X-Seed_新たなる道_第06話

Last-modified: 2008-03-05 (水) 12:57:02

「つくづく君は、落とし物を拾うのが好きなようだな」
「しゃあねえだろ、この場合・・・こんなごみごみした所に放置しとく訳にいかないし」

 

ガロードがそう言うとナタルは苦笑した。

 

「まあそうだな、それに必ずしも厄介ごとばかり・・・ではないからな」
「へへ」

 

ナタルがそう言うとガロードは得意そうに鼻の下をこすって笑った。

 

「開けますぜ?」
「ああ、やってくれ」

 

フラガがそう応えると、マードックは頷いて救命ポットのハッチを開けた。
すると、

 

「 ハロ、ハロー、ハロ、ラクス、ハロ」
「ありがとう。 御苦労様です」

 

そこにはピンクの丸い何かと、ピンクの髪の女の子がいた。

 

「あら? あらあら?」
「ハロ? ハロハロ? ハロ、ラクス! ハロハロ!」

 

その少女は出て来る時勢いを付け過ぎたのか、
そのまま無重力状態の格納庫を上へ上へと昇っていった。
キラがそれに見かねてその少女に手をかした。

 

「ありがとう・・・あら? あらあら? まぁ! これはザフトの船ではありませんのね!?」

 

その少女はマリュー達の制服を見てそう言った。

 

「ポットを拾っていただいて、ありがとうございました。 私はラクス・クラインですわ」
「クラインねぇ~。 彼の、プラント現最高評議会議長も、シーゲル・クラインといったが・・・」
「あら~? シーゲル・クラインは父ですわぁ。 御存知ですの?」

 

場所は移り個室にナタル、マリュー、フラガとその少女・・・ラクスがいる。
なお話の内容が気になっていたクルーが居たがそれはナタルが追いかえした。

 

「そんな方が、どうしてこんなところに?」
「私、ユニウス7の追悼慰霊の為の事前調査に来ておりましたの。
そうしましたら、地球軍の船と、私共の船が出会ってしまいまして・・・」

 

ラクスはそう言うと困った顔で、

 

「臨検するとおっしゃるので、お請けしたのですが・・・
地球軍の方々には、私共の船の目的が、どうやらお気に障られたようで・・・
些細ないさかいから、船内は酷い揉め事になってしまいましたの。
そうしましたら、私は、周りの者達に、ポットで脱出させられたのですわ」
「・・・なんてことを・・・」
「それでー、貴方の船は?
「・・・分かりません。あの後、地球軍の方々も、お気を沈めて静めて下さっていれば良いのですが」

 

ラクスがそう言うとマリュー達は黙らざるえなかった。

 
 

「嫌よ!」
「ん?」
「嫌ったら嫌!」

 

ここは食堂、ガロードとティファはヘリオポリス組みと食事を取っていた。

 

「どうしたんだ?」
「・・・ん、あの女の子の食事だよ。
ミリィがフレイに持ってって、って言ったら、フレイが嫌だって・・・それで揉めてるだけさ」
「なら私が行きます」

 

ティファはそう言うとミリアリアから食事を半ば強引に受け取り食堂に出ようとし、

 

「あの・・・」

 

今話題に上ったラクスがひょっこりと現れた。

 

「驚かせてしまったのならすいません、
私喉が渇いて・・・それに笑わないで下さいね、大分お腹も空いてしまいましたの。
こちらは食堂ですか?なにか頂けると嬉しいのですけど・・・」
「ちょうど今からこれ持って行こうとしてたんだけど・・・」
「まあそうでしたの!? ならもう少し待っていればよかったですわ」

 

ラクスはそう言うと、そこでキラ達ははたと気がついた。

 

「ってちょっと待って!」
「鍵とかってしてないわけ…?」
「いや、あの程度の鍵なら俺でも何とかなるし・・・
お姫様なんだからその程度の工作はできるんじゃね?」
「・・・ガロード、それは違うわ絶対」

 

ミリアリアがそう言うと他のヘリオポリス組みはうんうんと頷いた。

 

「そうか? ザフトの親玉の娘なんだろ? 
そうなりゃ誘拐とかあってそうだし、対策があって不思議じゃないと思うけど?」

 

ガロードがそう言うとだんだんヘリオポリス組みはそうなのかも、と思い始めていた。

 

「あの・・・またここに居なければなりませんの? 人数が少し多いような気がしますけど・・・」

 

ラクスが宛がわれた部屋に、ガロティファとヘリオポリス組みが全員集合していた。
ティファがフレイを引きずってここまで来たのである。
フレイもミリアリアの妹分であるティファを邪険に扱えなくて結局引っ張られてきた。

 

「だったら私は出て行くわよ」
「駄目です!」

 

フレイがそう言うとティファに珍しく強い調子でそういわれ、
フレイは仕方なさそうにその場に座った。

 

「何で私が・・・」
「人は」

 

フレイが不貞腐れる様にそっぽを向くとティファは淡々と話し始めた。

 

「人は未知の、なんだか解らないものに対し好奇心と恐怖が生まれます。
また、伝え聞いた事だけが事実で実際と違っても殆どの人は聞いた方の事柄が正しいと思います。
本当は怖くない、何もしなくとも外見や噂だけを鵜呑みにし恐れます」
「つまりただ怖がるんじゃなくて実際に会って話してみろって事?」
「はい・・・コーディネイターでもそれは一人の人間です。
私達と・・・そしてあなたと同じような」

 

ティファがそうフレイに言うと、フレイはしばらく俯いた。

 

「ま、かたっ苦しい話はそんぐらいでさ、まずは自己紹介からってね。
俺は炎のMS乗りガロード・ラン!」
「私はティファ・アディールです」
「私はラクス・クラインですわ」
「キラ・ヤマトです」
「ミリアリア・ハウよ」
「俺、トール・ケーニヒ」
「俺はサイ・アーガイル」
「カズイ・バスカーク」
「ほらフレイ」

 

ミリアリアにそういわれフレイはしぶしぶ、

 

「フレイ・アルスターよ」

 

と言った。