Seed-NANOHA_140氏_第22話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 18:27:22

「マユ君、準備はいいかね?」

クルーゼはパイロットスーツに着替えた後、クルーゼはマユに話しかける。

初めての魔法での実戦である。

さらにクルーゼから聞くと、MSが出てくるという。

「マユ、危なくなったら下がってなさい」

プレシアもやってきてマユを心配する。

「ほう、今回はあなたも出るのですか?」

クルーゼがプレシアに言う。

彼女も出るとはクルーゼも予想外だった。

「これもフェイトを戻すため。そしてアリシアのため」

もうアリシア復活のときは近づいている。

それまでにフェイトをこちらに引き寄せたい。

だからこそ自分が直接出向く。

「そうすれば、ちゃんとあなたの望みどおり、元の世界へ返してあげるわ」

クルーゼはそれを聞いて微笑する。

「もしそうなれば、マユ君はどうする?」

クルーゼに言われて、マユは考える。

元の世界に戻っても家族はいない。

そして、プレシアと約束した。

(プレシアが生き返ったら、お友達になってほしいの)

この約束を守るためにも……

「私は、ここに残ります。元の世界に戻っても、家族もいないですし…それに、アリシアちゃんの友達になるって約束もしましたし…」

それを聞いて、プレシアの胸が熱くなるのを感じる。

「そろそろ時間のようですな」

そういってクルーゼはプロヴィデンスに乗り込む

(面白くなるな……)

クルーゼはコックピットで笑う。

(がんばろう……)

マユは、自分の体内にあるデバイスに話しかける。

そのデバイスの名前は……

(がんばろう、ゼフォン)

『了解、マスター』

そう思い、クルーゼとマユは、次元転移で消えていった。

プレシアは、まずは傀儡兵を呼ぶ準備をする。



「そういえば、ちょうどあと1週間ですね。」

八神家で、シャマルはぽつりという。

「何が1週間なんだ?」

シンはシャマルに尋ねる。

「あと1週間で、はやてちゃんの誕生日なんですよ。」

そういわれて、ああと思い出すはやて。



「シグナムたちと出会ったんも、うちの誕生日やったな。もう1年になるんか…はやいなあ」

はやてはそう思いながらこれまでのことを思い返す。

彼女らと出会っていろいろなことがあった。

そして様々なものを自分にくれた。

シグナムたちもまた、はやてに様々なものをくれた。

「じゃあ、そのときはみんなでなんかせなあかんな」

そんな事を話していると、携帯電話のメールがなった。

その内容は……

「また傀儡兵が来たって」

それを聞いて、シグナムは思う。

「また、あのMSとやらが出てくるのか?」

そこまでははやてもわからない。

だが、とりあえずは早く現場に行くことが大事である。

そう思ってシンもアースラに行こうとしたとき、何かに呼ばれる感じがする。

「ん?」

そう思い、シンは自室にいて、例の空っぽのデバイスを手に取る。

どこか、懐かしくは無いがどこかできいた、安心感がある声。

(お守りとかそんなんじゃないけど……)

「おーい、早くいくぞ!」

ヴィータに呼ばれて、わかってるよ、と言って、シンはデバイスをポケットに入れる。

この空っぽのデバイスが、シンに新たなる運命、デスティニーを宿すことになる。



「敵の様子は?」

リンディはブリッジで様子を見る。

「海鳴市付近の上空に傀儡兵多数、それに、以前のロボットの反応」

それを聞いて、あいつか、とクロノが嘆く。

ラウ・ル・クルーゼとかいうやつが乗っているMSという名称のロボット。

さらに……

「え?…それと、魔術師の反応も確認しました」

エイミィの報告を聞いて、クロノとリンディは驚く。

これまで魔術師が出てくることは無かった。

「まさか、彼が言っていたことは本当?」

以前クルーゼという男が言っていた言葉、プレシアが生きている。

「けど、それにしてはそれほどの魔力は感知できないけど……別人かな……モニターに出します」

そこから見える映像を見て、一同は驚く。

確認された魔術師は、なのはくらいの年齢の子供だったから………



(また来たんだ……)

マユは、下を眺めながら思う。

2回目となるこの世界の地球。

しかし今回は、来た理由は違う。

とある人物をこちらに誘う、悪く言えば誘拐するようなものなのだ。



(なんか私、漫画とかの悪役みたいだな……)

だが、プレシアの願いはかなえたいと思う。

家族を失った悲しみは、自分が何よりも知っているから……

プレシアは少し遅れてから出てくるという。

「マユ君。危なくなったら下がるといい。傀儡兵はある程度は私でも指示できる。君を守らせることも出来るだろう」

クルーゼの言葉に、マユははい、と頷く。

魔法を使っての初めての戦い。

マユが今かなり緊張している。

『マスター、落ち着いてください。私がサポートします』

「ありがとう、ゼフォン」

その時、マユでも魔力の反応が確認された。

それと……

「モビルスーツ……」

見ると、空に2体、陸に1体。合計3体のMSがいた。

MSは別に配置した傀儡兵と戦っている。

そして魔術師と1体のMSがこちらに向かってくる。

そのなかで、マユは向こうの魔術師を見て驚く。

「え?なのはちゃんにはやてちゃん。それに…フェイトちゃんも!?」

マユは、この前来たときに出会った少女たちとの意外な再会に驚きを隠せない。

向こうもマユに気付いたのか、動きを止めた。

「え?マユちゃん?」

なのはたちも、正面にいるマユを見て驚く。

MSのほかに魔術師の反応と聞いて構えていたが、意外な人物になのはたちが驚く。

「どうしてマユちゃんがここに?」

他のメンバーも信じられないといった顔でマユを見る。

マユは黙ったまま3人を見る。

その時、向こうのMS、プロヴィデンスが動いた。

『フェイト・テスタロッサだな。以前君の使い魔から聞いたと思うが、君のお母様が呼んでいる。出来ればこのまま来て欲しいのだが』

クルーゼがそういって手に持っているライフルをフェイトに向ける。

その言葉にアルフが噛み付く。

「ふざけるな、あいつが今までフェイトにどんなことをしてきたのかわかってるのかい!」

今でも思い出されるフェイトに向けられた鞭の音、傷だらけのフェイト。

それに……

「あいつは、目の前でフェイトのことを大嫌いって言ったんだ!いまさらそんな事を言っても信じられるか!!」

それ以前に、コイツが本当のことを言っているのかどうかさえ疑わしい。

アルフを言っていることを聞いて、マユは不思議に思う。

確かに、彼女はどこか怖いイメージがある。

だが、自分には優しくしてくれている。

だからアルフの言っていることに疑問が残った。

その時、クルーゼがそろそろか、とつぶやく。

なのは達の周囲に雷が出現する。



「な、何?」

その時、アースラから通信が入る。

「気をつけて。かなりの魔力反応が!」

エイミィがそういったとき、マユの隣に空間が曲がるような現象が起こった。

そこから、一人の女性が現れる。

「うそ……」

その人物に、フェイトは驚く。

あのクルーゼが言っていたことが本当だということになる。

「かあ…さん……」

現れた人物は、プレシア・テスタロッサ本人であった。



「フェイト……」

プレシアはフェイトを見る。

改めで見ても、アリシアと姿は瓜二つ。

プレシアはフェイトに手を差し出す。

「フェイト、一緒に来なさい。アリシアもじきに生き返る」

今のプレシアの目は優しく、自分が持つアリシアの記憶あるプレシアの微笑みの顔だった。

「かあ……さ…ん……」

だが、ここでふと気付く。

アリシアが生き返る?そんなはずはない。死者が生き返るなんて、そんな……

変わりにアルフが言い放つ。

「いい加減にしな!アリシアはもう死んだんだよ!死んだものは二度と帰ってこない!」

はやてたちは、P・T事件のことを良く知らないため、話に入ってこれないでいる。

「いや、アリシアは生き返るわ……」

プレシアが小さく言う。

「あなた達には礼を言わなくちゃいけないわね」

彼女は、ジュエルシードを発動させてから今までのことを話す。

「結局、あれだけのジュエルシードじゃアルハザードにはいけなかったわ」

アルハザード、そもそもそんなものがあるかどうかすら分からない。

「そして、ジュエルシードによって私はあるところに飛ばされた」

そこは、自分も知らない空間で、捨てられた施設のようなところだった。

「そこで私は見つけたの。人を生き返らせる程の魔力を持つロストロギアを」

ロストロギアという言葉を聞いてなのは達は驚いたが、考えても見ればジュエルシード以上の力を使うのだったら別のロストロギアを使ってもおかしくない。

「そのロストロギアとはどんなものか試しているときだったわ、彼と出会ったのは…」

そういってプレシアはクルーゼを見る。

クルーゼは大破したプロヴィデンスで気を失っていた。

クルーゼ自身の瀕死の重傷を負っていたのだ。

プレシアは、ロストロギアの実験として瀕死のクルーゼを回復させた。

「なるほど、それでこいつが生きていたってことか!」

気付くと、3体のMSがプロヴィデンスに近づく。

アカツキは飛行能力は持たないので見上げることになるのだが……

「ふん、私にはお前が生きていることのほうが不思議なのだがな」

クルーゼは笑いながらムゥに問う。

クルーゼは、ムゥが乗っていたストライクが残骸となっているところを見た。

「まあそんな事はどうでもいい。それよりもだ……」

クルーゼはプロヴィデンスをレイの乗るレジェンドに向ける。

「以前の答えを聞こうか、レイ」



クルーゼの問に、レイは俯く、そして……

「ごめんなさいラウ……俺は、あなたとはいけない……」

そして……

「ラウ!俺達とコズミック・イラへ戻ろう!そしてデュランダル議長の下で世界を変えるんだ!」

そんなレイの言葉に、クルーゼは残念そうに言う。

「残念だよレイ……君だけは私の気持ちがわかってくれるはずだと思ったのに」

「ラウ……」

やはり、とレイは下を向く。

解ってはいた、解ってはいたのだが……

「クルーゼ、貴様、何をたくらんでいる!!」

ムゥの言葉に鼻で笑うクルーゼ。

「決まっているだろう。自分の世界に戻って、私を生んだ人類を粛清するのさ」

クルーゼの言葉を聞いて、皆が驚く。

それは、マユも同様であった。

「心配しなくてもいい、この世界へは手を出さないさ」

そういう問題ではない。

「所詮人など、滅ぶ存在なのだよ……」

そこへ、いままで黙っていたシンが動く。

「ふざけるな!アンタって人は!!」



あの翼を生えたMSのパイロットの声を聞いて、マユは呆然とする。

未だに家族の顔は思い出せない。

しかし、声は未だに覚えている。

「お……にいちゃん?……」

あの声は、自分の兄、シン・アスカと酷似していた。

マユはいてもたってもいられず、デスティニーのコックピットらしきところに近づく。

シンも、敵の魔術師がデスティニーに近づいてることに気付き、構える。

しかし……

「うそだろ……」

目の前の魔術師の姿に、シンは固まる。

その姿は、マユと瓜二つなのだ。

落ち着け、とシンは自分に念じる。

家族はあの時、2年前に死んだのだ。それが目の前に現れるはずがない。

第一自分は見たのだ。妹を、家族の無残な最期を。

しかし、さっきのようなクルーゼの例もある。

そこでシンがとった行動は、

「そこの魔術師……あんたの名前と生まれたところを言ってくれ」

これではっきりと解る。マユなのかどうか……

シンはコックピットを開き、向こうの魔術師を見る、

危険だということは解っている。解っているけど、どうしてもシンは知りたかった。

マユもコックピットから出てきた人物をみて、記憶のピースがそろう。

「お兄ちゃん……」

やっと思い出した、家族の顔

そして目の前にいる人物は、顔に傷があるが、紛れもなく自分の兄、シン・アスカだった。

兄が生きていた。

二度と会えないと思っていた人が。

マユは二重でうれしくなった。

彼女は、シンに近づこうとしたとき、

「さっきも言ったとおり、名前と生まれを言ってくれ」

それを見て、マユは驚いた顔でシンを見る。

確かに、兄の言っていることもわかる。

自分も、家族は死んでいると思った。

それは兄も同じで、そう思ってもおかしくはない、おかしくはないが、出来れば自分のように、すぐにわかってほしかった。

マユは、そんな兄に少し残念な気持ちを抱き、シンの問に答える。

「私の名前はマユ・アスカ。生まれは、オーブ……」

それを聞いて、シンは驚いた顔でマユを見る。

「わかってくれた?お兄ちゃん……」