気付けば私は見知らぬ場所にいた。
私は宇宙にて我が友、──張 五飛──と対峙して敗れた筈であった。しかし、私は地球にいたのだ。
私は様々な事を調べ、此処は私の知る地球ではないという事を知った。
おとぎ話に多数ある話ではあるが、私は異世界に来てしまったのだ。
何故なのかは分からない。世界が私を敗者とは認めなかったのだろうか?
自問しても答えは出ない。いや、自問する事に意味はない。
私が出来ることは少ない。
地球を愛する事。平和の為の礎となり、信念のままに死ぬ事のみ。
かつて私が愛した女性、レイアは地球を深く愛した。私も同様に世界を愛する。
戦乱が起きぬ様に戦乱を起こし、その責を負う。
それのみが私が出来ることなのだ。
私がこの世界で知りえたこと。それはナチュラルとコーディネーターという相反する存在。
ジョージ・グレンの告白などは些細な事だが、人を調整──強引に進化させたコーディネーターには始めは私も嫌悪した。
急激な革新は歪みを産み出し、やがて滅びゆく定めであるからだ。
しかし、嫌悪は次第に薄れていった。
彼等はエゴにより産み出された存在であり、罪は無いと気付いたのだ。
ナチュラルとコーディネーターは互いに猜疑心を持ち合い、混迷を巡る戦いへと誘われていくだろう。それは火を見るより明らかな事である。
──黄昏に向かう世界の中で、私に何が出来るだろうか──
考えた末、私は連合へと参加した。
まずは一兵士からであったが、私が知り得なかった事を知ることが出来た。
兵士の立場で物を見て、考える。これは私には新鮮であり、様々な事を学べた。
そして私は私の信念を同僚に話した。最初は怪訝な顔をされたが、次第に理解者は増え、軍の内外における私の発言力も増していった。
そして今。こちらに来て何年が過ぎたのであろうか。駆け抜ける様に過ごしてきたから歳月はあまり感じなかったが、私の髪に少々の白髪が混じるくらいの時間は流れた。
私はもはや若いとは言えない歳となった。 そろそろ、そろそろだ。
雌伏の時は過ぎた。歴史を動かす為の準備も終わった。
再び、いや、この世界では始めて歴史の表舞台に立つ時が近付いている。
――to be continued――