Seed-NANOHA_tiger氏_第04話

Last-modified: 2007-11-18 (日) 16:14:04

H.17時空管理局少年達は新たな力を手に入れる。
魔法の力、自らの命運を握る鍵の力だった。
そして始まる新たな生活、少年たちは、どう生き抜いていくのか・・・

Side by Kira Yamato

「うっ・・・」

キラは方陣から歩みを進めるが少しふらついている。
転移魔法の感覚にはまだ慣れていないようだった。
不意にポケットに手を突っ込むとメモが入っていた。

「キラ君へ、目の前のマンションの***号室にいってフェイトさんと合流してください。
                              リンディ・ハラオウン」

フェイト・・・あの金髪の女の子か・・・この世界で出会ったはじめての住人を思い出しながら
キラはマンションへと向かった。

「えーとこの階・・・でいいんだよな。」

ブツブツと自分に問いながらキラ書面の号室の扉までくる。
ピンポーン少し間抜けな音のチャイムを鳴らす。

「誰だい?」

聞きなれた声とは違う声が帰ってくる。

「あの・・・今日からここでお世話になるキラ・ヤマトです・・・。」

「あぁ、フェイトから話は聞いているよ。どうした?ほら入んな。」

「お・・・お邪魔します・・・。」

少し緊張してきたがとりあえず入ることができた。
ひとまず安心すると奥から今度は聞きなれた少女の声が聞こえてくる。

「アルフ、お客さん?・・・あ!」

金髪の少女がキラを見つけて声をあげる。

「えっと、始めまして・・・じゃないよね・・・。」

「は・・・はい。え、えと・・・あの・・・。」

「大丈夫?顔真っ赤だよ?」

「う・・・。」

それっきりフェイトは黙ってしまう。
これじゃ立場が逆だ、などとキラはすこし吹きだした。

「クスクス・・・ごめん・・・僕はキラ・ヤマト、君がフェイトちゃんであってるよね?」

「は、はい。あの、よろしくお願いします。」

「そんな堅苦しくしないで、普通にしゃべってくれればいいから。」

とりあえず最初の挨拶は成功のようだった。

しばし会話をかわしていたキラはさっき玄関先にいた女性がいないのに気づいた。

「そういえばさっき玄関にいたのはお姉さん?姿が見えないけど…。」

「アルフのこと?アルフは・・・うーん、大切な友達だよ。」

「アタシならここだよ。」

子犬がしゃべっている、いや、次の瞬間には人間の姿になっている。

「アルフさんも魔道師…ですか?」

「アタシはフェイトを守る使い魔さ・・・魔道師とはちょっと異なるかもね。」

離し終えたとたん子犬の姿に戻ると耳が鋭くピクッと動いた。

「おや…なにかいるねぇ…。」

壁に向かって飛びつくとそこから何か飛び立った

「ちぃ!逃がした!」

ゴキブリだった。

「え?アルフ…?うわっ!!」

フェイトのすぐそばをゴキブリが飛び去っていく。

「虫・・・苦手なんだけどなぁ。」

「ちょっと待って、ビニールか何かあるかな?」

新聞紙とスプレーを手に持ったフェイトを見てキラが変わりを買って出る。
ビニールを手にするとキラはゴキブリに向かって丸めた新聞紙を一つ投げつけるがあっさりかわされる。
しかし、キラは狙っていたかのように飛び出したゴキブリをビニールでキャッチし口を縛った。

「す…凄い…。」

「さてと、どうするこれ?食べる?」

「い…いやどうするって…食べる?!」

フェイトが混乱するのを見てキラはちょっと悪いことをしたような気になった。

「あはは…冗談だよ!」

「なんだ…。」

フェイトがホッとした様子なのを見るとついつい笑いがこみ上げてくる。
元いた世界でもこんなだったらどんなに楽しいだろう。今、自分がいる場所こそが平和なのだ。
その後キラはゴキブリを近くの公園で解放して夕飯の準備の手伝いにとりかかっていた。

「キラさんは何が食べたいですか?」

「うーん、なんでもいいよ。」

「好きな物とかないんですか?!」

少しムッとした様子でフェイトが問う。

「じゃキャベツあるかな?」

「いろいろ買ってきたから大抵のものはあるよ。」

「なら、ロールキャベツをお願いしようかな。」

「はい。」

今度は笑顔だ。表情がコロコロ変わる様子はとても可愛い。
キラはあのピンク色の髪の色白の少女と目の前の少女とを重ねていた。

「ご馳走様、おいしかったよ。」

「あ…ありがとう…ございます。」

大抵自分とアルフで食事をとっていたフェイトは人に自分の料理がおいしかったなんて
誉められたのは始めてだった。(キラも手伝いをかなり頑張ってはいたが)

「明日は学校かな?」

「はい。」

「じゃあ、そろそろ寝ないとだね。えっと…僕はどこで寝ればいいかな?」

「クロノの部屋が空いてるんでとりあえず自由に使ってください。」

「うん。ありがとう。明日は何時に起きればいいかな?」

「魔法の練習もあるんでなるべくはやく…そうだなー…5時30分ぐらい。」

「うん、わかった。お休みフェイトちゃん。」

「はい、おやすみなさい。」

二人と一匹は挨拶を交わし眠りについた。

「うーん…。」

フェイトは自室のベッドで目を覚ました。

「ちょっと…寝坊したかな…?」

着替えと歯磨きを済ませてリビングの扉を開ける。

「あ、おはようフェイトちゃん。」

「おはようございます…キラさん…。」

「ま…まだ眠そうだね…大丈夫?」

「はい…。」

少しボーっとしているフェイトをキラが気遣う。

「とりあえず朝ご飯にしてそれから出かけよう。」

バルトフェルドに教わった入れ方を少しアレンジ(と言ってもミルクと砂糖の量を増やしただけだが)
したコーヒーを手渡しながら予定を話す。

「ありがとうございます。」

「どうかな?」

「あったかくておいしいです。」

「よかった。少し自身無かったんだ。アルフさんはこれどうぞ。」

ホットミルクをトレイに注ぐ

「気が利くじゃないか。」

アルフはそれをすぐに飲み干してしまった。

朝ご飯を済ますと二人と一匹は近くの公園へと向かった。

AM6:00海鳴臨海公園

「アルフ少しでいいから結界お願いね。」

「アイヨ。」

数10メートルの範囲の結界が張られる。

「えっと…よろしくお願いします。」

昨晩は友達のように会話していたが仮にも物を教わる立場に
あるので挨拶は丁寧にする

(訓練の為にも指示は念話でするよ。)

(わかった、こうやって相手と意識を糸電話みたいにすれば伝わるんだよね?)

(うん大丈夫、聞こえてるよ。)

キラがこれから教わるのは転移魔法だ。
最初は数メートルおきに転移し徐々に距離を伸ばしていくと言うものだった。

(ここの時限座標は**********で最後の2桁をちょっとずらせば小距離での転移も出来ます。)

(大丈夫かな…。)

(えっと、見てますからやってみてください。)

(うん。)

「時限座標**********…転移開始…。」

キラの魔方陣はミッド式でクロノと同じ透き通るような水色だ。
一度キラの姿が消えたと思うと数メートル先に同じ魔方陣が展開しそこにキラも現れる。

(やった…のかな?)

(一発で決めちゃった…。)

(説明がわかりやすかったからだよ。)

(ううん、キラさんに才能があるんだよきっと。)

(そ…そうかな?ありがと。次はなにをすればいい?)

(もうちょっと距離を伸ばして、練習の繰り返しかな。)

(じゃあ次は**ぐらいでいいかな…。)

「時限座標**********…転移!」

キラは念話と転移はあっというまに習得出来そうだった。
今ごろシンやアスランも練習してるのだろうか、そんなことを考える余裕さえ生まれていた。
その後練習を終えたキラはフェイトを学校へ送った後マンションへと戻った。

H.17海鳴、
力の使い方をそれぞれの少年は学び始めた。
何の為に与えられた力なのか、それをどう使うか、それぞれの思いは一つだった。