雑居UFO大戦争

Last-modified: 2020-04-27 (月) 00:33:19
 
 

【基本データ】

COMET-A(コメットA)に参加するために制作した第三作目。一枚1000円。
原作では「雑居UFO大戦争」だが、アニメ版では「芝浜UFO大戦」、芝浜の街を舞台とし芝浜の町おこしプロジェクトに一枚噛んだものになっている。そのためストーリーのテーマが原作とアニメで異なる。
またアニメオリジナルの展開に伴い原作エピソードの順番の前後、改変が多く見られる。
原作では不明だがアニメ版では30分程度の作品に仕上がっている*1ことから、アニメのオンエアで流れたものは全編ではなく一部を抜粋したイメージ映像だと思われる。

【原作版「雑居UFO大戦争」ストーリー】

人工物同士が戦う話。あえて人間の描写をしないことで「戦争」をどちらにつくでもなく描こうとした。戦争から人間を一人ずつロボットに置き換えたらどこから人間の罪ではなくなるのか?敵を殺す兵士とそれを命じる上官の二つの罪のうち、兵士をロボットに置き換えたら罪は一つ。上官をロボットに置き換えたら罪はゼロになるのか?敵がロボットならこちらが人間でも罪は存在するのか?という疑問を投げかけるストーリーの設定があったが、それを描ききることはできなかった。*2

【原作版「雑居UFO大戦争」制作過程ドラマ】

文化祭のロボアニメは大盛況に終わりDVDの予約も多数取ることができたが、学内経済はあらゆる単価が低いため拠点を置くには好都合だが儲けは少なかった。そこで金森は自主制作物展示即売会「コメットA」に参加することを提案。コメットAに向けての制作が始まる。

 

お宝探しに潰れた部室の掃除を申し出た一行だったが、思いがけず廃部寸前の音響部の百目鬼と出会う。行き場のない百目鬼に映像研の隣の倉庫を貸し出し、映像研は音響顧問を獲得した。

 

制作も順調かと思われた矢先、学校側からコメットAの参加に対しストップがかかり、金銭の授受禁止を言い渡されてしまう。しかし金森はコメットAの参加までは映像研として販売は個人で行うと宣言し制作は継続。

 

作中、UFOを打ち落とすビームへのこだわりを熱弁する浅草に金森の「ああ、そういう演出の話ですか。」の一言で浅草が覚醒。『そのマチェットを強く握れ!』で機内を狭く暗く描いたのも空の明るさと広さを見せたかったからだった。認識こそできていなかったが、今までずっとやってきたありとあらゆることは演出であったのだ。「ワシの世界は、演出によって最強化する。」「であるならば!私はまだ考えなくてはいけないのだ!!演出を!」浅草はこだわりのためにあらゆる演出を詰め込んだ。そこで演出のキーのひとつになったのは百目鬼の音響だった。

 

コメットA当日、水崎がブースにいるとTwitter上で情報が拡散。金森は「フハハ徐々にきましたね。コストがほぼない広告塔!」と売り子の浅草と水崎に紙袋を被せる。「アニメを作っているモデル」と語られると水崎のキャラが強化されるだけだが、「正体を隠してまでアニメを作る理由とは」と想像させることでわずかな情報も大きな価値を持つという、金森による演出であった。在庫は完売し、SNSでの評判も上々だった。

【大童先生Twitterメモ】

●『映像研』では第1集から「視聴者なんか関係ない」というスタイルを表現してるし、第3集のラストでは目の前で売れていく事よりも、作ったものを自分で見る喜びを表現してる。そこに、接客と視聴者がいる喜びを受け止められる水崎氏や、金に変える金森氏がいる。受け手の反応に右往左往する作家は時として自分を見失う。そうではない純粋な作家像というものを描いてやろうではないかという試みである。「これを見た人を幸せな気持ちにしたい」とかそういう奉仕的な作家像はみんな描いてる。コミティアとかで「お前の作品は独りよがりが!」とか言っても意味ないけど、そこにある独りよがりは楽しい 大童先生Twitterより 大童先生Twitterより 

 

【アニメ版「芝浜UFO大戦」ストーリー】

被弾して不時着した敵のUFO。そのコックピットに人影。敵の正体はカッパであった。敵は宇宙からではなく近くにいたのだ。しかし彼は偶然にも不時着した場所で捕虜となり自分のルーツを知る。ある時陸地が沈み始め残った土地に高く街を築いていったが、水中生活を余儀なくされた人間たちはやがて体が水に適応していった。別れた同胞とは意思疎通をマニ車のような機械を通して行っていたがそれも寂れて忘れ去られ、無知は恐怖を呼び敵意に変わってお互い武装していった。人間の埋め立て行為は侵略とカッパには映った。友好が忘れ去られた故の大戦。お互いが自分の環境のみに集中し相手の存在を忘れたための争い。怖いと思っていた人間は我々カッパと同じ同志だったと気づく。そしてそれは敵側である人間の捕虜も同じように気づく。敵であるカッパは怖い存在ではなく我々と同じような存在なのだと。これは交流システムが形骸化され老朽化して忘れ去られたための戦争だ。捕虜の二人は互いに動き出す。壊れてしまった相手への信号機を修理してお互いの信頼を回復するために。争いを止めるために。捕虜は裏切るのではなく同胞と知った上での仲裁者となる。そして捕虜によって修理された鐘の音を聴き、すべての人がお互いのことを知る。お互いが相手のことを理解し、争いがやむ。共存である。カッパと人間の舞踏会で大団円。

 

《結末変更後》
大団円とはならず、戦いはとまらなかった。だが捕虜人間と捕虜カッパは諦めず再び動き出す。正しいと思うことがうまくいかなくても考えて考えてその時ベストだと思う行動をとり続ける。彼らが選んだ道は降伏だった。


【アニメ版「芝浜UFO大戦」制作過程ドラマ】

文化祭のロボアニメは大盛況に終わりDVDの予約も多数取ることができた。ロボアニメを見た他の部からも映像研にプロモーションムービー制作の依頼が大量に舞い込むが金森は全て断ったと浅草と水崎に告げる。ロボアニメの権利はクライアントのロボ研にあるため、映像研に残された利益はごくわずか。学内経済はあらゆる単価が低くさらに部活動のプロモーションムービーが届く範囲は極めて狭い。よほど人気の部活動でない限り需要は非常に少ないとの理由からであった。
そこで金森は学校の外に出て自主制作物展示即売会「コメットA」に参加することを提案。珍しく金森は2人を食事に誘い芝浜の市街地に繰り出す。行先はロボアニメに感動した芝浜商工会の青年会会長、加島が経営するたんたんめん屋だった。金森がご当地アニメを提案すると加島は快諾し芝浜の町おこしプロジェクトの一貫として映像研によるアニメ制作がスタートした。前作に引き続き美術部(背景)、PC部(撮影)も制作に加わっている。

 

作中、UFOを打ち落とすビームへのこだわりを熱弁する浅草に金森の「ああ、そういう演出の話ですか。」の一言で浅草が覚醒。『そのマチェットを強く握れ!』で機内を狭く暗く描いたのも空の明るさと広さを見せたかったからだった。認識こそできていなかったが、今までずっとやってきたありとあらゆることは演出であったのだ。「ワシの世界は、演出によって最強化する。」「であるならば!私はまだまだ考えなくてはいけないのだ!!演出を!」浅草はこだわりのためにあらゆる演出を詰め込んだ。そこで演出のキーのひとつになったのは百目鬼の音響だった。

 

作中音楽を水崎のSNS繋がりで作曲家に依頼。金森は町おこしと絡めた宣伝プランとして声優オーディションを進めていると報告。音楽発注と声優オーディションとなるといち早く全体のストーリーが知りたいところだがストーリーは遅々として進まず。大団円のダンスシーンで最後を締めくくりたいと浅草がひらめく。水崎はダンスシーンのデモ音源を先に貰ってそれに合わせて作画を進めることに。しかしその矢先、学校側からコメットAの参加に対しストップがかかり、金銭の授受禁止を言い渡されてしまう。

 

肝心のストーリーがいまいち煮え切らず、浅草に対してしびれを切らす金森。内容次第で全スタッフの動きが変わってくる。悩むのは勝手だがタイムリミットがあるのだ。コンテに時間をかけすぎれば以降の工程が圧迫されることになる。浅草はストーリーを決めるためのヒントを求めて、百目鬼の音ロケに同行する。脱線しまくる浅草を横目に目的の鐘の放送を収録することに成功。

 

「この間の話し合いどう考えたよ」と問うソワンデに対し金森は「コメットAの参加までは映像研として販売は個人で行う」と宣言した。一方浅草は作中の地上世界から水世界への伝達器具への想像を膨らませるも肝心のストーリーはなかなか決まらずにいた。

 

学校側からの警告にもかかわらずイベント参加と金銭授受を諦めていない映像研に対し、教頭が圧力をかけ始めた。美術部からは背景の協力ができなくなるかもしれないと告げられるが町おこしと絡めた本プロジェクトは大きな話題を呼んでいた。町おこしに参加することで生徒にビジネスを学ばせる地域密着型教育を推進する芝浜高校の教育方針が各所から称賛され、学校側は映像研の活動を認めざるを得なかった。すべては金森の手腕であった。

 

ストーリーも決まり、順調に進行し余裕をもってほぼ完成したが、作曲家に依頼してあった楽曲と合わせるだけという段階になってはじめてデモを貰っていた楽曲と全く違う曲が送られてきていたことが判明。さらに全編にわたって1曲のみ、こちらの確認ミスであった。曲とラストのダンスシーンの映像が全く合っておらず水崎はダンスシーンをぴったりとデモに合わせて作成したので他の曲に差し替えることは不可能だという。浅草はこの期に及んでダンスシーンをやめて内容を大きく変更すると宣言。浅草はずっとラストシーンがこれでよいのか悩んでいたのだ。曲に合うように全体を調整すれば今よりもっと出来のいいものになるという。水崎はそれで納得できる作品になるならと承諾。「ストーリーの終わりが大団円?そんなわけがない。完全なフィフティーフィフティーなど存在しない。戦いはとまらないがうまくいかなくても考えて考えてその時ベストだと思う行動をとり続けるのだ。」タイムリミットは朝まで、4人は作品の完成に向けて動き出す。*3

 

コメットA当日*4、水崎がブースにいるとTwitter上で情報が拡散。金森は売り子の浅草と水崎に紙袋を被せる。「アニメを作っているモデル」と語られると水崎のキャラが強化されるだけだが、「正体を隠してまでアニメを作る理由とは」と想像させることで作品への興味も増幅するのだという。在庫は完売し、SNSでの評判も上々だった。*5

 

【大童先生Twitterメモ】

●共存とは共に暮らす事ではなく、距離を取ることでもある 大童先生Twitterより 

 

【湯浅監督Twitterメモ】

●(アニメオリジナル12話冒頭シーン)色んな映像の起伏や状況に合わせて色んな音楽を当てはめる予定だったので、全編一曲、1つの雰囲気で上がってきたのが問題になってるんです
意外と音楽ってなんでも合って見えても、ピッタリ状況に合わせて描いたと思う人には全く違うんですよ。意図やイメージの問題で
実際タイミング合ってんじゃんと思うのは、全然違う音楽に合わせて、映画のダンスシーンをハメた映像見て、ピッタリ合ってると思うのと同じで、映像の作り手の意図は度外視してる訳です 湯浅監督Twitterより 湯浅監督Twitterより 湯浅監督Twitterより

 

●(アニメオリジナル12話冒頭シーン)音楽の付け方は色々あって、状況、キャラクターの気持ち、状況とは逆の音楽を付けて逆の意図を浮き上がらせるなど、それぞれ作品を盛り上げて行く
今回、浅草達が前者のオーダーをしたのに対し、音楽家は後者の提案をして、浅草は自分の提案通り来たと思って見過ごしていたんです 湯浅監督Twitterより湯浅監督Twitterより

 

 

●アニメ10話(アニメオリジナルシーン) 水崎氏のダンスシーン原画と原画を担当したつくしやま氏による実写参考

実写参考を撮るシーンのための実写参考を撮る奴 土筆山(つくしやま)氏Twitterより

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●カラースプリクトを担当したバティスト・ペロン氏のコメント
Last colorscript for Eizouken !
I did many panels on this one as this "anime part" was longer than the previous ones and as I had a bit more time to work on it.
I can't believe that the show is already over ! It was super fun to watch and to work on ! BatistePerron氏Instagramより(リンク先にカラースクリプトが投稿されている)


*1 アニメ9話金森のセリフより
*2 第4集 第26話「世界の見え方」
*3 この時金森がDVDの手配をしにエンジンカッターを駆使しドアを蹴破って突入した訪れた店の業者は退学処分になった元・写本筆写研究部
*4 イベントに参加する人々の中に百目鬼、藤本先生、さかき、生徒会長、ロボ研小野、加島、教頭らが確認できる。アニメ映像研公式Twitterより
*5 さかき、生徒会長、教頭もそれぞれDVDを購入した様子。