなったのかを目覚めたばかりの頭で思い出し、ああと思い出す。
自分はデスティニーシルエットになり、すべての魔力を使い果たして眠ってしまったのだ。
「やっと目が覚めたか」
入り口から声が聞こえ、シンはそのほうを向くと、そこにはシグナムがいた。
「お前の戦い方の事で少し聞きたいことがあるが、いいか?」
シンは頷いたが、教官のなのはではなく、何故自分は教えるのは下手だといったシグナムなのだろうと不思議に思った。
「お前は炎の魔力変換能力を持っていたな」
シグナムの問いに頷くシン。
鳳凰天駆を見てわかるとおり、シンは炎の魔力変換能力を持つ。
「そしてお前の技、超重斬を受けて思ったのだが、
本来あれはお前の炎の魔力変換を使っての攻撃だと思うのだが、違うか?」
次の問いに、シンの動きはぎこちなくなりながらも頷く。
「俺、一応魔力変換は出来ますけどあんまり強力なものは出来ないんです」
そう、シンは魔力変換は出来るが、練りこみガ足りず、気つどの高いものは出せない。
だから、鳳凰天駆の用に、量を使っての攻撃をしていたのだ。
「やはりな、それで炎の圧縮が出来ず、仕方なくその代わりに魔力で応用しているのか」
「う……」
シンは気まずくなって黙り込んでしまう。
とうとうばれてしまった。
「いや、お前の攻めているのではない、逆に出来ないことを自分の出来るもので応用するその発想力はすごいものだと私は思う」
しかし、とシグナムの表情は険しくなる。
「お前はそれでいいのか?」
シグナムも炎の魔力変換を持つ。
同じ炎の魔力変換を持つものとして、今のままでいいのかとシグナムは尋ねに来たのだ。
「せっかくの能力だ。これでは宝の持ち腐れだぞ」
せっかくの能力もこれでは意味がない。
「解ってますけど……どうも苦手で」
「なら学べばいい。それに、技術を盗む事も大事だ。この程度なら私も多少は教えてやる事はできる」
ただ、実戦形式だがなと付け加える。
「つまりは、恐れずに使って少しずつなれろと?」
「まあ、そういうことだ」
ただ、無理はしないようにな、と付け加える。
それ以降、シンは練習のあと、少しだけシグナムの個人訓練(単なる暇つぶしにも見えない事はない)に付き合うことになるのだが、その事を知ったなのはに注意されたのもまた内緒である。

 
 

シ「俺達が新しい力を得て、新しい任務が言い渡される」
レ「任務辞退はそう難しいものではないが、突如乱入者が……」
な「じかい「ごっつええナンバーズ」……次回はギャグパート?」
フェ「かな?よくわからないけど」