「それが俺たちの戦いだな。」
アスランが言う。敗者は勝利者に従うしかない。だからあの時俺は手を取った。
ルナが俺の傍にいてそっと手を握った。素直にありがたいと…そうあの時は思った。
そして、はっきり覚えている。その後黒塗りの車が来てアスハが降りてきたんだ…
「それから私からのプレゼントですわ。」
この上ない笑顔でピンクの貧乳がありもしない無い胸を張って車の方を差した。
そこにはかつて大切にしていた………かけがえの無い存在がいた…………
第一話『Life Recycle 後編』
『プラント政府は、武装解除をしない傭兵組織アメノミハシラに対し制裁決議を決め、武力による鎮圧……』
『ロミナ=アマルフィ代表はプラントから資産を完全撤退させオーブに移転、
プラントの従業員の転勤か解雇を決め…………』
『アプリリウス市で今日昼過ぎ、この家に住む会社社長、
ディアッカ=エルスマン氏が刺されたとの通報があり、警察が駆け付けたところ、
妻のミリアリア容疑者を現行犯逮捕しました………』
会場は熱気に包まれていた。
いや、狂喜といっても過言ではない、
ほぼ全ての…男達の視線の先には一人少女が歌い、踊っていた。
少女は紺色のワンピース、いわゆる旧暦のスクール水着を来ていた。
十四歳のあどけない微笑み、甘い声。
手足はすらりと、それでいて肉付きもほどよく、動くたび栗色の長い髪も踊る。
だが一番目を見張るのは胸だった。
それは大きな膨らみだった。
年に不似合いな、巨乳だった。
その豊かな胸は躍る度に弾みリビドーを掻き立てる。
「さて、シン、今日は何人集まってる?」
「知りませんよ、いつものことでしょう、ですがやって来る奴を潰すだけですよ。」
俺の言葉にキラが苦笑する。愚問だと悟ったらしい。
「しかし綺麗になったな、あの娘。」
「あなたがロリコンだとは知りませんでしたよ、今後は近付かないでくださいね。」
俺は半眼になり睨む。キラは鼻で笑い、
「やはり胸はでかいほうが実用性あるからな。雄としては本能だろ?」
と銃を取りセーフティを外す。これからの仕事で使うからだ。
これまでは鎮圧できたがこれからはわからない。念には念をというやつだ。
「キラさん、上司だろうがなんだろうが俺が認めなければ交際させませんからね。」
この上ない笑顔で答えると、キラは、
「安心しろ、俺にとってもあの娘は守る対象で慈しむ存在だよ。」
キラの言葉に嘘は無い、なぜならラクスと別れる前にキラを癒したのはあの娘だったからだ。
そしてその後のキラが今のキラ=ヒビキに生まれ変わったきっかけでもあった。
まぁ、共に妻帯者であるにもかかわらず、キラは『Mr.略奪愛』の異名を付けられているし、
その事を指摘すると俺も『オノゴロの種馬』という不名誉なあだ名を言われるので伏せておく。
キラの射撃技術は現在の陸軍兵士な中でもトップクラスだろう。むろん俺も鍛練を欠かしていない。
「みんな~☆今日はわたしのライブに来てくれてありがと~♪」
少女が愛想を振りまく。それと同時に
「L・O・V・Eラウ゛リィアスカ~」や「アスカタン最高♪」、「アスカタン萌え~♪」
等の歓声が響く。
「みんなも知ってるとおもうけど~わたし14歳になりました~♪」
その言葉に地鳴りのような歓声が響く。
「来年はオーブで徴兵されることになったんだ…」
悲しそうな表情に会場がどよめく。
「もし、戦争になったらこの会場のみんなとも…って考えたら怖いんだ…」
会場のあちこちから「そんなことはない、俺が守る」と言った声が聞こえて来る。
シンはほくそ笑む、キラも恐らく同じだろう。
「だからわたしを守るためにオーブに来て☆」
満面の笑みに会場は戸惑いのどよめきが漂う。当然だろう。
プラントで生まれ育ったコーディネーターにとって現在対立関係にあるオーブに来い、と言うのは酷だろう。
だが、
「俺はアスカタンを守るぞ!」
そう声がする。すると次々と俺も、私も、ボクも、拙者もと声が波のように起こり少女がにこやかに、
「ありがと~☆私は今日の夕方にかえるけど…来てくれる人……………大好きになるかも☆」
と唇を人差し指で撫で、
「私の艦はまだ空きがあるから~待ってるね♪」
と明るく喜ぶ、
「キラさん、時間ですよ。」
俺が告げる、と同時に会場、いやアプリリウス自体が激しく揺れる。
計画の狼煙は上がった。