Seed-NANOHA_140氏_第34話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:30:00

プロヴィデンスがアースラの前に現れてから程なく、レイとムゥが先に出現した。

その後、なのはたちも集まる。

プロヴィデンスはレイとムゥ、傀儡兵は魔術仕組が相手にすることになる。

シンは何故宇宙空間で生身で動けるのか聞いたら「次元空間だから宇宙とは違う」と簡単に言われた。

どこがちがうんだろうとおもったが、今はそんな事どうでもいいのでその問題はあと回し。

まずは傀儡兵を倒すのが先決だ。

ただ、傀儡兵もそんなにいるわけでもなく、正直全員が行かなくてもいいぐらいの人数だ。

いくらプロヴィデンスが強力なMSだといっても、少々おかしいところがある。

「おい坊主。何かおかしくないか?」

ムゥが感じた違和感にレイも頷く。

今回は何かプロヴィデンスの動きがおかしい。

どこか機械的な動きに見える。

それに、いつもならクルーゼは何かを論旨ながら戦うが、今回はやけに無口だ。

違和感の残るまま戦っている二人。

特によく戦っているムゥはわかる。

いつにも増して今回は弱い。

弱いというか、どこか動きが単調なのだ。

(あいつ、何かたくらんでるのか?)

そう思いつつ攻撃するムゥ。

ムゥが放つライフルは、プロヴィデンスにあたろうとするが、突如バリアのようなものが出てきて攻撃を無力化する。

「なんだよありゃあ!?」

あれは確か……魔術師が使うプロテクションといったか。

何故あんなものがあれに……

「さて、今の俺達の装備であれを貫けるか……」

レイは考える。

あれだけ大きなプロテクションなら防御力もなかなかのものだろう。

プロヴィデンスとシラヌイ装備のアカツキは多数の武器を持つが、一撃に重視した武装は持ち合わせていない。

そう思っていても仕方が無い。

とりあえず、2機はありったけの武器をやつに見舞おうとしたときだった。

「プロテクションなら任せてください!」

傀儡兵をあらかた片付けたなのは達も増援に駆けつけた。

なのははレイジングハートをバスター形態に変更させる。

「いくよ、ディバイーーン……」

なのはがチャージをしていると、プロヴィデンスは回避行動を取ろうとするが、それはレイとムゥがそれぞれドラグーンのシラヌイを使用して動きを止める。

そんなコンビネーションもあり……

「バスターーーーーー!!」

レイジングハートから放たれた砲撃は、まっすぐプロヴィデンスに向かい、プロテクションをもやすやすと破壊し直撃する。

もともとあんなバリアを破壊する特性があるのだろうか、とムゥとレイは唖然と見つめる。

しかし……



「あの程度で終るはずはないと思うが……」

半壊になっているプロヴィデンスをみてレイはつぶやく。

一撃であそこまで破壊する威力には参ったが、逆にそれが気になる。

『とりあえず敵は殲滅しました。皆さん帰還してください』

そういって、皆がアースラに戻ろうとしていたときだった。

「艦長、あの建造物に、巨大な魔力反応が!」

エイミィが観測すると、恐ろしいほどの魔力が、プレシアたちがいたと思われる場所から検出される。

なのはたちもすぐに戻ってブリッジに来る。

その時だった。

「聞こえているかね、管理局の諸君」

ふと、アースラにある人物の声が聞こえてきた。

その人物は、ラウ・ル・クルーゼだった。

「クルーゼ、さっきのはどういうことだ!」

ムゥが先の戦いの事を聞く。

ムゥの言葉に、クルーゼは笑いながら言う。

「簡単だよ、プレシア・テスタロッサにプロヴィデンスを傀儡兵にしてもらい、遠隔操作をしていたわけさ。いい時間稼ぎになったよ」

リンディはクルーゼの後ろにある巨大な水晶のようなものに気がつく。

おそらくあれがプレシアがアリシアを生き返らせるために使うロストロギアなのだろう。

「あなたはそのロストロギアを使ってどうするつもりなの?」

リンディの言葉に、クルーゼは笑いながら言う。

「そんな事は決まっている。このロストロギアの力を暴走させ、それで向こうの世界へ戻り、人類を抹殺するだけさ」

恐ろしい事を簡単に口にするクルーゼ。

だが……

「そんな事をすれば、お前だってどうなるかわからないんだぞ!」

クロノの叫びに、クルーゼは笑いながらいう。

「レイから話は聞いているのだろう?私たち二人はクローン者と年齢のせいで極端に寿命が短い。そして、もう私も残されている時間は少ない」

クルーゼは凶器の笑みを浮かべながらいう。

「だから、もう滅びかけているこの体などどうなってもいいのだよ。どうなろうと私の復讐さえ達成で着たらなあ!!」

狂ってる……その場にいる全員がそう思う。

「クルーゼさん……」

後ろからマユの声が聞こえ、後ろを向くとそこにはマユがいた。

「ごめんなさい。彼女が行きたいって言っていましたから……」

マユのいる医務室にもこの放送は流れていて、彼に会いたいとシャマルにいってきて、シャマルがつれてきたのだ。

クルーゼもマユが要るのとに気付き、少し温和な笑みを浮かべながらいう。

「マユ君。もう一度改めて礼を言おう。君のおかげで邪魔者を始末することが出来た」

そういって、マユはえ?とクルーゼ方を見て、今度はフェイトが睨みながら言う。

「母さんは…母さんはどこなんです!?」

フェイトの問に、クルーゼは笑いながら言う。

「彼女はこういっていたな。「もし今度フェイトに会えたら母親として接することが出来ると……」



プレシアが言っていた言葉をクルーゼは思い出す。

その時はほとんど盗み聞き状態だったが。

「だが、その夢も潰えてしまった……」

その言葉にフェイトは自分の体温が急上昇したように感じた。

だが、クロノは手を差し出して静まれと合図する。

出撃する前のことがあるので、フェイトは何とか心を落ち着かせる。

「お前は彼女を殺したのか?」

クロノの言葉にクルーゼは顔を買えず、笑いながら言う。

早くもロストロギアにでも影響されているのだろうか?

「ああ、彼女はもう用済みだからね。ずいぶんと役にはたってもらったよ」

ククク、といやみな笑みを出すクルーゼ。

それを聞いて、マユは気を失、シャマルが彼女を医務室へ運ぶ。

身近にいた人が死んでショックだったようだ。

フェイトもフェイトで今にも血管が切れそうな感じだった。

そこへフェイトの肩に手を置く人物がいた。

最初はアルフだろうと思って振り向けば、意外にもそれはレイだった。

「ラウ。俺はこの世界へ来て、ずっと考えました……自分が誰なのかを……」

レイはこの世界へ来て考えた事を話す。

「確かに、俺はアル・ダ・フラガが高齢なために元からテロメアが短いクローンの失敗作」

だが、とレイは言う。

「クローンはクローンでも俺は俺です。俺はあなたでもアル・ダ・フラガでもない。俺は、レイ・ザ・バレルです」

その言葉に、フェイト、そしてリンディが少し笑う。

「レイ、最後のチャンスを与えようかと思ったが、残念だよ……」

クルーゼは残念そうに言う。

「俺の世界には、守りたい人がいる。ですから、例え相手があなたでも、もう容赦はしません!」

これが、レイが自分自分であろうとした瞬間だった。

「シン。礼を言う」

シンはいきなりレイに例を言われ戸惑う。

「俺がこの答えを出したのは、フェイトや艦長のおかげでもあり、お前のおかげでもある。お前が、エクステンデットの少女を返したときの言葉を思い出す」

その時のシンは、ステラを普通の人として救おうとした。

「シン、お前にとって俺は何だ?」

レイに言われて、シンは言う。

「何言ってんだよレイ。俺達は仲間で、友達だろ」

そういうシンの答えに、レイは静かに言う。

「ありがとう」

その言葉にシンはぎょっとする。

あのレイからありがとうという言葉が出るとは思わなかった。

クルーゼもクルーゼで、レイを驚いた目で見る。

だが、すぐに顔をさっきのように微笑を浮かべる。

「ならば、ここで全員塵になるがいい。既に準備が出来ている。後は鍵を開けるだけだ」

そして、高笑いとともにモニターは消えていく。



皆はこれがこの事件最後の戦いだという事を思う。

リンディは大きく息を吸う。

「これより、作戦は最終段階に入ります。作戦は敵地に乗り込み、ロストロギアとラウ・ル・クルーゼの確保。各部隊員は準備ができ次第転送します。各院、転送準備」

そういって、アースラ館内は騒ぎ出す。

なのはたちも準備をしようとしたとき。

「ちょっといいか」

フェイトはレイに呼び止められた。

「あの時は言い過ぎた、すまない」

レイはそういって以前に言ったフェイトへの暴言の事をわびる。

レイの言葉にえ、とフェイトはどぎまぎするのだった。

「これが最後の戦い……」

シンは少し緊張しながら思う。

軍人であるシンにいまさら緊張するなといいたいが、これが最後といわれると、緊張するのも無理はない。

「アスカ、無理はするなよ。お前はまだ初心者もいいところだからな、集団戦なんてしたこと無いだろう」

シグナムの言葉に、シンはわかってるよ、という。

「まあ、死なないように何とかするさ。こんなところじゃ死ねないしな」

こんなところで死ぬわけにもいかない……

「そういえば、この戦いも終ればお前たちとも別れるんだよな……」

シンは少し笑みを浮かべながら言う。

「最近、はやてやヴィータがやけによって来るんだよ。やっぱり寂しいんだろうな……」

そんなシンの言葉を、シグナムは黙って聞く。

「こういうときに、早くもとの世界へ戻りたいって思うのはおかしいのかな?」

そういってシンは話しをするのをやめる。

最初は割り切っていたが、別れのときが近づくとその気持ちが少し揺らいでくるのが自分でもわかる。

そんなシンにシグナムが静かに答える。

「元の世界には、お前を待て要る人がいるのだろう?なら戻ればいい。主もヴィータもわかっている」

そのシグナムの言葉に、そうだよな、といってもう一度笑う。

それと、とシグナムは言葉を付け足す。

「主やヴィータだけではない。なのはやテスタロッサだってそうだ。そして、私もな」

最後の言葉に、シンは意外だと思い少し噴出す。

実際、シャマルやザフィーラもそうだろう。

そして、自分がそんな事を言うのが恥ずかしくなってくる。

「だから、早くこの件を終らせて、戻って早く元気な姿を見せてやれ」

シグナムの言葉にわかったよ、と言うシン。

だが、そのためにも早くこの件を終らせなくてはいけない。

そう新たに誓うシンであった。