Seed-NANOHA_神隠しStriker'S_第06話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 14:36:00

自分は平凡だ…。そう思う。決して過小評価しているわけじゃない。
最初の出動の時も…、それなりにうまくいったけど…。
ただそれだけだった。
毎日の訓練も…あんまり強くなっている実感がない。対した戦果を残せず、任務はうまくいった。
でも中には、優秀すぎる相棒がいて…。私の周囲には天才と…歴戦の勇者ばっかり…。
そして、最近見知った二人はコーディネイター何ていう特殊な存在。
時々、わからなくなる、自分はこの部隊に必要なのかどうか。
自分は数合わせなんじゃないないのかとも、この頃は感じるようになった。
でも、それを認めるのも悔しかったし、何より認めたくなかった。
認めたら、自分の中の何かが折れてしまいそうで…。
だから私は無茶をしてでも、自分の力を…自分は天才でも優秀でもないけど…出来るんだということをアピールしたかった。

「ほんなら、改めて…、今日の任務とここまでの流れのおさらいや。」
ミッドチルダ首都南東地区上空。
そのうえを飛ぶヘリの中で機動六課部隊長、はやてから直々に説明がされる。
リィン曹長はもちろん、スターズ隊長のなのは、ライトニング隊長のフェイトもこのヘリにのっているし、フォワードの隊員六名ものっている。
それから、今回はシャマルとザフィーラも一緒だ。
「これまで謎やったガジェットドローンの制作者、レリックの収集者は、現時点ではこの男…。」
モニターが開かれ、うつるのはジェイル・スカリエッティの写真。
「違法研究で、広域指名手配されている次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティの線を中心に操作をすすめる。」
はやてはいつになく低い声音でそういった。
「こっちの捜査は、主に私が進めるんだけど…。
皆も一応、覚えておいてね。」
フェイトの言葉に返事をする隊員たち。
すると、今度はリィンが画面を操作、写し出されたのは大きな建物だ。
「で、今日これから向かう先はここ…ホテル・アグスタ。」
「骨董美術品オークションの会場警備と人員警護…、それが今日のお仕事ね。」となのはが要点を述べる。
それからさらに説明があって、取引許可の降りているロストロギアがいくつもあり、その反応をレリックと誤認したガジェットが本会場に現れるかもしれないとのことから警備に呼ばれたのだそうだ。
それで、今回、スバル、ティアナ、シン、エリオ、キャロ、キラは会場の外を副隊長のヴィータとシグナムとともに警備するのが任務らしい。
隊長陣は館内警備にあたるそうだ。

そうこうしているうちに、ホテル・アグスタについてしまった隊員たちは、早速シグナムとヴィータの指示により、外回りの警護にあたる。
ティアナとスバル、シンは念話で会話をしながら適当に建物周辺を見ていた。
もちろん、ただ見ているのでは退屈なので念話で会話しながらだ。
「(でも、今日は八神隊長の守護騎士団全員集合かぁ…。)」
とスバル。
「(そうねぇ…あんたは結構詳しいわよね…。隊長たちや副隊長たちのこと…。)」
「(確か、スバルの父親が陸士部隊の三佐なんだろ?
なら色々聞いてて当たり前なんじゃないか?)」
ティアナにシンが言った。
「(うん、父さんやギンねぇに聞いたことがあるんだよね。
まぁ八神部隊長たちの能力とか詳しい事は特秘事項だから…。
私も詳しいことは知らないんだけど…)」
「(レアスキルもちの人はみんなそうよね…。)」
「(どうしたんだ?ティア)」
なんだか、ティアナの言い方が気になったのでシンが聞くが、ティアナは何でもないと言って念話をきった。
というわけでシンもスバルも警備に集中するが、そんな二人とは違い、一人、ティアナだけは足をとめ、考え込んでいた。
(六課の戦力は無敵を通り越して、明らかに異常だ。
八神部隊長がどんな裏技を使ったのか知らないけど…。
隊長格全員がオーバーS、副隊長たちだけでもニアSランク…。
他の隊員たちや管制だってエリートばっかり…。あの年でもうBランクをとってるエリオと…レアで強力な竜召喚士のキャロは二人ともフェイトさんの秘蔵っ子…。
危なっかしくはあっても、潜在能力と可能性の塊で優しい家族のバックアップもあるスバル。
それから、コーディネイターのシンとキラ。
この二人が言うコーディネイターが魔力資質とどう関係があるかはわからないけど…。
不明が多いデバイスとずば抜けた広範囲精密射撃に、遠、中、近距離と安定した戦いが出来るキラ。
近接戦闘において障壁を簡単に砕くスキルを持ち、尚且大威力砲撃魔法を持つシン。
やっぱり…うちの部隊で凡人は私だけかぁ…。)
うつ向いてしまうティアナ。しかし、直ぐに顔をあげ
(だけど、そんなの関係ない。私は…立ち止まる分けにはいかないんだ。)
と先程の考えを頭の隅においやり、自分にいい聞かせるティアナ。
それから、再び、周辺警備に集中するのだった。

ホテル・アグスタを取り囲むように生い茂っている森の一画に、ガッシリとした体格の男、ゼストとまだ幼い少女、ルーテシアはいた。
それから、その後ろには、相変わらずコートのフードを被ったすらりとした少年が立っている。
「ここか?お前の探し物は、ここにはないのだろう?」
威厳のありそうな低い声音でゼストはルーテシアに聞いてみた。
ルーテシアはそんなゼストの顔をじっと見つめる、いや、見上げてばかりいる。
「何か、気になるんじゃないか?」
フードを被ったままの少年が言う。
か細い声を出して頷くルーテシア。
すると、何か虫のようなものが、ルーテシアの差し出した指にとまり、何かを伝えるような動きをする。
「ドクターのおもちゃが…近付いてきてるって…。」
ルーテシアの言うとおり、ガジェットが近付いてきていた。

機動六課がそれに気付くのはすぐそのあとだ。
シャマルのデバイス、クラールヴィントが反応する。すぐさま、シャマルは機動六課本部へと通信を繋ぎ、シャーリーに連絡をとって、状況の説明を仰いだ。
『来ました、ガジェットドローン陸戦一型機影30、35!
陸戦三型2、3、4…。まだ増えます。』

その通信を受けたシグナムはエリオとキャロ、キラに指示を出す。
「ティアナの指揮で防衛ラインを設置する…。
私とザフィーラは迎撃にでるぞ。」
「心得た…。守りの要はお前たちだ。頼むぞ…・」
それだけ言うと、シグナムとザフィーラは現場へと向かった。
『前線各員へ、状況は広域防衛戦です。ロングアーチ1の管制指揮と合わせて、私、シャマルが指揮をとります。』
各員へと繋がるシャマルからの通信。
隊員たちは了解の通信を入れ、現場にそれぞれの場所に向かう。
ティアナは現場の状況を知るためにシャマルからデータをもらいに行く。

「スターズ2、ライトニング2でるぞ!!
それから、シンも前線だ。お前の魔法、パルマは役に立つしな。
後で合流だ!!」
『了解!スターズ5、シン・アスカ、デスティニー行きます!!』
緋い光を突き破り、バリアジャケットを装着したシンは翼を展開、飛翔を開始した。

次々と木を薙ぎ倒しながら現れるガジェット。
「私とシンでO型を潰す、お前は細かいの叩いてくれ。」
とシグナムはヴィータに指示を出す。
「シン、無理だと思ったら私を呼べ。いいな?」
「はいっ!」
シンが返事をすると三方向に散会する赤、緋、紫の光。
炸裂するシュワルベフリーゲン。
切り裂く、紫電。一瞬だけ輝きをます緋き閃光。
突きうがつ、鋼の軛。
前線メンバーの猛攻が始まった。
爆発がティアナや、スバルがいるところまで音と振動が響きわたる。
前線の様子を見ているスバルが歓声をあげる。
「ヴィータ副隊長たちとザフィーラ、シン、すごーい!!」
「これで、副隊長たちは能力リミッターつき…。」
驚きを隠せないティアナ。知らずのうち、拳を握っていた。

戦場とは少し離れた小高い場所に、ゼストとルーテシア、それからフードを被ったままの少年はいた。
爆発する様子を眺めている。
すると、不意にスカリエッティからの通信が入った。
『ご機嫌よう、騎士ゼスト、ルーテシア、アレックス。』
明らかに嫌悪を露にするゼスト、相変わらず変わらない表情のルーテシア、そして表情の見えない少年はそれぞれスカリエッティに挨拶を返す。
「何のようだ?」
『冷たいねぇ…、近くで様子を見ているんだろう?』
そんなゼストの態度を楽しむかのように笑みを浮かべるスカリエッティ。
『あのホテルにレリックは無さそうなんだが…実験材料として興味深い骨董が一つあるんだ…。
少し強力してはくれないかね?
君達なら…実に雑作もないことなんだが…。』
「断る、レリックが絡まぬ限り、互いに不可侵を守ると決めたはずだ。」
ゼストは拒否を示した。
『ルーテシアはどうだい?頼まれてくれないかな?』
半、猫撫で声の様な声でルーテシアにスカリエッティは聞く。
「いいよ…。」
『優しいなぁ…、ありがとう。
今度ぜひ、お茶とお菓子でもおごらせてくれ。
君のデバイス…アクスレビウスに私の欲しいもののデータを送ったよ。』
「うん、じゃあ…ご機嫌よう…ドクター…。」
『あぁ、ご機嫌よう、吉報を待っているよ?
それから…、アレックス…君も彼女に強力してやってくれ…。』
「分かりました。」
アレックスと呼ばれた少年はそれだけ言うと通信をきった。

コートを脱ぐルーテシア。そして、それをゼストにあずける。
「いいのか?」
とゼストはルーテシアに聞く。
「うん…、ゼストやアギトはドクターを嫌うけど…。私はドクターのことそんなに嫌いじゃないから…。」
「…俺は近くにいる魔導士を引き付けてくるから…。他のことは任せる…。」
アレックスは朱色の環状魔法陣を展開した。
アレックスの姿が見えなくなると同時に、召喚魔法陣をルーテシアは展開した。

「あっ!」
キャロが声をあげ、それに気付いたキラがどうしたのと寄ってくる。
「近くで、誰かが召喚を使ってる。」
『クラールヴィントのセンサーにも反応。だけど…この魔力反応って…。』
管制のモニターに写る魔力の反応が大きくなっていく。
『スターズ5とライトニング2が付近にいます。
原因の調査お願いできますか?』
「シン・アスカはヴィータと合流しろ、調査には私が行く。」
そういうとシグナムは飛翔を開始した。

ガジェットたちの動きが突然変わる。
今まで撃てば当たっていた攻撃が当たらない。
ヴィータは新人たちが心配なため、下がりながら戦う。
ザフィーラはヴィータの援護へと向かっている最中だ。
「くっそ~!!(キラ!!私が戻るまで、なんとか防衛を!!)」
『分かりました。』
ヴィータからの念話の直後、キャロが声をあげる。
「遠隔召喚…来ます!!」
キャロの言うとおり、姿を現すガジェット一型三十機、三型二機だ。
「これ、召喚魔法陣!?」
「召喚って、こんなことも出来るの?」
驚くエリオとスバル。
「優れた召喚士は転送魔法のエキスパートでもあるんです。」
キャロの言葉を聞きながらデバイスに弾をこめ、
「何でもいいわ、迎撃!行くわよ!!」
ティアナの声に、みんなが覇気の篭った返事をする。
(今までと同じだ…証明すればいいんだ!!)
クロスミラージュを構えるティアナ。
(自分の勇気と能力を証明して…、私はそれで、いつだってやって来た。)
オレンジ色の魔法陣が展開された。

『発生原因まであと300です!』
了解と、管制に伝えたところで、シグナムは急停止した。目の前をほとばしる朱色の奔流。
「……。」
そして、飛翔してくる謎の男。
「何だ?お前は…。」
シグナムがレヴァンティンの柄に手をかける。
男は答えない、返事の変わりに左腕に付属している盾から出た大型の魔力刃を
『シャイニングエッジ』
シグナムに向かって飛ばす。
音をたて、空気を切り裂く刃を紙一重でかわすシグナム。
「言葉は聞かんか!ならば…!!!」
弾き飛ばされる薬筒。
「紫電一線!!!」
刀身を中心に紫電を這わせ渦巻く炎。それを振り上げ、シグナムは向かっていった。

シンがヴィータのもとへと向かっていく途中、何か黒い陰が飛んでいくのを見た。
「おぉ、シン、いいところにきた。ここを任せてもいいか?
私は新人たちのが心配だから…。」
「はい!」
向かってくるガジェットを撃退しつつ、シンは返事をした。

ティアナが三発連続で撃つが、ガジェットに当たらない。
「くっ。」
ガジェットの攻撃を迎撃するティアナ。
「ティアナさん!!!」
キャロのがティアナに注意を促す。
すると背後にガジェットが三機。放たれる水色の弾をティアナは跳躍してかわす。
そして着地、すぐに反撃するが、アンチマギリンクフィールドにより防がれる。
『クスィフィアス』
ティアナのすぐ横を蒼い線が駆け抜け、ガジェットを破壊する。
「きりがないね…」
声のした方を見るとキラが着地したところだった。
「多分、全部を完璧に破壊するのは無理かもだけどあとは出来るだけやってみるから…。
ちょっと下がってて…。」
前後でフリーダムを連結させ、二発の薬筒を消費する。
『アグニ』
奔流を放ち、ガジェットの手前の地面を狙い砕いた粒手をぶつけ、そのまま奔流を動かしずらすことで広範囲にわたり瓦礫を飛ばし、ガジェットを破壊。
だが、まだまだ数が多い。
『もう少しだけ耐えて…。直ぐにヴィータ副隊長が行くから。』
シャマルからの通信。
スバル、キャロ、エリオが、はい!と答える。
「助かります。」
とキラ。
『フルバースト』
上空からロングレンジライフルでガジェットを撃墜していった。

しかし、ティアナは
「守ってばっかじゃ行き詰まります。ちゃんと全機落とします!!」
無茶しないでと管制から通信が入るが
「大丈夫です。そのために毎日、訓練してきてんですから!
エリオ、キラ、センターに下がって!私とスバルのツートップで行く!!」
ティアナが指揮でキラとエリオは後退する。
「スバル!!クロスシフトA行くわよ!」
「OK!!ティア!」
ウイングロードを使いガジェットを翻弄するスバル。
(証明するんだ!)
消費される左右二発ずつ、合計四発のカートリッジ。オレンジ色の環状魔法陣がティアナを中心発生する。
(特別な才能や、凄い魔力がなくたって、一流の隊長たちのいる部隊でだって、どんな危険な戦いだって…)
魔法陣と同色の無数の魔力弾が、ティアナの周囲を囲む。
(私は…ランスターの弾丸は…ちゃんと敵を撃ち抜けるんだって!)
スバルがガジェットたちを引き付けている間、キラとエリオ、キャロは別方向からのガジェットに対処する。
数は十ぐらいだ。エリオとキャロの連携により、三機を撃破。
残りの七機をキラが一掃する。

クロスミラージュの本体を魔力が電気の這うようなおとをたて、バチバチっと駆け抜ける。
『ティアナ!四発ロードなんて無茶だよ!それじゃティアナのクロスミラージュも!』
管制局員からの制止がかかるが
「撃てます!!」
『Yes』
ティアナとクロスミラージュが答える。
「クロスファイアー!!」
その声を合図に、スバルは攻撃範囲内からの離脱に入る。
「シュート!!!」
まさに一斉射撃。数多の魔力弾がティアナのコントロールにより滑らかな軌道を描いて対象へと向かっていく。
ガジェットを次々と破壊し、尚も咆哮をあげ、連射を続けるティアナ。
しかし、そのうちの一発がそれ、ウィングロードを走るスバルへと向かっていく。
「(スバル!!!避けろ!!)」突然のヴィータからの念話。
その尋常ではない様子に気付いたスバルは振り向いた。
見慣れた色の魔力弾がスバルに向かって飛んでくる。(あっ…)
そう思った時にはもう光はスバルの目前にまで迫ってきていた。

最速のスピードでグラーフアイゼンをふりかぶったままスバルを蒲おうとするが「(間に合わねぇ~!!!)」
スバルは目を閉じ歯を悔い縛った。
巻き起こる爆発。その衝撃によってウィングロードから落下するスバル。
そのスバルをヴィータがキャッチした。

目を開けるスバル。
「あれ?痛くない…。」
「あったりまえだ、当たらなかったんだからな。」
「ヴィータ副隊長…ありがとうございます。」
「礼なら、キラに言え…。」
そしてヴィータが怒声をあげる。
「ティアナ!!この馬鹿!!!!
無茶やった上に味方撃ってどうすんだ!!!」
地上には呆然と立ち尽くすティアナ。そこから少し離れたところでフリーダムの連結を解除するキラ。
「あ、あのヴィータ副隊長…。今のは自分が障壁を張るのが遅れて…。」
「ふざけろ…たこ!!直撃コースだよ、今のは…当たったらただじゃ済まなかったんだぞ!!」
スバルの言い訳にさらに怒りを募らせるヴィータ。
「あの…でも…。」
尚もティアナを蒲おうするスバル。
「うるせぇ馬鹿ども!もう…いい…、あとは私がやる。二人まとめてすっこんでろ!!!」
そのヴィータの言葉にまるで全てが終わってしまったようなそんな表情をするティアナだった。

「おぉぉ!!」
咆哮を上げ、男にレヴァンティンを見舞うシグナム。しかし、男は慌てる事もなくそれを盾を使って防ぐ。
押し合いが続く。
『アレックス、もういいよ…。戻ってきて…。』
ルーテシアからの通信を受け、アレックスはレヴァンティンを力で弾き飛ばす。
「…こいつ…!」
体勢を崩したシグナムにさらに追い討ちをかける。
『グリフォン』
アレックスの脛部に発生する魔力刃。そのままシグナムに向け、蹴りを放つ。
シグナムはレヴァンティンを使い、蹴りを止める。
『シャイニングエッジ・ビームブレイド』
盾の尖端部から魔力刃が発生、それを、縦一閃。
すかさず障壁を用いて防ぐシグナム。
『ブレフィスラケルタ&シュペールラケルタ』
大型の発射体リングに用意される一発の大型ランサー。
そしてその大型ランサーの左右のサイドには中型のランサーが用意される。
シグナムは目を見開く。レヴァンティンでグリフォンを防ぎ、障壁でシャイニングエッジを防いでいる。
回避は不可能、障壁で受けきるしかない。
「…撃て…ジャスティス」
『OK, boss』
発射体からバシュッと音をたて放たれる三つのランサー、大型ランサーと中型のランサーがシグナムの障壁に突き刺さり、尖端を貫通させる。
(ぐっ…これは…突貫に優れた攻撃…か?)
そして、障壁にランサーが突き刺さったままにシグナムは一気に後退させられていき、その隙に、アレックスはゼストたちの元へと向かい、行方をくらました。

地に散らばるたくさんのガジェットの残骸。
「おおし、全機撃墜。シンもよくやってくれたな。」
「はい、けど…何でこんなものが…こんなに…たくさん…。」
エクスカリバーの連結を解きながらシンがヴィータに聞くが、ヴィータも肩をすくめるだけだ。
「すまない、ヴィータ、ザフィーラ、シン・アスカ…。敵を追いきれなかった…。」
シグナムが空から降りてくる。
「元凶を発見次第叩こうとも思ったんだがな…。魔導士に阻まれた…。」
「シグナムが?」
ヴィータが驚く。
「あぁ、私たちとは違う魔法だ。障壁ごと吹き飛ばされてしまった。
データはもう管制に送ってあるから、あとでお前も目を通しておくといい。」
あぁ、と頷くヴィータ。
それから、周りを見回してティアナがいないことに気付いた。
「あれ?ティアナは?」
と聞くと後ろでだべっていたエリオとキャロがそれに答えた。
「裏手の警備に回るって…。」
「スバルさんとキラさんも一緒です。」
言い過ぎたかな…と複雑な表情をするヴィータであった。

ホテル・アグスタ、警備指定範囲裏手。
その建物の影に隠れるようにして立つスバルとティアナ。ティアナはスバルに背を向け、建物の陰を正面にして立っている。
キラはと言えば二人から少し離れて立っていた。
「ティア…向こう終わったみたいだよ?」
話かけずらい雰囲気の中、スバルは思いきってティアナに声をかける。
「私はここを警備してる…。あんたは…あっちいきなさいよ…。」
ぽつりとティアナ。
「ティアナ…、ティアナだけのせいじゃないよ…。
僕もちゃんとサポートに回れなかったから…ティアナ一人に負担がいっちゃって…。その…ごめんね…。」
「…キラも…いたんだ?」
ティアナは振り向かずに言った。
「…うん…。」
「…別にキラは悪くないじゃない…。スバルを助けたんだから…。
もう…いいから…行って…。」
「でも…」
とキラが言おうとするとスバルがそれを遮って声を上げた。
「ティアは…全然悪くないよ…。私がもっと…ちゃんと……。」
「いけっつってんでしょ!!!」
怒声をあげるティアナに圧倒され、キラもスバルも渋々とヴィータたちのもとヘと戻っていった。

予告
シン「次回はなのはさんにキラがぶっとばされる話だ!やった、やったよステラ!!」
キラ「何を勘違いしているの?白い悪魔にぶっとばされるのはシンくんの方だよ…。まったく、僕がとめてあげようと思ったのに…君は…。」
シン「何言ってるんですか、あんたは…。フェイトさんとヴィータさんにとめられたくせに…。
けど、俺は負けませんよ?
どんなに強い相手であろうと、今まで勝ってきたんだ!だから、今度も!!」

次回 シンとヤマトの神隠し~Striker's~
第七話 怒れる瞳(仮)

シン「白い悪魔は…俺が倒す。」

なのは「シンくん、キラくん…、あとでSLBだからね?」
キラ&シン「……。(いたのかぁぁぁ!?)(泣)」