Tradition/ノワール

Last-modified: 2022-01-30 (日) 00:48:18

基本情報

  • イデア名:Noire(ノワール)
  • 身分:魔女

数多の鴉を用いて、夢想回廊で情報を集めている魔女。

 

ファゴラントス復活の際には、竜から身を守るために自らを100年結界に封じ込めたという。

収録弾

Tradition

No.48 クロウリーシラン(ノワール)

 

夢想十八回廊の七番目、冒涜と羨望が格子状に敷き詰められ諦観が波しぶきをあげる「かかわらざるの岬」に腰掛けて、ノワールは持っている杖の先を見つめる。杖の先には透明な球体がある。球体は黒く濁っているように見えるが、ノワールにはそれこそが美しい。彼女の従僕たる八百万の黒い鳥が、世界各所でどのように分布し回遊しているかの見取り図になっているからだ。球体に指を突っ込むと、黒い鳥たちはしわ寄せて流れを変える。黒い鳥たちの見たものは、集積されてノワールの認識に絶えず流れ込んでくる。各伝承の分布。冷たく輝く中心核。極点を踊るもの。剣と魔の混交傾向。雌伏する天使と悪魔。朽ちた劇場に巣食うネズミ。良心を兵糧に版図を広げる教会勢力。遍在と偏在をうつろう霧。水の循環が成す巨大な曼荼羅模様。東方へと進軍する薔薇の一個師団。唐突に、目眩と共に不吉な宣告がなされた。

 

「滅びの霊が天を裂き、鳥たちはすべて落ちた。目を開いても光はなく、耳を立てても音はない」

 

未来視症だ。莫大な情報をもとに思考の奥の秘められし領域が紡いだ予測と、現実の区別が曖昧になる。予測は絶対ではないが、あり得なくもないのが厄介だ。何もしなければ蓋然性が高まるところも気が重い。鳥たちを通じた俯瞰は尋常でない快楽をもたらすが、少々浸りすぎたようだ。暗澹たる予言は精神にかかる負担こそが問題だ。目を覚ます方法はひとつしかない。ノワールは岬から身を投げた。

No.98 障壁編みのスピネル(ノワール)

 

鴉の魔女ノワールは復活したファゴラントスに滅ぼされたと言われているが、真相は異なる。ファゴラントスの暴威を前に、持ち前の情報力によって世界のどこにも逃げ場がないと悟った彼女は完全結界に引きこもった。七十七羽の鴉によって支えられるこの異空間は、外界の影響を完全に遮断して彼女を巨竜の脅威から守る。ノワールは蓄えた叡智を材料に夢想に耽る。ほとぼりが覚めるであろう百年後に結界を解くことにした。

 

このあと誰にもその出現を予測できなかった《ザ・テンペスト》が巨竜を解決してしまうのだが、その情報もまた、結界を透過することができない。