Seed-NANOHA_tiger氏_第04話_アスランSide

Last-modified: 2007-12-24 (月) 14:25:27

H.17時空管理局少年達は新たな力を手に入れる。
魔法の力、自らの命運を握る鍵の力だった。
そして始まる新たな生活少年たちは、どう生き抜いていくのか・・・

Side by Athrun Zara

「ここが海鳴か…。」

転移魔法によって海鳴の路地裏に送られたアスランは、
キラと同じようにポケットに入ったメモを見てすでに動き出していた。
メモにはこうあった。

「アスラン君へ、あなたの行き先は海鳴市**-**の家です。
         表札には八神と書いてあるからまちがえないように。
                            リンディ・ハラオウン」

「八神…ここか?」

自問自答しつつドアを叩く。

「誰だ?」

「八神はやてさんのお宅はここですか?」

ドア一枚分の向こうからどこか刺のある女性の声が帰ってくる。

「確かにそうだが…魔力のあるものをやすやすといれる訳にはいかんっ!!」

「!!」

声と同時にドアがバンと開き、中からピンク色の髪の女性が剣を手に斬りかかって来る。
すんでの所で飛びのき塀の上に着地した、自分がコーディネイターじゃなかったら
間違い無く真っ二つにされていただろう。

「待て!!俺は…」

「問答無用っ!!」

(シグナム!!その人に攻撃したらあかん!)

次はかわせないだろう、そう思っていたアスランだが、刃はピタリと空で止まっていた。

「あ…主?・・・しかし…。」

「ごめんな、アスランさん。シグナムに悪気はなかったんよ。」

後ろから大人の女性と少女が現れる。

「いや…なんとなくだがなんで攻撃されたかわかるよ…。」

ホッと胸を撫で下ろし塀からヒラリと飛び降りる。

「シグナムまたむやみに攻撃したでしょう?」

「ぐ…い…いきなり魔力を持つ者が来たらしかたなかろう!」

「ええんよシャマル、私が言わなかったのがいけないんやし。」

「はやてちゃんがそういうなら…。」

「あ…あの…あなた達は…?」

自分だけ取り残されているアスランが初対面の面々に問う。

「あ、すみません。私八神はやていいます、こっちはシグナムでこっちは…」

「シャマルです。」

「始めまして、アスラン・ザラです。」

「まぁ立ち話も難やからとりあえず中入って、お茶にしよ。」

「あ…主?」

シグナムとよばれた女性が姿に似合わず頭上にハテナマークを浮かべている。

「シグナムも説明は後や、さ早う中入って。」

4人は家へと入った。

それぞれ各自説明をうけ終えしばし沈黙が訪れる。

「え…えと…私実はアスランさんとは初対面ではないんですよ。」

なんとかシャマルが話を続けようとする。

「怪我をしてるアスランさんの治療をしたのは私なんです。」

「そ…そうなんですか?・・・ありがとうございます。」

「いいえ、どういたしまして。」

「ほんとは後二人いるんやけど、仕事で帰りは遅くなるから自己紹介はそのときや。」

「はい…あ、そうだ、この辺で電子機器をうってる店はありますか?」

「あるけどなにするん?お金もあらへんのに…?」

「ええちょっと…。」

笑顔で答える。

「ならええよ。はい、あんま無駄使いせえへんように!」

「わかった。じゃあちょっと出かけてくるよ。」

「いってらっしゃい。」

「気をつけて…」

アスランは
家電量販店へと向かう。

「なぁシグナム、シャマル、アスラン君のことどう思う?」

「は?どうとはどういう…。」

「だから男として…。」

笑顔でさらっととんでもないことを聴いてくるはやてに二人は調子をくずす。

「いい人そうですけど…。」

「我々は守護騎士です。そんな感情は…」

「あるやろ、顔にそう書いてある。」

シグナムもシャマルも自分の顔が赤面しているのに気づかなかった。

同時刻、海鳴電気…

「結構買ったな…。」

両手になにやら金属とコードとチップの入った袋を抱えてアスランは店をでる。
どうやらなにか作るらしい。
思いのほか店が近かったので数分で家に着く。

「ただいま。」

「あ、お…お帰りなさい。」

シャマルがまだ少し赤い顔で返事をする。

「?どうか…しましたか?」

「な…何でもありませんっ!!」

なんなんだ…。と考えつつ部屋に入る。

「どやった?何買ってきたか見せて!」

はやてが楽しそうに話し掛けてくる。
袋をテーブルに広げて中身を見せる。

「鉄板にコード…何に使うん?これ?」

「秘密です。パソコンとドライバーを借りてもいいですか?」

「ええよ。ドライバーは棚でパソコンはシグナムの部屋に置いてある。」

「ありがとう。」

とりあえずアスランは部品を持ってシグナムの部屋へ向かう。

「アスラン・ザラです。」

ノックし挨拶をする。

「ん、入れ。」

カチャリとドアをあけて中に入るとシグナムが椅子に腰掛けて本を読んでいた。

「パソコン借りますよ。」

「ああ、」

そっけない返事が帰ってくる。
ブーンとパソコンの起動音がしてパソコンがたちあがる。
パーツを取り出して次々に組み上げていく。
するとなにやら興味ありげな顔をしたシグナムが話し掛けてくる。

「機用だな。慣れているのか?」

「元の世界では毎年作ってましたから…。」

「そうか、邪魔して済まなかった。」

「いえ、邪魔なんてこちらこそ…」

最初があんなだったとはとても想像できないくらい
軽く会話できるようになっていた。

数時間後…

「よし、出来た!」

「ん、出来たのか?」

「はい。これですよ。」

するとアスランの手元から丸く可愛らしいロボットが飛び出す。
白と青のハロだ。

「ハロハロ!アカンデー!」

「なんだ?この間抜けなロボットは?」

「ハロです。皆さんに。」

「……。」

「アスラーン!!」

途端にハロがアスランの手元に帰ってくる。

「じゃ下行きますか。」

「あぁ。」

ハロを持って二人は階段を降りる。
下ではシャマルとはやてが夕飯の支度をしていた。

「はやてちゃん、ちょっと来てみて。」

「何?なんかあったん?」

「はい、これプレゼント。」

「ハロハロ!はやて!!ダーイスキ!」

相変わらずピョンピョン跳ねながらはやての手元にハロが収まる。

「うわー可愛い!ええの、ほんまに?!」

「もちろん。」

隣ではシグナムが笑っている、ふいにめがあうとお互いニッコリと笑う。
だがシグナムはすぐはやての方へ向きかえる

「主、ヴィータとザフィーラは帰りは深夜になると…。」

「そっか、まぁしょうがない。ここにいるメンバーだけで歓迎会しよか!」

「ザンネン!!ザンネン!!」

ハロがピョンピョン跳ねつづけている。
はやてはそれを大事そうにキャッチすると又キッチンの方へ向かった。

翌日…
下から物凄い怒鳴り声が聞こえてきて
アスランは起こされる。
声の主はどうやらはやてのようだった。

「ヴィータの馬鹿!!なんでこんなことするん!」

「だ…だってはやて…。」

「もうヴィータなんか嫌いや!あっちいって!」

「はやてぇ!」

もう一人の少女は泣きそうになっている。
アスランが歩みよろうとするがシグナムに制される。
かわってシャマルが歩み寄る

「はやてちゃん…ちょっとそれは言い過ぎでは…。」

「マスターは私や!私がどうしようと私の勝手や!!」

「でてって…」

「え?はやて…」

「はよこっからでてって!もうヴィータなんかいらへん!!」

涙交じりの声ではやてが叫ぶ

「…っ!!わけわかんねーっ!!」

もう一方の少女もかけでていってしまった。

「いったいなにがあったんです?朝からこんな…。」

するとシグナムが答える。

「それが…テーブルの上を見ろ。」

昨晩までは激しく飛び回っていたハロが機能停止している。
アスランは何が合ったのか察しシグナムの手をのけて前へと進む

「はやてちゃん…さっきの子…。」

「ほっといて!アスラン君は黙ってて!」

するとはやての頬に平手打ちが飛んでくる。
パンッ…!

「自分勝手ばかり言うな!それに…あれを作ったのは俺だ、こんな状況でほっとけるか…」

「だって!!ヴィータが…!」

なおも反論してくるはやてにアスランは思いっきり怒鳴りつける。

「それに…さっきの子に言った言葉…あれを言ってあの子がどれだけ傷つくかわかっていったのか?!」

「う…ご…ごめんなさい…。」

そう言うと少女の頬を大粒の涙が次々零れ落ちる。

「…!いや、わかればいい、殴ってすまなかった。けど誤るのは俺じゃないだろう・・・ちがうか?」

「はい…。」

「ハロも大丈夫だ、ちょっと接触に問題が出ただけですぐ直る。」

そう言うとハロを少しづつ分解し始める。

「す…凄い勢いで怒るな…。」

アスランの怒涛の勢いに流石のシグナムも目が点になっている。

「向こうで似たような聴かん子を扱ってましたからね…。うん、これでいいかな。」

物の数分で直すと出かける支度を始める。

「さ、さっきの娘を探しに行こう。名前は?」

「ヴィータだ。私も行こう。」

「シャマルさんははやてちゃんについててください。俺が必ずつれて戻ります。」

「はい。」

「ごめん…ごめんな…。」

はやてはずっと泣いていた。

近くの公園では同じようにヴィータが花壇に腰掛けて泣いていた。

「なんだよ…あんなに怒ることないじゃないか…。」

別に悪気があった訳じゃない、ただ任務を終えて家に帰ると変なロボットがいて
思いっきり突っ込んでくるから条件反射で地面に叩き落してしまったのである。

「…タ!ヴィーターッ!」

「シグナム?!シグナムーッ!!」

シグナムに居場所を告げようとするがどうやら聞こえてないようだ。
そのうしろから更に一人男も駆けて来る。

「ヴィータちゃーん!!」

「ザフィーラ?!違うな…。」

「シグナムーッ!」

数分前…

アスラン達はあれからずっと探していたがなかなかみつけられなかった。
シグナムが行きそうな場所を手当たり次第さがしやっと公園までたどり着いたのだ。

「いないな…移動するか?」

するとアスランの耳に声が聞こえてくる。
ふっと笑うと返答する。

「いや…いましたよ…。」

声の聞こえたほうを指差すとヴィータが駆けて来る。

「ヴィータ!大丈夫か?」

「はやては…それにコイツ…。」

「アスラン・ザラだ。大丈夫、もうハロも直ったしはやてちゃんも怒ってない。」

「ほんとか?!シグナム?!」

「ああ。」

「帰ろう、皆待ってるぞ。」

アスランが笑顔で語り掛ける

「お前いい奴だなアスラン!」

呼び捨てか…まぁいいか…そう心の中で呟くと
ヴィータの手を引いて八神家へと向かった。
その後二人は無事仲直りし事態は事無きを得た。
そして数日がたちアスランも魔法の特訓が始まったのだった。

H.17海鳴、
力の使い方をそれぞれの少年は学び始めた。
何の為に与えられた力なのか、それをどう使うか、それぞれの思いは一つだった。