XXVIIIスレ999 氏_いろんな意味で逆襲のシン=アスカ_第二話前編

Last-modified: 2009-05-29 (金) 23:35:10
 

口が渇く、目の焦点が合わない、頭の中がぐるぐる回ってる。

 

「おにぃ…ちゃん…」

 

 マユの声が、失ったあの眼差しが…今目の前にいる。

 

 何で?死んだ、右手がちぎれ…様々な思いが入り交じる。吐き気が込み上げる。

 

「混乱してるようですので種明かしですわ。コーディネーターはみんな分割受精卵を保存してます、
 ですからマユさんの再生をしてさしあげました。」

 

 それは…マユと同じ姿をしていても…………

 

「記憶に関しては連合からの『ゆりかご』で良い人格、記憶を作り上げることが可能になりましたわ。」

 

 ラクスがにこやかに言う。

 

「もしかしたら……気に入りませんでした?」

 

 この後ラクスは困ったようにある一言を言った……

 
 

「では、処分いたしますか?」

 
 

第二話《命の価値は? 前編》

 

『プラント政府は食料供給コロニーを増産、新型太陽光発電と遺伝子組換によりこれまで以上の収穫が…』
『オーブ政府は先日、国防の為、新型MSを発表しました。
 この機体は傭兵組織アメノミハシラとの共同開発であることから、プラント政府は抗議……』
『今日午後プラント警察はアダルトソフトウェア会社、トレイン・トラインの社長
 アーサー=トライン容疑者を児童ポルノ法違反の容疑で指名手配し……』

 

 会場は揺れ混乱している。少女はパニックになったように叫ぶ。
舞台袖の…会場の死角から、キラは冷静に拳銃を発砲した。
狙われたコンサート会場の照明が砕け会場にガラスの雨を降らせる。
会場のパニックは最高になり恐慌が場を支配した。
その後、キラとシンはあらかじめ決められた通りにその少女の元に近づき、少女に逃げるよう告げる。

 

「みんな、逃げて、敵はプラント政府よ!」

 

 そう少女がマイクごしに叫び、シンに連れられ舞台から去る。
会場は今頃逃げ惑う連中でパニックになっているだろうがかまわない。

 

 なぜならそれが狙いだからだ…

 

 少女の専用車が移動し、キラは運転席に座り、二人が乗り込んだと同時に車をスタートさせる。
車の中でシンは隣に座る少女を見て…
「よくやった、ミユ。」
抱き締めて褒める、その少女ははにかみシンに甘えた。

 

ラクス=クラインが行ったLife Recycleの第一号、
それがリサイクル=マユ=アスカ。
シンにとってもう一人のマユだ。だが区別するためミユと呼んでいる。

 

 そんな仲睦まじい二人をキラはバックミラーで見、一瞬、優しく口元を歪ませるが、
「さて二人共、予定どおり協力者と合流するぞ。」
 キラが言い放つ。街中はパニックという文字で埋めつくされている。
コーディネーターだろうが非常時にはパニックになる。どこが新人類だ。キラが嘲う。
そんな中、キラは街角で二人の男女を載せる。

 

 一人は青いポロシャツにジーンズを着た黒髪セミロングの女性。
コーディネーターだろうがナチュラルだろうがファッションに違いはあまり無いため
街中にいる、どこにでもいる女性に見える。

 

 だがもう一人の格好は……傾奇者だった……
金髪アフロにショツキングピンクのアロハシャツ、白のエナメルシューズに白のハーフパンツ、
ついでに靴下は白のニーソックスをはいていた。
それはまさにC.Eの傾奇者だった。
その、あからさまに怪しい傾奇者ゆえに、こんな混乱の中溶け込んでいた…
…わけもなく、誰しもかかわりあいたくないだけだった。

 

「グレィト!予定どおりおれ達が協力者だぜ!」
 そう車の中で傾奇者、ディアッカ=エルスマンは呟く。
「ディアッカその格好は?」
 キラが半眼で問う。
「裏の裏のそのまた裏をかいたのよ。」
 女性、ミリアリアが言い放つ。少しの会話の後、
「あんたたち二人警察ザタじゃなかったのか?」
 シンが聞く。
「そいつは違うぜ、この格好は…………カッコいいからだ!警察ザタ?あれは…………」
 ディアッカが青ざめガクブルする。

 

「あれはね、トールが生きてるのに何で離婚しないのよ。ってこと。」 

 

 ミリアリアが舌をチャーミングに出し『てへっ』とおどける。ディアッカは相変わらずガクブルしてるが、
「シン、お喋りは終わりだ、熱心なファンのご登場。」
 キラがバックミラー越しに話す。
車の後ろからプラント警察のピンク色(ラクスの顔写真付き)パトカー数台が
ラクスの歌をけたたましく鳴らしながら追いかけて来た。
 キラは巧みなドライビングテクニックで逃げる。
伊達に現在無敗の世界最高ドライバー、アーノルド=ノイマンに師事していない。
「ミユ、スーツに硬化剤は?」 
シンが座席の下から小型爆弾を取り出し、ミリアリアは自分の荷物からスローインダガーを大量に取り出す。
ミユはスクール水着の脇をいじり、水着はそのまま硬化、ボディアーマーになる。
 ディアッカがアフロを外し窓からパトカーめがけ投げつける。と同時にキラが、

 

「さて、じゃあみんな、」

 

『『『『『レッツパリィィィ!』』』』』

 

パトカーがアフロに接触し爆発、

 

これが後に『アプリリウスの悲劇』と呼ばれる戦いの幕開けだった。

 
 

】【】 【