Tradition/ナタリー

Last-modified: 2022-06-08 (水) 12:23:42

基本情報

  • イデア名:Natalie(ナタリー)
  • 身分:王女

古代クオラトス帝国の跡地であるケイオスラーヴァという国で、巨人が世界を滅ぼすという諦観の下で生き続ける姫。

収録弾

Tradition

No.91 虹の彼方へ(ナタリー)

 

ケイオスラーヴァの絶姫ナタリーは古代クオラトス帝国史を紐解き、その末路に国家の完成を見た。すなわち永遠の生存などという愚劣極まる望みを放棄して、絢爛の果てに自壊を遂げることである。それならば半分はすでに約束されている。ケイオスラーヴァの民はみな知っているのだ。この大地は貪婪にして暴虐なる巨人の手のひらの上にあり、それは大地を支えるためではなく、万障差し置いて恐るべきかれの欲深き大口に放り込まれるためであることを。人が生きるのは、いじらしくも主観的に引き伸ばされた巨人にとってのその刹那。森羅万象の開闢から終焉に至るまでの歴史は巨人にいくばくか芳香の楽しみを与えるものに過ぎない。あらゆる動物はこの事実を生得的に理解していながらも、記憶の辺獄に封じ込めることで心を守っている。にもかかわらずこの絶望を片時も忘れず、かつ正気のまま生活できるのがケイオスラーヴァの民の特性だ。ゆえに最も恐怖を知る者となり、かれらが紡ぐ言葉と文字は余さず巨人への畏怖と諦念で彩られている。衣装で表現するなら全世界要素を象徴する七色のはためきと、それを踏みにじるようにはびこる黒。

 

弑逆色のドレスに身を包み、廃絶を抱きしめるナタリーは城の尖塔で、世界の先端で、今まさに終焉がこちらを飲み込まんとするのを見上げている。

無限遠のナタリー

 

神すら抗弁許されず、安息の末路は捩じ切られた。
哀れ頭上で嘶くは、のたうつ火竜の踊り食い。
おまえの喉を穿つだけの宇宙を、複製するものを複製するものを複製しよう。
繰り返しを繰り返す手口を入れ子に無数孕む入れ子の、生み出したすべてがかかる全宇宙で複製の繰り返しを無数孕み等々織り綴り広げ続ける。
有限の歩みでは至り得ぬ極限菩提樹の焼け跡の、七歩先でわたしは微笑みにて報い 。