105系

Last-modified: 2024-02-12 (月) 16:36:25
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日本国有鉄道(国鉄)の通勤型電車。
(詳細はWikipediaを)

概要

国鉄が地方路線向けに1981年に導入した。
制御方式は103系と同様のMT55形抵抗制御。車内座席はロングシート。基本2両編成。
新造車(オリジナル)は片側両開き3扉。
また、105系には103系から改造された車両も存在する。こちらは片側両開き4扉。また、オリジナルでも片側4扉の車両があった。
福塩線や宇部線、和歌山線や紀勢線、仙石線などに投入。

開発経緯

地方路線では、都市圏で新型車両が登場して置き換えられた経年車両が転属或いは新製増備で対処する構想もあったが、利用者の少ない時間帯に2両編成の列車を運行している路線ではユニット電動車方式(MM'方式)*1を採用している101系以来の新性能電車の場合、2両編成を組むと2両とも電動車となるため過剰性能であったり変電所容量に問題があった。そこで、電動車1両に駆動機器を完結させた2両編成を組むことができるように、103系をベースに電動車1両に走行機器を集約した構造を持つ車両として105系が開発された。*2

導入線区・運用

仙石線

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↑登場時

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↑塗装は1990年に変更
仙石線では103系が主力ではあったが、105系も2編成4両が投入。103系1編成を分割し中間車を先頭車化改造した100番台と600番台が各1編成ずつの少数勢力であった。前面は非貫通構造。民営化後も引き続き仙石線で運用されたが、1998年に浦和電車区から転属した103系更新車2編成に置き換えられて運用離脱・廃車。除籍後は乗務員訓練用として用いられ、塗装もオリジナルのものに変更された。長らく社員の訓練に用いられたが全て2008年に209系を改造した新しい訓練車に置き換えられ、600番台は訓練センター内で、100番台は長野総合車両センターへ配給輸送されてどちらも解体された。

和歌山地区

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↑和歌山地区の車両の旧塗装
1984年の奈良線・和歌山線五条駅~和歌山駅間・紀勢本線和歌山駅~和歌山市駅間の電化開業用及び可部線に投入。
当時の国鉄は設備投資が抑制されていたことからローカル線区向け車両の新造ができず、203系の投入で常磐緩行線から捻出された103系1000番台(一部0番台)と阪和線で余剰になっていたサハ103-66を活用して奈良・和歌山線用に48両、可部線用に13両の計61両が改造された。前者は奈良電車区に、後者は広島運転所に配置。*3

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↑103系1000番台からの改造車(旧塗装)
車体は、種車である103系のものを流用しており、新規製造車グループとは異なる片側4扉の車体となっている。制御機器は新調しており、台車や主電動機も元々同型であるため、両グループの性能は同一で相互の併結・混結も可能。尚、客用扉の自動・半自動の切換えについては、種車である103系のドアエンジンの構造上対応が困難なため、奈良電車区配置車両は通年自動扱い、広島運転所配置車両は通年半自動扱いとされた。*4広島運転所配置車両については後述。
民営化後121両が承継された。1両が事故廃車となったものの代替車が用意された*5ので、2005年10月に103系改造車の老朽廃車が発生するまで121両のまま推移していた。

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↑和歌山地区統一塗装

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↑和歌山地区統一塗装(改造車)
JR西日本が2009年度から行っている地域に合わせた統一塗装で、太平洋の鮮やかさをイメージして、青緑色の塗装が施されている。2010年には吹田工場に入場していた103系改造車のP4編成が青緑色の単色塗装に変更され、5月22日に出場した。以降順次塗り替えられ、2016年3月1日に全編成の塗装変更が完了した。
和歌山地区の車両は2019年より導入された227系1000番台への置き換えられ2019年9月末に和歌山線での定期運用を終了。10月26日には和歌山線で105系のラストランイベントが行われ、和歌山駅 - 橋本駅間での1往復の運転をもって105系の和歌山線での運用は終了した。和歌山線ラストラン列車は4両編成で運転され、集中冷房搭載車のSW004編成とSW009編成が使用された。*6
2021年3月13日のダイヤ改正に伴うきのくに線紀伊田辺駅~新宮駅間の227系投入により、近畿地方の本形式は全て運用を終了。2021年7月までに全て廃車され、日根野支所新在家派出所での配置は無くなった。

福塩線など瀬戸内地区

1981年に福塩線および宇部線・小野田線の旧形電車の置き換え用に製造されたグループである。
先頭車の前頭部は踏切事故を考慮した強化形で、運用の都合から貫通形。構体は201系同様に腐食対策を強化しており、台枠と外板の接合部にシール材の充填、客用ドア周囲の全周溶接、通風器と雨樋のFRP製化、乗務員室側開き戸と客用ドアのステンレス化など実施した。
扉は両開き片側3か所とし、自動・半自動の切換が可能。扉の開閉は編成中のどの運転台からでも操作が可能である。
側面窓は上段・下段とも上昇式のユニット窓が基本であるが、行先表示器のある部分の窓の上段は下降式となった。
内装のカラースキームは201系に準じたものとされた。座席はすべてロングシートであるが、長時間の乗車に配慮して座面の奥行きを50mm深く、高さを20mm下げたものとしている。ローカル線での運用が主となるため非冷房であった。
福塩線では1981年2月営業運転を行う。府中電車区配置で、当初は2両編成と4両編成が投入されたが、1984年の可部線新性能化に伴う運用見直しで中間車が先頭車化改造され、福塩線の4両編成はすべて2両編成になった。
1989年3月からは山陽本線岡山~福山間でも運用されるようになった。府中区の車両は一部編成が福塩線限定運用となっていたが、1998年3月14日の限定運用解除で全編成が山陽本線を走行可能となった。10月3日には府中区の全車が岡山電車区へ転属している。
1999年3月13日からは伯備線の新見駅まで、2001年10月1日からは赤穂線・宇野線での運用が開始されたが、2004年10月16日のダイヤ改正により伯備線・赤穂線・宇野線での運用は終了した。同年には快速「マリンライナー」で運用されていた213系?の岡山地区普通列車転用により余剰となった105系0番台5編成が和歌山地区へ転出した。
2004年の台風16号では岡山区F8編成が宇野線宇野駅構内留置中に高潮により水没し、一緒に留置中だった岡山区の115系D18編成とともに使用不能となり、長期間下関地域鉄道部下関車両センター(現:下関総合車両所)で修理工事が行われていた。その後営業運転に復帰したが、その時期は115系D18編成より遅れた。
2022年3月現在も福塩線系統で運用されている。
前述の103系1000番台を改造した13両の計61両を1984年に広島運転所に配置。こちらは片側4扉の車体。可部線・呉線に投入され、扉は和歌山地区の車両とは違い、通年半自動扱いとされた。

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↑統一塗装。黄色単色
JR西日本が2009年度から行った瀬戸内地区の統一塗装は濃黄色単色(所謂末期色)である。瀬戸内地方の豊かな海に反射する陽光をイメージしたもの。2017年6月12日に全編成の塗装変更が完了した。
尚、広島地区では227系?の増備により2016年3月26日のダイヤ改正時に車両を3扉車に統一したため、下関総合車両所広島支所所属の4扉車が2016年4月15日付で廃車された。3扉車の新造車についても2019年3月16日のダイヤ改正をもって運用から外れ、2020年3月31日付で廃車された。

現在は

以下の路線で運行される。

  • 福塩線(福山~府中*7
  • 山陽線(糸崎~三原間・海田市~横川間)
  • 呉線
  • 可部線
  • 宇部線
  • 小野田線

カオスバトルでは

初出は不明。

作者の扱い

  • 抵抗制御

ちなみに

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↑復刻カラーとなったK-02編成
出典:https://railf.jp/news/2022/07/07/073000.html
2022年から下関総合車両所配置の105系K-02編成(クモハ105-14+クハ104-14)に登場時の車体塗装復刻が行われている。宇部線、小野田線、山陽本線(下関~新山口駅間)で当面の間運行。

コメント

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*1 原則として長編成を組む大都市圏での運用を前提に電動車2両で1つの機構として完成する
*2 これが「1M方式」であり、後年同様の思想を持って誕生した車両(119系)を含めて「1M国電」や「新性能1M国電」という通称で呼ぶこともある
*3 改造工事は大井・大船・長野・名古屋・吹田・広島・幡生・新津の各車両工場にて施工された
*4 広島の車両については、新造車グループと併結した場合に相手方の自動・半自動の切換えが行えるよう、運転台に切換えスイッチを設けている
*5 クハ104形550番台=1990年にモハ102形0番台から改造された制御車。1989年11月にクハ105形0番台のうちクハ105-7が桜井線での運用中、ダンプカーとの衝突・脱線事故で損壊し1990年3月付けで廃車となった。それに伴い、代替として明石電車区所属の保留車モハ102-385を電装解除の上で後藤車両所で先頭車化改造したものである
*6 SW004編成とSW009編成は、その後も紀勢本線の紀伊田辺~新宮間で105系3扉車の検査等による車両不足時の代走により運用された。SW004編成とSW009編成以外の4扉車は2019年12月までに廃車された
*7 間違っても東京都ではない