sin-kira_シンinキラ_第02話

Last-modified: 2011-12-10 (土) 17:56:56

「だからー、そういうんじゃないんだってばー」
「えー、うっそー!」
「もう、白状しちゃいなさいよー」

 

カトー教授のラボに向かっていると、前から明るい声が聞こえてきた。
キラの後輩のフレイとその友達が話しながら歩いてくる。
キラはどうやらこの女が気になっていたらしい。
確かに明るい赤髪を長く伸ばして、女の子らしくていいな。

 

「……しかし、どうせなら栗色の髪のマユの方がよっぽど可愛いな」
「マユって誰だよこいつー!」
「うわぁぁ!」
「お前、今朝からそればっかりだなぁ」
「あ、あはは……」
「で? マユって誰だ?」
「減るからやだ」
「くっやるな」

 

ふふん。どうせただ教えないと言っても『いいじゃないか減るもんじゃなし』と言う返しがある事を予想しての発言だ!
……でも、俺も早くマユに会いたいよ! どうすりゃいいんだ? とりあえずオーブ本土に戻らなきゃ!

 

「うふふっ。あら? ミリアリア」
「はーい、フレイ」
「あ、ねぇ、ミリアリアなら知ってるんじゃな~い?」

 

フレイの友達がミリアリア――トールの恋人に話しかけた。なんだ?

 

「な~に?」
「やめてよってばもうー!」
「この子ったら、サイ・アーガイルに手紙貰ったのー! なのに何でもないって話してくれないのよ。ねー?」
「え!?」「えー!?」

 

サイ・アーガイルか……キラを中心としたメンバーのまとめ役みたいな奴だな。ふむ。真面目な奴だと言う記憶があるが、木石じゃ無かったって事だな。

 

「あんた達っ!もういい加減にっ!」
「ん、んん」

 

咳払いが聞こえた。見たら、男を二人引き連れて、サングラスをかけた女の人が立っていた。
俺の勘が疼く!

 

(貴様らプロだな、プロに違いあるまい!)

 

「乗らないのなら先によろしい?」
「どうぞ、軍人さん」
「えっ……」

 

俺の台詞はピンゴだったみたいだ。その女性は固まってしまった。

 

「やれやれ、そんなにばればれだったかい、君」
「まぁ、軍人さんは諜報部と違うからしかたないですよ」
「はは、慰められてしまったな。じゃあ、また」

 

男たちは固まったままの女性をエレカーに押し込むと去っていった。

 

「っもう!知らないから!行くわよ!」
「ああん、待ってよフレイー」

 

フレイたちもエレカーに乗り込んで去っていった。
俺たちもエレカーに乗り込み、しばらくしてカトーゼミに着くと、ひょいとゼミの先輩のサイが顔を出した。

 

「あ、キラやっと来たか」
「うん。ん?」

 

壁を見ると、金髪の帽子を被った少年がいた。

 

「誰? あの子」
「あ、教授のお客さん。ここで待ってろって言われたんだって」

 

あれは……まさか――!

 

「貴様ぁ! 貴様が何故ここにいる!」
「ちょっと、なんだ! 私はお前なんか知らないぞ! はっ!? もしや? ちょっとお前こっちに来い!」

 

ずるずると引きずられていく俺の体。キラって奴、体鍛えてないのかよ! 情けねーな!

 

「で、人のいない所に来て何の用でしょうか? オーブ代表?」
「え!? お父様!? ……誰もいないじゃないか! 図ったな貴様ぁ!」

 

不安げになりきょろきょろと後ろを見回し、次に怒ってくるカガリ・ユラ・アスハ。
百面相がおもしれー!

 

「ぷっ!」

 

あんなに憎かった奴が相手なのについ、笑っちまった。

 

「何のことですか? カガリ・ユラ・アスハさん?」
「やっぱり、何で知っている!」

 

そうだよな、こいつはまだオーブ代表じゃないんだった。
……っていうか! ヘリオポリスって崩壊するじゃん! いつだよ!

 

「確か低軌道会戦が2月13日……あー、細かい事ももうちょい身を入れて覚えておくんだった!」
「お前?」
「そうだよ! これを生き延びなきゃマユにも会えない…あ」

 

唐突に思い出したヘリオポリス崩壊日……それは、1月25日――今日だった。

 
 

ズズ……いきなり地面が揺れた。地震!? いや、ここはコロニーだ。そんなものある訳ない! たぶん……ザフトの攻撃……
照明も消えた中、みんなが非常口を目指してる。

 

「とにかくアスハ、来い! 緊急事態だ!」
「アスハは止めてくれ。カガリでいい。そんなにきつく握るなよ。痛い」
「はぐれるより、いいだろ?」

 

カガリは、少し赤い顔をして、もうそれ以上文句を言わなかった。
ちょっとかわいい、と思ってしまった。

 

たぶんザフトの攻撃だろなーと思いつつも一応避難民に聞いてみた。

 

「いったい、どうしたんです!?」
「知らんよ」
「ザフトに攻撃されてるんだ!コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」
「え!?」
(やっぱり……)
「君達も早く!」
「あ! キラ! お客さんも!無事だったか!」
「あ! サイ! 部屋に戻ろうとしてたとこだったんだ」
「戻るのは危険だ。僕たちも行こう! 早く! 行くぞ!」
「ああ!」
「あ、君!」

 

あ、カガリが、非常口とは別の方に走り出した。
ち、しょうがねえお姫様だ。気がついたら俺の体は彼女の後を追っていた。

 

「キラ!」
「先に行っててくれー。すぐに戻るよ!」

 
 

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