Seed-NANOHA_140氏_第17話_後編

Last-modified: 2007-12-23 (日) 18:23:20

「シン。ちょっとええ?」

夕食も終わり、皆がリビングでくつろいでいるときに、はやてが話しかけてきた。

「何?」

そういえば、今日はなにかやけに考えてこんでたことを思い出す。

「いや、この前のことでちょっと……」

この前?なんのことだ、と思っているシンにはやてがいう。

「ほら、この前に『結局、人って運命からは逃れられないのかな』って言いよったやつ」

そういわれてああ、という。

少し前まで自分が考えていたことだった。

「あの時も言っただろ、ひとり言だから気にすんなよ」

こんな事をはやて達にはなしても意味が無い。

けど……とまだなんかいいたそうなはやて。

しかたない、といった感じで言う。

「これは俺の世界のことだから。はやてたちには無関係なんだ」

それシンの言葉を聞いて、はやては反論する。

「関係ないことないやろ?シンもうちの家族なんやけん」

すこし怒鳴ったようなはやての言い方に少し驚くシン。

そこで気になる。

「何でこそまで気になるんだよ」

シンは、はやてがそこまでいう理由がわからなかった。

そしてはやては寂しそうに言う。

「そやかて、家族の誰かが悩んどったらだれやって気になるやろ?」

まあ確かにそのとおりである。

だが、それだけの理由で言えるのだろうか。

そう思いシンは黙ったままでいる。

「ほな、シンはうち等のこと家族と思ってないん?」

そしてはやてから涙が出かけてる。

非常に気まずい雰囲気が漂う。

ヴィータを見ると、「これ以上はやてを泣かしたらたとえお前でもどうなるかわかってるんだろうな」と、言葉にしなくてもわかるほどこちらを睨みつけている。

それ以前に、シン自身どうも女性(しかも子供)の涙は苦手である。

「いや、そういうわけじゃなくて……」

ほなどういう意味?とさらに迫るはやて。

そんなはやてに、とうとうシンは根負けした。

「わかったよ、言えばいいんだろいえば!!」

そういったとたん、はやてはさっきの涙が嘘のように頬笑む。

作り涙じゃないだろうなというくらいに。

まあ言うっていったんだから言わなきゃ仕方がない。

そう思いシンは今時分が疑問に思っていること、そしてそれで自分が思っていることを話した。





「美由希、ちょっといいか?」

なのはの家も夕食が終わり、皆が話をしているところで、美由希は恭也に呼ばれてギクッとゆっくりと恭なりのほうを向く。

「なに、恭ちゃん?」

少しびくつきながら答える美由希。

そんなにあれが聞かれたくなかったのか。

「あの遊園地のチケット、何なんだ?」

やっぱりこの話か……そう思いながらどうしようかなーと思ったところ。

「どういうこと、恭也」

そこへ、桃子が話に加わり、結局全員が話を聞くことになった。

恭也が少し前のことを説明した。

美由希が稽古のために道場に向かおうとしたとき、何か紙があったから拾うと、遊園地のチケットがあって、それを美由希に見せたらものすごい勢いでチケットを取り自分の部屋に向かっていったことを。

どう説明しようか迷う美由希。

そこへ桃子が質問する。

「そのチケット、どうやって手に入れたの?」

桃子は、この遊園地は最近出来たばかりで、そこのチケットなんてなかなか手に入らないことを知っている。

まあそれくらいなら、なんとかいえるだろうと思った美由希は答える。

「えーと、友達が彼氏とその友達と行く予定なんだけど、なんか彼氏達のほうが急な予定があってだめだったから私達と緒に行こうってことになって」

ところどころ嘘と本当を混じり合わせて説明する美由希。

家族に片思いの人と行くなんて絶対恥ずかしくていえない。

……ってさっき私なんていった?片思い?

「そお、じゃあお友達と行くの?」

桃子の答えにそうそう、といいながらその場を離れようとする。

だが……

「美由希……」

桃子はコーヒーを飲みながら美由希を止める。

「家族に内緒事はともかく、嘘つくような子に育てた覚えはないわよ」

やっぱりばれてた。そう思いながら美由希は思う。

っていうか恭ちゃんが言うから最初から内緒に出来ないし…

しかし、元はといえばチケットを落とした自分が悪いのだから何もいえない。

「そうだぞ美由希。ちゃんと話してくれないと」

これが本当の四面楚歌、完全孤立といのだろうか。

観念して本当のことを話す美由希。

最近、シンにナンパされているところを助けてもらって以来、彼のことを考えていたこと。

そして、そのことを友達に話したらこのチケットをくれて誘って来いっていわれてその帰りに偶然シンに会い、チケットを渡したこと。

そのことを家族に話したら、桃子がなにかうれしそうに美由希に言う。



「美由希もとうとう春が来たのねー」

感慨深く桃子は言う。

ってちょっとまって、って美由希がいう。

「別に好きってわけじゃ……」

そういおうとしたが、速攻で美由希に否定される。

「そんなわけ無いでしょう。ただわからないだけど」

私もそうだったわあ、と桃子も懐かしく思い出す。

桃子の話を聞いて、だんだんと美由希の気持ちがかわって来る。

いまならなんとなくわかる。

自分はシンに好意を持っている。

「がんばってね、母さん、応援して得るからね」

家族が美由希の恋の成功をする中、なのはだけはどこか暗い顔をしている。

本当のことを言っていいのかどうか。

「なのは、どうした?」

士郎がなのはが暗くなっているのがわかり声をかける。

「ううん、なんでもない」

そういってその場を後にするなのは。

言えるはずが無い、それ以前に親にも話しているはずだ。それを知っていてああ言ってるのだろうか。

シンは別の世界の人間。いつかはこの世界とはお別れになる。

それは、姉の初恋が成就しないと意味がほぼ同じである。

それで、応援なんて自分は出来るはずがなかった。

シンもシンである。何故デートの誘いを受けたのだろうか。

まあシンの場合、ただ単にわからなかっただけなのかもしれないが……



シンははやて達に話した。

アースラにいたときのムゥとの話。

そしてエクステンデッドとステラの事。

そしてクローンであるレイ。

いろいろ考えて、結局人って言うのは、生まれたときから運命に逃れられないかもしれないという自分の考え。

話を聞いて、みんなが黙る。

そしてはやてがいう。

「なんやいってることようわからんけど……」

ほらやっぱり、そういった感じでシンははやてを見る。

しかし……

「シンがいっとった人は運命から逃れられないっていうんは間違いやと思う」

そういって寂しそうにはやてはいう。

「もしシンの言うとおりやったら、うちはもしかしたら既に死んどるかもしれんから」

いきなりのはやての言葉にシンは驚く。

はやても自分のことを説明した。

以前シグナムから、闇の書の関係ではやては足を満足に動かせないとは聞いた。

実は、下手をしたらそのままはやては死んでいたという事実を知る。



「あの時、なのはたちに会わなかったら、ほんとうにはやては死んでたかもしれない」

さらにシグナムたち、ヴォルケン何とかといったか、彼女らは最初はなのはたち時空管理局と敵対していたことも明らかとなる。

彼女達も、闇の書の一部として、ただ主の命に従うだけだった。

だが、はやては違った。

彼女は自分達を家族として迎えてくれたことを。

「せやから、人は運命から逃れられないっていうんは間違っとると思う」

はやてたちの話を始めて聞いて、シンは驚くしか出来なかった。

(はやてたちに、そんな過去があったなんて……)

過去といっても、半年くらい前の話なのだが……

そしてシャマルも言う

「その、ステラさん、でしたっけ。その人も最後は幸せだったんじゃないでしょうか?」

シャマルの言葉に、シンは疑問を抱かざる終えない。

「どういう意味だよ?」

さっきの話を聞いていなかったのか。

ステラは、本人が望まないまま戦うための身体に改造され、薬や特別なことをしないと生きていけない。

それのどこが幸せなのだろうか。

「だって、その人はあなたのことを慕ってたんでしょう?」

シャマルにそう言われて少し考える。

おそらく、自分はネオほどではないがステラに慕われて入ると思う。

「多分……」

「じゃあ、そんな人に看取ってもらえるんだから十分幸せじゃないのかな?」

その時に、ステラが最後に自分に言っくれた言葉を思い出す。

(シン……好き……)

だが、このときのステラの気持ちは自分にはわからない。

「そうだといいんだけど……」

そして、はやてあるものを取り出した。

「ちょっと聞きたいけどシン。これ何?」

そういって机に出されたのは美由希からもらったチケットだった。

「って、何でお前が持ってんだよ!!」

少し慌ててシンははやてに聞く。

ちゃんと自分の部屋の机の上に置いてあったはずだった。

……この時点である意味ばればれなのだが。

「シャマルが掃除しよったときに見つけたって」

そういって少しシャマルを睨む。

「で、これどしたん?」

いつの間にか警察官の取調室のような感じになっている。

そしてシンがぽつりと言う。

「もらったんだよ」

だれに?と聞くはやて。

何でここまで聞くんだよ、そう思うシンである。

「美由希だよ」

仕方なく言って、意外な人物に驚くはやて。

そしてシャマルが茶化す。



「もしかして…デート?」

だが、そのシャマルの返答も、シンはわからない。といった感じで答える。

「そもそも、なんでそんなんもらったん?」

はやての問いにそんなのこっちが聞きてーよ、そう思うシン。

それを聞いては?といった感じでシンを見るシグナム。

「おまえ、気付いてないのか?」

は?といいながらシグナムを見る。

「お前、私とあいつがナンパされてるのを助けてやっただろ」

最も、私は何もしなかったが、とシグナムは付け加える。

それを聞いて、たかがそれだけだろ?というシン。

その時、場が一瞬とまた感じがした。

わかりやすく言うと……

 時よとまれ!ザ・ワールド!!

こんな感じである。

「それだけって……十分すぎる気もするけど……」

みんなの反応に?といった感じで首をかしげるシン。

「もう少し、女性というのを学んだらどうだ?」

シグナムにそう言われたシンは、

(あんたにだけは絶対に言われたくない!!)

と心で叫んだ。

「じゃあ、土産よろしくな!!」

恋愛関係など全然わからないヴィータは、とりあえずシンに土産を請求した。

一応デートのはずなのだが……

「まあとりあえず楽しんできたら?」

そういってはやてはシンにチケットを返す。

もはやどちらが年上なのかわかったものではない。

そして、なんだかんだ言いながら時間が過ぎ、デートの当日がやって……